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(^○^)脳梗塞と基礎知識の話


(・.・;)題名:脳梗塞と基礎知識の話

【基礎知識】

Ⅰ脳梗塞について

①臨床症候

脳梗塞の原因は、主に脳血栓症と脳塞栓症である。両者の簡単な臨床症候における鑑別点を図に表わす。

 

内頸動脈系の閉塞では、症候は一側性で片マヒ、半身感覚障害、ときに失語、失行、失認、同名半盲を伴う。

椎骨脳底動脈系の閉塞では、症候は1側性ないし両側性で、運動麻痺、感覚障害、小脳症候、脳神経症候その他が段階的に(脳血栓症)または突発的に(脳塞栓症)出現する。

脳血管障害 代表的疾患
内頸動脈系

 

内頸動脈 ・無症候より重篤例までさまざま。

・一般に臨床症候は中大脳動脈閉塞に似る

・内頸動脈の塞栓症は重篤例が多い

前大脳動脈 ・片麻痺(上肢<下肢)

・把握反射

・記憶障害、精神障害

中大脳動脈 ・片麻痺(上肢≧下肢)

・半身の感覚障害

・同名半盲

・左半球病変で失語

椎骨脳底動脈系 後大脳動脈 ・片麻痺はないか軽度

・同名半盲

・視床症候群、記銘力障害

脳底動脈

およびその分岐

・     昏睡

・     四肢麻痺

・     四肢感覚障害

・     Locked‐in症候群

・     球麻痺、縮瞳、複視

・     小脳失調

・     回転性めまい、斜偏視

・     その他

椎骨動脈

およびその分岐

・     Wallenberg症候群

・     舌の麻痺と萎縮

②発症年齢・遺伝性

脳血栓症は65歳以上の比較的高齢者に多くみられるが、若年発症例も少なくなく、かつその一部に

は先天性凝血系異常などの遺伝性がみられることもある。

脳塞栓症は、以下の原因疾患により若年から高齢者まで幅広くみられるが、やはり高齢者が多い。

 

リウマチ性心臓弁膜症(僧房弁狭窄が最も多い)

心房細動(僧房弁狭窄、虚血性心疾患によるものが大部分)

洞不全症候群

壁在血栓を有する心筋梗塞

急性・亜急性感染性心内膜炎

非感染性または消耗性心内膜炎

心臓外科手術(特に弁置換術)

左房粘液腫

僧房弁逸脱症

特発性心筋症

その他

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③病因・病態

脳血管の閉塞・狭窄あるいはその他の原因により脳血流が著名に低下し、不可逆性病変が生じたものを脳梗塞と呼ぶ。血流が正常の10~20%以下、代謝が15%以下になり、その状態が15分~1時間つずくと病巣中心部は梗塞に陥る。

①脳血栓症:アテローム硬化、血液疾患(動脈炎、DIC等)、解離性大動脈瘤、経口避妊薬服用

②脳塞栓症:心房細動、心筋梗塞(壁在血栓)、細菌性心内膜炎、弁置換術後、左房粘液腫

 

④検査所見

脳梗塞はCT上、X線吸収の低い(黒い)陰影を示し、通常発症24時間目当たりから出現する。

(すなわち、脳梗塞では発症初期には正常CT像の事がある)

⑤診断・鑑別診断

脳出血との臨床的鑑別点を挙げるが、臨床症候のみでは鑑別はかなり困難である。

CTかMRIをとって鑑別する。

脳梗塞と脳出血の臨床的鑑別点

脳出血 脳梗塞
既住のTIA

高血圧症

心疾患

++

+or-

発症期間

発症からpeakまで

頭痛

項部強直

網膜前出血

昼間、活動時

6時間以内

+が多い

時に+

安静時

1時間以上~1日以上

稀に+

 

脳梗塞症の臨床的診断は、片麻痺を示す症例では、麻痺側の反対側にも神経症候があるか否かに注目

⑥治療

1急性期の治療

・呼吸管理、その他バイタルサインのチェックとその維持。

・血圧が高くても降圧薬は通常使用しない

・脳圧下降薬(グリセロール、マニトール)急速靜注

・感染予防、膀胱管理、脱水・辱蒼出現の予防、その他合併症対策

・脳血栓症には、トロンボキサン合成酵素阻害薬(オザグレルナトリウム)靜注。

・脳塞栓症の起早期(発症4~6時間以内)にはウロキナーゼやt-PAが試みられる。

2慢性期の薬物療法

・合併症対策、特に高血圧治療

・脳循環代謝賦活剤使用

3慢性期の手術療法

・内頚動脈閉塞ないし高度の狭窄例で、時に血栓除去手術

 

Ⅱ脳卒中リハビリテーションの考え方

①リハビリテーションの理念と障害の概念

リハビリテーションの対象は障害であって疾患ではない。障害は疾患の結果起こった「生活上の困難・不自由・不利益」である。疾患から直接起こってくるのが、機能・形態障害(impairment)で、生物学的なレベルでとらえた障害である。脳卒中による片麻痺・失語症などがこれにあたる。

次にこれが原因で起こるのが能力障害(disability)で、人間個体のレベルでとらえた障害であり、歩行障害、書字不能などをさす。

能力障害の結果として、あるいは疾患や機能障害から直接に起こってくるのが社会的不利(handicap)である。これは社会的存在としての人間のレベルでとらえた障害で、失職、職場や家庭での役割の低下、生きがいの喪失など「人間らしく生きる」ことの障害である。

リハビリテーションの究極的目標はhandicapの克服である。

リハビリテーション的アプローチは下図に示すように、障害のすべての面に対し常に平行して進めなければならない。

 

Ⅲ脳血管障害の主な症状

脳血管障害の主な症状として、

①意識障害 ②脳浮腫に伴う症状 ③運動麻痺 ④感覚麻痺 ⑤高次機能障害 があり、

脳卒中の中でも頻度が多く、リハの対象になって重要なのが、運動麻痺である。

障害部位による運動麻痺の特徴

障害部位 特徴
運動野

 

運動野には内側から外則に向かい足の趾から口まで随意運動の中枢が並んでいる。

運動野は範囲が広いので、運動野全体が障害されることは少なく、上肢のみとか単麻痺が多い

内包

錐体路線維は密に集まっているので、脳神経領域を含む片麻痺を起こすことが多い。

中脳

 

大脳脚の近くを動眼神経が通っているので、障害側の動眼神経麻痺と反対側の片麻痺

を呈する。(交叉性片麻痺)

 

顔面神経、外転神経が近くを通っているので、障害側の外転神経、顔面神経麻痺と片麻痺

を呈する。

延髄

 

舌下神経が延髄錐体の近くを通っているので、障害側の舌の萎縮、障害側への偏位と

反対側の片麻痺を呈する。

脊髄

 

後索線維、脊髄視床路が同時に障害されてBrown-Sequard(ブラウン・セガール)

症候群を呈することがある。

後索線維は延髄で、脊髄視床路は脊髄で交叉するので、深部感覚は障害側で、表在感覚は

反対側で低下する。運動麻痺は同側に出現する。

特に片麻痺は脳卒中で多く見られるタイプであり、一側上下肢の運動麻痺である。運動麻痺のタイプに、①半麻痺 ②片麻痺 ③対麻痺 ④四肢麻痺等がある。

卵円窓から内包のレベルで錐体路が障害される場合が最も多く、大脳皮質、脳幹障害の順で少ない。

頸髄病変でも典型的な片麻痺を生ずる事があり頭蓋内病変との鑑別は注意を要する。

以後、この基本的な運動麻痺である片麻痺について述べていく事にする。

 

Ⅳ脳卒中片麻痺のみかた

①基本的肢位

②片麻痺における諸問題

 

③中枢性麻痺の本態

A:中枢性麻痺の特徴→「質的変化」     B:末梢性麻痺→「量的変化」

さらに、この質的変化は2つに別れる。

①陽性徴候→正常には潜在的にしか存在しない原始的現象が抑制を脱して表面にあらわれる。

②陰性徴候→正常に存在している運動調節機構が妨げられる

 

この陽性徴候で重要なのが、「共同運動パターン」である。これは片麻痺の回復の初期に、わずかながら随意的な動きが可能になった時点で出現するもので、一定の固定したパターンに従った運動しかできない。

brunnstromテストのステージⅢとは、共同運動が支配的な状態をいい、患者が自分に意思によって起こすことのできる運動は、上下肢とも屈筋共同運動パターン、伸筋共同運動パターンに沿ったものでしかなく、それからはずれた運動は全く不可能である。

④連合反応・姿勢反射

連合反応:共同運動が脊髄のニューロンの上下の連絡であるとすれば、連合反応は左右の連絡である。

片麻痺患者で患側の随意的な運動が不可能でも、健側の筋を強い力で働かせれば、その影響で、患側の筋の収縮が患側の筋の収縮が引き起こされる。

姿勢反射:緊張性頸反射(TNR)、緊張性迷路反射(TLR)も陽性徴候として片麻痺患者の患側に出現。

顔を患側に向け頸筋(特に胸鎖乳突筋)に強い力を入れれば、患側上肢の伸展が促通【写真左】

逆に顔を健側に向ければ患側上肢では屈筋が促通され伸展が困難になる。(ATNRの働き)【写真右】

 

⑤痙性と筋緊張異常

[定義]痙性は腱反射の亢進(それが強くなったのがクローヌス)→相動性伸張反射の亢進

固縮は筋緊張の亢進→緊張性伸張反射の亢進

脳卒中の直後にはこの2種類の伸張反射は共に低下~消失している(flaccid)が、やがて相動性伸張反射(腱反射)が先に回復し亢進する(quasiflaccid)。

つずいて緊張性伸張反射(筋緊張)が正常化し(spasticity)、場合によっては更に亢進する(rigidospastic)。

 

⑥中枢性麻痺のみかた(まとめ)

片麻痺ではこれまで正常では見られない異常な運動症状の出現(陽性徴候)とならんで、正常に存在している立ち直り反応、平衡反応、巧緻動作が失われるか、弱化する(陰性徴候)。

下図は、正常の運動レベルについての仮説的シェーマである。図の左端の「随意性」はレベルが上がるほど随意性が増すことを、「自動性」はレベルが下がるほど自動性が増すことを示す。

伸長反射は最も低いレベルの運動統合である。その上に、共同運動、連合反応、姿勢反射、立ち直り反応、平衡反応が上にくる。もっとも高いレベルにある巧緻動作を、ここではさらに三つのレベルに分けている。

下から「半自動的」の巧緻動作とは、発達の早期に学習され、文化的影響をあまり受けず、無意識的に遂行されるような随意的巧緻動作(歩行・四つばい)。

「安定した」巧緻動作とは、学習・練習の結果、安定したパターンとして定着し、無意識的に遂行できるようになった巧緻動作(水泳その他のスポーツ・自動車の運転・書字など)

「不安定」な巧緻動作とは、修得(学習)の過程にある動作、あるいは最も複雑で定まったパターンを持たず、最も意識的に行われなければならない動作(最も高度な随意運動)。

 

⑦失語・失行・失認

主要症状と脳病巣部位

運動失行

発語失行

 

 

 

 

麻痺がない(または軽い)にもかかわらず運動が困難、拙劣になる

遠心性運動失行は、プログラミング障害で、運動のスムーズさが障害され

保続が起こる。(図1)

求心性運動失行は、正しい肢位を作ることができず、アテトーゼ様の運動を

示し、触覚失認を伴う(図2)

発語失行についても、この2種に分けている

失行=失認 すべて頭頂葉(図3,4)または頭頂後頭葉の病巣でおこり、3群に分ける

①左右半球に共通する症状

(1)構成失行 マッチ棒、積み木などによる構成、図形を描くなどの障害

a)優位半球型:形態の大ずかみな把握・操作はよいが細部が貧弱。

見本や模写で改善する。

b)劣位半球型:細部の把握・操作はよいが、大ずかみな位置関係

の把握が悪い。紙の中での「位置どり」が悪く、

はみ出したりする。

(2)失算:

a)優位半球型:演算(加減乗除)、十進法操作の障害

b)劣位半球型:左半側の数字の見落としなどが主で、半側空間失認

の現れとみてよい。

(3)空間把握障害:空間関係(上下、左右、内外など)の認知と操作の全般的な障害

a)優位半球型:空間関係の言語的な認知(理解)と操作(想像上)の障害

b)劣位半球型:実際の空間関係の認知と、それに合わせた行動の障害  (道に迷う、東西南北を誤るなど)

②優位半球症状

(1)観念失行・観念運動失行:意味・目的をもった一連の動作の障害

(2)論理的・文法的操作障害:空間関係把握障害の抽象的な言語レベルの表れ

(3)失読・失書:文字の形態の認知と操作の障害

③劣位半球症状

(1)半側空間失認:左側空間全体(聴覚・聴覚も含めて)に対する無視・軽視が特徴。

左片麻痺の10~20%に見られる大きな問題

(2)半側身体失認:自己の左半身の無視・軽視

(3)病態失認:疾病の否認

失認 ①聴覚失認

(1)聴覚的語音失認:優位側頭葉病巣(図5)でおこり、語音のみ障害

(2)自然音の失認・失音楽:劣位側頭葉病巣でおこる(図6)

②視覚失認:後頭葉の二次視覚領の病巣(図7)で起こり、物体、図形、色彩

などの失認に分けられる。

③触覚失認:対感覚領の病巣(図2)で起こる

前頭葉症状

(図8)

注意散漫、行動の一貫性の欠如、無気力または衝動的になるなど

 

【評価項目】

Ⅰ:情報の収集とその意義

目的
診断名と障害名

患者の一般的な状態の把握

現病歴と既往歴

発症の時期、発症からリハが開始されるまでの期間とその時の状態、観血的療法などを把握。

前HPでのリハ経過と退院時の状況を知り、リハ計画の一助とする。

CT所見

脳病巣の局所徴候だけでなく、CT所見から患者の状況を予測。

主訴、ニーズ、社会的背景

 

 

患者や家族が不自由を感じてたり、不満を持ってたりする事を把握。

(なぜそれを訴えるのか、なぜ望むのかを把握する必要がある)

主訴、ニーズを社会的背景と関連ずけて考慮する。

他部門からの情報 患者のリスク管理、入院からリハが開始されるまでの患者の状態を把握。特にリスクについて

は、リハ施行するうえで重要な情報。

病室での生活様式からは、通院後の生活を予測。

 

Ⅱ:検査項目とその解釈

目的
バイタルサイン

リスク管理(再発防止や二次的合併症の予防に重要)

全体像

患者の機能・能力障害の概要、コミニケーションや性格、治療に対する意欲を把握。

深部反射、クローヌス、病的反射

錐体路障害の有無を判断する上で重要

筋トーヌス反射

 

筋緊張の異常は、中枢性麻痺の1つの特徴であり、患者がどのような筋緊張状態にあるかは問題点を抽出し、リハプログラムを立案するのに重要。

感覚テスト

日常生活活動や起居動作、歩行などに影響を及ぼすため動作分析の一助となる。

ROM-T

姿勢や動作に影響を与える因子の1つ(痙縮を十分に抑制してROMを測定すべき)

片麻痺機能テスト

障害の程度を示すだけでなく、運動の随意性を把握するための検査

MMT-T

 

麻痺側の治療に必要な姿勢を取る場合、最初は麻痺側の筋力に頼ることが多く、治療の前提として非麻痺側に相応の筋力が保たれていることを条件とすることが多いため。

高次機能テスト

失語・失行・失認の高次機能障害も日常生活や各動作に影響を与える。

動作分析

 

 

 

介助の要・不要・監視の有無を見るため。

(ポイント)「なぜ介助が必要か?」「どの部分に必要か、なぜ監視が必要か?」を分析。

さらに「介助を要するなどの原因がいかなる機能障害を生じているか?」を他の検査結果

と総合的に考える必要がある。

痴呆テスト

急性期では意識障害との鑑別、長期臥床の患者では合併症としての仮性痴呆との鑑別

姿勢・バランス

 

不良姿勢やバランス能力低下の原因追及

(ポイント)肩甲帯、体幹、骨盤帯などの中枢部部分に目を向け分析。

歩行分析

歩行形態と介助や監視のレベルを明らかにする。

ADLテスト

日常生活で行われる活動(トイレ動作、食事、更衣、整容、入浴)の把握。

(注意)ADLが検査場面だけではなく、日常的に行われているかどうかを看護スタッフ

から情報収集。つまり「できるADL」から「しているADL」の差に着目する。

脳神経テスト

 

Ⅲ:片麻痺患者における障害の評価

 

Ⅳ:片麻痺機能テスト

①Brunnstrom stageテスト

 

②12段階回復グレード法(上田式)

Ⅴ:手指と手関節の機能テスト

 

Ⅵ:平衡反応テスト

私が調べた中に、唯一バランス反応テストの記された本があり、あまり使用される事がないらしい。

 

Ⅶ:関節可動域テスト(ROM-T)

関節可動域は、拘縮、筋の固縮、異所性骨化、関節の痛みなどのより制限される。

関節可動域の測定では、できるだけ衣服を取り、測定部位が見えるようにし、安楽な姿勢(なるべく背臥位)で筋の緊張を出来るだけとり、ゆっくりと他動的に関節を動かし、痛みの起こらない範囲で、ある程度の筋緊張(固縮)に対しては引き伸ばしを行いながら測定する。

片麻痺でROM制限を起こしやすいのは肩関節(全方向)、前腕回外、手関節背屈、足関節背屈、外がえし、膝伸展位での股屈曲(SLR、ハムストリング筋の短縮)、股伸展(股屈曲拘縮)、股内旋(外旋拘縮)など。

 

Ⅷ:日常生活動作(ADLテスト)の評価

ADLテストは能力障害(disability)の評価として最も重要である。日常生活で行われる活動、 たとえばトイレ動作、食事、更衣、整容、入浴などを実際に行ってもらい、何ができて何ができないかを把握する。これは各項目の可能、不可能だけでなく、その自立度、できない場合にはなぜ出来ないのかを他の検査結果と統合して総合的に考えるようにする。

日常生活活動の経過観察に簡便なBarthel IndexやFIMなどが用いられることが多い。

これらは日常生活活動の検査結果を点数化するため、客観性が増し、治療効果と改善度の把握には非常に使いやすい。

 

Ⅸ:失行・失認の診断と評価

失行症・・・運動麻痺や運動失調、不随意運動など、いわゆる運動障害がなく、しかも行うべき動作とか行為も十分分かっているのに、これを行うことが出来ない状態。

[テスト]

1)自分の身体を使って簡単な動作なり運動なり動作をさせる。

①肢体運動失行→簡単な動作、たとえば手指を順次屈伸させるとか、箸が使えるかなどの手指の微細な動作、目を閉じる、口を開く、舌を出すなどの顔面の動作、起立、歩行などをさせてみて、失行があったら肢体運動失行。

左右いずれの運動領域の障害でも起こり、病巣と反対側に失行を認める。

②観念運動性失行→ジャンケンのチョキの手つきや、影絵できつねのまねさせる。

下肢では、足で空中に円や三角などを描けるか試験する。

優位半球の頭頂葉下部の広範な障害によって起こる。

 

2)観念性失行

日常用いる物を、正当に使用できるかをみる。たとえばマッチ箱を渡して、タバコに火をつけて吸うなどの動作をさせる。失行患者ではマッチをどうしてするのか、どうやって火をつけるのかわからずおかしな動作をする。優位(左)半球頭頂葉を中心とする広範な病巣。

3)構成失行症の有無

まず鉛筆で紙に絵を描かせる。(三角、円や、船や家の絵など)このような構成機能が侵されているのを構成失行という。病巣は優位(左)半球の頭頂―後頭葉とされている。

4)着衣失行

衣服を着たり、脱いだりする動作を観察する。失行患者では、衣服を着たり、脱いだりする動作が出来ない。右側(劣位)大脳半球の頭頂から後頭葉に病変があると、衣服を着るときのみ失行が起こる。これを着衣失行という。

5)失書症

失行によって失書がおこる。

 

失認症・・・感覚路(視覚、聴覚、触覚など)を通じて対象が何かを判定することが出来ないこと。

1)視覚性失認→日常用いている物を見せても、それが何であるかが分からない。

視覚による物体の認知障害で、触ったり、音を聞いて初めて分かることが多い。

原因はほとんど両側後大脳動脈閉塞である。

相貌失認→物体を認知することは出来るが、人の弁別、表情の理解などが出来ない。

劣位(右)または両半球の後頭葉症候とされている。

2)視空間失認

①視覚性定位障害→対象物が空間内のどこにあるかを認知することができないとか、複数の対象物

の相互の位置関係や大きさを比較する能力などが障害される。

②半側視空間失認→一側大脳半球の障害により、病巣と反対側の視空間を無視することである。

病巣部位としては、右頭頂葉ことに右頭頂・側頭・後頭葉の結合部が重視され

てきたが、右半球の他の部位の障害でも出現する。

[テスト]

③地誌的障害

(1)地誌失認→地図上での見当識障害

(2)地誌見当識障害→よく知られているはずの場所や道を認知することが出来ない。

(3)パーリント症候群

a精神性注視麻痺:視線が一点に固定。一点を凝視してない時は、視線があちこち動く。

b視覚性運動失調:凝視したものをつかもうとして手を出しても、大きく見当がずれてしまう。

c視覚性注意障害:視覚性の刺激に対する注意の低下。

3)聴覚性失認

①精神聾→あらゆる音が聞こえるのに、それを識別したり、認知ができない。

②純粋語聾

③失音楽症→脳障害のために音楽能力が喪失したり、障害された状態

④皮質性聾

4)触覚性失認→日常用いている物を手で触っても、何であるか分からない

5)ゲルストマン症候群

①失指失認→最も大切な症候で手指が分からなくなる。

②左右識別障害→左右が分からなくなる。

③失書症→自発書字と書取りが侵される

④失計算症→暗算も筆算も侵される

6)身体失認

①両側身体失認→身体部位を指示したり、呼称する事ができない状態(自己身体部位失認)

②半側身体失認

(1)病態失認→(左)片麻痺があるのに、これを否認すること。

脳血管障害による右頭頂葉障害の急性期に起こる。

(2)半側身体失認→身体半側を無視し、運動麻痺がなくても無視した側の上肢を

使おうとはしない。

右頭頂葉障害により左に出現する事が多く、半側視空間失認を

伴うことが多い。

(3)半身喪失感→身体半側またはその一部がなくなってしまったと訴える。

 

 

Ⅹ 脳神経テスト

神経 方法

 

 

 

 

 

 

 

嗅神経

 

巻きタバコ使用(コーヒー、香水、ハッカでも可)

一側の鼻口を手で圧迫し、他側に検体を近ずけ、その匂いを感ずるか否か。

もし匂いが分かるなら、何の匂いであるかをいわせる。

他側も同様に試験し、左右を比較。(もし一側に嗅覚障害があるなら神経障害)

嗅覚消失……匂いが全くわからない

嗅覚低下……(例1)匂いは感ずるが、検体が何か分からない

      (例2)匂いは分かるが、感度が低下している

嗅覚過敏、嗅覚錯誤(匂いを錯誤する)、悪臭症(存在しない不快な匂いを知覚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視神経

 

①      視力

・ 眼鏡をかけている人は、矯正視力試験

・ ベットサイトでは、新聞などを30~40cmの距離で読ませる。

・ 視力障害がある人に、試験するには試視力表(石原視力表)

・ 視力が著しく悪い場合、眼前の指数を数えることができるか試験

・                    a)眼前30cmで指の数が分かるとき→n.d.30

・                    b)もっと視力が悪いときには、目の前で手を動かし、判るか聞く

・                    d)さらに視力が悪化したものでは部屋を暗くして光を反復して

・                      眼にあて、明暗を感じるか試験

記載法(例)

・     右視力(v.d.)=眼前手動弁(m.m)

・     左視力(v.s.)=光覚弁(s.l.)

・     光覚弁もなければ視力は0(no p.l.)..

 

②      視野(対座試験で検査)

    ・患者と検者の眼との間隔が約80cmの感覚になるようにして向き合い、左の眼を左手でおおわせる。右側は検者の左側に注目させ、試験中、患者の視線が固定しているかを監視する。

     検者は両手を前側方に拡げて、じぶんの視野の左右両端におき、指を

     動かし、患者にそれを指差すようにさせる。

     左右同時に動かしてそれが判るかも見ておく。この方法により眼の中心より耳側、鼻側、上下の視野を知ることが出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動眼N

滑車N

外転N

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これら3つの脳神経は外眼筋および内眼筋の機能を司る

①      眼瞼の観察

    ・眼瞼下垂の確認……真っ直ぐ前方を見させて、左右の眼裂を比較。

・ 注意→右図のように上眼瞼の下端が瞳孔にかかっているかどうか!

        もし瞳孔にかかっていれば、その側に眼瞼下垂である。

②      眼玉の観察

    ・眼球の突出、陥没の有無を見る。

③      瞳孔の観察

    ・大きさ、左右が同じか、形は正円かどうかを見る。

     正常・・・2.5~4mm

     縮瞳・・・2mm以下

     散瞳・・・5mm以上

④      瞳孔に関する反射

a)対光反射

  ・患者に一番遠い所をみるように命ずる。懐中電灯の光を患者の視野の

   外から、敏速に視野に入れる。

  ・直接対光反射(光を入れた方の瞳孔収縮)

   間接瞳孔反応(反対側の瞳孔も収縮)

  ・正常(brisk)・・・・瞳孔収縮は速やか

   absent・・・・・・・瞳孔の収縮が見られないもの

   sluggish・・・・・瞳孔の収縮が遅いもの

  b)調節反射

    ・患者に遠方を見させ、瞳孔の大きさを観察する。次に患者の眉間から

     ⒑~20cmくらい前においた検者の指を、素早く見つめるよう命じ、

     瞳孔の大きさの変化を観察する。正常では、瞳孔は収縮!(右図)

  c)毛様体脊髄反射

    ・痛覚刺激に対して瞳孔が散大するかを見る。

    ・顎や胸や上肢を針などで刺激したり、つねったりすると両側に1~2mmの散瞳が起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑤ 眼球運動

    ・眼前30~50cmに検者の指または視標をおき、「頭を動かさずに眼だけで指を追って下さい」と命令し、指を左右上下に動かす。

     頭を軽く押えておく。これにより注視障害を補正しようとする。

     頭の回転を手で感じることが出来る。

    ①眼筋の機能試験法は、まず患者と向き合い、検者の示指先端をみつめさせ、眼球の左右への動きをみて、内・外直筋を見る。(図⒍-⒎a)

    ②次に上下に指を動かして、眼球の動きをみる。このときの眼球運動と眼筋(上・下直筋、上・下斜筋)との関係は図6-7bに示す。

    ③眼球運動の記載方法は、眼球の動きを正常(0)から完全麻痺(-4)までの5段階で表現する。

             眼筋の機能試験法

            眼球運動の記載法

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑥ 眼振

    ・眼球運動を試験するときに、眼振が起こるか同時に確認する。

     眼で指先を追うように指示し、左右・上下に眼球が30度ぐらい回転させるようにさせると眼振の有無を観察できる。

⑦ 視運動性眼振

    ・長い帯状の布で、一定の間隔で模様のあるもの、または巻尺を使用。

     模様(目盛)を見つめさせながら、素早く左または右に動かすと

     眼振は目標の動きと反対方向に起こる。これが正常。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三又N

①      感覚検査

     ・主に顔面の感覚(痛覚・触覚・温度覚)を試験する。

      三又神経は3つの枝に分かれており、そのおのおのにつき左右の感

      覚を比較する。

②      角膜反射

     ・検者は自分の指を示して、患者にこれを注視させ、視線を左右または上方にずらす。脱脂綿の一端を細くしたものを反対側から、角膜の部分に触れると、正常では迅速に閉じる。

     ・重要なのは、一方を刺激したときのみの反射の減弱とか、完全な消失

     ・求心路→三又神経、遠心路→顔面神経、中枢→橋

      したがって、三又神経第1枝が麻痺すれば、この反射は両側性に減弱または消失する。

③      運動機能の試験

     ・患者に奥歯をしっかり噛み合わせるように指示して、両側の咬筋と

      側頭筋を触診する。(著しい筋力低下には、この方法で判断)

     ・口を大きく開けさせて、下顎が一方に偏倚するか見る。下顎は障害

      側に偏倚する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

顔面N

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①      顔つき

・     顔が対照的であるかみる。

②      運動機能の試験

a)上顔面筋

  ・試験は、患者に眉を上にあげるよう指示し(右図)、それが出来ないときには検者の指を見つめさせ、上方をにらむようにさせる。

   末梢性の顔面神経麻痺では、障害側にしわがよらない。

   次には、眼を閉じさせる。著名な麻痺があれば眼瞼を閉じ合わせる

   ことが出来ない(兎眼)。すなわち、障害側の眼を完全に閉じること

   が出来ず、ベル現象により上転した眼の球結膜が白く見える。

b)下顔面筋

  ・歯をむき出しにするよう指示する。下筋面筋の障害があると、口角は健側に引っぱられ、障害側閉口は不十分で、鼻唇溝は明らかに浅くなる。次に頬を膨らませてみると、障害側ではふくらまない。

③      味覚試験

    ・患者に舌を出させて、少量の砂糖、塩、クエン酸、キニーネを綿棒またはガーゼの一部につけて、塗る、一方甘い、からい、すっぱい、苦いと書いた紙片をその反応に応じて示すよう指示する。

     これを舌の前方2/3で行い、左右を比較する。

④      反射

a)眼輪筋反射・・・眼の外側の皮膚をつまみ、検者の母指をハンマーで

          軽く叩くと、眼輪筋が収縮する。(右図)

  眉間反射・・・・眉間を軽く叩打し続けると、正常では瞬目が起こって

          も、図のように数回で停止する

          何回刺激しても瞬目が続くのが異常で、マイアーソー

          ン徴候という。(右図)

b)口輪筋反射

   ・上口唇を叩くか、口角に指を当てて軽く叩き、口輪の収縮を見る。

   ・顔面神経核以上の錐体路障害のときには、この反射は亢進する。

c)ベル現象

   ・閉眼を命じると、眼球は上転し、軽度に外転する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聴N

 

 

 

 

①      聴力検査

     ・検査には音又を用いる。(C音叉は低音、Fis4音叉は高音)

     ・患者に音叉の音が聞こえなくなったら知らせるように指示し、その

      後、検者の耳にあてて聞こえるようなら患者は難聴。

 

 

②      リンネ試験

     ・振動した音叉を乳様突起の上に置き、振動が聞こえなくなったら、音叉を外耳孔にあて、さらに音が聞こえるかどうかを試験する。

     ・正常では、聞こえる→Rinne(+)

     ・中耳障害、外耳道閉塞などの異常→Rinne(-)

③      ウェーバー試験

     ・音叉を振動させ前額の中央にあて、左右の耳のどちらに強くひびく

      かを聞く。

     ・正常→両側同じにひびく

     ・中耳、外耳道の障害→障害側にひびく

     ・迷路およびそれより求心性神経系の障害→健側にひびく

④      耳鳴り

     ・低調音で、鈍いうなりのような耳鳴り→伝音系障害

     ・高調音で、鈴や笛の音のように聞こえる→神経系障害

⑤前庭機能検査

     ・回転試験、温度試験および眼振計による眼振の分析、視運動性眼振

      の検討などがあるが、神経耳科に依頼して検査する。

舌咽N

迷走N

①軟口蓋、咽頭の観察

     ・患者に口を開けさせて「アー」と声を出させて観察する。口蓋縫線、

      口蓋垂は健側に偏倚し、健側のみの軟口蓋弓の拳上が見られる。

      咽頭後壁の筋が麻痺している場合には、障害側の後壁がやや斜め上

      に引き上げられる。これをカーテン徴候という。

②      咽頭または催吐反射

     ・舌圧子をつっこんで咽頭後壁、扁桃部、舌根部などに触れると、

      正常では咽頭筋は速やかに収縮し「ゲェ」となる。

      (この反射の求心路は舌咽神経、遠心路は迷走神経、中枢は延髄)

③      軟口蓋反射

     ・軟口蓋を舌圧子などで刺激すると、軟口蓋の拳上、口蓋垂の後退が

      起こる。一側性にこの反射が消失しているときには病的意義がある

④      嚥下

     ・水を飲み込めるか、飲み込めないときは鼻をつまんでみる。

      これで飲み込めるようだったら軟口蓋の両側性の麻痺。

 

 

 

 

 

 

 

副N

 

 

 

 

 

 

 

僧帽筋の上部と、胸鎖乳突筋を支配している

①      上部僧帽筋の試験

・直立させ、肩の力を抜いて上肢を両側に下げさせる。両指先が大腿

のその位置にあるかを比較すると、障害側の方が健側より下に

下がっている。

②      胸鎖乳突筋の試験

・検者は左手を患者の右下顎に、右手を左胸鎖乳突筋にあてる。

患者に頭を右に回転するように命令する。検者は左手に受ける抵抗

と、右手で触診した筋の収縮力から、患者の左胸鎖乳突筋の機能を

判定する。

左胸鎖乳突筋に麻痺があれば、検者の左手に受ける抵抗は弱く、

右手で受ける筋の収縮は減弱している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舌下N

 

 

 

鼻と下顎の中央に音又をあて、下を提出させると舌の偏倚が確認できる。舌は障害側に偏倚する。末梢性麻痺であれば萎縮、線維束性収縮がある。

 

 

 

Ⅺ 筋トーヌス

緊張が入る所、入らない所があり、①安静時、②動作時を必ず見る。

筋肉を触って、どう動くのかを見る。

①      安静時 →a)寝てるとき

b)座位

c)立位       の3パターンでみる

②動作時 →a)背臥位から座位

b)座位から立位    の時に見る。

 

Ⅻ 動作分析

①      見た印象をそのまま書いてまとめる。

②      いろんな見方があるので観察(まねするのが大事)

 

ⅩⅢ 姿勢・バランス

基本:正常人はどういう反応が出るのか知る事が重要

テスト方法:

①      手を伸ばさせる。→止める→止めて、その姿勢が保持できるかどうかを見る。

→重心(頭・肩甲帯・上肢・体幹・骨盤・下肢・足部)がどうなっているのか?

そしたらどうすればいいのかを考える。

②      押す(前後・左右を座位・立位で)

押し返す力があるかどうか→その時に、重心(頭・肩甲帯・上肢・体幹・骨盤・下肢・足部)

がどうなっているのか?そしたらどうすればいいのかを考える。


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