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( ´△`)高次能機能障害の話


(ー_ー)!!題名:高次能機能障害の話

・失語

失語とは一度獲得した言語機能が言語の受容、表出に関係する末梢の器官(耳,眼,口,手指など)に障害がないにもかかわらず、大脳の言語中枢の病変により、言語の理解や表出が障害された状態を指す。ここでは、構音障害と失語を区別しなければならない。構音障害とは言語を話すのに必要な筋や神経の障害で、うまく話せないのであって、言語中枢の障害ではない。したがって言語の理解は正常で、復唱も可能であるし、書字による表出ならば異常を認めない。言語中枢は生来の右利きの人では95%以上で左半球にあり、左利きの人でも2/3左半球に存在する。言語中枢のある大脳半球を優位半球、その反対側を劣位半球ということがある。

失語では言語の概念そのものが崩壊するので、言語を聞く,話す,読む,書くの四つの機能が傷害されるが、脳の損傷部位や大きさによりこれらの言語機能の障害の程度は多様である。失語をみるには、これらの四つの機能を検査して、障害の特徴を理解することが大切。失語の病型を理解するうえで、ウェルニッケ・リヒトハイムの図式が分かりやすい。

 

すなわち言語中枢としてウェルニッケ感覚言語中枢(A)、ブローカBroca運動言語中枢(M)、言語概念中枢(B)があり、聴覚中枢aを通して聞いた言語はA→Bと伝わり、言語概念中枢で理解して、個人としての意見をB→Mを経て発語中枢mから言葉として表出している。また言語の復唱はa→A→M→mの経路でなされている。したがってウェルニッケ感覚言語中枢が障害されると言語の理解と復唱ができなくなり、一方ブローカ運動言語中枢が障害されると言語の表出と復唱ができなくなる。前者を皮質性感覚失語(ウェルニッケ失語)、後者を皮質性運動失語(ブローカ失語)という。ともに障害されると、全失語になる。AとBの連絡が絶たれると、復唱は可能であるが、聞いた言語が概念中枢に伝わらず、言語の理解ができなくなる(超皮質性感覚失語)。BとMの間の連絡が絶たれると、復唱は可能であるが、自発言語が障害される(超皮質性運動失語)。AとMとの連絡が復唱が強く障害される(伝導失語)。このように、この図式は失語の病型の特徴を把握するうえで理解しやすいが、特徴は説明できても、病型のすべての症候を説明できるものではない。

 

*失語症の病型と障害部位

a)言語野に病変のある失語

・ブローカ失語

会話は非流暢失語を呈し、高度になると無言状態に陥る。言語了解の障害は軽度であるが、複雑な命令には了解困難を示すことが多い。復唱は障害されている。構音障害などを伴うものが多く、発語失行と呼ばれている。

文字の音読も困難で、文字了解すなわち読解力も低下することが多く、読解力では仮名文字の障害が漢字より目立つことが多い。自発書字、書取りも障害されている。神経学的にはしばしば右方麻痺を伴うので、右手による書字の検査は不能のことが多い。

障害部位は優位半球の前頭葉に位置するブローカ野とされていた。しかし、現在ではその発生にブローカ野のみでなく、その周辺領域(中心前および後回の下部、頭頂葉弁蓋部、島葉など)の皮質および皮質下白質の広範な障害が関与しているとされている。こうした部位を障害する原因は中大脳動脈の閉塞が最も多いが、脳出血、脳腫瘍、脳外傷でも起こりうる。

・ウェルニッケ失語

言語や文字の了解は障害されるが、自発言語は流暢で流暢失語を呈する。すなわち、よくしゃべり、発語には異常はないが、錯語、語健忘、保続、錯文法があり、何を言おうとしているのかわからない。高度になるとジャルゴン失語を呈する。言語や文章の了解障害の程度は、軽いものから重いものまでさまざまである。復唱は障害される。音読させると、字性または語性の錯読がある。自発書字では錯書がみられ、書取りはできない。

神経学的には、しばしば同名性半盲(通常右側)を伴うが、片麻痺を合併することは少ない。病巣はシルビウス溝後下縁から上側頭回、中側頭回の後半部を中心とした領域とみなされている。原因は中大脳動脈皮質枝の閉塞によるものが多い。

・全失語

自発言語は非流暢となり、言語了解も障害されている。復唱、文字了解、音読、自発書字、書取りもすべて障害される。片麻痺(右)、片側感覚障害(右)を伴うことが多い。

中大脳動脈の全領域が侵されて起こり、原因は中大脳動脈の梗塞である。回復しにくいが、回復してもブローカ失語に似た状態に移行する。

・伝導失語

言語や文字の了解はできるが、復唱が著しく侵される。自発言語は流暢であるが、錯語があり、読み違えや、書き違えも起こる。障害部位は弓状束障害も疑問視され、病巣は多様で一ヶ所には特定できず、優位半球のシルビウス溝上下部に分散した障害によるとされている。

b)境界域の障害による失語

・超皮質性運動性失語

非流暢失語で、自発言語は少ないが、言語了解、文字了解、音読、復唱は良好である。病変はブローカ野前方から上方の領域である。ブローカ失語から回復して、この失語に移行することが多い。

・超皮質性感覚性失語

流暢失語で、言語了解、文字了解も障害されているが、復唱は良好である。しばしば反響言語がみられ、いわれたことをおうむ返しに繰り返すが、内容は理解していない。錯読・錯書を伴い、特に漢字の読み・書きが障害される。

病巣はウェルニッケ野の後方部で、ウェルニッケ失語から回復して、この失語になっていくことが多い。

 

最後に失語の有無を検査するには、意識が清明であり、視力ならびに聴力が検査に支障をきたさない程度に保たれていることが必要で、しかも患者が検査に集中できる環境で行う必要がある。

 

・失行

失行とは麻痺や運動失調はなく、指示された内容もよく理解しているのに、指示された動作が出来ない状態を指す。失行をみるにはまず患者の自発動作をよく観察し、言語指示による動作、模倣による動作、物品の使用による動作を行わせて評価することが大切である。

1.肢節運動失行

眼を閉じる、舌を出す、口を開く、指を折る、はしを使う、歩くなどが失行のためできない状態である。

このうち顔面動作に関するものを顔面失行という。手指に関するものは手指失行、歩行については歩行失行という。いずれの病変でも出現する。

2.観念運動失行

おじぎをする、敬礼をする、タバコを吸っている真似などの動作が自然な動作としては保たれているが、言語や視覚による模倣で指示するとできない状態である。物品を使用しないで、自分の体の一部を使って行う動作の失行である。責任病巣として優位半球の頭頂葉が重要視されている。

3.観念失行

観念運動失行との間に定義の混乱がある。通常、観念失行ではマッチでタバコに火をつける、ハサミで紙を切るなどの日常の物品(道具)を使用した動作がうまくできない。どのように物品を使ったらよいのかわからず、当惑して奇妙な動作をする。通常は言語による指示、模倣による指示、自発動作のいずれでもうまくできない。責任病巣として優位半球の頭頂葉が重要視されている。

4.構成失行

三角形や正方形や家の絵などの図形を模写させたり、マッチ棒で構成させたりして検査する。構成失行があるとうまく図形を構成することが出来ない。左右いずれの半球の障害でも出現し、頭頂葉から後頭葉にかけての病変が責任病巣である。

5.着衣失行

衣類をうまく着たり、脱いだり出来るかを観察して評価する。着衣失行の患者では、麻痺も運動失調もないのに袖にうまく手を通せなかったりする。劣位半球の頭頂葉から後頭葉にかけての病巣で出現する。

 

・失認

正しく判断できないほどの痴呆や意識障害はないのに、また視覚,聴覚,触覚などの感覚路に障害がないのに、大脳の病変のため、事物や自己の身体の一部を認知ができない状態を失認という。患者は失認があっても訴えないので、動作や表情の変化などをよく観察し、失認を疑うことが大切である。たとえば左半側空間失認の患者では左側にある物にぶつかったり、食事のさいに左におかれた物を残してしまうので、慎重に観察しさえすれば疑うことができる。

1.視空間失認

a)半側視空間失認(半側空間無視)

半側視空間失認では半側の視空間を無視する。左側の半側空間を無視する例はしばしばみられ、劣位半球の頭頂葉の障害で出現する。優位半球の頭頂葉の病変で右側の半側空間を無視する例もあるが、頻度としては少ない。検査法として、線分の2等分点に鉛筆で印をつけさせたり、家などの簡単な図形を模写させることなどで確認することができる。また漢字を読ませると、左半側視空間失認では“秋”を“火”、“吹”を“欠”などと読んだりすることがある。

b)地誌的記憶障害

地図上で、患者の住んでいる町や大都市の位置を示すことができない、自宅の間取りを描けないなどの地誌的記憶の障害である。劣位半球の頭頂葉・後頭葉の病変で出現することがある。

c)バリント症候群

精神性注視麻痺:患者の眼前で検者が呈示した指先への注視運動ができず、視線が定まらない。

視覚失調:凝視した物をつかもうと手を出してもずれてしまう。

視覚性注意障害:注視している対象にのみ注意が集中し、新しく視野に入ってくる対象に注意が払われない。  これらは両側の頭頂葉・後頭葉の病変で出現することがある。

2.視覚失認

a)物体失認

日常使用している物品をみせても、何であるかがわからず、触ったり、音を聴いたりすると認知できる。

両側の後頭葉の病変で出現することがある。

b)相貌失認

患者がよく知っているはずの人の顔なのに、誰だか識別できない、また顔をみても怒っているのか、笑っているのか、その表情がわからない状態である。しかし声を聞くとすぐに誰であるか識別できる。物品の認知には障害はない。責任病巣として両側の側頭葉・後頭葉が重要視されている。

c)同時失認

複雑な情景画などをみせると、個々の部位の理解はできているのに、全体の状況の把握ができない。優位半球の側頭葉・後頭葉の病変で出現することがある。

d)色彩失認

色盲が無いのに、色の認知が正しくできない。優位半球の後頭葉,脳梁の病変で出現することがある。

3.病態失認

自分のからだに麻痺があるのに否認する状態をいう。患者に麻痺の話をしても「どこも悪くない」と答える。劣位半球の頭頂葉の病変で出現することがある。

4.触覚失認

日常使用している物を目隠しをして触っても、それが何なのかわからない。触れた物の材質が分からない素材失認,形態がわからない形態失認,これらは認知できるが物の名がわからない狭義の触覚失認がある。

片側の頭頂葉の病変で出現する。

5.ゲルストマン症候群

a)手指失認

最も大切な症候で手指がわからなくなる。試験は患者に命令した指を示すようにさせる。たとえば「あなたの左の母指を出して下さい」と命令する。つぎに検者が触れた指が、何指であるかをいわせる。最後に「私の中指をつかんで下さい」というように、検者の指を用いて検査する。

b)左右識別障害

左右がわからなくなることである。「左手をあげて下さい」、「右手であなたの左の耳をつかんで下さい」などと指示する。また「私の左手をつかんで下さい」と命令してみる。

c)失書(症)

自発書字と書取りが侵される。写字は良好なことが多い。

d)失計算(症)

暗算も筆算も侵される。

以上の4つの症候をもつものが典型的であるが、1あるいは2症候を欠く不全症もしばしばみられる。4症候の中では手指失認が最も重要視されており、ついで左右識別障害である。なお病巣は左半球の頭頂葉・後頭葉移行部、ことに角回とされている。本症候群は脳血管障害、脳腫瘍などで起こり、日常よくみられる。

(^ム^)参考文献

医療学習レポート.高次能機能障害


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