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( ´△`)脳血管障害の話


「脳血管障害」の画像検索結果

脳血管障害(Cerebrovascular disorder)

・悪性新生物、心疾患とともに日本人3大死因の一つ。

・死亡率は20%ほどで、脳出血が減少し、脳梗塞が増加している。

・受療率は、人口10万あたり170人、最も頻度が高い疾患。

 

2.脳血管障害の分類

脳血管障害の新しい分類

A.明らかな血管性の器質的脳病変を有するもの

1.虚血群=脳梗塞(症)

①脳血栓症

②脳塞栓症

③分類不能の脳梗塞

2.出血群=頭蓋内出血

①脳出血

②クモ膜下出血

③その他の頭蓋内出血

3.その他

臨床的に脳出血、脳梗塞(症)などの

鑑別が困難なもの

B.その他

①一過性脳虚血発作

②慢性脳循環不全症

③高血圧性脳症

④その他

 

厚生省循環器病委託研究班による

NINDSの脳血管障害の分類Ⅲ

A.無症候性

B.局所性脳障害

  ①一過性脳虚血発作

  ②脳卒中

   a.脳出血

   b.クモ膜下出血

   c.動静脈奇形からの頭蓋内出血

   d.脳塞栓

  <機序による分類>

    ①血栓性

    ②塞栓性

    ③血行力学性

  <臨床病型による分類>

    ①アテローム血栓症

    ②心原性脳塞栓症

    ③ラクナ梗塞

    ④その他

C.血管性痴呆

D.高血圧性脳症

National Institute of Neurological Disorders and Stroke

 

2.脳卒中の診断基準

1)脳梗塞

A.脳血栓症

1.前駆症候として、一過性の虚血発作を認めることがある。

2.安静時の発症が多い。

3.頭痛はないか、あっても軽度。

4.局在神経徴候の進展は緩徐。(多くは数日以内)

5.意識障害は、発症時はないか、あっても軽度。

6.髄液は清澄。

7.アテローム硬化を伴う基礎疾患(高血圧症、糖尿病、脂質代謝異常など)が存在することが多い。

(注)CTで責任病巣に相当する低吸収域を発作数日以内に認める。

 

 

B.脳塞栓症

1.局在神経徴候あるいは特定動脈領域の徴候が突発し、数分以内に完成する。

2.頭痛はないか、あっても軽度。

3.多くは意識障害が発症時はないか、あっても軽度。

4.髄液は清澄、ときに血性(出血性梗塞)

5.塞栓の原因は通常心疾患(不整脈、弁膜疾患、心筋梗塞など)に由来する。

6.最近他に塞栓(脾臓、腎臓、四肢、肺、腸、脳、網膜など)を起こしたことがある。

(注)CTで閉塞動脈領域に低吸収域を認める。正中線の偏倚、出血性梗塞を思わせる所見などを呈することがある。

(注)脳血管造影により閉塞動脈の再開通所見、または血管内栓子を証明する所見を呈することがある。

C.その他の脳梗塞

1.脳血栓症、脳塞栓症の鑑別が困難な脳梗塞。

2.原因不明な脳梗塞。

(注)発作による局在神経徴候が24時間以上持続し、3週間以内に完全に消失する場合にRINDとよぶことがある。

 

2)頭蓋内出血

A.脳出血

1.活動時の発症が多い。

2.しばしば頭痛がある。

3.局在神経徴候の進展は急速(多くは数時間以内)

4.しばしば意識障害をきたし、急速に昏睡に陥ることもある。

5.通常高血圧症の既往あり、発症時には血圧は著しく上昇していることが多い。

6.血性髄液

(注)小出血では、頭痛、意識障害もなく、髄液も清澄なので、その診断には注意を要す。

(注)CTで脳内に血腫による高吸収域を認める。

 

B.クモ膜下出血

1.突発する激しい頭痛(悪心、嘔吐を伴うことが多い)

2.髄膜刺激症候(項部硬直、ケルニッヒ徴候など)陽性

3.局在神経徴候をみることは少ない(ただし動眼神経麻痺を呈することがある)

4.発症時に意識障害をきたすことがあるが、しばしば一過性。

5.血性髄液

6.網膜前出血

(注)CTで髄液槽に出血による高吸収域を認める。

(注)脳血管造影で脳動脈瘤、脳動静脈奇形などを認める。

C.その他の頭蓋内出血

脳出血,クモ膜下出血との鑑別が困難な頭蓋内出血

3)一過性脳虚血(TIA)

1.TIAの局在神経徴候は24時間以内(多くは1時間以内)に消失する。

2.発作の起こり方は急速(多くは2~3分以内)

3.TIAの症候

a)内径動脈系のTIA

(1)症候は身体の半側にあらわれる(運動・感覚障害、一眼視力消失、失語など)

(2)発作回数は少なく、発作ごとの症候は同じ

(3)脳梗塞を起こしやすい

b)椎骨脳底動脈系のTIA

(1)症候は身体の半側、両側など多彩

(2)脳神経症候(複視、めまい、嚥下障害、両側視力消失、半盲など)

(3)発作回数は多く、発作ごとに症候は変動する

(4)脳梗塞を起こすことは少ない

(注)発作はめまいのみ、意識障害のみのこともある

4)高血圧性脳症

急激な血圧上昇、ことに拡張性血圧の上昇に際して一過性の頭痛、悪心、嘔吐、視力障害、意識障害、痙攣などの症候をきたす。

眼底では乳頭浮腫がみられる。

発作を起こす時期には、悪性高血圧症の状態になっていることが多い。

急性糸球体腎炎のときでは、高血圧が中等度でも発作があらわれる。

その他、子癇などの際にも同様の発作があらわれる。降圧療法で血圧が下降すれば、脳症候は消失する。

5)原因不明の発作

臨床的に脳出血、脳梗塞などの鑑別が困難なもの。

6)その他

1)~5)に該当しないもの。

(付)脳動脈硬化症

脳動脈硬化に基づく脳循環障害によると思われる自覚症状、精神症候などを有するが、脳の局在徴候なく、またCTでも局在性異常を認めないもの。

(注)この基準は他の多くの疾患と紛らわしいので、他の疾患がすべて除外されない限り、この病名は用いないことが望ましい。

厚生省循環器病研究班委託費による「脳卒中の診断基準に関する研究班」

 

3.脳梗塞 Cerebral Infarction

・なんらかの循環障害の結果、脳の一部に虚血状態が続き、その部分の壊死をきたした場合。

・典型的な塞栓

心臓に明らかな病変があり、その壁在血栓が推定され、急激な発症で、症状が内頸・中大脳動脈領域のものであり、しかも出血性梗塞を示す場合。

・臨床的にも病理解剖学的にも血栓と塞栓とは鑑別が困難なことが多い。

・脳塞栓の症状や経過は、閉塞した動脈(灌流領域の大きさとその領域の機能)、側副血行路の有無により決定される。

1)脳血栓

・頸動脈、脳動脈のアテローム硬化部に血栓が成育したもの。

・条件:①血管病変②血液性状の変化③血行力学的変化

・動脈硬化による動脈内腔の著明な狭窄だけで、血栓の形成が認められず、その末梢に脳梗塞をおこしている例がある。

過去には存在した血栓が消失、動脈硬化性狭窄だけで梗塞を生じたため。

健康な血管内皮は血栓形成を制止する機能を有す。

・好発部位:中大脳動脈はアテローム血栓性梗塞、穿通枝動脈はラクナ梗塞が多い。

・発症:睡眠中が多い。進行は階段状で数時間あるいは数日で完成する。

 

2)脳塞栓

・心および大血管の壁在塞栓や空気、脂肪などが動脈中を流れ、ある部分で閉塞するもの。

・発生機序

1)心由来のもの

①壁在血栓:心房血栓(心房細動)、心室内血栓(心筋梗塞)

②弁膜疾患:リウマチ、心内膜炎、全身性エリテマトーデス

③粘液腫

2)頭蓋外動脈由来のもの:アテローム硬化

3)その他

①空気塞栓

②脂肪塞栓

③腫瘍塞栓

④奇異性塞栓:静脈系からの栓子が右心→左心のシャントを通して発生する塞栓

卵円孔を介するものが多い。

・主な原因:大動脈造影、内膜除去術直後におこる塞栓

外傷後に発生する空気、脂肪塞栓

・好発部位:中大脳動脈領域

・発症:突然発症し、完成する。

 

3)ラクナ梗塞 Lacunar state

・脳の深部にみられる小梗塞で、通常その最大径が10㎜以下の空洞が多く、多発した場合。

・穿通枝の領域(終末動脈の多い領域)に好発する。

・分布:被殻、橋、視床、尾状核、内包と放射冠などに多い。

大脳・小脳の皮質、間脳、延髄、脊髄などにはみられない。

・多くの場合(75%)が多発性であり、直径は0.5~15㎜。

・持続的な高血圧と脳動脈硬化が最も関係が深い。

高血圧の長期持続により細小動脈の硬化が進行して狭小となり、そこに血栓が形成されて小軟化巣ができ、これが小空洞化したもの。

そのため、皮質のように連絡動脈枝のよく発達した部位では形成されない。

・予後:極めて良好で、なんらかの症状がでても急速に回復し、ほぼ完全に機能の改善をみる。

 

<臨床症状>

・典型的な症候を呈するときには、それ以上進行する可能性は少なく、予後良好。

①純粋運動性片麻痺 Pure motor hemiplegia

一側の顔面、上下肢の完全または不完全運動麻痺だけで、その他の症状を一切認めない。

階段状に悪化し、半日ないし3日ぐらいの経過で進行する。

片麻痺の回復は2週間以内に始まり、機能的予後良好。

病巣は、反対側の内包・放射冠、橋。

②Homolateral ataxia and crural paresis

片側上下肢の不全麻痺と小脳性失調を示し、下肢の障害が上肢に比して大きい。

病巣は、橋底部上1/3と下2/3の境界部。

内包後脚付近。

③構音障害・手不器用諸侯群 Dysarthria-clumsy hand syndrome

麻痺性構音障害と片側の手、指の巧緻動作の障害。

手の動作のぎこちなさは小脳性失調による。

下肢にも多少の障害を認める。病巣は、橋底部背側。

④純粋感覚性脳卒中 Pure sensory stroke

一側の顔面、上下肢の知覚障害のみで、他の症状を伴わない。

知覚障害は、異常感覚。

しびれ、ちくちく感、圧迫感、熱感、冷感などである。

他覚的な感覚異常はあまり明確でなく、触覚検査でわずかな鈍麻を認める程度。

前兆としての手の感覚異常を一過性に訴える。予後良好。

病巣は、反対側の視床にいたる穿通枝。

⑤仮性球麻痺・その他

両側の皮質延髄路が多発性のラクナ梗塞により仮性球麻痺を呈する。

その他、パーキンソニズム、痴呆、強迫失笑などの症状を呈するものもある。

 

4)脳梗塞の臨床病型の特徴と治療方針

アテローム血栓性梗塞

心塞栓性梗塞

ラクナ梗塞

頻度 20~30% 20~30% 50%
危険因子 高血圧,糖尿病,糖質代謝異常,喫煙 塞栓源となる心疾患 高血圧,糖尿病
TIAの先行 約30~40% 10% 時に
発症形式 階段状の進行 突発完成 急速進行または階段状進行
神経症候 意識障害(±)

大脳皮質症状(+)

意識障害(++)

大脳皮質症状(++)

意識障害(-)

大脳皮質症状(-)

画像所見 境界領域

時に皮質枝領域梗塞

皮質枝領域梗塞

出血性梗塞,脳浮腫

穿通枝領域梗塞

(径1.5㎝以下)

血管撮影所見 主幹動脈狭窄・閉塞 主幹動脈閉塞または再開通所見 主幹動脈病変なし
急性期抗血栓療法 抗凝固療法 抗凝固療法? 抗血小板療法(Ozagrel)
慢性期抗血栓療法 抗血小板療法 抗凝固療法 抗血小板療法?

 

4.頭蓋内出血 Intracranial hemorrhage,脳出血 Cerebral hemorrhage

・頭蓋内出血のうち、脳実質内の出血。

・脳出血の発症は通常は急性であるが、典型的には数分~数時間の間に進行し、多くの虚血性脳卒中のように階段状には進行しない。

・出血は通常、患者が起きて活動しているときに発生し、しばしば強い頭痛や意識障害を伴い、また非局所症状の方が局所神経症状よりも顕在化することがある。

・小さな出血:軽度か中程度の非局在性の神経徴候を伴った特定の局所神経症状を呈する。

・大きな出血:早期に昏睡となり、脳ヘルニアの徴候を示すこともある。

・脳内血腫が脳皮質表面を貫いて進展し、クモ膜下腔への出血を起こすことがある。

・出血が基底核、脳幹部、小脳に起こると、脳室系への進展が起こる。

★危険因子

1:治療不能

①年齢60歳以上、②脳卒中の家族歴、③男性、④一過性脳虚血または脳卒中の既往

2:治療可能

①心不整脈、②心筋症、③糖尿病、④エタノールの過飲、⑤片頭痛の病歴、⑥凝固亢進状態、⑦高脂血症、⑧高血圧、⑨過粘稠状態、⑩麻薬の使用、⑪経口避妊薬の使用、⑫喫煙、⑬心臓弁膜症、⑭血管炎

①原発性高血圧性脳内出血

・非外傷性脳出血の中で最もよくみられ、全脳出血の約60%を占める。

・好発部位:基底核と視床(37%、穿痛動脈)、側頭葉(21%)、前頭葉(15%)、頭頂後頭葉(15%)

小脳(8%),橋(4%)

内包では、中線条体動脈外側枝は直行し、分枝が少ないため微小動脈瘤は稀

・ 病理学的分類:大(直径2㎝以上)、小(直径1~2㎝)、スリット(白質と灰白質の接点で皮質下にある直径1㎝以下)、点状

・出血量と発症時の患者の臨床所見が、予後の重要な予測因子となる。

・原因

1) 著明な高血圧により起こる脳実質内小動脈の微小動脈瘤の破裂

・血管壊死部分がしだいに拡張し、微小動脈瘤を形成し、これが破裂すること。

・内頸動脈、椎骨動脈は、頭蓋内に入ると外弾力膜を失い、外膜の構造が弱体となる。また中膜の発育は悪い。

⇒①発育の悪い中膜筋細胞の壊死

②開大した内皮細胞間結合部から血症成分が内膜に侵入して貯留しておこる血症性動脈壊死

・100~300µmの太さの血管にだけにみられる特異的なもの。

・40歳以上の高血圧例、拡張期血圧が110㎜Hg以上の例に極めて高率に認められる。

・60歳以上の正常高血圧例にも30%ほど認められる。

・1つの微小動脈瘤が破裂すると次々と連鎖反応的に大量出血する場合と、単独あるいは小範囲の出血に止まる場合とがある。

2)血管走行方向の変化

…皮質から髄質への境界で髄質動脈がほぼ直角に屈曲し、この屈曲部の直前に微小動脈瘤が生じる。

3)本幹と分枝の太さの関係など血行力学的因子

・治療の留意点

①出血の程度に関わる高血圧を補正し、適切な範囲に血圧を維持する。

②脳圧排症状を徐々に軽減する。

③合併症の予防。

・治療法

高血圧の程度、血腫の部位、手術による到達の難易度、大きさ、患者の臨床症状により異なる。

①非手術的治療:患者の状態が安定しており、出血が致命的でない場合。

②緊急手術の適応:皮質下出血や小脳出血の患者で、頭蓋内圧亢進による二次的悪化や脳ヘルニアの徴候がある場合。

③手術の適応外:脳幹部を喪失し、内科的治療に反応しない大量出血

②破裂血管奇形(動静脈奇形:AVMと海綿状血管奇形)

・先天性奇形で、動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接に連絡している状態。

・移行部では径が大小様々で曲がりくねった構造を呈する。

・奇形部分は総体にみると通常楔形をしており、底辺を皮質側に、先端を脳室の方へ向けた大きな塊を形成する。

・脳実質は、正常細胞の増殖による線維性結合織に変貌し、神経膠症が広範囲に及び、神経膠腫のようになる。

・拡張しきった動静脈部分は構造的に弱く、破綻出血を起こしやすい。(AVMの70%はいずれ出血する)

・全脳内出血の約5%を占める。(脳卒中の約1%)

・出血部位:脳内(約60%)、クモ膜下(約30%)、脳室内(約10%)

・AVMの破裂時の頭痛、再出血、症候性脳血管攣縮は、破裂囊状動脈瘤ほど顕著ではない。

・他の脳内出血よりも緩徐に進行する。

・若年成人(15~45歳)の脳内出血の患者、高血圧の既往のない高齢者では、この可能性が高い。

 

③動脈瘤破裂

・治療法:3日以内に一般的に血腫除去と動脈瘤のクリッピングが行われる。

臨床症状が不良な患者は、保存的治療により状態が良くなるまでは、手術は延期する。

 

④脳アミロイド血管症(好コンゴ赤色素性血管症)

・軟膜や皮質の小動脈、細動脈、毛細血管の中膜と外膜にアミロイド蛋白が蓄積する点が特徴。

・罹患血管は、粟粒動脈瘤を形成したり、重筒状構造化や類線維素壊死を起こしたりする。

⇒軽微な外傷や突然の血管変化に反応して破裂しやすい。

・高齢者の脳内出血の約15~20%が脳アミロイド血管症による。

・65歳以上の正常血圧の患者で、脳内に非高血圧性の脳内出血がある場合は、この可能性が高い。ただし、約30%の患者は高血圧を併せ持つ。

・頭部単純CT上の皮質下内の血液による多発性の高吸収域や、MRI上の脳室周囲の白質脳症を伴う多発性の点状出血病変は、この可能性が高い。

・繰り返す脳内出血がよく認められる。軽微な頭部外傷、抗凝固療法、抗血小板療法が出血を促進する可能性がある。

・広範囲に及ぶ再発しやすい血管病変であり、また術中の止血が困難。

⇒通常、皮質下出血の外科的除去は行わない。

手術適応:状態の良い患者で、進行性または致命的になりそうな血腫がある場合

・保存的治療:注意深い臨床的モニター、水分や電解質のバランスの維持、気道確保、全身的心血管疾患の治療、二次的合併症の予防、抗てんかん薬の予防的投与。

 

⑤抗凝固や線溶療法の合併症による脳内出血

・高血圧によるものより緩徐に進行する。

・心筋梗塞や脳梗塞に対する薬剤は、投与24時間以内に脳出血が起こる傾向にある。

⇒抗凝固作用を中和するための適切な処置が必要。

 

⑥頭部外傷

・頭部の衝撃部位(直接損傷)あるいは衝撃の反対側(反衡損傷)に皮質の挫傷という形で脳実質内出血を起こすことがある。

・脳挫傷:典型例…大脳半球の皮質表面,脳梁の下面、大脳脚、脳幹の吻側に沿った部位に生じる。

その他…点状出血を伴う、重症の損傷を伴う大量出血。

・水頭症や血腫による脳圧排が進行しない限り、脳実質内出血に対して手術治療を行うことはない。

・脳浮腫、関連する凝固能低下の是正を目指す。

 

⑦脳腫瘍内への出血

・比較的稀

・原発性脳腫瘍(膠芽腫、下垂体腺腫、髄芽種など)や転移性脳腫瘍(肺癌、悪性黒色腫、腎細胞癌、絨毛膜癌)で起こることがある。

・悪性腫瘍の既往のある患者や乳頭浮腫のある患者では、二次性の出血の可能性を考慮すること。

 

⑥その他

・血小板減少症、脳動脈炎

 

※脳出血と脳梗塞との鑑別

脳出血

脳梗塞

①日中活動時に発症することが多い

②頭痛を伴うことが多い

③局在神経症候は急速に進行する

④意識障害を来たすことが多い

⑤高血圧症の既往があることが多く,発作時には血圧が著しく上昇している

①安静時に発症することが多い。

②頭痛は無いことが多い。

③局在神経症候は緩徐に、階段状に進行することが多い。

④意識障害は伴わないことが多い。

⑤高血圧症を伴わないこともある。

 

髄液は血性 髄液は清澄
CTで出血部位に一致する高吸収域を認める CTで高吸収域は認められない

 

5.梗塞出血(出血性梗塞)

・脳梗塞の発症を前提とする。梗塞巣の中に無数の融合性の出血斑を認めるもの。

・出血斑の間に壊死に陥った脳実質が認められる。

・CT所見では、不均一な高吸収域となる。

・通常塞栓の場合にみられ、血栓の場合には少ない。

・機序

①塞栓によって血管が閉塞されると、その支配領域が虚血性変化を受ける。

②閉塞している栓子が融解して細片化し、末梢へ流れて閉塞部が再開する。

③血管再開の時期が遅い場合は、虚血性変化の進んだ末梢部からは容易に出血し、支配領域の方々からの出血が融合して出血斑を形成する。

 

6.クモ膜下出血 Subarachnoid Hemorrhage

・広義:クモ膜下腔に出血するすべての状態。

・狭義:外傷など原因の明らかなものを除外し、原発性にクモ膜下腔に出血するもの。

・原因:①脳動脈瘤(囊状動脈瘤)の破裂(50~80%)

②脳動静脈奇形よりの出血(5~10%)

③その他:もやもや病、大動脈狭窄症

・脳動脈瘤破裂

60歳前後に多い。

加齢やアテローム硬化と関連がある

好発部位:80~90%がウィリス動脈輪の前部

①前交通動脈、②内頸動脈から後交通動脈が分岐する部、③中大脳動脈の第1分岐部、④内頸動脈が中、前大脳動脈に分岐する部

・脳動静脈の奇形

好発部位:70~75%は大脳半球(前頭葉、側頭葉に多い)

男性に多い

若年で発症し、てんかん発作の既往がある場合が多い。

 

1)発症の症候

①突発性の今まで経験したことのない激しい頭痛が起こり、即座に意識を失う。

②激しい頭痛のみで意識は保たれる。

③突然意識障害に陥る。

悪心、嘔吐を伴う。

重症なものでは5分以内に急死することもある。

意識障害は、一過性で数分ないし1時間以内に回復することが多いが、意識不鮮明や健忘が1~2日持続することもある。

 

2)臨床症候

①項部硬直、ケルニッヒ徴候を呈する

項部硬直:仰臥位で、頭部を前屈させ、その際の頸部の抵抗をみる。

屈曲は不十分で、抵抗を感ずる。伸展や左右に回転させるときには抵抗を感じない。

不用意に頭部を前屈させると、急激に呼吸停止をおこすことがある。

あらゆる方向に頸部の抵抗がある場合は、頸椎の疾患か、全身的筋硬直、除脳硬直があると考える。

発作後数時間以上経たないと出現しないことがある。

ケルニッヒ徴候…仰臥位で,股および膝関節を90°に曲げ,下腿を受動的に伸展させる.

正常では、上腿と下腿の角度は135°以上になるが、135°以上に伸ばすことができない徴候。

髄膜刺激による膝屈筋の攣縮による。

②片麻痺や失語などの局在神経徴候はないことが多い。

脳実質まで出血が波及した場合、出血部の血管攣縮や血腫の圧迫により脳梗塞が発生した場合は、持続性の局在徴候を呈する。

③原因が動脈瘤の場合の症候

1)動眼神経麻痺(散瞳、複視、眼瞼下垂) …内頸動脈から後交通動脈が分岐する部

2)発症時に下肢が一側または両側で一過性に麻痺 …前交通動脈

3)精神症候が主体とした場合や、無言性無言や無為を呈している場合 …前交通動脈が疑わしい

4)片麻痺や失語がある   …中大脳動脈

5)一側の失明や視力障害  …眼動脈分岐部

④動静脈奇形による場合の症候

片麻痺、精神障害を示すことがある。

頭部、眼窩部聴診により、ときに血管雑音を聴取する。

⑤眼底検査では、網膜前出血が特徴的。

網膜の血管を覆うようにして、表面平滑で境界鮮明な出血がある。

 

3)重症度分類

<Huntによるクモ膜下出血の重症度>

Grade0 非破裂例

GradeⅠ 意識清明で神経症候のないもの、またはあってもごく軽度の頭痛・項部硬直のあるもの

GradeⅠa 意識清明で急性期症候なく、神経徴候の固定したもの

GradeⅡ 意識清明で中等度か強い頭痛・項部硬直はあるが、神経徴候(脳神経麻痺以外)を欠くもの

GradeⅢ 意識障害は傾眠、意識不鮮明である。軽度の局在神経徴候をもつこともある

GradeⅣ 意識障害は昏迷、中等度から強度の片麻痺、ときに除脳硬直、自律神経障害の初期症状を示す

GradeⅤ 昏睡、除脳硬直、瀕死の状態のもの

※下記を認めるときはGradeを1つ下げる

①重症の全身疾患(高血圧、糖尿病、高度の動脈硬化、慢性肺疾患)

②脳血管撮影上高度の脳血管攣縮像

・GradeⅠ・Ⅱは手術に対してGood Riskで死亡率は低く、GradeⅢ以上はPoor Riskで死亡率が高い。

 

<国際脳神経外科学会連合会(WFNS)による重症度分類 1987>

Grade

Glasgow Coma Scale

神経症候

15

14~13

12~7

+または-

6~3

+または-

・GSC15では約80%が社会復帰しているが6以下では予後不良。

 

4)経過と予後

・脳動脈瘤からの再出血、再発傾向が大。⇒再発により予後が著しく悪くなる。

・再出血は24時間以内に最も多い。

・脳血管攣縮による脳梗塞発作は、4~14日の間に多い。

 

5)重症度と手術適応

・外科的手術:動脈瘤に直達し、Neckに対してClipping、Ligation(結紮)、Wrapping、

Coating(接着剤をぬる)を行う。

・Huntの分類のGradeⅠ・Ⅱは手術に対し死亡率は低く、発症後24時間以内に手術する。

・Ⅴでは手術適応外

・Ⅲ、Ⅳでは早期手術を可とする場合と、内科的治療により再発を予防しつつ血管攣縮の消失する2~3週間後に手術する場合とに意見が分かれている。

 

6)脳動脈瘤の発生部位と頻度

・くも膜下出血を起こす代表的疾患(約80%)

・くも膜下を走行する走行する主要血管の主に分岐部に形成

・そのあきらかな原因は不明であるが、家族発生も報告されており、遺伝的素因も一部で存在する。

・人口1万人あたり200~500人が未破裂脳動脈瘤を持っており、このうち年間1~2%が破裂すると考えられている。

・内頚動脈瘤:約40%、前大脳動脈瘤:33%、中大脳動脈瘤:20%、椎骨脳底動脈系動脈瘤:5%

 

脳動脈瘤の発生部位

 

7.一過性脳虚血発作(TIA)Transient Ischemic Attack

・脳虚血により一過性に脳の局在徴候を示すもの。

・成因:①微小塞栓 …内頸動脈系。内頸動脈分岐部近くのアテローム硬化が原因。

②血行力学的不全…脳底動脈系。動脈硬化が強く、脳循環の自己循環が障害されている場合に、僅かな血圧下降でもTIAが起こりえる。

③その他:頸椎症による動脈の圧迫、鎖骨下動脈盗血症候群、赤血球増多

・ TIAが繰り返し発症し、その症状が毎回不定な場合

…アテローム硬化部から栓子が繰り返し剥離して方々に虚血症状を起こしていると考えられる。

・同じ症状が繰り返して消長しながら、徐々に進行している場合。

…血栓の進展に伴ったTIA症状と考えられる。

1)発作時間

・急速に起こり、症候が完成するまでに5分とはかからず、多くは2分以内。

・発作持続時間は、一般に2~15分であり
、24時間を越えることは無い。

・RIND(回復性虚血性神経脱落症候):24時間以上持続し、3週間以内で完全に症候が消失する場合。

・TIAの発作回数は種々で、ただ1回しかないこともあるし、様々な間隔で多発することもあるし、1日に数回起こることもある。

2)症候

・TIAの25%に頭痛があり、内頸動脈系では前頭部に、椎骨脳底動脈系では後頭部から項部にみられる。

・一般に椎骨脳底動脈系の症候の方が、症候が複雑⇒鑑別のポイント

A)内頸動脈系

①運動障害 …一肢または同側上下肢の脱力、麻痺、上手く使えないなど

②感覚障害 …一肢または同側上下肢のしびれ、感覚鈍麻、異常感覚など。

③構音障害および失語症 …発語、書字、言語理解の困難、読字や計算の困難など。

④視力障害、一眼の失明(一過性黒内障)またはその一部の視力障害。

⑤同名性半盲

⑥上記症候の組み合わせ

・感覚または運動障害が起こる場合には、一般に一度にどっと出現することが特徴で、次第に拡がることを示すことはない。

B)椎骨脳底動脈系

①運動障害

一肢または左右上下肢が色々な組み合わせで、脱力、うまく使えない、麻痺などを起こす。

発作によっては、右・左と障害側が変わる場合や、軽い随意運動の障害から完全な四肢麻痺までの程度も変化する。

②感覚障害

一肢または左右上下肢が色々な組み合わせでしびれ、感覚鈍麻、異常感覚を起こす。

よく一側または両側の顔面、口唇あるいは舌に感覚障害がみられる。

③視力障害

両眼の視力が完全に消失することもあるが、不完全なときには部分的な視力障害が起こる。

④同名性半盲

⑤歩行時の平衡障害と姿勢異常

回転性めまいを伴わない運動失調、平衡障害、不安定性など。

⑥複視、嚥下障害、構音障害、回転性めまい(悪心、嘔吐を伴う場合もある)

⑦上記症候の組み合わせ

・⑥の症候がそれぞれ単独ではTIAとはみなしえない。これらの症候が組み合わって出現するか、①~⑤までの症候のいずれかと合併して出現したときに、TIAの一部とみなす。

 

症候

内頸動脈系

椎骨動脈系

回転性めまい

視力障害

一側失明

両側視力障害

片麻痺

四肢麻痺

失語

構音障害

±

しびれ

一側しびれ

一側または両側しびれ

小脳症候

発作ごとの症候の変動

発作頻度

脳梗塞への移行

C)転倒発作について

・起立、歩行時に急に下肢の筋力が失われて倒れるが、意識障害はなく、すぐに立ち上がり、何の後遺症もなく、もとの動作を続けられるもの。

・椎骨脳底動脈系のTIAの重要な症候であるが、他の原因や瞬間的な失神との鑑別が必要。

・障害部位:脳幹下部、恐らく椎体交叉部で、その虚血により発症する。

・上をみるとか首を左右に回転するなど、首の運動で誘発されることがある。

・頻発するもの以外は重視しない方がよい。

・ 中年の女性では何の原因も無く多発し、Cryptogenic drop attackと呼ばれるものもある。

D)TIAとみなされない症候

・一過性に出現するが、脳血管疾患以外のものでも出現するため、単独ではTIAとはみなしえない。

①意識障害または失神、②浮動性めまい、③意識障害を伴った視力障害、④健忘、⑤意識不鮮明、⑥強直性または間代性痙攣、⑦運動または感覚障害が進展するとき、⑧回転性めまいのみで、悪心や嘔吐は伴うことも伴わないこともある、⑨複視、⑩片頭痛で局在徴候を伴うとき、⑪閃輝性暗点、⑫嚥下困難、⑬構音障害、⑭便尿失禁

・上記の項目にあてはまる場合には、てんかん、アダムス・ストークス症候群、頸動脈洞過敏症、脳腫瘍、脳動脈奇形,メニエール症候群、片頭痛、多発性硬化症、一過性全健忘などを疑う。

・回転性めまい、意識障害は、他の原因が除外できればTIAとして扱うこともある。

 

3)診断

・発作を正しく判断することが重要。

・いつ、どこに、どのような症候があり、どのくらいの時期で消失したか、同時に起こった症候は何か、反復したかなどを詳しく聞き、既往歴にも注意する。

・内頸動脈系のTIAでは内頸動脈の硬化度、拍動の左右差、血管雑音の有無、網膜動脈の塞栓、椎骨動脈系でも血管雑音の有無などが参考所見になる。ただし診断の決め手にはならない。

・脳血管撮影は、アテローム硬化性病変による閉塞性病変の有無を知ることでき、重要。

 

TIAの調査表(アンケート様式)

 

A しびれ感

A1 過去1年間に上肢、手、下肢、足、顔のいずれかにしびれを感じたり、感覚がなくなったりしたことがあるか

もしなければここに印をつけBに進んで下さい □

もしあれば続いて質問に答えて下さい

A2 上肢、手、下肢、足、顔のどこがしびれたか

(1つ以上印をつけてかまいません)

右顔面 □     左顔面 □

〃上肢 □     〃上肢 □

〃 手  □     〃 手  □

〃下肢 □     〃下肢 □

〃 足  □     〃 足  □

A3 しびれ感と共に下肢に痛みがあったか

あった □     な い □

A4 何回しびれ感の発作があったか

1回 □ 2回 □ 3~5回 □ 6回以上 □

6回以上の場合,発作の回数は 回

1回だけの場合,発作があったのは 年 月

2回以上の場合,最初の発作があったのは 年 月

最後の発作があったのは 年 月    2回以上の発作があった場合その頻度は

ほぼ1日に1回 □  1日に数回 □

ほぼ1週に1回 □  1週に数回 □

1ヶ月に数回  □  1年に数回 □

A5 しびれ感の発作はどれくらい続いたか

普通5分以内 □  5分~1時間 □

1~6時間  □  6~24時間 □

1日以上   □

A6 しびれた時に同時に下記の症状を認めたか

運動麻痺  □    視力喪失   □

言語障害  □    痙  攣   □

失  神  □    めまい感   □

ひどい頭痛 □    神経過敏発作 □

A7 しびれた時に医者にかかったか

かかった □     かからない □

 

C 視力

C1 過去1年間に急に短時間眼がみえなくなったり、かすんだことがあるか

もしなければここに印をつけてDに進んで下さい □

もしあれば続いて質問に答えて下さい

C2 どこの視力が侵されたか

右眼 □     右視野 □

左眼 □     左視野 □

両眼 □

C3 眼がみえなくなり、かすんだことは何回あるか

1回 □ 2回 □ 3~5回 □ 6回以上 □

6回以上の場合、発作の回数は 回

1回だけの場合、発作があったのは 年 月

2回以上の場合、最初の発作があったのは 年 月

最後の発作があったのは 年 月    2回以上の発作があった場合その頻度は

ほぼ1日に1回 □  1日に数回 □

ほぼ1週に1回 □  1週に数回 □

1ヶ月に数回  □  1年に数回 □

C4 眼がみえなくなる発作はどれくらい続いたか

普通5分以内 □  5分~1時間 □

1~6時間  □  6~24時間 □

1日以上   □

C5 眼がみえなくなった時、同時に下記の症状を認めたか

麻  痺  □    しびれ感   □

言語障害  □    痙  攣   □

失  神  □    めまい感   □

ひどい頭痛 □    神経過敏発作 □

 

B 運動麻痺

B1 過去1年間に上肢、手、下肢、足のいずれかが麻痺したり、使えなくなったことがあるか

もしなければここに印をつけCに進んで下さい □

もしあれば続いて質問に答えて下さい

B2 上肢、手、下肢、足のどこが麻痺したか

(1つ以上印をつけてかまいません)

〃上肢 □     〃上肢 □

〃 手  □     〃 手  □

〃下肢 □     〃下肢 □

〃 足  □     〃 足  □

B3 麻痺と共に下肢に痛みがあったか

あった □     な い □

B4 何回麻痺の発作があったか

1回 □ 2回 □ 3~5回 □ 6回以上 □

6回以上の場合,発作の回数は 回

1回だけの場合,発作があったのは 年 月

2回以上の場合,最初の発作があったのは 年 月

最後の発作があったのは 年 月    2回以上の発作があった場合その頻度は

ほぼ1日に1回 □  1日に数回 □

ほぼ1週に1回 □  1週に数回 □

1ヶ月に数回  □  1年に数回 □

B5 麻痺の発作はどれくらい続いたか

普通5分以内 □  5分~1時間 □

1~6時間  □  6~24時間 □

1日以上   □

B6 麻痺または脱力と同時に下記の症状を認めたか

運動麻痺  □    視力喪失   □

言語障害  □    痙  攣   □

失  神  □    めまい感   □

ひどい頭痛 □    神経過敏発作 □

B7 麻痺した時に医者にかかったか

かかった □     かからない □

D 言語

D1 過去1年間に急に喋りにくくなったり、喋れなくなったり、言いたい言葉が出なくなったりして、それが2分以上続いたことがあるか

もしなければここに印をつけてEに進んで下さい □

もしあれば続いて質問に答えて下さい

D2 言語障害の発作は何回あったか

1回 □ 2回 □ 3~5回 □ 6回以上 □

6回以上の場合、発作の回数は 回

1回だけの場合、発作があったのは 年 月

2回以上の場合、最初の発作があったのは 年 月

最後の発作があったのは 年 月    2回以上の発作があった場合その頻度は

ほぼ1日に1回 □  1日に数回 □

ほぼ1週に1回 □  1週に数回 □

1ヶ月に数回  □  1年に数回 □

D3 言語障害の発作はどれくらい続いたか

普通5分以内 □  5分~1時間 □

1~6時間  □  6~24時間 □

1日以上   □

D4 喋りにくくなった時、同時に下記の症状を認めたか

麻  痺  □    しびれ感   □

視力喪失  □    痙  攣   □

失  神  □    めまい感   □

ひどい頭痛 □    神経過敏発作 □

 

 

E めまい感

E1 過去1年間にめまい感がしたり、歩きにくくなったり、ふらふらしたり、体のバランスがうまくとれなくなったことがあるか

もしなければここに印をつけてFに進んで下さい □

もしあれば続いて質問に答えて下さい

E2 上記のような発作が過去1年間に何回あったか

1回 □ 2回 □ 3~5回 □ 6回以上 □

6回以上の場合、発作の回数は 回

1回だけの場合、発作があったのは 年 月

2回以上の場合、最初の発作があったのは 年 月

最後の発作があったのは 年 月    2回以上の発作があった場合その頻度は

ほぼ1日に1回 □  1日に数回 □

ほぼ1週に1回 □  1週に数回 □

1ヶ月に数回  □  1年に数回 □

E3 そのような発作はどれくらい続いたか

普通5分以内 □  5分~1時間 □

1~6時間  □  6~24時間 □

1日以上   □

E4 めまい感がしたり、歩きにくくなったり、ふらふらしたり、体のバランスがうまくとれなくなった時、同時に下記の症状を認めたか

麻  痺  □    しびれ感   □

痙  攣  □    視力喪失   □

激しい頭痛 □    転  倒   □

よろめき歩行□    悪  心   □

不明瞭言語  □     嘔  吐     □

発語 不能  □     神経過敏発作  □

物体が二重にみえる □

E5 このような発作があった時、医者にかかったか

かかった □     かからない □

 

F これまでの体の状態

F1 これまでに下記の病気を指摘されたことがあるか

(1つ以上に印をつけてもかまいません)

高血圧  □

心臓病  □

糖尿病  □

F2 脳卒中に罹患したことがあるか

な い  □

あ る  □

もしある場合罹患したのは 年 月

当時下記の症状はあったか

顔 の 麻 痺  □  上下肢の運動麻痺 □

上下肢のしびれ感 □  視 力 障 害  □

言 語 障 害  □

F3 現在まだ下記の脳卒中による症状があるか

顔 の 麻 痺  □  上下肢の運動麻痺 □

上下肢のしびれ感 □  視 力 障 害  □

言 語 障 害  □

F4 過去1年間に、入院したり、医者にかかったことがあるか

な い  □

あ る  □

ある場合は,その病名は

医者の名前

病院の名前

(所在地        )

 

8.可逆性虚血性神経症状(RIND)Reversible ischemic Neurological Deficit

・完全回復性脳卒中(Stroke with Full Recovery)

・数日~数週間後(3週間以内)に症状が消失するもの。

・RINDでは、内頸動脈系におこるものが圧倒的に多い。

・同じ症状が繰り返して消長しながら、徐々に進行することが無い。

・発症が、2/3が急速であるが、1/3は緩徐

・成因:①大部分が小梗塞②小出血

・障害部位:半卵円中心、レンズ核、内包前脚・膝、大脳皮質・皮質下など

…いずれも元来回復が良好とされている部位

 

9.一過性全健忘(TGA) Transient Global Amnesia

・特徴

①突然に、何らかの前兆もなく起こる

②短期記憶(数分から30分程度前までの記憶)の消失と、近時記憶の逆行性健忘(数日から数週間に及ぶ)で発症する。

③発作は数時間で回復し、この間に健忘も次第に短縮し消失する。

④発作中は意識清明で、感覚も自我認識も保たれており、日常の動作は変わりなく行うことができる。

しかし健忘があるため、周囲のことが理解できず、不安に陥りしつこく家人に問いただす。

神経学的に他に異常はない。

⑤発作期間中の記憶は喪失し、永続する。

・成因:両側性の側頭葉(海馬)、または視床での脳血管障害(椎骨脳底動脈系の障害)

 

10.高血圧性脳症 Hypertensive Encephalopathy

・急激な血圧上昇によって、一過性の頭痛、悪心、嘔吐、視力障害、痙攣、意識障害などの症候をきたす。

・片麻痺などの局在徴候を示すことは稀。

・うっ血乳頭、髄液圧の上昇(250㎜H2O以上)を認めることが多い。

・拡張期血圧は、130㎜Hg以上に上昇。

・高血圧症は、悪性の状態になっており、心、腎の機能不全を伴っていることが多い。

慢性腎不全、急性糸球体腎炎、腎血管性高血圧、褐色細胞腫、Cushing症候群、急性妊娠中毒など。

・成因:本態は不明であるが、脳浮腫が主体となっている。

血圧の著明な上昇⇒細動脈の拡張⇒脳浮腫

 

11.頚動脈海綿静脈洞瘻 Carotid-cavernous Fistula

・突然に発症し、眼痛、頭痛を訴え、前頭部、眼瞼、眼球結膜の静脈怒張、浮腫を認める。

・眼球は突出し、拍動を触れ、障害側眼球上およびその周辺で血管雑音を聴取する。

・外転神経麻痺が多い。

 

12.ウィリス動脈輪閉塞症(もやもや病)

・脳血管撮影で特異な血管網を示し、臨床的には脳出血、梗塞、TIA、てんかんなど多彩な脳血管発作をおこすもの。

・日本に多い疾患で、初発年齢は10歳未満38%、30歳代20%にピークがある。約1/2が15歳以下で発症し、女性に多い傾向がある。

・小児群では脳虚血症候を、成人群では脳動脈瘤による頭蓋内出血症候を主体とする。

・多因子遺伝性疾患の可能性がある。

・成因:ウィリス動脈輪の完全または不完全閉塞。

さらに前・中大脳動脈、時には後大脳動脈へと閉塞が及ぶ。

二次的に頭蓋底部の側副血行路が網状に発達する。

当初は、内頸動脈終末部に閉塞または狭窄が両側性に始まるのが典型的な病理所見。

線維性組織が内膜側に増殖し、その線維性組織の中に脂質の沈着を伴い、アテローム性硬化に似た像を呈する。

 

<ウィリス動脈輪閉塞症診断の手引き>

1.1)①発症年齢は各層にわたるが、若年者に多く、また女性に多い傾向がある。孤発例が多いが、ときに家族性に発生することもある。

②症候及び経過については、無症候のものから、一過性のもの、固定神経症候を呈するものなど、軽重、多岐にわたる。

③小児例では脳虚血症候を、成人例では頭蓋内出血症候を主体とするものが多い。

2)小児例では、片麻痺、単麻痺、感覚異常、不随意運動、頭痛、痙攣などが反復発作的に出現し、ときに、病側が左右交代して現れることがある。

3)成人例では、小児例同様の症候を呈するものもあるが、多くは、脳室内、クモ膜下腔、脳内出血で突然発症する。これらは多くは軽快し、あるいは固定神経症候を残すが、なかには重症となり、死亡するものもある。

2.診断上、脳血管撮影は必須であり、少なくとも次の所見がある。

1)頭蓋内内頸動脈終末部、前及び中大脳動脈近位部に狭窄または閉塞がみられる。

2)その付近に異常血管網が動脈相においてみられる。

3)これらの所見が両側性にある。

3.原因不明で、特別の基礎疾患(動脈硬化、髄膜炎、腫瘍、ダウン症候群、レックリングハウゼン病、外傷、放射線照射など)はみられない。

4.診断の参考となる病理学的所見

1)内頸動脈終末部を中心とする動脈の内膜肥厚と、それによる内腔狭窄ないし閉塞が、通常両側に認められる。ときに肥厚内膜内に脂質沈着を伴うことがある。

2)前・中大脳動脈、後交通動脈などウィルス動脈輪を構成する諸動脈に、しばしば内膜の線維性肥厚。内弾性板の屈曲・中膜の菲薄化を伴う種々の程度の狭窄ないし閉塞が認められる。

3)ウィリス動脈輪を中心として多数の小血管(穿通枝及び吻合枝)がみられる。

4)しばしば軟膜内に小血管の網状集合がみられる。

診断の基準

1.の事項を参考として、下記のごとく分類する。なお脳血管撮影を行わず剖検したものについては、4.を参考として別途に検討する。

1.確実例

2.のすべての条件及び3.を満たすもの、ただし小児例では一側に2.の1)、2)を満たし、他側の内頸動脈終末部付近にも狭窄の所見が明らかにあるものを含む。

2.疑い例

2.3.のうち、2.3)の条件のみを満たさないもの。

厚生省特定疾患,ウィリス動脈輪閉塞症調査研究班,班長 米川泰弘,1989

 

13.脳血管の閉塞部位と臨床症候

表.脳血管の閉塞部位と臨床症候(その1)

動脈名 閉塞部位 主要症候
病巣側 反対側 視野 その他
前大脳動脈 完全閉塞(一側閉塞では必ずしも発症しない) 1.顔を含む片麻痺(下肢に強い)

2.下肢の皮質性感覚障害

1.尿失禁

2.歩行失行

3.把握反射、吸引反射

4.記憶喪失、精神障害

Heubner動脈

(内側線条体動脈)

1.下顔面、下、上肢(ことに近位部の麻痺)

2.筋硬直が著名

3.不随意運動

Heubner動脈より末梢部 1.下肢ことに遠位部の麻痺

2.下肢の皮質性感覚障害

中大脳動脈(内頚動脈) 完全閉塞(中大脳動脈と内頚動脈閉塞は、臨床症候は似ている。があるときは内頚動脈閉塞を疑う) 一過性の視力障害が前駆する 1.顔面、舌を含めた片麻痺(回復期には上肢に麻痺強い)

2.半身の感覚障害

同名性半盲

同名性下部4部盲

1.意識障害

2.優位半球障害では失語(運動性、感覚性)

3.失行、失認

4.病巣と反対側への注視麻痺、眼球共同偏奇

外側線条体動脈(レンズ核線条体動脈) 1.顔、舌を含む片麻痺(上肢に強い)

2.半身の感覚障害

前脈絡叢動脈 1.顔を含む片麻痺

2.半身の感覚障害

同名性半盲

同名性上部4部盲

モナコフ症候群

Monakow syndrome

(1+2+半盲)

後大脳動脈 皮質枝 同名性半盲

同名性上部4部盲

1.優位側では純粋失読

2.両側障害では皮質盲

3.記憶力障害

穿通枝

1.視床膝状体動脈(視床症候群)

1.半身感覚鈍麻ことに深部感覚の高度な障害

2.自発痛、異常感覚、ヒペルパチー

3.不全片麻痺

4.運動失調(上肢の企図振戦)

5.不随意運動(舞踏様、アテト-ゼ様)

手口感覚症候群
穿通枝

2.視床穿通動脈および傍正中中脳枝

動顔神経麻痺(A)(顔瞼下垂、外斜視、散瞳) 1.小脳性運動失調(B)

2.片麻痺(C)

3.振戦(D)

4.(半身の深部感覚障害)

1.クロード症候群(A+B)

2.ウェーバー症候群(A+C)

3.ベネディクト症候群(A+D)

4.片側バリズム(ルイ体)

5.バリノー症候群

6.中脳幻覚症

7.中脳上部の広範梗塞では昏睡、除脳硬直

穿通枝

3.内包後脚への枝

1.顔を含む片麻痺

2.半身感覚障害

同名性半盲 Retrolenticular

Capsule syndrome

 

表.脳血管の閉塞部位と臨床症候(その2)

動脈名 梗塞部位 閉塞動脈 主要症候
病巣側 反対側 その他
脳底動脈 上部内側 脳底動脈上部の傍正中枝 1.MLF症候群

2.軟口蓋ミオクローヌス

3.小脳性運動失調

1.顔を含む片麻痺

2.まれに触覚、深部感覚の障害

上部外側 上小脳動脈 1.小脳性運動失調(A)

2.ホルネル症候群

3.病巣側への注視麻痺(B)

1.顔を含む半身の温度・痛覚消失(C)

2.下肢のほうが強い触覚、深部感覚障害(D)

3.難聴

1.めまい、悪心、嘔吐で発症

2.眼振(水平、垂直)

3.斜偏奇

4.レーモン・ゼスタン症候群[A+B+C+D+(反側片麻痺)]

中部内側 脳底動脈中央部の傍正中枝 1.小脳性運動失調

2.MLF症候群

1.顔を含む片麻痺

2.半身の触覚、深部感覚の障害(種々でありまた一過性である)

中部外側 短周辺動脈 1.小脳性運動失調(A)

2.咬筋麻痺(B)

3.顔面感覚鈍麻(C)

(半身の感覚鈍麻)(D) マリー・フォア症候群[A+B+C+D+(反側片麻痺)]
下部内側 傍正中枝 1.病巣側への注視麻痺(輻輳反射は存在)

2.外側視の際の複視

3.小脳性運動失調

4.MLF症候群

5.one-and-a-half症候群

1.顔を含む片麻痺

*片麻痺と病巣側の顔面(および外転)神経麻痺(ミヤール・ギュブレ-症候群)

*片麻痺と病巣側への注視麻痺、病巣側顔面神経麻痺(フォブィル症候群)

2.半身の触覚、深部感覚障害

1.眼振

2.片麻痺と病巣側の顔面攣縮(ブリソー症候群)

下部外側 前下小脳動脈 1.末梢性顔面神経麻痺(A)

2.病巣側への注視麻痺(B)

3.難聴、耳鳴(C)

4.小脳性運動失調

5.顔の感覚鈍麻(D)(普通は起こらない)

半身の感覚障害(病巣側A、B、C、Dを伴うもの、ガスペリニ症候群) 1.回転性めまい、悪心、嘔吐で発症

2.眼振(水平、垂直)

下部(内側+外側) 前下小脳動脈 下部内側の症候+下部外側の症候 下部内側の症候+下部外側の症候

 

表.脳血管の閉塞部位と臨床症候(その3)

動脈名 梗塞部位 閉塞動脈 主要症候
病巣側 反対側 その他
椎骨脳底動脈 延髄 内側 1.椎骨動脈またはその分枝

2.前脊髄動脈分枝

3.脳底動脈下部の分枝

舌の萎縮、麻痺(A)(ジャクソン症候群A+脳神経Ⅹ、ⅩⅠ麻痺) 1.片麻痺(顔は含まない、上肢に強い)(B)

2.上半身の触覚、深部感覚障害(C)(デジュリン症候群A+B+C)

1.前脊髄動脈の傍正中閉塞では病巣側の上肢、反対側の下肢に麻痺を起こす(交叉性片麻痺)

2.ときに四肢麻痺

外側(ワレンベルク症候群) 1.後下小脳動脈(普通は椎骨動脈より分枝)

2.椎骨動脈(原因として最も多い)

3.脳底動脈下部の分枝

1.小脳性運動失調(病巣側へ倒れる)

2.顔面のしびれ感、感覚解離

3.ホルネル症候群

4.軟口蓋麻痺、咽頭反射消失(A)

5.味覚障害

6.半身のしびれ感

7.しゃっくり

半身の感覚障害(B)(ワレンベルグ症候群に片麻痺を伴うときにはバビンスキー・ナジョット症候群) 1.回転性めまい、頭痛、悪心、嘔吐で発症

2.眼振

3.嚥下困難、嗄声(C)

4.アブェリス症候群(A+B+C)

5.シュミット症候群(A+C+病巣側副神経麻痺)

主幹部の閉塞 回転性めまい、悪心、嘔吐で発症、昏睡、弛緩性四肢麻痺、球麻痺、除脳硬直(ことに疼痛刺激により)、眼球共同偏奇、斜偏奇、瞳孔不動、縮瞳、発熱、血圧上昇などを示し、早期に死亡する(閉塞が完全でない場合の症候はさまざまである) 脳底出血と診断されることもある

 

14.脳卒中片麻痺の特徴

・脳卒中で最も頻度が高い.

・上位運動ニューロン障害(錐体路障害).

表.上位運動ニューロンと下位運動ニューロン障害の鑑別点

障害部位
徴候 上位運動ニューロン 下位運動ニューロン
筋緊張度 痙性(spasticity) 弛緩(flaccidity)
深部反射 亢進 減弱あるいは消失
筋萎縮 (-)あっても廃用性萎縮 (+)
Babinski反射 (+) (-)
線維束攣縮 (-) (+)
麻痺の分布 多数の筋 孤立した筋

 

・片麻痺患者の機能障害は図に示したように、基本的障害だけでも身体・精神にわたる諸症状の複雑な絡み合いによりなる。

 

①運動障害(中枢性麻痺)について

・末梢性麻痺の回復は徒手筋力テストの基準でいう筋力0から5への量的変化にすぎない。

・中枢性麻痺は「質的変化」である。回復過程において、正常では見られない質的に異なった「異常」な現象が出現し、一時はそれが前景を占めるが、さらに回復がすすめば、次第にその異常な現象が弱化し、徐々に正常な状態に戻ることをさす。

・質的変化は大きく「陽性徴候」と「陰性徴候」との二つに分けられる。

・「陽性徴候」:正常には潜在的にしか存在しない原始的な現象が抑制を脱して表面に現れたもの。

・「陰性徴候」:正常に存在している運動調節機構が妨げられたもの。

 

②共同運動

・陽性徴候の中で最も重要なもの。

・片麻痺の回復の初期に、ようやくわずかながら随意的な動きが可能になった時点で出現する。

・基本的共同運動パターン

(上肢) 屈筋共同運動 伸筋共同運動
肩甲帯 挙上と後退 前方突出
片関節 屈曲・外転・外旋 伸展・内転・内旋
肘関節 屈曲 伸展
前腕 回外 回内
手関節 掌屈 背屈
手指 屈曲 伸展
(下肢) 屈筋共同運動 伸筋共同運動
股関節 屈曲・外転・外旋 伸展・内転・内旋
膝関節 屈曲 伸展
足関節 背屈・内反 底屈・内反
足指 伸展(掌屈) 屈曲(底屈)

 

③連合反応

・患側の随意的な運動が不可能でも、健側の筋を強い力で働かせれば、その影響が及んで、患側の筋の収縮が引き起こされること。

・対側性連合反応

(上肢)

健肢の屈曲→患肢の屈曲

健肢の伸展→患肢の伸展

(下肢)

健肢の屈曲→患肢の伸展

健肢の伸展→患肢の屈曲

健肢の内転→患肢の内転

健肢の外転→患肢の外転

・同側性連合反応

上肢の屈曲→下肢の屈曲

下肢の伸展→上肢の伸展

④姿勢反射

・緊張性頚反射

1)非対称性緊張性頚反射(ATNR):頚部の捻転→顔の向いた側の上下肢の伸筋優位、反対側の屈筋優位

2)対称性緊張性頚反射(STNR):頚の屈曲→上肢屈筋優位、下肢伸筋優位

頚の伸展→上肢伸筋優位、下肢屈筋優位

・緊張性迷路反射(TLR):背臥位→上下肢伸筋優位

腹臥位→上下肢屈筋優位

⑤痙性

・痙性の概念は非常に混乱している。

・臨床生理学の立場から提唱されている定義によると痙性は頚反射の亢進、固縮は筋緊張の亢進と定義される。

 

⑥中枢性麻痺のまとめ

・片麻痺では図中央の横線より上の機能は抑制され、それより下の機能はむしろ亢進して前面に現れる。

・回復とは、運動統合のレベルが次第に上がっていく過程であると考えられ、そのため機能回復訓練の方向は亢進した低いレベルの活動を抑制し、より高いレベルの活動を促通していくことにおかれる。

 

⑦運動障害(中枢性麻痺)以外の片麻痺の症状

1)感覚障害

2)神経麻痺

3)失調症およびその他の小脳症状

4)言語障害

5)失行・失認

6)痴呆

7)排尿障害

8)排便障害

9)pusher syndorome(対軸傾斜症候群)

 

15.脳卒中ADLの特徴

①上肢の残存能力とADLは関係はあるが比例しない

・健側上肢が代償するから.

・患側機能があるレベル以下になると片手動作によるADLになる.

②患側上肢が利き手か否かによってADLは影響を受ける

・利き手交代は巧緻性に限界がある.

・職業復帰率は左片麻痺のほうが多い.

③健側上下肢の機能は必ずしも正常ではない

・筋力低下、病的反射、痙性、巧緻性の低下

④失語症や麻痺性構音障害(とくに仮性球麻痺によるもの)はコミュニケーションに障害をきたし、ADLにも支障をきたす。

⑤失認、失行、痴呆、意欲の低下などの高次脳機能障害はADLに最大の支障をきたす。

・前頭葉前野、補足運動野、尾状核(運動企画、準備、スタートなどに関与する中枢)の障害⇒ある動作・行為を行なう能力を持っているがその意図や意欲がなく、実際にはやらないという結果に終わることが多い。

⑥老齢による他の因子(腰痛、変形性関節症、円背、老年痴呆、パーキンソニズム、内臓疾患など)によって病前のADLが制限されている場合が少なくない。

⑦60歳以上の患者の多くは、社会的活動に対するニーズは減少、家庭内における身の周り動作の独立がゴールになることが多い。狭義の基本的ADL(BADL{家族がいれば、IADL})が主体となり、生活関連活動に対するニーズは減少するか、あっても無理なことが多くなる。

 

・今回私たちの班は脳卒中の区別を以下のように分けた。

・急性期:脳浮腫が存在する時期。機能障害の進行期。

・慢性期:浮腫が消失するとき。基本的に発症から1ヶ月といわれている。能力障害がみられる。

 

1)急性期ADLの特徴

①ADL自立への働きかけにより、今後のADL向上の動機付けとなる。

②出来る動作をさせることにより、自信と希望をもたせる心理的働きかけとなる。

③将来の片手動作への準備期間でもある。ここでは利き手が患側であれば「利き手交換」訓練などが必要となってくる。

④廃用症候群によるADL能力の低下を防ぐ。

⑤様々な動作を観察することで失行、失認(左半側視空間失認)、注意、記憶などの高次脳機能障害の有無や程度の評価ともなり、今後のADL訓練の中でのプログラム作りの重要な情報にもなる。

 

2)維持期ADLの特徴

①徐々にあるいは急激に活動性を増していく。

②実際の生活の場(病棟)、生活の時間帯で訓練を行う。

③廃用の悪循環を防ぐために生活全体の活発化をはかる。

3)回復期ADLの特徴

①自宅での「しているADL」の確立,向上

②「どこでも行えるADL」の一層の拡大

③QOL向上のための新しい主目標の設定とそのための副目標の設定、達成

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