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(´・ω・`)パーキンソン病と理学療法の話


(;_;)題名:パーキンソン病と理学療法の話

近年パーキンソン病の理学療法の効果に関するランダム化比較試験が増加し、2012 年のコクランシステマティックレビューにおいて理学療法は歩行速度、歩幅、6 分間歩行テスト、Timed up and go test、Functional reach test などの歩行、姿勢制御に関するアウトカムに短期効果を有すると報告されている 。

パーキンソン病の主病変は中脳黒質緻密部のドパミンニューロンの変性脱落であるが、パーキンソン病の主徴候が生じる前に、迷走神経背側核や嗅球から神経変性が始まり、体性感覚連合野など大脳皮質にまで神経変性が進展していく 。

パーキンソン病はこのような病態を有するため、運動障害の他に、認知機能障害、自律神経障害、睡眠障害、感覚障害と多様な臨床上を呈する。

パーキンソン病の歩行障害は、補足運動野の機能低下による運動プログラム生成異常や運動野の機能低下による運動の大きさの減少、前頭前野の機能低下による遂行機能障害、脳幹の脚橋被蓋核の機能低下による自動的な歩行リズムの生成異常、情動の影響など多要因が関連すると考えられている。

視覚刺激が入力されると、視覚座標に対する運動プログラムが運動前野で生成され、パーキンソン病において障害される大脳基底核や補足運動野を介さず運動が発現されるため、歩行が改善すると考えられている。

すくみ足を呈する患者に聴覚刺激を与えて歩行練習すると、すくみ足の発生確率がかなり上昇し、歩行の安全
性を逆に低下せてしまうことになるため、各患者に適したExternal cue を歩行練習に適用することが重要である。

また、External cue を利用して一定期間歩行練習することにより、External cue が無い状態における歩行速度、歩幅の改善、すくみ足の重症度に改善がみられるが、介入を継続しないと数週間でその効果は消失するとされている。

パーキンソン病患者は内発性随意運動を行う際に重要な、前頭葉から補足運動野や運動前野など高次運動野に運動の企図を伝えるネットワークが機能低下を起こしていると考えられている 。

指導時には動作の大きさに焦点を絞って注意を向けさせて、集中的に実施することにより効果が得られることが報告されており、歩行練習の際には患者が安全性を損なわない範囲で「大きな歩幅」に注意を向けさせるとよい 。

すくみ足を呈するパーキンソン病患者の歩行開始時の振り出し開始側の不一致確率は、すくみ足を呈さないパーキンソン病患者と比較して顕著に高いことが報告されている。

Feedfoward、Feedback 誤差学習は指導の際、患者に自己の体性感覚に注意を向けさせ、意図した運動と実際に生じた運動の誤差を校正させる方略である。

パーキンソン病患者は内発性随意運動の際、基底核と大脳皮質運動関連領域、頭頂葉、前頭葉、小脳とのconnectivity(機能的結合)が低下しているが、小脳と大脳皮質運動関連領域、頭頂葉とのconnectivityは上昇していることが報告されている。

動を発現する際、一次運動野から小脳に遠心性コピー(Feedforward)が伝達され、運動の結果生じた末梢からの感覚フィードバック情報(Feedback)が小脳に伝えられ、自己の意図した運動と運動の結果の誤差信号を大脳皮質の運動関連領域に送り、運動が修正される。

姿勢異常に対して投薬調整や外科治療、理学療法、装具療法などが行われているが、それらの有効性を支持するエビデンスは確立されていない。

近年体幹側屈の姿勢異常を呈する患者と姿勢異常のない患者を対象に、臨床的な方法で前庭機能評価を行った結果、体幹側屈の姿勢異常を呈する患者は傾斜側の前庭機能障害を有することが報告された。

パーキンソン病患者を対象に前庭誘発筋電位を調査した結果、前庭誘発筋電位が一側消失しているものが 37%、両側消失しているものが 7.4%存在することが報告されているが、その結果と姿勢異常との関連については検討されていない。

直流前庭電気刺激(galvanic vestibular stimulation:GVS)は前庭系を刺激し、前後、側方への姿勢傾斜反応を引き起こすことが可能であり、主に耳鼻科検査や神経生理学の研究手法として利用されてきた。

近年、GVS は脳卒中の空間認識障害などに対する介入手段として利用し始められている。

GVS 実施時、電極を隆椎両外側と両乳様突起に貼付し、乳様突起を陰極にすると前方姿勢傾斜を、乳様突起を陽極にすると後方姿勢傾斜を誘発可能である。

先行研究において頸部ジストニアに対して前庭刺激すると、刺激側の頸部屈筋である胸鎖乳突筋の過剰活動が軽減したと報告されている。

(>_<)参考文献

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