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(´・c_・`)慢性肝疾患の話


(~_~メ)題名:慢性肝疾患の話

1)緒言

慢性肝疾患とは、肝組織に壊死がみられ肝機能に障害が認められるものである。発生機序については、わが国ではウィルス性によるものとアルコール性によるものが主なものである。今回、ウィルス性やアルコール性による肝炎から慢性化する肝硬変を明らかにし、慢性肝疾患に対する理学療法、運動療法について考える。

 

2)肝臓とは

肝臓は栄養素の処理、貯蔵、解毒、分解、排泄など極めて多岐にわたる重要な機能を兼ね備えており、中でも生体内中間代謝の中心的役割を果たしている。なお、肝臓の機能は非常に代償性に富み、その3/4~4/5を摘出しても生命を維持しうるといわれ再生能力も高い。しかも肝血流は常時必ずしも平等に流れているものではなく、常に一定の予備力をもっており貯蔵血液の貯留部位でもある。

①体内中間代謝の中心

(1)糖代謝

グリコーゲンの合成、分解、貯蔵を行い、必要に応じてブドウ糖を血流に供給し血糖の調節をはかる。また、アミノ酸、脂肪からの糖新生も行われている。

(2)たんぱく代謝

血漿アルブミン、フィブリノーゲンの生成、脱アミノ基作用、尿素の生成、アミノ基転移反応、アミノ酸およびたんぱく質も合成、貯蔵、放出などを行っている。

(3)脂質代謝

脂肪酸の分解、ケトン体の産生、リポイドの合成、分解作用がある。

(4)ビタミン、ホルモンの代謝

各種ビタミンの活性化、貯蔵、女性ホルモン、抗利尿ホルモンなどの破壊が行われている。

 

②胆汁の生成

肝細胞で胆汁酸を生成し、胆汁の合成を行っている。

 

③解毒作用

有毒物などをグルクロン酸、硫酸などと抱合させ、それを無毒化し、胆汁中に排泄している。

 

④血液凝固作用

プロトロンビン、フィブリノーゲンを生成して、ヘパリンの産生に関与している。

 

⑤血液量の調節

血液を貯蔵し、用に応じて放出し、血液量の調節を行う。胎生期には造血機能があり、成人では抗貧血因子、鉄の貯蔵も行っている。

 

⑥身体防御作用

星細胞など細網内皮系の働きにより赤血球の破壊、ビリルビンの生成、その他身体防御的に働いている。

 

3)慢性肝疾患の各疾患について

 

1.肝炎

ウイルス性肝炎は、A型、B型、C型などに分類される

 

<発生機序>

~A型肝炎ウイルス~

A型肝炎ウイルス(HAV)は患者の糞便中に排泄され、それに汚染された飲食物の摂取により感染する。その潜伏期は約30日で、わが国では3~5日に青少年から40歳くらいまでの年齢層に多く発症する。経口的に侵入したHAVはまず腸管内で増殖し、次いで肝臓内で増殖する。これら肝細胞で増殖したHAVは肝管を経由して腸管内に排泄された後、体外へ出る。HAVは感染細胞内の細胞質で増殖しているが、細胞変性は全く起こしていない。したがって、A型肝炎発症時に観察される肝機能障害はHAV自体による肝細胞変性でなく、固体の免疫反応による感染肝細胞の障害を示唆している。

A型肝炎の診断は血中IgM型HA抗体の検出により確定される。まれに劇症肝炎となるが、大部分は2~3ヶ月以内に完全に治癒する。

~B型肝炎ウイルス~

B型肝炎ウイルス(HBV)は、血液が感染源となる。また、性交渉による感染もありうる。散発性肝炎のほぼ1/3がB型肝炎で、特に25歳~30歳頃の青年層に多い。潜伏期は約1~4ヶ月で、症状出現前から血中HBs抗原が陽性となる。成人での初感染例の大部分は一過性感染で、HBs抗原が陰性化して治癒する。まれに持続感染となり慢性化する。

~C型肝炎ウイルス~

C型肝炎では輸血後発生するものが多く、母子感染や性交渉によるものはB型肝炎ほど多くない。C型急性肝炎におけるC型肝炎ウイルス(HCV)抗体の出現時期は症例によってかなり遅れることがあり、発症も3~6ヶ月後に診断されることが多い。

<急性肝炎の病態>

急性肝炎では、肝細胞は巣状の壊死像を呈し、その部位に短核球の浸潤がみられる。門脈系は拡大し、クッパ-細胞が多く、胆汁うっ滞や肝細胞の再生像がよくみられる。急性肝炎では肝組織壊死の徴候として全身倦怠感、悪心、食欲不振などを訴え、肝腫大や黄疸がみられる。A型肝炎ではほとんどの例で38℃台の発熱がみられる。トランスアミナーゼやLDHなどが最も高値を示し、C型では比較的その上昇は軽い。血清トランスアミナーゼの正常化はA型で最も早く1~2ヶ月であり、B型2~3ヶ月、C型では遷延化するものが半数近くみられる。診断として急性ウイルス肝炎の主要症状は、発熱、黄疸、肝腫大である。

<治療と予後>

安静療法と食事療法が重要である。一般に黄疸が消退するまで安静臥床させる。予後は、劇症肝炎に移行する例の他は、比較的良好である。

~慢性肝炎ウイルスの概要~

慢性肝炎ウイルスは、肝炎ウイルスの持続感染により徐々に進行する肝炎で、急性肝炎から遷延性肝炎、さらに肝硬変に移行する中間段階である。本症の原因はB型肝炎ウイルスによって起こり、A型肝炎ウイルスではほとんど本症に移行することはないといわれているが、一部に自己免疫性のものがある。

<症候と病態生理>

慢性肝炎の症候は、肝組織壊死、間葉系反応、肝腫大、門脈うっ血および肝機能障害の症候からなる。活動性の慢性肝炎では漠然とした倦怠感を訴えることが多い。肝酵素逸脱によりGOT値、GPT値は持続性の中等度の上昇を認める。炎症のため肝は腫大し、肝被膜緊張・伸展により腹痛、肝圧痛を認めることがある。門脈のうっ血が生じ、上腹部不快感、食欲不振、悪心、脂肪嫌悪、体重減少などの消化器症状を示す。

<診断>

慢性肝炎の主要症状は急性肝炎と類似の非特異的症状の肝腫大のみでほとんど自覚症状はない。

<治療と予後>

慢性肝炎の治療には、安静療法、食事療法を行う。慢性肝炎は数年ないし十数年の経過で肝硬変に移行するものがあり、肝硬変になれば予後は不良である。

 

2.脂肪肝

【定義・概念】

正常肝は湿重量で1~4%の脂肪(その2/3はリン酸質)を含むが主に中性脂肪が増加して10%以上になると組織学的にも観察されるようになる。一般的には脂肪滴を含んだ肝細胞が小葉の1/3以上に及んだ場合を脂肪肝とよび明らかな壊死や炎症、線維増生を伴わない病態であり、多くの場合脂肪沈着は可逆的である。

 

概要:脂肪肝は肝に異常に多量の脂肪が蓄積した状態である。脂肪肝の原因は多数あるが、過栄養性、アルコール性、糖尿病性および薬剤性のものが多い。過栄養性、糖尿病性の脂肪肝は肝外から遊離脂肪酸が過剰に流入することにより起こり、アルコール性の脂肪肝は遊離脂肪酸の酸化障害により起こり、薬剤性の脂肪肝はアポ蛋白の合成障害により起こる。

 

頻度:脂肪肝は、普通にみられる疾患である。

 

症候と病態生理:肝内脂肪蓄積によってもたらされた肝腫大の症候、門脈うっ血の症候および肝機能障害からなる。本症で肝腫大が起こると、表面平滑な軟らかい肝を触知する。肝腫大の結果、肝被膜は緊張し、右上腹部痛や肝圧痛を認めることが多い。門脈うっ血により、消化管はうっ血し、食欲不振、嘔気、腹部膨満感を訴える。肝機能検査では、GOT、GPT値の軽度の上昇、ATP値の上昇、γGTP値の上昇、ICG排泄の遅延などの所見がみられる。

 

診断:脂肪肝は、肝腫大と肝機能検査、超音波検査、CT検査からほぼ診断できるが、確定診断は肝生検による。

 

治療と予後:脂肪肝の治療は、その原因を除くことである。薬物、アルコールによる場合は、それらを中止すれば急速に改善される。糖尿病はその治療を行い、肥満は食事療法を行う。

 

3.アルコール性肝障害

【疾患の発生機序】

1.アルコール代謝に起因した肝細胞の生物学的変化

2.アルコールによる肝細胞再生の抑制作用

3.アルコールによる肝細胞の癌化

 

【病態】

アルコール性肝障害(aclcoholic liver disease)は、アルコール常習すなわち長期間にわたる過剰飲酒によって、アルコールの肝障害作用が累積した疾患である。

病型には、脂肪肝、肝繊維症、慢性肝炎、肝硬変がある。脂肪肝は良性であるが、アルコール性肝炎は重症であり、ときには致命的である。大酒家においてさらに飲酒量が急激に増加した際に発症することが多い。典型的組織所見としては、①アルコール硝子体、②好中球浸潤を伴う肝細胞壊死、③肝細胞の風船様変化、④肝繊維化、⑤肝細胞脂肪化などがある。

本症の主症状としては、食欲不振、悪心、全身倦怠感、下痢、腹痛、発熱、体重減少などもしばしばみられる。

 

1)アルコール性脂肪肝

常習飲酒に起因した肝の脂肪代謝障害のため、主として食物中の中性脂肪が代謝されないまま肝細胞内に密着した病態で、禁酒によって速やかに治癒する良性に疾患である。したがって、臨床症状や肝機能検査異常も軽微なことが多い。

 

2)アルコール性肝線維症

常習飲酒によって肝に線維化が生じ、この肝線維化が肝病変の主体として認められる病型で、わが国では比較的多く認められる。飲酒の継続によっては肝硬変へと進展することがあり、中等度以上の肝線維化は肝硬変の前駆肝病変として把握される。

 

3)アルコール性肝炎

飲酒量の増加を契機として、大酒家に急性の肝細胞変性・壊死と炎症反応が生じた病態である。一般に、大酒家は既に慢性飲酒の結果として脂肪肝・肝線維化・肝硬変などの肝病変を多少なりとも持っていることが多いので、アルコール性肝炎は、この既存の肝障害が飲酒量の増大を契機として肝炎型に急性増悪した形、あるいは既存の肝障害に肝炎が加重した形で発症する。肝炎の程度が極めて高度な場合には急性肝不全となり、比較的短期間のうちに死亡してしまう予後不良な病像を呈する。急性肝不全を呈するほど肝炎が高度ではなくても、飲酒の継続によって、ときには禁酒した場合でも肝硬変へと進展してしまうので、アルコール性肝線維症と同じように、あるいはそれ以上に、肝硬変の前駆症状として注目すべき病型である。

 

4)アルコール性肝硬変

アルコール性肝障害の終末像であり、一般に10~20年にも及ぶ慢性飲酒の末に発生する。この発生には、統計学的に積算飲酒量との間に正の相関が認められており、飲酒量が多くて飲酒期間が長いほど本症の発生率は高くなる。

 

【治療】

特に有効な薬物療法はない。したがって、その治療の基本は病型のいかんにかかわらず、発現要因の排除、すなわち、禁酒と過剰飲酒に伴う栄養障害および電解質の補正に尽きる。

1)禁酒:長期にわたって絶対的な禁酒が必要か否かは、肝障害の病型と患者の自己管理

能力によって、多少異なる。免疫学的異常の関与が推定されているアルコール肝炎および大酒家慢性肝炎では絶対的な禁酒が必要である。

2)栄養・輸液:過剰の飲酒によって欠乏しやすい栄養素はビタミンBであり、その経口

投与が必要であるが、脳・神経症状がみられる場合には、活性型ビタミンBの静脈内投与を行う。アルコール利尿などによる脱水に対しては、Mgの欠乏と乳酸の蓄積を防ぐような輸液が必要となる。大酒家では感染防御機構が低下しているので、特に多臓器障害が合併する重症型アルコール性肝炎では、感染に対する対策が重要である。

3)予防:肝障害をきたすアルコールの危険量は男性では、日本酒にして平均6合、安全量は3合であり、女性ではその2/3であるが、安全量以下の飲酒に留めることが肝要である。また、アルデヒド脱水素酵素二活性欠損者では3合以下の飲酒で肝障害が生じうるので、注意を要する。

【治療】

特に有効な薬物療法はない。したがって、その治療の基本は病型のいかんにかかわらず、発現要因の排除、すなわち、禁酒と過剰飲酒に伴う栄養障害および電解質の補正に尽きる。

4)禁酒:長期にわたって絶対的な禁酒が必要か否かは、肝障害の病型と患者の自己管理

能力によって、多少異なる。免疫学的異常の関与が推定されているアルコール肝炎および大酒家慢性肝炎では絶対的な禁酒が必要である。

5)栄養・輸液:過剰の飲酒によって欠乏しやすい栄養素はビタミンBであり、その経口

投与が必要であるが、脳・神経症状がみられる場合には、活性型ビタミンBの静脈内投与を行う。アルコール利尿などによる脱水に対しては、Mgの欠乏と乳酸の蓄積を防ぐような輸液が必要となる。大酒家では感染防御機構が低下しているので、特に多臓器障害が合併する重症型アルコール性肝炎では、感染に対する対策が重要である。

6)予防:肝障害をきたすアルコールの危険量は男性では、日本酒にして平均6合、安全

量は3合であり、女性ではその2/3であるが、安全量以下の飲酒に留めることが肝要である。また、アルデヒド脱水素酵素二活性欠損者では3合以下の飲酒で肝障害が生じうるので、注意を要する。

 

4.肝硬変

【定義】

定義については種々の見解があるが、1956年Habanaの「肝硬変の分類・命名」に関する国際委員会では病理解剖的に次のように定義する。

(1)   肝の全体にわたる、びまん性の線維性変化の存在

(2)   その経過中の一時的における肝細胞性壊死の存在

(3)   結節性の肝実質の再生および肝小葉構造の改築(偽小葉形成)

とくに重要なのは(3)で、炎症後の線維増生から肝細胞の再生をきたし、肝再生結節は周囲組織、血管系を圧迫して、肝内・外の血行動態障害を生じさらに肝細胞壊死を誘うといった悪循環になり肝硬変が成立する。

 

【発生機序】

肝硬変は最初に線維化によって特徴付けられる多くの形態の肝障害の最終段階である。線維化の肝硬変の進行や肝硬変の形態学は、継続的な障害の有無、および肝臓の障害への反応による。肝硬変は障害性の物質よりも、障害の種類やそれに対する肝臓の反応に関係する。肝臓は急激にひどく損傷されたり(肝炎における大量壊死)、何ヶ月も何年にも渡り中等度に損傷されたり(胆管閉塞や慢性活動性肝炎)、軽微であるが連続して損傷されたり(アルコール乱用)する。サイトカンと肝臓成長因子(例、表皮成長因子)は損傷に対する反応をつかさどると推測される。(線維化と再生結節である。)

修復過程において、肝細胞の生き残った結節を囲む線維鞘の中で新生血管が形成される。これらの「橋」は肝動脈と門脈を肝静脈に接続し、肝臓内の循環経路を確保する。こうした接続血管は類洞から血液の供給を受け、比較的容量に乏しく、圧力の高い正常より効率の悪い血流回路で、その結果門脈圧が増加する(門脈圧亢進症)。結節への異常や血流や再生結節による肝内静脈の圧迫も門脈圧亢進症の原因になる。

 

【症候と徴候】

肝硬変はその原因に特異的なある病像(原発性胆汁性肝硬変におけるかゆみ)や主要な合併症生じる。静脈瘤出血を伴う門脈圧亢進や腹水のほか肝不全から腎不全や昏睡を引き起こすことがある。

肝硬変の多くの患者は何年もの間無症状である。一部は衰弱や食欲不振、倦怠、体重減少などの症状を示す。胆汁流出のうっ滞によって黄疸、かゆみ、黄色腫などの症状が目立つようになる。栄養不良は普通にみられこれはあまり食事を摂取出来ない食欲不振、脂肪吸引障害、胆汁分泌の減少による脂溶性ビタミンの欠乏などに続発する。アルコールに関連する肝疾患では、膵機能不全がより重要な要素である。さらに劇的な症状としては、門脈圧亢進による食道静脈瘤からの大量上部消化管出血である。最初の病状発現はときに腹水や門脈体循環性脳症を伴う肝不全である場合がある。

典型的には鈍い縁を有する硬い肝臓が触知されるが、肝臓は小さく触診できないこともある。再生結節はまれにしか触知できない。腹水は門脈圧亢進症、脾腫大、および側副血行路を伴う。その他の臨床症状はアルコール中毒を示唆することがあるが、肝硬変に特異的なものはやい。

 

【治療・予防】

(1)代償期

肝予備能はよく保たれているので、慢性肝炎に準じた生活指導を行う。本症は慢性疾患なので患者のquality of lifeをよく考えて、日常生活における制限は必要最小限とし、できるだけ規則正しい生活、休養、睡眠をとらせるように心がけることが大切である。

食事は、高タンパクでビタミンが多くしかもバランスのよく取れたものとし、あまり制限を加えない方がよい。もちろんアルコールや過度の刺激物の摂取は厳禁すべきである。特に、GOT、GPTの高くない場合には、薬剤の投与は必要ないが、本症は慢性進行性の疾患であり、癌化のおそれもあるので定期的に通院させ、肝機能検査や腫瘍マーカー、超音波・X線CT検査などをチェックする必要がある。

(2)   非代償期

黄疸、腹水、肝性脳症などの出現する非代償期では慎重な対応が必要である。肝の実質障害が進行した為肝予備能も低下し、肝血流量も減少し、安静が必要となる。特に食後の安静が大切である。塩分は浮腫・腹水の貯留を増強させるので、過度にならないよう制限する。高タンパク食も肝性脳症の原因となるので注意すべきであり、タンパクの制限とともに、便通を整え、ラクツロースの投与などが行われる。また浮腫・腹水に対し、各種の利尿剤の投与も行われ、低アルブミン血症に対してはアルブミンの補給が有効である。

 

【合併症】

肝硬変の多くの重篤合併症は門脈圧亢進に続発し、門脈圧亢進によって門脈系から体循環への側副血流の増加をきたす。門脈圧亢進は脾腫大と関連し、そのため脾機能亢進と関係する。

また、食道と胃粘膜下の側副循環の発達は静脈瘤を形成する。食道静脈瘤の頻度は低いが異静脈瘤は特に出血しやすくしばしば大量出血となる。他の合併症としては、動脈血中酸素飽和度低下を伴う低酸素血症がありこれは肺内短絡血管、換気と循環のアンバランス、酸素拡散能力の低下に続発する。さらに黄疸、腹水、腎不全、肝性脳症は、門脈圧亢進症、門脈―体循環シャント、その他の循環障害、および肝の代謝によって進行する。最後に肝細胞癌は慢性B型肝炎やC型肝炎ウイルス、ヘモクロマトーシス、糖尿病に関係した肝硬変にしばし合併する。

 

(1)消化管出血

出血原がどこかを確認し、出血程度の確認とショック対策を行う。

(2)腹水

腹水治療の基本は、安静と食事療法である。食事はナトリウムの制限と高タンパク食とが基本で、水分摂取の一日1000ml以内とする。また、血清アルブミンは原則として3g/dl以上になるように保ち、体内カリウムの動向にも注意する。

(3)肝性脳症

予防には、軽度の脳症時には食事のタンパクを0.5kg/日程度に制限する。できるだけ植物性タンパクを与える方が良い。また、筋の萎縮でアンモニア代謝の異常をきたすおそれもあり、過度にならない程度の軽い運動も必要といわれる。

 

4)慢性肝疾患の運動療法

慢性肝疾患患者の運動時の肝血流と運動許容量

1、なぜ慢性肝疾患で運動が問題となるか

肝細胞の活性化と代謝の促進、病態の進行防止には肝血流量が大きく関与しているといわれている。従来より、運動負荷により腹腔内実質臓器の血流量は減少するといわれてきた。運動することにより心臓や末梢、とくに骨格筋などでの血流の増加が必要となり、その供給源としての血液プールである肝、脾、腎などの血液は減少すると考えられている。そして、その減少によって大きな影響を受けることは容易に推察される。慢性肝疾患における肝血流において考えると、慢性肝疾患の病態として最大の特徴は、肝組織の線維化である。この線維化が進行することにより、病態は慢性肝炎から肝硬変へと進行する。これを肝血流の面からみると病態の進行に伴って肝血流量は減少する。とくに肝硬変での肝血流量の減少は著名である。以上のことより、ただでさえ血流量が減少している慢性肝疾患症例への運動負荷などはもってのほか、ということが常識であった。

2、運動負荷により肝血流量は増加するか?

もしここに、運動により肝血流量は減少しないばかりか、かえって増加するという事実が示されたらどうであろう。症例はかなり進行した肝硬変患者である。肝血流量は有効肝血流量をよく反映するとされているインドシアニングリーン(ICG)を使用して比較している。ICG試験は通常の方法で行われており、15分血中停滞率と血中消失率で比較している。運動負荷はマスター2階段法3分間とし、その前後のICG試験で比較している。その結果は、負荷前の15分血中停滞率53.6%に比べて、負荷後の15分血中停滞率42.5%と低下している。血中消失率は0.039に比べて0.057と上昇した。これは負荷後にICGが改善していることを示している。

3、運動中の肝血流量は減少する

運動は自然歩行速度(60m/分)とし、運動の前に通常のごとくICG試験を行い、続いて歩行開始後15分してから歩行しながら再びICG試験を行っている。ICGは歩行前は15分血中停滞率8.0%、血中消失0.20、歩行中は15分血中停滞率12%、血中消失0.15で、歩行中のICGは悪化している。つまり、歩行中の肝血流量は減少したことになる。

4、運動後の肝血流量は増加する

運動と肝血流量の関係は、安静時から運動の最中、そして運動終了から再び安静へ、という一連の流れの中でとらえなければならないと考えられる。この実験では、健常人にICG試験を行い、5分ごとに採血し60分まで観察している。同時に十二指腸ゾンデで胆汁を採取し同様に観察している。この間、ICG注入後30分で運動負荷(マスター2階段法3分間)を行っている。血中のICG消失曲線は、30分以降は破線のごとく予測される。しかし、運動負荷を行うと、その消失曲線はずっと下方へ急速に下降している。これに対応するように、胆汁注のICG濃度は、運動負荷直後より急速に上昇している。

5、運動による肝血流量ダイナミズム(仮説)

以上の結果から、運動と肝血流量の動態について次のような仮説が考えられる。肝血流量は健常成人で安静時1~1.5l/分と安定している。しかし、ここに運動がいったん負荷されると肝臓の血行動態に大きな変化が生ずる。まず、運動が開始されると肝血流量の減少がはじまる。これは時間とともに大きくなる。そして、ある一定限度で平行なる。運動強度が強いほど、最低流量もさがる。次に運動が中止されると、肝血流量は速やかに増加へと転ずる。そしてなだらかに安静時へと回復する。運動強度が強いと、運動中止直後より肝血流量は急激に増加し、回復も遅延する。この機序の解明の1つとして、血管作動性物質であるノルアドレナリンとアドレナリンを歩行前、20分歩行直後、30分歩行直後で測定したところ、ノルアドレナリンが歩行直後に上昇している。この一連の変化にノルアドレナリン分泌が関与していると考えられる。

6、慢性肝疾患に対する運動の影響

恒常的に肝血流量の減少している慢性肝疾患症例への運動療法を考えてみる。まず、運動中(歩行に20分)では、15分血中停滞率で有意に悪化した。ICG15分血中率が20%以上でとくにめだつようである。次に、運動負荷(マスター2階段法3分間)では、運動後にICG血中消失率が有意に改善した慢性肝疾患症例でも、健常者と同様な結果を得た。病態による差を考えてみる。ICG15分血中停滞率が20%以下と20%以上の2群に分けてICG試験を比較すると、20%以下の群では、歩行前後でICG値に差はなかったが、20%以上の群では、15分血中停滞率、血中消失率ともに有意に改善していた。つまり、病体が進行している症例ほど、運動後の肝血流量の増加が大きいことになる。

7、重症肝硬変症例への運動は不可

ICG15分血中停滞率が20%以上の場合の運動直後の肝血流量の増加を考えてみる。ICG15分血中停滞率が20%以上は重症の肝硬変と考えてよい。こうした症例に運動負荷による肝血流量の大きな変動、とくに運動直後の急激な肝血流増加の影響について次のように推察してみる。病的細胞では血流の増加は細胞の仕事の量をその細胞がなしうる仕事の量以上に増加させることになり、その結果細胞は疲労し、その機能は低下して疾患を誘発する。この意味では、肝硬変で肝血流量が減少しているのは生体がもっている合目的性と考えられる。このような状態にある重症肝硬変に、その残存能以上の課すること、すなわち肝血流量を増すことはむしろ病態の悪化をまねくことになると考えられる。

8、慢性肝疾患への運動許容量

ICG15分血中停滞率が20%以下の症例では、慢性肝疾患でも健常者と同様な運動による血行動態を示すと考えられる。慢性肝疾患の場合、恒常的に肝血流量は低下しているのであるから、運動中の肝血流量は健常者よりもさらに低下する。つまり、同程度の運動負荷であっても肝血流量の低下は大きくなると思われる。しかし、一般的に歩行程度であれば、運動中の肝血流量の低下はそれほど大きいとは思われない。むしろ、運動後の肝血流量の増加を有効に利用できれば、肝の再生、活性化に有利に作用しうると考えられる。具体的には食直後は20~30分程度の安静とし、食後2~3時間後に運動として自然歩行速度(60m/分)で20分程度を毎日行う。そして、重要な点は運動後30分程度の安静臥床が必須であることである。

5)肝機能障害のリハビリテーション

肝血流量は肝疾患で減少する。また、臥位に比較して立位では肝血流量が20~30%減少する。したがって慢性肝炎においては明瞭な肝機能検査の異常があるのでその増悪をきたさないような活動度の制限が必要である。そしてもしGOTの正常値10~40U、GPTの正常値5~35Uに対し、それぞれが300Uを超える場合、また2ヶ月以上にわたり200Uを超える場合には入院の上、積極的な治療を試みる。慢性肝炎の社会復帰は慎重に進め、100%難務に復するには1ヶ月以上をかける方が安全である。肝硬変例では、健常者や慢性肝炎のように立位にすることによる肝血流量の低下は見られないと報告され、むしろ立位から臥位にすると門脈圧は上昇する。

肝機能に及ぼす運動の急逝の影響は少なく運動による肝機能の悪化の有無について一致した結果は得られていない。しかし肝機能障害における運動機能については代謝的変化や呼吸・循環の異常から著しい低下が認められる。肝硬変では運動により増加する乳酸の処理能が不十分であり高乳酸血症が著しく、また肝および筋のグリコーゲン蓄積も低下していることなどから運動能の低下をある程度説明できる。また、左室の拡大など心臓自体の障害も見られることが多く、さらに合併しうる貧血などの影響も加わって運動能が低下すると考えられる。

日常生活指導は、慢性肝疾患においては過度の運動によって肝機能の再悪化を招くことがあるので日常生活活動の制限が必要である。一方で肝硬変でも数年~十数年生存する例もあるため必要以上に制限を設けることはQOLを著しく低下させることになるため、病態を進行させない範囲で生活活動を充実させるような指導が必要となる。しかし、現在はその程度を判定できるものがないため症例ごとに経過を重視しながら指導する。

食事指導は重要で最近のわが国の栄養調査によると日本人の蛋白摂取量は平均1日あたり80g、そのうち動物性蛋白は50%以上とされ、一般的にはこの程度の蛋白が適切と考えられる。総カロリーは40~50Kcal/㎏までは良いとされているが、過食になると余剰のエネルギーは脂肪に変換されて肥満や脂肪肝の原因とされるため、仕事の変化もみながら不足にならない程度の食事量を指示する。脂肪は特に制限せず、植物性脂肪を主にしたビタミンを豊富に含んだ内容とする。

非代償性肝硬変に対しては、高蛋白食を控えて1日40g程度の低蛋白食とする。また、腹水、浮腫の予防、改善のためには1日7g程度の食塩制限を指示する。禁酒が原則でこれはアルコールの肝臓障害の増悪を防ぐだけでなく、食堂や胃粘膜に対する直接刺激作用で食道静脈瘤が破裂することを予防するためでもある。

 

6)まとめ

慢性肝疾患となるウイルス性肝炎には、血液感染・性交渉によるB型と、輸血によるC型肝炎がある。どちらも遷延化し、慢性肝疾患の最終像である肝硬変になりうる可能性がある。また、アルコール性では、アルコールの過剰摂取により脂肪肝を招き、アルコール性肝障害から肝硬変となる。

これらに対しての理学療法として、運動療法と生活指導が考えられる。運動療法では肝細胞の再生を目的とし、適切な負荷を与え血流改善を図る。この再生が望めない場合は、病態の悪化を招くと考えられるため適応とはならない。日常生活指導では、主にQOLを低下させない程度の活動制限と、体重の変化を考慮しながらの食事療法などを行うべきである。

(^J^)参考文献

医療学習レポート.慢性肝疾患


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