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( ☆∀☆)頚髄損傷と急性期の話


「頚髄損傷と急性期」の画像検索結果

急性期では医学的管理と看護のもとに、受傷部の整復、固定の為ベッド上での安静臥床を余儀なくされる。理学療法は全身および局所状態の改善と二次的障害の予防に努め、早期に身体機能を取り戻し将来の自立に備えることを目的に開始される。

1)良肢位の保持

急性期において長期間同一肢位をとることにより、変形や拘縮あるいは痙性のパターンが決まることがGuttmannによりいわれている。また四肢麻痺などでは筋力の分布が崩れることによる肩甲帯周囲などの変形を作りやすいのでその予防の為に常に正しい肢位をとらせまた褥瘡の発生を予防する為2時間おきの体位交換が必要である。以下の4点を配慮したポジショニングを行う。

①頸椎の正しい姿勢の保持

②拘縮の予防

③褥瘡の予防

④重度の痙性の抑制

[背臥位]

下肢

股関節:伸展位およびやや外転位

膝関節:伸展位、しかし過伸展位ではない。

足関節:軽度背屈位

足趾:中間位

*両膝、足部の間にクッションを1~2個はさみ、内側上顆、内果の圧迫を防止する時もある。

上肢

肩甲骨:挙上や内転しないように、中間位に保つ

肩関節:軽度外転・軽度屈曲位

肘関節:伸展位、上腕二頭筋が残存し、上腕三頭筋が麻痺している場合は屈曲拘縮を防止する上で特に重要である。

手関節:約45°の背屈位

手指:わずかな屈曲位

母指:対立位とし、猿手を防止する

*肩甲帯が後退しないようにクッションを下に入れて支える。また両手は肩よりも高くし、浮腫が生じるのを防止する。

[側臥位]

下肢

股関節:軽度屈曲位

膝関節:軽度屈曲位

足関節:軽度背屈位

足趾:中間位

*上側脚を下側脚よりも前方または後方に置き、クッションを両脚間に挟む。

上肢

肩関節:上側の上腕は胸郭との間にクッションを挟んで支える。下側の上腕は肩関節屈曲位、頭と胸郭を支えるようにクッションを置き、下側の肩が除圧されるようにする。

肘関節:伸展位

前腕:中間軽度回内で上側の前腕をクッションで支える。

[腹臥位]

この肢位は通常、急性期の安静固定期には行われない。離床期やすでに褥瘡の発生している際に用いられる。背部、仙骨部の褥瘡の予防、股関節屈曲拘縮予防、また腹圧上昇と重力の影響により膀胱機能にも効果が期待できる。

 

2)肺理学療法

四肢麻痺では呼吸筋麻痺による換気障害、すなわち肺活量の著しい低下を伴う拘束性換気障害が起こる。一般的にC4より上位(C1~C3)のレベルでは横隔膜が機能しないため自発呼吸が困難であり、人工呼吸などに依存しなければならない。C4レベル以下では横隔膜呼吸の麻痺は免れるが、麻痺域以下の腸管麻痺による横隔膜の運動制限が起こる。さらに主呼吸筋麻痺による咳痰反射の低下、予備吸気量の低下、有効な咳、くしゃみ、排痰力の減退、肺のコンプライアンス低下などを伴う。さらに交感神経が遮断された場合は急性期には血管運動神経の麻痺を伴い、気道粘膜も充血し気道分泌物が増加するため肺合併症が起こりやすくなっている。その予防と改善のための補助手段として肺理学療法が行われる。

①胸拡張訓練

初期には患者は呼吸機能障害に精神的な不安や肉体的苦痛も加わり緊張状態にある。この状態が続くと同一肢位での安静位を保持する為、胸隔の拡張性が低下する。呼吸訓練を開始する前に胸隔の運動性を高めておくことが重要である。胸隔拡張訓練は肩関節や肩甲帯の自動運動を行うことによっても可能であり、C6以下の四肢麻痺では自主トレーニングとして肩関節の内外転、水平内外転(肩甲骨のない外転を伴う)を日常的に行わせると効果的である。

②呼吸訓練

横隔膜呼吸訓練は主に四肢麻痺者に対して行われる。セラピストは胸骨剣状突起の直下に中指を屈曲位で当てる。患者の吸気にあわせリズミカルに横角膜を刺激する。下部胸式呼吸訓練は手掌を季肋部に当て患者に深呼吸させる。吸気の際セラピストの手掌に当たっている部分を特に膨らませそこに抵抗を加え吸気が進むにつれてその抵抗を弱めていく。いずれも呼気は口をすぼめて吸気の2倍の長さでゆっくりと吐かせる。吐ききった瞬間に横隔膜を押し伸張刺激を加える。また吸気による胸隔の拡張にあわせて肩関節を外転させる。ついで呼気にあわせて肩関節を内転していく。その際セラピストは手掌で胸隔に軽い圧迫を加えて呼気を助け、最後に残気を排除するように強い圧迫を加える。これにより固有受容器がストレッチされ、反射的に吸気の誘発をはかる。

③排痰訓練

肺内にたまっている分泌物を気管支の枝から気道を通じ重力の作用で誘導排泄させるため、特定の体位をとらせて行う。これに咳、振動法、叩打法などを加え排痰を容易にさせる。

<方法>

①背臥位で両下肢を軽度屈曲しリラックスする。

②呼吸訓練を行いながら聴診などで痰のある部分を確認。

③深呼吸を繰り返し、深く吸気させた後呼気と同時に腹の底から咳をさせる。

④咳とタイミングを合わせて季肋部、横隔膜に内上方への圧迫による抵抗を加えて胸腔内圧を高めて咳を介助する。

*     上肢の機能が残るC7損傷以下では肩関節内転位で前腕を季肋部と横隔膜部に当てておき、咳と同時に体幹を前屈させるようにしながら患者の前腕を強く腹部に押し当て、さらに前腕を回外させて腹部を内上方に押し上げ腹圧を高め、自力で排痰できる方法を指導する。

以上の方法で小休止を入れながら数回試みても排痰困難な場合は、重力を利用して分泌物を誘導、排泄させる特定の体位を取らせ、排膿部に部分呼吸を行い、呼気時に叩打(タッピング)、振戦(バイブレーション)など数分間繰り返した後、深呼吸の呼気と同時に咳をさせる。呼吸訓練と排痰訓練は同時に行い、1回に15分から20分、1日2回(朝夕)以上実施する。

 

3)関節可動域訓練(他動運動)

脊髄ショック期には全身あるいは損傷部の安静、安定をはかりながら、麻痺肢の関節損傷を起こさないように慎重な運動に心がける。

脊髄がショック状態から回復すると脊髄反射路又は反射弓の温存されている麻痺筋には痙性をみる。痙性は脊髄が損傷されることにより上位中枢からの抑制機序が消失し脊髄の反射弓が中枢からの抑制から解放されたことのより出現する。痙性筋はわずかな刺激でも伸張反射を引き起こしてしまう。伸張反射の閾値を高くし痙性の出現頻度を低下させる為に十分な伸張運動で行い筋線維の伸張性を保っておくことが重要である。また関節可動域訓練では四肢の関節のみ目が奪われがちであるが、特に四肢麻痺では胸隔を構成する肩鎖関節、胸隔関節、胸肋関節および肩甲帯の動きなども回復期の動作訓練を行う上で重要である。

 

4)筋力強化訓練

受傷後1~2週間を経過したら、関節運動も他動運動から自動介助運動、抵抗運動へと進める。四肢麻痺の場合、麻痺により筋力のバランスが崩れているため最初は筋力強化というよりも筋再教育を目的に主動筋と固定筋の関係を修復していく。

 

5)自動介助・自動運動

早期より非麻痺筋に対し開始する。頚髄損傷では損傷高位に応じて、可能な限りの肩関節、肘関節、手関節、手指の残存筋を重力除去位や抗重力位にて実施する。

 

6)漸増的抵抗運動

残存筋に徒手的漸増抵抗運動を実施する。徒手抵抗運動で最も重要なのは等尺性収縮による肩甲骨挙上と下制の強化である。PNFによる対角・回旋パターンを用いての上肢訓練も有効である。また回復期から訓練していく種々の動作の為にも、特に注目を要する筋は僧帽筋、前鋸筋、広背筋、大胸筋、三角筋などである。

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