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(*´д`*)関節リウマチと薬物療法の話


(*´д`*)題名:関節リウマチと薬物療法の話

●抗リウマチ剤とは

原因不明の運動器の疼痛性疾患を広くリウマチと呼んでいるので、これに含まれる疾患は甚だ多い。すなわち文字通りの慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)やリウマチ熱等のいわゆる膠原病と呼ばれる炎性疾患から、変形性性疾患と去れる変形性関節症や骨粗鬆症、更には代謝異常疾患である通風や偽痛風等まで極めて広範である。

抗リウマチ剤についての明確な定義は内容であるが、広義にはこれらのリウマチ性疾患に効果を有する薬剤と定義することができよう。したがって鎮痛剤(analgesics)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、ステロイド剤、抗痛風剤などに極めて多種類の薬剤がこの範疇に属することになる。

一方、リウマチを狭義に捉えるならば、RAとリウマチ熱ということになり、これらの疾患に有効に作用する薬剤が抗リウマチ剤ということになろう。実際、抗リウマチ作用を有するとはRAに対して効果を有するとの意味に解する者も多く、それに従えば、例えば非ステロイド性抗炎症剤のうち非酸性のものはRAに対してほとんど無効であるため、抗リウマチとはいわず、酸性の非ステロイド性抗炎症剤のみが抗リウマチ剤ということになる。もちろんコルヒチンなどの抗痛風剤は該当せず、一方、金やペニシラミンは含まれることになる。

金やペニシラミンの作用はほとんどRAに特異的で他の類似疾患である膠原病には多くは無効である。したがってRAに特異性が高いという意味で特異的抗リウマチ剤と呼ばれることがある。これに対して非ステロイド性抗炎症剤はRAのみならず他の炎症性疾患にも有効であるから非特異的である、さらに非ステロイド性抗炎症剤の作用はまったく対症的で、単に痛みやこわばりを和らげ、腫れを軽減するに留まるのに対して、金やペニシラミンは血沈を改善しリウマトイド因子を陰性化せしめるなど、より根本的な治療効果を発揮しうるので、これをこそ抗リウマチ剤(疾患修飾性抗リウマチ剤、DMARDともいう)と呼んで、非ステロイド性抗炎症剤やステロイド剤などと区別しているものもある。このように抗リウマチ剤の定義はまちまちで、いまだ一定のものはない。

 

●速攻性抗リウマチ剤の種類と特性

薬剤投与後速やかにその効果が現われるもので、金やペニシラミンなどのように月単位で効果が現われてくるものと対比される。すなわち吸収後直ちに抗炎症鎮痛作用を現す薬剤のことで、炎症メジエーターの酸性阻害や中和、ならびに膜安定化作用などがその主な作用機序とされている。副腎皮質ホルモン剤(以下ステロイド剤)と非ステロイド性抗炎症剤に大別される。

 

1.ステロイド剤

Henchら(1949)がはじめて慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)にステロイド剤を用い劇的な効果をもたらしたことは周知である。一時はこれによってRAも克服できるように見えたが、経験が増すにつれて、決して根治療法ではないことが明らかになり、加えて中止後の反跳現象や副作用のため、むしろRAには好ましくないという結論に達し、現在では原則として用いないというのが一般的になっている。

しかしステロイド剤の抗炎症作用はやはり非ステロイド性抗炎症剤に比べるとはるかに強く、ときと場合によっては不可欠の薬剤であるし、また通常のRAに対しても、用量さえ注意すれば忌むべき副作用もなく、使いやすくて有用な薬剤である。したがって現在でもRAの治療には必要性の高いものである。

 

作用

1抗炎症作用

ステロイド剤の抗炎症作用は多岐にわたるが、次のようなものが上げられている。

①ライソソーム酵素の放出抑制

②細胞遊走活性の阻害

③細胞付着性の阻害:炎症部での細胞の付着を阻害する。

④アラキドン酸の産生阻害:マクロコルチンやリポモジュリンと呼ばれる蛋白質を産生してホスホリパーゼAを阻害し、リン脂質からアラキドン酸ができるのを防ぐ。これは結果的にプロスタグランジン(PG)やコイコトリエン(LT)の産生抑制につながる。

⑤血管透過性の抑制:PGやLTによらない血管透過性の亢進もステロイド剤が抑える。

⑥結合組織の増殖抑制:コンドロイチン硫酸やコラーゲンの合成を阻害する。

⑦免疫担当細胞の抑制:リンパ球、単球を減少せしめ、その反応性を抑える。これには活性化マクロファージからのインターロイキン(IL)-1産生の抑制を通じて、T細胞からのIL-2産生を抑制することが関係しているようである。またB細胞を抑えて抗体の産生を抑制する。

①~⑤はすべて炎症に、⑥,⑦は慢性増殖性あるいは免疫異常性炎症に有効であることを示している。実際ステロイド剤は単純な急性炎症から慢性の肉芽腫性炎症、免疫異常性炎症まで幅広い効力を有することが証明されている。

 

2.その他の作用

抗炎症作用以外の主な作用には次のようなものがある。

①鉱質代謝に対して:大量使用によりアルドステロン様の作用を現す。すなわちNaに対しては蓄積性に、K、Cl、Ca、Pに対しては排泄性に作用する。よって浮腫、高血圧、低カリウム、低クロル性アルカローシスなどをきたすことがある。ただ水負荷時には細胞外液量の増加、糸球体濾過の亢進、抗利尿ホルモンの拮抗作用等によって水利尿をきたす。

②糖、蛋白、脂質代謝に対して:糖代謝に対してはグリコーゲンならびに糖の新生を促進し、糖の消費を抑制、インシュリンに対して抵抗性を与えるので糖尿病を引き起こすことがある。蛋白代謝に対しては異化を促進し、同化を抑制するので、尿中への窒素排泄は増加し出納は負となる。このため骨・筋肉・皮膚の萎縮を招く。脂質に対してはコレステロール・中性脂肪・リン脂質を増加させ、貯蔵脂肪の分布に異常をきたす。すなわち満月様顔貌(moon face)や野牛肩(buffalo hump)、中心性肥満などの特徴ある脂肪沈着を示す。

③骨代謝に対して:Caの吸収を阻害し、Ca、Pの沈着を低下させ、骨芽細胞を抑制するので、蛋白異化作用とあいまって骨の痙性・成長を抑え、骨粗鬆症や小児の成長阻害をもたらす。

④血球および網内系に対して:赤血球、白血球、血小板に対してはその生成を促進するが、リンパ球・単球・好酸球・好塩基球に対しては減少させる。網内系の機能を抑制し、感染症を助長する。

⑤血液凝固に対して:出血時間、凝固時間とも短縮させ血液凝固を促進する。トロンボプラスチンの産生を促進し、プラスミン活性は低下させる。よって血栓や塞栓を起こしやすくする。

⑥消化器に対して:胃液の分泌を促進し、胃液酸度、ペプシン量とも増加させる。一方ムチンは減少し、胃液の粘度は低下する。このため潰瘍になりやすくなる。

⑦循環器に対して:カテコールアミンの血管収縮や昇圧作用を増強し、鉱質作用とあいまって血圧を上昇させる。また末梢血管を収縮させ、透過性を抑制して抗ショック作用を示す。

⑧神経系に対して:末梢神経の興奮性は抑制するが、脳の興奮性は促進する。多幸、抑鬱などの多彩な精神症状を呈することがある。自律神経にも異常をきたす。

 

副作用

1感染症

大量使用時の最も注意すべき副作用である。免疫機能低下により潜在性感染を憎悪させ、日和見感染やさらには一般細菌による肺炎・敗血症・などを誘起することもある。結核の既往がある場合は特に注意が必要で、どうしても大量を使用しなければならないときはINH(イソニコチン酸ヒドラジド)などと併用した方が無難である。

2消化性潰瘍

胃潰瘍がほとんどであるが、まれに十二指腸や小腸にもみることがある。胃液分泌の促進、ムチンの減少、抗肉芽作用等があいまってその原因になるものと思われるが、PGの合成抑制も関与しているのであろう。特にRAの場合各種の非ステロイド性抗炎症剤を併用することが多いのでなおさらである。自覚症状はないか、あっても軽度のことがあるので注意を要する。

3精神障害

延永らはRAでの経験はないが、それはプレドニソロン40mg以上の大量を用いることが少ないためかもしれない。不眠が続くときは要注意である。軽度の精神症状に対してはステロイド剤の減量に加えてminor tranquilizerを用いることがあるが、高度の場合は向精神薬も必要である。

4糖尿病

食事療法で多くはコントロール可能であるが、ステロイドの減量が出来ないときはインシュリンの併用も必要になる。しかしステロイドの減量、離脱によっていずれは回復する。ステロイド剤の使用中は定期的な検査が必要である。

5急性膵炎

本症も全身性エリトマトーデス(SLE)によく見られる。必ずしも大量でないときにも起こっているのでステロイド剤のみに起因しているのか疑問である(Martini et al 1983)。抗膵炎療法とともに、ステロイド剤は増量した方がよい場合が多いようである。症状は一般に軽度な点に注意する。

6副腎不全

ステロイド剤の使用法が上手になったせいか最近は少ないようである。絶対的な不全と相対的な不全が考えており、その程度に応じて各種のいわゆる離脱症候群を呈するが、絶対的な不全では致死的なことさえあるので急激な減量、中止は厳に避けるべきである。

7病的骨折

骨代謝への影響によって骨粗鬆症を呈することは前述したが、高度の場合は病的骨折を起こす。一般には胸腰推の圧迫骨折が最も多いが、延永らは室内の日常動作によって、上腕・肋骨・腸骨の骨折をきたした中年男性SLE患者を経験している。Caの摂取と適度な日光暴露が必要である。活性型ビタミンDが有効との報告もある。

8緑内障

眼圧上昇作用によって緑内障を誘発し、時に失明に至る。定期的に眼圧を測定し本症が現われたら、対症療法を行うとともにステロイド剤を継続すべきか真剣に検討すべきである。

9血栓・塞栓

血液の凝固能は亢進し血液脂質は増加、動脈硬化は促進されるので、血栓や塞栓を起こしやすくなる。特に心臓や脳では重大な結果をもたらす。無菌性骨壊死も血栓や塞栓によるとするものがある。

10全身性血管炎

ステロイド剤未使用者でも本症は起こるのでステロイド剤が原因とは必ずしもいえない。しかしステロイド剤の大量使用者に多いことは事実(Hart et al 1996)、で使い方によっては血管炎を助長、拡大することはありうると思われる。よって不必要な投与はやはり避けるべきである。

11その他

軽度の副作用はいずれもステロイド剤のホルモンとしての生理作用によるものであり、一定量以上を長期に続ければ誰にも起こるものでも起こるものであるが、次の2つは特異である。

①過コルチゾン症(hypercortisonism):偽性リウマチ(pseudorheumatism)とも呼ばれ、大量のステロイド剤使用時に関節や筋肉・骨の痛み、脱力、疲労、不安などをきたし、あたかも原疾患が悪化したかのような自覚症状を呈するものをいうが、延永らはあまり経験がない。ステロイドの相対的欠乏によるという。

②離脱症候群:ステロイド剤の急激な減量、中止によって原疾患の反跳的は再燃をきたすいわゆる反跳現象(rebound phenomenon)と、文字通りの離脱症状(withdrawal symptoms)とがある。前者は原疾患が再燃し、治療前と同じかさらに悪くなる場合をいい、後者は原疾患と無関係に食思不振、眠気、悪心、頭痛、発熱、関節痛、筋肉痛、腹痛、脱力、倦怠、憂鬱、興奮などの多彩な症状を呈するものをいう。もちろん両者が同時に現われることもある。時には絶対的な副腎不全としてショック症状を呈し、危険なこともある。いずれもステロイド剤の減量ないし中止後数時間から数日以内に起こる。対策としては減量を緩徐に行うことが最も重要であるが、いったん症状が現われたらステロイド剤を増量ないし再投与して症状を治め、改めて慎重な減量と離脱を試みるべきである。ショックに対しては直ちに大量のステロイド剤を用いないと危険である。したがって、特に外来患者に対しては勝手に服用を中止しないようよく説明しておく必要がある。

12関節注入時の副作用

以上の一般的な副作用のほかに、関節注入時には特殊な副作用が起こりうる。まず急性のものとして関節炎の一過性の憎悪がある(post-injection  flare-up)。すなわち注入後2~3時間続くこともある。このときは細菌培養などによって感染との鑑別を要する。ステロイド剤の結晶によって誘起される炎症とされるので、2回目は何ともないことも多い。

注入部の四肢に一過性の筋力低下を訴えることがあるが、軽度で2~3日で回復する。

感染は最も重要な副作用であるから厳密な消毒は絶対必要である。

神経や血管等の損傷を避けるのはもちろんである。

長期の頻回注入による副作用として破骨のポローゼや破損の促進、関節の不安定化などがあげられている。ひどい場合はいわゆるCharco jointのようになるが、その1つの原因は痛みの軽減による過度の運動量にあるとされている(Chandler et al 1958)ので、患者にはこのことをよく説明して注意を促す必要がある。もちろんステロイド剤の注入量は必要最小限にし注入間隔もできるだけ長く延ばすように心掛けるべきである。

注入されたステロイド剤の一部は血液中に吸収され全身作用を現すのは当然であり、注入量、注入間隔によっては系統的な副作用が出現する。

種類

経口剤、注射剤、外用剤の3種に大別されるが、外用剤は主として皮膚疾患に用いられ、リウマチ患者に用いることはまずない。すなわちリウマチ患者の炎症を抑えるためにステロイドの外用剤を用いることはない。

a.経口剤

ステロイド剤の種類と作用比較

一般名 抗炎症力価 対応量(mg) 鉱質作用価 生物学的半減期(時間) 商品名
ヒドロコルチゾン  1.0   20  1.0   8~12 シエロソンFコートリル
コルチゾン  0.8   25  1.0   8~12 シエロソンコートン
プレドニゾロン  4.0   5  0.8  18~36 プレドニンプレドニゾロン

デルタ・プレニン等

メチルプレドニゾロン  5.0   4  0.5  18~36 メドロール
トリアムシノロン  5.0   4   0  18~36 ケナコルトレダコート
デキサメタゾン  30  0.75   0  36~54 デカドロンコルソン

オルガドロン等

パラメタゾン  10   2   0  36~54 パラメゾン
ベタメタゾン  35  0.5   0  36~54 リンデロンベトネラン

ベトネゾール等

 

1ヒドロコルチゾン(コルチゾール)hydrocortisone

鉱質作用が強く抗炎症剤としてはあまり用いられないが、生理的なステロイドであるから、補充療法には最適である。

2コルチゾン cortisone

ヒドロコルチゾンのC-11位の水酸基がケト基へ酸化されたものである。自身にはステロイド作用はないが、生体内で代謝されてヒドロコルチゾンに還元されて活性を現す。

3プレドニゾロン prednisolone

ヒドロコルチゾンのC-1、2間が二重結合になったもので、ヒドロコルチゾンの3~4倍の抗炎症活性を示す。一方、鉱質作用は1:0.75と弱いが、大量使用時には高血圧症、低カリウム血症などをきたしうる。

プレドニゾンはプレドニゾロンのC-11意の水酸基がケト基に酸化されたもので、ちょうどヒドロコルチゾンとコルチゾンの関係に相当する。自身には活性はないが、生体内でプレドニゾロンに還元されて活性を表す。

4メチルプレドニゾロン methylprednisolone

プレドニゾロンのC-6位にメチル基がついたもので、抗炎症作用はさらに強く、鉱質作用は弱くなっている。パルス療法として1日500~1000mgの超大量が用いられることがある。

5トリアムシノロン triamcinolone

プレドニゾロンのC-9位にフッ素が、さらにC-16位に水酸基がついたものである。抗炎症作用はメチルプレドニゾロンとほぼ同程度であるが、鉱質作用はほとんどない。しばしば食欲を減退せしめ、Na利尿、水利尿、とあいまって体重減少をきたしやすいため、肥満傾向の強いものに用いられる、しかしミオパチーや過コルチゾン症を起こしやすいとされる。

6デキサメタゾン dexamethasone

トリアムシノロンのC-16胃にメチル基が入ったもので、抗炎症作用は飛躍的に増強されたが、副腎の抑制も強い欠点がある。鉱質作用はない。トリアムシノロンとは反対に肥満傾向が強い。

7ベタメタゾン betamethasone

デキサメタゾンのC-16α位のメチル基がβ位に変換した立体異性体で、作用はデキサメタゾンとほぼ同等であるが、体重増加や浮腫が少ない。しかし離脱症状を越しやすいという。

8パラメタゾン paramethasone

デキサメタゾンのFがC-9位からC-6位に移ったものである。抗炎症作用はプレドニゾロンの2.5倍と必ずしも強くないが、鉱質作用はない。

 

b.注射剤

内服用のステロイド剤はC-21位がほとんど遊離のアルコール(C-21-OH)であるため水に難溶である。このためこの部位をエステル化して水溶性にしたものが注射剤として用いられている。すなわちC-21-Na-succinate(コハク酸エステル)、C-21-Na-phosphate(リン酸エステル)、C-21-Na-sulfate(硫酸エステル)などである。これらは体内で水解されてfreeのalcoholとなりステロイド活性を現す。パルミチン酸デキサメタゾンはデキサメタゾンをパルミチン酸エステル化して脂溶性を高め、大豆油に溶解した乳濁性注射剤で、いわゆるリポステロイドと呼ばれる静注用製剤である(水島ほか1981)。

注射用ステロイド剤(筋、静注用)

種類 容量 商品名
ヒドロコルチゾンNaコハク酸エステル 100mg250

500

1000

エキセレートサクシゾン

ソルコーテフ

ハイコネートS

ヒドロコルチゾンNaリン酸エステル 100mg/2ml 水溶性エキセレートクレイトン

コルチクール

水溶性ハイドロコートン

メデコート

プレドニゾロンNaコハク酸エステル 10mg20

50

水溶性プレドニン
プレドニゾロンリン酸エステル 20mg/ml コーデルゾール
メチルプレドニゾロンコハク酸Na 40mg/ml125 “

500 “

1000 “

ソル・メドロール
デキサメタゾン硫酸エステルNa塩 2mg/ml5 “ デキサ・シエロソンBデキサ・シエロソン
デキサメタゾンリン酸エステルNa塩 4mg/ml100mg/5ml デカドロンデカドロンS

オルガドロン

コルソン

ベタメタゾンリン酸エステル 2mg/0.5ml4mg/ml

20mg/ml

ベトネゾールリンデロン
静注用パルミチン酸デキサメタゾン 4mg/ml(デキサメタゾンとして2.5mg) リメタゾン

 

リウマチ性疾患においては、ステロイド剤の大量投与時に静注や筋注を用いることがあるが、これは内服不能な場合はあるいは量が多くて内服困難な場合に、いわば内服の代わりに用いるのであって、内服可能になれば注射では投与しないのが一般である。すなわちその適応や禁忌などはほぼ経口剤に準ずるものである。

しかしRAや変形性関節症に対しては関節内注入が比較的よく行われるし、その他のリウマチ性疾患に対しても局所注射が行われることがあるので水性懸濁液の用途はかなり広い。各薬剤の力価や特徴は内服剤とほぼ同様であるが、含量が異なるので用量には注意を要する。

 

関節内注射に用いられるステロイド剤の種類

種類 1ml中の含量(mg) 等価(ml) 商品名
コルチゾン酢酸エステル  25  2.0 コートンシエトロン
ヒドロコルチゾン酢酸エステル  25  2.0 シエトロンF
プレドニゾロン酢酸エステル  1025 1.250.5 プレドニンシエリゾロン

酢酸プレドニゾロン

プレドニゾロン酢酸ブチルエステル  20 0.6 コーデルコートンT.B.A.
メチルプレドニゾロン酢酸エステル 2040 0.50.25 デポ・メドロール
トリアムシノロンアセトニド  1040  1.00.25 ケナコルトA
トリアムシノロンジアセテート  25  0.4 レダコート
デキサメタゾン酢酸エステル  5 0.4 デクタンデカドロンA

酢酸デキサメタゾン

ベタメタゾン酢酸エステル  4  0.4 リンデロン
酢酸ハロプレドン  12.525  1.00.5 ハロアートハロアートS

いずれも水溶懸濁液である

 

用法・用量

●経口剤、注射剤

疾患によりまた病状により用量はまちまちであるが、膠原病特にエリトマトーデス(SLE)や皮膚筋炎/多発性筋炎、多発性動脈炎、リウマチ熱、リウマチ性多発性筋痛症、混合性結合組織病などに対してはステロイド剤の内腹が主体となるが多い。これに対して慢性関節リウマチや強皮症ではむしろステロイド剤以外の薬物が主体になるのが一般である。

前者の場合平均的な投与量はプレドニゾロン(PSL)にして30mg/日位であろうが、症例によって加減するのはもちろんである。

投与法はPSL30mg/日以上の場合通常3回に分けて食後に投与するが、それ以下になるとステロイド分泌の日内リズムや下錐体副腎系に及ぼす影響を考慮して、朝に多く夕方に少なくするものが多い。そして10mg/日以下になればできれば朝1回の投与が勧められる。その方が下錐体副腎皮質系の抑制が少ないからである。ただデキサメタゾンやベタメタゾンのような作用持続の長い薬剤ではそのような効果は認められないという。

PSL5mg/日以下の少量になれば何時投与しても効果、副作用、尿中11OHCS排泄量に有意差は見られないので朝1回の投与が望ましい(Kowanko et al 1982)かもしれないが、朝のこわばりに対しては夜1回の投与の方がよい場合もあるという(De Silva et al 1984)。したがって症例によってはそのような投与法もよいと思われる。

隔日投与法はさらに副腎抑制の少ない方法として喘息や肝炎などの一部の疾患に応用されているが、リウマチ疾患には適さないことが多い。

注射用のステロイド剤は例えば中枢神経症状を伴ったSLEなどで内服ができない場合はもちろん、内服可能な場合でも、1日用量が多すぎるときに用いられる。すなわちパルス療法(この場合はメチルプレドニゾロン500~1000mg/日を用いる)などはそのよい例である。

パルミチン酸デキサメタゾン、いわゆるリポステロイドは脂肪が炎症巣に選択的に取り込まれるのを利用してステロイドを直接炎症細胞にのみ作用させようという、一種のターゲティング療法であり(水島ほか1985)、実際抗炎症効果と副作用を多少は分離しえたとされ(柏崎ほか1985)、通常のRAにも2週に一回(デキサメタゾンとして2.5mg)の静注で持続的な抗炎症効果が得られるとされるが、延永らの経験ではそれほどの効果は期待できないようである。

 

●関節内注入

用量はRAの場合、膝のような大関節に対しては通常一回酢酸プレドニゾロン20~25mgを用いる。最初の用量に対して効果不十分の場合は増量してもよいが、繰り返すうちに効果が増強することもある。

1回の注入関節はせいぜい2,3の関節に止め、注入間隔は効果の持続日数にもよるが、3~4週を一応の目安にする。そして5~6回をもって1クールとし、特別のメリットがなければ漫然と続けるのは避ける。

具体的な注入手技は各関節ごとに異なるので成書を参照して頂くとして、要は神経や血管を避けて、最小の痛みと外傷で目的とする関節腔に達し、余分の関節液を排除した後、針はそのままにして注射筒のみを変えて、ステロイド剤を確実に注入することである。もちろんその場合感染は絶対に避けねばならないので、当該関節部の皮膚と術者の手指ならびに注射器の消毒は厳密に行わなければならない。その意味では注射器はできればディスポーザブルなものを用いるのがよい。

関節部位一回注入量の目安(酢酸プレドニゾロンの場合)

部位 容量(ml) プレドニゾロン量(mg)
  1.0     25
 0.5~1.0    12.5~25
肩、肘  0.3~0.5    7.5~12.5
足、手  0.3~0.5    7.5~12.5
  0.1     2.5

 

適応と禁忌

●経口剤、注射剤

一般的にいって内臓症状を伴うリウマチ性疾患にはステロイド剤が用いられる。すなわち腎炎、心炎、間質性肺炎、胸膜炎、心外膜炎、中枢神経症状、血管炎、筋炎などである。したがってSLEを初めとする膠原病は多くの場合ステロイド療法の対象となるが、RAには原則として用いないのが一般である。すなわち関節炎自体はステロイド療法の対象とはならない。ただ血管炎などの関節外症状を伴った悪性関節リウマチにはステロイド剤を用いる。

肺線維症や、レイノー現象などはステロイド療法に抵抗するので治療の対象にはならない。PSLにして60~80mg/日を用いても無効な場合、例えば中枢神経症状や高度な腎障害を伴うSLEに対してパルス療法が有効なことがある。

リウマチ性疾患の病態とステロイド療法の適応

適応 無効 有効となるも適応とならない
中枢神経症状唾液腺炎

心炎

漿膜炎

間質性肺臓炎

血管炎

腎炎

造血障害

溶血性貧血

筋炎

高熱

乾燥症状肺線維症

肺高血圧症

強皮症

光線過敏症

レイノー現象

食道、十二指腸の拡張

手指腫脹

皮下結節

関節炎リンパ節腫脹

脾腫

脱毛

 

●関節内注入

ステロイド剤の関節内注入によって、当該関節の痛みはもちろん腫れも消失するほど著効を奏することもあるが、多くは一時的な効果に留まるのが一般である。したがって本療法はあくまで補助的なものであり、主体となるものではない。よってその適応は限られた特殊な例と考えてよい。適応の5は社会的適応とでもいうべきもので、旅行や冠婚葬祭などが1つの例であろう。いずれにせよ関節内注入は目的とする関節を重点的に治療しうる、間隔をおいて注入すれば全身への影響が少ない、などの利点があるが、感染の危険性が増大する点は欠点である。

多少の効果はあっても持続が短く、2~3日で元に復するような場合は無効とはいえないにしても適応ともいえないであろう。2~3回やって同様であれば中止する。

禁忌として絶対的なものは表の1のみで、他は相対的なものである。特に5に関しては、繰り返すうちに効果が増強する例もあるので数回は試みてよい。しかし患者の求めに応じて漫然と繰り返すのは厳に慎むべきである。脊椎関節や滑膜のない関節には通常行わない。

ステロイド剤関節内注入の適応と禁忌

適応1.2、3の関節に炎症が限局して治癒しがたいとき

2.リハビリ訓練の前処置として

3.他の治療法が応用できないとき

4.患者に希望を与え闘病への動機づけをしたいとき

5.1次的にでも当該関節の機能障害を除きたいとき

禁忌

1.感染が疑われるとき

2.炎症関節が多すぎるとき

3.関節の破壊が強すぎるとき

4.当該関節の骨粗鬆が強いとき

5.2、3回試みて効果がないか、少ないとき

 

2.非ステロイド性抗炎症剤

非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)の歴史はアスピリンに始まるので、すでにおよそ100年を経過したことになる。その間1949年に副腎皮質ホルモンが登場し、その強力な抗炎症作用によってNSAIDの影ははなはだ薄いものとなった。しかし前述したようにステロイド剤はその抗炎症作用と糖尿代謝ならびに副腎皮質抑制作用を分離しえないことが明らかとなり、その使用には大きな制限が加えられることになった。すなわち副作用のためにその適応が厳しく制限されたわけである。そのためNSAIDが再び抗炎症薬の主流を占めるようになり、現在の繁栄をもたらしたのである。特にインドメタシンが世に出てから、次々と新薬が開発され、現在大別して9系統30種類以上もの薬剤が市販されている状況である。このようにまさにNSAIDの花盛りであるが、その効力はいずれも大同小異であり、RAのような頑固な炎症に対してはなお力不足の感をまぬがれないというのが正直なところである。そのためより強い作用とより少ない副作用を求めて新薬の開発が今なお盛んである。

 

種類

NSAIDを化学構造から大別すると酸性のものと非酸性のものに分けることができる。

酸性NSAIDはいずれもPG合成阻害作用を有しており、抗炎症作用も強力であるが、一方塩基性ないし非酸性NSAIDにはPGの合成阻害作用はないか、あっても弱く、したがって抗炎症作用は弱いが、鎮痛作用は比較的強力であるという特徴を有している。前者はアスピリン様薬剤とも呼ばれ、RAのような複雑な炎症にも用いられるが、後者はもっぱら急性の単純性炎症に用いられている。作用持続時間、すなわちその血中半減期の長短によって分けると、長時間作用性、中等時間作用性、短時間作用性の3つに分けることができる。すなわち半減期20時間以上のものは長持続性、10時間以上のものは中持続性、2~3時間以内のものは短持続性といえよう。そして一般に長持続性のものは1日1回の服用で済むし、中持続性ものは1日2回、短持続性のものは1日3~4回の服用が必要である。

通常NSAIDは内服すると消化管内ですでに作用を発揮し、PGの合成を阻害して胃腸障害を惹起するが、この欠点を是正するため吸収されて肝で代謝されて初めて抗炎症活性を現すように作られた薬剤がある。これがプロドラッグと呼ばれるもので、現在まで6つの薬剤が開発されている。

剤型別には経口剤、坐剤、外用剤、注射剤があり、それぞれ利点と欠点を持っているので、疾患により、また病状により使い分ける必要がある。

 

主な非ステロイド性抗炎症剤の種類と用量、副作用、特徴

系統-薬剤 商品名 剤型、容量(mg) 1日用量(mg) 備考
酸性1.サリチル酸系

アスピリン

 

 

 

 

ジフルニサル

 

アスピリン

バファリン

ミニマックス

 

ロナール

ドロビット

 

 

 

T:330

G:50%

 

T:500

T:125

250

 

急性炎症

1.0~1.5

慢性炎症

3.0~5.0

 

500~750

 

胃、肝

耳鳴

少量で抗血小板作用

 

2.アントラニル酸系フルフェナム酸

 

 

メフェナム酸

 

 

トルフェナム酸

アーレフ

オパイリン

 

ポンタール

 

 

クロタム

C:100

T:125

250

T:250

C:125

250

C:100

400~600

375~750

 

750~1000

 

 

300

胃、皮膚

 

 

胃、血液

下痢

抗リウマチ作用(-)

3.インドール酢酸系インドメタシン

 

アセメタシン

スリンダク

 

マレイン酸プログル

メタシン

インテバン

インダシン

ランツジール

クリノリル

 

ミリダシン

C:25

 

C:30

T:50

100

C:90

75

 

90

300~400

 

270

胃、中枢神経、肝

 

4.フェニル酢酸系ジクロフェナク

フェンブフェン

アンフェナック

ボルタレン

ナパノール

フェナゾックス

T:25

T:200

C:50

75

600

150

 

5.ナフチル酢酸系ナブメトン レリフェン T:400 800
6.プロピオン酸系イブプロフェン

 

ケトプロフェン

 

 

ナプロキセン

 

フルルビプロフェン

フェノプロフェン

プラノプロフェン

チアプロフェン酸

オキサプロジン

 

ロキソプロフェン

スプロフェン

アルミノプロフェン

 

ブルフェン

 

オルジス

カピステン

メナミン

ナイキサン

 

フロベン

フェノプロン

二フラン

スルガム

アルボ

 

ロキソニン

スルプロチン

ミナルフェン

T:100

200

C:25

50

 

T:100

C:300

T:40

T:600

C:75

T:100

T:100

200

T:60

T:100

T:100

200

600~900

 

150

 

 

300~600

 

120

1200~1800

225

600

400~600

 

180

300~400

600

 

 

 

 

 

 

 

7.ピラゾロン系フェニルブタゾン

クロフェゾン

ブタゾリジン

パナス

T:100

T:100

200~300

300

胃、浮腫、血液

8.オキシカム系ピロキシカム

 

テノキシカム

フェルデン

バキソ

チルコチル

C:10

20

T:10

20

20

 

20

胃、皮膚

 

胃、皮膚

塩基性ないし非酸性ブコローム

 

メピリゾール

 

ベンジダミン

 

チアラミド

 

チノリジン

 

エモルファゾン

パラミジン

 

メブロン

 

リリペン

 

ソランタール

 

ノンフラミン

 

ペントイル

C:100

300

T:50

100

T:25

50

T:50

100

C:50

100

T:100

200

600~1200

 

150~300

 

75~150

 

150~300

 

150~300

 

600

 

胃、皮膚、抗リウマチ作用(+)

 

 

 

 

 

 

 

鎮痛作用

はプロドラッグ、下線は作用持続の長い薬剤、は徐放製剤のあることを示す。T:錠剤、G:顆粒、C:カプセル

 

作用持続時間から見た非ステロイド剤の分類

  薬剤名(商品名) 血中半減期(時間)
長時間持続性 フェニルブタゾン(ブタゾリジン)テノキシカム(チコルチル)

オキサプロジン(アルボ、アクチリン)

ピロキシカム(フェルデン、バキソ)

ナブメトン(レリフェン)

    6257

45

38

20

中等度持続性 スリンダク(クリノリル)フェンブフェン(ナパノール)

ナプロキセン(ナイキサン)

ジフニサル(ドロビッド)

    1817

14

10

短持続性 インドメタシン(インダシン、インテバン等)アスピリン

イブプロフェン(ブルフェン)等多数

    1~3

注:徐放製剤の血中半減期は5~6時間である。

 

●経口剤

経口剤は最も基本的な剤型で全てのNSAIDは経口剤から出発している。応用が簡単で何時でもどこでも用いうる便利さのためコンプライアンスが良いのが利点であるが、胃障害や肝障害が比較的起こりやすく、また意識障害時には用いえないなどの欠点もある。

●坐剤

坐剤は応用にやや困難を伴うが、吸収は経口剤と変わらず、しかも胃、肝を経由しないため、これらの障害が少ない利点がある。また意識障害時にも用いうる。

●外用剤

外用剤は目的とする部位に重点的に応用できるし、副作用が軽少で系統的なものはほとんど無視しうるほどであるが、効果が弱いうえ、外観を損なう欠点がある。

 

注射剤は応用が面倒なのと苦痛を伴う欠点があるので慢性疾患には適さないが、効果の確実性と速効性は他のいずれにも勝る利点であり、急性疾患には好適である。

 

非ステロイド性抗炎症剤の剤型別の特徴

利点 欠点
経口剤 応用便利吸収良好 胃腸障害、肝障害やや多小児にはやや用いにくい
坐剤 吸収良好胃腸障害、肝障害小

内服不能例にも応用可

小児にも用いやすい

用法やや不便馴れないと用いにくい

老人、小児ではショック状態になることがある

外用剤 副作用最も軽少障害部位に重点的に応用

マッサージ効果

サポーター効果

吸収不良効果弱

外観不良のことあり

注射剤 効果的確速効性

投与確認

注射時疼痛慢性疾患不適

自分で用いえない

 

作用機序

●酸性非ステロイド性抗炎症剤

酸性NSAIDの作用機序のうち最も重視されているのはPGの合成阻害である。すなわち、アラキドン酸カスケードのうちPG合成経路を触媒するシクロオキシゲナーゼを阻害することによって炎症メジエーターであるPGの産生を抑えて抗炎症的に働くとするものである。実際この作用はin vitro、in vivoのいずれにおいても明瞭に証明されており、酸性NSAIDの大きな作用機序の1つであることは疑う余地がない。そのほか膜安定化作用がいろいろの実験で証明されており、ライソソーム酵素や活性酸素などの炎症メジエーターが遊離するのを防いでいる。Kaplan(1984)は白血球の凝集が、野崎ら(1982)は血小板の凝集が酸性NSAIDによって抑制されることをみているが、この作用も広い意味では膜安定化作用といってもよいであろう。また活性酸素の酸性抑制作用(Minta et al 1985)や細胞性免疫の調節、自己抗体の酸性抑制作用を示す薬剤もある。免疫系に対する作用としては他に補体の活性化を阻害する作用も知られている(Minta et al 1983)がPGがT細胞を介して免疫系に深く関与している事実からすると、結局NSAIDも免疫系と無関係ではありえないことになる。

 

非ステロイド性抗炎症剤の作用機序

1.プロスタグランジンの酸性抑制トロンボキサンの産生抑制

(血小板の凝集抑制)

2.活性酸素の産生抑制

3.ライソソーム酵素の遊離抑制

4.白血球、血小板の凝集抑制

5.免疫機構への作用

 

 

6.ロイコトリエンの産生抑制

シクロオキシゲナーゼの阻害による

 

複数の機序が想定される

ライソソーム膜安定化による

膜安定化作用による?

細胞性免疫の調節

リウマトイド因子の産生抑制

補体活性化の抑制

リポキシゲナーゼの阻害による

市販のNSAIDにはまだ証明されていない。

 

●非酸性非ステロイド性抗炎症剤

塩基性ないし非酸性NSAIDにはPG合成阻害作用がないか、あっても弱い。したがってその抗炎症作用はPG以外にも求めなければならない。膜の安定化、ブラジキニン(BK)、ヒスタミン、活性酸素などの遊離抑制が示されているが、その作用は酸性NSAIDに比べると弱く、また抗肉芽作用はほとんどない。よってRAのような慢性炎症には効果が乏しく、あまり用いられない。もっぱら急性の単純性炎症に用いられる。

一方鎮痛作用は強く、末梢性と共に中枢性にも働く。非酸性NSAIDにはBKの遊離抑制作用がある(Sato et al 1982)が、BKには直接の発痛作用があるのに対してPGにはそれがなく、BKによる発痛を増強するのみである。これが酸性NSAIDに比べて鎮痛作用が強い理由かも知れない。

 

●非ステロイド性抗炎症剤の適応疾患

酸性NSAID慢性関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、肩関節周囲炎、頚肩腕症候群、肩・腱鞘炎、症候性神経痛、痛風発作、多形滲出性紅斑、結節性紅斑、掌蹠膿疱症、上気道炎、急性中耳炎、膀胱炎、前立腺炎、手術後・外傷後の炎症(腫脹・疼痛)、その他各種発熱性疾患
非酸性NSAID上気道炎、急性中耳炎、歯痛、頭痛、腰痛症、肩関節周囲炎、頚肩腕症候群、膀胱炎、帯状疱疹、手術後・外傷後の腫脹・疼痛

 

副作用

NSAIDの副作用を表12のように分けることができよう。すなわち副作用の種類はここの薬剤によって必ずしも同じではないが、ただPGの合成阻害という共通の作用から、副作用にも共通するものがある(表13)。例えば胃腸障害はその代表的なものであり、最も頻度の高いものである。腎障害もPG関連のものであるが、頻度は浮腫を含めてはるかに少ない、いわゆるアスピリン喘息はPGの合成阻害によってアラキドン酸カスケードのLT産生系が亢進した結果招来されるのであろうと考えられている(末次1985)他に出血傾向、頭痛、めまい、分娩遅延などもPG関連の副作用とされている。したがって以上のような副作用はNSAIDの作用と不可分のものであり、その意味ではいわば不可避的なものである。

PGに関係ないものとして中毒作用とアレルギー作用があるが、これらは各薬剤ごとに必ずしも同じではない。しかしアレルギー作用としての皮膚症状や血球減少などは、頻度は薬剤ごとに異なるとしても、臨床的には共通する症状や所見を示すことが多い。アレルギー性の副作用は用量に関係なく出現するのが特徴である。

中毒作用の例としてはアスピリンによる耳鳴や肝障害をあげることができよう。すなわち用量依存症があり、大量使用時に高頻度に出現するものである。インドメタシンによる中枢神経症状やフェニルブタゾンによる造血障害などもこの範疇に入るものであろう。なおPG関連の副作用も用量依存的である。

その他一般的注意として妊婦や授乳婦に対しては投与を控える。安全性が確立されていないからである。また高齢者においては代謝機能の低下から排出が遅延しがちであり、それだけ副作用が起こりやすいので用量に注意する。坐剤の場合1個の含量が多いので時に過度の解熱をきたし高齢者ではショック症状を呈することがあるのも注意点の1つである。用量に対する注意は体重の小さな小児でも同様に重要である。

多剤との併用によって効果が増強したり、減弱したりすることがある。たとえば抗糖尿病剤や抗凝固剤とNSAIDを併用すると、これら薬剤の効果は低下することが多い。これらもしばしば高齢者で問題になることである。

制酸剤として水酸化アルミニウムを含む薬剤と一緒に用いるとNSAIDの吸収が妨げられることがある。

尿酸排泄剤であるプロベネシドはグルクロン酸抱合を受けるNSAIDの排泄を阻害してその血中濃度を高め、抗炎症作用を増強するという。

NSAID使用時に感染があった場合、あるいは感染症の炎症に対してNSAIDを用いる場合、感染症の症状が覆われて、不顕化する恐れがあるので注意を要する。

 

NSAIDによる副作用発症機序

1.PG産生抑制によるもの(用量依存性)胃腸障害、腎障害、喘息、出血傾向など

2.中毒作用によるもの(用量依存性)

アスピリンによる耳鳴、肝障害など

3.アレルギー作用によるもの(用量非依存性)

皮疹、白血球減少など

4.その他

薬剤の胃粘膜への直接接触による胃障害

 

PG産生抑制による副作用

臓器 PGの生理作用 副作用
胃酸産生抑制粘液産生促進

重炭酸イオン産生促進

粘膜血流増加

胃粘膜保護

胃炎

胃粘膜障害

胃潰瘍

腎血管拡張腎血流増加

尿細管再吸収抑制

血圧低下

浮腫腎機能障害
呼吸器血液

子宮

気管支拡張血小板凝集

脳血管拡張

分娩促進

喘息出血傾向

頭痛、めまい

分娩遅延

 

 

3.痛風治療剤

通風はプリンの代謝異常による疾患である。すなわち血中や尿中に尿酸が増加しついには一部が不溶となり析出して、組織に沈着し、いろいろの病態を惹起するものである。このうち最も一般的なものは関節炎であり、第1足趾の基節関節に頻発することはよく知られた事実である。このようなことからリウマチ疾患の1つに加えられている。

その治療には尿酸塩析出によって引き起こされる炎症を抑える抗炎症療法と、血中尿酸値を下げる抗尿酸療法とがある。前者にはコルヒチンと各種NSAIDが用いられ、後者には尿酸合成阻害剤と尿酸排泄剤がある。

 

抗炎症剤

1コルヒチン colchicine

作用

本剤は尿酸代謝には影響を与えないので、尿酸値は変化しない、また直接の抗炎症・鎮痛作用もないが、急性の痛風発作を予防し、早期に投与すれば発作を頓挫させる。その作用機序はなお確定的でないが、白血球の遊走を抑制し、白血球からの走化性因子の放出も抑制するもののようである(水島1980)。

副作用

下痢が最も多く、ついで悪心、嘔吐、腹痛、脱毛などがあるが、大量使用にて咽頭部・胃・皮膚の灼熱感、血尿、乏尿、ショック、痙攣、呼吸抑制などがくる。

過敏症として、痒み、発疹、発熱が現われることがある。また長期使用により再生不良性貧血、顆粒球減少、白血球減少、血小板減少、脱毛、皮疹、生殖障害、肝・腎障害、ミオパチー、末梢性神経炎、血尿、乏尿が現われることがある。

適応と禁忌

急性痛風発作の予防、治療、ベーチェット病の炎症が強いときにも用いられる。高齢者や衰弱の著しい患者には十分な注意があるし、妊婦には投与を控える。

 

非ステロイド性抗炎症剤

1フェニルブタゾン phenylbutaone

300~400mg/日を数日間用い、以後200mg/日に減量する。

2インドメタシン indomethacin

100mg/日を2~3日用い、以後75mg/日以下に減量する。坐剤(50mg)もよい。

3ナプロキセン naproxen

初期量600~900mg/日。

4フェンブフェン fenbufen

初期量600~900mg/日。

5オキサプロジン oxaprozin

初期量400~600mg/日。

 

抗尿酸剤

●尿酸合成阻害剤

1アロプノリール allopurinol

米国で開発されたプリン類似物質で、キサンチンオキシダーゼに対してオキシプリンと競合的に働き、尿酸の生合成を阻害する。

作用

アロプリノールとその代謝物であるオキシプリノールは、共に尿酸生成酵素であるキサンチンオキシダーゼの働きを競合的に阻害して、尿酸の合成を抑制する。

副作用

胃腸障害が主であるが、他に発熱、皮疹等の過敏症状、Stevens-Johnson症候群、Lyell症候群などの皮膚症状、造血障害、肝障害、さらに倦怠感、浮腫、口渇、手のしびれなどが現われることがある。

適応と禁忌

痛風ならびに高尿酸血症における血清尿酸値の是正。肝疾患や腎機能不全がある場合には注意が必要で減量等を考慮し、検査も頻回に行う。妊婦には原則として投与を控える。

 

●尿酸排泄剤

1プロベネシド probenecid

作用

ヒトおよびイヌにおいて尿酸の尿細管からの再吸収を抑制し、尿中尿酸を増加させてその排泄を促進させることで、血中尿酸値が低下することが認められている。またヒトにおける試験で、本剤はペニシリンやパラアミノサリチル酸の尿中排泄を抑制し、これら血中濃度を高く維持・持続せしめることが確かめられている。

副作用

悪心、嘔吐、食欲不振等の胃腸障害のほか造血障害(溶血性貧血、再生不良性貧血)、過敏症(発熱、肝壊死、皮膚炎、アナフィラキシー等)、頭痛、めまい、頻尿、ネフローゼ症状、歯肉痛などが現われることがある。

適応と禁忌

痛風、高尿酸血症、ならびにペニシリン、パラアミノサリチル酸の血中濃度維持、腎結石や高度の腎障害のある患者ならびに造血障害のある患者には投与を控える。

 

2ベンズブロマロン benzbromarone

フランスのラバズ社で開発された尿酸利尿剤である。

作用

痛風患者に投与すると血清尿酸値の低下と尿酸クリアランスの上昇を認めた。血清尿酸値の低下と平行して尿酸プールの減少を認めるが、尿酸の産生量には著変がなかった。結局尿細管からの尿酸の再吸収を抑制して尿中への排泄を促進し、もって血清尿酸値を下げるとされる。ただプロベネシドと異なり、ペニシリンやフェノールするホフタレインの尿中排泄ならびに血中濃度にはほとんど影響を与えないので、尿酸の再吸収のみを抑制するものと考えられている。

副作用

5482例中112例(2.0%)に見られ、発疹、痒み、胃腸障害が主なものであった。他に過敏症(蕁麻疹、顔面発赤、紅斑)、肝機能異常、浮腫、頭痛などが現われることがある。

適応と禁忌

痛風ならびに高尿酸血症における血清尿酸値の是正。腎結石や高度の腎機能障害のある患者には投与を控える。また妊婦にも禁忌である

 

遅行性抗リウマチ剤の種類と特性

速効性リウマチ剤に対比するものとして遅行性抗リウマチ剤(slow acting anti-rheumatic drugs:SAARD)があるが、前者が直接的な抗炎症作用を有するのに対して、後者は間接的な抗炎症作用しか持たないという点でも対照的である。また前者は慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)以外の炎症に対しても効果を発揮するが、後者はほとんどリウマチ疾患のみに有効であるという点も異なる。このことからSAARDは狭義の抗リウマチ剤とも呼ばれる。さらにSAARDはRA炎症の根底にある免疫異常を是正することによって効果を発揮するとされ、それより免疫調節剤とも呼ばれるし、臨床的にはその著名な効果によってときにRAを寛解に導くことにより寛解導入剤(remission inducing anti-rheumatic drugs:RIARD)とも、あるいはRAの自然経過を変えるという意味でdisease modifying anti-rheumatic drugs:(DMARD)とも呼ばれることがある。

その名のように効果の発現に時間を要し、通常1~2ヵ月後から次第に効果が現われてくる。そしていったん効果が現われると持続し、薬剤を中止した後もすぐには悪化しないのが一般である。

作用機序は主としてマクロファージやTリンパ球などの免疫担当細胞に働いてその機能を抑制したり、あるいは賦活して、異常を是正することが重視されている。すなわちいわゆる免疫調節作用であるが、その他にも例えば活性酸素の産生を抑制したり、消去したりする作用が知られている。ただ免疫抑制剤は、抗癌剤としても用いられるように、細胞機能を抑制することが主な作用とされており、正常細胞をも障害する点が特異である。

種類は現在のところ表14に示した5つの系統が知られてるいが、各々の系統にはさらに違った薬剤が含まれているので、全体としては約10種類に及ぶ薬剤が主としてRAに用いられている。しかしこの分野も開発が盛んであるから今後ますます増加するものと思われる。

 

主な遅行性抗リウマチ剤

系統、薬剤名(商品名) 用法・用量 備考( )内は主な副作用
1.金剤金チオマレート

(シオゾール)

オーラノフィン

(リードラ)

筋注10mg/週~

25mg/2~4週

内服2錠/日(6mg)

作用強(皮膚、腎、血液、口内炎、肺)

作用やや強(下痢、皮膚、腎、血液)

2.SH剤D‐ペニシリン

(メタルカプターゼ)

ブシラミン

(リマチル)

チオピラミン

(チオラ)

内服1~3カプセル/日

(100~300mg)

内服1~3錠/日

(100~300mg)

内服1~3錠/日

(100~300mg)

作用強(皮膚、腎、血液、味覚障害、自己免疫)

作用強(皮膚、腎、血液)

 

作用やや強(皮膚、腎、肝、血液)

3.CCAロベンザリット

(カルフェニル)

内服2~3錠/日

(160~240mg)

作用やや弱(胃、腎)
4.サルファ剤サルゾスルファピリジン

(サラゾピリン)

内服0.5~1.5mg/日 作用強(胃、皮膚、発熱、肝、膵)
5.免疫抑制剤アザチオプリン

(イムラン)

シクロホスファミド

(エンドキサン)

 


メトトレキサート

内服50~75mg/日

 

内服50~75mg/日

 

 

内服5~10mg/週

筋注、静注

作用やや弱(血液、肝、腫瘍、膵、催奇、感染)

作用やや強(血液、脱毛、膀胱、生殖、催奇、感染、腫瘍)

作用強(血液、肝、脱毛、催奇、感染、生殖、肺)

 

4.金剤

かつてRAの原因として結核説がとられていたころ、結核の治療に金が用いられていたことからRAの治療にも金が用いられるようになったようである。すなわち1927年Landeは14例のRAに金チオグルコースを使用してその有用性を認め、その後Forestierも多数の経験例についてその有効性を報告した。もちろんRAの結核説は否定されたが、金の有効性は次第に広く認められるように至った。

わが国における金療法の歴史は浅く、1961年になって漸くまとまった臨床成績の報告がなされている(橋本1961)。しかしその後は急速に普及し、現在ではRAの治療にとってなくてはならないものの1つになっている。

従来はもっぱら注射用の金剤が用いられてきたが、最近経口金剤も開発され、広く応用されている。

 

1.注射剤

作用機序

RAに対する金の作用機序に関しては多くの研究があるが、未だに真相は不明である。ただ免疫担当細胞に対する作用が最も重視されており、なかでも活性化した単球・マクロファージ系の機能を抑制することが主な作用であるというLipsky1983)。他にTリンパ球増殖抑制、NK細胞活性の増強、補体の産生阻害阻害、多核白血球の貧食能、遊走能の阻害、活性酸素消去物質の正常化、ライソソーム酵素の阻害、滑膜細胞の増殖抑制、コラーゲン蛋白やγグロブリンの安定化による変性防止なども指摘されている。

副作用

一般に効果と副作用を分離することはなかなか困難であるが、金についても同様で著名な効果がある反面、副作用も30~40%と多く、しかもときに高度なものがあるのが欠点である。ただ低用量が用いられるようになってから少なくとも重篤なものは減少したようである(延永他1983)。

種類としては皮膚症状が最も多く、痒みと皮疹が過半数を占め、ついで顕微鏡的血尿、蛋白尿などの腎障害、口内炎、舌炎などの粘膜障害、肝障害、胃腸障害などの順であった(表16)。かつては全身の剥離性皮膚炎もときどき経験していたが、低用量法になってからはみなくなった。

最近金剤による間質性肺炎が注目されているが、延永らも3例(RA2例、天疱瘡1例)経験した(延永他1981)。多くは金剤の中止によって回復するが、肺線維症を残す例や死亡例も報告されている。しかもこの副作用は1回の使用量、総量(85~3000mg)とも関係がないようなので注意が必要である。金剤使用中、突然冠性の咳、労作性呼吸困難、息切れ、動悸、発熱等がみられたら、本症を疑い胸部X線撮影などの検査を行う。なお皮膚症状が先行したり同時に現われたりすることも少なくない。

その他の重篤な副作用として再生不良性貧血(山内他1979)、顆粒球減少などの造血障害、激しい下痢を伴う腸炎(Marcuard et al 1987)などが報告されている。

効果の発現と共にγグロブリンが低下してくることが多いが、正常値以下になると感染症を誘発し危険である。

注射直後に顔面紅潮、めまい、心悸亢進、発汗等の血管運動神経性反応を呈する(nitritoid reaction)ことがあり、そのため心筋梗塞を起こした例も報告されている(Gottlieb et al 1977)。またHallaらは血管運動神経性反応ではないが、やはり注射後一過性にこわばりや関節痛、筋肉痛と共に全身性症状を示す例のあることを報告している(1977)。これらの副作用は金チオグルコースでは起こらないという。末梢神経障害の報告もある。

金の血中濃度と副作用とは直接関係がないとする報告が多いが、血中濃度が高いほど副作用が起こりやすいことは十分考えられるところで、2用量を比較した成績ではほとんどの場合高用量群に副作用が多いようである。蛋白に結合していないfreeの金が多いほど副作用も多いという報告もある。

HLA  DR3抗原を持つものは副作用が多く、特に蛋白尿の頻度は11倍にも達し、HLA DR7陽性者は最も副作用が少ないという(Gran et al 1983)。

副作用は金剤使用中いつでも起こるが皮膚、粘膜、肺のようなアレルギー的症状は比較的早期に、肝、腎などの実質的障害は総量400mg以上になって起こることが多いようである。

有効例に副作用が多いとされたこともあったが、現在では関係がないとされている。

適応と禁忌

活動性RAの患者は全て本療法の適応といっても過言ではないが、上述のように特に生命にもかかわる重篤な副作用が起こりうるので、非ステロイド性抗炎症剤や少量のステロイド剤でコントロールできる軽少例にはあえて本剤を用いる必要はないであろう。つまりこのような第1次薬ではどうしても活動性をおさえることができない例こそよい適応である。本剤によってステロイドの減量が可能になる例もある。

Stage,Classにこだわる必要はないが、骨破壊の進行阻止を目指すならば早期から治療を開始すべきであり、実際早期に用いるほど効果もよいことが知られている。

Felty症候群、Sjögren症候群、乾癬性関節炎などは無効ないし禁忌とされていたが、有効例もあり試みてよい。総量500mgになっても効果が現れなければまず本療法は無駄である。このような例が約20%ある。また有効であったが使用を続けているうちに効果がなくなった例ももはや適応とはならない。有効であったが何らかの理由で中止した例は再度試みてよい。初回と同様に効果を得られないことが多い。

高齢者は効果が劣るというものもあるが、変わらないとする成績もある。

副作用のある例はもちろん原則として禁忌であるが、軽度の皮疹、痒み等であれば用量を減じて上手くいくことがある。現在のところDMARDの種類は多くないので何とか続ける努力をすべきである。

妊婦に投与して特に影響はなかったという報告もあるが、やはり原則として禁忌とすべきであろう。

血管症状を伴う悪性RAにはもちろんステロイドが第1選択であるが、本剤の併用によってステロイドの減量に成功することもある。

 

金剤の用量別効果、副作用の比較

高用量群(n=164) 低用量群**(n=48)
効果 著効有効

やや有効

無効

15.3%36.8% 79.9%

27.8%

20.1%

31.8%31.8% 88.6%

25.0%

11.4%

副作用 例数件数

中止例

27.4%30.0%

18.0%

25.0%31.3%

10.4%

50mg/2W以上

**25mg/2W以下

 

金剤の副作用の種類

症状          例数      金使用量(mg)
皮膚の痒み        6                175(20~305)皮疹           6(3)             249(85~525)

蛋白尿          1(1)             345

脱毛           1(1)             570

味覚障害         1                1260

間質性肺炎

造血障害

腸炎(下痢)

低γグロブリン血症

発熱

血管運動神経性反応

末梢神経障害    など

 

2.経口剤

作用機序

オーラノフィン(AF)はラットのアジュバンド関節炎に対して用量依存性に抑制作用を示し、注射用金剤と異なる特徴を有している。しかしPGEの生合成阻害作用はなく、非ステロイド性抗炎症剤とも異なる。結局白血球やマクロファージの遊走能ならびにそれらからのライソソーム酵素遊離の抑制にその作用機序が求められている(広井他1985)。

その他MRL/lマウスの関節炎発症を抑制するが、その機序はlgMリウマトイド因子、効DNA抗体などの自己抗体ならびに免疫複合体、免疫グロブリンなどの産生を抑制するためであろうとされている(妹尾1987)。しかし一方外来抗原に対する抗体産生には影響を与えないという。

このようにAFは抗炎症、免疫調節の両作用を示し注射用金剤とは異なるところもある。

副作用

AFの副作用は金チオマレート(GST)に比べると少ない。特に皮膚、粘膜症状、蛋白尿などが少なく、代わりに下痢、軟便などの消火器症状はAFのほうが多い。ただ下痢の程度は軽いものが多く、したがって中止にいたる例は少ない。しかしAFでも潰瘍性大腸炎をきたしうる。

喫煙者は赤血球中の金濃度が特に高く、皮疹が多いという。

適応と禁忌

注射用金剤とほぼ同様であるが副作用が少ないので早期例にも用いうる。むしろAFをまず使用し、無効ないし効果が弱いときにGSTに変えてみるのも1つの方法であろう。

SGTやD-ペニシラミンが副作用のために用いえない例にAFを使用したところ68%の例が副作用がなく用いることができた(高杉他1984)。そしてGSTが有効であった例はAFも効果を示すことが多いという。腎障害を有するRA例にもAFの投与は可能であった(Graninger et al 1985)。これはAFが主として糞中に排泄されるからである。

 

5.SH剤

1 D-ペニシラミン D-penicillamine

作用機序

D-pには直接の効炎症作用はない。しかし長期に使用するとRAの炎症を抑えるその作用機序についてはなお不明の点もあるが、広い意味で免疫調節作用が重視されている。

(1)リンパ球に対する作用:D-pによってリウマトイド因子(RF)や免疫グロブリンが低下することが知られているが、その機転として選択的なリンパ球機能の抑制が考えられ、特にヘルパーT細胞の抑制が指摘されている(Lewins et al 1985)。D-pにRF解離作用があることは事実であるが、これがin vivoにおける本因子活性低下の主な理由とはされていない。

(2)活性酸素に対する作用:D-pは活性酸素を除去したり、その産生を阻害する作用を有している。ただCu2+があると過酸化水素を産生する。

(3)結合組織に対する作用:D-pはコラーゲン線維の分子間cross linkingを阻害することによってその成熟を抑制するが、in vitroではCu2+の存在下に線維芽細胞の増殖も阻害する(Matsubara et al 1988)。したがってRAの滑膜増殖を抑制するかもしれない。

(4)その他:補体活性の低下、血中免疫複合体の減少、遅延型過敏反応の増強などが報告されているが、中でも免疫複合体の減少効果はRF低下作用と関連するものであり、臨床的に重要である。

副作用

D-pの最大の問題点は副作用が多く、しかもときに重篤なものがあることである。少量投与が一般化するにつれて頻度、重傷度とも減少したが、なお50%程度にみられる。延永らの成績では頻度よりも中止例の減少が著名であった。

種類としては皮疹・痒み等の皮膚症状、味覚障害、蛋白尿、結尿糖の腎障害が多い。尿、血液の定期的検査は絶対必要である。

適応と禁忌

活動性のRAのうち、他の薬剤が無効か副作用で用いえない難治例や、血管炎症状を伴うMRAなどが本剤の適応である。重篤な副作用が起こりうるからである。

腎や血液に異常のあるものは避けるべきであり、高齢者、手術直後なども注意を要する。妊婦は禁忌である。

 

D-ペニシラミンの用量別効果、副作用の比較

高用量群(n=90) 低用量群**(n=58)
効果 著効有効

やや有効

無効

6.8%37.0% 82.2%

38.4%

17.8%

19.0%34.5% 79.3%

25.9%

20.7%

副作用 例数件数

中止例

48.9%57.8%

20.0%

51.7%67.2%

10.3%

300~600mg/日(塩川他1977)

**300mg/日以下

 

D-ペニシラミンの副作用

軽度のもの皮膚症状:皮疹、痒みなど

味覚障害

腎障害:蛋白尿、血尿

胃腸障害、口内炎

神経症状:頭痛、耳鳴など

脱毛

IgA減少

高度なもの造血障害:血小板減少、白血球減少、汎血球減少、再生不良性貧血

腎障害:ネフローゼ症候群、急性腎不全

低γグロブリン血症

自己免疫疾患:全身性エリトマトーデス、多発性筋炎、重症筋無力症、Goodpasture症候群、天疱瘡

肝障害:閉塞性黄疸など

肺疾患:閉塞性細気管支炎など

 

2 ブシラミン bucillamine

作用機序

(1)動物実験成績:Buはラットのアジュバンド関節炎に対して予防ないし治療効果を示す。またMRL/lマウスの関節炎を顕著に抑制する(安部1985)。しかし急性炎症モデルには影響しない。コルヒチンによってサプレッサーT細胞機能が阻害され、抗体産生細胞数が増加しているマウスにBuを投与すると免疫応答は正常域にまで低下した。またマウス脾のヘルパーT細胞数を減少せしめ、サプレッサーT細胞数を増加させた。NK活性は増強した。その他マクロファージの貧食能増強、遊走能阻止、補体活性、コラゲナーゼ活性の阻害、RF陰性化などの作用が報告されている。

(2)人での作用:RAでは一般にサプレッサーT細胞化が低い傾向にあるが、Buはこれを正常化する。またRFや免疫グロブリンを優位に低下せしめた(塩川他1985)。

副作用

約30%に出現する。皮疹、痒み等の皮膚症状が最も多く、ついで胃腸障害、腎障害(浮腫、ネフローゼ症候群、蛋白尿など)、肝障害等であった。無顆粒球症も報告されているのでD-pと同じ注意が必要である。

適応と禁忌

ほぼD-pに順ずるが、延永らの印象ではD-pよりも副作用がやや軽少のように思われるので、選択順序としてはBuのほうを先にしている。腎障害、造血障害例などには控える。

3 チオプロニン tiopronin

作用機序

RAに対する作用機序はD-pほど詳細に検討されていないが、ラットのアジュバンド関節炎には抑制効果を示すという。またD-pと同様in vitroおよび in vivoにおいてRFの解離作用を示し、さらにRA患者に投与するとRF値が低下することも事実である(延永1988)が、この方は解離作用によるものではないようである。長期投与によってはじめて低下してくるからである。その他細胞性免疫の増強作用や効活性酸素作用など、いずれもD-p類似のものである。しかし実際の臨床の場においてはD-pが無効でTpが有効のことも、その逆のこともある。

副作用

1日量300mg(50mg、100mg錠有り)以下であれば忌むべき副作用もなく、使いやすい薬剤である。延永らの成績では35%に副作用が見られ、種類としては痒みが断然多く、時に皮疹を伴い、ついで胃腸、肝、腎障害に順であった(表19)。1g/日の大量になるとネフローゼ症候群、味覚、造血障害なども現われるようである。インスリン自己免疫症候群の報告もある。

適応と禁忌

RF低下作用から、D-pに準じてMRAないしその前駆状態がよい適応であるが、100~200mgの少量では忌むべき副作用もないので活動性RAであれば早期例から用いうる。むしろDMARDとしては第1選択の薬剤といってよいかもしれない。腎・造血障害のある例は控える。

 

6.抗マラリア剤

金剤についで古い抗リウマチ剤である。すなわち1951年にクロロキンがRAに用いられ、有用であることが知られたが、わが国では眼に対する副作用が問題になり、現在製造が中止されている。したがって実際には用いえないが、簡単に解説する。

1 クロロキン chloroquine

内服後約5時間で血中濃度は最高に達する。排泄は遅く24時間内に10%程度である。したがって連日投与すれば体内に蓄積し、血中濃度は次第に増加、約1週間でプラトーに達する。体内では肝、脾、肺、心、腎、関節、白血球などのほか眼の網膜にも沈着しこれが視力障害の原因になることがある。

作用機序としては単球の機能を抑制してインターロイキン1(IL-1)の産生を抑えることが重視されているが、その作用点は単球のレセプターにあり、ここに働いて各種刺激物質と単球との結合を阻害するようである(Baker et al 1984)。多核白血球での活性酸素産生阻害作用も指摘されている。

RAに対する臨床効果は二重盲検法によって確かめられているが、ただ金やD-pに比べると一般に効果は弱い。しかし有効率は60~80%である。Bunchら(1984)によると著効が25%にみられ、それが2年間続いたという。効果に特徴はなく、RFの改善も著明ではない。クロロキンの血中濃度と効果とは相関しない。

副作用は20%程度で金やD-pに比べると少ない。胃腸障害が多く、ついで皮疹、蛋白尿、血小板減少、白血球減少などである。眼障害の頻度は少なく最近ではほとんど起こらないというが、角膜と網膜病変があり、前者は可逆性で視力障害、流涙、眼痛を訴えることがあるが、後者は不可逆性で視力障害が主体である。

製剤としてはリン酸クロロキン、硫酸ヒドロキシクロロキンなどがあるが、いずれも1日量200~300mgを2~3回に分服する。

肝、腎、肺などの臓器障害を伴うRAには投与を控える。乾癬性関節炎も禁忌である。定期的な尿、血液、眼の検査を要する。

 

7.ロベンザリット

ロベンザリット(カルフェニルCarfenil)は中外製薬で独自に開発された遅効性抗リウマチ剤である。すなわちSH基を持たずに非ステロイド性抗炎症剤のフェナム酸に似た構造を有するが、直接の抗炎症作用はなく、免疫調節作用を介して抗リウマチ作用を発揮するとされている。現在RAを適応症として認可され、カルフェニルの商品名で広く一般に用いられている。

作用機序

CCAには直接の抗炎症作用はなく、またPGの合成阻害作用もないが、ラットのアジュバント関節炎や自己免疫疾患を自然発症するMRL/1マウスの関節炎を抑制し、全身性エリテマトーデスの動物モデルとされるNZB/WF1マウスの腎炎をも抑える(Ohsugi et al 1978)。

CCAのこのような作用は免疫調節作用によって説明されている。例えばラットのアジュバント関節炎に対する治療効果は、胸腺を摘出しておくと消失するので、T細胞を介していることが明らかであり、MRL/1マウスにおいては、IgGクラスの免疫グロブリンと自己抗体(リウマトイド因子、抗ssDNA抗体)の産生が抑えられ(中野ほか1986)、関節滑膜への免疫複合体の沈着も減少することが知られている。さらにNZB/W F1マウスでは脾における抗体産生細胞が減少するという(Ohsugi et al 1978)。臨床的にも、発病1年以内の早期RAにCCAを2~6ヶ月投与し、その前後で滑膜の組織像を調べたところ、臨床的な改善例では組織学的にも炎症細胞の減少、リンパ球集簇傾向の減少が認められている。

滑膜の増殖はRA炎症の重要な特徴であるが、それには血管の新生が伴う。CCAは金やペニシラミンと同様、血管内皮細胞の増殖を抑制して血管の新生を抑える(松原ほか1988)。

滑膜の増殖はRAの炎症の重要な特徴であるが、それには血管の新生が伴う。CCAは金やペニシラミンと同様、血管内皮細胞の増殖を抑制して血管の新生を抑える(松原他1988)。

T細胞サブレットのアンバランスを是正することも指摘されているが、初期RAにおけるサプレッサーT細胞ならびにサプレッサー・インデューサーT細胞の減少とヘルパーT細胞の増加がCCAの投与によって臨床的responderではそのいずれも正常化したという成績もある。

RAの単球はIL-1の産生を通じて炎症に寄与しているが、CCAはla抗原の発現を抑制し、IL-1の産生を低下せしめるとされる(伊東他1984)。ヒト末梢血リンパ球のPWM刺激下の免疫グロブリン(Ig)産生細胞に対してCCAでIgM産生細胞を、大量ではIgG産生細胞をも抑制したが、RA患者でもCCAによって血清Igが正常化し、リウマトイド因子や免疫複合体も低下する傾向が認められている。

主として貧食細胞から遊離する活性酸素は炎症メジエーターの1つとしてRAの炎症に寄与しているが、CCAはその遊離を抑制する。

以上のようにCCAの作用点は紅斑に及び、各種SAARDのなかでも最も広域型に属するとされる。

 

ロベンザリットの薬効作用とその機序

1.直接の効炎症作用はない。(PGEの産生も阻害しない)

2.アジュバンド関節炎の二次炎症を抑制する。

(胸線を摘出すると効果は消失)

3.MRL/lマウスの関節炎を予防、治療する。

(免疫グロブリンと自己抗体の産生、滑膜への免疫複合体の沈着、ならびに異常リンパ球の増殖を抑制)

4.NZB/WF1マウスの腎炎を予防、治療する。

(サプレッサーT細胞機能の炎症を回復し、脾の抗体産生を抑制)

5.慢性関節リウマチの炎症を抑える。

(異常なT細胞サブセットの比較ならびに免疫グロブリンを正常化し、リウマトイド因子や免疫複合体を減少せしめ、単球のIa抗原発現とIL-1産生を抑制し、滑膜のリンパ球浸潤と血管新生を抑え、貧食細胞からの活性酸素遊離を阻害。またNK活性を高めインターフェロン産生を誘発)

 

副作用

副作用は20~30%に見られ、消火器症状がもっとも多く、ついで皮膚症状であったが、これらは一般に軽度であまり問題にならない。一番の問題点は腎機能障害である(立川他1981)。すなわちBUNやクレアチニンの上昇が5%程度に見られるからである。この場合尿所見(蛋白尿、血尿等)に異常をみないことが多い点に注意を要する。ただ口渇感が前駆することがあるので、そのときは減量ないし中止する。

適応

異常のようにCCAは活動性RAのいずれにも有効であるが、特に早期例に有効率が高いので発病早期の、炎症がまだそう強くない時期のRAが最もよい適応と思われる。

 

8.スルファサラジン

1930年代RAは感染性の疾患と考えられ、当時はサルファ剤が唯一の抗菌剤であった。

スルファサラジンsulphasarazine、SASP(サラゾピリン Sal-Azopyrin ミドリ十字)はサルチル酸にスルファピリジンがアゾ結合したもので抗菌作用と抗炎症作用を有する。比較的安全な薬剤として開発された。Svar-tz(1948)はこれをRAの治療に応用したが、Sinclairら(1948)はそれがRAに無効であるといい、長い間本剤は抗リウマチ剤としては顧みられず、もっぱら炎症性腸疾患の治療薬として用いられてきた。それが1978年になってMcCon‐Keyらはdapsonとsulphapyridineの作用の類似性からSASPをRAに応用して有用性を認め、さらに多数例についてその効果を確認した(1980)。以後多くの治療成績があるが、いずれも抗リウマチ作用を認めている。最近腸溶製剤が開発され(ファルマシア、生化学工業)、わが国でも抗リウマチ効果が検討されている。

作用機序

本剤は、抗炎症、抗菌作用を有するが、これによって抗リウマチ効果を説明するのは困難である。しかし免疫系に対する作用が知られており、これが抗リウマチ作用を発揮するものと考えられている。すなわちBALB/cマウスを用いた実験で、LPSやCon Aによるリンパ球の幼若化反応を抑制し、脾における抗体生産細胞数を減少さしめ、末梢血のヘルパーT細胞を減少、サプレッサーT細胞を増加せしめるからである。そしてNZB/WF1マウスに対して延命効果と尿蛋白抑制作用を、MRL/1マウスに対しては自己抗体産生抑制と尿蛋白減少作用を示した。

このようにSASPは免疫調節作用を有しており、これによって抗リウマチ効果をもたらすものと思われる。また活性酸素由来フリーラジカルの消去作用を有することも知られている。

 

副作用

プラセボ群の19.4%に副作用が発現したのに対して1g群では21.9%、2群は48.0%であった。すなわち2g群は明らかに副作用が多発した。症状としては皮疹、かゆみ等の皮膚・粘膜系のものが最も多く、約半数を占め、ついで悪心、胃痛、胃部不快感などの消化器系症状が36%であった。皮疹に発熱を合併した例が2g群に3例ほど見られた。そのほか白血球減少や、選択的IgA欠損なども報告されている。

適応と禁忌

まだ臨床経験が浅く、確実なことは不明であるが、金やD-Pcに比べると重篤な副作用が少ないようであるから、これらの薬剤に先駆けて用いてもよいのではないかと思う。もちろん他のSAARDが無効か副作用のため用いえない時もよい適応である。

スルファミン過敏症の患者には禁忌であるし、肝、腎、造血障害がある場合や妊婦にも注意を要する。

 

9.免疫抑制剤

RAにみられる免疫異常は一部の免疫亢進によって説明されうる。マクロファージの機能亢進(IL-1の産生亢進)、CD4T細胞の増加、B細胞の活性化(高γグロブリン血症、RFの高値)などはその現れである。すなわち細胞性免疫、液性免疫ともに亢進状態にあるといえる。したがってこれらの細胞機能を抑制すればRAの炎症も押さえられる筈である。実際全身リンパ節のX線照射や末梢リンパ球の除去によってRAの炎症が沈静化することはよく知られている。免疫抑制作用を有する薬剤も抗リウマチ作用を示すが、特にアザチオプリン(AZ)やシンクロホスファミド(CY)などの細胞毒がRAの治療に試みられ、その有用性が確かめられている(Urowitz et al 1973、Townes et al1976)。さらに最近ではメトトレキサート(MTX)の抗リウマチ作用が見直され、数多くの論文が発表されている(Furst et al1988)。

一方RAの免疫異常ではサップレサーT細胞の機能低下も指摘されている。この細胞に対する障害作用は結果的に免疫亢進に繋がる。したっがって免疫抑制剤にいえども一方的にすべての免疫反応を抑えるわけではないので、正確には免疫調節作用(immunoregulation)を有する免疫調節剤(immunoregulatory drugs)と呼ぶべきである。しかし、ここでは従来の慣習にしたがって免疫抑制剤と呼ぶことにする。

免疫抑制剤の効果の発現は遅くAZやCYでは少なくとも1ヶ月を要する。ただMTXはもう少し早くしかも効く時はより明瞭に効いてくるようである。しかし中止すると多くは1~2ヶ月で再燃してくる。

これらの薬剤には副作用も多く、特に骨髄抑制は時に重篤で生命にも関わり、さらに感染症の誘発や催奇形性、発癌性も指摘されることから、その使用は慎重でなければならない。結局RAの活動性が強くて進行性である。すなわち免疫抑制剤の副作用を考慮してもなお試みる価値のある病態時にのみ用いる薬剤と考えてよい。しかも使用にあたっては、感染症がない、禁忌となる血液異常がない、妊娠の可能性がない、血液検査が頻回に行える、等の条件が満たされ、しかも患者の説明して同意を得なければならない。

 

1アザチオプリンazathioprine

作用機序

本剤は一次免疫反応を強く抑制するが、2次免疫反応に対しては作用が弱い。また細胞性免疫反応も抑制する。さらに炎症細胞の増殖を抑えて抗炎症作用も示す。

副作用

細胞毒としての一般的な副作用のほか肝障害や膵炎が指摘されている。また突然無顆粒球症や過敏症を発症することがある。6-MPはキサンチンオキシダーゼにより6-チオ尿酸に分解される。したがって同酵素阻害剤であるアロプリノールと併用すると分解が阻害され、副作用が起こりやすなるので注意が必要である。長期使用時には発癌性にも注意を要するが、関係がないとする報告もある(Wessel et al 1988)。

適応と禁忌

先に述べたように他剤が無効か効果不十分、あるいは副作用等のためそれらが用いえない重症のRAにかぎって用いる薬剤である。ただステロイドの減量を助けるために併用することはある。免疫抑制剤の中でも生殖系に対する影響が少ないので延永は本剤を優先していることが多い。

感染症、高度造血障害、肝障害、膵炎、妊婦、妊娠の可能性のある場合等は一応禁忌である。また小児や妊娠可能年齢者にも注意を要する。授乳婦人では授乳を中止する。患者の同意が得られない場合はもちろん、定期的な検査ができない場合も用うべきでない。

 

2シクロホスファミド cyclophosphamide

作用機序

細胞分裂周期のS期により強く作用するが、その他のどの期にも作用し、増殖細胞を抑える。リンパ球のうちでは特にB cellを選択的に減少せしめる、抗原投与に前後して投与すると免疫反応を抑制し、抗体産生を抑える。しかも二次免疫反応をも抑制する。またAZより強力に細胞性免疫反応を低下せしめる。一方効炎症作用はAZよりも強力と思われる。

副作用

細胞毒として一般的な副作用のほかに本剤に特有なものとして出血性膀胱炎や無月経がある。また脱毛よりも顕著である。帯状ヘルペスはAZ、CY共に起こる。

適応と禁忌

本剤はAZよりも一般に副作用よりも一般に副作用が強い。催奇形性や生殖障害も強いので小児や妊娠可能年齢者に対してはAZ異常の注意が必要であろう。

 

3メトトレキサート methotrexate

作用機序

MTXは抗体産生を抑制し、RFや免疫グロブリンの産生を低下せしめる。またマクロファージの機能を抑制し、IL-1の産生を抑える(Hu K-S et al 1988)。これらはいずれもMTXの効リウマチ作用機序を説明するものであるが、Tishlerら(1988)はRAに対するMTXの作用機序は葉酸拮抗作用にあるとし、Morganら(1987)はリンパ球における葉酸依存性のセリン合成能が低下がMTXの作用機序であるといっている。いずれにせよ葉酸の代謝に及ぼす影響が本剤の効リウマチ作用にかかわっているものと思われる。

副作用

本剤の特記すべき副作用として肝障害がある。実際肝酵素の上昇は8~70%にも認められるが(Kremer et al 1988)、ただ肝硬変にまで伸展するものは少なく、一部の例に肝線維症がみられる程度である。しかし注意を要するものはもちろんで、総量1.5gごとに肝生検を勧めるものもある。

口内炎などの粘膜障害が比較的多く、胃腸障害も少なくない。しかしこれらはminorなものであり、majorなものとして間質性肺炎、けいれん等があり、死亡例も報告されている。その他免疫抑制剤共通のものとして感染症や血球減少症があるのはもちろんである。催奇形性は明らかであるが発癌性については否定的な見解が多い。しかしこの点に関してはさらに長期の観察が必要であろう。

肝酵素の上昇や口内炎に対して葉酸が有効のようである。

血中で50%は蛋白と結合するので、NSAIDのような蛋白結合性の強い薬剤と併用すると毒性が増強するという。しかしMTXそのものの代謝はNSAIDによって影響を受けない。

適応と禁忌

本剤の効果が優れていること、副作用が他のSAARDに比べて多くないことから、早期のRAに1次薬としても使えるのではないかとの意見もあるが、致死的な副作用を考慮するとやはり多剤無効例に限るべきであろう。ただ免疫抑制剤同士のなかでは、症例によって本剤を優先することはあってもよいと思われる。

禁忌としては肝、腎障害例がある。また飲酒は_控えたほうがよい。そのは他の免疫抑制剤と同様である。

 

10.その他

レバミゾールlevamisoleは駆虫薬として開発されたが、免疫調節作用があることがわかり、RAに対する臨床治験が数多く行われている。その結果本剤の抗リウマチ作用はほぼ確立されたものと考えてよいと思われるが、白血球減少の副作用がネックとなって広く用いられるまでには至っていない(蕨1985)。150mgの週1回投与が一般的である。毎投与前に白血球を算定して減少がないことを確かめて投与する。

ビタミンB12、活性型ビタミンDなどにも免疫調節作用があるとされているが、その抗リウマチ効果は判然としない。筆者は貧血がなかなか改善しない時、あるいは活動性が高くて他剤が無効か副作用で用いえない時などに補酵素型ビタミンB12を用いることがある。500μgを週1~2回筋注する。また骨粗鬆が強いときにビタミンD3(アルファカルシドールalfacalcidol)の0.25~0.5μg/日を投与している。時にRAの活動性にも有効ではないかと思われる例を経験することがある。

(`・ω・´)参考文献

医療学習レポート.関節リウマチと薬物療法


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