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( ☆∀☆)関節リウマチと運動療法の話


(#^^#)題名:関節リウマチと運動療法の話

1.基礎知識

●慢性関節リウマチ(以下RA)は全身性の炎症疾患であり、過半数の患者で寛解と再燃を繰り返しながら機能障害を残す。成因として感染説、素因(遺伝)説、環境説、内分泌説、心因説、自己免疫説等、諸説あるが明らかではない。好発年齢は20~50歳で、加齢とともに発症頻度は高くなり、性別は約1:4で女性が多い。

●RAの治療は薬物療法による活動性のコントロールを基盤とし、関節形成術に代表される整形外科的治療やリハビリテーション活動を組み合わせて実施される。

●RAの炎症の場が滑膜組織であることにより主症状は関節症状であり、経過の型には、◎多周期型、◎単周期型、◎進行型がある。好発部位は手の中手指節関節(MCP関節)、近位指節関節(PIP関節)、足の中足指節関節(MTP関節)は90%の発症率、手関節、膝関節、足関節、距骨下関節は80%の発症率である。病気の進行に伴って高度の骨粗鬆症、脊椎病変等が生じると重篤な機能障害をきたす。また、RAは全身性疾患であるため、リウマチ結節、眼病変、肺・胸膜病変、神経系病変、心病変、肝臓・腎臓の病変、貧血、骨粗鬆症等多彩な関節外症状を呈することもある。

●活動性の把握にはLansbury活動指数が用いられる。RAの病期の分類ではSteinbrockerの分類StageⅠ~Ⅳに分けられ、機能障害の分類ではclassⅠ~Ⅳに分けられる。

●現在RAに使用されている薬物は、対症療法剤である速効性抗リウマチ薬と、原因に近い所に作用し効果が現れるまで2,3ヶ月を要する遅効性抗リウマチに大別される。この遅効性抗リウマチは、疾患修飾薬disease modifying anti-rheumatic drugs (DMARDs)、第二選択薬、緩解導入剤あるいは免疫調整剤とも呼ばれているが、最近ではDMARDsと呼ぶことが多い。速効性抗リウマチ薬には非ステロイド性消炎・鎮痛薬nonsteridal anti-inflammatory drugs (NSAIDs)とステロイド剤がある。なおその他には免疫抑制剤と抗悪性腫瘍剤があるが、広くDMARDsに含まれる。副作用の重篤なものとして、腎、肺および造血器障害がある。その対策は、まず投与量を必要最小限にとどめる。効果判定と副作用の早期発見のため、定期的に問診および血液、尿や便の検査を行う。特に投与半年未満の副作用の発現率はかなり高いので注意する。

●手術的治療としては、関節破壊の早期からみられる痛みと腫れの原因となる増殖

滑膜を取り除く滑膜切除術と、関節破壊に起因する疼痛と変形による機能障害を回復させる関節形成術とが主なものである。また、頻度は少なくなるが頚椎罹患進行例に対する緻密な手術は重要である。主なものとして、次のような手術があげられる。

(脊椎) 環軸椎亜脱臼 ➔環軸椎固定術

中下位頸椎病変 ➔多椎間固定術

(上肢) 肩関節 ➔滑膜切除術、癒着剥離術、人工骨頭置換術、全人工関節置換術

手関節 ➔滑膜切除術、Darrach法、hemiresection法、Kapanji法

手指 ➔(PIP)関節固定術、(MP)スワンソン型人工関節

(腱断裂)腱縫合、滑膜切除術

(下肢) 股関節 ➔全人工関節手術

膝関節 ➔滑膜切除術、全人工関節手術

足関節 ➔足関節固定術、人工足関節置換術

足部  ➔関節形成術、矯正骨切り術、3関節固定術

滑膜切除術はRAの局所の免疫反応が行われるその場所を取り除くものである。しかし、薬物療法の進んだ今日では、薬物の効果がみられないものにだけ適応があると考えられている。滑膜切除術にもいく種類もの方法があるが、どの方法においてもその目的を果たすためには、関節包内層に位置する滑膜下層まで、滑膜を完全切除することが必要である。

 

2.評価項目

〈一般的情報〉

項目

主な内容・注意点

①カルテ・他部門からの情報収集

 

・基本的情報(年齢、性、診断名、既往歴、合併症、家族構成など)

・X線所見

・治療方針(使用薬剤・副作用)、局所症状、Dr.の指示による禁忌となる運動・動作など

・Dr.Program&goal setting

②問診・面接 ・現病歴・現症・既往歴の問診

・発症前、入院前の身体・ADL状況

・生活上の問題・家族関係・構成・家屋状況・周辺環境

・職業・趣味など

・意識状態・理解力・コミュニケーション能力などの確認

〈理学療法評価〉

項目

主な内容・注意点

➀身体・形態測定 四肢長、周径(筋萎縮・変形・浮腫の状態)
  ➁疼痛の評価

 

 

痛みの種類(運動時痛、安静時痛、夜間痛、圧痛、

関連痛)

痛みの部位、程度(vas)

  ➂呼吸機能の検査 スパイロメーターによる拘束性換気障害の把握、肺活量測定

胸郭変形の有無の確認、胸郭拡張収縮の確認

  ➃感覚検査 位置覚、運動覚、触覚、痛覚
  ➄ROM-T

 

 

関節の強直、変形の程度の確認

廃用性による筋萎縮、短縮の確認

関節の動揺性の観察

  ➅MMT-T 廃用性による筋力低下の程度を確認する
  ➆ADL-T

 

Barthel Index・FIM

日常生活活動評価

家事動作テスト表

  ➇姿勢の評価 姿勢アライメントの評価
➈動作分析 基本動作能力の評価
  ➉歩行分析 歩行スピード、耐久性、安定性、異常歩行の評価
⑪RA Stage
  ⑫RA class
⑬心理・精神面 患者の精神、心理的側面を評価する(HDS-R)

 

3. 問題点

〈impairment level〉      (具体例)

#1 ROM制限    ・・・肩、股、膝、足関節屈曲制限

#2 筋力低下     ・・・四肢、手指、体幹、抗重力筋群の筋力低下

#3 疼痛・炎症    ・・・肩、肘、膝関節の自発痛および運動痛

#4 呼吸循環機能障害 ・・・呼吸困難(間質性肺病変による)、胸痛(心膜炎による)

#5 感覚障害     ・・・両上肢、特に手指の知覚障害

#6 関節強直     ・・・肩、股、膝、足関節の骨化

#7 薬物による副作用 ・・・満月様顔貌、多汗多尿、むくみ(ステロイド剤による)

#8 精神機能面の低下 ・・・うつ傾向、興奮、多幸症(ステロイド剤による)

 

〈disability level〉      (具体例)

#9 基本動作能力低下 ・・・立ち上がり要介助、立位保持困難

#10 ADL能力低下  ・・・移動動作困難、衣服着脱部分介助

#11 歩行能力低下   ・・・不安定歩行、転倒の危険性あり

〈handicap level〉

#12 症例、環境に応じて適宜評価

 

4.ゴール設定

RAの自然経過がわかっていない現状で、長期ゴールを決めることは困難であるが、短期ゴールは、生命維持に関わりの深いADLから順次自立させていくように考えるのが基本的である。StageⅠ~Ⅱなどは関節機能全般の維持、生活活動性の維持を図りつつ、ADL自立を目標と考えてよいが、StageⅣなどは、多くの合併症を併発している可能性が高いことを考慮に入れなければならない。

 

5・治療プログラム

(StageⅠ)

項目

内容

①物理療法 (目的) 運動療法の準備、疼痛除去による患者のモチベーション 向上

(内容) ホットパック、パラフィン、赤外線

②ROM訓練 (目的) ROMの維持、拘縮予防

(内容) 他動運動

③筋力増強訓練 (目的) 筋力増強、筋萎縮の予防

(内容) 等張性運動

自動運動または抵抗運動(重錘、徒手)

④全身運動

 

(目的) 鎮痛と疲労減少

(内容) 有酸素運動を3回/週×12週

⑤ADL訓練 (目的) ADL低下防止

(内容) 日常生活指導(関節保護法)

⑥患者教育 (目的) RAに対する理解、自己管理の徹底

(内容) 疾患に関する知識、生活指導

 

(StageⅡ)

項目

内容

①物理療法 (目的) 関節痛の緩和、筋スパズムの軽減

末梢循環の改善、運動療法の前準備

(内容) ホットパック、パラフィン、ハバードタンク

②ROM訓練 (目的) ROMの維持、改善

(内容) 伸張運動、自動介助運動

③筋力増強訓練 (目的) 筋力低下の予防、筋萎縮の予防

(内容) 等尺性の抵抗運動

自動運動または抵抗運動(重錘、徒手)

④姿勢矯正 (目的) 関節への負担軽減、筋機能低下の予防

(内容) 鏡を用いての姿勢矯正、腹臥位保持訓練、

寝具や就寝の姿勢指導

⑤ADL訓練 (目的) ADL・QOLの維持,向上

(内容) 日常生活指導(関節保護法)、動作の工夫、自助具の使用練習

⑥歩行訓練 (目的) 歩行能力の維持

(内容) 歩行器、松葉杖、ロフストランド杖、T字杖などを使用

⑦装具療法 (目的) 関節痛の軽減、関節変形の進行防止

関節の支持性の補助、ADL向上

(内容) 頚椎装具、手関節装具、膝装具、足関節装具

スプリントなど

⑧患者教育 (目的) RAに対する理解、自己管理の徹底

(内容) 疾患に関する知識、生活指導

 

(StageⅢ)

項目 内容
①物理療法 (目的) 関節痛の緩和、筋スパズムの軽減

末梢循環障害の改善、運動療法の前準備

(内容) ホットパック、パラフィン、ハバードタンク

②ROM訓練 (目的) ROMの維持、改善

(内容) 伸張運動、自動介助運動

③筋力増強訓練 (目的) 筋力低下の予防、筋萎縮の予防

(内容) 等尺性の抵抗運動

自動運動または抵抗運動(重錘、徒手)

④ADL訓練 (目的) ADL・QOLの維持、向上

(内容) 日常生活指導(関節保護法)、動作の工夫、自助具の使用練習

⑤歩行訓練 (目的) 歩行能力の維持

(内容) 歩行器、松葉杖、車椅子などを使用

⑥装具療法 (目的) 関節痛の軽減、関節変形の進行防止、関節の支持性の補助、脊椎可動域制限による脊椎の保護、ADL向上

(内容) 頚椎装具、手関節装具、膝装具、足関節装具、コルセット、スプリントなど

⑦生活指導 (目的) 生活全体の活性化、ADL・QOL向上

(内容) 家庭訪問、家屋改善指導

 

(StageⅣ)

項目

内容

①物理療法 (目的) 関節痛の緩和、筋スパズムの軽減、末梢循環障害の改善、運動療法の前準備

(内容) ホットパック、パラフィン、渦流浴(部分浴)

②ROM訓練 (目的) ROMの維持、改善

(内容) 伸張運動、他動運動、自動介助運動

③筋力増強訓練 (目的) 筋力低下の予防、筋萎縮の予防

(内容) 等尺性運動、自動運動(重力除去位)

④水中運動療法 (目的) ROM改善、筋力増強、立位・歩行感覚の獲得、モチベーションの向上

(内容) 自動介助運動、自動運動

⑤ADL訓練 (目的) ADL・QOLの維持

(内容) 日常生活指導、動作の工夫、自助具の使用練習

⑥呼吸リハ (目的) 呼吸機能の低下予防と向上

(内容) 腹式呼吸訓練、喀痰訓練

⑦歩行訓練 (目的) THA・TKA後の歩行能力の獲得

(内容) 膝装具、足関節装具による立位歩行訓練、歩行器、車椅子などを使用

⑧装具療法 (目的) 手術後による関節の固定、安定性の向上

(内容) Halo-vest固定術➔フィラデルフィア装具

THA・TKA後➔膝装具、足関節装具

➈生活指導 (目的) 生活全体の活性化、ADL・QOLの向上

(内容) 環境の整備、自己チェックの習慣化

 

6.リスク管理

<PT施行上留意点>

◎病的脱臼

◎骨折・・骨粗鬆症

◎疼痛、疲労の残存

<内科的リスク>

◎薬物療法の副作用

◎合併症・・心・肺・腎障害、甲状腺疾患

 

腹式呼吸は吸気が横隔膜の収縮で始まり、斜角筋などの呼吸補助筋の収縮へと広がって、呼気が吸気筋の弛緩により行われる。この呼吸法の目的は、横隔膜の動きを大きくし、胸鎖乳突筋、斜角筋などの呼吸補助筋の活動を減じることである。その効果は1回換気量、呼吸仕事率、動脈血中酸素分圧を上昇させ、呼吸数、分時換気量を減少させることである。この呼吸は臥位、坐位、立位、歩行、階段及び坂道の昇降などすべてのADLで使用される。

 

排痰法で重要な点は、レントゲンや聴診によって分泌物の貯留が確認された部位に対してどのような体位を取るか、そしてその部位に対して適切な手技を用いることである。体位を取るポイントとしては、痰が貯留している部位につながる気管支を垂直位に近づけ、重力を利用できる体位を選択することである。重力のみでも痰は移動するが非常に時間がかかる。よって手技を加えることで痰の移動速度を促進させる。用いる手技としてはバイブレーション(振動法)、呼吸介助法などがある。軽打法(クラッピング)は最近あまり用いられなくなってきているが、適切な手技であれば行ってもよい。効果的な咳をさせる➔喀痰の評価(色、粘性、匂いなど)を行う。排痰を行ったあと、排痰の効果を確認する(触診、聴診、レントゲンなどで)。


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