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(´Д` )Brunnstromと回復段階の話


( -ω-)題名:Brunnstromと回復段階の話

脳卒中発作後、麻痺側の上肢および下肢(以下麻痺肢と略す)に最初に回復してくる片麻痺に特徴的な粗大運動を、Brunnstromは基本的共同運動(以下共同運動と略す)と名づけた.これは麻痺肢の1肢全体で起こる屈曲運動(屈筋共同運動)と伸展運動(伸筋共同運動)のおおむね相反する2種類の運動パターンからなり、構成する要素の結びつきがきわめて強いため、反射的あるいは随意的にいつも同じステレオタイプの運動パターンでしか運動ができない。

感覚-運動統合は最下位の脊髄から最上位の大脳皮質までの間に階層的に存在する中枢で行われており、運動は中・上位の感覚-運動統合が成熟するに従って、下位の原始反射や姿勢反射を抑制的に修飾して発達し、立ち直り反応・平衡反応や協調運動が確立される。もし脳に病的状態が起こると立ち直り反応・平衡反応や協調運動が障害され(陰性徴候)、高位中枢の抑制から解放された下位の原始反射や姿勢反射が顕在化する(陽性徴候)。

Brunnstromは共同運動を最下位の脊髄レベルで統合される原始的な運動パターンの運動に発達的な逆戻りをした結果であると推論し、運動障害が回復する為には通らなければならない中間的段階と位置付けている。

 

●回復段階(段階1~6)

段階1:

急性期の発作後に続いて弛緩状態があらわれ 、そして四肢のいかなる運動も始めることができない

段階2:

回復し始めるにつれて、基本的な四肢の共同運動、または共同運動の要素のいくつかが、連合運動としてあらわれるか、あるいは最小の随意運動の反応があらわれるかである。このときには痙性が発達し始める

段階3:

患者は共同運動を随意的に行えるようになるが、すべての共同運動の要素が、可動範囲全部にわたって行える必要は必ずしもない。痙性はさらに増大し、重度になってくる

段階4:

いずれの共同運動にも従わない、いくつかの運動の組み合わせが、困難ではあるけれどもできるようになり、徐々に運動が容易になっていき、痙性は減少し始める

段階5:

経過が進んでいくと、基本的な四肢の共同運動が、運動時にその優位性を失っていくので、より難しい運動の組み合わせができるようになってくる

段階6:

痙性の消失により、個々の関節運動が可能になってきて、協調性が正常に近づいていく

 

●Brunnstromによる回復段階と評価方法

Brunnstromの回復段階

Stage

肩および肘

体幹と下肢

手指

反射的にも随意的にも運動・筋収縮なし(弛緩期) 弛緩麻痺 弛緩麻痺

共同運動またはその要素の最初の出現(連合反応としてまたは随意的に起こる筋収縮)(痙性発現期) 下肢のわずかな随意運動 自動的な手指屈曲が不能かまたはわずかに可能

随意的に共同運動またはその一部の要素による運動を起こすことができる(痙性薯明)屈筋共同運動:伸筋共同運動: 坐位、立位での股、膝、足関節の同時屈曲(足関節は背屈)屈筋共同運動:伸筋共同運動: 随意的に全指同時握り、鉤型握りはできるが離すことはできない.反射による手指伸展はできるかもしれないが、随意的には伸展できない

共同運動から少し離脱した運動(痙性やや弱まる)①手を腰の後へ回す②腕を前方水平位へ挙上する③肘関節90°屈曲位で前腕を回内・回外する ①坐位で膝関節を90°以上屈曲して足を床の後方へ滑らす②坐位で踵を床から離さずに足関節背屈 横つまみと母指を動かして離すことは可能、半随意的な手指伸展は少し可能

共同運動からかなり独立した運動(痙性減少)①腕を側方水平位へ挙上する②腕を頭上まで挙上する③肘関節伸展位で前方または側方水平位で腕を回旋する ①立位で股関節伸展位で膝関節屈曲②立位で足を少し前方へ出し踵を床へつけたまま足関節を背屈する 対向つまみ、筒握り、球握りはだいたいできるが、動きは不器用で実用性は低い、随意的な手指伸展はかなりできる

単一の関節運動が自由に可能となり、協調運動もほとんど正常となる(痙性最小となる) ①立体で膝関節伸展位のまま股関節外転②坐位で内側・外側膝関節屈筋群の交互収縮 すべての握りやつまみが可能になり巧級性も改善し完全な伸展ができる.個別の手指の運動はできるが、健側に比べ正確さは劣る

 

●連合反応(associated reaction)

片麻痺患者は、患側で全く随意的な運動ができない場合でも、健側に強い随意的筋活動を行わせれば、その影響が患側に及んで運動を引き起こすことができる。この現象は連合反応と呼ばれ、片麻痺の回復過程に出現する病的現象である。また連合反応の出現に緊張性頸反射などの緊張性反射も影響を与える。

運動系の中枢経路には非交差線維を含み、さらに脳梁を介した左右半球の連絡路が存在する。共同運動が脊髄のニューロンの上下の連絡であるのに対して、連合反応はその左右の連絡である結果として出現する。

患側に出現する連合反応は、健側の運動に似ているが厳密には同じでなく、より原始的な運動パターン(共同運動)である。

 

1.対側性連合反応

(contralateral associated reactions)

・上肢(対称性)

健肢の屈曲 → 患肢の屈曲

健肢の伸展 → 患肢の伸展

・下肢

(1)内外転・内外旋については対称性

(Raimisteの反応)

健肢の内転 → 患肢の内転(と内旋)

健肢の外転 → 患肢の外転(と外旋)

(2)屈曲に関しては相反性

健肢の屈曲 → 患肢の伸展

健肢の伸展 → 患肢の屈曲

2.同側性連合反応

(ipsilateral associated reactions)

主に同種

上肢の屈曲 → 下肢の屈曲

下肢の伸展 → 下肢の伸展、など

例外も決して少なくない

 

(a)対側性連合反応:

健側上肢の抵抗に対する強い屈筋収縮は患側上肢の屈筋共同運動を起こす

(b)対側性連合反応:

健側上肢の伸展抵抗運動は患側上肢の伸筋共同運動を生ずる。ただし、対側性連合運動の結果としての伸展共同運動は実際的にはパターンの一部として出現することが多い。

(c)、(d)対側性連合反応:下肢における対側性連合反応の出現様式は交差性パターンをとりやすい。特に屈曲、伸展。

(e)、(f):連合反応はTNRの影響により強化されたり(e)、弱化したりする(f).特に(f)は同側性連合反応を表している。

(g)、(h):下肢の内外転における連合反応は対側性である。(g)は健側股の外転で患脚の外転が、(h)は内転が起こることを示している(Raimiste反射)

 

●基本的共同運動(synergy)

片麻痺の回復初期に、わずかな随意的運動が可能になった時点で出現するのが共同運動であり、これは原始的な脊髄レベルの運動統合の表れと考えられている。自分の意思により筋収縮を引き起こすことはできるが、その運動は一定の固定したパターンの枠内でしかできず、関節個々の運動を分離して単独で行うことは無理である。

上・下肢とも屈筋共同運動と伸筋共同運動の2つに区別されるが、手関節や手指の運動では個人差が大きい。また、下肢の屈筋共同運動は脳卒中後の麻痺の回復がほぼ完全に達成された後でも誘発されやすい。

特に股・膝の屈曲に抵抗をかけると足背屈・内がえしが出現する運動パターンは軽度の麻痺の鑑別に使用され、これはシュツルンペル反射(Strumpell reflex)といわれる。

 

●様々な反射

1.姿勢反射(posturere reflex)

(1)緊張性頸反射(tonic neck reflex、TNR)

①非対称性緊張性頸反射(asymmetrical、TNR)

顔面の向いている側の上下肢は伸展が、後頭部側の上下肢は屈曲が促通される反応をいう

②対称性緊張性頸反射(symmetrical、TNR)

頭の屈曲で上肢の屈曲、下肢の伸展が促進される。また、頸の伸展では上肢の伸展、下肢の屈曲が促通される。以上が本来の原則的パターンであるが、必ずしもいつもこのパターンをとるとは限らず、頸伸展で両上下肢の伸展、頸屈曲で両上下肢の屈曲が促通されることもある。

 

(2)緊張性迷路反射(tonic labyrinthine reflex)

身体に加わる重力の方向によって筋の緊張度はかわってくるもので、その機序に迷路が関与するものである(頭の位置と重力の方向)。緊張性の意味は緊張性頸反射の場合と同様である。

①背臥位     伸筋が促通される

②腹臥位     屈筋が促通される

③側臥位     上位上下肢   屈曲促通   下位上下肢   伸展促通

 

(3)緊張性腰反射(tonic lumber reflex)

頸と同様、腰の位置(他部位との相関関係)により四肢筋の緊張度は影響をうける。たとえば、上半身を右に回旋した場合、右は上肢旭筋、下肢伸筋が促通されるのに対し、左は上肢伸筋、下肢屈筋が促通される。

 

2.伸張反射(stretch reflex)

筋を伸張するさい、筋固有受容器の1つである筋紡錘の一次終末(primary ending)はphasicな刺激をうけ、その興奮は求心性線維Iaを介して脊髄後根に及び、興奮介在シナプスを通り、前角よりα線維を介して遠心性にもとの筋に戻り、筋収縮を促す。脊髄、延髄で統合される原始的な姿勢反射である。

筋収縮がまだ弱く、弛緩性からやっと脱して反射がわずかに出現しはじめたころ、筋収縮を促すテクニックとしても利用できる。

 

3.逃避反射(withdrawal reflex)

本来、疼痛に対する防御反応の1つであり、痛みを与えた場合反射的に四肢に屈曲を起こす原始的な反射である。褥瘡などによる疼痛のためによくみられる反射であり、下肢の屈曲拘縮の誘因となりやすく、ファシリテーション・テクニックの1つとして用いられることは少ない。

 

4.陽性支持反射(positive supporting reflex、PSR)および伸筋突出(extensor thrust)

足底が接地刺激をうけ、その圧力が増加していく場合、phasicあるいはtonicに下肢伸展(さらに、同時収縮までも)が促進されるもので、前者を伸筋突出、後者を陽性支持反射という。

手掌に同様な圧力をうけたさいに、上肢にも同様な現象がみられ、これも陽性支持反射に含めている。いずれも脊髄レベルで統合されている反射で、生後2ヶ月までの健康乳児にみられる反射である。

片麻痺の初期、大腿四頭筋が弱く、伸展が共同運動でやっと出現しはじめるレベルであっても、これらの反射が十分出るときは体重負荷が可能になり、回復初期にこれを利用すると長下肢装具を使わなくてもすむ場合が少なくない。

しかし、早期においては、Roodのいわゆるcocontraction(同時収縮)の段階が未熟で、運動の土台となる基礎が不安定な状態にあるので、体重を負荷すると伸筋の痙性を高め、また膝関節の過仲展、反張膝を誘発することがあるので注意を要する。

 

5.陰性支持反射(negative supporting reflex、NSR)

足底が接地刺激をうけたとき膝が屈曲し、体重負荷ができないものをいう。比較的重症な患者によくみられ、右頭頂葉障害の1つの特徴とされている。さらに半側無視や無関心、幻想幻覚などを合併することが多く、リハビリテーションを大きく妨げている場合が多い。

NSRのみられる場合でもその下肢に繰り返し体重を負荷すれば(体重をかけることが困難な場合には膝ブレースや長下肢装具を用いて体重をかける)、NSRをPSRにかえていくか、少なくともNSRを消失させることが可能である。

 

6.立ち直り反射(righting renex)と平衡反応

迷路の働きにより、頭を水平に保持しようとする反応が起こる。これは、頸筋中の固有受容器が刺激をうけたり、体表面の一部が床に触れて触覚受容器が刺激をうけることにより起こるものとされている。

子どもが1歳を過ぎるころ(立ったり、歩いたりしはじめるころ)、立ち直り反射は徐々に平衡反応に移行するようになる。

中枢は中脳にあるといわれており、長期臥床によって、その機能は低下していくことが知られており、それを防ぐ意味でも、できるだけ早期にこの反射を活用するよう配慮することが必要である。

傾斜台を用いると、立ち直り反射や平衡反応の訓練にはならないので、やむをえない特殊な場合を除いては、なるべく傾斜台の使用は避けたほうがよい。

 

7.Strumpellの反射

股屈曲により、前脛骨筋による足関節背屈、回外が促通される現象をいう。片麻痺では一般に足関節背屈に比して股屈曲能力が残存していることが多いので、股屈曲に自動運動、抵抗運動をさせることによって、前脛骨筋を強化することが可能である。PNF(固有受容器神経・筋促通法)の体系と共通の機序にもとづいている。

 

8.交叉性伸展反射

Magnus(1926)の論文によると「四足動物を、テーブルの上に立たせて、四肢でしっかり体重を支持させておく。そして、一足の足底に痛みの刺激を与えると、その肢は多シナプス反射によって屈曲反射が起こる。すると反対側の肢の伸筋トーンが高まって、体重支持能力が高まる。この伸筋トーンの高まりが、交叉性伸展反射である」と述べている。Sherrington(1939)の考察によると、これは脊髄反射の一種で、一側肢の屈曲反射によって脊髄の同一レベルで、反対側の陽性支持反射を高める機序が起こっていると解釈される。

この交叉性伸展反射は、痙性が下肢に分布している片麻痺患者にみられる。歩行の際に健側下肢を振り出すときに、患側下肢の伸筋痙性をよりいっそう高めて、体重支持を代償する。伸筋痙性がすぐに弛緩することがないので、その下肢を振り出すときに、股関節や膝関節を屈曲したり、足関節を背屈したりできずに、体幹を後方にそらせたり、体幹を側屈して患側下肢を前方に運ぶ。この交叉性伸展反射に依存した代償的な歩行は、反射の繰り返しなので歩行距離が長くなったり、歩行スピードを増したりすると、非常に強くかつ長い期間活動してしまうので、膝関節の過伸展や、患側骨盤と肩甲帯の後方回旋が、症状固定化して、治療によって消失させることは容易なことではない。起立練習や歩行練習を始めたときに、陽性支持反射に依存した立位にならないように予防することが重要である。

 

9.移動反射

Magnus(1926)が動物実験で行ったときは「四足動物をテーブルの上に立たせて、一肢を他動的に浮かせておいて、他動的に浮かせている側に動物の身体を押したら、他動的に浮かしておいた肢の伸筋筋緊張亢進が強く出現して、最後にはその肢は最大に伸展して全体重を支持するまでになり、転倒を防ぐことになる」ことを観察した。

この反射も脊髄レベルの反射である。そして臨床的には、股関節の内転・内旋筋群に痙性が強く分布している痙直型患者に、この反対の影響をみる。特に両麻痺患者は起立すると、体重はいつも両足部の内側にかかっている。患者自身は一側下肢のみに体重を負荷したり、足部の中央または外側に体重をかけることができない。つまり両下肢で起立していても、体重の側方移動が不可能である。立脚下肢の足部の外側に体重をかけられないために、遊脚下肢にきりかえる際に移動反射の影響で、内転・内旋や伸展の痙性を高めて、伸展反応を高めたまま小さくステップを踏み足部母趾球から接地していく。この接地のやり方は陽性支持反射を誘発して下肢の痙性は積算的に増強して最後にはバランスを失って倒れ込んでしまう。

諸反射の統合レベル

中枢 刺激受容 反射・反応
脊髄レベル 筋紡錘、固有感覚 筋伸展・伸張反射
ゴルジ腱器官、固有感覚 逆筋伸展反射
侵害、外受容器 屈曲逃避反射
触覚(接触)、外受容器 伸展突出
外受容器 交叉伸展
外受容器+固有感覚 反射性足踏み
同上 把握反射
同上 手指自動伸展
固有感覚(関節+筋紡錘) 体幹自動伸展
下位脳幹レベル 迷路静止位 緊張性迷路反射
頸部固有感覚 緊張性頚反射対象性、非対称性
手指の固有感覚 陽性支持反応
腰部の固有感覚(?) 緊張性腰反射
外受容器+固有感覚 連合反応
外受容器+迷路 移動反応
同上 Landau反射
橋・脳幹・間脳レベル 回転性頸部固有感覚 頸の立ち直り反応
同上 頭位体幹立ち直り反応
回転性体幹固有感覚 体位体幹立ち直り反応
迷路重力受容 迷路立ち直り反応
前庭+固有感覚 パラシュート反応
頸部固有感覚 Moro反応
覚醒刺激(自律神経系) 情動性筋緊張

(*~ё~)参考文献

医療学習レポート.Brunnstromと回復段階


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