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(*▼▼)/未破裂脳動脈瘤と高次脳機能障害の話


(#^.^#)題名:未破裂脳動脈瘤と高次脳機能障害の話

未破裂脳動脈瘤直達手術の高次脳機能への影響については、悪化例があるとの報告と認められないとの報告があり、一定の見解は得られていない。

術後に高次脳機能の悪化する症例があるとの報告では、患者側の要因として、瘤部位、高齢、高血圧などの全身性疾患、術前の高次脳機能低下、虚血性脳血管障害の既往などがあげられている。

手術に起因する要因としては、脳圧排による脳損傷、髄液排出による術後の硬膜下液貯留や、静脈や動脈損傷などを起こして脳循環代謝障害をきたすことなどが指摘されている。

未破裂脳動脈瘤への直達手術が高次脳機能に及ぼす影響を検討した報告では、対象例、評価方法、評価時期、評価結果の判定基準の違いがある。

70 歳以下で前方循環の未破裂脳動脈瘤44例に、術前および術後1カ月目にWAIS-R、Wechsler Memory Scale、Rey-Osterrieth Complex Figure test を行い、全体でみて悪化はなく、各症例でみても術前値の2ポイント以上の低下例はないとされる。

133Xe-SPECTによる脳血流検査も併せて行ったが、術側の大脳半球脳血流量に有意の悪化は認めなかったとされる。

71歳以上の2例と後方循環系動脈瘤の3例を含む30例を対象に、術前および術後1カ月目にMini Mental State Examination(MMSE)、Mazeテスト、仮名拾いテストを行い、術前の値に比べて術後1ポイント以上悪化した例は、MMSEで10例、Mazeテストで13例、仮名拾いテストで17例にみられ、全検査で悪化したものは5例あったとされる。

99mTc-ECD SPECTによる脳血流検査の結果、定性的評価ではあるが、前頭葉中心に脳血流低下を9例に認めた。

年齢や瘤部位による除外基準を設けない43例を対象に、術前および術後1カ月目に MMSE、仮名拾いテスト、Kohs 立方体組み合わせテスト、脳研式記名力テストを行い、術前値の20%以上の低下を、MMSEで0例、仮名拾いテストで8例(19%)、Kohs立方体組み合わせテストで2例(6%)、脳研式記名力テストで11例(31%)に認めた。

133Xe SPECT による脳血流検査を併せて行い、いずれかの検査が悪化した例では手術側の前頭葉にて術後有意な低下を認めた。

IQの場合、ある個人が得た評価点が「真」の評価点から3.02離れた範囲内にある確率は、およそ3回のうち2回であることを意味しており、また測定標準誤差の2倍の6.04 離れた範囲内にある確率は、およそ20回のうち19回であることを意味している。

WAIS-Rを行った過去の報告でも、術後検査を50日以降に実施した結果、21例中6例(29%)で3点以上の低下を認めている。

検査実施時期による影響も考えられ、術後1カ月目に高次脳機能の悪化を認めた症例の79%が、6カ月後の再検査では元のレベルに回復するか、改善したとされる。

高次脳機能障害をきたす要因として、瘤の部位(ACoA)、高齢(65歳以上あるいは70歳以上)、高血圧や虚血性心疾患などの全身性疾患の合併などが指摘されている。

ACoA瘤への手術では、従来の報告のように前頭葉底面への圧排が強くなる場合があり、脳挫傷をきたす可能性が高い。

硬膜下液貯留が高次脳機能に影響するとする報告は、破裂脳動脈瘤例では多いが、未破裂動脈瘤例ではほとんどない。

PETでの検討では、pterional approachによる開頭術でも、丁寧な手術操作であれば脳循環代謝への影響は少ないされる。

ACoA瘤の手術では前頭葉底面への圧排を間欠的に行い、rectal gyrusの吸引を避けることが重要とされる。

破裂脳動脈瘤例が対象ではあるが、コイル塞栓術がクリッピング術よりも高次脳機能への影響が少ないとされる。

術後の硬膜下液貯留の防止に関しては、fibrin glueによるくも膜形成により、硬膜下液貯留を抑制でき、脳室腹腔短絡術の必要性が減り、3 カ月後の転帰改善に有用であったとされる。

人工髄液の効用は、実験的に脳組織保護効果があるとされる。

(^-^)参考文献

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