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(´・c_・`)脳血管障害と高次脳機能障害の話


( ̄▽ ̄)題名:脳血管障害と高次脳機能障害の話

●脳血管障害における高次脳機能障害の出現頻度、経過、回復

高次脳機能障害として認められた症状は、注意集中障害、保続、運動維持困難、半側空間無視、記憶障害、失語、病態失認、痴呆、顔面失行、観念運動失行、観念失行、構成失行、着衣失行などである。優位大脳半球の障害では、失語、構成失行、顔面失行、観念運動失行、着衣失行がおおい。劣位大脳半球の障害では、痴呆、半側空間無視、注意集中障害が多く認められた。

注意-2つの注意《汎性注意と方向性注意》

高次脳機能障害の臨床症状を理解するには、注意という概念を理解することが重要である。

 

A.汎性注意とその障害

汎性注意とは、外部からの環境刺激に煩わされることなしに、その状況で特定の意味のある刺激に注意を向け続ける能力をさす。

・脳の機構

基礎的な覚醒状態を支える脳機構は上行賦活系で、中脳と橋の被蓋部にある脳幹網様体に発し、視床投射系を経て大脳皮質にいたる。一方、この上行賦活系の活動レベルは新皮質や大脳辺縁系からの入力を受ける。

汎性注意に関与する脳機構は十分には明らかにされていない。上行賦活系と皮質性調節系の間のバランス、すなわち全脳の統合的な活動と考えられる。

・汎性注意障害の臨床像

汎性注意に障害のある患者は、周囲に生ずる音や出来事などのすべてに注意を惹かれてしまう。したがって、選択的な対称に注意を維持できず、この状態を注意障害状態を呼ぶ。

 

B.方向性注意とその障害

・方向性注意とその脳機構

汎性注意は周囲の環境のさまざまな事項のなかから必要な情報を取り出す機能であるが、これは別の刺激の空間的な位置に対して向かう、方向をもった注意であり、方向性注意と称されている。

この機能は4つの脳の領域がnetworkを構成して働いている。すなわち、下部頭頂葉は反対側空間の知覚入力の統合を司り、帯状回は反対側空間に対して常同のほうづけを行う。さらに、前頭葉は反対側での運動出力の統合、網様賦活系はこれらの3つの町域を賦活する覚醒的基盤をなしている。

・半側空間無視、方向性注意の障害

半側空間無視とは、大脳半球損傷の反対側の刺激に応答しない、そちらに向こうとしない現象で、通常右大脳半球病変で現れる、患者は環境のなかで左側のものに気づかないという症状を呈する。半側空間無視はかつて『半側空間失認』として視覚失認の中に含められて論じられていたが、最近では失認概念から外され注意(方向性注意)の障害と考えられている。

半側空間無視のメカニズムとしては、①要素的障害説、②注意覚醒障害説、③一側性hypokinesia説、④心的マップ障害説、⑤記憶障害説などがある。

 

●記憶

記憶とは「後に想起するために、体験や認知したものを蓄える過程」と定義される。

 

A.臨床解剖学的事項

1)短期記憶と解剖学的背景

短期記憶には意識・注意障害や復唱障害を伴う失語で障害される。短期記憶には脳幹網様体及び周sylvius言語領野が関与する。

2)長期記憶と解剖学的背景

長期記憶に関与する脳部位は、①海馬を中心とした内側側頭葉、②視床背内側核、乳頭体視床路などの間脳、③前脳基底部、が重要である。この他にも脳弓、帯状回も重視されている。

 

●失語症

失語症の定義

失語症とは、正常な言語機能をいったん獲得した後、なんらかの原因で大脳半球の限局された器質的病変を起こし、その結果として言語表現(口頭言語、書字言語)の理解と表出に障害をきたした状態と定義される。さらに失語症では言語4様式(聞く、話す、読む、書く)がすべて多少とも障害され、この障害の質と程度の差、及び原因となる器質的病変の部位によって、失語症状の多様性が出現する。

 

失語の脳病変

・左角回:異種感覚連合において重要、ことに書字言語処理における視覚―聴覚連合。

・Broca領域:限局的病巣では軽い構音障害のみで、いわゆるBroca失語は生じない。

・弓状束:Wernicke領域より上縁回皮質下を経てBroca領域へ至る線維束、伝導失語の責任病巣とされるが異論もある。

・左視床:この病変による失語の報告もある。左VL核と視床枕の一部は言語活動に関与している。

・左前大脳動脈領域の硬塞で超皮質性失語が生じたと報告がある。

 

失語症の言語症状

1)発語の障害

構音または音素産生の障害 喚語障害 統語障害 錯語 復唱の障害

2)聴覚的言語理解の障害

3)書字言語の障害

書字の障害 読字の障害

4)その他の言語症状

流暢性 聴覚性把持の障害 言語保続 自発性発語と随意的発語の解離 反響言語

 

失語症の分類

病型

自発性言語

復唱

言語了解

文字了解

音読

自発書字

書取

運動性失語  (表出性失語)

ブローカ        (皮質性運動性)

×

×

×

×

×

純粋性運動性     (皮質下性運動性)

×

×

×

感覚性失語  (受容性失語)

ウェルニッケ      (皮質性感覚性)

語健忘    保続、錯誤錯文法

×

×

×

×

錯書

×

純粋感覚性      (皮質下性感覚性)

×

×

×

全失語

×

×

×

×

×

×

×

伝導性失語

錯誤

×

錯読

錯書

錯書

健忘性失語

語健忘

超皮質性失語

超皮質性運動失語

×

超皮質性感覚失語

錯誤

×

×

錯読

錯書

 

●失行症

失行症とは運動麻痺、運動失調、不随意運動など、いわゆる運動障害がなく、しかも行うべき動作とか行為も充分分かっているのに、これを行うことができない状態である。

1.観念運動失行

言語命令に応じて、通常は実行可能な社会的習慣性の高い、対象のない運動行為(身振り、ゼスチャー、パントマイムなど)を行うことの障害

優位半球の頭頂葉下部の広範囲な障害によって起こる。

2.観念失行

日常使い慣れた物品を正しく使用して運動行為の障害

優位半球の頭頂葉を中心とする広範囲な病巣による

3.構成失行

部分的要素を空間的に配置して、まとまりのある形態を構成する能力の障害。優位半球障害型(おおきな構成は良いが細部を誤る)と劣位半球障害型(細部は宵がおおきな構成を誤る)とを区別する。

優位半球の頭頂葉-後頭葉の障害で起こる。

4.顔面失行

意識的に眼の開閉、口の開閉、そのほかの顔面の運動を行うことができない失行。

左右いづれの運動領息(中心前回、ブロードマン分野)の障害で起こり、病巣と反対側の失行を認める。

5.着衣失行

衣服の着脱に関して出現する失行。衣服の前後、表裏を間違えたり、上衣に足を入れたりする。

劣位半球頭頂葉-後頭葉の障害によって起こる

 

●失

意味を取り去られた正常な知覚である。また、感覚を通して呈示された物品の認知障害であり、感覚障害、知能障害、意識や注意の障害、未知性などに帰することができないものである。失認は、物品の認知が障害される感覚様式によって、視覚失認、聴覚失認、触覚失認などが生じるほか、相貌失認のようにカテゴリー特異的なものも起こりうる。

 

1.視覚失認

視覚刺激を知覚できるが意味を捉えていない状態が視覚失認ということになる。要素的な視覚、すなわち視力と視野は、少なくとも視覚対象の認知に十分なだけ保たれていることを要する。また、知能障害、失語はないか、それが原因とは考えられない程度の障害でなければならない。

視覚失認は統覚すなわち形の知覚の段階の障害と考えられる統覚型視覚失認と知覚された形と意味との連合障害と考えられる連合型視覚失認に分けられる。

視覚失認検査

a)物体の視覚認知

失語症の呼称検査に用いるような十分な数の物品と線画(できれば物品の写真もあるとよい)を用意する。これらの視覚刺激に対して、呼称ができるか、使用法をジェスチャーで示せるかを調べる。後者では、物品を実際に持たせてはならない。呼称ができない時に、使用法を口述させる検査も参考になる。

呼称とは反対に、検者が物品名を口頭で与えて、複数の物品または線画の中から選ばせるポインティングも実施する。

物品のカテゴリー化の検査を行う。すなわち物品の上位概念(例えば、犬や猿に対する動物など)、用途(例えば、紙と鉛筆のような筆記用具)といった意味的カテゴリーにしたがって、物品を分類する能力を調べる。

b)相貌認知

相貌失認を合併することが少なくないので、少なくとも熟知相貌について、家族の顔や有名人の顔写真の認知を調べておく。

c)知覚レベル

視力と視野検査を行う。前者では、失読のため文字が読めない場合には、ランドルト氏環などを用いる。また、図形や線画の模写を行う。物品または線画の対の異同弁別、複数の選択枝から目標刺激と同一の物を選ぶマッチングを実施する。色についても、色名呼称、色名に対する色のポインティング、色盲検査などを行う。

d)非視覚性の認知

目隠しをして、呼称に用いたのと同様の物品を持たせて、触覚性の呼称ができるか調べる。

 

統覚型視覚失認

a)症状

視力と視野が正常ないしは適切に保たれているにもかかわらず、単純な視覚刺激の形の識別ができない病態であり、それが何であるかを認知できないばかりでなく、視覚対象のマッチング、異同弁別、模写も障害されている。

b)原因

もっとも多いものは一酸化炭素中毒である。このほか、水銀中毒、頭部銃創、Schilder病の疑いなどが知られている。病巣は、たいてい後頭葉周辺をびまん性に損傷している。脳血管障害ではまれであり、発症当初、統覚型視覚失認を呈しても、視覚対象のマッチングが改善し、連合型視覚失認に近くなる場合が多い。

 

連合型視覚失認

a)症状

物品の形態に関する視知覚が十分に保たれているにもかかわらず、その物品が何であるか認知できない状態である。物品の形態の知覚ができていることについては、対象の模写(主に図形や線画の模写)ができること、一対の対象の異同弁別をはじめとする知覚内容の表出が可能なことによって調べられる。

b)共存ないしは合併する症状

連合型視覚失認の患者は、純粋失読と相貌失認の一方または両方を伴っていることが多い。

c)病巣

両側の側頭-後頭葉病巣による症例がもっとも多い。視放線と後頭葉の内側面の一次視覚野は、少なくとも物品を認知するのに必要な範囲の視野を残す程度に障害を免れている。右同名半盲例が多いことから考えれば、左側病巣の方が優勢である可能性がある。

 

2.相貌失認

熟知相貌の認知障害を中核とする症状である。発症前によく知っていた顔を見て、誰だか分からず、知っている相手かどうかの判断も基本的にできない。名前はもちろん言えない。配偶者、親、同胞、子供などの近親者の顔の認知も障害され、鏡に映った自分の顔がわからない場合すらある。しかし、声を聴けば誰だかわかり、また、髪型、ほくろ、ひげ、あるいは衣服などの特徴から、同定が可能な場合がある。

検査

家族、知人について衣服や髪型などの手掛かりを与えないように配慮し、また、声を出さずに認知できるか調べる。状況判断が可能なことも多いので、いつもと違う部屋を使うなど、日常と異なる条件にすると、症状を明らかにできる場合がある。

a)病巣

右後頭-側頭葉接合部の内側が重視されている。

 

3.聴覚失認

両側側頭葉損傷後に起こる聴覚的認知障害としては、純音を含む重度の聴力低下を示す聾に近い状態から、音は聞こえるが言語音、非言語音(環境音)、音楽のうちの複数または、まれに1つ範疇の音がなんであるかわからない場合まで様々な病態が生じうる。また経過とともに改善し、限られた範疇の音に障害が限局してくる場合がある。純音聴力の損失が軽度であるにもかかわらず、言語音と非言語音の両者が障害される場合を広義の聴覚失認と言い、言語音の障害はないか軽微であるのに非言語音(環境音)が障害される場合を狭義の聴覚失認という。

 

(1)狭義の聴覚失認

a)症状

非言語音(環境音)の認知が障害されているが、言語音の認知は良好で聴覚的理解や復唱が保たれている状態をいう。発症初期から非言語音のみの障害を呈した例は極めて少なく、言語音を含むより広範な聴覚認知障害から移行した例もある。

検査

非言語音認知の検査は、様々な環境音(例えば、電話が鳴る音、救急車のサイレン、列車の音、動物の鳴き声、楽器の音など)を録音したテープを聞かせて、それが何の音か口頭で述べさせるか、絵の選択肢の中から選ばせて実施する。後者の場合、絵の認知に問題がないことを確認するために、絵自体の呼称と単語を与えた場合の選択肢が可能であることも調べておく。

b)病巣

右一側病巣では、部検で縁上回を中心とし上側頭回と角回におよぶ梗塞巣が確認された例と、上側頭回下半から中側頭回上半の出血例が画像診断上確認された例などがある。なお、右側頭葉および頭頂葉を含む病巣にもかかわらず聴覚失認を呈さない症例がむしろ多いと考えられ、病巣から症状を予測することは難しい。

(2)広義の聴覚失認

a)症状

非言語音(環境音)と言語音の両方の認知が障害されているが、純音聴力や文字言語理解は保たれている状態を言う。狭義の聴覚失認と純粋語聾が合併した混合型であり、いずれか一方が独立して起こる場合よりも高頻度にみられる。

b)病巣

脳の側生化の異常がない限りは、両側性である。両側上側頭回を中心とし一部頭頂葉を含む病巣が多いが、両側の皮質下で聴放線を損傷している例もある。

 

●保続

保続症と定義される領域は多様であり、広義には、思考や行動などの繰り返し現象一般をさすが、すでに終了している思考や行為が、次の新しい刺激に対して生じる場合にのみ限定して使用される場合がある。

 

●運動維持困難

目を閉じる、舌を出す、口を開けるなどの動作をいったんは行うことができるにもかかわらず、その状態を保持する事が出来ずに直ちに戻ってしまう病的現象。

日本では、運動維持困難は動的状態の維持困難をイメージされる

病巣部位:右大脳半球の頭頂葉、前頭葉など

 

●病態失認

半身無認知あるいは半側身体失認

自己の半身の実在の無認知症状である。

1)意識される半身無認知

身体の半身喪失感をさす。頻度は少なく、「手がなくなってしまった」「手がどこかへ行ってしまった」などと訴える。症状は一過性あるいは発作性である場合が多い。身体側は左右同等に見られる。

病巣部位:皮質下、視床VPL核

2)意識されない半身無認知

a)古典的半身無認知

体性感覚障害を伴う半身無認知である。半身を自発性に使用しない。患側で行うべきことを健側で代用してしまう。

症状は一過性ではなく、数日から数週間持続する。

b)運動無視

体性感覚障害を伴わない半身無認知である。運動障害があっても軽度なのに、患側視の不使用、低使用がみられる。言葉による励ましで改善する。

頭頂葉病変が多く、頭頂葉、皮質下病変でもある

 

●片麻痺無認知

1)片麻痺無関知

麻痺の存在を無視するわけではないが、麻痺に無関心でなんら重きをおいていないように答える。

2)片麻痺無認知

最も一般的で、良く知られている状態である。患者は片麻痺に気づいていないように見える。「手足は動きますか」などと聞くと「動きます」「どこも悪くありません」などと答える。麻痺を見せ、麻痺していることを示しても積極的に麻痺を否認する。

 

●高次脳機能障害に対しての評価

半側空間無視

模写試験:手本の図をできるだけ同じようになるように書き写す

線分抹消試験

 

運動維持困難の評価法

運動維持困難診断のためのテストと判断値。2個以上で異常と判断した場合は運動維持困難とする。

2~3テストが異常:moderate MI

4テスト以上が異常:marked MI

テストの種類 異常の判断基準
舌出し維持テスト(閉眼状態) 20秒ずつ2回行わせて、1回でも不完全な場合
横向き維持テスト(知覚検査時) 左右の手につき2回ずつ行い、一度でも横向きの維持ができない場合
舌出し維持テスト(開眼状態) 閉眼時テストと同様
開口保持テスト(開眼・閉眼状態) 閉眼、開眼状態で、それぞれ2回、20秒ずつ行わせ一度でも不完全な場合
閉眼維持テスト 2回行わせ、いずれかが15秒以内の場合
正中凝視維持テスト(視野検査時) 左右それぞれの視野検査時に側方凝視維持テストと同様に判定
発声維持テスト 「あー」と言わせて13秒以上続けて発生できない場合
側方凝視維持テスト 左右それぞれ30秒ずつ3回実施し、1回のみ維持できないものをslight、2回以上できないものをmarkedとする。Markedないし2方向ともslightを異常とする
握力計保持テスト 20秒間握力計を5kgになるように握らせて、この間に3回以上力を抜いた場合。

 

注意障害の評価

1)観察

患者の全般的注意深さにかかわる最も有効な臨床的な情報は、単に患者の口道を観察し、検者と対しているときの注意散乱性または困難の徴候を何か見つけることにより得られることが多い

2)病歴

患者は、自分の仕事やその他の日常的用事に対しては注意を集中することが困難である場合でも、自分が困っている問題については検者に話すことが出来る。集中力や注意を持続する能力に関して簡単にテストしてみることで、明確な情報を得られることもある。

3)数字の復唱

「今からいくつかの数字をいいますから、よく聞いて、私が言い終わったら、私が言ったとおりに同じ数字をいってください」と話す。

1秒間隔にひとつの割合で数字をいう。

採点

平均的知能を有する患者は、5~7つの数字を苦もなく正確に復唱できるが、明らかな失語がなく、知能低下のない患者で、5個以上の復唱が出来なければ、注意障害が示唆される。

 

失行症の検査

1)自分の身体を使って簡単な運動なり動作をさせる

肢節運動失行

・手指失行:手指の屈伸、箸を使うなどの手指の微細な動作

・顔面失行:閉眼、開口、舌を出すなどの顔面の動作

観念運動失行

ジャンケンのチョキの手つきや、影絵でキツネをまねさせる。

このような単純な動作が口頭命令や模倣ではできないが、自発的運動は保たれている。

2)日常品の使用

観念失行:マッチとタバコを渡して火をつける動作をさせる、吸う動作などをさせる。日用品の使用動作手順の企画が困難になる状態。

3)構成失行症の有無

鉛筆で紙に絵を書かせる。三角、四角、円など単純なものなどから、船、家の絵などを書かせる。このような構成機能が障害される。

4)更衣失行の有無

衣服を着せたり、脱いだりする動作を観察する。介助をさせずに、その動作を観察することが大切。

 

失行の評価における誤反応

①形をなさない無意味な運動

②運動が大まかになったり下手になる

③意味のある運動の変わりにほかの意味のある運動をする

④一続きの運動で、その部分高位の順番を間違えたり、省略したり、物品との関係を間違えたりする

⑤前の運動の保続。保続の構成要素が新しく現れた運動と融合して雑種的な運動となることがある。単に保続のみの場合は失行とはいえない

⑥運動が全くほかの筋肉に現れる

⑦運動が中断したり、途方にくれる。ただし、この反応しかない場合は失行とはいえない

 

記憶障害の評価

初診の際には、通常の神経学的診察に加え、行動観察、家族や他のスタッフからの上方を聴取しなければならない。

一般に新しいことを学ぶ必要のある事柄や予期せぬ出来事への対応、複雑で高度な活動などで障害が明らかになる。

 

スクリーニングから精査へ進む手順

1)検査の前に

標準化された検査は、いつでも、誰でも、均等な条件で症状を評価できる。年齢ごとに標準値が定っているので、定まった検査結果がどの程度の障害があるかについて把握できる。適切な評価を行うには適切なバッテリーを選択する必要があり、対象患者を見てから評価の目的にあったものを選択する。

2)スクリーニング検査

MMSEや長谷川式簡易知能スケールなどがよく使われる。これらはベッドサイドや日常診療の合間に行う簡便なテストで、スクリーニングとして用いられるため、これらで以上が見られた場合は詳細な評価が必要である。

3)記憶障害の検査

Auditory Verbal Learning Test(AVLT)と三宅式記銘検査がしばしば使われる。

 

●高次脳機能に対するアプローチ

注意障害に対するアプローチ例

APT修正版

(1)Sustained attention

①数字抹消課題(乱表から標的数字を線で消す)

②数字系列課題(100から順に1桁の数字を足し算あるいは引き算する)

(2)Selective attention

①図形抹消課題(標的図を線で消す)

②数字抹消課題

(3)Alternating attention

①図形抹消課題

②数字抹消課題

③奇数、偶数抹消課題

④足し算、引き算課題

⑤[高]、[中]、[低]課題:[高]、[中]、[低]とう3つの語が、位置的にも    高い、中間、低いの3つの異なる高さに配列されている課題用紙を用い、書かれている文字を(位置に関係なく)そのまま音読するか、文字に関係なく文字が配列されている[高]、[中]、[低]で答える。

⑥漢字、平仮名課題:「漢字」「かんじ」「平仮名」「ひらがな」の4種類の文字がランダムに配置された課題用紙を用い、書かれている文字をそのまま音読するか、文字に関係なく、漢字体で表記されているか、平仮名体で表記されているかを答える

 

半側空間無視に対するアプローチ例

①10個のお手玉を患者の正中線上に中央がくるように横一列に並べておく。これらのお手玉にはあらかじめ、右からあるいは左から順に、口頭で番号を付けておき、患者が復唱できることを確認する。練習課題として、訓練者が口頭で患者のペースに合わせて30個正解するまで実施。

次に、2秒に1語の割合で1~10間での数字をランダムに60個録音したテープを聞かせ、数字の番号に該当するお手玉を順に指で指すようにする。

効果:訓練前の正解率は40%であったが、80%に改善。

②プリズム課題

右7度偏光のプリズム眼鏡を装着し、テーブル上正中位の棒をみながら、テーブル下正中位の棒へリーチ動作を50回行う。

③ロッド課題

正中位より右方向へ6cm平行移動させたテーブル上の棒を見ながら、テーブル下正中位の棒へ、リーチ動作を50回行う。

 

更衣失行に対するアプローチ例

前開きシャツ自立を促すために・・・

次のように順序だてて行う。

①シャツの袖の左右の位置を本人が確認できやすい場面を設定する。

(ベッド上に前開きシャツを左右、前後、表裏が判別で着るように大きく広げ本人が十分に各々の位置が確認できるようにセットされる。

②麻痺側から袖を通し、肩口まで十分に入れることに留意させる。

感覚賞がある為患側手の袖の状態がわからなくなり、健側手を入れた際に、観測手の袖が抜ける可能性がある為、患側の手首や肘部のみならず、肩口まで十分に通す必要がある。

③ ②に続きさらに、襟部を離さずに健側に寄せる。

④ ボタンをつける際、鏡を見ながら上下のずれに注意する

⑤ 間違えたら最初からやり直す。

 

観念失行に対するアプローチ例

ADL獲得を主目的に・・・

①症例ごとにIAによる障害レベルを把握する

②IAによって生じる障害、今、何が、どうしてできないのかを本人及び家族に対して十分説明をし、不可能な動作の強制は絶対しない

③平易度を利用した環境整備

より容易なADLの提供

例)スプーン・フォークが使えない場合、主食をおにぎりにするなど

できない動作の回避、介助

例)ナースコールの使用は特に困難であるため、頻繁に声をかける。衣服は自力で行い、ボタン賭けのみ介助する

④ ①~③を継続し、ADL能動性がアップしたら平易度の高い動作からデモンストレーションを繰り返し行い、視覚的学習を促す。そして、その動作のニードを感じられる環境設定をする

 

記憶障害に対するアプローチ

1.直接的治療介入

障害された機能を反復練習する治療介入である。当該機能を実現していた損傷神経回路を連続的に刺激・賦活することで、神経細胞の軸索の再生や発芽を促し、神経回路を再形成して、障害機能を直接的に回復する

2.代償的治療介入

機能障害による能力低下を、障害機能と健常機能を組み合わせて統合して、当該脳直を達成する治療介入である。神経構造上は、損傷された神経回路に健常な神経回路を介在させ、神経回路の再組織化による機能編成を通じて、障害前と同等の機能や能力を達成する。

3.補滇的治療介入

機能や能力の回復や代償が困難あるいは限られるとき、外的な補助手段を導入が必要となる。器具や道具など何らかの補助手段を利用して、障害された機能や能力を補う治療介入である。外的な補助手段の利用は、環境と患者との相互関係を適切に確保することを目的にする。

4.行動的治療介入

実生活上の具体的な行動の形成・維持・変容・除去を目的にする。障害された機能や能力の練習行動の形成を維持、実生活上の適応行動の形成と維持と拡大、不適応行動や問題行動の減少と除去のために実施される。

5.環境調節的治療介入

患者が環境内の情報を適切に理解できるように、生活環境を整える治療介入である。患者の近く・認知機能や知的機能状態に見合うように、環境情報を明確に枠づける。環境情報を理解し易く構造化することで環境情報の曖昧さを除去し、患者が混乱せずに適応的に活動できるようにする。

(⌒∇⌒)参考文献

医療学習レポート.脳血管障害と高次脳機能障害


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