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(。^。^。)頚髄損傷と診断の話


(~_~;)題名:頚髄損傷と診断の話

1)診察

①問診

意識の清明な患者には受傷の場所と受傷機転をたずね、受傷時の体位、外力の加わった部位、方向、強さを知ることが重要である。軽微な外力で麻痺を生じた場合は先天性奇形や脊椎の年齢による変形性変化、脊椎管の狭窄をきたす各種疾患、リウマチ、結核、腫瘍などが関与していることがあるので既往疾患や受傷前の状態を詳しく問診する。

②視診

顔面や頭部、腰背部、腹部の創傷は外力の加わった部位を示す重要な所見で治療上参考となるので、よく見て詳しく記録する。頭部外傷で意識の消失した患者に頸部損傷が合併するか否かは胸隔の呼吸運動により鑑別する。C3~4の機能が温存されていると横隔膜の呼吸運動によってかろうじて保たれる。吸気時に腹部が膨隆して胸部が陥凹し、呼気時には逆に腹部が陥凹して胸部がふくらむ。これを逆理呼吸運動(paradoxical respiration)という。頭部外傷により意識の消失した患者が頚髄損傷を合併するか否かは呼吸運動をみれば診断できる。

③触診

脊椎に骨折や脱臼骨折があれば、骨傷部の棘突起が突出して亀背を呈するが、触診により突出の程度や棘突起間の解離、陥凹を知ることができる。しかし不安定な骨傷では触診により脊髄に二次的損傷を与えないように慎重でなければならない。

 

2)神経学的検査

脊髄損傷の診断には縦に長い脊髄がどの高さで損傷されたかという高位診断と、脊髄の前後左右のいずれかの部位が損傷を受け、その結果、脊髄伝導路の何が中断されたか、また脊髄横断面の診断、ならびに麻痺の重要度を診断しなければならない。それらは知覚運動障害と反射の異常、自律神経障害を精査することによって可能である。なかでも受傷直後の神経学的所見は麻痺の経時的変化を知るうえ重要である。

脊髄が損傷を受けると、障害レベル以下の知覚・運動機能、すべての反射が消失する。いわゆる脊髄ショックの状態となることがあり、この時期に完全麻痺であるか、不全麻痺であるかの鑑別は困難である。脊髄ショックの時期は受傷後、数時間から48時間持続するといわれ、球海綿体反射、肛門反射、下肢腱反射などの出現は脊髄ショックからの離脱を意味する。

 

3)高位診断

脊椎高位と脊髄高位はレベルによって大きく異なっており、脊髄損傷における損傷レベルは残存機能が正常化する上限の脊髄高位として、神経学的所見により決定される。したがって神経学的所見は各高位により特徴が顕著であるため、高位診断に役立つとともに残存機能が明確となり、リハビリテーションにおけるゴール設定の目安ともなる。

随意運動と触覚、温覚、冷覚、痛覚、振動覚、位置覚のすべてを調べると、脊髄索路(伝導路)のどの部分が損傷されたかが分かる。損傷高位は知覚障害を知覚模式図に記入し、運動は機能を有する最下位を筋肉の支配髄節をmyotomeに照らして診断する。

 

4)完全麻痺、不全麻痺と予後の診断

両下肢の運動機能と知覚機能をみると同時に、肛門周囲の運動と知覚を検査することが重要なポイントとなる。なお、確定診断は、脊髄ショックから離脱した後に実施することになる。

①肛門周囲の知覚が温存されている

②足趾の底屈が可能である

③肛門括約筋の随意運動がある

以上のなかの1つでも認められれば不完全損傷であり、麻痺の回復の可能性がある。逆にこれらがすべて認められなければ、完全損傷であり、残念ながら麻痺の回復の可能性はほとんどない。

 

5)損傷範囲による分類

①完全損傷

a)横断型損傷 transverse cord injury

完全横断損傷では知覚・運動完全麻痺、膀胱直腸障害を伴い、運動麻痺は当初弛緩性となる。

②不完全損傷

a)前部脊髄損傷 anterior cord injury

脊髄の前方部が損傷され、損傷部以下の完全運動麻痺が生じるが触覚、振動覚、位置覚は保たれる。

b)後部脊髄損傷 posterior cord injury

まれな損傷で、触覚、振動覚、位置覚の障害を示すが、機能障害は残らない。

c)中心性脊髄損傷 central cord injury

シュナイダー(Schneider)型損傷。脊髄の中心部が損傷され、下肢より上肢の運動麻痺が強く、知覚は温覚と痛覚が障害され、触覚や深部覚は保たれる。一般に予後良好であるが、上肢障害が残存することもある。

d)Brown-Sequard型損傷

脊髄片側のみの損傷であり、障害側の運動麻痺・深部知覚障害と反対側の表在知覚障害がみられる。

 

6)評価法

脊髄損傷の程度を評価する方法として運動・知能からみたFrankelの分類やYale scale、Zancolliの分類、ADL障害の評価となるBarthel indexなどがある。

 

・Frankelの分類

     麻痺の程度 説明
A 完全 損傷高位以下の知覚または運動の完全麻痺
B 知覚のみ 損傷高位以下の運動完全麻痺:知覚は仙髄節を含み、ある程度温存されるもの
C 無用な運動 損傷高位以下にある程度筋力はあるが実際には役に立たないもの
D 有効な運動 損傷高位以下に有効な筋力があり、下肢を動かすことができ、補助歩行または独歩が可能である。
E 回復 神経症状のないもの:すなわち筋力減弱、知覚麻痺括約筋障害がなく、反射は異常であってもよい

 

・Zancolliの上肢残存機能分類

機能レベル

基本的作用筋

分類基準

一般的な分類

(C5)

上腕二頭筋上腕筋 A:腕橈骨筋(-)B:腕橈骨筋(+)

C5

(C6)

長・短橈側手根伸筋 A:手関節の背屈は弱い

C6

B:手関節の背屈が強い Ⅰ:円回内筋 (-)橈側手根屈筋(-)
Ⅱ:円回内筋 (+)橈側手根屈筋(-)
Ⅲ:円回内筋 (+)橈側手根屈筋(+)

C7

上腕三頭筋(+)

(C7)

指伸筋小指伸筋尺側手根伸筋 A:尺側の指の完全伸展(+)橈側の指と母指の屈曲(-)B:指の完全伸展(+)

ただし母指の伸展は弱い

(C8)

長母指伸筋尺側手根屈筋

 

深指屈筋

A:尺側の指の完全伸展(+)橈側の指と母指の屈曲(+)完全な母指の伸展(+)

BⅠ:指の完全屈曲(+)

母指の屈曲は弱い

BⅡ:手内筋(-)

浅指屈筋(?)

C8

 

・主要髄節と運動機能

主要髄節と運動機能

髄節

作用と筋と機能

C4

・横隔膜は(C3~5)が重要で、C4が残存すれば死に至らず・胸鎖乳突筋、僧帽筋が働き肩甲骨挙上可能・三角筋以下の上・下肢すべて機能せず

C5

・三角筋、上腕二頭筋が有効である・C5上位では上腕二頭筋も機能するが、腕橈骨筋、回内筋はC5下位でなければ機能せず・肩の屈曲、外転、伸展と肘伸展可能

C6

・前鋸筋、大胸筋(C5~T1)、長・短橈側手根屈筋(C6~C7)が機能・尺側手根伸筋(C7~C8)は機能せず、広背筋が不全ながら機能・短橈側手根伸筋、円回内筋はC6下位で作用

・手関節背屈が有効にできることは機能的予後に重要

・手指機能はまったく不能

C7

・上腕三頭筋(C6~8)、橈・尺側手根屈筋(C6~8)、総指伸筋(C6~7)が機能・手関節機能は完全可能・手指屈曲はテノデージス・アクションで弱く、母指機能も不完全

・胸腰推、骨盤を結ぶ広背筋(C6~8)が機能することは重要

C8

・手指屈曲は完全で実用的握手となる・母指機能は完全となるが手固有筋の機能は弱い・指の内外転、つまみ動作が不完全

 

7)画像診断

①     X線検査

頸椎・頚髄損傷が疑われる場合、まず頸椎の不安定性の有無を確認することが重要である。頸椎を安静に保ち、側面像・前後像の単純X線撮影を行なう。上位頚椎損傷が疑われる時には開口位での上位頸椎の前後像も撮影する。下位頸椎は側面像では肩に隠れて見えない場合が多いので、

特殊な撮影(swimmer’s view)、断層撮影、CTなどが必要になる場合がある。

a)側面像

頸椎の彎曲の変化、軟部組織の陰影、骨折、脱臼の有無を確認する。

b)前後像

脱臼:棘突起の配列の異常が認められる。

骨折:椎体・椎弓に骨折線が認められる場合がある。

環椎骨折では(Jefferson骨折)では、開口位で側方への転位が認められる。

c)斜位像

椎間関節、椎間孔、椎弓、椎弓根、横突起などの異常を観察するために、斜位像を追加する場合がある。

②     MRI

MRIにより、脊髄・椎間板・靭帯などの損傷状態を直接的に画像診断することが可能になり、急性期から慢性期までの脊椎・脊髄損傷の診断においてMRIは極めて有用である。

a)急性期・亜急性期

出血は急性期にはT2強調画像で低信号、亜急性期でT1強調画像・T2強調画像ともに高信号を示し、浮腫・挫滅・壊死は急性期、亜急性期ともにT2強調画像で高信号を示すとされている。

急性期でのMRIでは脊椎周辺の出血・椎間板の損傷やヘルニア・靭帯の断裂などを確認する。脊髄内に出血や壊死を示す所見が認められる場合は、麻痺の予後不良を示唆すると考えられる。

b)慢性期

脊髄損傷の慢性期には、T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を示す病変が多くの場合に認められる。この所見は損傷された脊髄の軟化・壊死・空洞化と考えられている。

T1強調画像で等信号、T2強調画像で高信号を示す病変は瘢痕と考えられており、比較的軽症の脊髄損傷に認められる。

(・_・;)参考文献

医療学習レポート.頚髄損傷と診断


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