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(。-∀-)小児とバイタルサインの話


■バイタルサインアセスメントの重要性

小児は、生理機能が未熟であり、外界の刺激を受けやすく、それらによってバイタルサイン(呼吸・脈拍・心拍・血圧・体温)は変動しやすい。また、年少になるほど、小児自身からの症状や異変に関する訴えが不明瞭である。したがって、客観的なデータを提供するバイタルサインを測定し、アセスメントすることが、小児の全身状態の変化や異常の早期発見のために非常に重要なことである。

 

■バイタルサイン測定の特徴とくふう

バイタルサインは原則として安静時に測定する。小児の場合、啼泣や激しい体動による測定値への影響を考慮し、脈拍や呼吸数、血圧、体温へと進んでいくことが望ましい。

バイタルサイン測定では、小児にとって見慣れない看護師、聴診器や血圧計は恐怖心につながり、何をされるか分からない不安から、小児が激しく抵抗したり啼泣することがある。また、年少の小児では測定中、じっとしていることを苦痛に感じることがある。

そのため、遊びを交えたり、気をまぎらわせるようにしながら短時間に実施する必要がある。測定に用いる機器を使ったごっこ遊びや、絵本を利用するなど、痛みや苦痛がないことを小児の理解できるわかりやすいことばで説明し、小児の恐怖心や不安を緩和するような工夫が必要である。

 

■小児の一般状態の観察項目とアセスメント

観察項目 アセスメント内容の例
顔の表情 苦悶様の表情はないか。

極度に緊張した様子や恐怖感を示してはいないか。

活気・機嫌 元気がない様子や、疲労感はみられていないか。
態度 落ち着きがなくそわそわしていないか。

看護師の呼びかけに反応はあるか。

姿勢・運動 前かがみや左右に傾いた姿勢などになっていないか。

不随意運動やふらふらした様子、また麻痺などはないか。

体格 過度の肥満ややせはみられないか。
皮膚 顔面蒼白、チアノーゼ、黄疸や発疹、皮膚のかさつきなどはないか。

擦過傷やあざなどが多くみられていないか。

皮膚、爪や髪の毛は清潔に保たれているか。

臭気 異常な体臭や口臭はないか。
衣類 身につけている服や靴などは季節に適した、清潔なものであるか。サイズなどはその小児に合っているか。

 

<測定の実際>

(1)呼吸

乳幼児は肺胞数が少なく、ガス交換のための肺胞表面積が小さく、1回換気量も少ない。そのため十分な空気量を保持するために、呼吸数を多くして補っている。また、肺は、乳幼児期は肺胞の新生が中心であり、学童期では肺胞の大きさが主体となって成長し、それに伴って呼吸数が少なくなり、成人の呼吸数に近づいていく。

年齢別の1分間呼吸数

年齢

呼吸数(回数/分)

年齢

呼吸数(回数/分)

未熟児

新生児

1歳

2歳

3歳

40~90

30~80

20~40

20~30

20~30

5歳

10歳

15歳

20歳

20~25

17~22

15~20

15~20

 

■小児の呼吸の特徴:

①新生児・乳幼児=胸郭が軟弱であり、呼吸筋の発達が未熟であるので横隔膜の運動による腹式呼吸

②幼児期=胸郭が発達し成人の形態に近づき、呼吸筋も発達してくるので胸式呼吸が加わり胸腹式呼吸

③学童期=ほぼ成人に近い胸式呼吸

 

■呼吸の異常:

呼吸困難は正常時に使われない呼吸筋で努力呼吸している状態をいい、陥没呼吸、呻吟、下顎呼吸、尾翼呼吸、起坐呼吸、シーソー呼吸などの型がある。小児は胸郭が軟らかいので陥没呼吸が起きやすい。また、呼吸時に声門を狭めて呼気にブレーキをかけ、機能的残気量を多く維持しようとする呻吟も、小児に特徴的な異常な呼吸である。

 

■目的:

身体の生理的変化を示す重要な指標としての呼吸の正常・異常を観察し、治療・看護に役立てる

 

■必要物品:

メモ用紙、鉛筆、聴診器、ストップウォッチまたは秒針付き時計

手順(留意点) 根拠
(1)測定可能かどうか児の様子を観察する

(安静時または睡眠時を選ぶ。啼泣した後、運動した後、授乳直後、食事直後、入浴直後は避ける)

[新生児・乳児の場合]

①安静・保温に注意しなるべく入眠時に測定を開始する。

②腹式呼吸であるため、多くの場合腹部を見て測定するか、子供を泣かせないように、軽く腹部に手を当てる。

(乳幼児の呼吸は不規則であるため、原則として完全に1分間の呼吸数を測定する)

手順(留意点)

→啼泣、運動、授乳、食事、入浴、精神状態により呼吸は変動する

 

 

 

 

 

 

根拠

③胸部に聴診器をあて、呼吸音の性状、肺野への空気の入り方などに観察する

(冷たいままの聴診器を小児の胸部にあてると、小児は驚いて呼吸音に影響を及ぼすため、看護師の手であたためておくとよい)

 

[幼児の場合]

①胸腹式呼吸であるため、多くの場合腹部を見て測定するか、子供を泣かせないように、軽く腹部に手を当てる。

(いたずらのつもりで意識的に深呼吸をしたり、呼吸を止めてみることがあるため、体温や脈拍を測定するふりをするなど、呼吸測定を悟られないようにする)

②胸部に聴診器をあて、呼吸音の性状、肺野への空気の入り方などに観察する

(冷たいままの聴診器を小児の胸部にあてると、小児は驚いて呼吸音に影響を及ぼすため、看護師の手であたためておくとよい)

 

[学童の場合]

①学童期頃からは成人と同様に胸式呼吸となるため、年長児では胸部の動きを観察する。

②胸部に聴診器をあて、呼吸音の性状、肺野への空気の入り方などに観察する

(冷たいままの聴診器を小児の胸部にあてると、小児は驚いて呼吸音に影響を及ぼすため、看護師の手であたためておくとよい)

 

(2)記録する

(月日、時間、1分間の呼吸数、呼吸の深さ・リズム・型

、随伴症状等)

(努力様呼吸のある場合は、それに伴う症状⇒咳・痰・喘鳴・胸痛・冷汗・チアノーゼの有無、呼吸困難の程度等、についても観察・記録する)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→呼吸は随意的に変動させることができ、しかも見られているという意識は呼吸のリズムや速さに影響を及ぼす

 

 

 

 

 

 

 

■呼吸が微弱で測定しにくい場合の工夫:

薄い紙片またはガーゼの抜き糸、羽毛などを外鼻孔から5~10mm離れた位置において、呼吸による動きは1分間測定する。

 

(2)脈拍・心拍

脈拍のアセスメントは、末梢動脈の拍動数・リズムをとらえ、また、動脈壁の弾性、緊張や左右差などから、心血管系状態の指標を得ることができる。

1分間に心室から拍出される血液量を心拍出量といい、1回拍出量と心拍数の積であらわされる。成長に伴って心臓は大きくなり、心筋の筋力が増し、1回拍出量が増加するため、年齢とともに小児の心拍数は減少する。

小児の脈拍・心拍は、呼吸同様に周囲の影響を受けやすく、変動しやすい。脈拍・心拍の測定においては、発熱、薬物、活動などの影響要因の有無や心血管系疾患の有無などの既往歴もあわせて評価することが重要である。

年齢別の1分間脈拍数

年齢

安静(覚醒時)

安静(睡眠時)

生生時

100~180

80~160

1~3カ月

100~200

80~180

3か月~2歳

80~150

70~120

2歳~10歳

70~110

60~100

10歳~成人

55~90

50~90

■脈拍・心拍数の異常:

脈拍・心拍数の増加は、発熱、高度の貧血、低酸素血症、甲状腺機能亢進症、心筋炎、心不全などでみられる

 

■目的:

身体の生理的変化を示す重要な指標としての脈拍の正常・異常を観察し、治療・看護に役立てる。

 

■必要物品:

聴診器、ストップウォッチまたは秒針付き時計、メモ用紙、鉛筆、玩具(必要時)

手順(留意点) 根拠
(1)測定可能かどうか児の様子を観察する

(安静時または睡眠時を選ぶ。啼泣した後、運動した後、授乳直後、食事直後、入浴直後、精神的に興奮している時などは避ける)

 

(2)手洗いをする

 

(3)児に脈拍測定することを説明し(乳幼児の場合は母親に)了解を得る

(年少児の場合嫌がることもあるが、無理強いせずに遊びを取り入れるなどのくふうをして、児をその気にさせる)

 

(4)橈骨動脈、浅側頭動脈、頚動脈、大腿動脈など触れやすく測定可能な部位を選択する。

(触れにくかったり、脈拍が頻数で測定が難しい時は心拍の聴診をするようにする)

 

(5)看護師の右手の示指、中指、薬指の指腹を児の動脈の走行に沿って軽く当て、1分間の脈拍数を測定する。脈拍の性状も観察する(脈拍数・大きさ・リズム・緊張など)。

(強くおさえてはならない。また、母指では測定しない)

 

[新生児・乳児]

橈骨動脈等の触知が困難なため、心拍の聴診を行う。

(乳幼児の場合、啼泣により脈拍が変動するので注意する。聴診器は手で温めてから使う)

*触診心音法

聴診器を心尖部にあて、心拍数を測定し、リズム不整の有無を聴取する。新生児の場合、収縮期に始まり一致して聴取されるⅠ音と、拡張期に始まり一致して聴取されるⅡ音がほぼ同じ強さで聴取されるが、Ⅰ音・Ⅱ音で1心拍であるので測定時は注意する。直接胸部に聴診器をあてるため、あらかじめ手であたためておくとよい。心拍数のみの測定では、肌着など薄手の衣類をつけている場合は、衣類上から聴取できる。(心拍のリズム不整の有無、拍動の強さ、心雑音の有無等を観察する)

→啼泣、運動、授乳、食事、入浴、精神状態により脈拍は変動する

 

 

→感染予防のため

 

→無理強いして精神的に興奮してしまうと、それだけで20~40/分心拍数が増加して、正確な値が得られなくなる

 

 

 

 

 

 

 

 

→1本よりも3本の指の方が動脈の性質・脈拍の性状を感じとりやすく、母指は検者の脈拍と誤認しやすい

手順(留意点) 根拠
[幼児]

遊びを取り入れるなどの工夫をし、橈骨動脈・足背動脈・後脛骨動脈等を用いて脈拍を測定する。

(乳幼児の場合、啼泣により脈拍が変動するので注意する)

[学童]

触診法で、1分間脈拍を測定する。

 

(6)測定の終了をつげ、ねぎらいの言葉をかけ、掛け物や衣服を整える。

(年少児の場合は上手にできたことをほめる)

 

(7)記録する

(月日、時間、脈拍の数・大きさ・リズム・緊張など)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→次回の脈拍測定がスムーズにいくことにつながる

 

 

(3)血圧

血圧測定を行うことで、末梢循環・心拍出量・循環血液量など、小児の健康状態に関する重要な指標を得ることができる。

血圧は、血液が単位面積あたりの血管壁に及ぼす力で、心拍出量と末梢血管の抵抗が増すと血液が上昇し、逆に心拍出量・末梢血管抵抗が抵抗すると、血圧も低下する。

新生児では、左心室が未熟で収縮期圧(最高血圧)が低く、血圧は低い。成長にしたかって左心室と心臓自体の大きさが増大し、血液は上昇する。

通常、上下の収縮期圧(最高血圧)は、上肢に比べて10~20mmHg高い。

健康小児の血圧

年齢 収縮期血圧 拡張期圧 マンシェット幅
105±17 68±15 5
103±16 68±16 7
106±22 70±23 7
108±15 67±22 7
111±15 70±18 9
112±16 67±14 9
112±16 70±17 9
111±18 66±17 12
10 112±22 64±20 12
11 115±22 69±20 12
12 115±16 63±17 12

 

■血圧を左右する因子:

①急性影響因子=姿勢、運動、哺乳、食事、排便、入浴、環境温、ストレス、機嫌、測定器具、測定技術

②慢性影響因子=性別、年齢、肥満度、食塩過剰摂取、運動不足、家族性

 

■目的:

身体の生理的変化を示す重要な指標としての血圧を測定することにより、治療・看護に役立てる

 

■必要物品:

水銀血圧計、アネロイド血圧計、マンシェット、聴診器、必要時:超音波血流圧計(ドップラー血圧計)

手順(留意点) 根拠
(1)測定可能かどうか児の様子を観察する

(安静時または睡眠時を選ぶ。啼泣した後、運動した後、授乳直後、食事直後、入浴直後、精神的に興奮している時などは避ける)

 

(2)手洗いをする

 

(3)使用物品を準備し点検する

(点検のポイント⇒マンシェットのゴムのうはスムーズにふくらみ空気漏れがないか、血圧計の水銀柱の切れがないか、水銀コックを開いたとき水銀が0点にあるか、送気球のネジの開閉はスムーズか、マンシェットの幅は適切か)

 

(4)児に血圧測定について説明し了解を得る

(年少児の場合は嫌がって泣いてしまわないように工夫する)

 

(5)児を仰臥位にし、測定する側の上肢を心臓の高さにする

(仰臥位が望ましいが、やむを得ない場合は座位で行う(年少児は母親の膝の上で抱っこして行うと落ち着いてできることもある))

 

(6)測定側の衣服の袖を肩のあたりまでたくし挙げ、手掌を上に向ける

(長袖のシャツや袖口の細い場合は片腕を脱がせ、薄手の衣類の場合はその上からマンシェットを巻いてもよい)

 

(7)マンシェットを取り出し、ゴムのう内に空気が入っていないこと、マンシェットの幅が適切なことを再確認する

 

(8)マンシェットのゴムのうの中央が上腕動脈の真上に、マンシェットの下縁が肘窩の2~3cm上になるようにし、皮膚に沿わせるようにマンシェットを巻く

(巻き終わった時の圧迫状態はマンシェットと腕の間に指1~2本入る程度にする)

 

(9)血圧計の水銀の水銀コックを開いてONにし、送気球のネジが開いていることを確認する

→啼泣、運動、授乳、食事、入浴、精神状態により脈拍は変動する

 

 

→感染予防のため

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→上肢の高さにより血圧の測定値が変動する

 

 

→上腕を圧迫すると末梢にうっ血が起こり、血圧が実際より低く出る

 

→空気が入っていると、その空気圧で水銀柱が押し上げられ、水銀が0点に合わないので正確な値が得られない

→上腕動脈は腋窩中央から肘窩の中央やや内側に向かって下降している

手順(留意点) 根拠
(10)触診法か聴診法、ドップラー法により血圧測定する

(触診法は聴診法より10mmHgほど低い値になる)

[新生児・乳児]

触診法やドップラー法が適している。

[幼児・学童]

主に聴診法で測定する。

 

〈触診法〉

①左手で橈骨動脈または上腕動脈を触知しながら、右手で送気球を押し、脈が触れなくなるまでゴムのう内に空気を入れる

②脈拍が触れなくなったら、さらにその点から20mm程度水銀柱があがるまで送気する

③排気弁をゆっくり開放しながら1拍動につき2mmHgずつ水銀柱を下げる

(送気球のネジは母指と示指で力を入れて挟むようにしながら徐々に緩める。拍動音と拍動音の間に減圧しないようにする)

④脈拍が改めて触れた時の目盛りを読み、収縮期血圧(最高血圧)とする

(水銀柱は水銀の液面の一番高いところの値を読む)

⑤送気球の排気弁を全開にして、手早く空気を完全に抜く

〈聴診法〉

①肘窩部に右手の3指(示指、中指、薬指)を当て、脈拍の拍動を確かめた後、左手で聴診器を当て、さらにイヤーピースを耳に当てる

(上腕動脈を中央で捉えるように聴診器を当てる。聴診器は強く押さえすぎないようにする)

②触診法での測定値より約20mmHg程度高いところまで水銀柱があがるように、右手で送気する

③水銀柱の目盛りを読みながら、脈拍ごとに2mmHgの速さで下るようにゆっくり排気弁を開放していく

(早すぎても遅すぎてもいけない)

④初めて血管音の聞こえた目盛りを読み、収縮期圧(最高血圧)とする

⑤さらに排気を続け、血管音が聞こえなくなった時の目盛りを読み、拡張期圧(最低血圧)とする

(血管音が最後まで消失しない場合、音が急に小さくなった時の目盛りを最低血圧として読む)

⑥送気球の排気弁を全開にして手早く空気を完全に抜く

 

 

 

 

 

 

→必要以上の圧迫によって血圧は高くなる

 

 

→成人に比べて脈拍が触れにくいので、ゆっくりと緩めないと触れ始めの値を読み落とし、正確な値が得られない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→成人と比べ血管音が聞き取りにくいため、目盛りを読み落とし正確な値が得られにくい。また末梢のうっ血のため拡張期圧(最低血圧)が高くなる

 

手順(留意点) 根拠
〈ドップラー法〉

①マンシェットを巻いたら、血圧計を小児の心臓の高さにおく。

②超音波血流血圧計のプローブに専用のゼリーをつけて、上腕で測定する場合は上腕動脈、下腿で測定する場合は足背動脈あるいは後脛骨動脈にあて、血流音を確認し、マンシェットを加圧する。

③年齢別の正常値あるいはそれぞれの小児の通常の収縮期圧より、15~20mmHg上まで加圧する。必要以上に加圧すると、しめつけが強くなり、痛みを伴うのでちゅういする。また、出血傾向のある小児の場合も注意が必要である。

④加圧ねじをゆるめて、2~3mmHg/秒の早さで徐々に減圧する。急激に加圧ねじをゆるめると、測定値が不正確になるので注意する。

⑤減圧しながら、最初に血流音が聞かれた点(収縮期圧)を読む。拡張期圧は測定できない。

 

(11)血圧上昇や下降がみられた場合それに関する自覚症状、他覚症状がないか観察する

(血圧上昇時=頭痛、めまい、耳鳴り、心悸亢進、悪心・嘔吐、顔面紅潮/血圧降下時=頭痛、めまい、手足のひえ、悪心・嘔吐、徐脈、顔色不良)

 

(12)測定の終了をつげ、ねぎらいの言葉をかけ、衣服や掛け物を整える

 

(4)体温

体温測定は、全身状態や病変の変化をアセスメントするうえで、簡便かつ客観的で、侵頼しうる指標をえることができ、小児の身体アセスメントにおいて不可欠なものである。

体温とは、脳・肝臓・腎臓などを含む身体内部の核心温のことを示す。実際に身体内部の温度を測定することは困難であり、一般的には、腋窩・口腔内・直腸など、身体の外殻部での観測がおこなわれる。

体温は、視床下部にある体温調節中枢での熱産生と熱放散の調節により平衡が保たれている。

小児、とくに乳児の体温は一般的に成人に比べて高いが、それは小児は新陳代謝が盛んであり、体重あたりの相対的な熱産生が多いことが影響している。成長に伴って熱産生が減少し、10~15歳でほぼ成人と同じ体温になる。

乳児は体温調節機構の未熟さに加え、1体表面積が大きく、皮膚からの熱産生が大きい、2体温の喪失を防ぐ皮下脂肪組織が少ない、3発汗機能が未熟、などの特徴から、環境温の影響を受けやすい。また、体温は明け方が低く、起床後から午後にかけて高くなるという、日内変動を示す。体温調節機能が成熟にするにつれて、日内の温度差は小さくなり、幼児期になると体温の日内変動は目立たなくなる。

その他、体温は栄養状態、活動や運動、薬剤の使用、測定部位や測定方法、さらには個人差の影響をうける。

年齢別の小児の体温

年齢 体温(℃)
3か月

1歳

3歳

5歳

7歳

9歳

13歳

37.5

37.7

37.2

37.0

36.8

36.7

36.6

 

■体温の異常:

小児の高体温には発熱とうつ熱(熱の放散が十分できないため一時的に体内に熱が蓄積した状態)がある。うつ熱は衣服、掛け物の枚数が多すぎたり、環境温度が高すぎたりする時にみられる。

 

■目的:

身体の生理的変化を示す重要な指標としての体温の正常・異常を観察し、治療・看護に役立てる。

 

■必要物品

体温計(水銀体温計、電子体温計、鼓膜耳式体温計)、アルコール綿、必要時:潤滑油(直腸温測定に使用)

手順(留意点) 根拠
(1)測定可能かどうか児の様子を観察する

(安静時または睡眠時を選ぶ。啼泣した後、運動した後、授乳直後、食事直後、入浴直後、精神的に興奮している時などは避ける)

 

(2)手洗いをする

 

(3)必要物品を準備し、点検する

(点検ポイント⇒もれなくそろっているか、体温計に破損はないか、消毒済みであるか、水銀柱の場合は水銀柱に切れがないか、体温計の水銀柱は35℃に下がっているか)

 

(4)物品を児のもとへ運び、体温測定をすることを説明し了解を得る

(年少児の場合は嫌がることもあるが、無理強いせずに、遊びを取り入れたり、母親の強力を得たりして児をその気にさせる)

 

<腋窩検温の場合>

*幼児、学童に適している。

①測定側の発汗状態を確認し、湿っている場合は乾いたタオルで拭き取る

(測定部位の選択⇒側臥位の場合は上側、麻痺のある場合は健側、測定側は統一するのが望ましい)

 

 

 

 

 

②体温計の先端部が腋窩中央よりやや前方(最深部)に密着するように体温計を挿入する

(前方下から体軸に45度の角度で斜上方に向けて挿入する。児の肘を曲げさせ、もう一方の手で測定側の前腕を押さえさせることができない児(年齢的未熟、意識混濁、重症児)は、看護師または家族のものが援助する)

③電子体温計の場合は、測定が終了すると音で知らされるので、腋窩から体温計を取り外し、表示された値を読む。水銀体温計の場合は、測定時間の10分が経過したら、腋窩から体温計を取り出し、値を読む。

(年少児には抱っこして本を読むなどの遊びを取り入れるなどして工夫する)

→啼泣、運動、授乳、食事、入浴、精神状態により脈拍は変動する

 

 

→感染予防のため

 

 

 

 

 

 

→無理強いして精神的に興奮してしまうと、体温が変動する

 

 

 

→体温計が汗で密着せず、気化熱を奪われる

→下側の血管は収縮し、上側は拡張するので温度は高い

→麻痺側は血液循環が悪いので温度が低い

→左右で0.1~0.3℃の差がある

→腋窩中央よりやや前方(最深部)の皮膚温が最も高い

→腋窩の適切な部位に一定時間固定しなければ正確な値が得られない

手順(留意点) 根拠
④体温計を取り出し、児の衣服を整える

⑤体温計の目盛りを読み取ってメモし、不潔用のコップに入れる

(随伴症状の有無を観察しメモする)

⑥測定の終了をつげ、ねぎらいのことばをかける

(年少児の場合は上手にできたことをほめる)

⑦水銀体温計の場合、目盛りを35℃以下に振り下げる

 

<直腸検温の場合>

*新生児・乳児、時に幼児に用いられる。

①新生児・乳児を側臥位にしておむつをはずし、体温計の先に、潤滑油をつける。

②体温計を肛門部から、新生児では1~1.5cm、乳幼児では2~3cm、ゆっくり挿入する。

(測定中、刺激により排尿・排便をすることがあるので、おむつを軽くあてておくとよい。両足はしっかり固定し、股関節の脱臼に注意する)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③測定中、小児が動くと粘膜を傷つけてしまうことがあり危険なので、体温計はしっかり固定する。

④測定が終了したら、体温計を抜き取り、測定値を読む。

⑤肛門周囲を軽く清拭し、おむつをあて、衣類を整える。

 

(5)使用した物品の後片付けをする

(アルコール綿で消毒する)

 

(6)記録する

(月日、時間、測定値、自覚症状・随伴症状などの観察内容)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→感染予防のため

 

■体温測定時のアセスメントのポイント:

・発熱の有無、低体温の有無

・発熱時の時間的経過、変動の有無

・他のバイタルサインの変調の有無

・脱水徴候の有無

皮膚の弾力性、粘膜の乾燥、眼窩・大泉門の陥没など

・随伴症状の有無

咳嗽、咽頭痛、けいれん、下痢、嘔吐、腹痛、皮膚の発疹など

・悪寒戦慄、振戦

・末梢冷感の有無、顔面紅潮

・活気・食欲の有無、不穏状態の有無

 

■体温測定部位による特徴:

測定部位 適応 腋窩温との差 特徴および注意点
腋窩 前年齢 ・予測式の体温計では正確な値が得られにくい

・体温計の挿入角度により測定値が変化する

口腔内 5~6歳以上で協力がえられる場合

 

+0.2~0.4℃ ・口腔内での体温計の破損の危険があるため、乳幼児、意識レベルが低い、けいれん傾向のある小児に対しては選択しない
直腸 ・前年齢

・低体温、末梢循環不全、重症な小児

 

+0.4~0.8℃ ・未熟児、新生児ではよく用いられる

・直腸穿孔のリスク、測定自体が侵襲的であるため、他に測定できる部位がないときのみ選択されることが多い

・直腸肛門系の疾患、下痢の小児では禁忌

鼓膜 前年齢 -0.3~+0.5℃ ・短時間で測定でき、乳幼児に適している

・正確さにはまだ疑問が残る

・急性中耳炎など耳鼻科疾患、外耳道が狭い小児には用いない

 


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