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(≡^∇^≡)脳血管障害と予後予測の話


( ̄_っ ̄)題名:脳血管障害と予後予測の話

「罹患した患者の経過についての医学上の見通しである」

ならば、脳血管障害患者(以後CVA)の機能的予後の予測は、機能回復予測と捉える事が望ましい。しかし、文献検索を行ったが、「それにあて始めれば当たる」ということは、誰一人として言っていない。また、脳卒中の機能回復の予測をする場合は、時間経過の中で発症後、どの時期からどの時期に焦点を当てるかを明確にしないと、矛盾が生じる事になりかねない。

 

●予後予測の目的

①ゴールの設定

②インフォームドコンセント(十分な説明と同意)

③全体像の把握(チームアプローチの効率化)

④治療の方針・方略の選択と決定

⑤退院時期の決定

⑥データベースの構築

⑦検証(予測との整合性)

⑧知的体系の構築(治療の科学的根拠におけるデータベース構築)

生存率:医学的問題の予後予測のルールで、脳卒中は基本的に予後不良の疾患であり、入院中の死亡率は、脳塞栓で17~29%、脳出血で14~32%、脳梗塞で2~10%、脳卒中で全体の9~22%であるが、急性期病院を退院後も、5年生存率で50~60%という報告が多く、リハを終了した後も高いリスクにさらされていると考えるべきで、脳梗塞の生命予後予測の予測因子として、うっ血性心不全、入院時血糖が140mg/dl以上、脳底動脈系を含む主要血管病変をあげ、5年後の死亡率を予測している。そのほか、発症後3ヶ月で痴呆を有する場合、身体機能など他の因子を補正しても5年生存率は約40%で、痴呆がない場合の5年生存率約75%より生命予後は不良といわれる。死因としては、脳卒中再発や心疾患などの循環器疾患が多く、45~60%を占める。

再発率:再発率は、5年間で20~30%程度という報告が多い。脳梗塞で26~28%、脳出血で20%で有意に脳出血が低いとされている。再発の危険因子は報告により異なるが、高血圧、高血糖、心房細動、心房細動+高血圧、TIAの既往、大量飲酒、喫煙、性別、心疾患、痴呆などである。

患者属性、併存疾患、初期の機能障害やADLなどの情報をもとに、ADLの帰結、在院日数および転帰先をある程度予測可能である。ただし、従来標準化された尺度を用いた研究は少なく、かつ、予測精度は、個人の予測に用いられるほど高くはないので(寄与率30~70%程度)、ここの患者の予後予測は、個別の条件を考慮して行う必要がある。初期の低いADL、重度運動麻痺、高齢、半側視空間失認、バランス障害、併存する疾患は、機能予後を不良とし、在院日数を延長し、家庭復帰率を低下させる因子と考えられているが、各因子の影響の程度は明確にされていない。

「予後を科学的に判定し見通しを持って進める」ことを強調されている。発症後早期から個々の患者の予後を正確に知ることは効果的効率的なリハの出発点である。しかし従来の予後予測法の多くは、入院時の機能障害(いわゆる リハ阻害因子)と最終自立度(歩行能力)との関連を統計的に検討しているに過ぎず、それにより個々の患者の予後を判定することはできない。それに対して、①患者の年齢、②入院期間別の自立度・「基礎的ADL」、③機能障害(stage Ⅳ以上)を適切に組み合わせることにより、高い確率で個々の患者の最終自立度を予測することができる。自立度・ADLの評価は一見卑近であり、“信頼性”にも欠けるように誤解されているが、評価項目を限定し、評価基準を明確にしておけば、機能障害よりも正確な評価が可能であり、しかも、機能障害に比べ最終自立度との関連がはるかに高い。たとえば、入院後1ヶ月以内に起坐・坐位保持が自立した患者は、年齢・機能障害の程度にかかわらず、最終的に歩行自立すると予測できる。また、入院時に起居移動動作が全介助でも、食事・尿意の訴え・寝返りの3項目(基礎ADL)のうち2項目以上を実行している患者も、年齢・機能障害の程度にかかわらず、最終的に歩行自立する。それに対して、入院後1ヶ月時にも起居移動動作が全介助にとどまる60歳以上の患者のうち、①「基礎的ADL」の実行項目数が1項目以下の患者や、②遷延性意識障害・痴呆・「両側障害」・高度心疾患を有する患者は、最終的に自立不可能となる。自立歩行が不能でも監視介助歩行が可能な患者は存在するが、このような患者の退院後の歩行継続は、常時介護者の有無に依存する。また、退院時平衡棒内歩行にとどまった患者が自宅で介助歩行を続けることはほとんど不可能である。

Japan Standard Stroke Registry Study(JSSRS)に登録された5496症例のうち、一過性脳虚血発作を除く5129例の、入院時の神経症状の重症度分類し、心原性脳塞栓(CE)、脳出血(CH)、くも膜下出血(SAH・予後不良と良好なものにはっきりと分かれる)で相対的に重く、アテローム血栓性梗塞(AI)、ラクナ梗塞(LA)、で軽かったとされている。

予後予測因子としては、脳梗塞の病型、年齢、性別、心房細動、心不全、喫煙、糖尿病、脳卒中の既往、膀胱直腸機能、高次大脳機能障害、入院時の重症度、画像診断による梗塞巣の大きさなどを示している。予後不良に関連する因子として、加齢、脳卒中既往、高血圧治療、腎疾患既往が各病型に共通してあげ、糖尿病がラクナ梗塞と心原性脳塞栓の、高脂血症がラクナ梗塞の予後不良因子と言っている。

長期機能予後に関する要因は発症時年齢、病型と合併症の有無、発症初期の意識障害と運動機能障害、そして高次脳機能と知的能力障害とまとめている

 

●麻痺の回復予測

脳卒中における麻痺の最も大きな機能回復は、発症後の数週間のうちに生じ、運動関連領野とその下行路における浮種の軽減、圧迫の減少、血流の再開、本来の病変部位とその大きさ、急性期治療(内科的:血栓溶解・神経保護など、外科的:血行再建・血腫除去など)の成否などに依存している。

機能回復を目指したリハビリテーションの効果は1960年から1990年までの36文献を用いたメタアナシスで検討されている。集中リハビリテーションが行われると、日常生活動作(ADL)などに小さいながら治療効果が認められ、自宅退院が上昇する。9件のRCTをもとにしたメタアナシスにより、訓練強度を増すことにより、ADL及び麻痺の機能障害に関し、わずかであるが有意な改善効果が認められる。7つのRCTのメタアナシスによると、訓練強度を増すことにより、死亡または症状増悪の比率が減り、機能障害とADLは、途中評価では介入群がより改善しているものの、最終評価では差がない。

上肢訓練強度に関するRCTでは、患者の層別化をしない場合、週2時間訓練を増やしても運動機能、ADLは変わらない。運動麻痺を重度と軽度に分けると、軽度群でのみ訓練量と麻痺の改善との有意な関係が認められる。一日30分間、上枝訓練を増やすと麻痺手運動機能が下肢訓練を増やすと歩行及びADLが改善する。Bobath法の治療を30分から60分に増やしても、6週及び6ヶ月経過後、粗大運動、バランス能力に群間差が見られなかった。

訓練時間を1.5倍に増やすとADLの一部の改善は有意に大きくなる。運動能力、ADLに対する集中訓練の効果は、一年後には有意差がなくなる。

ファシリテーション手技と伝統的リハビリテーション(筋力増強・関節可動域訓練・動作訓練を主体とする)を、ADLや歩行能力を比較の基準として差を検証したRCTが3扁ある。Bobath法またはPNF法は、伝統群との差は認めなかった。神経筋促通法(Rood,Bobath)訓練群と伝統的訓練群には、差が認められなかった。伝統的訓練にPNFとBrunnstromに基づいた促通を行う訓練を加えても差を認めなかった。Brunnstromに基づく訓練とneurodevelopmental exercise(Davisに基づく)を5週間交代で交互に行っても、歩行・手の機能などの改善に有意な差を認めなかった。Motor relearning program(MRP:運動障害をいくつかの課題に分けて分析/訓練する手法)とBobath法との比較では、MRPのほうがBobath法より、在院期間が有意に短く、運動機能やBarthel Indexの改善が大きかった。ファシリテーション技術が目的としている質の改善を検討した報告はない。

神経筋電気刺激は、脳卒中片麻痺上肢運動機能(手指筋力・動作能力・ADL)を改善し、肩関節に対する電気刺激により亜脱臼を減らすことができる。機能的電気刺激と従来の訓練の組み合わせにより、歩行能力が改善する。

脳出血と脳梗塞の平均年齢と平均理学療法評価の比較を行ったが、病型間での理学療法評価病日の相違がステージの回復に与える影響は小さいと述べられている。

発症早期のBrsⅣ以上か否かを完全回復の予測において重視している。また、回復には年齢と発症後早期の麻痺の回復程度が関与するもの、下肢の麻痺は発症後2週間で47%、1ヵ月で72%、2ケ月で86%、3ヵ月で94%の回復に到達すると言われている。

脳卒中の機能予後については脳内の機能分布がある以上、まず第1に脳損傷部位によって予後が異なってくるといっている。

運動野および運動前野を除いた前頭葉の障害では:前大脳動脈梗塞に代表される内側面損傷で下肢に重度の麻痺が生じると伴に手には強制把握反射などの症状が出現するため、歩行機能と上肢機能が重度に障害され、その予後も不良な場合も少なくない。しかし、その改善は痙縮が伴って改善するようなBrunnstrom stage3に代表される共同運動を経由せず、弛緩性から一気にstage4、5レベルの分離動作が出現するといった改善を呈することも多い。

中大脳動脈の前方の梗塞では:運動野を中心とした損傷となり、特に上肢の麻痺が強くなり、予後不良である。

中心溝より後方の梗塞では:右半球なら半側無視が、左半球なら失語に加え観念失行などが出現することで運動機能以外の高次脳機能障害によって予後が修飾される。中大脳動脈起始部の梗塞では:上下肢とも重症度な運動麻痺が生じ、その予後は早期に見られるわずかな運動機能の動きによって、ある程度の予後予測は可能である。

後大脳動脈領域の梗塞では:視覚的認知機能の障害や記憶障害は生じるものの運動機能の予後は良いものが多い。

放線冠の梗塞では:錐体路が直接損傷を受けるため運動予後は損傷の大きさに比例して不良となる。

視床の梗塞では:視床は梗塞も出血も病巣の大きさと部位によって症状が異なる。

視床前方では:意識障害

視床後方では:後方の視床枕では、左で失語、右で半側無視が生じるが、限局されていれば改善は良いのが特徴である。

視床内側では:記憶障害

視床外側では:知覚脱失をきたすような重度な感覚麻痺を生じることがあり、特に深部関節位置覚脱失を伴い知覚失調の形をとるものでは、歩行予後は悪くなる。

皮殻出血では:内包がどの程度圧迫されているかで異なり、その大きさや上方への伸展に応じて運動予後が決まってくる。

脳幹梗塞・出血では:その損傷範囲によって、前方損傷では運動機能予後が悪く、後方損傷では知覚機能予後が悪くなり、そのままリハの機能予後予測に反映する。

小脳では:新皮質と呼ばれる小脳半球の代償機能が大脳に比較して大きい事から、小脳梗塞・出血では、半球に限局するような出血や上小脳動脈や後下小脳動脈の梗塞では良好な改善が得られることが多く、初期の症状からでは、容易に予後予測は困難である。

上下肢麻痺の回復について、麻痺の主な回復は入院2日以内に起こり、その後の回復は徒手筋力検査(MMT)が3以上の患者に限定される傾向にあるとしている。また、fMRIやPETなどの機能的脳画像、磁気刺激や誘発電位を用いた電気生理学的手法による麻痺の予後予測の方法があるとも言われている。

脳卒中による運動麻痺は、発症後3ヶ月まで回復し、その後は徐々に遅い回復となり、6ヶ月~1年までにはプラトーに達すると言われている。しかし、機能別、年齢別に検討すると、生存できた重度障害で、比較的年齢が若い場合(77歳以下群)に発症後1年までは回復が続くので、一律に6カ月でプラトーと考えるのは誤りであると言っている。

12グレード片麻痺機能テストを用いて片麻痺の回復過程とその予測を行った。脳卒中発症後1ヶ月以内にグレード(Gr)12に到達する例が、下肢9.9%、上肢10.9%、手指7.4%(母数はそれぞれ294、285、308例)あり、2ヶ月以内まで広げると、下肢12.2%、上肢15.1%、手指8.4%に達する。すなわち、1~2ヶ月以内にほぼ完全に回復する例が上下肢で10~15%、手指でも7~8%は存在している。これは脳内の浮腫の消退、血腫の吸収などによる回復とみられ、初期の回復として、その後に起こるより時間を要する真の回復とは区別すべきである。

このような初期の回復が良好な例を除き、少なくとも6ヶ月以上PT・OTによる治療を受け、発症後12ヶ月以後まで機能テストが行われ、プラトーに達した時期が確認されている26症例に限って検討すると、6ヶ月以内にプラトーに達するのは下肢でも全例の58%で、上肢では27%、手指では31%に過ぎず、残りは7ヶ月以降も改善を示した。プラトーに達する時期の平均は下肢で7.9±7.2(中央値4)ヶ月、上肢で10.2±5.8(中央値11)ヶ月、手指で13.8±6.2(中央値14)ヶ月であり、少数例の為誤差が大きいが、下肢ではほぼ半年前後、上肢は10ヶ月、手指は1年2ヶ月が平均的なプラトーの時期とみてよい様である。

プラトー時のグレードの平均は、下肢ではGr9.6±1.9(中央値9)、上肢ではGr8.9±2.6(中央値9.5)手指ではGr6.7±3.2(中央値7)であり、上下肢は平均Gr9前後まで回復し得るのに対し、手指は平均Gr6~7程度にとどまる。

手指の成績は一見悪いが、Gr11~12に達するものの率は12%(下肢36%、上肢30%)あり、はじめから手指の回復をあきらめるのも正しくない(しかしこれら症例の平均年齢は50歳で、比較的若年者群についての成績であることに注意を要する)

回復の予測は予後学の1つの大事なテーマである。上田の成績からは発症後3ヶ月の時点でほぼ確実に将来の予測ができると考えられる。発症後3ヶ月にGr6以下のものは最終的にGr6~7に達するのみで、Gr7以上のものは平均で上下肢Gr10~11、手指Gr9に達し得るということができる。

身機能の回復には共通の特徴がみられると言っている。第1にリハビリテーション医療のための入院後、最初の1ヶ月の回復が著しい。特に発症から1ヶ月以内に入院した場合は大きな改善が期待できる。すなわち早期リハビリテーションがよい治療成績に結びつく。第2に機能回復の主な阻害因子として、体幹下肢の運動機能では高齢であること、尿・便失禁、筋トーヌスの異常(とくに弛緩麻痺)、感覚障害があげられ、上肢の運動機能の回復にとっては感覚障害、筋トーヌスの異常、関節拘縮、認知障害があげられる。ADLでは、高齢であること、尿・便失禁、認知障害、関節拘縮が、認知機能では失語や尿・便失禁、認知障害、教育年数の短さ、高齢であることなどが回復の主な阻害因子となる。

入院して最初の1ヶ月間に、体幹・上下肢の運動機能の回復と平行して、身辺処理および移動などのADLの回復が起こる。この結果、多くの患者では入院後2~3ヶ月のリハビリテーション医療で、可能な機能回復がほぼ達成される。

 

●歩行機能予測

起立-着席訓練や歩行訓練等の下肢機能を週5回45分行うと、1日15分の訓練に比べて20週時点で歩行能力が改善した。

支柱付き装具の使用により動的にバランスの良い歩行が可能となり、麻痺側立位時間が延長、振り出しが対称性となり、麻痺足の安定性が増す。麻痺側の前脛骨筋の活動は減少したが、大腿四頭筋の活動は増加した。関節付き短下肢装具を使用すると、装具なしに比べ、機能的移動能力が著明に改善し、ストライド長、ケイデンスおよび歩行速度が改善した。片麻痺患者に短下肢装具を装着することにより、歩行速度が増加し、エネルギー消費量が減少した。

痙縮により内反尖足がある患者に対し、7%フェノールを用いて脛骨神経ブロックすることにより、Ashworth Scaleや筋電図上の痙縮改善効果があった。1例報告であるが、足関節内反患者の後頚骨筋、長母指伸筋に運動点ブロックを行うことにより、後足部の運動の改善が見られた。

痙縮により尖足があり異常歩行を呈している時、長母趾屈筋腱移行術が前脛骨筋移行術より効果があるとする報告がある。

筋電図バイオフィードバックは、歩行の改善、特に足背屈改善に効果があり、また反張膝にも効果がある。特に筋電図バイオフィードバックとFESを組み合わせるとより効果がある。一方、改善なしとの報告もある。また関節角度を用いたフィードバックは筋電図バイオフィードバックより効果があるとする報告もある。慢性期の脳卒中で下垂足がある患者に総腓骨神経刺激を行うと歩行が改善する。また多チャンネルFESも歩行の改善に効果がある。FESをバイオフィードバックと組み合わせるとより効果的である。ただし、FESを止めた後の効果の持続については否定的である。

中等度レベルまでの介助で歩ける脳卒中患者に対し、通常のリハビリテーションに加え、手すり付きのトレッドミルでの歩行訓練を3週間行うと、同一時間の平地歩行訓練を行った患者より、歩行パラメーターの一部や腓腹筋活動が改善する。

部分免荷トレッドミル歩行訓練により、Bobath法に基づく訓練や免荷なしのトレッドミル歩行に比べ、歩行速度、歩行能力が有意に改善した。しかし部分免荷トレッドミル歩行訓練は、平地歩行訓練や長下肢装具による介助歩行訓練に比べ歩行速度の改善に有意差がなかったという報告もある。

患者の歩行予測について、年齢、初期の麻痺の程度、坐位バランスのどのADL、半側空間無視・痴呆などが歩行回復に関与する因子としてあげられ、予後予測がなされている。しかし、予想以上に回復する例は少ないが重症例も慢性例も、最初の1か月の回復が最も大きい。プラトーに達するのは、早期リハビリテーション例では1~2ヶ月(重症例では4~5ヶ月のことがある)慢性例では2~3か月(重症例では5~6ヶ月のことがある)が多い。つまり歩行の回復には数ヶ月を要するといえる。早期より活動的訓練を行ったか否かも重要な予後決定因子であると言われている。

歩行自立に関しては、理解・学習能力が十分あれば、弛緩性完全麻痺の持続や体幹平衡障害の残存などの場合を除いて、基本的にはある程度の歩行は自立可能と思われると言われる。

予後予測の視標として「初診時坐位保持機能」を用いることが、極めて有用と述べられている。

・まず初診時、ベット上、他動で坐位保持姿勢(端坐位で足を床に着かせた状態)を取らせて評価する。

・両手を膝の上に置き(手すりなどを把持せず)15秒以上坐位保持が可能であれば、坐位保持良好とする。

・坐位保持が不十分で、患側や後方に傾いていく場合には、坐位保持不良とする。

・良好群では、4週間以内の入院期間で歩行が可能になり、ADLが自立すると予測する。

不良例では、6週間の入院期間で、歩行やADLに一部介助や監視が必要になる場合が多いと予測する。

・坐位保持不良例は、多発性脳梗塞や半側空間無視症例が多い。

予測法を包括する概念(ベット上生活、基本的ADL、BrsⅣ以上かどうかにより歩行自立を予測)に「理解力の低下」・「実行意識の低下」がなければ、屋内歩行は基本的に可能と言っている。ただし他の要素によらない体感バランス不良患者が例外的に存在し、歩行が困難になることもあるといっている。予後不良例を見いだすには、早期に不可逆的な痴呆、理解障害の症例を拾い上げることが重要であると言われている。

片麻痺歩行回復予測テスト(下肢共同運動による)

脳卒中、または外傷後片麻痺をおこし、意識は回復したが、まだ寝たままの状態の時に下肢の簡単な共同運動をさせてみると、将来歩けるか歩けないかがだいたいわかる。なお、このテストは上田・福屋によって詳細に検討され、回復の過程の分類という点からは不備な点はあるが、歩行の予後の類推するには実用性と妥当性を持つことが確認されている。

 

●ADL自立の予測

ADLの自立期待に対して片麻痺のADLは、下肢機能により強い影響を受け、歩行の回復と伴に自然に回復してくる。大抵のADLは片手で可能であり、特別な訓練を要しないことが多いと言われている。

5年間のCVA患者のADL、入院期間等を分析し、CVA患者のリハプログラムのマニュアルを作成した。そのマニュアルを1年間運用し、それを基にクリティカルパスへと発展させた。このパスは、下肢の運動機能についてBr.stage別に6段階に分類したものである。

慢性期の脳卒中生存者では発症後1年前後から経年的にADL低下が進行し、ADL低下の発生が他の疾患よりも高いことを言っている。一般に、加齢に伴うADL低下は健常高齢者でも認められるが、脳卒中に罹患した後は歩行能力を中心にADLが低下することを指摘し、機能障害が重度であれば後に歩行不能になりやすく、慢性期おいてADL低下の様相には個人差があることも臨床的に指摘している。特に下肢のBrsがⅢ~Ⅴの対象者では、ADLを起す者が多く、低下の程度が大きいとも言っている。その因子としては、高齢、発症前のADL障害、脳卒中にかかわる重症度、および追跡中の再発が重要になる。

ADLの予後について、ADL能力の機能帰結を予測しておくことは、リハビリ対応上必須であると述べている。初発大脳病変による脳血管障害患者の機能帰結は概して良好である。最終的にはリハビリを受けた患者の約7割がADLをほぼ自立できる。したがって、脳血管障害患者のリハビリ的評価では、ADLが自立に至らないと思われる例の検出が特に重要になる。一般に急性期の全身状態や意識状態に問題がある場合には、生命的帰結予測にとどまり、ADL機能帰結予測精度はあまり高くない。意識がある程度はっきりした段階で、その時点での能力低下、種々の機能障害の所見から予測する。

ADLが自立に至らなかった患者の検討から、評価時ADL不良(FIM運動領域50点以下)あるいは坐位保持困難に加えて、以下の項目が複数ある場合、ADL自立が困難となる確立が増加すると考えられる。すなわち、長い発症後期間、見当識不良、高年齢、重篤な廃用・麻痺、健側筋力低下、半側空間無視、遷延性意識障害、重篤な併存症・合併症、重度失語に伴う知的障害・情動障害、重度抑うつ、などである。また、脳卒中全般では、病前の低ADL、先立つ脳卒中の既往、両側性障害などが予後不良因子としてあげられる。一方、年齢が50歳代以下の場合、初発であればかなり障害が重度であっても屋内自立までは達成できる可能性が高い。通常のリハビリ期間(1~3ヶ月)より時間がかかっても継続していて訓練することが望まれる。多くの帰結予測の研究が存在するが、脳血管障害患者は多彩な症状を呈するので、少数例の経験からの外挿的推測や均一的解釈には問題が多く、参考にする場合には注意が必要であると言っている。

ICF(目標指向的アプローチ)

従来の治療医学では予後と言えば多く場合「生命の予後」であった(例:がんの治療後の10年生存率)が、リハビリテーション医学における予後は、「生活機能と障害の予後」であり、当然の事ながら心身機能・構造レベルだけでなく、活動レベル、参加レベル、さらには主観的体験のレベルまでも含むものであることも強調しておきたい。しかもこの中では、活動レベルでの予後予測が最も重要である。心身機能・構造レベルの予後(麻痺の回復)が最も重要ではない。心身機能レベルの状態が同じでもアプローチによって活動レベルの状態はまったく異なる事が多いからである。

リハビリテーションにおいては、予後については次のように考える事がポイントであると言われている。

①予後は、機能障害(心身機能・構造)、能力障害(活動)、社会的不利(参加)の各レベルを含むものである

②予後は、マイナス面のみでなく、プラス面についても把握する

③可能・不可能だけではなく、具体的な状態、たとえばADLについては具体的な方法・やり方までを対象とする

④予後は、時間と状態の組み合わせについて考える

⑤予後は、どのようなアプローチをしたかによって、大きく異なる

例:排泄の予後についての簡単に述べた紹介

「○月○日には、病棟トイレにシルバーカーを使用して行き、いつも着ている長めのスカート姿で、和式トイレにて、一人で行えることが可能になる。ただし、これはOTが病棟の和式トイレで排泄行為訓練を行い、施設内介護スタッフが日中は毎回トイレまで鉗子歩行することが前提」

( ̄ ̄*)参考文献

医療学習レポート.脳血管障害と予後予測


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