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(о´∀`о)慢性関節リウマチの話


!(^^)!題名:慢性関節リウマチの話

慢性関節リウマチの、具体的な理学療法プログラム(ADLへのアプローチも含む)

慢性関節リウマチ(RA)の理学療法プログラムについて以下より述べる。

Ⅰ.慢性関節リウマチに対する理学療法の目的

・消炎

・鎮痛

・関節可動域訓練での拘縮の予防・改善

・筋力強化

・姿勢訓練

・全身状態の改善

・関節変形に対する予防,進行阻止

・ADL訓練

 

Ⅱ.RAの病期・病像と理学療法

RAの病気は大きく分けて3つに分けられる。初期(急性期)、中期(亜急性期)、晩期(慢性期)の3つである。以下よりRAの発症後の経過と理学療法の流れを述べる。

まず、初期(急性期)は薬物療法を中心に、安静と運動のバランスが重要である。リウマチ体操などを指導し、軽い自動運動を習慣化させ、機能低下を防ぐ。また、水泳などを勧めたり、簡便な温熱療法も自宅で行わせる。RAと診断されたことで、精神的にフォローすることが大切な時期である。患者個人に加えて、家族の理解と協力も治療の一環として重要である。この時期は理学療法士があまり関わらないことも多いが、今後の一貫した治療での患者教育を考慮し、自宅でできる自主訓練の指導や、日常生活動作の指導などをするべきことは多いと考えられる。

中期(亜急性期)は、病状が徐々に進行し、機能障害によって日常生活にもかなり支障が出てくる。この時期は、薬物療法、運動療法を中心に、自宅での運動も積極的に行わせる。そのためには、患者の特徴を把握し、一日の痛みの強弱にあわせて運動プログラムを処方する。また、装具、自助具の使用も考慮していく。

晩期(慢性期)は、機能障害の重度,中等度,軽度の区分がある程度明瞭になってくる.関節の破壊が著明なケースでは整形外科的手術が適用される.主に人口関節による置換術が行われ,術後のリハビリが行われる.重度機能障害が著明なタイプでは,二次的なさまざまな症状の訴えが出現する.頸部や体幹のコルセットの常時着用により,頸部,肩甲帯,体幹の可動性の減少が著明になる.骨粗鬆症が進行し,容易に胸椎,腰椎の圧迫骨折を起こし,移乗動作の際に肋骨を痛めたりすることもある.また,起き上がり,立ち上がりなどの際に腰痛を起こすこともあるので注意を要する.

 

Ⅲ.RAのリスク管理

RAの活動性を評価するための炎症所見として,赤血球沈降速度(赤沈),CRP(C反応性蛋白),血清アミロイドA(SAA),補体,血球数,血小板などがある.中でも赤沈は最もよく使用される炎症所見の一つで,その値が運動負荷の指標に用いられる.赤沈値が1時間値60mm以上を示すときは軽度な運動量にとどめたい.必要ならば安静を支持する.赤沈地が1時間値30~60mmであれば,中等度の運動量を課すことが可能となる.赤沈値が1時間値30mm以下であれば,患者の意欲も高まり,積極的な運動を行うことができる.ただし,関節破壊が強度に見られる場合は,変形や疼痛に見合った運動量を設定することが望ましい.しかし,赤沈値も絶対的な指標ではないので,局所の関節炎や全身症状,患者の意欲などを評価して臨機応変に最終的な決定をすべきである.

 

運動負荷のための指標と運動量の目安

1.症状 初期・活動(再燃)期 緩解期 機能障害期
関節炎~活発

全身倦怠感・微熱(+)

関節炎~安定

全身症状~安定

関節変形・破壊~出現

関節炎~鎮静

ADLの制限

関節変形・破壊~強度

 

2.赤沈値 60mm/時以上 30~60mm/時 30mm/時以下

↓          ↓           ↓

運動内容 〔機能の保護〕

・     安静

・     リウマチ体操

〔機能の予防・維持〕

・     関節可動域運動

・     筋力増強運動

〔機能の改善〕

・     矯正

・     観血的療法

 

Ⅳ.理学療法プログラム

前述に示した理学療法の目的別にどのような理学療法が行われていくのかをまとめていく.

1.消炎

RAに見られる関節炎消炎は,薬物療法によって確実に達成される.理学療法の分野に限って考えるならば,固定がもっとも有力な方法であるが,効果は薬物療法には劣る.また,固定には拘縮・強直,筋力低下を引き起こすという欠点もある.しかし,この方法には薬物療法には見られない利点がある.それは,固定による拘縮や筋緊張に対し,十分な考慮がなされれば極めて安全であるという点である.また,拘縮・強直,筋力低下の危険をあえて侵してでも固定し消炎をはかるのは,RAの全ての病変,変形,機能障害は炎症のために発生するためである.以上のことより固定は,治療目標を1~2の少数関節に絞り,かつ極めて急性所見が強い場合には,もっとも有用な消炎法であるといえる.RAの消炎および鎮痛を目的とした固定は,以下のようなものがある.

1)完全固定

ギプス包帯により完全に固定する.膝,肘,足首など大型の関節に強烈な炎症の起こった場合が適応である.固定の日数は4~5日から1週間程度を一応の目標とし,疼痛,全身的発熱,CRP,血沈などを指標として,改善が見られたら中止する.改善が単に腰痛の軽快にとまるのであれば4週まで続けても良い.固定中は等尺運動のできる部位であれば,必ず毎日実行させる.ギプスを除去した後はただちに関節可動域訓練と筋力強化のプログラムに移る.

2)一定時間の固定

removable splintを使用し,1日の大部分もしくは一部分を固定する方法できわめて実用的である.使用する副子はギプス副子でもプラスティックまたは金属とレザー,布でも良いが,固定する関節部に十分適合したものでなければならない,固定に一日のどれほどの時間を充当するかは,炎症の強さにより異なる.つまり,極めて強い場合には,ほんの数分の運動時間を除き固定することもある.副子による固定の利点は,一定時間これをはずし,目標としている関節の全運動方向にわたる可動域運動を行うことにより,多少とも拘縮と筋萎縮とを予防しうることにある.もちろん,消炎を目的をして固定しているのだから,運動は静かにかつ荷重を避けて行うべきである.また,等尺運動が可能であれば実施すべきである.また,装具や靴も固定に利用しうるものである.

 

2.鎮痛

効果的な鎮痛は,RAの疼痛が何によって起こるのかを知ることにより達しうる.以下よりRAの発生起序別の疼痛について述べた後,鎮痛に関して述べていく.

1)RAの発生起序別の疼痛

(1)急性炎症による関節

罹患関節には腫脹,発赤,局所熱の急性炎症症状がそろい,さらに自発痛および圧痛のあることが特色である.関節の機能時疼痛に相当する運動痛ももちろん激しい.このような疼痛を引き起こしてくるのは,急性炎症により産生されるキニンなどの発痛物質であろうと考えられる.局所の疼痛閾値も低下している.

(2)拘縮による関節痛

慢性炎症による疼痛に対する保護的な肢位に逆らって動かす痛みともいえる.したがって,必ず運動痛の姿になり,じっと保護的肢位をとっている限り痛みはない.保護的な肢位の多くは,伸筋群の弛緩と屈筋群の異常な緊張との組み合わせで成立し,その結果各関節ごとに発生しやすい拘縮が定まってくる.

(3)阻血痛

慢性関節リウマチの基本病変として血管炎がある.臨床的には筋ポンプ作用が働かない場合には,血行不全が起こりやすくなる.血行不全のある場合に運動を行うと阻血痛が起こる.慢性関節リウマチの関節痛の中に運動開始痛があり,これは筋ポンプ作用が働くまでの阻血痛ともいわれている.

(4)   関節の適合不良による疼痛

慢性関節リウマチの病的肉芽によって不平等に関節軟骨が侵食されたような軽度なものから,軸性の異常や亜脱臼,さらに骨の部分的欠損までを含む変形による高度のものまである.適合性の不良は関節へ機能的刺激が加わり,機械的炎症を起こすとともに,痛覚に敏感な関節包,人体などの周囲軟部組織に異常な圧迫,ねじり,牽引として働き,運動によって疼痛が起こってくる.運動痛として現れるが,下肢の関節では荷重痛と表現されるように加わる歪みの強さに支配される性質がある.

以上主要な慢性関節リウマチによる関節痛を示したが,実例については②~④までの混合型が多い.

 

2)それぞれの鎮痛

(1)急性炎症性の疼痛を和らげる理学療法は,消炎と同じく熱を加えるよりも固定と安静とが主力になる.固定を完全に行えば,急性炎症による疼痛は1~2日でほとんど訴えられなくなるほどである.完全固定は極めて激しい急性炎が適応となるが,炎症による痛みが加味され,それに②,③,④の痛みが重なっている場合であっても,痛みを和らげることができる.前述したような,時間を限った固定,固定用の装具なども利用すべきである.

(2)拘縮による関節痛は,炎症があっても軽いので,温熱療法が最も良く,その結果,関節包,靭帯および筋・腱の伸展性が増し,かつ疼痛に対して閾値が上昇し,痛みが軽くなった状態で関節可動域運動を実施する.温熱療法によるこれらの効果は,体操を続けることにより持続するなど,運動開始前に1回試行すればよい,また,全身の関節に行わなくとも,これが動機付けともなるので,最も運動痛の著しい部分に行うのを原則とする.温熱療法はどの方法でも有効であるが,その部位により,ホット・パック,パラフィン浴,電磁波などを使い分けるべきである.全身の関節に温熱を作用させたい場合は,全身欲が利用され,ことにはバードタンク内での浴中運動が良い.しかし,この方法はかなりの消耗を伴うので,連続して毎日,長期間行うべきものではない.また,極超短波などの電磁気および超音波は,深部発熱を期待できるが,組織障害性もあるので乱用は避けるべきである.

(3)阻血痛に対しても拘縮による痛みと同じ方法が利用される.ほとんど炎症がなく,運動開始痛のみが強い場合には,軽くかつ運動範囲も狭い運動を行ってから,通常の筋力再建,可動域拡大の運動に移るようにする.

(4)適合性の不良に対しては,副子や装具が必要なことが多い.特に体重を受ける下肢では,靴や装具に重点がある.

※その他

温熱療法の一つとして,温泉浴も上げられる.温泉水には浴後に皮膚からの放熱を阻止する食塩などの塩類や,皮膚血管を主とする末梢血管を拡張して末梢血行を盛んにする炭酸ガスなどを含む場合が多く,慢性関節リウマチのリハビリテーションに際して応用される温熱療法として極めて目的にかなった性質を有している.

 

3.関節可動域訓練

関節可動域訓練は,他の疾患と同一の方向に対して行うが,痛みがあることが通例なので,温熱療法を施行し疼痛が軽くなり,かつ軟部組織の伸展性も良くなった状態で実施する.この場合に,セラピストが介助して行うより,患者自身で疼痛に耐えられる限度まで動かすようにしたほうが良い.これは,炎症に対し有害なまでの可動域訓練を避けるためで,気長に,日数をかけて,徐々に可動域を増加させるように心がけるべきである.セラピストが介助して行う場合(自動介助運動)は自動運動で代償運動が強く出現する場合で可動域の確保が困難となったとき,自動介助運動を行う.自動介助運動は,痛みの発現に注意しながら,最大可動域まで運動していく.正常な関節をイメージしながら,不安定な部分を保持し,代償運動があまり出現しないようにリラックスさせながら運動を誘導する.

慢性関節リウマチでは2種類の関節拘縮が多くの場合共存する.その1つは関節炎症の際に反射的に発生する主に伸筋の弛緩と,それに続く筋力低下,屈筋の異常緊張で,多くは屈曲位での拘縮を示す.第2は,より解剖学的な変化であって,反射的に異常な緊張が持続する屈筋の短縮をはじめ,反射的屈曲位で伸展される側の関節包のゆるみと反対側の短縮,関節包・靭帯・腱などの瘢痕形成による短縮あるいは繊維化などである.拘縮の予防では,反射的な拘縮が,より回復困難な解剖学的変化を伴った第2の拘縮に移行しないための手段である.この拘縮を取り去る最も良い方法は完全な消炎である.そこで前述の鎮痛のこうでも述べたように,多少でも消炎を妨げる運動を廃止,完全固定をすることが進められる.つまり,少なくとも反射的な有痛性拘縮が主体であると考えた場合に,関節炎に対し行われている消炎の治療(主には薬物)に逆行するような強い関節可動域訓練は禁忌である.すなわち,強い痛みのこない範囲で,現在の可動域を保持すればよいという目標で訓練を行う.例えば,股関節の屈曲拘縮に対し,慢性関節リウマチの場合には多くの教科書で,1日に1~2に時間程度腹臥位をとり,屈曲位をごく穏やかに伸転位に矯正することが進められる.

慢性関節リウマチの晩期もしくは炎症が完全に消褪し,単に強直や瘢痕化・繊維化による拘縮のみになった場合には,強直した関節を除き強力な可動域訓練を行ってよい.これらの関節では,炎症の場合とは逆に,血液の供給は極めて乏しく,関節内温度も低下している.関節可動域訓練により血行は良くなり関節内温度は上昇し,関節内に蓄積されている老廃物の代謝も改善され,すべてに良い効果がもたらされる.結局,可動域訓練においても,または筋力再建のための訓練にしても,患者があるいはその関節がどのような慢性関節リウマチ活性を有しているかを見極め,保護的にするか,維持的にすべきか,あるいは積極的にするべきであるのかが定まる.

 

4.筋力強化

慢性関節リウマチに罹患下関節運動にあずかる筋の筋力低下は,必発のものであると考えてよい.原因は,1つは前述にもあるように反射的に起こる主に伸展筋の弛緩と萎縮でなり,ほかの1つは一般に広く見られる不(廃)用性の筋萎縮である.したがって,慢性関節リウマチのリハビリテーションにおいて筋力強化はつねに必要なプログラムである.

【反射性筋弛緩・萎縮】

反射性の筋萎縮は,大関節に炎症のあった場合に主に伸筋群に見られる.実験的な成績や関節内出血などの急性関節炎での臨床経験から,この筋萎縮は急性炎症が現れれば必ず合併するもので,数日後に端・触診上でも明らかにしうる程度の萎縮が出現してくる.臨床的に大切なのは,膝関節炎と大腿四頭筋,股関節炎と大殿筋・中殿筋であり,共に起立・歩行の基本的なADLが失われるまでにいたるものである.この他に目立つ反射的筋萎縮としては肘関節炎と上腕三頭筋萎縮がある.反射的筋萎縮は急性かつ強烈な関節炎によるものであり,基本的には関節の消炎,あるいはその部の安静が極めて大切である.しかし,筋萎縮を防ぐためには当然運動負荷が必要である.この2つの相反する要求を満たすものは筋の等尺運動訓練のみであり,これが主体となる.最も容易に行えるのが大腿四頭筋であるため,たとえ股関節が目標であっても,まず膝蓋骨を引き上げる運動から教える.大殿筋は仰臥位で「お尻を小さく硬くする運動」と教える.中殿筋は仰臥位で,膝伸展位で中殿筋部に患者の手掌を置き,股関節を外転する気持ちで起こる中殿筋収縮を触れさせる.等尺運動は始め20回連続よりスタートし,100回連続まで可能となったら多少の抵抗を加える.大腿四頭筋では,PTが膝蓋骨を固定して徒手抵抗を加える方法が最も良い.中殿筋では幅の広いゴム製の弾性ループを両下腿に回し,これを多少押し広げるような運動をさせる.ループの弾性が十分に強く,股関節が外転されない程度でなければならない.

 

【不(廃)用性筋萎縮】

不用性萎縮に対する訓練は,消炎のために関節を固定している場合と,さらに全身性の関節炎のため臥床している患者などに必要である.関節固定が完全固定であれば等尺運動のみが許されるが,1日に1~2回これを除去しうる場合には,関節可動域訓練をかねて全可動域にわたる自動運動を行うことにより筋萎縮を予防する.原則として抵抗運動は行わない.全身的な関節炎があり,非活動的な日常生活を送る患者の場合にも,関節可動域制限を予防する意味もかねて,1日に1回は全関節の自動運動を実施する.この場合,運動を禁じて消炎をはかっている関節があれば,これは除く.

筋力の再建および強化は,全身的に発熱,血沈の高度亢進,CRPの強陽性などの強い反応がなくなった時点で開始する.

慢性関節リウマチによる炎症が完全に消え去った関節については,その運動に関与する筋のDelorme法10RMによる漸増抵抗運動を実施しても良い.臨床的に完全に炎症が消失していると考えていた関節でも,炎症の再燃が見られることがあるので,漸増抵抗運動開始後2~3週の間は,頻回に主治医のチェックを受けるべきである.炎症再燃の初発症状は,運動痛,軟部組織の浮腫上の腫脹などである.完全消炎の状態になくても,歩行など基本的なADLに必須の筋については,抵抗運動を含む筋力再建を実施せざるを得ないことが多い.特に日本人では膝関節に難治な関節炎が残り,大腿四頭筋の萎縮・弱化が多くみられ,歩行能力を障害すると共に膝関節固定不良の原因ともなりやすい.このような場合には,まず等尺運動から開始し,連続100回程度可能となった時点より抵抗運動に移る.加える抵抗はDelorme法10RMより弱くする.一応の目安としては,翌日に痛みがみられない程度と経験的に言われている.

慢性関節リウマチにより高度の筋力低下をきたし,関節可動域も極端に制限されている末期例のリハビリテーションは,極めて困難な問題である.この場合は,ハバード・タンクを利用して,浴中での自動運動を行い,多少とも筋力の再建および可動域の増加をはかる.タンク内では浮力を利用しうるし,疼痛も軽くなるので,末期慢性関節リウマチ患者に適した訓練である.しかし,決して過大な望みを持つべきでなく,低いゴールでもそれに進むことが大切である.高いゴールを示すことは,時に患者の心理に対し負担を与えることになり,果たされないゴールが逆にマイナス因子として働くことが多い.

 

※     関節手術前後の筋力強化を含む理学療法

術前に行うべきことは主に筋力の強化であるが,それが炎症をより強くするようでは,むしろ手術の妨げとなる.膝・股関節などが手術の対象となる例が多いが,この両関節では,大腿四頭筋,大・中殿筋の等尺運動を十分に教えかつ訓練し,術後の固定期に備えることが大切である.

術後は,手術による直接的な反応である発熱などが消え去ったならば,直ちに等尺運動を開始する.通常術後2~3日目と考えてよい,術後はギプス包帯による完全固定が行われているのが原則である.固定期間は多くの場合1週間から10日前後であるが,この期間を何もせずに過ごしてはならない.術前に実施法を教えておいた等尺運動で,手術を行った関節に関与する筋の筋萎縮を防ぐと共に,固定されていない他の部分については,床上で自動運動を行わせ,臥床による筋力低下を防ぐ.

術後のギプス固定が終わったならば,等尺運動から自動運動に移り,筋力再建と可動域の拡大をはかる.術者の指示を受けながら正確に実施しなければならない.術後の予後は筋力再建に大きく左右されるので,筋力3を超えたならばただちに抵抗運動を開始する.慢性関節リウマチの場合には,術前すでに筋萎縮が存在するので筋力再建には長期間を要することが多いため,退院後も引き続き実施できるようなプログラムを術前から組む必要がある.

 

5.姿勢訓練

慢性関節リウマチには独特の姿勢がある.その特徴は①頸椎が前屈位となりやすい,②胸椎前彎が強くなりやすい(円背),③肩関節軽度屈曲位で肘関節も軽度屈曲位,④股関節および膝関節屈曲位である.この姿勢は,関節炎による反射的な筋の異常緊張と弛緩の組み合わせによるものである.このような姿勢は,エネルギー・ロスがあり,歩行耐性が低下し,疲労しやすく,しかも関節にも負担が増し炎症を強めている.これらの個々の拘縮に対しては,変形・拘縮に対する運動療法および装具,さらに寝具や就寝の姿勢までをも含めた生活指導などが必要である.その他特に実行しやすいものとしては,毎日鏡の前で自分で姿勢を正しくするようにすることが大切である.毎日の訓練のスタートとして,鏡に向かって頭をまっすぐに立て,背筋を伸ばし,股・膝関節では屈曲せずに直立するようにする.

 

6.全身状態の改善

general conditioning exercise(G.C.E)といわれるもので,前述の姿勢と共に毎日行うものとされているが,特別な可動域訓練などが行われている場合には必要が無い.慢性関節リウマチ患者はその病気の活性が高いほど,疲労感が強い.そのため,疲労するであろうと思われることは全て避けようとする.しかし,これではさらに血行も不良となり,筋力も落ち,ますます疲労しやすくなる.G.C.Eは,朝の日課としてごく軽く,全身を解きほぐすつもりでする体操で,ほんの数分行えばよい.G.C.Eのデザインは,その患者が立てるのか,歩けるのか,あるいは通常の社会生活までもしているのかで,異なる.頸・胸・腰椎と上・下肢に関係する体操をデザインしてあげるのが良い.

 

7.関節変形に対して

リウマトイド変形成立の原因には,関節固定不良,筋の繊維化と短縮,筋の働く方向の変化,硬組織の破壊などが組み合わさって作用しているので,個々に考える必要がある.

1)予防

肘,膝,股などの滑膜面積の広い大関節にあっては,消炎がほとんどすべてを決してしまう.しかし,手指,足趾の小関節では,消炎のみに力を入れても変形阻止は困難である.

PIP関節に炎症が頑固に残り,ことに屈曲位をとっている場合には,ボタン穴変形が起こりやすい.その中で,腱の癒着によるものは理学療法のみでは解決しえないが,伸展位にスプリント固定をするなど,できるだけの予防は講じるべきである.MCP関節に炎症が続くと,スワン・ネック変形と尺側偏位が起こりやすい.消炎とともに,尺側への動きを制限するスプリントおよび内在筋の伸展をはかる.手掌を机の上に平らに置き,MCPを浮かさずに指を曲げる訓練を実施する.尺側偏位は手指の屈曲,ことに強く握る際にMCP関節が炎症を有し関節固定が不良であると起こってくる.この予防は主に局所消炎と副子とで行うべきである.足の変形は主にMTP関節炎と足根間関節炎に起因する.運動により予防するよりも主に装具・副子による.

2)変形の進行防止

根本的には変わらないが,すでに発生した変形があっても,変形がより進まないように,運動,副子・装具などを与える.

3)完成された変形

同様に根本的には変わらないが,手術,自助具などをあわせて考える.

 

8.ADL訓練

RA患者のADLは疾病の進行に従い様式生活を余儀なくされる.関節痛や関節破壊による制限からだけでなく,関節保護や変形予防,エネルギーの温存という観点からの理由でもある.しかし,患者の立場からは「家族と同様の生活」を望むはずであり,機能的に余裕があれば関節を保護した動作を指導することで対応したい.RA患者にとって洋式生活への以降の分岐点になるのは,床(畳)での立ち座りが困難となるときである.したがって,この動作の保持は重要な意味を持つ.腹臥位と前腕支持での四つ這いが可能ならば,台(食卓など)を利用して立ち座りを行う.まず,背臥位から腹臥位となり,両肘を立て,両下肢を屈曲して殿部を挙上する.両上肢を台に置き換え,前腕で体重を支持しながら両下肢を伸展し,立ち上がる.この他,起き上がり,椅子からの立ち上がり,階段昇降,歩行など重要なADLとなる.ベッド上での起き上がりは,背外位から側臥位となり,両下腿をベッド端から下垂し,ベッド柵を支持しながら起き上がるようにする.この際のベッド柵使用は有用な手段となり,患者のベッドには必ずベッド柵を取り付けるようにしたい.階段昇降では特に降りる際に足関節の障害が強く影響する.病態の進行に伴い,1足1段昇降より2足1段とする.正面を向いて降りることが困難になった場合には,横向きや後ろ向きで行い,足関節の負担を軽減する.歩行では杖や松葉杖の使用が多く見られる.これまでRA患者にとって使用しやすい松葉杖が少なかったが,アルミ軽量杖は外観もよく患者の受け入れも大変良好である.歩行可能な状態が継続することが望ましいが,一方ですべての患者ではないものの歩行をあきらめざるを得ない時期が来ることも事実である.そのために,トレーニング中より歩行できることが唯一最良のものであり,歩行獲得が最終目的であることを課題に強調しないようにしたい.車椅子移動の可能性と必要性を説明しておくことも大切である.したがって,歩行可能な時期であっても,安定感のある歩様や十分な歩行距離が得られない患者に対しては,下肢の筋力増強運動や心理面での受け入れをかねて,車椅子移動の練習を行う.運動量については,基本的には動作が可能ならば積極的な運動は不必要と考える.なぜなら,関節への負担を回避するためと同時に,実際の日常生活では初回動作が実用的に行えることが重要であるからである.しかし,動作の習得や上達を考慮すると,10~20回の反復練習は必要と思われる.この場合には,初回動作の安定性の獲得を意識して運動を連続して行わないで4~5回ずつ休息をはさんで行うことに留意する.

 

リスク管理について

・主要なものは環軸椎の亜脱臼による四肢のしびれ感。

・この段階で配慮する点は、頸椎カラーを常用させるとともに高い枕の使用や柔らかい敷布団を避ける、あるいは起き上がりの介助を行うとき後頭部をもち上げない。

・次に副腎皮質ホルモンでの骨粗鬆症の場合は椅子などに座る際はゆっくり座らせるなど脊椎の圧迫骨折を予防する。


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