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(●^o^●)足関節外側側副靭帯損傷の話


(゜_゜)題名:足関節外側側副靭帯損傷の話

●発生機序

1991年のスポーツ安全協会 の報告では、全傷害発生277,376例中、手指部21,2%、足関節14.1%、膝部10.7%である。

足関節部傷害39,060例中、捻挫は31,545例と80.4%を占め、骨折8.4%の約10倍である。

スポーツ種目別傷害部位の頻度をみると、足関節捻挫はバレーボール、バドミントン、バスケットボール、テニス、軟式庭球などの種目で1位を占めている。

その他の多くのスポーツ種目でも3位以内である。

当院を訪れた足関節捻挫でもバスケットボール、バレーボールで約1/3を占める。

次いで、テニス、サッカー、フリスビー、ハンドボール、ラグビーなどである。

 

●発生機転

発生・受傷機転はジャンプでの着地時に内がえし動作を強制されたときに多くみられる。

その際、人の足に着地して内がえしをしたときは重症例となる。

次いでボールにのる、急な方向転回・停止、転倒した上にのられるなど内がえし動作を強制される原因の多岐にわたる。

一般に足関節捻挫といえば内がえしに原因する外側靭帯損傷をいう。

外旋力により前脛誹靭帯損傷がみられるが、内側の三角靭帯損傷はごくまれである。

 

●男女差一年齢

全体の捻挫をみると一般に女性に多い。

バレーボールとバスケットボールの足関節捻挫ではほとんど男女差はみられない。

来院した患者数を検討しても差はない。

10歳代と20歳代前半の男女が多く、外果部に成長軟骨線が残存しているときは靭帯断裂よリ骨折であることが多い。

中高年層では、テニス、ママさんバレーの症例が多くみられる。

 

●スポーツ現場での判断と応急処置

軽くひねって転倒してもすぐ歩けたか、何か音がしてすぐ立てないか、現場では受傷機転が明らかなことが多い。

現場で、氷で冷やしたり、コールドスプレーを使用して荷重歩行ができて痛みも軽くなればテーピングを施して試合に出させてもよい。

しかし、練習であればスポーツ活動を続行すると出血や靭帯損傷を助長させるので、中止させたほうが予後は良い。

コールドスプレーは皮膚に副作用を起こすことがあり、深部の内出血や腫脹を抑えることはできない。

診断は、損傷部位とくに外側靭帯部に圧痛を認め、内がえし強制で強い痛みが生じれば容易である。

しかし損傷の重症度の判定は必ずしもやさしくない。

ある程度の損傷を評価してRICE処置がまず行われる。

RICEはR:rest (安静)、I:icing〔冷却〕、C:compression (圧迫)、E:elevation (挙上)の頭文字をとってよばれる。

まず0°の足関節肢位で、弾性包帯で均等に圧迫固定をする。

その際、損傷部に相当する所をスポンジで圧迫すると効果がさらによい。

その上からビニール袋に木片を入れたものを損傷部にまきつけて冷却し、ベンチ、枕などの上に高く挙げる。

この処置はあくまでも現場から医療機関に診てもらうまでの応急処置なので、痛みが軽くなっても根本的に治ったものではない。

受傷直後の短時間だけでなく、睡眠時までの長時間にわたって行う。

最近は受傷後のRICE処置が普及し、皮膚に直接氷片を長時間あてすぎたため、凍傷を起こす症例がみられる。

就寝中は圧迫包帯のみでよいが、局所の循環障害に注意が必要である。

 

●診断(重症度の判定)

靭帯の損傷程度により、伸展された状態を軽症(Ⅰ度)、部分断裂を中等症(II度)、完全断裂を重症(Ⅲ度)に分けられるが、単に軽症、重症とに分けるほうが臨床的に実践的であるともいわれる。

重症度の判定は、治療方法、予後に関与してくるため重要ではあるが、実際には容易でない。

①問診:すべてのスポーツ外傷でいえることは、受傷機転と状況をよく聞きだして損傷程度の分析に役立たせることである。競技歴、練習時の状況、試合のスケジュールなども十分に問診して参考にする。

②腫脹:重症度と平行することが多いが、受傷直後のRICE療法が適切になされると2~3日後では腫脹が目立たなくなってくる。軽症でも表在性損傷では腫脹が強く、深在性では、弱い腫脹の場合もある。

③出血:重症度と平行するが、受傷直後は明らかでない。出血と腫脹が著しくても、問診すると軽症と判断して試合後の懇親会で飲酒し、入浴したため局所所見が出てくる症例もしばしば遭遇する。皮下出血は受傷直後にはみられず2~3日後に出現し、重症例では関節血症となる。

④圧痛:損傷靭帯部に相当して受傷直後より認められる。外顆部後下方にも確認されれば踵腓靭帯損傷が考えられ、重症であることが多い。

⑤歩行障害:患肢のみで立てるか、機能障害として歩けないか、とくに現場での応急処置後、関節固定したあとも歩行障害が著しいときは重症と考えられる。

⑥X線検査:来院時腫脹が著しい場合はまず骨折を疑って骨傷の有無をみる。脛腓靭帯損傷が疑われるときは健側を参考にする。

 

⑦ストレスX線検査

受傷機転に応じて、外側靭帯損傷では前方引出し、内がえし、前脛腓靭帯損傷では外旋強制、底背屈位、三角靭帯損傷で断裂が考えられるときは外がえし強制をする。

外来診療で、腫脹、疼痛が強いときは一般的に局所麻酔下で行われている。

ストレスの装置を使用して前方引出し、内がえしを両側にすると時間がかかること、多少は疼痛を与えるため、臨床像の受傷状況、圧痛・腫脹、歩行障害などで重症度の判定をしてもよい。

ただし予後判定するならば、内がえしによる距骨傾斜角のみは測定しておくと参考になる。

関節造影術は重要な診断法の1つで、関節包、靭帯断裂部位判定に役立つ。

一般のクリニックの外来診療では、関節造影までは必要としない。

近年、靭帯損傷に合併する関節軟骨損傷が関節鏡検査により明らかにされつつあり、今後は症例によっては関節鏡検査、さらにMRIなどにより詳細に検索される。

 

⑧外側靭帯損傷の距骨傾斜角(talartilt)

受傷直後では腫脹も著明でなく、圧痛部位、内がえし強制痛、受傷状況で重症度を評価する。

RICEがうまくなされた当日、または翌日の来院でも腫れは著明に出ないこともあり、距骨傾斜角は重症度判定の1つの目安になる。

予後判定のため、初診時の局所の所見を参考にして距骨傾斜角を測定したほうがよい。

足関節をねじって来院した患者であれば、損傷部位に氷片を入れたビニール袋で冷却する。

カルテ作成、診察してX線検査するまでに数10分以上は局所を冷やすことができる。

骨傷の有無を確認したうえで、患者と話しながら緊張をほぐせば、瞬時の内がえしストレス検査は無麻酔下でもタイミング良く撮影可能である(装置による測定が一般に普及)。

前距腓靭帯と踵腓靭帯が損傷されると、距骨傾斜角の5°以上が1つの目安として報告されているが、性・年齢によって個人差もあるので安定性を比較するならば、健側との差をみる必要がある。

 

※距骨傾斜角について

正常足関節の距骨傾斜角は足関節中間位では0°、底屈位でも5°以内といわれている。

7°以上の距骨傾斜角を示すものでは少なくとも前距腓靭帯損傷と診断しうるが、5°ないし6°のものでは臨床症状、反対側の距骨傾斜角との比較により診断する必要がある。

単独損傷、複合損傷による距骨傾斜角の差についても種々の報告があるが、複合損傷では足関節中間位および底屈位で、15°以上の距骨傾斜を生じるといわれている。

 

⑨徒手検査法

・前方引き出しテスト

・内反ストレステスト

 

◎治療

観血的療法

●手術の適応

内側靭帯断裂は大半が手術の適応となる。

外側靭帯断裂は保存療法でも十分治癒する可能性があるが、2本以上断裂がある場合は、なんらかの愁訴が残るので手術を要することが多い。

筆者は外側靭帯断裂において、次の3項目を満たした場合、手術の適応としている。

①足関節造影の所見が大きなポイントになる。すなわち外側靭帯の2本が断裂し、造影剤が大きく漏れる場合。

②患肢の体重負荷がまったく不能の場合。

③スポーツレベルが高い場合。

以上の3点がすべてそろった場合は手術の適応と考える。①、②があっても本格的スポーツ選手でなければ保存療法にすることも多いし、②、③があっても造影剤の漏れが少ししかないようならギプス包帯だけにする。

 

●手術

外側靭帯修復術

所麻酔下において、外来手術にしている。

外側靭帯は側臥位にて、内側靭帯は仰臥位にて施行している。

エアーターニケットを使用している場合が多い。

靭帯断裂部があると思われるところに沿って(圧痛点がはっきりしているのでわかりやすい。慣れないうちは、術前に印を付けておくと簡単である)、やや弓状に3cmの皮膚切開を加える。

赤黒色の血腫の部分が出てくる。

この血腫を除去すると簡単に断裂部に到着する。

関節内をよく洗い、靭帯が関節内にまくれ込まないように注意し、3-0ナイロン糸で靭帯1本につき2針程度で修復縫合する。

関節内にまくれ込むと、体重負荷時の疼痛の原因になる。

この際、足関節を直角位にもってくることがきわめて大切である。

中枢側での断裂は容易に縫合できるが、末梢側での断裂はややむずかしくなる。

前距腓靭帯はほとんど中枢側で切れており、踵腓靭帯は末梢側で切れているのが多い。

したがって,踵腓靭帯の修復のほうがやや困難である。

capsuleも同時に縫合し、皮下組織、皮膚縫合で手術は終了する。

手術そのものは侵襲も少なく、非常に簡単であり、約10分で終了する。

スポーツ選手に行ううえでの注意点を再考すると、神経はもちろんであるが、血管(静脈)もできるだけ温存する。

靭帯が関節内にまくれ込まないようにする。

靭帯が関節内にまくれ込むと、スポーツ動作時に足関節の疼痛が出現するので、この点を十分注意し、深く針を通して縫合する。

 

●スポーツ復帰までの過程

術直後、足関節直角位にて短下肢ギプス包帯を施行する。

ギプス用サンダルを使用し、手術翌日より全体重負荷を許可している。

術後2週にてギプスカット、抜糸を施行し、アンクルラップのみで全体重負荷の歩行を開始する。

体亜負荷の歩行を開始する。

3週にてテーピングの後、患側の片脚立ち、爪先立ちを行わせる。

スムーズにできるようならジャンプ動作も行わせる。

このようにスポーツ活動に必要な一連の動作を試みることは、スポーツ復帰へのポイントとして、きわめて大切な指標となる。

これらの動作が可能なら、痛みの出ない範囲でランニングをさせ、足関節部を観察する。

前方引き出し症状(anterior drawer sign)をチェックし、スポーツに部分復帰させ、徐々にハードな運動にもっていく。

以前は、術後,ギブスを3週間巻いていたが、最近の10年間では2週間にしている。

またギプスサンダルを使用し、術翌日より体重負荷にて歩行させている結果、スポーツ復帰への期間が大幅に短縮され、6週以内に試合復帰する選手が多くなってきた。

まだ4週間もギプスを巻いている諸家の報告を聞くが、スポーツ選手にとっては筋萎縮も出現し、むしろ有害だと思われる。

また、スポーツに復帰するためには、当然。

患部周辺の筋力トレーニングが必要である。

関節周辺のトレーニングは他の部位に比べ、なかなかやりにくい。

チューブを利用して足関節外側・内側筋群の強化を施行するとよい。

1日30回3セットくらいをゆっくり実行させている。

また、なわ跳びやロール板を利用してトレーニングを実施した選手は心なしか復帰が早いように思えた。

 

保存療法

足関節靭帯損傷は底屈・内反位で受傷することが多い。

損傷部位は外側部の前距腓靭帯や踵腓靭帯が多く、特に受傷肢位が足関節底屈・内反位であることから前距腓靭帯が最も損傷されやすい。

その他の靭帯損傷では、前脛腓靭帯の損傷がよく見受けられる。

その発生機序については明確になっていないが、筆者らは足関節底屈・内反による前脛腓靭帯損傷は(b)のような発生機序で起こると考えている。

臨床的には二次障害を有する症例では前脛腓靭帯の損傷は少なくないと考えられ、前距腓および踵腓靭帯損傷との鑑別は非常に重要である。

 

1.新鮮例

新鮮例の治療方針に関しては整形外科医の見解が分かれるところではあるが、適切な保存的治療により損傷靭帯がある程度まで修復して良好な経過を辿ることが多いこと、また仮に足関節の不安定性が残存してもパフォーマンスに問題のない症例も多いことから、保存的治療が選択されることが多い。

新鮮例に対しての初期治療

①RICE処置などによる炎症反応の抑制

②装具、ギプス、テーピングなどによる損傷靭帯の保護

③関節可動域制限や筋力低下などを最小限に止めること

が重要となる。

多くの研究によって、軟部組織の修復過程では生理的な関節運動がその治癒を促進させることが確認されている。

損傷された靭帯を保護しつつ疼痛や炎症反応を起こさない範囲での生理的な運動機能を早期に獲得することが、損傷靭帯の治癒促進と二次障害の予防にきわめて重要である。

損傷後の筋機能では、特に外反筋、背屈筋の筋力低下が著しく、早期から背屈および外反の自動運動を行い、疼痛がなければ抵抗運動を取り入れ、機能改善を図る。

新鮮例の初期治療の中でも臨床上特に損傷に伴う腫脹や浮腫の抑制と改善は、拘縮予防や疼痛のコントロールにおいて極めて重要である。

 

2.陳旧例

足関節靭帯損傷の多くは適切な初期治療によって良好な経過を辿ることが多い。

しかし、受傷後に適切な治療が行われなかったり、受傷を繰り返すことなどで二次障害を合併することも少なくない。

この場合、不安定感、疼痛、繰り返す捻挫などが主症状となる。

これらの症例に対してはX線像、関節造影などにより病態正確に把握する必要がある。

X線像では通常、距骨傾斜角15°以上(左右差5°以上)、距骨前方引き出し10㎜以上(左右差8mm以上)が観血的治療の適応となりうるとされている。

ただし、骨・軟骨に変性を来している場合などを除き、第一選択として保存的治療を試みる。

特に疼痛が主症状の場合、保存的治療を先行すべきと考える。

足関節靭帯損傷後に根強く疼痛が残存する症例では、底屈・内反位で受傷するにもかかわらず踏み込み動作など荷重時の背屈で疼痛を訴えることが最も多い。

このため、底屈位での動きを余儀なくされ足関節の不安定感を助長していると考えられる。

この荷重位での背屈時痛の発生要因としては、内反前方不安定性による運動軸のズレ、前下脛腓靭帯の遠位束との接触、impingement exostosisなどが挙げられている。

筆者らは徒手的に外果を前上方に誘導するとこの疼痛が顕著に緩解することが多いという臨床経験から、前脛腓靭帯の伸張と脛腓間離開の不安定性によるものが最も多いと考えている。

本来、前脛腓靭帯は足関節背屈および外旋で最も伸張される。

足関節内反による前脛腓靭帯損傷の発生機序は前述の通りであるが、このような内反受傷の症例においても足関節背屈および外旋時には損傷靭帯へのストレスおよび脛腓間の離開が加わるため、これが荷重時における背屈痛の要因となっていると考える。

このため、足関節靭帯損傷用のブレースやテーピングで背屈・外反を強制すると、背屈痛だけが残存する症例も多い。

こうした症例に対する理学療法の方向性は脛腓間の離開を抑制することであり、むしろ距骨の底屈、足関節の内旋などを誘導すると顕著に疼痛が緩解する。

実際の方法としては、外果を前上方に誘導するテーピング、ヒールアップ、後足部を内反するテーピングとパッドを施行する。

また背屈時の疼痛でも内反を伴う場合だけに疼痛や不安定感が強い症例には、理学療法の方向性を後足部の外反誘導と捉え、後足部を外反するテーピング、立方骨パッド、腓骨筋強化などを施行する。

 

これらの保存的療法に抵抗する症例は観血的治療の適応にもなるが、その選択には、臨床症状と、特にジャンプ、カット、ターンなどのスポーツの種目特性を十分に吟味した上で行われる。

 

再建術移植腱として短腓骨筋腱を部分的に採取し、これを腓骨側付着部および距骨側付着部に作成した骨孔に適度な緊張下で固定することで前距腓靭帯の再建を行う。

また、足関節外側の関節包を一度切り離し、引き上げ縫縮する”。

このような複合的な方法によってより強固で機能的な足関節の外側コンパートメントを再建する。

 

術後の理学療法

スポーツ復帰を目標にした足関節外側靭帯再建術後のリハビリテーションプログラムを表に示す。

ギプス除去後から足関節および足部の可動域訓練を開始する。

足関節の背屈および外反は可及的早期に疼痛のない範囲での自動あるいは抵抗下で行う。

底屈の可動域制限は稀であり、可及的な自動運動を行う程度に止める。

内反の可動域訓練は最も慎重に行うが、底屈の可動域拡大に伴って内反可動域も自然と増していく。

ただし、必要以上に内反可動域が低下しないよう観察する必要がある。

また足趾など前足部はタオルギャザーや徒手などによって可動性を取り戻す。

筋力強化に関しては、特に外反筋、背屈筋の低下が著しいため、早期から背屈および外反の自動運動を行い、疼痛がなければ抵抗運動を取り入れ、強度と吊を段階的に増やしていく。

下腿三頭筋筋力強化はその運動範囲に注意を払う。

底屈の最終域では足関節は内反を伴うためcalf raiseなどの運動範囲は背屈位から軽度底屈位までとし、また外側荷重を行わないように指導する。

歩行など荷重動作は、ギプス除去後1/3 WBから可及的に行っていくが、ほとんどの症例が踵部の後外方で体重を支持して殿部が後方に移動した肢位をとり、足関節は底屈・内反位を保持している。

このような荷重動作の異常は背屈制限を起こしやすく、踏み返しが困難になって足内筋や下腿三頭筋のポンプ作用を低下させるために浮腫や腫脹を来しやすい。

また、身体重心が後外方に偏った荷重動作では特に長腓骨筋の筋力低下が起こりやすくなる。

正常な荷重動作を早期に獲得できれば、歩くことが可動域や筋力の改善を促し、その価値は大きい。

荷重動作の異常に対しては歩行指導および訓練を繰り返し行い、必要があればテーピングや足底パッドを施行し運動学習を行っていく。

また、ギプス除去後、ankle braceを装着しADLでの靭帯保護を行い、8週以降はU字braceに切り替える。

8週から本格的なwalking EXを開始し、徐々にjogging、runningとスピードを上げていくと同時に直線的なjumpを行う。

そして、可能になれば徐々にstep、左右へのjump、種々のパフォーマンス動作を取り入れていき、片脚でのjumpおよびstep動作が安定してから12週を目途にスポーツ復帰を許可していく。

また、これらの過程で特に問題となるのが疼痛の残存である。

その対処法に関しては術前の保存的治療の項と文献を参考にしていただきたい。

手術後2週間で長下肢ギプス包帯を除去し、抜糸後に足関節をやや背屈矯正して短下肢ギプス包帯に変更し、同時にそれまで行ってきた大腿四頭筋のisometric exerciseに加えて、isotonic exerciseである膝屈伸運動訓練を追加するとともに趾接地による患肢の部分的荷重を許可する。

手術後4週間でギプス包帯を完全に除去した足関節は弾力包帯による固定程度にとどめ、足関節の可動域拡大を目的としたリハビリテーションを積極的に行う。

足関節の可動域の改善に従い、部分荷重の程度を強め、手術後6~8週間で全体重負荷歩行が可能になるようにする。

 

●Marti法

【手法】

皮切、パラテノンの処理、断裂腱の処理はBunnell法と同様である。

①Bunnell法と同じく近位断端を視野内に引き出し、これを2束に分割し、遠位断端を1束にまとめ、それぞれに両端に直針をつけた縫合糸を付ける。

近位に付けた糸は端で1回結び、糸の移動を防ぐ。

②近位断端2束の間に遠位断端束を挟みこむようにして断端相互を縫合する。

③さらに近位につけた縫合糸のそれぞれの1本の糸を用いて近位2束と遠位1束の重なった部分を縫合する。

④近位束と遠位束の重なりによって縫合腱の長さを調節できるため、ほとんどの症例で断裂せずに残存するplantalis tendonの緊張度に一致させて、アキレス腱に適度の緊張を保つようにして、縫合固定する。

⑤腱縫合後のパラテノンの処理は、アキレス腱縫合部において結節状にならないために、ほぼ完全に修復・被覆が可能である。

 

【術後の肢位と固定】

手術後足関節は自然下垂位として、腓腹筋からアキレス腱部、踵部を通って足底までテーピングにより固定し、その上を弾力包帯を用いて固定する。

術直後の固定にギプス包帯は用いない。

 

【術後の注意】

手術後の一般的な注意はBunnell法と同様である。

手術後第1日より松葉杖を用いた非荷重歩行を許可し、第2日にテーピングを除去し弾力包帯のみとし、患者に患肢足関節の自動底背屈運動を積極的に行わせる。

自動的に足関節の背屈が0°まで可能になった時点で、短下肢ギブス包帯を足関節0°で装着する。

膝関節のisotonic exerciseや大腿四頭筋のisometric exerciseは、可能な限り早期より開始する。

手術後2週間で一時ギプス包帯を除去し、抜糸後に再度短下肢ギプス包帯を足関節0°で巻き、患肢の部分荷重を許可する。

手術後4週間でギプス包帯を完全に除去し弾力包帯のみの固定として、足関節の可動域正常化のための自動運動を行わせ、5~6週間で全体重負荷を許可する。

この時期において,ほぼ足関節のROMは正常化するので日常生活は正常とし、スポーツ活動は自己コントロール可能なジョギングなどは手術後3ヵ月を目標とする。

 

●受傷後4~8週

関節可動域がほぼ回復したら荷重位のトレーニングを積極的に行う。

荷重位のトレーニングでは、損傷靭帯にストレスが加わらないように注意しなければならない。

すなわち膝関節外反・下腿外旋を防ぐように指導する。

ランニングは直線でのジョギングより開始して徐々にスピードをあげてダッシュができるようにする。

ついでカッテングやターンなどの方向転換動作を取り入れていく。

復帰スポーツの各種動作ができるようになり、膝伸展・屈曲筋力が十分に回復すれば完全復帰させる。

 

【注意】

種々の動作で膝が外反位や外旋位をとらないように注意する。

膝装具は損傷程度により軟性か硬性かを選択する。

陳旧例の単独損傷でも、新鮮例と同様の筋力訓練を主体とした運動療法を行う。

LCL損傷のリハビリテーションも同様に行う。

ただし種々の動作で膝が内反位や内旋位をとらないように注意する。

 

手術療法

術後2週間、膝屈曲30°で装具あるいはシリンダーキャストを用いて固定する。

固定中より等尺性運動、部分荷重歩行を開始する。

2週で可動域制限付き装具を用いて、可動域訓練を始め、4週で可動域制限を解除し、また全荷重歩行を許可する。

装具は可動域制限の程度により4~6週間装着する。

2ヶ月でランニングを3ヶ月でダッシュを開始しスポーツ復帰は4ヶ月としている。

 

ギプス・シーネ固定について

固定は膝関節30°屈曲位とする。

この肢位は、MCLが最も弛緩しているとされる位置であり、靭帯付着部間を短く保ち、固定している期間に靭帯に緊張をかけないで修復するためである。


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