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(≡^∇^≡)副腎腫瘍の話


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副腎腫瘍とは

 副腎皮質の腫瘍であるクッシング症候群・原発性アルドステロン症と、副腎髄質の腫瘍である褐色細胞腫がある。大部分は良性の腫瘍であり、副腎腫瘍摘出術により根治する。治療せずに放置した場合には、重篤な合併症により予後不良となるものもある。

病態アセスメント

 副腎腫瘍摘出術は、全身麻酔で行なわれるため、全身の評価が必要である。副腎は、生体にとって重要なステロイドホルモンを分泌するため、副腎摘出後はステロイドの補充とともに、急激な症状の変化に注意していく必要がある。ステロイドの投与は術後しばらく続くため、合併症の出現にも注意が必要である。また、術前に患者、家族に十分な説明を行なう。

Ⅰ.クッシング症候群

 副腎皮質から出されるグルココルチコイドのコルチゾールの過剰による。約10%が副腎の腺腫であり、他は下垂体のACTH過剰生産によっておこる副腎皮質の過形成である。臨床所見が同じなのでこれらをまとめてクッシング症候群とよぶ。コルチゾールは筋からアミノ酸を遊離させ、肝で糖とグリコーゲンに分解される過程を亢進させるので、腹部の肥満、筋肉の弱化、糖尿などがおこる。

 症状

 特徴的な満月様顔貌が現れ、野牛肩、中心性肥満と呼ばれる顔面、頚部、体幹に著明な脂肪沈着をきたす。皮膚は薄くなり、脂肪沈着のために亀裂を生じ赤紫色の伸展性皮膚線条ができる。皮下出血や挫瘡ができやすい。過剰なACTHにより色素沈着がみられる場合がある。高血圧、骨粗しょう症、筋力低下、腎結石、インポテンツ、無月経、多毛、精神障害などがみられる。

 検査

・血液検査:好酸球減少・消失、リンパ球の減少、低カリウム血症、血中コルチゾール値、尿中17ーOHCS値が増加する。

・デキサメサゾン抑制試験:血中コルチゾール値、尿中17ーOHCS値のデキサメサゾン投与による低下の有無の判定

・その他:頭部XーP、頭部・腹部のCT、副腎シンチグラフィー、副腎静脈造影、副腎静脈サンプリング

 治療

1.外科的治療

 1)下垂体腺腫摘出術→「下垂体腺腫摘出術を受ける患者の看護」を参照

 2)副腎摘出術

2.放射線治療→「放射線療法を受ける患者の看護」を参照

Ⅱ.原発性アルドステロン症

 副腎皮質に機能亢進を伴う腺腫が発生する。ミネラルコルチコイドのアルドステロンが過剰に分泌され、遠位尿細管と小腸の機能に変化をもたらし、尿中にカリウムが失われ、ナトリウムの再吸収が多くなる。その結果全身のカリウム不足、ナトリウム過剰アルカローシスをおこす。病理組織的には良性の腺腫であるが、症状が激しいため、何らかの処置が必要となる。時に腺癌のことがある。大体片側の副腎に発生し、腫瘍そのものは小さくて、母指頭大以上のものは稀である。

 症状

 高血圧、頭痛、全身倦怠感、むくみ、発汗、動悸などを示す。長期のカリウム欠乏の結果として、筋力低下、四肢麻痺、テタニー、心電図異常、代謝性アルカローシス、耐糖能障害などをきたす。尿中カリウム排泄増加により、腎の尿濃縮力が低下し、多飲・多尿がみられる。

 検査

・血液検査:血清カリウム低値、血漿レニン低値、血漿アルドステロン高値

・レニン分泌刺激試験:血漿レニン分泌の増加の有無の判定

・その他:腹部CT、副腎シンチグラフィー、副腎静脈造影、副腎静脈サンプリング

 治療

1.外科的治療:副腎摘出術

2.薬物治療:抗アルドステロン剤の投与→[高血圧症患者の看護]を参照

Ⅲ.褐色細胞腫

 副腎髄質から生ずるカテコラミン産生腫瘍である。原因は不明で、腫瘍の90%は一側性に発生するが両側性、多発性、悪性例もそれぞれ10%を占める。家族性にみられるものは両側性の頻度が高く、しかも他の内分泌腺症を伴うことが多い。高血圧を主徴とするが、一部には症状のないものがある。副腎摘出により根治するものが多いが、悪性のものは予後不良である。術前投薬として硫酸アトロピンは禁忌である。

 症状

 血圧上昇、心拍数の増加、頭痛、動悸、発汗をはじめ嘔気、嘔吐などが多い。血糖上昇や脂肪分解亢進のため糖尿があらわれる。体重が減少する。

 検査

・血液検査:白血球数増加、血清蛋白の増加

・尿検査:尿中カテコラミン及びヴァニルマンデル酸(VMA)の増加

・その他:腹部CT、副腎動静脈造影、副腎シンチグラフィー、副腎静脈サンプリング、IVP、超音波検査

 治療

1.外科的治療:副腎摘出術

2.薬物治療:α・β遮断剤の投与→[高血圧症患者の看護]を参照

術後の経過と管理

 1.精神的サポート

 副腎は生命の維持と生体反応の重要な部分をつかさどっており、重要なホルモンを分泌している。疾病の特徴から精神状態の不安定が生じており、加えて手術後は手術の結果、今後の予期的不安などが生じる。手術後にはステロイド補充療法が行なわれ、特に精神状態の変化には注意が必要である。不安の内容や程度、表出の仕方などは個人によって異なるが、精神的・身体的・社会的側面から総合した情報で患者個々の訴えを判断することが大切である。手術後の長期治療に対して、しっかりとしたサポートシステムを作っておく必要がある。

 2.疼痛の管理

 一側性摘出か両側性摘出かによって疼痛の程度は異なるが、患者に我慢させず、十分に除痛を図るべきである。特に高齢者の場合、疼痛は心血管系に負担をかけ、血圧の上昇や不整脈を誘発することもあり、十分な除痛が望まれる。最近では、手術時に硬膜外カテーテルを留置し、手術後に持続的に麻酔薬を注入することによって除痛が図れることが多い。

 3.呼吸器系の管理

 疼痛による呼吸運動の抑制、痰の喀出不良が原因で術後無気肺、肺炎になることがある。

 4.水分・電解質バランスの管理

 副腎摘出術後72時間以内に発症する急性副腎皮質機能不全徴候(嘔吐、発熱、下痢、血圧下降など)による代謝異常、尿量減少などに注意が必要である。輸液施行時には注入量、時間を正確に実施する。

 5.創の処置

 発赤、し開の有無などをよく観察する。

 6.胃管の処置

 術前、あるいは術中に留置された経鼻胃管を術後開放し、消化液の胃内貯留を予防する。胃管は消化管運動が再開し、排液量が減少したら抜去する。

 7.経口摂取の開始

 胃管抜去後に腸蠕動が聴取され排ガスがあれば、まず水分を与え、異常がなければ流動食から開始する。

術後合併症

 1.肺合併症

 手術創が上腹部、側腹部であることから呼吸時の創痛が強く、浅い呼吸を続けるため十分な肺の拡張が得られず、また長時間の麻酔の影響で気道分泌物が増加する。痰の粘稠度が増すが創痛のため十分に痰の喀出ができないことにより、痰が貯留し、無気肺から肺炎を併発しやすい。

 2.術後出血

 術後出血はほとんど48時間以内に起こる。後腹膜腔内にドレーンを留置してあれば、ドレーンからの排液の性状で異常の発見ができる。

 3.感染(創、尿路)

 後腹膜腔内にドレーンが留置される場合、創部への感染が起こりやすい。また、尿道留置カテーテルの閉塞による尿停滞で尿路感染を起こしやすい。

 4.縫合不全

 術後3~10日に起こることがほとんどである。発熱、白血球数増加、頻脈などの症状が術後1週間後に出現したらまず縫合不全を疑う。

 5.腸管麻痺(イレウス)

 開腹術後には腸蠕動の低下が起こりやすいが、術後24~48時間以内に排ガスがあり、短時間で回復することが多い。しかし、長時間の開腹術の場合には、回復に時間を要することからイレウスへと移行することもある。

看護計画(副腎摘出術・術前)

Ⅰ.病態アセスメント(副腎摘出術・術前)

 全身麻酔で手術が行なわれるため、全身の評価が必要である。高齢者の場合には特に、既往や機能の低下に十分注意する。ホルモン分泌増加により、高血圧や低カリウム血症、精神状態不安定などがみられるため危険のないように注意が必要である。手術による不安や、薬物の長期継続の必要、退院後のライフスタイルの変化などの様々な不安が生じることが多い。患者個々の不安を把握し、不安を軽減できるように援助していく必要がある。

看護計画(副腎摘出術・術後)

Ⅰ.病態アセスメント(副腎摘出術・術後)

 副腎摘出術後の早期合併症としては、後出血、急性副腎皮質機能不全、肺合併症、創部及び尿路感染症、イレウスがある。また、痛みによる苦痛、睡眠障害などもあげられる。精神面としては、家族への思い、退院後の日常生活への自信の喪失、症状への関心などがあるため、家族を含めて患者の個別性に合わせた指導が必要である。

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