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(。-∀-)手術療法の話


「手術療法」の画像検索結果

●手術を受ける患者の特徴:

(1)肺がんである場合は、腫瘍が占めた部位によって、無症状からせき、たん、血痰、発熱、胸痛、呼吸困難など、さまざまな症状を示す。臨床症状を自覚せずに過ごしてきた人にとっては、手術を突然のできごととして受け止める場合がある。

(2)生命をおびやかすような呼吸ができない苦しみを経験したため、「生きる(生きられる)」ことに対して潜在的な不安を感じていることがある。

1)手術前の看護

[アセスメント]

1.患者の生命を脅かしている問題を明らかにする情報

(1)病変の部位と程度

①病変の部位

②進行度(腫瘍ならば病期分類)

③障害されている機能

④臨床症状の有無:呼吸状態、咳嗽の種類、喀痰の性状、呼吸に伴う疼痛など

(2)症状の悪化因子

①気道内分泌物の増加因子としての喫煙

②生活環境(職場や居住地域での大気汚染の程度)

③免疫力の低下による易感染性

④全身状態(栄養状態、水分・電解質のバランスなど)

⑤既往歴(呼吸器、他臓器)

(3)診断のための検査結果および治療方針

①呼吸機能検査、気管支鏡検査、喀痰細胞診、胸部X線検査、核医学検査、血管造影検査、MRI検査、超音波検査などの結果から導かれた診断

②治療方針(予定されている術式、麻酔の種類、手術療法と併用される治療法の有無)

2.疾患によって生じる生活上の変化に関連する情報

(1)社会的な役割:家族、職場と職業の継続、地域での役割

(2)入院に伴う新たな人間関係:医師・看護師・患者との相互関係

(3)入院に伴う生活環境および生活習慣の変化:食事・睡眠・排便など

(4)入院に伴う経済的問題

(5)手術により障害される機能と関連する日常生活動作(通勤、買い物、入浴、食事など)

3.病気の受け止め、役割・発達課題の達成状況に関連する情報

(1)病気に対する認識

①説明された内容と理解した内容

②手術に寄せる期待感あるいは危機感

③予後についての受け止め方

④手術による自己イメージ

(2)入院・病状に関する情報収集方法と対処方法、対処能力

(3)入院に関わる家族あるいは重要他者の支援体制

(4)発達課題と達成状況

4.全身麻酔で手術を行うための身体的・精神的な準備状況

(1)全身麻酔に関連する主要臓器の検査結果:呼吸機能・心機能・腎機能・肝機能・内分泌代謝機能・出血凝固系機能・栄養状態・アレルギー・過敏症など

(2)手術・全身麻酔に関する認識:説明された内容と手術療法によせる期待感あるいは危機感、麻酔をかけられることへの認識、術後の疼痛に対する率直な思い

(3)不安の要因となっていることがらと程度・表出方法、およびストレスへの対処方法

(4)医療スタッフへの信頼感

 

[看護目標]

(1)呼吸機能が改善され安楽な呼吸ができる。

(2)検査や手術の必要性を理解し、それを実施することに同意できる。

(3)手術療法に対する不安や恐怖を表現でき、それらを軽減することができる。

(4)禁煙・深呼吸といった術前準備の重要性を理解し、積極的に取り組むことができる。

(5)術後に予測される創痛や活動制限について理解し、治療および看護へのニーズを表現することができる。

 

[看護活動]

◎不安の緩和

患者は、入院に伴い慣れない生活環境への適応、生活習慣の変更、新たな人間関係の形成、入院に伴う社会活動の制限、経済的問題、手術後の痛みなどへの不安と、漠然とした死へのおそれを抱いている。そして未知の検査や手術に関する情報が少ないことによる理解力の低下、患者役割を遂行しようとすることからくる問題解決能力の低下をみとめることもある。

さし迫った状況にある患者は、不安をもっているのが普通である。看護師は日常生活への援助のなかから意図的に情報を収集し、丁寧にアセスメントを行う。とくに手術に対する患者と家族の受け止め、治療への期待、予後の理解、意思決定や判断をする根拠となった情報の理解に誤りがないかなど、患者と家族の気持ちや関心をもっている問題を明らかにする。食事や睡眠といった身体症状、表情や言動といったことなどをあわせて観察する。的確で誠実な対応は、患者のもつ問題解決能力をたすける。それが患者-看護師間の信頼関係をつくり不安の緩和へと結びついていく。

◎検査の介助

両肺野に病巣が広がっている場合や、一側肺全摘出術を予定している患者は、手術後に残存肺だけで十分に全呼吸機能を負担しうるかどうかを、検査によって確認する。

検査には長い時間を必要とするもの、身体的な苦痛を伴うものや侵襲が大きいものもある。また、検査機器の進歩により、いままで発見することのできなかった末梢の微小陰影が検出されるようになり、このような症例の診断をつけるために侵襲的な検査(胸腔鏡下肺生検)が行われる。

検査ではあるが、術後は開胸術と同じ管理が必要になる。したがって、患者には検査の目的や方法を説明し、協力を得る。必要であれば、患者にそれまでになされてきた検査結果を説明する機会をもち、診断にむけての途中経過を知らせ、情報を共有する。検査にあたっては、共感的態度で励ましながら介助する。検査後は、おこりうる副作用や合併症の観察を行う。

◎手術に関する情報の提供

手術には、開胸術と非開胸術がある。開胸術を行った場合は、肋骨を切断すること、肋間神経が損傷されやすいこと、および術操作により術後の疼痛を伴う。疼痛は、呼吸や咳を抑制する原因となりやすい。最近は内視鏡(胸腔鏡)を用い、手術侵襲が少ない手術も行われる。医師は、検査結果をもとに手術の方法や術後おこりうる可能性、安全性、麻酔の種類、術後の治療に伴う活動制限、疼痛対策、社会復帰の可能性について説明する。

看護師は現実的な情報を提供し、患者が予測される状況を理解し、安心して手術に臨めるように術前オリエンテーションを行う。術前オリエンテーションでは、①手術にむけてのスケジュール、②術前の身体的な準備、③手術に必要とされる物品、④術後の集中治療室入室と治療環境、⑤回復過程、⑥術後に装着される酸素・モニタ・胸腔ドレーンといった医療機器、⑦術後の疼痛と緩和方法、⑧治療に伴う活動制限と対処方法、について説明する。また、こうしたことは特殊なことではなく、手術後は一般的であることをていねいに説明する。

説明方法としては、患者がイメージしやすいようにビデオを利用するなど視覚的に情報を提供し、イメージ化をたすける。このとき、看護師は患者や家族の理解を確認し、オリエンテーションの目的である安心のニードが充足されているのか、医療者への信頼感が得られているのかを評価する。患者がイメージしていた内容と現実にずれが生じている場合は、修正と理解への援助を行う。

◎合併症予防のための患者教育

術後は、以下の状況から肺炎や無気肺になりやすい。

(1)全身麻酔と筋弛緩薬による呼吸抑制のため末梢気道が閉塞し、肺胞が虚脱しやすくなる。

(2)呼吸にかかわる筋を切開することにより十分な換気ができず、浅く速い呼吸パターンとなる。

(3)手術により気道内分泌物が増加しやすい。

(4)疼痛や胸腔ドレーン挿入により、効果的な深呼吸やせきができず気道内分泌物が貯留しやすい。

(5)術後の安静臥床による合併症がおこりやすい。

なかでも喫煙者や肥満者、高齢者、術前に呼吸機能が不良であった場合はその危険性が高まる。

また、開胸術により肩甲骨を形成し姿勢を保持する筋肉を切断する。さらに疼痛や胸腔ドレーンの挿入による拘束感も加わり、患側上肢の運動が制限される。結果として患側の肩・腕の関節可動域が制限され、日常生活に影響を及ぼす可能性がある。

そこで、術後合併症の予防のため、①術前・術後を通じて、意識して呼吸法を実践すること、②気道内分泌物の喀出につとめること、③肩と上肢の運動を積極的に行うこと、を指導する。合併症予防の必要性を説明し、患者自身が回復のためにできることを教育する。術後は、創部痛や息苦しさがあって実践することが容易でないため、これらは手術前から手術後へと継続して行わなければならない。

●呼吸の練習:

無気肺の予防と回復には肺胞を広げる深呼吸が重要である。肺胞を虚脱させないための方法として、インセンティブ-スパイロメトリは肺用量を増大させ、胸腔内圧の陰圧化が期待できる。術前の肺合併症の予防には、インセンティブ-スパイロメトリのなかでも吸気容量を増大させるボリュームタイプのものを用いて練習を行うとよい。ただし、①気胸などの広範囲な肺虚脱がある場合、②動脈瘤や高血圧など血管性病変や循環器疾患のある場合は、病状を悪化させるおそれがあるため行ってはならない。

肺切除術の換気を改善させるときや排痰を促すときに、効果的な部分呼吸の練習を行う。看護師は、目的とする部分(胸郭)に手を置いて、息を吐くときにゆっくり圧迫し、呼気の終末まで十分に息を吐かせきる。吸気を妨げないように注意し、ゆっくりと胸郭を広げる。これを繰り返す。

また、術後の呼吸は呼吸筋を切開することや創部痛により呼吸運動が妨げられ、浅く速い呼吸パターンとなりがちである。横隔膜を効果的に活用する腹式呼吸を行い、深くゆっくりと呼吸をすることを練習させ、肺換気量の増加や肺の膨張をたすけるように指導する。

●せきと排痰の練習:

術後は、①開胸術による呼吸筋機能の低下、②手術操作による気道内分泌物の生成亢進、および、③麻酔・鎮痛薬等による呼吸抑制効果によって気流や咳嗽力の低下がおこり、排たんが困難となりガス交換が障害される。そのため、術後は末梢肺胞への酸素供給が十分に行われ、また感染を予防するために、強制的にせきをしてたんを喀出しなければならない。術直後は手術創が離開するのではないかという不安から、効果的なせきをすることが難しいため、術前から練習を開始する。咳嗽訓練には疲労を伴うため、体力が消耗しないように休息を十分にとるようにする。同時に感情面への支持も行い、動機づけを行う。

(1)体位ドレナージを行う。たんの性状にもよるが5~15分は体位をとる。ただし、悪性腫瘍の術前は排痰体位をとると転移をおこす可能性があるので行ってはならない。

(2)せき・ハフィングの練習をする。せきをする前に2~3回深呼吸して、最大吸気まで息を吸わせてから強いせきをさせる。ハフィングは声門と口を軽くあけ、ハーハーと勢いよく呼気をさせる。

看護師は術後を想定して、両手で創部を保護することを説明し、デモンストレーションを行い安心感が得られるようにする。

●肩を上肢の運動:

手術による筋肉の切断と創部痛や胸腔ドレーンの挿入による拘束感も加わり、筋肉の萎縮、肩関節の拘縮をおこしやすい。上肢の運動は手術前から手術後にかけて継続して行い、機能障害を予防する。正しい姿勢を保持し、頸部の回旋、肩関節の回転、上肢の挙上などによって、首、肩と腕を全方向に動かすように練習する。

◎気道の浄化

せきが効果的であるのは、比較的太い中枢側の気管支における気道の浄化の場合である。それより末梢気管支側では、線毛運動が中心的役割を果たし、繰り返される呼気と吸気の気流による移動も一部で作用すると考えられる。

慢性呼吸器疾患の既往があり、長期喫煙暦がある喀痰の多い患者は、末梢気管支側の線毛輸送機能の障害や喀痰の粘稠度がたかまることによる排痰障害があるため、術前に十分な気道浄化を行う必要がある。気道内の分泌物の貯留は無気肺をおこす危険があり、長期間の分泌物の貯留は最近の培地となる。気道閉塞を予防し、病巣を清潔にする目的で、病巣内や気管支内の分泌液や滲出液・膿などを計画的に排除する。適切な気道浄化により術後呼吸器合併症の発症リスクを1/2~1/5に減少できるともいわれる。

粘液気道浄化の方法は、手術1週間前から深呼吸、体位ドレナージ、吸入療法を試み、気道内分泌物を誘導して排出をはかる。これは、肺化膿症や気管支拡張など喀痰量の多い患者には重要である。また、理学療法士と連携をはかり、呼吸リハビリテーションを行うと効果的である。

開胸術の場合、喫煙習慣のある患者は、必ず禁煙させる。禁煙ができない場合は、手術が延期あるいは中止になる可能性もあることを説明する。

呼吸器感染症を予防するため副鼻腔炎や虫歯は治療し、口腔内を清潔にする。

◎化学療法の介助

●手術前日:

(1)入浴と洗髪を行い、皮膚を清潔にする。入浴できない場合は清拭をし、爪きりとマニキュアの除去を行う。

(2)麻酔医の診察:検査結果、患者の全身状態について最終的な確認があり、前麻酔薬の指示が出される。

(3)手術室看護師の訪問:手術の進行や術中・術直後の状態に対する不安や緊張について相談にのり、気持ちを楽にさせる。

(4)飲食を制限する:夕食後は食物を摂取させない。飲水は手術の4~6時間前から禁じる。

(5)十分な睡眠をとる:十分な睡眠をとり、心身の安静がはかられるように医師から睡眠薬の指示がある。夜間パトロールの際、患者の状態を観察する。

●手術当日:

(1)早朝に浣腸を行う:腸内容を排出させ、排尿をさせる。

(2)義歯・コンタクトレンズ・めがね・指輪・ヘアピン類・時計をはずし、所定の容器に保管する。義歯やめがねは破損すると新しいものをすぐに用意することはできない。貴重品扱いとし、家族と保管場所を確認しておく。集中治療室へ持参する物品は感染予防を考慮して最小限にし、記名してあることを確認する。

(3)手術衣を着せる。

(4)麻酔医の指示に従って前麻酔薬を与薬する。

(5)車椅子またはストレッチャーで手術室に移送する:手術室看護師に患者の氏名を確認し、病名、予定手術部位、患者の状態、前麻酔薬の効果、持参物を引き継ぐ。手術室では麻酔導入後に尿道カテーテルを留置する。

(6)術前の皮膚の準備:術野の皮膚準備の目的は、必要時に短時間で皮膚から皮脂などを除去し、細菌数を減少させて清潔な皮膚にすることである。術野の剃毛は、皮膚切開を加える部位(術側)の腋窩の剛毛のみとし、必要最小限の範囲に留める。

石鹸とかみそりを用いる場合は、皮膚を損傷し、微生物の侵入や発育を防ぐ皮膚本来の役割を失わせ、術後の創感染率を増加させる。さらに剃毛から手術までの時間が長くなればなるほど、創感染率が高くなるという報告もある。従って、できるかぎり皮膚への刺激が少ない方法を選択し、手術直前に行うことが望ましい。

皮膚が過敏でなければ除毛剤を使用する。あるいは皮膚への損傷が少ない電気シェーバーを使用するなど、患者の状態、剃毛部位によって剃毛方法を選択する。

 

2)手術後の看護

[アセスメント]

(1)手術とその内容

①麻酔の種類と時間、術中のバイタルサインの変化、水分出納

②術中体位と手術方法

③皮膚切開部位

④ドレーン挿入部位と本数

(2)病変の部位と変化

①肺の切除範囲

②病変の程度(広がり、進行)

(3)症状の増悪因子

①手術創部の出血・疼痛・皮下気腫

②胸腔ドレナージ(排液量・性状・呼吸性移動)

③呼吸状態の変化:検査データ(胸部X線、動脈血ガス分析値、Sao2モニタ)、呼吸の状態(数、リズム、深さ、胸郭の動き)、呼吸音、患者の活動量、咳嗽力

④合併症の徴候:検査データ(胸部X線、動脈血ガス分析値、Sao2モニタ、末梢血など)、発熱、胸痛、呼吸困難、分泌物の量・性状、離床の程度

⑤病室環境:ME機器の音、医療スタッフの会話、照明など

 

[看護目標]

(1)安楽な呼吸ができる

(2)気道の清浄が保持され、ドレナージが効果的に行われて呼吸器合併症をおこさない。

(3)創部痛や苦痛が緩和される

(4)苦痛や不安、ストレスを表出することができ、また軽減される。

(5)患側上肢の運動ができ、機能が低下しない。

 

[看護活動]

◎全身状態の観察

●術後の全身状態:肺葉切除以上の大きな手術では、胸腔内に肺の切除に伴う空間が生じる。その結果、胸腔内圧の変化を伴いやすくなり、急激な縦隔の偏位は循環動態へ影響しやすい。また、手術によって肺容積が減少することに伴い、肺内の血管容量は減少し、肺血管抵抗は反対に増加する。右心系への急激な圧負荷が生じ、右心不全となる可能性がある。こうしたことから手術後は、呼吸器系だけではなく循環器系を含めた全身の観察が必要である。

手術室から帰室後はモニタを装着し、心電図・脈拍・血圧・酸素飽和度を経時的に観察・記録する。

●血圧の下降:血圧は、出血による血漿量の減少や呼吸面積の減少による酸素不足が誘因となって下降することがある。呼吸数は30回/分前後まで増加することがある(通常は14~18回/分程度)。その原因が、①手術による呼吸面積の減少によるものか、②痛みによるものか、③重篤な合併症である肺血栓塞栓症によるものか、あるいは、④分泌物の喀出困難によるものか、などの原因を考慮し、適切な処置を行う。

●その他の徴候:ほかに意識状態、顔色・爪色、チアノーゼ、四肢冷感、手術創部や胸腔ドレーンからの出血量と排液状態、尿量の経時的観察を行う。同時に、投与されている酸素、輸液・輸血の滴下速度、点滴刺入部位を確認し、異常の早期発見につとめる。

◎気道の清浄化と酸素療法

●酸素化の問題:手術後は代謝が亢進し、酸素消費量が増大するが、以下の理由から換気量が低下し、低酸素状態を引き起こしやすい。

(1)開胸術による呼吸筋機能の低下

(2)創部痛・胸腔ドレーン挿入部の痛みによる換気量の減少

(3)手術による呼吸面積の減少

(4)手術操作による微細な組織の損傷

(5)麻酔、鎮痛薬などによる呼吸抑制効果

(6)術後の治療に伴う安静臥床

低酸素状態は、全身の組織に十分な酸素を供給できず、回復を遅延させるといった問題を引きおこす。そこで、手術後の患者の状態に合わせてベンチュリマスク、人工呼吸器などを利用して、十分な酸素を供給する。酸素療法のモニタは、動脈血ガス分析、あるいは非侵襲的なパルスオキシメータを用いて行われ、その結果、吸入酸素濃度(Fio2)が指示される。

これらの補助療法から早期に離脱できるように、看護師は次のような援助を行う。

(1)適正な酸素量・濃度を確認する。

(2)低酸素血症の徴候を観察する。

(3)深呼吸を促す。

(4)マスクへの圧迫感があり除去しようとする患者には、マスクの必要性を説明し、理解してもらう。

(5)酸素供給によって皮膚が損傷されないようにする。

◎胸腔ドレナージの管理

●ドレナージの目的:

(1)胸腔内にたまった血液や滲出液を排除する。

(2)開胸術で陽圧になった胸腔内を排気して陰圧にする。

(3)ドレーンからの情報(排液量・性状、排気の有無)により創部の癒合状態をしる。

●吸引装置:

①水封式吸引装置:ドレーンは、排液ビンの先端が水の中に入っているガラス管に接続し、つねに水封した状態にしておく。この装置は、空気や貯留腋の流出状況の観察に加えて、呼吸に伴ってガラス管内の液面が移動するので胸腔内圧を観察することができる。単槽式の場合は貯留腋が胸腔内に逆流する可能性があるため、びんの水封には滅菌蒸留水を使用してはならない。胸腔内圧の変動が著しく、誤って滅菌蒸留水が胸腔内に引き込まれると、浸透圧の違いから組織に強い炎症を引き起こし危険である。したがって滅菌生理食塩水を使用する。

②低圧持続吸引装置:排液ビンと吸引圧調節びんを連結し、ドレーンは排液ビンに接続する。吸引圧調節ビンには、10~20cmの高さまで水をいれ、ガラス管が水中にはいっている高さの陰圧で吸引する。陰圧が高くなるとガラス管から外気が入って、つねに一定の陰圧で吸引されることになる。

③3連ビン装置:ドレーンを排液ビン・水封ビン・吸引圧調節ビンと連結したものである。

●ドレーンの管理:

(1)ドレーンは抜去しないようにしっかりと胸壁に固定する。持続チューブは短すぎても長くて垂れ下がっても吸引は十分にできない。体位変換に支障がない長さにして、軽い砂嚢をのせて固定する。

(2)ドレーンの圧迫や屈曲・閉鎖で排気・排液が妨げられないように注意する。ドレーンの内腔閉鎖が考えられる場合は、ドレーンを患者側からしごいて(ミルキング)、排液の凝塊を取り除く。

(3)排液ビンは倒したり、患者の胸腔より高くしないように注意する。体外へ排除した貯留物が逆流するのを防ぐためである。念のためベッドサイドにはつねにドレーン鉗子を2本準備しておく。

(4)ドレーンと吸引装置の接続部がはずれた場合は、すみやかに患者側をドレーン鉗子で閉鎖する。接続部がはずれた理由を確認し、二度とそのようなことがおこらないように注意する。ドレーンが誤って抜去された場合には、抜去部にガーゼをあて、十分に呼気をさせて胸壁を圧迫する。

(5)吸引装置の排液量や性状は定期的に点検する。排液は手術直前は新鮮血であるが、暗赤色からしだいに漿液性になってくる。いつまでも新鮮血の流出が続いたり、100ml/時以上の出血がある場合は医師に報告する。

(6)ドレーンの抜去は排液の量が100ml/日以下になり、胸部X線検査による残存肺の膨張具合などを参考にして24~72時間後に行われる。抜去患者をファウラー位にし、胸腔内圧が陽圧となるように深吸気をさせて呼吸をとめた状態で手早く行う。

◎創部痛・苦痛の緩和

創部痛や苦痛の緩和は、離床をスムーズにし患者の回復意欲をたかめ医療者への信頼をもたせるために重要である。したがって、術後は積極的に鎮痛をはかるべきであるが、使用薬剤による呼吸抑制や無症状の誤嚥には注意が必要である。

皮膚や筋肉の切離・縫合による疼痛対策として、①坐薬を使用する、②手術中に挿入される硬膜外チューブから持続的に鎮痛薬を注入する方法、などがある。最近では②の方が呼吸抑制も少なく、鎮痛効果に優れているため、よく取り入れられている。鎮痛薬を使用しているときは、身体的徴候や活動量、情緒的反応や言語反応、睡眠や休息などを観察し、効果を確認する。

◎呼吸機能の回復への援助

術後、浅い呼吸を繰り返していると、肺容量が低下し、末梢気道の閉塞や肺胞の虚脱をおこす。したがって、開胸術後の残存肺の機能を回復することは、酸素化の改善や気道内分泌の排出を促すことになる。

肺容量増加機能があるといわれる方法としては、最大吸気保持法が効果的である。

◎手術創の処置

術後の手術創感染を予防し、創傷治癒に理想的な環境をつくるため手術創を観察(出血や滲出・皮下気腫)し、病態を判断して適切なドレッシング材を選択する。

◎術側肩と上肢の運動

開胸術により肩甲骨を形成し姿勢を保持する筋肉を切断するため、筋肉の拘縮をきたしやすい。この術式は術後の疼痛が強いといわれており、加えて胸腔ドレーンの挿入による拘束感や活動することへの不安も加わり、患側上肢の運動が制限される。そのため、筋肉が拘縮して肩・上肢に運動機能障害がおこることがかえって苦痛になることを理解させ、術前に訓練した運動を1日数回行う。あるいは、日常生活の中で意識的に患側を動かすのもよい。また、鏡で自分の姿勢を確認させ、正しい姿勢の保持をはかる。

◎日常生活の援助

①食事:意識が回復し、嘔吐・嘔気がなければ第1病日から流動食をとらせ、患者の食欲に応じて早期に普通食にする。体力回復のため、高エネルギー・高タンパク食を摂取させ、分泌物の喀出を容易にするため水分を多くとる。また、水分出納を観察し、摂取量不足の場合は輸液が行われる。

②身体の清潔:口腔内では細菌が繁殖し、呼吸器系の感染症をおこす可能性があるため、口腔ケアを行う。含嗽は口腔内および咽頭・喉頭を潤し、喀痰促進につながる。

1日1回は背部の清拭を行い、創部観察、体位変換、褥瘡予防へとつなげる。

③排泄:術直後は腎機能や水分出納バランスを知るために、尿道カテーテルを留置して持続導尿を行う。食事開始後は、腸蠕動音や排ガスに注意する。

◎術後合併症の予防

●出血:

①原因:切除した肺組織周辺からの毛細血管出血、切離した動・静脈断端からの出血など

②症状:ドレーンの排液が濃い血性となり、時間単位の排液量が多くなる。ドレーンからの排液が無く、呼吸性移動も停止し血圧が下降する場合は、ドレーン閉塞があって出血が胸腔内に貯留したことも考えられる。

③予防:経時的にバイタルサイン、ドレーンからの排液量と性状、吸引装置の呼吸性移動を観察する。

④治療:輸液・輸血を行う。経過をみて再開胸による止血術がおこなわれる。

●無気肺:

①原因:たんの喀出障害があり、気道内分泌物によって気管支が閉塞する。

②症状:呼吸数の増加、頻脈、チアノーゼ、発熱、呼吸音の減弱など。

③予防と治療:術前から気道を清浄にしておく。術後は、①インセンティブ-スパイロメトリを行う。②加湿や吸入などを行い、分泌物が喀出しやすい条件をつくる。③定期的に体位変換をし、たんの喀出を誘導する。④自力でたんの喀出が困難な場合は、カテーテルや気管支ファイバースコープを挿入して吸引・除去する。⑤酸素療法を行う。必要に応じてCPAPを実施する。

●肺炎:

①原因:無気肺での感染や誤嚥による。

②症状:発熱・呼吸困難・チアノーゼ・頻脈・胸痛など

③予防:①頻回に体位変換や吸入などを行い痰を喀出する。②カテーテルや気管支ファイバースコープでたんを吸引し、除去する。③誤嚥を防ぎ、口腔内を清潔にしておく。

④治療:酸素療法、強力な化学療法を行う。

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