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(。^。^。)移動の話


(*´з`)題名:移動の話

■移動の意義

「動き」は人間の生き方、生活のすべてにかかわる最も基本的な事柄である。

「ごはんを食べる」「排泄をする」「髪を整える」「スポーツをする」など目的や方向性をもった人間の行動は、すべてのニードの満足を目指している。これらの行動の大半は移動動作を伴っている。つまり移動動作の自立がニードの充足に大きく影響を及ぼすのである。

臥床状態から歩行までの基本動作は、臥床→寝返り→長座位→端座位→立位→歩行である。これらの動作が障害された患者の援助にあたっては、今ある運動機能を最大限に生かした方法で、移動や移送の援助技術を効果的に用いながら日常生活上の援助を行っていくことが大切である。またできないところを補うだけの看護ではなく、なるべく早くその人自身の力でできるようになるよう、自立を目指した看護を行っていく必要がある。

 

■動きの援助の基本

(1)支持基底面積を広く取る。

(2)重心の位置を低くする。

(3)重心線が支持基底面積内に落ちるようにする。

(4)摩擦抵抗を考慮し、動かすものはできるだけ小さく、支えるものはできるだけ大きくなるように使い分ける。

(5)自分の重心と患者の重心をできるだけ近づける。

(6)できるだけ小さくまとめる。

(7)正常作業域内で援助する。

(8)てこの原理を効果的に活用する。

 

■移動動作に必要な筋力保持

不動状態を続けると1日に3~5%の筋力が低下していくといわれている。たとえ臥床状態を余儀なくされた患者の場合でも、全身まったくの不動状態を保つ必要のある患者は非常にまれだといえる。その患者の許された範囲で可能な限り筋力保持のための運動を実施する必要がある。

寝返りをする、座る、立つ、歩くために必要な筋肉は様々であるが、体幹の屈筋群(腹筋群)、体幹の伸筋群(背筋群)、大腿四頭筋の運動を最低限実施することが重要である。

(1)体幹の屈筋群(腹筋群)の運動

①仰臥位で頭部を持ち上げる。

②仰臥位で軽く膝を屈曲させ、上体を持ち上げる。

③端座位を保持する(その際、前額面からやや後方に上体を傾ける)。

④立位を保持する。

(2)体幹の伸筋群(背筋群)の運動

①臥床した状態で両下肢を屈曲し、下腿が床に垂直になるように足部を床に置き、殿部をベッドから持ち上げる(ブリッジ)。その際、腰椎部の前彎を強めないように注意するとともに、体重は頭部で支えるのではなく、足部で支えるようにする(立位の準備のため)。

②端座位を保持する(前額面からやや前方に上体を傾ける)。

③立位を保持する。

(3)大腿四頭筋の運動

①大腿四頭筋等尺性収縮運動(セッティング)=下肢伸展位の状態で膝蓋骨を大腿中枢側に引き上げて5秒間保持する(看護婦が患者の膝窩部の下に手を入れ、その手をベッドに押し付けるように患者に指導するとコツがつかみやすい)。

②膝伸展下肢挙上運動(SLR)=下肢を伸展した状態で10~30度挙上し、5~10秒間維持する。その後ゆっくりとおろす。

③端座位で膝関節を伸展し5~10秒間維持する。

④4カウント運動を行う。

 

■移送の仕方

(1)ストレッチャーのブレーキ(ストッパー)を外す

(2)A:ストレッチャーの枕元に立ち、両手でストレッチャーのフレームを握る

B:ストレッチャーの足元に進行方向に向いて立ち、ストレッチャーの一方の角を持

(3)A:患者の状態を観察しながら、ストレッチャーを押す

B:足から先に、舵をとりながら進む

(4)斜面を上る場合は頭が高くなるように進行方向に頭を向けて運び、下る場合は進行方向に足を向ける

 

■車椅子の操作

(1)押し手の操作

①直進:両手の押し手に均等に力を入れて押す

②左折:右の押し手に力を入れる

③右折:左の押し手に力を入れる

(2)傾斜のある場所での進み方

①下り坂:蛇行し、引っ張るように、または後ろむきに支えながら進む

②上り坂:蛇行して進む

(3)段差のある場合

ティッピングレバーを活用してキャスターを浮かして段の上に置き、大車輪は手でやや持ち上げてすすむ

(4)ドアを通過するとき

車椅子をドアの前で後ろ向きに回転させ、片手でドアを開き、後ろ向きの状態で通過し、その後前向きに回転させる

 

<ベッドから車椅子への移乗(麻痺がない場合)>

(1)患者に説明し、状態を確認する

1)説明し、同意を得る

→自立性の尊重・促進

2)体温・脈拍・呼吸を観察し、異常のないことを確かめる

→安全の確保

3)必要時、便尿器を使用する

 

(2)準備をする

1)円座またはクッション、靴下、履物等を準備する。保温が必要な場合(あらかじめ室内の確認をする)は、ガウンやひざ掛け、毛布などを準備する。

2)車椅子にやわらかいクッション、または円座を用意し、寒い時には毛布を広げる。

→不快な刺激を最小限にするため

3)ベッドに対し斜めまたは平行の位置に置き、車止めを行う

→転倒を予防するため

4)フットプレートを上げておく

 

(3)患者の身体を起こし端座位をとらせる

1)手順を説明し、動作ごとに声かけを行う

→不安の緩和

2)患者の膝を立て、移乗する側に仰臥位のまま平行移動させる

(ボディメカニクスを活用する。両足は左右に肩幅に開く、対象に近づくなど)

3)上半身を起こすと同時に、下半身を手前に引いて、半円を描くようにして患者がベッドの端に腰掛けられるように体を起こす

4)患者の臀部を支点とし、手前に重心を回転させる

(看護者は重心を低くする)

5)端座位になったら患者の腕は看護者より離し、ベッドに手の平をつける

→体の安定をはかるため

 

(4)患者の状態(気分不快や眩暈の有無)の確認

(急激に多くの動作をせず、一休みする)

→体位によっては身体の生理機能は変化する

 

(5)患者の身支度を整える

1)必要があれば靴下を着用し、履物を着用する(踏み台を使用する時は固定に注意する)

2)保温に注意してガウンなどを着用させる

 

(6)車椅子に移乗させる

1)車椅子がベッドに平行または30°程度の位置に置いてあり、固定されていることを確認する

→患者の回転を少なくするため

2)患者の直前に立ち、患者の両膝の間に看護者の足を入れ、両手で患者のウエストを支える

(患者の両手は看護者の肩においてもらう。踏み台を使用しているときは、はずす)

→支えて安定をはかるため

3)患者の足底が床についていることを確認して起立させる

(立位が安定しているか確認する)

4)支えながら、車椅子に静かに背を向ける

(看護者が車椅子に近いほうの足を軸に回転しながら患者の移動を助ける)

5)支えながら、静かに腰掛けてもらう

6)フットプレートに足をのせる

 

(7)安楽の確認をする

1)全身状態の観察をする

(保温に努め、必要があれば背中にクッションなどを当てる)

 

<ベッドから車椅子への移乗(右片麻痺がある場合)>

(1)患者に説明し、状態を確認する

1)説明し、同意を得る

→自立性の尊重、促進

2)体温・脈拍・呼吸を観察し、異常のないことを確かめる

→安全の確保

3)排泄の有無を確認する

4)麻痺側上肢は三角巾などで固定し、亜脱臼を予防する

 

(2)必要物品の準備

1)車椅子にやわらかいクッション、または円座を用意し、寒いときには毛布を広げる

(必要時、靴下をはかせる。車椅子は患者の麻痺側の足元にベッドと平行または30°程度の位置に固定する)

→健側の足を軸にして回転させるため

 

(3)患者の体を起こす

1)手順を説明し、動作ごとに声かけを行う

2)看護者は患者の右側に立つ

→麻痺側を保護するため

3)患者の左(健)側の膝を立てて、仰臥位のまま手前側に平行移動する

(麻痺側下肢は膝関節と足関節の2箇所で支える)

 

(4)患者を端座位にする

1)まず上半身を起こすと同時に、下半身を手前に引いて半円を描くようにして患者がベッドの端に腰掛けられるように体を起こす

(上半身を起こす時患者は、健側上肢で看護者の肩につかまる。看護者は患者の右(麻痺)側上肢の位置に気をつける)

(左側下肢は患者本人が、右側下肢は看護者が膝を支えて位置を変換する)

2)患者の左(健)側の手はベッドに置く

→上半身の安定をはかるため

3)必要時、枕などを右(麻痺)側の背に置く

4)患者の状態(気分不快や眩暈の有無)の確認

5)患者の健側の足底を床または踏み台につける

6)必要があれば、履物を着用する

→麻痺側は良肢位保持と保護のため必ず専用の履物を着用する

 

(5)車椅子に移乗する

1)看護者は患者の正面に立つ

2)患者の右側の膝を看護者の片足で固定して患者に立ってもらう

→膝関節および下腿を保持するため

3)患者は左側の足で立位保持する

4)看護者は麻痺側の足を保護しながら、患者に向きを変えてもらう

(患者の左側の下肢を軸にし体重をのせ、回転させる)

5)患者は左側上肢で、車椅子の肘あてを持つ

→体重の移動をはかるため

6)看護者は患者を支え、静かに腰掛けてもらう

 

(6)安楽・安全の確認をする

1)患者が車椅子に、深く腰かけているのを確認する

2)フットプレートに足を乗せる

(先に麻痺側の右足をフットプレートにのせる)

→麻痺側下肢を保護するため

3)右(麻痺)側上肢の位置を確認し、必要時、三角巾などで固定する

4)必要時、保温をする

(麻痺がある場合は、保温に一層の配慮が必要。特に下肢を毛布類で覆うのは、保温と麻痺下肢保護のため)

 

<ベッドからストレッチャーへの移乗(看護者3人で横シーツを用いた場合)>

(1)患者に説明し、準備する

1)説明し、同意を得る

2)体温・脈拍・呼吸を観察し、異常のないことを確かめる

3)患者の掛け物シーツ1枚にし、寝衣を整える

4)患者を仰臥位のまま、ストレッチャーを置くほうに移動する

→一度に移すと危険であると同時に患者の負担が大きい

5)横シーツは両端を扇子折りにし、患者の体側近くで両手で持つ

 

(2)ストレッチャーの準備を行う

1)ストレッチャーをベッドと平行の位置に寄せ、横につけて並べる

2)必ず、車止めがしてあることを確認する

→患者の安全のため

 

(3)患者をストレッチャーに移す

1)看護者Aは患者の枕元に立ち、枕の下から手を入れ、枕ごと上腕で頭を支え横シーツの上端をしっかり持つ

2)看護者Bはストレッチャー側の中奥部に立ち、両手を伸ばして患者の近くで横シーツの端を握る

3)看護者Cはベッド側の中央部に立ち、横シーツの端の方を幅広くしっかりつかむ

(ベッド上で膝を立てて行ってもよい)

4)看護者B、Cともに患者の臀部までしっかりと持つ

5)3人の看護者が呼吸を合わせて横シーツを互いに引っ張り合うような気持ちで持ち上げる

→手前に引っ張ることでシーツの張力を利用する

6)静かにストレッチャーに移し、安楽にする

 

<ベッドからストレッチャーへの移乗(看護者3人で徒手で移す場合)>

(1)準備する

1)患者の状態を確認し、仰臥位のまま、ストレッチャーを置くほうに移動する

2)ストレッチャーをベッドに直角に置き、固定する

→安全の確保、最短距離で患者を移すため

 

(2)患者をストレッチャーに移す

1)看護者は、患者の頭部、腰部、足部に位置し、患者をしっかり抱える

→重心を看護者側に移すことで患者は安心できる

2)足をそろえるように打ち合わせ、声を掛け合って進む

→上下に振動させないため

 

<ベッドからストレッチャーへの移乗(看護者4人で横シーツを用いた場合)>

(1)準備する

1)患者の準備、ストレッチャーの準備をする

 

(2)患者をストレッチャーに移す

1)看護者Aは、患者の頭を支える

(患者をより安静に移動する場合や、長身の患者の場合に用いる)

2)看護者B、Cは横シーツを利用して左右から患者の体幹を支える

3)看護者Dは、患者の足を支える

4)4人の看護者が呼吸を合わせて患者をストレッチャーに移動する

(看護者の人数が多いので、声を掛け合って呼吸を合わせることが大切になる。頭や足が高くあがりすぎて患者の体が曲がらないようにする)

→安定した状態で移動することで、患者に安心感を与え、安静を保つことができる

 

<ストレッチャー・車椅子での移送>

(1)ストレッチャーの使い方

1)看護者が1人で操作する場合は、必ず患者の頭側に立つ

2)移動するときは患者の足側から進む

→患者の感覚が歩行時と同じであるように、また、看護者には患者の顔がよくみえるため

※傾斜を上る場合

看護者は患者の足側に立ち、顔を見ながら頭側を上にして押す

(頭側を高く足側を低くする)

※傾斜を下る場合

看護者は患者の頭側に立ち、顔を見ながら足を先にして押す

 

(2)車椅子の使い方

1)車椅子を押しているときは、患者の表情が見えないので適宜声かけをし、患者の様子を確認する

2)車椅子を押すとき、看護者からは患者の足元が見えづらくなるので注意する

(患者の上肢、衣服、掛け物などを車椅子からはみ出させない)

→車輪に巻き込まれないようにするため

※段差を上る・乗り越える場合

患者に声をかけ、ハンドグリップを引きながらティッピングレバーを下に押すようにして前輪を軽く挙上し、段差を乗り越える

→この場合の力のモーメントは、「踏み込む力×車軸と力の作用線との距離」となる

※段差を降りる場合

患者に声をかけ車椅子を進行方向に背を向くように回転させ、後ろ向きに段差を下りる

( `ー´)ノ参考文献

医療学習レポート.移動


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