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(^∇^)呼吸と解剖生理学の話


(--〆)題名:呼吸と解剖生理学の話

●呼吸器系の器官

(1)気管および気管支

気管は、喉頭の下に続く半円筒状の管(長さ約10.5cm)で、第6頸椎の高さにはじまり、第4胸椎の高さで左右の気管支に分かれる。この部を気管支岐部という。

気管支は気管より分かれて外下方に走る。右気管支は2~3cm、左気管支よりも短く、太く、垂直に近い経過をとる。左気管支は5~6cm、細く、長く、ゆるい傾斜で左肺に入る。

気管支は肺門から肺に入り、肺内で樹枝状に分かれる。これを気管支樹という。

気管および気管支の壁には多数の馬蹄形の軟骨が、一定の間隔で並んでいる。これを気管軟骨、気管支軟骨といい、気管および気管支の前・外側壁の支柱となる。これに対して後壁は軟骨がないので、膜性壁(内部に2層の平滑筋層がある)という。

粘膜は多列線毛上皮で痰などの異物を喉頭から咽頭に向かって排出し、粘膜下組織には気管腺・気管支腺がある。

 

(2)肺

肺は、胸腔内で心臓の両側にある1対の半円錐状の実質器官で、右肺が左肺よりもやや大きい。幼児の肺は紅バラ色であるが、成人の肺は暗赤色である。肺の上端はとがり(肺尖)、胸膜頂に覆われ鎖骨上2~3㎝に達する。肺の底は肺底といい、凹面をなして横隔膜の上にのっている(横隔面)。肺の内側面(凹面をなす)の中央部には、気管支、肺動静脈、リンパ管、神経などが出入りする肺門がある(外側面は肋骨面)。

肺は後上部から前下方に斜めに走る斜裂により上・下両葉を分け、さらに右肺は水平裂(第4肋骨に沿う)により中葉を分ける。すなわち右肺は3葉、左肺は2葉からなる。左右の主気管支には、肺門から入ると各肺葉に対する葉気管支に分かれ、葉気管支はさらに数本の区〔域〕気管支に分岐する。区気管支はそれぞれ肺実質の一定の区域(肺区域)の換気を担い、肺尖枝(B1)に対して肺尖区(S1)などの名称がある。

区域気管支は分岐を繰り返して細くなり、細気管支となる。さらに分岐して細くなると、壁に小さな半球状の嚢である肺胞を生じるようになり、呼吸細気管支とよばれる。さらに分岐を繰り返し、壁のほぼ全周が肺胞で取り囲まれた肺管となり、数回分岐した後、肺胞嚢となって終わる。肺胞壁の内面はきわめて薄く扁平な扁平肺胞上皮細胞(呼吸上皮)と大肺胞上皮細胞で覆われ、上皮直下の間質には毛細血管が密な網目状に走り、弾性繊維が多く、弾性に富む。大肺胞上皮細胞は肺胞表面の表面張力を低下させる界面活性物質を分泌しており、もしこれが不足すると肺胞は膨らむことができず、つぶれて(虚脱して)しまう。このことは特に未発達な状態で産まれた未熟児で生死に関わる問題となる。

肺の機能血管は肺動静脈(肺循環)であるが、これを養う栄養血管は気管支の壁を走る気管支動静脈である。

 

(3)胸膜

肺の表面と胸郭の内面を覆う漿膜である。臓側胸膜である肺胸膜と壁側胸膜(肋骨胸膜、横隔胸膜、縦隔胸膜)の2葉からなり、両者間には少量の漿液を認める胸膜腔がある。そして両者の移行部を肺間膜という。

 

(4)縦隔

縦隔は、両側の肺および胸膜によって挟まれる胸腔中央部の総称である。前は胸骨、後ろは胸椎、両側には縦隔胸膜がある。縦隔には心臓およびそれに出入りする大血管、胸腺、気管、気管支、食道、胸管、迷走神経、横隔神経、大内蔵神経、胸大動脈、奇静脈、半奇静脈、交感神経幹などがある。

 

●呼吸の生理

(1)外呼吸と内呼吸

酸素を摂取し、二酸化炭素を排出する作用を呼吸という。呼吸作用を営む気管を呼吸器という。

肺で行われる呼吸を外呼吸(肺呼吸)といい、空気中から酸素を摂取して体内に取り込み、血液によって各組織へ運搬し、同時に体内に生じた二酸化炭素を血液によって肺に集め、空気中に排出する作用である。空気と血液とのガス交換である。

血液と組織細胞とのガス交換を内呼吸(組織呼吸)という。

一般に呼吸といえば、外呼吸をいう。したがって、呼吸器とは外呼吸に関与する器官をいう。

 

(2)呼吸運動

1)吸息

主吸息筋である外肋間筋の収縮により、肋骨の前部が挙上し、胸郭の前後径が拡大する。また、胸壁と腹腔の境となっている横紋筋の膜である横隔膜は収縮して下方に下がり、胸郭の上下幅が増大する。これにより胸郭は拡大し、空気は受動的に流入する。横隔膜はドーム状に張られており、収縮すれば、平らになって胸腔の下方に押し下げられ、弛緩すれば、腹圧により再び押し上げられ元に戻る。

2)呼息

呼息と異なり、胸郭自体の重さ、肺の弾力性、主呼息筋である内肋間筋などにより、肋骨は下がり、胸郭の前後径が収縮する。一方、横隔膜は挙上し、胸郭の上下幅が減少し、胸腔は収縮する。これにより呼息が行われる。

3)胸式呼吸と腹式呼吸

呼吸運動で主として肋間筋の働くものを胸式呼吸、主として横隔膜の働くものを腹式呼吸という。胸式呼吸は女性に多く、腹式呼吸は男性に多い。胸腔を拡大する働きは胸式呼吸のほうがはるかに大きい。

 

(3)呼吸数、換気量、呼吸量

1)呼吸数

呼吸数は年齢によって異なり、健康成人で1分間に16~20回、新生児では40~50回となる。呼吸数は睡眠時には少なく、運動時に増加する。また体位や外気温、精神興奮、体温そのほか種々の原因で変動する。

2)肺活量

最大呼吸運動で呼出しうる呼出量を努力性肺活量という。肺活量のうち右肺は約55%、左肺は心臓が左側に位置しているので右肺より小さく、約45%を占める。

成人男子でおよそ3~4ℓ、女子で2~3ℓである。年齢、身長により影響をうける。

換気能力を調べる目的で時間肺活量が用いられることが多い。スパイロメーターで最大呼気曲線を記録し、初めの1秒間に呼出される量を1秒間最大呼気量、略して1秒量という。努力性換気の際の呼気時間が1秒前後であるため、1秒量の値は換気能力の指標として大切な値である。

1秒率

×100(%)を1秒率という。1秒率とは、努力性呼出時の最初の1秒間

努力性肺活量

に全体の何%を呼出したかを示すものである。1秒率は、体表面積、性と関係なく、70%以上を正常範囲とするが、若年成人は通常80%以上を示す。加齢とともに低下する傾向がある。

3)換気量

安静呼吸で、1回に吸入される量、あるいは呼出される量を1回換気量といい、約0.5ℓである。正常の吸息後、さらに努力して吸い込むことのできる空気量を予備吸気量といい、約2.0ℓである。正常の呼息後、さらに努力して吐き出すことのできる空気量を予備呼気量といい、約1.0ℓである。肺活量はこの3者の和である。

できるだけ多くの空気を吐き出したあとにも、なお肺内には約1.5ℓの空気がのこっており、これを残気量という。予備呼気量と残器量の和を機能的残気量という。

4)呼吸量

呼吸量は1分間の呼吸数と1回換気量の積として表される。分時(毎分)換気量という。成人でおよそ6~8ℓで、運動時には50~70ℓ、激しい運動時には110~120ℓにも達することがある。

単位時間(15秒)に意識的にできるだけ早く、深く呼吸運動を行わせたときの最大呼吸量を最大換気量といい、ℓ/分であらわす。

 

健康成人で88~95%で、60~70%になれば呼吸困難となる。

呼吸による空気は気道を通り肺に達するが、気道のガスはガス交換にあずからない。このガス交換をしていない空間を死腔という。このガス量は約150mlである。この空間の体積を解剖的死腔、空間のガス量を生理的死腔と区別するが、健康人ではこの2つの死腔は等しい。

死腔が存在することから、実際に肺胞に達して換気する量(肺胞換気量)は〔1回換気量-死腔量〕となる。〔1回の肺胞換気量×1分間の呼吸数〕を分時(毎分)肺胞換気量という。したがって、分時換気量は同じであっても、呼吸数が少なく1回換気量の大きい深い呼吸は、呼吸数が多く1回換気量の少ない浅い呼吸に比べて肺胞換気量が多く、換気効率がよい。

安静時の分時肺胞換気量で摂取される酸素量は約250ml、排出される二酸化炭素量は約200mlである。

 

(4)血液ガス

1)ガス分圧

血液100mlには約60~70mlの血液ガスがあり、N2などは全部溶解しているが、酸素と二酸化炭素の大部分は他の物質と結合している。

呼吸における基本的な値は、量、圧、濃度である。ガスの量はV、血液の量はQ、ガス濃度はF、血中濃度はC、圧は全てPで表す。単位時間での量の変化はVまたはQの上に点をつけ、V(Vドット)、Q(Qドット)であらわす。

乾燥空気は、酸素20.95%、二酸化炭素0.04%、窒素79.01%(他の不活性ガスを含む)の容積100分率(vol%)をもち、海抜0mでは760mmHg(1気圧)を示す。各ガス圧(分圧)はその量に比例するから、酸素分圧は、760×20.95/100=159mmHgとなる。

酸素分圧や二酸化炭素分圧をPo2、Pco2、動脈血酸素分圧、動脈血二酸化炭素分圧をPao2、Paco2のように表す。

肺胞は水蒸気で飽和されている。飽和水蒸気圧は37℃(内部体温)で47mmHgである。肺におけるガス交換は、ガスの分圧の高いほうから低いほうへ放散して行われる。

Pao2は年齢により異なり、一般に20~80歳の間で、Pao2=110-(0.5×年齢)の式で概算される。息こらえではPaco250mmHgくらいが限度である。

正常安静時の平均ガス分圧(mmHg)

吸気(大気) 肺胞気 動脈血 静脈血
Po2 159.2 100 95 40
Pco2 0.3 40 40 46
Pn2 600.5 573 573 573
Ph2o 0 47 47 47
760 760 755 706

 

2)血中の酸素と二酸化炭素

肺胞気のPo2は100mmHgで、この酸素分圧下で約97%のHbが酸素と結合している。(男女の平均として血液中のHb量を15g/dlとすると、結合酸素量は19.5ml/dl)これが静脈血になると酸素分圧は約40mmHgに低下して、わずか75%のHbが酸素と結合しているにすぎない(結合酸素量15.0ml/dl)。したがって、安静時には血液が流れる間に、血液1dlごとに約4.5mlの酸素を組織に与えることになる。Pao250mmHg以下ではHbの酸素結合能は急速に低下する。

安静時の血液中の二酸化炭素量は、動脈血で約46ml/dl、静脈血で約50ml/dlである。その差4ml/dlは、血液が組織の二酸化炭素を受け取ったことになる。

組織で産生された二酸化炭素は血漿に入り、拡散により赤血球に入る。この二酸化炭素の大部分は赤血球内の炭素脱水酵素の作用によって炭酸になり、急速に水素イオンと炭酸水素イオンに解離する。炭酸水素イオンは血漿中に放出される。水素イオンは大部分ヘモグロビンに吸収される。肺内で血漿中の炭酸水素イオンは赤血球に入って二酸化炭素となり、血漿中に遊離され、肺胞に放出される。

 

(5)呼吸の調節

1)呼吸中枢

呼吸運動は、随意的に行うこともできるが、一般には無意識のうちに反射的に規則正しいリズムで行われている。呼吸運動の自動調節機構は複雑であるが、基本的には延髄にある吸息中枢と呼息中枢の働きによる。この呼吸中枢から律動的なインパルスが肋間筋や横隔膜に送られ、呼吸運動とその調節を行っている。吸息中枢は自動性を持ち、呼息中枢よりその働きが強い。

2)神経性調節

吸息により肺の容積が増大すれば、肺の伸展受容器が刺激され、迷走神経を介して求心性インパルスが吸息中枢に送られ、吸息中枢の興奮を抑え、吸息が停止するとともに受動的に呼息へ切り替える。逆に呼息により肺の容積が収縮すると、迷走神経を介するインパルスがやみ、再び吸息が始まる。この肺容積の増減に伴う肺迷走神経反射をへーリング-ブロイアーの反射という。吸息、呼息の交代に関与する反射として重要である。

このほか頸動脈洞および大動脈の圧受容器が動脈血圧の上昇により刺激されると、反射的に呼吸運動が減少する。

また、皮膚、鼻の粘膜、気道などの反射により、呼吸運動が変化する。

3)科学的調節

呼吸中枢に影響を与える最も強力な刺激は、血液中の二酸化炭素濃度である。血液中の二酸化炭素分圧が正常より高くなると、呼吸運動は大幅に増大する。二酸化炭素は延髄に存在する作用の強い中枢性科学受容器を刺激し、呼吸中枢はこの受容器の興奮を受けて、反射的に呼吸を促進する。

血液中の酸素の呼吸中枢に対する作用ははなはだ弱い。動脈血のヘモグロビンの酸素飽和度は、かなり換気が悪くなって、Po2が下がっても影響されにくいためである。すなわち換気量が下がり、Pao275mmHgくらいまではヘモグロビンはほとんど全部酸素で飽和され、さらに換気を促進しても、酸素と結合するヘモグロビンが残っていないためである。したがって、酸素濃度を一定に保つための敏感な調節機構は必要でないことになる。

頚動脈小体や大動脈体には呼吸の末梢性科学受容器が存在し、血液中の二酸化炭素の増加、酸素減少、pHの減少などに反応し、反射的に呼吸運動を増加させる。

 

(6)酸素負債

運動をすると酸素を必要とする。激しい運動の際、必要な酸素量(酸素需要量)をまかなうには、運動中に肺から取り入れる酸素量(酸素摂取量)では足りなくなる。筋は無酸素的に収縮しうるが、その回復には酸素を必要とする。運動中に足りなかった酸素を酸素負債といい、運動後、呼吸を促進してこの酸素を返済する。酸素摂取量と酸素負債を足したものが酸素需要量である。酸素負債には限度があり、個人的に異なる。一般人で4ℓ前後である。一流の運動選手で10ℓ前後であるが、16~19ℓを示すものもいる。

循環、呼吸の運動時の変化

安静時 運動中
中等度 最大
循環

心拍数

分時拍出量、ℓ

最高血圧、mmHg

呼吸

呼吸数

1回換気量、ml

分時換気量、l/分

酸素負債、ℓ

乳酸、mg/dl 血液

 

70

4~5

120

 

16~20

500

6~8

……

4~15

 

120~150

10~20

160

 

30

2000

50~70

4~8

70~140

 

200

35

240

 

60

2500

120

16~19

210

 

(7)最大酸素摂取量

酸素摂取量(酸素消費量)は生体の行った仕事量をよく示すものである。最大酸素摂取量は最大努力で運動や作業をしたとき、体内へ取り入れることができる最大の酸素量で、体持久力や作業能力の指標とされている。酸素消費量1ℓは約5kcalのエネルギーに相当する。一般成人男子で、2.5~3.0ℓ/分、体重1kgあたり40~50ml/分で、女性は男性の70~80%である。最大酸素摂取量は心拍数とよく比例する。


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