スポンサード・リンク

( ´ ▽ ` )運動失調と評価の話


(^q^)題名:運動失調と評価の話

●医学的情報

1.    診断名・現病歴・既往歴・家族歴・使用薬剤・障害・合併症・保険・アレルギー・他部門情報

1) 目的

現疾患の現状、現疾患との関連、問題点を把握する為に調査する。

2) 方法

カルテ・チャート・他部門の担当者に確認する。

 

●問診

1.    基本的情報(家屋構成・キーパーソン・介護者・経済面・生活状況・嗜好品・本人のニード・家族のニード・随伴症状

1) 目的

現疾患の現状、現疾患との関連、問題点を把握する為に調査する。

2) 方法

問診で情報を得る。

3) 注意事項

問診をしながら、検査・測定・観察を行う。

2.    身体測定(身長・体重)・バイタルチェック(血圧・脈拍・体温)

1) 目的

患者の現在の状態を把握する。

2) 方法

身長計・体重計・血圧計・体温計で計測。脈拍は橈骨動脈の触診で1分間計測する。

3) 注意事項

問診をしながら、検査・測定・観察を行う。

3.    来室時の印象(コミュニケーション・精神状態・来室の方法・来室状態)

1) 目的

患者の全体像を把握する為に行う。

2) 方法

来室時の方法(ex.車椅子・独歩・介助・付き添い有等)、状態(ex.精神状態・体調の確認・坐位のとり方等)を視診等で確認する。

3) 注意事項

必要であれば、意識障害・痴呆の検査を行う。

 

①JCS[Japan coma scale](3・3・9度方式)

*Ⅰ―刺激しないでも覚醒している状態。1桁で表現

  • 1―意識清明とはいえない
  • 2―見当識障害がある
  • 3―自分の名・生年月日が言えない

*Ⅱ―刺激すると覚醒する状態(刺激を止めると眠り込む)。2桁

  • 10―普通の呼びかけで開眼。運動・発語もするが間違いが多い。
  • 20―大声・体の揺さぶりで開眼。簡単な命令に応じる……傾眠
  • 30―痛み刺激+呼びかけの繰り返しで辛うじて開眼……昏眠

*Ⅲ―刺激しても覚醒しない状態。3桁

  • 100―痛み刺激を払いのける(閉眼)……昏迷
  • 200―痛み刺激で顔しかめる・少し手足動かす……半昏睡
  • 300―痛み刺激でも反応なし……深昏睡・昏睡

*     R[Restlessness]不眠、I[Incontinence]失禁、A[Akinetic mutism・apallic state]自発性喪失、も表示に使用。ex.20A、100A

 

②改訂長谷川式簡易知能評価スケール[HDR-S]

*以下の項目を質疑応答で行い、結果を点数化し痴呆の判定を行う。

  • 検査日、患者氏名、生年月日、年齢、性別、教育年数、検査場所
お歳はおいくつですか?(2年までの誤差は正解) 0・1
今日は何年の何月何日ですか?何曜日ですか?         年月日

曜日

0・10・10・1

0・1

私たちが今いる所はどこですか?(自発的にでれば2点、5秒おいて家ですか?病院ですか?施設ですか?の中から正しい選択をすれば1点。病院名や施設名や住所などは言えなくてもよく、現在いる場所がどういう場所なのかが本質にとらえられていればよい。) 0・1・2
これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいて下さい。(以下のどちらかを採用し、○をつける。)1:桜、猫、電車  2:梅、犬、自転車(もし正解がでない場合、正答の数を採点した後に正しい数を教え、覚えてもらう。もし3回以上言っても覚えられない場合は、そこで打ち切り、問題7の項目から覚えられなかった言葉を除く。) 0・10・10・1
100-7は?それからまた7を引くと?と質問する。(最初の答えが不正解の場合打ち切る)(93-7は?と検者が最初の答えを繰り返してはならない) 0・10・1
私がこれから言う数字を逆から言ってください。6-8-2、3-5-2-9(3桁の逆唱に失敗したらそこで中止) 0・10・1
先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみて下さい。(自発的に回答があれば各2点、もし回答がない場合以下のヒントを与え正解であれば1点)。ヒント:植物・動物・乗り物(ヒントは患者の反応を見ながら一つずつ提示すること。) 0・1・20・1・20・1・2
これから5つの品物をみせます。それを隠しますので何があったか言って下さい。(時計・鍵・タバコ・ペン・硬貨など必ず相互に関係のないもの) 0・1・23・4・5
知っている野菜の名前をできるだけ多く言って下さい。(答えた野菜の名前は下欄に記入する。途中で詰まり10秒待っても答えない場合にはそこで打ち切る。)0~5=0点、6=1点、7=2点、8=3点、9=4点、10=5点 0・1・23・4・5 

重症度別平均得点

重症度 平均得点±SD
非痴呆 24.45±3.60
軽度 17.85±4.00
中等度 14.10±2.83
やや高度 9.23±4.46
非常に高度 4.75±2,95

 

●四肢と一般的運動失調検査

運動失調の出現の確認を目的に行う。

1.    指指試験[finger-finger test]

1) 方法

患者を坐位または立位にして、上肢を外転・肘関節伸展で、左右の示指の先端をつけるように指示する。初めは開眼で行い、次に閉眼で行う。

2) 陽性徴候

運動の非円滑性、振戦の出現(企図振戦)、左右の示指先端がつかない。閉眼時は著明になる。

2.    指鼻試験[finger-nose test]

1) 方法

患者を坐位または背臥位にし、上肢はやや外転位、肘関節は伸展の肢位から開始。患者の示指の先端を患者の鼻尖部につけるように指示する。最初は開眼、次に閉眼で検査する。仰臥位でも可能。

・指鼻指試験と前後して行う。

・条件を変える・・・違う条件下で対応可能か確認。ex.①患者の指の動作速度を変えて(ex.早く・遅く)、②検者の指を2本で行う、③手掌で行う、③グルービング(轍)を使う、④耳を触らせる。

2) 陽性徴候

運動の非円滑性、振戦の出現(企図振戦)、鼻先に正確に達しない。閉眼時は運動障害がもっと明らかになる事がある。指が鼻を通り越して頬にあたったり、あるいは力を入れて鼻を叩いてしまう。

3.    指鼻指試験[nose-finger-nose test]

1) 方法

患者の示指先端で、患者の鼻尖部と検者の示指先端を交互に触るように指示する。検者の指先は患者の示指の先端が肘を伸ばしてちょうど届く位の所に置き、1回ごとに検者の指の位置を移動させる事が大切。

2) 陽性徴候

運動の非円滑性、振戦の出現(企図振戦)、鼻先に正確に達しない。

・条件を変える・・・①患者の指の動作速度を変えて(ex.早く・遅く)対応可能か確認、②検者の指を2本で行う、③手掌で行う、③グルービング(轍)を使う。

4.    膝打ち試験[knee Pat(=Pronation-Supination) Test=Thigh-Slapping Test]

1) 方法

患者を坐位、患者の膝を自分で一側または両側同時に、掌側⇔手背を交互に、同側の膝の上を素早く叩かせる。はじめはゆっくりと、次第に速く叩かせ、出来るだけ早く同時に行わせる。

2) 陽性徴候

動作は緩慢、不規則、叩く場所が一定しない。

5.    足趾手指試験[toe-finger test]

1) 方法

患者を背臥位、検者は患者の足下に位置。検者の示指先端を患者の母趾で触れる様指示する。次に検者は示指を素早く15~45cm位動かして、患者の母趾で追うように指示する。検者の示指は患者が膝を曲げて到達できる位置に置く。

2) 陽性徴候

うまく追えない。示指の運動の円滑性、振戦の出現(企図振戦)、検者の示指に正確に達しない。

6.    踵膝試験[heel-knee test=heel-shin test]

1) 方法

患者を背臥位、閉眼で行う。①一方の踵を他方の膝につけ、また元に戻す運動を繰り返させる。②また一方の踵を他方の膝にのせ、さらに母趾を天井に向けるようにして、踵を向う脛に沿って真っ直ぐに下降させ、足背に達したら、元に位置に戻させる。③踵が足背まで下降したら、再び膝まで、向う脛の上を上昇させる。④これを繰り返す方法もある。

・①②の運動を繰り返させる事をheel-shin testと言う。踵膝試験に含まれる。

2) 陽性徴候

踵がうまく膝にのらない。向う脛に沿って真っ直ぐにまた円滑に動かす事が出来ない。踵が膝を通り越して大腿にいってしまったり、向う脛に留まったりする。

 

●測定障害[Dysmetria]

1.    向う脛叩打試験[shin-tatting test]

1) 目的

患者は背臥位、一側の下肢を反対側向う脛の上大体10cmの所に上げる。足関節を充分に背屈させ、足趾を天井に向かせて、踵で反対側の膝から5cm位下(向う脛)を、一定の速度(1~2回/秒)で7~8回軽く叩かせる。

踵膝試験の代わりに行う(踵膝試験は理解の悪い患者には行えない)。

2) 陽性徴候

一定の所が叩けなけない。

2.    示指耳朶試験[Arm stopping test]

1) 目的

患者を背臥位または坐位。上肢を天井に向け肘関節伸展させ上げる。肘関節を屈曲させ示指を耳朶に当てるように指示。

2) 陽性徴候

肘関節屈曲まではかなり正確、耳朶にあてるまでが上手く出来ず、指は耳朶を通り越して測定過大、耳朶の手前で停止し測定過小を起こす。

3.    コップを持たせる方法

1) 目的

患者は腰掛け坐位。コップをとるしぐさを両側手で行わせる。

2) 陽性徴候

障害側は指を過度に開く、手を過度に伸展し、コップより上の空間に上肢を持っていってからコップをつかむ。

4.    過回内試験[hyperpronation test]

1) 目的

手掌を上に向けて両腕を水平に挙上させ、次に手を回内させて下向きにさせる。

2) 陽性徴候

障害側の手は回りすぎて障害側の母指は健側の母指より下方になる。

5.    線引き試験[line drawing test]

1) 目的

1枚の紙の上に約10cm離して2本の平行な縦線を引き、患者に縦線間に直交するような横線を左から右に引かせる。

2) 陽性徴候

右側の縦線で止める事が出来ず測定過大、右側の縦線の手前で止まる・測定過小となる。

6.    模倣現象[imitation phenomenon]

1) 目的

閉眼で行う。上肢は両方を水平に前方挙上させておいて、一側の腕の位置を受動的に変え、他側をこれと同位置におくように指示する。下肢では一側の股・膝関節を半屈曲させ、他側をこれと同半屈曲位に置くように指示する。

2) 陽性徴候

模倣が出来ない。

・深部感覚障害・運動麻痺がある時は陽性所見でも測定障害とは関係がない。

 

●変換運動(反復)障害[dysdiadochokinesis]

変換運動(反復運動)とは、上肢・下肢または舌等を交代運動(交互に反復させる運動)であり、運動麻痺・筋緊張亢進・関節の異常・深部感覚障害等がある時にも出現するので注意する。

1) 目的

小脳性運動失調症の反復拮抗運動不能症を観察する。

1.    手回内・回外検査[Hand Pronation Supination Test]

1) 方法

上肢を前方に、手掌を上に向け、前方挙上させる。患者の手を最大速度で、出来るだけ続けて回内・回外させる。上肢は体側につけ、肘関節は90°屈曲させ、前腕を前方に突き出し、その手を回内がいさせても良い。

また一方の手掌を上向きに、それを他方の手掌と手背で交互に出来るだけ速やかに、続けて叩かせるのも良い方法である。

2) 陽性徴候

正常より動作は緩慢、不規則。正常でも利き腕の運動の方が、非利き腕より速いので注意する。

2.    Finger Wiggle

1) 方法

手を机の上に置き、ピアニストやタイピストが行うような要領で指を母指から順に素早く叩く運動を反復させる。

2) 陽性徴候

正常より指の動きは異常にゆっくりになる。正常でも利き腕の運動の方が、非利き腕より速いので注意する。

3.    Foot Pat

1) 方法

踵が具合よく床につくよう腰掛けさせる。これには高さを加減できる椅子を用いるとよい。踵は床につけたまま、足首を屈伸させて、足底で出来るだけ速く底背屈運動で、床を叩くように指示する(貧乏ゆすりのように)。仰臥位時は同様に足首を屈伸させて、検者の手掌を叩くように指示する。

2) 陽性徴候

正常より動作緩慢。

4.    Tongue Wiggle

1) 方法

舌を口からできるだけださせ、その位置から左右に動すように指示する。上手く出来ない人は、舌を出したり引っ込めたりする運動に変える。

2) 陽性徴候

正常より動作緩慢、不規則。

 

●運動分解[decomposition of movement]

1.    複合運動

1) 目的

小脳性運動失調症の運動分解の確認

2) 方法

上肢伸展させ、示指で同側の耳朶を真っ直ぐ指すように指示する。

3) 陽性徴候

指先が三角形の一辺を真っ直ぐ行かず、二辺をたどるようになる。

 

●協働収縮不能[asynergy]

1) 目的

小脳性運動失調症の協働収縮不能・異常を確認する。

1.    協働収縮運動

1) 起き上がり

・方法・・・仰臥位。腕を組んだまま起き上がるように指示。

・陽性徴候・・・起き上がる事はできない。下肢を挙上するが、障害側の下肢はより著明に挙上。

*協働収縮不能は片麻痺でも見られる。

2) 立位で体幹後屈

・方法・・・立位。体幹を後屈させる。

・陽性徴候・・・膝を曲げずに、頭も上に向かずに、上半身も後方に倒れてしまう。

正常は、膝を曲げて、頭を上に向け、上半身を後にそらせる。

 

●その他運動失調検査

1.    腕叩打試験[arm tapping test=wrist slapping test]

1) 目的

立体固定[Postural fixation]の異常を確認する。

2) 方法

腕を前方に水平に伸展させ、眼を閉じさせる。さらに水平に伸ばした手関節に直角に下方に力を加える。

3) 陽性徴候

障害側の上肢は下降し、振戦を示してくる。力を加えると障害側上肢には異常な上下運動がおこる。

2.    スチュアートホームズ反跳現象[stewart-Holmes Redound phenomenon]

1) 目的

立体固定[Postural fixation]の異常を確認する。

2) 方法

患者の上肢を肘関節で軽く屈曲させ、検者はその手関節を握る。患者に腕を自分の胸部に向かって力いっぱい引くように指示。検者はこれに抵抗を加える。患者が力いっぱい引いている間に急に手を離す。

・あらかじめ患者の顔・胸部の前に検者のもう一方の手をおいて、受け止めるようにしておく(顔面・胸部を強く打ってしまい怪我につながるから)

3) 陽性徴候

強く患者自身の胸を打ってしまう(スチュアートホームズ徴候)

・正常では手で患者自身の胸を打つ事は無い。

3.    バラニー指示試験[Barany pointing test]

1) 目的

運動失調における、運動障害を確認する。

2) 方法

患者と検者は向かい合って腰掛け、開眼で、患者の上肢を伸ばしたままこれを膝の上まで下げさせる。再びこれを上にあげ、固定したままの検者の指先に触れさせる。次に上肢を上にあげて同じ事をやらせ、さらに外方からも試みる。

3) 陽性徴候

障害側がうまく指先に達しないで、はずれてしまう。この場合、患者の頭位によって偏倚が起こる事があるので、正しく正面を向いて座るように気をつけなければならない。

正常でも、最初の10回位は偏倚が大きいが、10~20回で安定性がでて、水平面・矢状面共に偏倚は1cm以内とされる。

頸部の屈伸・側屈で行う事も指標になる。

4.    はね返り現象[rebound phenomenon]

1) 目的

運動失調における運動障害(運動の制御が出来ない)事を確認する。

2) 方法

坐位。検者の上肢を肘関節軽度屈曲させて、前方に挙上させる。検者はその前腕を握り、患者に腕を自分の胸に強く引く様に命じ、検者はそれを引っ張って抵抗を加えておき、旧に力を抜く。

3) 陽性徴候

正常では自分の胸を打つ事はないが、自分の胸をうってしまう。

5.    腕偏位試験[arm deviation test]

1) 目的

運動の偏倚を確認する。

2) 方法

患者と検者が向かい合って立ち、両者とも肘関節伸展位で上肢を前方に90°挙上し、互いに示指先端を触れ合う。次に、検者に眼を閉じさせ、検者は触れている示指を離し、患者にはその位置を保つように指示する。

3) 陽性徴候

上肢が外方(外上または外下)に偏倚する。

 

●静止時姿勢観察

運動失調はまず患者が診察に来る時の姿勢・歩行・日常動作等を観察する事が大事。

1.    坐位姿勢

1) 目的

運動失調性動揺徴候の確認。体幹運動失調を判定する。

2) 方法

椅子・ベッドに坐位をとらせる。ベッド・椅子に深く腰掛けさせ、足を床から離した状態にする。

3) 陽性徴候

上体が不安定になり、両足を開いて(膝を開く)、両手をベッド・椅子について支える様に座る。頭部動揺が見られる。

・頭部動揺・・・坐位で頭部が間断なく揺れ動く事

上体の動揺が明らかでない時は、さらに両膝をつけさせたり、腕組をさせると体幹・頭の動揺が出現してくる事がある。

2.    立位姿勢

1) 目的

運動失調の特徴的立位の確認。

2) 方法

病変が一側の場合患者の腰を横から押す。健側から押すと障害側に倒れ易い。

3) 陽性徴候

爪先だけでしゃがみこみ、両踵を持上げさせると不安定で踵を上げる事が出来ない。wide baseになる。

wide base・・・重心を取るために足を大きく開く

症状の重い時は、前進の不規則な動揺が見られる。両足を広げ、両腕を外転して平衡を保とうとしているが、全身が不規則に動揺する。揺れはあまり大きくなく、倒れる程のものではないが、倒れる時は障害側の後方に倒れる。動揺が明らかでない時は両脚をそろえて眼を閉じさせると動揺が著明になる。

起立時に話しかけたり、注意をそらせると平衡を失い倒れる事がある。

3.    ロンベルグ試験[romberg test]

1) 目的

小脳性運動失調と脊髄性運動失調の鑑別。

2) 方法

両足を揃えて爪先を閉じて立位をとり、身体が安定しているかを確認。次に閉眼させて身体の動揺を見る。この時、両手を前方に挙上させておくのもよい。

3) 陽性徴候

脊髄性運動失調・・・陽性。閉眼で身体の大きな動揺が著明になり、倒れる。Ex.脊髄癆

小脳性運動失調・・・陰性。開眼でも閉眼でも動揺するが、動揺に差はない。

・正常人でも閉眼時は安定性を失うが、神経質な人は陽性に出る事もある。この徴候は深部位置覚の障害で出現するので、脊髄の後根、後索をおかす疾患、例えば脊髄癆等では陽性。

・洗面時に体がふらつき、体をかがめた前方にたおれかかる現象(洗面現象)もこの徴候と同様。病歴でこういう訴えがあったらテストする。

4.    マン試験[mann test]

1) 目的

立位平衡試験として用いられ、ロンベルグ試験より敏感に脊髄性運動失調を検出できる。眩暈患者では立位時の平衡障害があるかどうかを診る。老年者では明らかな深部感覚障害がなくても、この試験で転倒傾向を示す事があるので注意を要する。

2) 方法

両足を前後に縦一直線に置いて立位をとる。つまり前足の踵と後ろ足の爪先とをつけて、両足を一直線上で前後につけて立位をとる。安定して立位をとるならば、閉眼させる。

3) 陽性徴候

身体の同様が激しくなり、倒れそうになるかどうかをみる。

5.    片脚立ち[One Foot Standing]

1) 目的

運動失調の特徴的立位の確認。

2) 方法

片脚づつ、片脚立ちを行う。できるならば、閉眼で行う。

3) 陽性徴候

片脚立ちができない。閉眼片脚立ちが10秒以上可能ならば正常。5秒以下から運動失調があるのではないかと考える。眼を閉じると余計に難儀

 

●歩行観察

1.    歩行障害

1) 目的

運動失調における特徴的歩行の出現の確認。特徴的歩行は、酩酊歩行[drunken gate]=よろめき歩行[staggering gait=titubation]がある。小脳半球障害では障害側に倒れやすく、歩行障害の異常は運動失調・平衡障害によるもので、閉眼しても増悪しない。小脳虫部での障害は四肢に運動失調が無くても、体幹運動失調[truncal ataxia]により起立・坐位・歩行が侵される。

2) 方法

歩行をさせる。

3) 陽性徴候

酩酊歩行[drunken gate]、よろめき歩行[staggering gait=titubation]が出現する。歩き方が不器用で、不安定。軽度のものは直線歩行・つぎ足歩行、まわれ右等をさせると異常が目立ってくる。脊髄癆のように下肢の深部感覚が侵されて歩行障害に綯っている時には、両足を広く開き、歩く時には足を急速に異常に高く持上げ、つぎにこれを投げ出すようにして、踵を強く床に叩きつけるようにする[tabetic gait]

歩行中の眼はたえず床に注いでいて、目を閉じさせると急に歩けなくなる。暗がりでは歩行障害が著明になるので、暗がりでは廊下も上手く歩けないと訴える。眼を閉じると余計に難儀。

小脳性であれ、脊髄性であれ、運動失調があると歩行時には患者の上体は後方に残される傾向がある。

極軽度のものを確認する時はつぎ足歩行[tandem gait]を行わせる、目を閉じて直線上を歩かせると障害側に偏倚するか倒れる事が多い。歩行中の手の振りも異常である。

歩行中に急に「まわれ右」を行わせるとぎこちなく時間がかかる。椅子の周りを半径1m位の円を描くように回らせると、障害側に回る時は次第に椅子に近づき、健側へ回る時は螺旋状に椅子より遠ざかる。

歩行障害のある時は、坐位での体幹運動失調と下肢の運動失調があるかを確認する。

2.    階段昇降

1) 目的

下肢に運動麻痺がないのに階段を下りる時に困難を生じる事を確認する。

2) 方法

階段昇降を行わせる。

場合は小脳性運動失調を疑う。階段を上るときには上体はやや前軽の傾向をとるので運動失調患者の歩行字の上体の後傾傾向が打ち消されるが、階段を下りる時には上体の後傾はさらに強まり、降りにくさを感じるようになるとされている。下肢の運動麻痺・運動失調がある程度以上に強くなれば、階段の昇降は共に障害される事は言うまでもない。

 

●筋緊張検査

1.    筋緊張の触診・視診

1) 目的

小脳障害の症状の特徴として出現する筋緊張低下の確認

2) 方法

筋を触診・視診する。

①静止時筋緊張

Relax状態で、出切るだけ臥床させた状態で、抵抗・筋の伸展性・筋の形態上の変化・弛緩して扁平・下垂、筋の硬さ(弾力性:押してみる)

②動作時筋緊張

受動的に動かし、抵抗を見る(ROM・Tと同じ感じ)。いろいろな速さ(自分で一定の基準を作る)で、屈伸、内外転、内外旋を行う。

③懸振性筋緊張

振り子運動を確認する。多くは筋緊張低下を見るが、抵抗を診るのも役立つ。交互に急速な振り子運動をさせる。

どちらか一方に抵抗→痙性(刺激(スピード)により、ゆるむ/強く)。両方とも、あまり動かない→固縮

3) 陽性徴候

筋緊張低下[hypotonia]が見られる(筋が柔らかく弛緩している)。

2.    Pendulousnessの検査

1) 目的

小脳障害の症状の特徴として出現する筋緊張低下の確認

2) 方法

立位。出来るだけ力を抜かせ、両腕を垂らすように指示する。患者の胴体に検者の両手を当て、その上体を左右にゆすぶってやる。その時の両腕のゆれ方を見る。

3) 陽性徴候

左右の揺さぶりは、上肢は正常より大きく揺れて体幹より遠ざかる。前後の揺さぶりは正常より大きく、不規則に、長く動く。

3.    振子運動試験[Shoulder shaking test]の検査

1) 方法

立位。患者の肩に手をあてて肩を前後に揺さぶり、上肢に振子様の運動を与える。上肢をもって、前後にゆさぶり、手を離してその振子様運動を見るのもよい。前腕の受動性をみるには前腕をにぎってこれを振り、手の動きを見る。

2) 陽性徴候

障害側の前後の揺さぶりは正常より大きく、不規則に、長く動く。

4.    下肢の揺さぶり

1) 方法

ベットに腰掛け坐位。床に足がつかないように腰掛けさせ、両足を下垂させる。患者の両足を持上げて、次にこれを放って、下腿の揺れ方を左右比較してみる。

2) 陽性徴候

障害側の揺れが大きく、不規則で、持続も長い。

 

●触診・視診

1.    筋萎縮

1) 目的

運動失調による筋萎縮は出現しない。筋萎縮がない事を確認する。

2) 方法

萎縮は触診で柔らかい、力をいれても筋肉が硬くならない。視診で左右差を比較、病変部位周辺の筋肉の大きさと比べてみる。四肢の周計を計測してみる。利き手の方が反対側より1cm内外大きいのは正常。筋萎縮の分布状況も確認。

3) 陽性徴候

運動失調では、筋萎縮は存在しない。筋萎縮が存在する場合は別の疾患も疑う。

2.    不随運動

1) 目的

運動失調による不随運動の出現を確認する。

2) 方法

視診により確認する。

3) 陽性徴候

ミオクローヌス・舞踏様運動・アテトーゼ様運動等の出現。

3.    麻痺

1) 目的

運動失調による麻痺の出現を確認する。

2) 方法

視診により確認する。

3) 陽性徴候

片麻痺・交叉性片麻痺の出現を確認する。

 

●感覚検査

1.    表在感覚検査・深部感覚検査

1) 目的

運動失調による感覚障害・異常感覚の出現を確認する。

2) 方法

温痛覚検査、深部感覚検査を行う。

3) 陽性徴候

温痛覚脱失・減弱、深部感覚の減弱が脊髄後根で出現する。異常感覚が出現する事もある。

2.    重量覚障害[arm deviation test]

1) 目的

運動失調における、重量障害の確認をする。

2) 方法

錘を手に持って何kgか言ってもらう。

3) 陽性徴候

正常者は、20gと15gの鑑別ができるが、運動失調障害があると、100gと50gの差が分からない。一般的には実際より軽く評価する。

 

●脳神経障害

1.    眼球運動の検査

1) 目的

運動失調の特徴的な眼振の出現を確認する。

2) 方法

脳神経の視神経検査を行う。

3) 陽性徴候

固視眼振[fixation nystagmus]が生じる。固視眼振とは、側方を固視させると、最初は明らかな眼振が出るが、次第に軽減する。再度、固視点をやや側方に移動させると、また眼振が出る。他にブルンス眼振[Bruns nystagnus]がでる事がある。ブルンス眼振とは、小脳橋角部腫瘍等で見られる。これは振幅が大きく、頻度が小さい側の脳幹の障害によるとされる。

小脳障害では種々な眼振や異常眼球運動が出現するが、脳幹障害も合併している事が多く、これによる眼振と見分ける必要がある。

左右側方視で、注視方向性眼振を示す。左右への眼振がほぼ同程度であれば、後頭蓋窩(脳幹。小脳)の非特異的な障害を意味する。右方視の眼振の方が振幅が大きいような一側注視で振幅大、頻度小、他側注視で振幅小、頻度大の眼振はブルンス眼振。ENG(電気眼振計)で眼球の追跡運動を見ると、衝動性または運動失調性な場合があり、その際には脳幹障害が疑われる。

共同偏視・眼球突出・縮瞳・同側性半盲・眩暈の出現がある。

 

●構音障害

1.    構音障害

1) 目的

運動失調の特徴的な構音障害の出現を確認する。

2) 方法

問診にて、患者の話し方を確認する。

3) 陽性徴候

構音障害の失調言語が出現する。失調言語には、爆発性発語、不明瞭発語、断綴性発語がある。調子は急に変化し、音節が不明瞭となる。

失調性構音障害は、手先の不器用さ・歩行時のよろめきも同時に認める。

 

●反射障害

1.    腱反射検査・病的反射検査

1) 目的

運動失調の特徴的な反射障害の出現を確認する。

2) 方法

腱反射・病的反射検査にて行う。

3) 陽性徴候

腱反射の消失・脱失・減弱と様々だが、消失の割合が多い。

病的反射は陽性になることもある。

 

●髄膜症状

1.    髄膜症状検査

1) 目的

髄膜症状の確認をする。

2) 方法

髄液の量・ケルニッヒ徴候・ブルジンスキー徴候・頸部硬直等の確認。

3) 陽性徴候

髄膜症状がでる。

 

●自律神経障害

1.    自律神経症状の確認

1) 目的

自律神経症状が出る事もあるので確認をする。

2) 方法

視診・触診等で確認する。

3) 陽性徴候

自律神経症状に、頭痛・嘔吐・悪心・無汗症・起立性低血圧・消化器障害・泌尿器障害・痙攣(焦点性・全身性)等がおきる事がある。

 

●その他の検査

1.    概要

運動失調に以下の症状が出る事も有るので、注意し、必要に応じて各検査を行う必要がある。

・意識障害・視床痛・嚥下困難・精神症状・変形(凸足・脊髄側弯症)・筋力低下等

2.    書字障害

1) 目的

運動失調における特徴的な書字障害の確認をする。

2) 方法

文字を書かせ続ける。

3) 陽性徴候

初めは小さく書くが、段々と大きな字になる、これを大字症という。

3.    疼痛・痺れ

1) 目的

疼痛・痺れの部位・種類・度合いを確認する。

2) 方法

痺れ・・・口頭にて、本人の主観で、部位・種類・度合いを確認する。

疼痛・・・口頭にて、本人の主観で、部位・種類を確認する。度合いについてはVASにて確認する。

・VAS・・・10cmの疼痛の程度を記す。0~10までのポイントを決めて、0は痛みのないもの、10は最高の痛みを感じている点を示すものである。

3) 陽性徴候

病巣部位・疾病により、出現する事もある。疼痛・痺れはリハビリテーションにも影響を及ぼす為、確認が必要である。

 

●日常生活動作[ADL=active dairy of life

1.    動作の確認

1) 目的

日常生活動作の動作障害を確認する。

2) 方法

視診で、寝返り・起き上がり・四つ這い・膝立ち・パピーポジション・on hand等の動作障害を確認する。

3) 陽性徴候

体幹の回旋の減弱・消失。協調運動が行えず分解運動を行う。

2.    ADL評価表の評価

1) 目的

日常生活動作の動作障害度合いを確認する。

2) 方法

FIM・バーセルインデックス・Kazt・日本リハビリテーション医学会等の評価用紙を用い、ADLを評価する。

3) 陽性徴候

 

●その他

1.    立野の分類

1) 目的

運動機能の評価を行う事ができる。

2) 方法

モーターエイジテストを行い(以下の動作を行わせる)、関連付けて、運動面での診断に使用できるものができている。6段階に分かれている。Ⅰ⇒Ⅵの順に重くなる(年齢的には若くなる)。評価は、これらの分類を大まかな目安つけてから評価していった方が良い

*stageⅠ・・・交互に片足跳び(スキップ)が3m以上出来る。

*stageⅡ・・・両側同時にジャンプが可能(着地時もふらふらしない)

*stageⅢ・・・歩行・立ち止まりが可能(ふれたりとかぶれたりしない。5・6歩)

*stageⅣ・・・1分間に1.8m以上の移動可能である(這い這い・歩行等方法問わない)

*stageⅤ・・・介助なしに1分間お坐り可能(自分で手をついているのはよい)

*stageⅥ・・・寝たきり状態(介助で坐位可能はこのstage)。

2.    看護上の病期分類

1) 目的

病期による症状を確認する。

2) 方法

下記の表を参照する。

看護上の病期分類

運動(移動)障害

コミニュケーション(言語・書字)障害

嚥下障害

排尿障害

第Ⅰ期自力で行える時期 ・自立歩行可・起立位の開脚・両足を広げた歩行

・階段は昇れるが降りられない

・長くしゃべると呂律が回りにくくなる・書字が下手になる・細かい字が書きにくくなる ほとんどない ほとんどない 

 

 

第Ⅱ期一部介助を要する時期 ・歩行器の使用・階段の昇降は困難・車椅子での移動 ・呂律が回りにくい・断綴性、爆発性の言語・細かい字が書けない

・書字判読困難

・形の大きいものは食べにくくなる・水分の多い物はときにむせることがある ・残尿感・頻尿 

 

第Ⅲ期全介助を要する時期 ・ベッド上臥床 ・Yes,Noとの単語での会話・文字が書けない ・水分の多い物むせる・いつまでも口の中に食べ物が残っていて飲込むに時間かかる・よくむせる ・尿閉・バルーンカテーテルの挿入

(^q^)参考文献

実習対策レポート.運動失調と評価


スポンサード・リンク