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(´ー`)筋萎縮性側索硬化症とADLの話


( ´ ▽ ` )題名:筋萎縮性側索硬化症とADLの話

1.原因:不明.上位および下位運動ニューロンが選択的に変性(慢性進行性変性疾患)。

遺伝・外傷・中毒・代謝・栄養・ウィルス・金属などが指摘されているが確実なものはない。

2.有病率:3.5~4人/10万人、男性が女性の約1.5倍罹患しやすい。

日本全体で3,500~4000名(1998)

3.多発地域:Guam島、紀伊半島

4.発症年齢:中年以降(若年性も有り)、多くは孤発例、一部に優生遺伝(家族性・・・約10%)

5.症状

1)初発症状:手指の脱力,下肢の筋力低下,構音.嚥下障害など

2)主症状:①球症状(構音・嚥下障害,舌の麻痺および萎縮,線維束性攣縮)

②上位運動ニューロン徴候(深部腱反射亢進,病的反射出現)

③下位運動ニューロン症状(筋力低下,筋萎縮,線維束性攣縮)

3)陰性4徴:眼球運動障害,膀胱直腸障害,感覚障害,褥瘡

(人工呼吸器装着患者の増加により必ずしもALSの特徴といえない)

 

リルゾール(riluzole)‐1999年承認

前シナプス終末からのグルタミン酸の分泌を抑制し、細胞の障害度を緩和することがin vitroで示されたことから、ALS患者にも臨床応用された。投与群では呼吸器装着までの期間が非投与群に比し数か月延長することが報告された。しかし、四肢の筋力低下の進行度には差がみられておらず、効果について過度の期待はできないが、病初にのみある程度の効果があるようである。

1)リルゾールによる治療は行うことが望ましい。ただし効果は顕著ではないことを患者に伝えた上で患者の同意を得て投与する。

2)努力性肺活量が60%以下の患者では効果が期待できないので投与しない(厚生労働省)。

3)標準投与量は100mg/日。

 

成人発症運動ニューロン疾患の分類(Belsh)

特発性筋萎縮性側索硬化症(ALS):孤発性(古典的)ALSと家族性ALS

限局型運動ニューロン疾患:進行性球麻痺,進行性筋萎縮症,原発性側索硬化症

筋萎縮性側索硬化症様症候群:ALSと類似する2次的運動ニューロン疾患

異型筋萎縮性側索硬化症:運動ニューロン疾患と他神経疾患との合併(Guam島,紀伊半島ALS-parkinsonism-dementia complexなど)

成人発症脊髄性筋萎縮症

 

1.広義の分類

①脊髄性痙性麻痺(SSP):

上位運動ニューロンのみが障害され、痙性の両下肢麻痺を示す。

②脊髄性進行性筋萎縮症(SPMA)

下位運動ニューロンのみが障害され、脊髄前角細胞に主病変がある。

③進行性球麻痺(PBP):

下位運動ニューロンのみが障害され、延髄運動核に主病変がある。

④筋萎縮性側索硬化症(ALS):

上位と下位運動ニューロンの両方が障害され、錐体路に主病変がある。

 

2.症状(発症部位)による分類

①上肢型:約1/3の症例では一側の上肢で始まり、手指の脱力あるいは上肢の挙上困難に気づく。次いで筋力低下は上肢全体に及び、その後対側の上肢あるいは同側の下肢に障害が現れる。そして球症状も漸次出現する。

②下肢型:約1/4の症例は下肢の痙性麻痺あるいは筋萎縮・筋力低下で発症する.。下肢遠位部の筋萎縮で発病すると、アキレス腱反射は消失し、麻痺は次第に上昇する。多発性神経炎と類似するため、偽多発神経炎型と呼ばれることもある。

③球麻痺型:約1/4の症例は構語障害などの球症状で発症し、球麻痺型と呼ばれる。球症状に次いで上肢の筋萎縮、歩行障害が出現する。

 

1.麻痺の進行に伴う合併症:

①廃用性筋力低下,関節拘縮

②感染症(呼吸器・尿路感染症)

③転倒・骨折

④栄養障害

⑤窒息

⑥褥瘡

2.人工呼吸器管理中の合併症:

①気道確保に伴う合併症:気道損傷、感染症

②肺の加圧に伴う合併症:循環障害、血圧低下、肝障害、腎障害、気胸、縦隔気腫、皮下気腫

③ストレスに伴う合併症:消化管出血(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)

④気管内吸引に伴う合併症:気道損傷、感染症、無気肺、血圧上昇、血圧低下、頻脈、徐脈

⑤ファイティング:痰、低酸素血症、機械的刺激(カニューレの刺激、回路内の水の刺激)、機器と合わない

⑥一般的な合併症:誤嚥性肺炎、呼吸器感染症、尿路感染症、下痢

⑦その他:便秘、イレウス(種々の原因によって、腸内容の腸管内通過障害をきたした状態)、機械の故障(呼吸パターンの異常、吸気弁の異常)

 

症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約3.5年である。進行は球型が最も速いとされ、3~6カ月で死亡する例もある。一方では、長期間ゆっくりと進行する例もあり、症例ごとに細やか対応が必要となる。近年は、人工呼吸器を装着する例が増えつつある。 (人工呼吸器により10年以上の生存も可能)

生存期間は個人差が大きい。

 

臨床的に確実な筋萎縮性側索硬化症(clinically definite ALS)とは、身体3部位において上位運動ニューロンと下位運動ニューロン障害の臨床所見があること。

臨床的に可能性大な筋萎縮性側索硬化症(clinically probable ALS)とは、少なくとも身体2部位において上位・下位運動ニューロン障害所見があり、さらにここの下位運動ニューロン障害のレベルよりも頭側において上位運動ニューロン障害所見があること。

臨床的に可能性大であり検査所見で裏づけられる筋萎縮性側索硬化症(clinically probable-laboratory-supported ALS)とは、臨床的に上位・下位運動ニューロン障害所見が身体1部位にのみ認めるか、身体1部位に上位運動ニューロン障害所見がある場合で、かつ2肢以上に針筋電図で下位運動ニューロン障害所見を認め、神経画像検査やその他の検査によって他疾患を除外できるもの。

臨床的に筋萎縮性側索硬化症の可能性あり(clinically possible ALS)とは、身体1部位のみに下位と上位運動ニューロン障害所見を認めるか、もしくは下位運動ニューロン障害のみを身体2部位以上に認めるものである。または上位運動ニューロン障害よりも頭側で下位運動ニューロン障害所見があるもの、第3の臨床的に可能性大であり検査所見で裏づけられる筋萎縮性側索硬化症(clinically probable-laboratory-supported ALS)がここでは満たされないものであるが、他疾患は除外できているものと規定する。

臨床的に筋萎縮性側索硬化症疑い(clinically suspected ALS)とは、純粋な下位運動ニューロン障害を呈するものであり、筋萎縮性側索硬化症の臨床研究を目的とするグループとして適さない。よって世界神経学会EL Escorial改訂ALS診断基準からは除外する。

 

厚生省特定疾患・神経変性疾患調査研究班、班長:萬年 徹

Ⅰ.一般に20歳以上で発症するが40歳代以降に多い。

Ⅱ.発病は緩徐、経過は進行性(病変が限局性で、経過が非進行性のものは除外する)。

Ⅲ.主な症状は以下の如くである。

①球症状:舌の線維束性攣縮、萎縮および麻痺、構音障害、嚥下障害

②上位運動ニューロン徴候(錐体路徴候):深部腱反射亢進(下顎反射を含む)、病的反射の出現

③下位運動ニューロン徴候(前角徴候):線維束性攣縮、筋の萎縮と筋力低下

Ⅳ.病型と経過には以下のものがある.

a)上肢の小手筋の萎縮(初期には、しばしば一側性)に始まり、次第に上位・下位ニューロン障害の症状が全身に及ぶ形が多い。

b)球症状が初発し、次いで上肢・下肢に上位・下位ニューロン障害の徴候が現れる。

c)下肢の遠位側の筋力低下、筋萎縮に始まり、上位・下位ニューロン障害の症状が上行する場合がある。

d)時には片麻痺型を示したり、痙性対麻痺の形で症状が現れることがある。

e)上記のⅢの①、②、③のいずれかの症状飲みに終始する場合があり、それぞれ進行性球麻痺、原発性側索硬化症、脊髄性進行性筋萎縮症と呼ばれることがある。

Ⅴ.遺伝性を示す症例がある。

Ⅵ.本症は原則として他覚的感覚障害、眼球運動障害、膀胱直腸障害、小脳徴候、錐体外路徴候、痴呆を欠く。以下の疾患を鑑別する必要がある。

頚椎症、頚椎後縦靱帯骨化症、広汎性脊椎管狭窄症、遺伝性脊髄性筋萎縮症(球脊髄性筋萎縮症,Kugelberg Welander病など)、痙性脊髄麻痺(家族性痙性対麻痺)、HAM、脊髄小脳変性症、神経性進行性筋萎縮症(Charcot-Marie-Tooth病)、多発性神経炎(motor dominant)、多発性筋炎、進行性筋ジストロフィー症、脳幹および脊髄の腫瘍、偽性球麻痺。

 

療養環境と問題点

①人工呼吸器装着の意義に関する説明が各医療機関毎に差が大きい。

②人工呼吸器を装着した場合、長期療養の受け入れ可能施設と病床数が極度に不足している。

③四肢がまったく動かず、会話も出来ない状態で寝たきりの患者の、社会人としての生きがいを見出すことが容易でない。

④人工呼吸器を装着したまま在宅療法を希望する場合、地域の受け入れ体制が不十分であり,、家族の介護における負担や経済的問題が深刻である。

 

ADLと特徴

①初期(重症度1,2,3レベル)

この時期は上下肢から始まった筋力低下が全身に広がってきて、代償運動がみられやすい。弱くなった筋はますます使われなくなり、廃用性の筋力低下が起こりやすい。全身の筋肉をまんべんなく使うよう体操などを指導しなければならない。また、特定の筋を酷使すると過用性の筋力低下が起こる危険性もあるので注意が必要である。ADLは健康なときとは多少やり方が違うが、なんとか自立できている。より安全で、簡単な方法の指導が必要である。仕事や主婦業は、今までの生活リズムを崩さないためにも、また生きがいを持つという意味においても続けたほうがよい。通勤手段の変更や、配置転換、また家庭内での役割分担の変更など、あらゆる可能性に働きかける。患者さんは自分の病気について不安にかられてることが多い。まだまだALSという診断が確定していなかったり、病気についての説明(ムンテラ)が為されていない場合もあるので主治医に確認し、不用意な言動を慎むべきである。

②中期(重症度4,5レベル)

この時期は筋力低下や嚥下障害、呼吸障害が一段と進行し、ADLの介助量が増し、入院となることが多い。初期と同様、廃用性の筋力低下や過用性の筋力低下を予防することが大切である。自助具や動作方法の工夫,家屋環境整備などにより、少しでもADLの自立が維持できるよう努力する。また、介助法の指導も重要である。限られた生活になりがちなので、趣味や役割などQOLへの援助も必要になってくる。

③後期(重症度6,7レベル)

この時期はほぼADL全介助となる。しかし、寝たきりにさせないことが重要(その際、掛け物の重さ、パジャマのたるみ、室温などの細かい配慮が必要になる。患者は知覚が鋭敏になっていることが多い)。やがて経口摂取が困難になったり、呼吸器を装着するか否かの選択も迫られる時期である。残っている機能を維持するように努力し、二次的合併症も予防する。ADL介助量を軽減するため機器の併用や、社会的資源の導入も積極的に進める必要がある。またQOLへの援助も大切である。

 

症候と介護

1.筋力低下

進行性筋萎縮による筋力低下は日一日と変わりうるので注意深い観察及び評価が必要である。筋の緊張状態は上位運動ニューロンが障害されているためなら痙性であるし、下位運動ニューロン病巣のためなら弛緩性である。患者は自分で思うように体位を取れないので注意深い体位の確保と看護が患者の心地良さを決めるのに最も大事である。理学療法は変形予防と残存機能保持に必要である。

2.痛み

感覚神経は障害されないのに、患者は痛みがある。肩関節の硬縮がしばしばある。注意深い位置決めと受動運動を含む理学療法が手助けになる。痛みが強い時は鎮痛剤が使われる.。筋けいれんがあり痛みを伴うことがあり、陳痙剤が効く。皮膚圧による痛みもある。患者は動きづらく、体位交換しにくい。規則的な体位交換が基本である。

3.呼吸因難

呼吸筋は弱くなり呼吸困難を来す。末期にはほとんどの患者に認められる。患者は注意深く姿勢を保持する。呼吸困難は不安を伴う。英国などではモルフィンのごとき鎮痛剤は呼吸困難感を減らすのに有益であり。強い呼吸困難の急なエピソードや、終末期に注射で与えられるべきであると記載されている。わが国ではまだあまり行われていないと思われる。人工呼吸器装着については最終的には患者本人の意向によると考えられているが、さまざまな問題があり、慎重な判断が必要とされる。もし感染症の所見があるなら、抗生物質を考慮すべきである。

4.嚥下障害

半数以上の患者で問題となる。食事はゆっくり摂ることが必要である。液体より半固形物が飲み込み易い。氷のかけらにすると飲み込み易い。過量の唾液分泌が問題となる。アトロピンがある程度有効である。経口摂取困難となると経鼻胃管、胃ろう、食道ろうが必要となる。

5.構語障害

ほとんどの患者に言語障害がくる。言語治療士がいるところではその指導があるとよい。患者のQOLを制限する最も大きい要素の一つである。患者の基本的な要求、要望項目をあらかじめ整理しておくことが役立つ。介護者は患者自身の性格、考えを早めに知っておくことが必要、会話以外のコムニケイションの工夫が必要で、簡便で役に立つのに文字盤がある。さまざまなコムニケイションエイドが工夫されつつある。現在は日常生活用具として車椅子同様給付の対象となっている。

6.乾燥

顔面神経麻痺のため瞬き、閉眼が不十分となり、眼球乾燥を来す。点眼や夜間の閉眼に注意ずる。

7.筋緊張亢進

上位連動ニューロン障害による痙性麻痺のため、筋緊張亢進がくる。硬く曲げにくくなり、強いと痛みが伴う。抗痙縮剤が有効である。過量になると脱力を来すこともある。

8.便秘

運動不足と食習慣より便秘となることが多い。緩下剤が必要となる。

9.排尿障害

腹筋力低下のため、排尿不十分となることがある。動けないための尿失禁はあり得る。この病気そのものでは排尿が障害されることはない。

10.不眠

痛み、不安、不快などのため不眠となることが多い。規則的な体位交換が必要となる。ナースコールは常に作動可能となっていることが必須である。作動スイッチは単に指で押すのみでなく、場合によっては顔、膝、さらには瞬きなどわずかの筋力で連絡できるような工夫が要る。

11.精神面

ALSは人工呼吸器を装着しない場合、致死的疾患であるので、わが国では癌と同様必ずしも全例には告知されていないが、はじめてALSと診断を告知された人のほとんどはショックと孤独感を感じている。ショックの後、不安、拒否などを示すこともある。これらの反応は障害をもたらす疾患への精神適応の過程の一部である。時間とともに多くの患者はじぶんのおかれた状態へより積極的取り組みをするようになる。ALSではこの適応の過程が、身体障害の進むスピードに追い付かないことがある。症状がつぎからつぎと進み、一つの機能消失と折り合う時間がないかも知れない。

ALSは家族にも影響する。家族内の役割変更が必要となり、最終的には生活習慣や、計画の根本的変更も必要になるかもしれない。公的ないしその他の可能な助力についての助言をすることが必要である。

12.知能

ALS患者は経過中、明噺で活発な頭脳を持っている。そして自分の人生について(特に言語が失われた時に)出来るだけ多くコントロールできるような手段が与えられることが必要である。

13.チームと人

ALS患者の介護には、家族のみでなくそれを支える人のチームを作っていく必要がある。臨床チーム、つまり看護スタッフ、保健婦、ヘルパー、理学療法士、職能訓練士、言語治療士、臨床工学士、ソーシァルワーカー、さらには様々なボランティアがいると良い。またその人たちの連携が大事である。ALS患者の大部分は、介護者が問題に直面したり、訓練を必要とする終末期まで家庭にとどまることが多い。わが国では在宅高齢者への福祉として、ホームヘルパー、保健婦の派遣が不十分ながら行われつつある。神経難病患者に福祉制度の適応を広げていく必要がある。まだ自治体により対応がかなり異なっており、各地域での積極的な取り組みが必要である。

14.援助、情報交換システム

日本ではまだ充分な援助システムが作られていない。神経難病をふくめ、多くの難病患者会が作られ、難病連も形成されてきている。筋萎縮性側索硬化症の患者会はまだ出来たばかりである。日本ALS協会が作られ、各地で支部作りがおこなわれつつある段階である。患者、家族、その関係者、介護に関わる人たちの入会が増えつつある。

(T ^ T)参考文献

医療学習レポート.筋萎縮性側索硬化症とADL


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