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(。^。^。)末梢神経損傷の話


(^○^)題名:末梢神経損傷の話

1.一過性伝導障害(neuraplaxia)

[障害の特徴]圧迫や牽引などにより神経線維に局所的な脱髄変性が起こり、神経の伝導能力が傷害される。軸索や内膜は損傷されず、神経の伝導障害も局所的な障害部位に限局したものである。原因がとり除かれれば障害部位は自然に修復され、伝導能力は元通りに回復する。

[発症機転]術中・術後の不良肢位などにより腓骨頭部が圧迫されることで生じる腓骨神経麻痩や腕枕などで生じる橈骨神経麻痺がこれに相当する。

[臨床症状]知覚麻痺が軽度、運動麻痺がより強いことが多い。これは圧迫には太い神経線維である運動神経の方が、細い線維である知覚・自律神経線維り抵抗力が弱いことに起因していると考えられている。

 

2.軸索損傷(axonotmesis)

[障害の特徴]軸索の連続性が損なわれ、損傷部位から終末部に至るまで軸索が完全に変性するWallar変性に至り、運動・知覚および自律神経は完全麻痺を呈する。しかし、神経内膜・周膜の連続性は保たれ、原因が除去できれば軸索は元の経路に沿って再生し、完全回復が期待できる。軸索の再生は中枢側の健常軸索より末梢に向かって進み、その回復速度は、再生初期には速く、末梢に進むにつれて次第に遅くなる。また、小児では大人より再生速度が速いことも知られる。

 

3.神経線維および皮膜の損傷(nerotmesis)

[障害の特徴]軸索の損傷の他、神経被膜の損傷も伴った場合でシュワン細胞の皮膜外への増殖、皮膜の線維芽細胞の反応性増殖が加わる。神経内膜の損傷では、シュワン細胞による架橋が形成され再生軸索がその間を通って末梢部にたどりつけるが、再生軸索は損傷前の本来の神経内膜に戻れる可能性は少なく、大部分は異なった神経内膜をたどり、異なった終末部に到達する(過誤支配,交差支配)。神経幹の断裂ともなると結合織の増殖も著しく、再生軸索は増殖したシュワン細胞線維芽細胞と混合して方向性を失い、損傷部に断端神経腫を形成する。

 

<症状別分類>

1.運動障害優位

ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎、急性間欠性ポルフィリン症、遣伝性運動感覚’性ニューロパチー、および鉛中毒がある。

2.感覚障害優位

糖尿病、尿毒症、アミロイドーシス、アルコールおよび中毒(薬物・有機溶剤・重金属など)がある。とくに、大型の脊髄後根神経節神経細胞が選択的に障害されるため、著明な深部感覚障害・感覚性失調をきたすものに、癌性ニューロパチー、シェーグレン症候群および特発性失調性ニューロパチーがある。

3.自律神経障害優位

糖尿病、アミロイドーシス、遣伝性感覚自律性ニューロパチー、などがある。

 

*神経線維の再生

再生軸索は受傷後3~4週で発芽し始めるが、再生軸索がイ申び始め損傷または縫合部を通過するまでの期間には初期の遅れ、再生軸索が終末部に達してから筋収縮を開始するまでの期間には終末あるいは最後の遅れが存在する。最初と最後の遅れを合わせて1~32 週、平均axonotmesisで13週、縫合で16週としている。以上の遅れを考慮したうえで再生軸索の伸びる早さは、だいたい1日に1~3mmであるが、末梢では少し遅くなる。臨床的には1日に1mm程度で計算して大まかな回復時期を予測することができる。

 

*Tinel徴候

損傷された末梢神経の走行に沿って末梢から中枢に向かって指尖で叩くとき、末梢に向かって放散痛が起こることをいう。この点をTinel陽性点といい知覚神経線維の最先端が未成熟で刺激に敏感に反応するためと考えられている。時間の経過とともにTinel陽性点が末梢に移動してくれば、軸索の回復が示唆される。軸索損傷の無いNeuraplaxiaではこの徴候は出現しない。

 

*末梢性・中枢性顔面神経麻痺の違い

顔面神経支配によって支配されている筋肉の麻痺で、表情筋の麻痺が起こるものをいう。前額部の筋肉および眼輪筋は両側の大脳皮質の支配を受けているので、中枢性の場合は麻痺しない事が多い。末梢性の場合は顔面上半分も麻痺し、閉眼しにくくBell現象陽性で、前額・鼻唇部の皺襞がなくなる。また、舌の前2/3の味覚障害や唾液分泌障害をきたす事がある。

 

[顔面神経核]上部核と下部核の2つからなり上部核には交叉・非交叉神経線維の両者がある。

[中枢性顔面神経麻痺]顔面神経核より中枢に近い場所で損傷した場合、本来は麻痺は反対側顔面全体に生じるはずだが、上部核は非交叉の神経線維も受けているので、上部核が支配している顔面上半分は麻痺を起こさずに済む。このように顔面神経核より中枢側での障害をいう。

[末梢性顔面神経麻痺]顔面神経核を含めてこれより末梢での損傷では、上部核からの線維も下部核からの線維も一緒に障害されるので、顔面全体が麻痺する。末梢性顔面神経麻陣の症状は、病巣側顔面の表情筋の完全麻痺である。すなわち、額にしわを寄せられず、眼もつぶれず、「イー」をしても口角が持ち上がらず、口笛を吹くとができない。また、パ行の発音ができない。閉眼を命じても完全に瞼を閉じることができず(兎眼)、眼裂から白目が見える。この現象をBell現象という。

[部位ごとにみた障害の症状と原因]

1.大脳半球運動領野(中心前回下1/3)から橋の顔面神経核までの障害

皮質延髄路の障害で起こるもので、病巣と反対側の中枢性麻痺を来たす。原因疾患は脳血管障害(出血、梗塞)、脳腫癌など。

2.顔面神経核の障害

理論上は末梢性麻痺のみが現わるが、この部だけが選択的に侵されることはきわめてまれである。その理由は脳幹は狭い範囲に重要な脳神経核や神経路が密集していていったん病変が生じると、たとえそれが小さくても複数の構築物が破壊されるためである。この部の病変としては、脳血管障害や脳腫傷が挙げられ有名なミラール・ギュブラー症候群がみられる。

3.顔面神経核と膝神経節の間の障害

この部の代表的な病変は聴神経鞘腫だが、これは内耳孔内の聴神経、特に前庭神経から発生するもので、聴力障害に次いで顔面神経麻痺が生じる。

また、片側の顔面をピクピク痙攣させる顔面痙攣(チック)は、顔面神経根が脳幹を出てすぐの所で、動脈硬化などで蛇行・拡大した動脈(前下小脳動脈が最多)や動脈癌、腫瘍などにより圧迫されるために発生すると考えられている。

4.膝神経節と鼓索神経の間の障害

膝神経節の病変として有名なものにラムゼイ・ハント症候群がある。これは、この部の帯状疱疹(へルペス)ウイルス感染によるものとされ、この部の障害による諸症状に加えて外耳道、耳介後部の激痛(これを特に膝神経痛という)を認める。

5.鼓索神経より末梢の顔面神経の障害

典型的な末梢性顔面神経麻痺がみられる。この部での障害はBell麻痺と呼ばれる。その原因は不明なものが多く、ウイルス感染、顔面神経管の炎症、神経の栄養血管の血流障害などが考えられるが、中にはただ冷たい風に当たっただけなどという場合もある。

(=_=)参考文献

医療学習レポート.末梢神経損傷


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