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( 〃▽〃)大腿骨頸部骨折の話


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(@_@;)題名:大腿骨頸部骨折の話

大腿骨頚部骨折(以下、頚部骨折)は高齢者における代表的な下肢外傷であり、骨粗鬆症と密接に関連する疾患である。患者の傾向として80歳代が最も多く男女比は1:4で圧倒的に女性に多い。骨折型では外側骨折が内側骨折の1.5倍で頚部骨折全体では外側骨折が多く、70歳代後半より外側骨折の割合が加齢とともに多くを占めている。また受傷原因と場所では、屋内による立った高さからの転倒がほとんどを占める。この疾患は現時点で年間10万人、30年後には約2倍の20万人に増加すると推測され、85歳以上の患者の占める割合は現在の30%から30年後には50%に達するとされる。頚部骨折の急性期治療は年間約1,300億円と概算され、慢性期まで含めた1年間の本疾患に関わる医療、介護費用は約5,000,0~6,000,0億円と推定されている。また骨折や骨粗鬆症が我が国の寝たきり原因の上位で頚部骨折が主要な原因の一つとしてあげられる。これらのことから高齢者の頚部骨折の効率的な予防プログラムや受傷後の効率的なリハビリテーション、また再発予防の対応が極めて重要な課題といえる。近年における高齢者の著しい増加は必然的に頚部骨折の発生の増加にもつながり、医学的のみならず、社会的・経済的側面の問題をも抱えているといえる。

ここでは大腿骨頚部骨折の分類として大腿骨骨頭・頚部での骨折を大腿骨頚部内側骨折、大腿骨転子間・転子部での骨折を大腿骨転子部(外側)骨折と位置付け、それぞれの骨折について基本的な事項を記述する。

 

Ⅰ大腿骨頚部内側骨折

特徴

本疾患は関節包内での骨折で主に骨頭下骨折と頚部骨折に別けられる。加齢による骨粗鬆症を基盤として高齢者、特に女性に好発する。特有の形態と血管の分布から偽関節や大腿骨頭壊死を起こし易く、骨癒合の条件は不良である。そのため大腿骨頚部内側骨折は難治性の疾患と捉えられている。

 

分類

(骨片間の関係よる分類)

内転骨折、外転骨折:これは大腿骨骨幹部が骨頭、頚部に対して内転、また外転位にあるかにより分類したもので、症状しては内転骨折が圧倒的に多い。内転骨折では末梢骨幹部は内転し、骨頭が内下方に傾いて不安定であり、外転骨折では逆に末梢骨折が外転し、骨頭は外反位をとって下骨片に嵌入し、安定性がよく、起立、歩行も可能な場合がある。

この分類は、受傷機転が内転、外転であったかということではなくX線診断より臨床上の治療方針を決めるために用いる。

 

(Pauwelsの分類)

X線分類の一つで、骨折線が水平線となす角度によって、Ⅰ型(水平線と骨折線のなす角度が30度以下)、Ⅱ型(31~69度)、Ⅲ型(70以上)に分類する。骨折線が水平に近い例ででは骨折部に作用する圧迫力で癒合が得られ易く、垂直になるほど骨折部に剪断力が大きくなるため骨癒合に不利で偽関節が発生しやすい。

 

(Gardenの分類)

この分類は骨性連続、軟部組織の連絡を重視したものでⅠ~Ⅳのステージに分けられる。ステージⅠ不完全骨折:内側で骨性連続が存在しているもの、ステージⅡ完全嵌合骨折:軟部組織の連続性は存在している、ステージⅢ完全骨折(骨頭回転転移):weitbrecht支帯の連続性が残存している、ステージⅣ完全骨折(骨頭回転位なし):全ての軟部組織の連続性が断たれたもの、として分類されている。臨床上では有用で多く用いられている。

 

受傷原因、症状

高齢者の骨ほど骨粗鬆症が進んでいることが考えられ、小さな外力によっても骨折し易い。転倒による骨折が多く報告されているが、実際には歩行中、足先が引っかかるなどして下肢が急激に外旋しただけで骨折し、その結果転倒する症例も認められている。

症状としては受傷直後より起立、歩行不能となり、患肢はかなり短縮しやすく、股関節で軽度屈曲・外転・外旋していることが多い。自発痛は股関節部にあるが、時には骨盤大腿方面にも放散する。自動運動は不能で、他動的に股関節運動により激痛を発し、股関節の圧痛や大転子部からの叩打痛が著明である。骨折部は関節包内にあり、厚い筋層に包まれていることから、腫脹が外部に現れるのに時間を要するが、股関節部を健側と比較すれば明らかにびまん性腫脹が診られる。

 

難治性

本疾患はあらゆる骨折のなかでも骨癒合に失敗しやすく、骨頭壊死にも繋がりやすい特徴があり、その原因を以下にあげる。

①骨膜性骨形成の欠如

解剖学的に関節包内骨折であるが、その関節包内には骨膜がなく、骨膜性仮骨が形成されにくい部分であり、そのため骨癒合が期待できない

②大腿骨頭栄養血管の損傷

大腿骨頭への血行状態は、骨頭の2/3は内側大腿回旋動脈からの枝である上支帯動脈により栄養され、その他は下支帯動脈と極わずか円靭帯動脈であるといわれている。骨折に際し、これらの支帯動脈が損傷され、血行が断たれ易く、骨癒合を不良とし大腿骨頭壊死にも大きく影響される。

③骨折面に作用する力学的影響

先に述べたPauwelsの分類で、股関節にかかる力のうち、圧迫力のみではなく、剪弾力が働いて骨癒合を不利にし、偽関節が形成されやすくなる。

④年齢の影響

患者が高齢である場合が多く、若年者と比べると骨癒合能力において差がでやすい。

 

合併症(受傷~リハビリテーションにおいて)

高齢者では受傷時すでに呼吸器系、循環器系、消化器系、尿路系などの内科的合併症や認知症をはじめとする中枢性神経系合併症また骨・関節疾患を有することが多く、術後の臥床により増悪したり、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓や褥瘡などを新たな合併症を生じる傾向が高い。以下に受傷~リハビリテーションにおける頻度の高い合併症を挙げる

 

Ⅰ)術後による合併症

*大腿骨頭壊死

術前の転移の有無、程度が壊死の発生率に関わってくる。再手術が必要な場合、年齢も考慮し、若年~中高年では活動性が高いため骨切り術などを行い骨頭の温存をはかり、高齢の場合、人工骨頭置換術や人工関節置換術を考える。

 

*偽関節

運動時や歩行時に疼痛が強く、高い割合で再手術を要する。若年~中高年では活動性が高いため骨切り術などを行い再度の骨癒合を目指し、高齢の場合は人工骨頭置換術を考える。

 

Ⅱ)リハビリテーション上での合併症

*血栓塞栓症

術後合併症の最大の問題であり、危険因子は肥満、、臥床、高齢、下肢麻痺、心疾患、脳血管疾患、下肢の外傷などが挙げられる。特に肺血栓、深部静脈血栓症は股関節手術後の高いリスクレベルに位置づけられ、予防法として運動療法、弾性ストッキング、間欠的圧縮ポンプまた投薬が推奨されている。臨床においては理想的な予防法は確立されていないため、個々の症例に応じた予防法を考慮し、早期手術、早期離床が非常に重要であるとされている。

 

*せん妄・認知症

特に高齢者では骨折前に存在しなかったせん妄や認知症が、環境の変化と臥床により生じる傾向がある。中でも超高齢者では認知症や認知機能障害を合併している場合が多く、無理な起立、歩行による転倒事故が生じ易い。

 

*人工関節置換術後の脱臼

術後の股関節脱臼は、人工骨頭置換例では比較的少なく、人工関節置換例では発生頻度が高い。理論上、屈曲、回旋が防げれば過重に問題はないとされているが、脱臼の発生は生命予後にも関わってくるので、事前の脱臼予防の日常動作訓練が重要となってくる。手術進入路(①後方進入、②前方進入)により脱臼方向は変わるため、運動療法や生活動作において禁忌肢位を十分熟知しておく必要がある。

①後方進入路:この進入路では股関節外旋筋群を切り離して骨頭を除去し、人工骨頭を取り付けたあとに臼蓋におさめ、切離筋を縫合する。術後の縫合部はきわめて引張力に弱いので縫合部の強固な癒合が図れるまで脱臼肢位を避ける必要がある。後方進入路での脱臼肢位は屈曲、内転、内旋であり約3週間を目安にその方向への運動を制限する必要がある。

②前方進入路:この進入路では、股関節内旋筋群である小殿筋を切離して骨片の除去および人工骨頭の接合、整復が行われる。脱臼方向としては屈曲、内転、外旋に加わる運動やストレッチ、生活動作は術後約3週間を目安に制限する必要がある。

 

治療方法

年齢、性別、合併症など全身状態や社会的背景、および局所の所見、特に骨折の程度などに配慮して治療法を決定していく。高齢者の場合、すでに全身的な合併症を有するものが多く、長期の臥床となれば認知症をはじめとする中枢神経系、呼吸・循環系、消化器系、尿路系の合併症が増悪して寝たきりになり、ひいては致命的になることさえある。したがって高齢者骨折治療における目標は骨癒合を求めるだけでなく、これらの合併症の発生、増悪を防止して早期に受傷前の生活レベルに出来る限り復帰させることが第一の目的といえる。このような観点から早期離床を可能にするような治療法(骨接合術・人工骨頭置換術)などの手術療法が推奨されている。以下に本疾患における治療方法をあげる。

 

Ⅰ)保存的治療法:骨折型としては、Garden分類ステージⅠ,Ⅱが対象になる。全身状態が良好で合併症のリスクも低く、かなりの長期臥床に耐えると考えられる場合は安静、牽引療法、あるいはギプス固定などの保存的治療が選択されることがあるが、最近では早期カ臥床をはかるために観血的治療がとられることが多い。

 

Ⅱ)観血的治療法:ステージⅢ,Ⅳでは絶対的手術適応であるが、ステージⅠ,Ⅱの症例でも年齢、合併症などを考慮して観血的治療法が推奨されることもある。観血的治療法には骨折を整復して(ⅰ)内固定を行う方法と、人工骨頭を挿入する(ⅱ)人工骨頭置換術の2つの方法がある。本疾患は高齢者に圧倒的に多いため、早期離床、早期荷重が可能な人工骨頭置換術(または人工股関節全置換術)を第一に選択されることもある。ただし若年者においては骨頭の温存を図るべく骨接合術を施行する場合が多い。

 

(ⅰ)内固定:内固定に求められる条件として、骨折部に圧迫を加えられること(手術時、荷重時)、骨頭の回旋転位を防止できることが必要条件とされるが、現在幅広く使用されている方法を挙げる。

*CCS(cannulated cancellous screw)法:guide pinがついたスクリューネジで骨折部に圧迫力が働くように刺入していく。素材はチタン製が推奨され、数本、刺入することでかなりの固定力として働く。

*Hansonnピン法:ピンの先端からかぎ爪がでてくるようになっており、主に2本使用して回旋を防止する。

 

(ⅱ)人工骨頭置換術:人工骨頭と大腿骨の接合を行ううえで、セメント・タイプとセメントレス・タイプに別けられるが、前者はきわめて強固に固定でき、荷重に関しても術後直後から患側下肢に負荷を掛けられる。後者においては荷重の時期は遅れるものの、セメントを使用しない分、心、血管への影響が少ないとされている。注意点として長期経過の中で骨癒合やルーズニングがおこりやすくなり、耐久年数や年齢なども考慮して選択していく必要がある。また、術後の運動療法における禁忌肢位や時期など、留意点(合併症の項にて記載あり)を十分熟知しておく必要がある。

 

Ⅱ 大腿骨転子部骨折

特徴

大体骨頭部の関節包外部分で、主に大腿骨転子間稜から小転子までの領域に発生する骨折である。内側骨折と比較すると骨折部の血行状態、骨癒合などでは骨折の治癒条件は良好であるが、好発年齢がさらに高年齢に傾むいているので術後の早期離床や合併症の予防に十分配慮する必要がある。

 

分類

Evans分類:骨折線や転位の状態でType1(骨折線が小転子から外側近位(大転子)に向かうタイプ)とType2(骨折線が小転子から外側遠位に向かう)や安定型と不安定型に分けて用いる。

Type1(安定型):転位もなく骨折線は単純な状態。

Type1(安定型):小転子が第3骨片として転位していても整復に問題のないもの

Type1(不安定型):転位により連続性が失われ、整復が不可能な状態

Type1(不安定型):粉砕型骨折で骨片が4つに別れているもの

Type2(不安定型):逆斜走骨折で骨癒合が得られない状態

 

症状

起立、歩行不可能で、股関節、大腿部に自発痛があり、患肢を他動的に動かすと局所に疼痛があり、股関節前面、外側に圧痛を伴う。腫脹、皮下出血では内側骨折より高度で骨折部の転位が大きいと著明な下肢短縮をきたす。

 

合併症

大腿骨頚部内側骨折同様に、高齢者では受傷時すでに様々な内科的合併症を有することが多く、長期臥床により増悪したり、新たな合併症を生じることもある。そのため受傷後早期に手術的治療を行い、早期離床を目指すことが望まれる。

骨接合後、偽関節や骨頭壊死となることは稀であるが、分類が不安定型で整復が不良である場合は変形治癒となり、股関節の可動域制限をきたしたり、内反股を形成し跛行や疼痛を残すこともある。また術後による肺血栓、塞栓また深部静脈血栓症(DVT)には十分な予防処置を行う必要がある。

 

治療方法

上記の特徴で挙げているように、大腿骨頚部内側骨折と比較すると、血行も良く骨癒合も良好で適切な治療がなされれば偽関節、骨頭壊死の合併症も稀である。そのため保存療法も治療の選択としてあげられるが内反変形の防止、早期離床、社会復帰の点からも手術的接合術が推奨されやすい。特に大腿骨転子部骨折は高年齢での発症で年々増加傾向にあり、高齢者の寝たきりの1つ原因となる疾患であるため、早期離床や早期荷重が可能な治療法が選択される必要がある。以下に治療法を挙げる。

1)保存療法:整復操作を行ったのちに牽引療法を行う。キルシュナー鋼線を用いることが有用とされ、牽引期間はおもに2~3ヶ月とされている

2)手術療法

ⅰ)CHS(compression hip screw)法:ラグスクリューとプレートよりなり、固定性に優れているため、転子部骨折においては最も一般的に使用されている方法である。

荷重時期は様々であるが主に5~6週で全荷重可能となる。

 

ⅱ)Ender pin法:髄内固定の一つで膝内側部より刺入して大腿骨頭部、骨幹部および大腿骨内側下顆部の3点で支持するタイプ。

 

ⅲ)Gamma nail法:髄内固定とCHSの利点を有したタイプで早期荷重が可能な方法として広く利用されている。プレート部分を髄内釘にすることで荷重伝達や強度に優れ、骨粗鬆症が強くても使用できる利点がある。

Ender pin法と共に髄内固定であるので荷重にさいしてのレバーアームが短く、インプラントと骨にかかる曲げのモーメントが小さい。そのため術後翌日から運動が行え、早期荷重や歩行がが可能となる方法である。

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(^0_0^)参考文献

医療学習レポート.大腿骨頸部骨折


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