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(“⌒∇⌒”)m胸腰髄損傷の対麻痺と運動療法の話


(#^.^#)題名:胸腰髄損傷の対麻痺と運動療法の話

1.疾患についての基礎知識

脊髄損傷とは重篤な外傷により脊髄が脱臼、骨折及び脱臼骨折をして、その結果脊柱管内で脊髄が圧迫、挫傷、伸張されることによって広範な外傷が生じること。

1)脊髄損傷により起こる障害

①運動障害

②知覚障害

③自律神経障害

④膀胱、直腸機能障害

⑤性機能障害

 

2)脊髄障害の特徴

a)脊髄ショック

脊髄損傷直後に起こり、損傷部以下の反射の消失、弛緩性麻痺、尿閉、自律神経麻痺による徐脈血圧低下、低体温を示し、数日~数ヶ月続く。これを過ぎると、弛緩性麻痺のままか、屈筋反射から痙性が出現し痙性麻痺となる。不完全麻痺の場合、随意運動も回復してくる。脊髄ショック期には、肺合併症、尿路感染症、褥瘡などを起こしやすく合併症の細心の配慮を要する。

b)完全・不全麻痺

c)痙性麻痺と弛緩性麻痺

 

3)脊髄不全障害特殊型

a)脊髄前部障害

脊髄前部が損傷されると、受傷直後は感覚・運動の全麻痺、尿閉などを示すが、後索を走る触覚、位置覚、振動覚は正常であり、痛覚・温覚の消失、運動麻痺を示す。

b)中心性頚髄障害

頸椎の過伸展により、頚髄の循環状態の抵抗減弱部位である中心部が障害される。下肢より上肢に運動麻痺が強く、回復も下肢より始まる。感覚障害は正常ないしは軽度であるが痙性は強いことが多い。変形性頚椎症、後縦靭帯骨化症などで脊椎管の狭窄が基礎にある老人に多く見られる。

c)ブラウン・セカール症候群

損傷部以下の障害側の運動麻痺と触覚・深部感覚と、反対側の温・痛覚を消失したもので触覚は保たれている。障害髄節の全感覚脱失をみる。

d)脊髄後部障害

深部感覚を主とするが、非常にまれとされている。

 

4)治療

a)保存療法

胸腰髄損傷では厚いブロックマットを用いるGuttmannの姿勢整復が行われるが、看護の負担軽減のため、電動ベッドとクレーターマットを併用し3時間ごとに体位変換を行う。

b)観血的療法

胸腰髄損傷ではHarrington方の導入で整復・固定・前方除圧が行われ、早期の強固な固定力により早期離床が可能となった。

しかし、Frankelの評価法では、観血的療法と保存療法とでは麻痺回復の成績に鎖はなく、手術したための手術したための合併症なども生じ、今後の検討を要する。特に、セラピストからみると強固な固定術後には、筋萎縮、脊柱の不撓性、背部痛などにより理学療法実施上やADL上の制限も生じ、早期リハビリテ-ションが必ずしもスムーズに行えるとは言えない。

 

2.評価項目

項目            主な内容・注意点
1)カルテ・他部門

からの情報収集

*診断,病歴,現病歴(発症時期),既往歴,合併症,家族歴投与薬剤など

*合併症(排尿障害,褥瘡など)の有無,禁忌事項

*職業・レクリエーション・趣味

*X線所見,MRI所見→脊椎骨折や脱臼の骨傷部位など

2)問診 *病歴,愁訴,職業,趣味など

*疾患に対する理解度

*患者の要望

*精神・心理面

3)バイタルチェック *起立性低血圧の有無の確認など

*PT施行上のリスク管理

例:血圧,脈拍,体温,皮膚の状態など

4)ROM-T *四肢・脊椎の可動性と短縮,拘縮の有無を見るため。

*急性期は損傷部以下の各関節で不動の関節拘縮を起こしやすく,慢性期は損傷部以下の支配筋群に痙性が出現するために各関節可動域の測定は必要

*関節可動制限の阻害因子の発見

*可動域制限の程度

*治療法への示唆

*治療効果の判定

5)MMT-T *残存筋の筋力を見るため

損傷されたレベル支配以下の筋の筋力を見るため

完全麻痺筋,残存筋,各筋群の筋力のアソバランスを観察するため,障害レベルを判定するときの目安として、治療によってどの程度回復したかを知る(治療効果の判定)

*予後予測

*問題点抽出,プログラム設定のため

6)筋トーヌス検査 *筋の他動的伸張によって弛緩性,痙性,固縮の有無と程度を確

認するため、①休止時②姿勢・体位性③運動時に分けて行う

(歯車,ジャックナイフなどの出現を確認)

*リスク管理ができる

*ROM-Tをしながら行う

7)粗大運動機能検査 *握力,背筋,ピンチカなど,一つの動作の総合筋力を評価するために行う。握力計,背筋力計などを使用

*プッシュアップ能力の持久力,スピード,移動距離,殿床距離などを検査

*ADL獲得の可能性を予測する

8)協調性テスト *動作に際して運動に関与する筋が協同的に正しい順序で収縮し

効果的に起こっているかを見る

*坐位や立位での姿勢の観察とバランス能力の検査

9)動作分析 *ベッド,床上,車椅子,歩行動作などの身体全体,各関節について,運動学的に分析する

*動作介助,指導のために行う

10)ADL検査 *ベッド,床上,移動動作や身の回りの動作の検査で障害レベル

と見合わせてリハブログラム作成時にも活用

*生活関連動作能力の検査  FIM,Barthel Indexなど

11)疼痛検査 *疼痛の有無,部位,程度を確認

*肩,肘,手関節等の疼痛性関節疾患の有無をみる

*疼痛治療の補助

12)知覚検査 *表在感覚=触覚・痛覚・温度覚,深部感覚=位置覚,運動覚

*障害の部位,程度,広がりを確認

*残存知覚を確認

*損傷レベルの判断

*髄節性か末梢性なのか,機能的なものかどうか,ヒステリーなどによるものかどうかを鑑別

*知覚障害による褥瘡好発部位に注意

13)反射検査 *腱反射:上腕二頭筋腱・上腕三頭筋腱・腕橈骨筋腱・膝蓋腱・

アキレス腱反射

*病的反射:

手指屈筋反射=ホフマソ・トレムナー・ワルテンブルグ反射

足底筋反射=ロッソリーモ・メンデルべヒテレフ・

バビンスキー反射,クロ-ヌス

表在反射: 腹壁反射・足底反射

*損傷レベルの判断

14)呼吸機能検査 *スパイロメトリーや呼吸筋力計などを用い,肺活量,一回換気量,

分時換気量,1秒率,呼気力を計測。

*胸郭拡張差を計測

*呼吸障害の有無

*脊損の呼吸機能障害は呼吸筋麻痺による拘束性換気障害

*第6肋骨以上の助骨の動きが非常に悪く,頸髄,上部胸髄損傷患者の肺機能低下は著しい

15)循環横能検査 *体温・血圧・脈拍・末梢循環機能,特に下腿・足部・手指の浮腫

の有無と程度を見る

16)膀胱直腸検査 *看護分野からの情報で水分摂取量,排尿量などの膀胱機能について確認する
17)皮膚検査 *全身の皮膚状態,特に褥瘡好発部位の発赤,皮膚損傷の有無を

確認

*褥瘡があれば大きさと程度を見る

18)体力検査 *回復期や身障スポーツにおける体力,主に持久力の検査として,最大酸素摂取量などを検査する
19)形態測定 *体格(身長・体重・坐高・胸囲),栄養状態,筋力の発達や萎縮の程度,腫脹,浮腫の状態(周径・四肢長),肺換気能力,胸郭拡張能力,ADL能力,移動動作能力や補装具の処方を検討する為に行う

<障害の評価>

*Zancolli

*ASIS

*フランケルの分類

 

3.問題点

<impairment level>

♯1 ROM制限 *急性期は不動のため関節拘縮,慢性期は痙性が起き,関節可動域に制限が生じる。ADLの阻害因子になる。
♯2 筋力低下 *健常部は廃用性筋力低下,麻痺部は不動のため筋力低下。ADLの阻害因子になる。
♯3 筋トーヌス *慢性期は弛緩、急性期は痙性。ADLの阻害因子になる。
♯4 呼吸機能の障害 *上位胸髄損傷は肋間筋など呼吸筋の障害や胸部外傷による。生命維持困難やADL阻害因子となる。
♯5 疼痛 *麻痺境界部,痙性,知覚が徐々に戻ってきた際に痛みと感じるもの,発作性血圧上昇に伴う頭痛,肋間神経刺激による心臓の痛み・下腹部痛などが起きる。ストレスや訓練に対するモチベーションの低下を招く。
♯6 感覚障害 *表在,深部,複合感覚の障害。外傷や熱傷に気づかない。褥瘡の原因になりやすい。
♯7 反射異常 *病的反射・腱反射の異常。
♯8 協調障害 *残存筋と麻痺筋のアンバランス。ADLの阻害因子。
♯9 筋持久力の低下 *協調性の変化(反射調節が低下),循環機能の変化(血圧変化),生理機能面の変化(血液・尿性分の変化),脈拍調節の異常感覚系の変化などの身体的・精神的疲労や筋疲労を起こす。

<disability level>

♯10 基本動作能力の障害 寝返り・起き上がり・坐位保持・いざり・プッシュアップ・トランスファー・

車椅子上除圧・車椅子応用動作など

♯1~♯9

♯11  ADL障害 食事・整容・更衣・入浴・トイレ動作 ♯1~♯9
♯12 バランス能力の低下 ♯1,♯2,♯3,♯5,♯6, ♯7,♯8
♯13 歩行低下~困難 ♯1~♯9

<handicap level>

♯13 社会への適応性の障害 ♯10, ♯11,♯12
♯14職場復帰への障害 ♯10(仕事の内容により♯11,♯12)

 

4.ゴール設定

<短期ゴール・長期ゴール>

・患者の状態

・患者のゴール     これらのことを踏まえて患者の各々にあったゴールを考える

 

 

5.治療プログラム

<急性期> 0~2週

体位変換と良肢位の保持
  1. 2時間ごとに行う。
  2. ブロックマットの使用による背臥位・側臥位・腹臥位での良肢位の保持。

ブロックマットがない場合はタオル・枕で代用。

全身調整運動 医学的管理と看護が優先の時期で、徒手による呼吸訓練が必要となる。

・肺理学療法

①排痰法及び喀嗽介助

②葉胃拡張と胸郭可動性の維持、改善

③呼吸筋力維持、改善

④呼吸方法の指導

 

褥瘡の予防 1. 2時間ごとに体位変換と皮膚の清潔保持

2. ベットマットレスの使用

a)クレーターマットレス(凹凸により厚を分散)

b)エアマット(除圧効果がうまれる、体位変換ごとの圧設定も可能

c)コンピューターエアマット(コンピューターで自動的な調整)

関節可動域訓練(ROM Ex.) 【目的】:受傷前の関節可動域の維持

この時期の麻痺は弛緩性である。

拘縮・変形の防止

1.開始時期:受傷またはその翌日

2.運動時間及び回数:1日2回行う。1関節3~5回

3.実施方法と注意事項:

・他動運動で行う。

・全介助で、急性期1週間前後は末梢から中枢へ

それ以降は中枢から末梢へと全可動域にわたって行う。

・軟部組織の損傷に注意(異所性骨化の原因の可能性にもなる)

・関節の中枢側を固定し、末梢側を保持して(麻痺側の関節損傷を起こさぬよう)愛護的に行う。

・膝伸展しての股関節屈曲は45°以下にとどめる

・上位胸髄骨折に対しては、過度の肩関節屈曲を行わない。(骨傷部位の安静を損なう可能性あり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<回復期> 2週~6ヶ月

体位変換と良肢位 急性期と同様
関節可動域

訓練

(ROM Ex.)

【目的】:動体訓練を円滑に進める。

この時期は痙性が出現してくる時期でもある。

【訓練方法】:拘縮のある場合→他動運動による訓練

関節可動域が十分に得られている場合→伸張訓練、他動運動によるROM訓練

【注意事項】:

痙性のある筋に対して、不要に筋を伸張すると筋断裂を起こす。

痙性へのアプローチとして別紙にて説明する

軟部組織の損傷は異所性骨化の原因となる。→ADL動作への影響が大きい

筋力増強訓練 【目的】:さまざまな動作獲得に役立てるため、積極的に筋力強化を行う。

<順序>自動介助運動→自動運動→抵抗運動(PNF,漸増的抵抗運動)

【方法】:①鉄アレイなどを用いる漸増的強化訓練が有効

重錘抵抗運動,重錘補助運動

②プッシュアップ訓練

③車椅子に負荷をかけての駆動

④動作訓練反復による筋力効果

 

☞特に必要とされる筋

・上肢の下制筋として

→広背筋,僧帽筋,大胸筋,前鋸筋,

上腕二頭筋や姿勢保持

・骨盤筋の引き上げ

→広背筋,腰方形筋,腹筋,背筋,腸腰筋

・移動動作時に必要→プッシュアップ

物理療法

 

1.低周波―循環の改善,痙性,浮腫,疼痛の軽減,筋の弛緩(リラクゼーション,短縮筋の弛緩など)拘縮の改善などに対して行う

2.ホットパック―非麻痺側の改善,筋弛緩,疼痛,浮腫の改善などを行う

3.水治療法―水の浮力,抵抗,圧力,温熱,循環改善,痙性,浮腫,疼痛の軽減,関節拘縮の改善を行う

ハバードタンク―上記(水治療法)の利用と褥瘡の治療

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

坐位訓練

【目的】:最大ギャッチアップの獲得

車椅子など坐位での生活の延長

坐位バランスの獲得

<順序>ギャッチアップ→ベット上→車椅子→マット上

☞ 参考 :安定した坐位をとるためには…

・頸損だけでなく、胸髄損傷者にとっても坐位保持困難。股関節周囲筋の麻痺があるため、重心位置が骨盤支持基底面から外れると用意にバランスを失ってしまう。

したがって、バランスを保つために、骨盤を後傾し仙骨との3点支持となることが多い。

体幹屈曲可動性が保たれていること。制限があると、骨盤後傾による坐位

バランスの保持ができなくなる。

1.  ギャッチアップ訓練

起立性低血圧を起こすことがあるので、注意する(特に頸損多い)

処置:頭部を体幹より低くして、脳血流が欠乏しないように対処

2.  車椅子上訓練

【開始時期】 保存療法:1ヶ月以内

観血的療法:術後1週~10日(軟性コルセット装着)

【訓練方法】

・ 上肢は片手、ついで両方を前方、側方、挙上させる

・ 体幹を前屈、後屈、側屈させる

・ 床からものを拾う

・ 座面の前方への移動

・ 一側の下肢を対側の膝の上に組む

・ 両足を床に下ろす

・ ボールの投捕

【注意事項】

・ 起立性低血圧への対処

・ 褥瘡防止のためのクッションを置く

・ キャスターを前方に向ける

・ ブレーキを必ずかける

・ 坐位が不安定な場合は深くかけさせる

・ 必要に応じて安全ベルトを装着する

床上動作

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.寝返り

1)ものにつかまらずに寝返る方法

2)ベッド柵を利用する方法

①寝返る側のベッド柵をつかんで、上体を引っ張り起こして回転させる

②ある程度回転したところで対側の上肢も柵に引っかけ、さらに回転させる

③骨盤が十分に回転し、安定した側臥位が得られたところで動作は完了する

 

2.起き上がり

【訓練方法】:段階的訓練を行う

①      体幹が水平に近い場合に最も力が必要となる。よって、坐位に近い姿勢から起き上がり練習を始める。

② 徐々に傾斜角度を減らしていく

1)肘を用いて起き上がる方法

 

2) 寝返りをして起き上がる方法

 

3.  プッシュアップ

【目的】:褥瘡の予防

自分の姿勢や位置を変えるための基本動作を獲得(ADLの獲得)

【注意事項】:

・殿部にクッションを使用

・完全に足を浮かして移動(殿部を含む)

・早期からハムストリングスを伸張しておく

⇒広背筋を体幹筋群が残存していることで、殿部を上後方に引き上げることができる。しかし、ハムストリングスの緊張があると邪魔になる。

【訓練方法】訓練初期はプッシュアップ台を用いる。

①始めは、スライディングボードとプッシュアップ台を使用し、セラピストが介助して殿部を引き上げる練習を行う。

②押し上げた状態で殿部を前後左右に動かす。

③実際に高いところへの乗り移りを練習する。

但し、この際も皮膚の保護のため、

台をマットで覆っておくこと。

車椅子駆動 【目的】:これまでの訓練により獲得したものを用いて行う。

<必要な条件>筋力、関節可動域、坐位バランス

【方法・内容】:

①ブレーキの開閉操作, 前進・後退・方向転換

②不整地(砂利道、凹凸道など)移動,坂道の上り・下り

③キャスター上げの獲得

<初期>             <応用>

物的介助 人的介助          縁石昇降、階段昇降

例)吊り紐を利用しての前輪あげ訓練

④重りひき

→心肺機能の改善や筋力の強化が

図れる

十分なスペースがなくても、効率よく機能を高めることができる。

起立・歩行訓練 【目的】:残存機能を生かして、杖・自助具を用いての歩行能力の獲得

骨盤のコントロール

1.起立台での訓練 →下位損傷レベルでは必要ないことがある

【方法】:開始30°で5分 ⇒ 80°で30分可能になれば平行棒内起立開始

【注意事項】:①バイタルチェック ②顔色の変化 ③チアノーゼ ④発汗 ⑤あくび ⑥肺機能が低下した者にはある程度の腹圧を保つためにベルトを使用 ⑦骨盤帯を締めすぎると自動膀胱の者は排尿反射を誘発することがある ⑧起立台で積極的に腹圧を高める訓練を行う ⑨背部の褥瘡あるいは恐怖心のある患者は腹臥位から起こす

 

2.平行棒内立位保持訓練

両側に長下肢装具を装着し、膝関節は伸展ロック(足継手は底屈-5~-10°,背屈制限はなし)

 

3.  平行棒内歩行訓練

 

a)4点歩行 :左手→右足→右手→左足の順

b)2点歩行

c)引きずり歩行

d)小振り歩行

e)大振り歩行

 

4.松葉杖歩行訓練

5.転倒訓練

6.椅子に腰掛ける訓練

7.椅子から立ち上がる訓練

8.階段昇降 ― ジャックナイフ運動

ADL訓練 複合基本動作訓練と並行して、そのとき可能な上肢機能の程度に応じて行う。

1.脱着更衣動作:上肢は健在だから獲得しやすい

2.装具脱着:長坐位の下肢の両側にLLBを起き、手でかかえてはめる。

3.入浴動作:浴槽の出入り

4.排泄動作:車椅子⇌便座移乗動作,和式トイレ使用動作など

5.歩行動作:歩行基本動作を行う

6.和室生活動作:玄関の出入り,玄関昇降,畳上の立ち坐り,畳上移動

<慢性期・維持期>  6ヶ月~

家屋調査 自宅の家屋構造を調査し,改築・増築などを検討する。

入院時に週末などを利用して帰宅練習を行う。また、帰宅時にできなかったことを、病院で再度訓練にて、フィードバックさせる。

自己管理 排尿,排便,褥瘡,関節拘縮,立位保持訓練の必要性

相談と指導

リスク管理 本人と家族に指導・教育を行う
精神・心理面のケア 性へのヘア
家庭・社会復帰 就職,生きがい(例:スポーツ)

 

《脊髄損傷で特有な理学療法プログラム》

1)除圧

【目的】褥瘡の防止(殿部の除圧が可能)

【方法】三角基底面をつくる。僧帽筋下部線維(C3,4)を用い、肩甲骨を下制。三角筋の筋力と手関節背屈の可動域が必要。 

 

2)バランス(坐位姿勢保持)訓練

・バランスはADL自立の鍵。

・圧の変化などの感覚情報,重心を支持期底面内に保持するための筋活動が重要。

 

3)呼吸訓練

(1)体位排痰

・重力を利用し、痰を太い気管支へと誘導。

・X線検査で貯留している部位を確認

・体位変換も有効である

(2)胸壁叩打と振動

・物理的刺激により、肺胞壁から分泌物を遊離させる。

・方法:タッピング,振動法(徒手・機械)

 

(3)咳嗽介助                                      

・排痰の目的として極めて有効。

排痰操作の前にIPPBやネブライザーを施行。

・痰が喀出された場合には、吸引操作を行う。 

 

(4)肺の拡張と胸郭可動域維持

・方法:胸郭の弾力性を利用する方法(springing)

肺下部の空気を肺上部に移動させる方法(air shift)

マスクとAMBUバックで肺を膨らませる方法(bagging)

 

(5)腹式呼吸訓練

 

(6)横隔膜筋力強化

方法:患者の腹部に500g程度の砂袋をのせて深呼吸させる。

負荷は筋力回復に応じて漸増する。

ベッドの頭位を下げると横隔膜は内臓の重量を支えることになり、筋力強化になる。

 

4)痙性へのアプローチ

(1)直接的アプローチ  痙性筋の持続的ストレッチ― Ib抑制

寒冷療法を用いた抑制  ― 神経伝導ブロック

拮抗筋の促通      ― Ia抑制

運動速度の調節(ゆっくり行う) ― 伸張反射の抑制

(2)間接的アプローチ  心理的因子の除去   ―不安、恐怖

身体的因子の除去   ―褥瘡,尿路感染,直腸膀胱の膨満など

環境の整備      ―室温,他の不安因子の除去

 

5)痛み  分類: a)麻痺境界域の痛み

b)知覚残存型不全麻痺に伴う痛み

c)痙性に伴う痛み

d)自律神経過緊張反射に伴う頭痛

e)心臓部の痛み,あるいは心臓絞扼痛

f)下腹部痛

【治療】

(1)薬物治療 →鎮痛目的

特定の薬の長期にわたる投薬は危険であり、独特な精神症状を引き起こす。

鎮痛薬からの離脱治療に難渋する。

・ピリン系解熱鎮痛薬:ミグレニン,サリドン,セデスG

・非ピリン系解熱鎮痛薬:キョーリンAp2,ブチロン,グリファナンなど

・非ステロイド系抗炎症薬:ボルタレン,ロキソニン,インテバンなど

これらは筋弛緩薬等を併用して投薬される

(2)理学療法 →物理療法(上記)

・経皮敵神経刺激法(SSP)など

(3)心理的なアプローチと催眠療法

・催眠下で除痛体験をさせ、心因的要素を取り除き、精神安定をえて痛みの軽減

を図る

(4)神経外科的治療 →脊髄損傷による痛みを確実に除去できるものではない。

よって第一選択とすべきではない。

・脊髄切除術など

6)環境整備

 

6.リスク管理

・褥瘡の防止

・関節拘縮変形の防止

・尿路直腸の管理

・異所性骨化の防止

・呼吸障害の防止


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