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(〃ω〃)外側側副靭帯の話


(^ム^)題名:外側側副靭帯の話

■受傷機転

外側側副靭帯(lateral collateral ligament ; LCL)の損傷U、十字靭帯や内側側副靭帯の損傷に比較して頻度ははるかに低いが、 contactスポーツや交通外傷など大きな外力が原因となって発生することが多いので単独損傷は少なく、十字靭帯や後外側支持機構の損傷を合併し重度の膝関節不安定性をきたすことが多い。 LCL損傷の受傷機転は、主に膝関節伸展位で強い内反力が加わる場合と屈曲位で脛骨が大腿骨に対して外旋しながら後方にずれる外力が加わる場合に分けられる。前者ではLCL、次いで十字靭帯(とくにACL)、後外側支持機構、外側関節包に損傷が及ぶ。後者ではまずLCLと後外側支持機構が、次いで十字靭帯(とくにPCL)が損傷される。LCLは全可動域を通じて膝関節の内反を制御しているため、その損傷により膝関節に内反(外側)不安定性が生じる。LCL単独損傷によって出現する内反不安定性は軽度であるが、十字靭帯損傷や後外側支持機構損傷を合併するとその程度は増強する。またACL損傷を伴う場合には内反不安定性とともに前外側回旋不安定性が、  PCLと後外側支持機構の損傷を伴う場合には後外側回旋不安定性が生じる。重度の外傷にはしばしば勝骨神経損傷を合併する。

 

■機能解剖

外側支持機構は、静的支持機構として外側側副靭帯、弓状靭帯、外側関節包などがあり、動的支持機構として膝窩筋腱、大腿二頭筋、腸脛靭帯などがある。

外側側副靭帯は円形の線維束よりなる靭帯で長さは5~6㎝あり、大腿骨外側上顆より起始し腓骨頭に停止する。関節包、大腿二頭筋腱と協調し、ほぼ全可動域で膝関節の内反ストレスの制御をしている。内側と比べて外側では、外側側副靭帯のみならずそれ以外の支持機構が膝安定性の重要な要素となっている。後外側部は複雑な構造を呈し弓状靭帯はpostero lateral cornerとよばれ重要視されてきたが、膝関節後外側の安定性に関しては膝窩筋腱とその腓骨側の分枝であるpopliteofibular ligamentが主要な支持機構として近年注目されている。

 

■診断

診断のポイントは、内側側副靭帯損傷と同様に単独損傷か他の合併損傷があるのかの判別が重要となる。まず受傷メカニズムを詳細に問診することが大切である。過度の内反ストレスが加わり損傷されるが、新鮮例ではまず自発痛と膝外側に圧痛が認められる。とくに外側側副靭帯の単独損傷では、圧痛部および靭帯の連続性の有無により靭帯損傷部位を確認できる。

ついで徒手検査による不安定性の評価を行う。急性期には内側と同様に疼痛のため関節可動域制限がみられ、膝が伸展できない症例が多く、30°屈曲位で診断することになる。30°屈曲位では、正常膝でも生理的動揺性があるので、必ず健側と比較することが重要である。とくに生理的内反動揺性は外反動揺性より大きいので、損傷の判定は内側側副靭帯損傷よりむずかしい。重症例では外側側副靭帯以外に他の後外側構成体(膝窩筋腱、popliteofibular ligament. 外側関節包など)も同時に損傷される場合が多いので見過ごさないように注意すべきである。しかし構成されている多くの靭帯のうち、どの靭帯が損傷されているのか正確に診断することはむずかしい。

後外側不安定性の徒手検査も種々あるが新鮮例ではその評価は困難である。またⅡ度およびⅢ度損傷では十字靭帯損傷との合併損傷が多いので注意を要する。ときに腓骨神経麻痺を合併していることもあるので見落とさないようにする。

通常の単純X線像では異常は認めないが、新鮮例では靭帯付着部の裂離による骨片を認めることもある。MRIは内側側副靭帯同様、その損傷部位のみならず合併損傷の状態も把握できるので不可欠な検査となっている。

 

■症状

新鮮例では膝関節外側部の腫脹、疼痛、限局性圧痛が主症状であるが、陳旧例では歩行時や階段昇降時に内反不安定性による膝関節の内反動揺(内側thrust)や同旋不安定性による膝くずれ(giving way)が生じ、膝関節不安定感が主な症状になる。また陳旧例では内反不安定性により膝関節内側コンパートメントに繰り返し負荷が加わることによって膝関節内側部にも疼痛が出現する。

 

■治療

保存療法

LCLの単独損傷に対しては保存療法が適応される。内反不安定性がほとんどみられない不全損傷に対しては2週間サポーター固定を行う。内反不安定性を認めるがend-pointが存在する例では3週間支柱付き装具を装着し、その後さらに3~4週間運動時にのみ装具を着用させる。転位のほとんどみられない剥離骨折例に対しては2~3週間ギブス固定を行った後に装具療法に切り替える。

手術療法

高度の内反不安定性に前または後外側回旋不安定性を伴う十字靭帯損傷合併例に対しては手術療法が適応になる。

新鮮例では、LCLを含む外側支持機構損傷に対して可及的に一次修復術(剥離骨折例では観血的整復固定術)を、十字靭帯損傷を合併している場合にはさらに十字靭帯の一次再建術を行うことにより十分な膝関節安定性を得ることができる。術後は関節拘縮(とくに伸展制限)を残さないように早期から側方不安定性防止機構付き装具を着用し、関節可動域訓練を開始する。後外側支持機構の著しい損傷を伴う場合には、一次修復術が困難なことが多いため2~3週間外固定を行い可及的安定性の確保を図る。その後、十分な関節可動域を獲得してから陳旧例に準じて残存不安定性に対する靭帯再建術を行う。

陳旧例では、まず十字靭帯を再建した後内反不安定性が残存すればLCLの再建術を。さらに後外側回旋不安定性が残る場合には膝窩筋腱の再建術を同時に施行する。

LCL再建術では、再建靭帯が正常LCLと同様に膝関節内外反中間位では伸展位で緊張し屈曲位では弛緩すること、また内反力が加わった場合には全可動域を通じて緊張性を維持することが必要である。このためには再建靭帯の固定間距離が伸展位で最大になり屈曲とともに徐々に減少するように再建材料を固定しなければならない。すなわち、大腿骨側固定部位を解剖学的付首部中央部に選択する必要がある。この際、大腿骨側の同定部位が解剖学的付着部中央部からわずかに離れるだけで、再建靭帯の固定間距離のlength patternは大きく変化する。

手術法には大腿二頭筋腱骨付着部を移行し靭帯の緊張を図る方法と、自家組織や人工靭帯を用いるLCL再建法がある。大腿二頭筋腱をLCL大腿骨解剖学的付着部の前方部に移行し固定する方法では、固定部位が不適切であることや再建材科の強度が弱いことなどが原因となり、十分な外側安定性を得ることはできない。一方、人工靭帯を用いる再建法は、再建材料をLCLの大腿骨解副学的付着部中央留に固定すること、また強固な初期固定により関節可動域訓練を術後直ちに開始できることから、十分な膝関節安定性と関節可動域を獲得することができるので有用な方法である。

 

治療方針

保存療法は内側側副帯損傷とほぼ同様である。新鮮例のⅡ度単独損傷では、少なからず不安定性は残存することが多いが、自覚的にもdisabilityが少ないので保存療法を行う。Ⅲ度単独損傷は非常にまれであり、側副靭帯だけでなく他の後外側構成体も含めて損傷している。しかも十字靭帯損傷などを合併している場合が多いので、保存療法では不安定性が残存してしまう。さらに現状では満足できる再建法がないので十字靭帯再建術+一次修復術を行うことが多い。しかし内側側副靭帯損傷と同様に十字靭帯を再建すれば、外側支持機構に対しては保存療法でもよい可能性も残されている。理学療法は、内側側副靭帯損傷と同じで運動康法が主体になるが、種々の動作で膝が内反位をとらないように注意することが大切である。

 

腓骨神経麻痺を合併している場合は、その損傷のほとんどが牽引損傷なので、自然に回復することは少なく腱移行術を要する。陳旧例に対しては、単独損傷では新鮮例同様に運動療法を主体にした理学療法を行う。支障のある例では合併損傷が多く、合併損傷の治療が優先される。しかし重度の陳旧例では、今のところ有効な保存療法がなく、再建法にも課題が多いので、陳旧例を生じさせないように新鮮損傷時の正確な診断と適切な初期治療が重要となる。

 

①新鮮例

治療方針

外側支持機構損傷の保存療法の成績は不明であり、また手術成績の報告も少ない。内側側副靭帯損傷と同様に、単独損傷であっても複合靭帯損傷であってもⅢ度の損傷が修復術の適応と考える。

手術手技

膝関節90°屈曲位で大腱骨外上顆を中心に大腿中央よりGerdy結節に至る弓状の皮切をおく。腸脛靭帯と大腿二頭筋の間で筋膜を切開し腸脛靭帯を前方に。大腿二頭筋を後方によけ外側側副靭帯を展開する。外側側副靭帯が大腿骨付者部で断裂していればステープルあるいはスパイクワッシャー付きスクリューで緊張をかけて固定する。脛骨付着部で断裂している場合は、腓骨神経に注意しながら脛骨頚部を露出して、頚部にドリルで骨孔を作成し、ここに縫合糸を通し靭帯を縫合する。靭帯実質部で断裂している場合は縫合する。また外側関節包やpopliteo ibular ligamentが断裂していればこれらも修復する。

 

②陳旧例

治療方針

日常生活やスポーツ動作で膝内反の肢位にて、脱臼しそうな不安感を訴えるⅢ度の損傷が手術適応となる。手術手技 内側側副靭帯の場合と同様に大腿骨付着部を小骨片をつけて剥離後緊張をかけて再固定するadvancement法および外側関節包の縫縮、popliteofibular igment、の縫縮を行う。また必要あればbiceps tendonを用いて再建をしている。しかし内側側副靭帯損傷の陳旧例と同様に不安定性は改善するものの残存する傾向にある。最近膝の後外側の靭帯、関節包の損傷により生ずるposterolateral instabilityが注目されている、  posteroiateral instabilityは膝後外側の単独の損傷で生ずることはまれであり前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷と合併して生じることが多いといわれている。急性期であっても再建が推奨されておりさまざまな再建法があるが長期成績については不明である。

(^0_0^)参考文献

医療学習レポート.外側側副靭帯


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