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( 〃▽〃)痛みの話


(p_-)題名:痛みの話

痛みは触ったり、圧迫されたときに作用する神経系と同じ感覚神経系に支配される。痛みは生体の防御機構を維持するうえで重要な感覚であり、生体の警告信号として、呼吸・循環器系、筋・骨格系、神経系において種々の反応を惹起するが、その多くは生命維持に不可欠なものである。

痛みは発生機序によって

・侵害受容性疼痛・・・生体を傷つけるような刺激といい、侵害刺激により発生する痛

みをいう

・機械的刺激・・・ドアで指を挟まれたり、転倒や捻挫したときなどに痛みを引き起こす刺激

・熱刺激・・・火傷を起こすような、熱いお湯のなかに手を入れたときに引き起こされる感覚が生じる刺激

・化学的刺激・・・主に生体内に存在する化学物質の作用により痛みを発生させる刺激

・神経因性疼痛・・・末梢神経や中枢神経の損傷や機能不全によって、侵害刺激が存

在しなくても出現する痛み(視床痛、幻視痛、カウザルギー、脊髄損傷後の麻痺性疼痛など)

・精神心因性疼痛・・・痛みの原因が身体的には存在せず、精神的な要因によって生じ

る痛み

に分類される

 

痛覚受容器

・     高閾値機械的受容器・熱受容器・・・強力な機械的侵害刺激に主に反応し、刺激が強度になるほどその興奮性が高まる。いったん痛みを引き起こす侵害刺激が消失すると、この受容器は興奮しなくなる。主に瞬間的な痛みに関与する受容器であり、生体に逃避反射を引き起こし、瞬間的に手や足を引っ込める動作を誘発する。熱刺激を繰り返し加えると反応を示すようになるので、この受容器が火傷後の痛みの増強に関与している可能性も考えられる。

・     ポリモーダル受容器・・・機械的刺激、化学的刺激さらには熱刺激のいずれにも反応する特徴をもつ。また、痛みを感じさせない非侵害的刺激から侵害的刺激までの幅広い刺激強度に応じ、他の受容器にはない特殊性をもっている。言い換えれば、あらゆる刺激の種類や強さに反応する受容器といえる。さらに皮膚、筋膜、靭帯、腱、関節包、内臓、血管など広く全身に分布し、組織の異常を知らせる警告系としてじゅうような働きをしている。

 

痛みの種類

・     急性痛・・・交感神経の活動が有位となり、心拍数や心拍出量の増加、血圧上昇、瞳孔散大、手掌部の発汗などの症状を示す。

・     慢性痛・・・痛みが3週間以上続くときをいい、不眠、食欲減退、便秘、精神機能の低下、運動の減退、痛みに対する耐性の低下などがみられ、社会生活への参加も制約される

 

・     一次痛・・・侵害的刺激を受けた直後に感じる痛み

・     二次痛・・・少し遅れて感じる痛み

一次痛と二次痛の違い

一時痛

二次痛

感覚の性質

判別性感覚

鋭い、刺すような痛み

原始性感覚

鈍い、疼く痛み

情報の精度

高い(刺激の部位、期間について) 低い

修飾作用

抹消・中枢刺激により

心理的要因により

 

なし

なし

 

抑制されうる

増強されうる

受容器

高域値機械的受容器

または熱受容器

ポリモーダル受容器

適刺激

侵害的機械刺激

または侵害的熱刺激

侵害的熱、機械的、化学的刺激のすべて

神経線維タイプ

主にAδ繊維 皮膚では主にC繊維深部組織ではAδおよびC繊維

脊髄後角ニューロン

辺縁細胞(LⅠ) 膠様質細胞(LⅡ)

上行路

脊髄前側索:脊髄視床路 脊髄前側索:脊髄視床路や脊髄網様体路

視床

外側腹側部 内側部:束傍核、束傍下核や外側中心核

大脳

皮質感覚領野 皮質下核

 

部位から見た痛み

・体性痛・・・皮膚や粘膜の痛みである表面痛

・深部痛・・・骨膜、靭帯、関節包、腱、筋膜、骨格筋の痛み

・内臓痛・・・内臓の病変により、内臓に起こる痛み

 

その他、臨床で用いられる分類

・     自発痛・・・安静時に起こる痛み

・     運動痛・・・脊柱、関節の運動に伴って起こる痛み

・     夜間痛・・・夜間時に起こる痛み

・     圧痛・・・圧迫刺激を加えられたときに起こる痛み

・     関連痛・放散痛・・・内臓、腹膜、胸膜など深部組織の刺激によって発生する痛みで

それらの求心性神経が入る脊髄の同一支配皮膚筋に属する体表に投射される痛みを関連痛、刺激を発生した臓器のある部位よりかなり遠く離れた皮膚上に痛みを感じることがあり、これを放散痛という

 

中枢への伝達経路

侵害情報は有髄のAδ神経線維によって一次痛を、主に無髄のC繊維によって二次痛を脊髄後角まで伝播される。

Aδ神経線維は有髄後角のもっとも背側部を占める第Ⅰ層、第Ⅱ層の外側部に入り、特異的侵害受容ニューロンとシナプスを形成する。侵害性の機械的刺激を与えると興奮するが、弱い機械的刺激では興奮しない特徴をもつ。

C繊維は脊髄後角で特異的侵害受容ニューロンの他にⅠ、Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ層に細胞体をもつ広作動域ニューロンとシナプスを形成する。皮膚からだけではなく、筋、内臓などの深部組織からの非侵害刺激から侵害刺激に至るまでの幅広い刺激に応答し、刺激強度に伴って興奮する頻度を増す特徴がある。

高閾値機械的受容器・熱受容器やポリモーダル受容器からの受容器からのインパルスを受けた二次ニューロンのほとんどは、脊髄に侵入した分節レベルよりも1~3分節高位で侵入側から反対側に交差した後、脊髄前・外側索を上行して視床に向かう。このうち、

一次痛を生むインパルスは外側の新脊髄視床路により視床後外側腹側核に達した後、大脳皮質に伝達され鋭い痛みとして認知される。また、この経路は触覚、深部圧覚、温度覚などを認知させるインパルスも上行し、判別が明瞭な感覚伝導路といえる。一方、二次痛を生むモーダル受容器からのインパルスは内側の旧脊髄視床路を上行し、直接あるいは脳幹網様体を経由して視床髄板内側核に達し、大脳皮質で鈍い痛みを認知させる。

 

痛みの病態

筋・筋膜性疼痛

・     筋細胞膜の破壊による筋肉痛・・・過度の筋収縮が繰り返されると、速筋繊維が筋収縮のエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)の不足のため十分に弛緩できなくなる。しかしながら、遅筋繊維が収縮を繰り返すので、速筋繊維とともに筋細胞膜が機械的に損傷する

・     過収縮による筋肉痛・・・筋を持続的に収縮させると、筋血流量が減少し、発痛物質であるブラジキニンの血中の濃度が上昇し、侵害受容器を興奮させる。また、侵害受容器を興奮させない程度の筋収縮でも血流が障害がされると同様にブラジキニン濃度が上昇し、筋肉痛を発現される。

・     関連痛による疼痛・・・筋硬結部位を持続的に圧迫すると、その部位の痛みとともに、脊髄分節や末梢神経の走行と一致しない離れた部位に痛みが発生する。筋硬結とは、筋電活動のない拘縮、その周辺に起こった筋電活動のある筋スパズム、浮腫などが推測される。離れた部位の痛みを関連痛といい、関連痛を生じるポイントをトリガーポイントという。

関節拘縮時の軟部組織の痛み

抹消組織の循環不全と筋の防御的あるいは持続的収縮がある。

関節痛

関節内に炎症が起こり、発痛物質や痛覚増強物質が産生され、血管、リンパ管、関節包などに存在する痛覚受容器を興奮させる場合と、関節を取り巻く結合組織に存在する痛覚受容器が興奮する場合がある。

痛みの評価

・     駆血帯疼痛試験

血圧計のマンシェット圧を最大血圧以上に高め血流を遮断した後、握力計を反復して握ると痛みが起こる。このときの傷みを実際の痛みと比較して評価する方法

・     マクギル疼痛質問表

患者が痛みを表現する言葉、たとえば、「ズキズキ」、「疼くような」、「おののくような」、「重苦しい」などの感覚や情動を表現する形容詞など45表現を分類した質問表を作成し点数化した。信頼性が高いと言われている。

・     視覚的アナログスケール:VAS

10cmの直線を引き、0cmがまったく痛みがない場合、10cmが今まで経験した中でもっとも激しい痛みとして、現在の痛みを直線上にプロットさせる方法である。痛みは0からの距離を測って評価する。

・     語句評価スケール

痛みによる表現スケールを5つの表現に代表させて点数化するもので、言語の選択肢が少ない欠点がある。

・     数値評価スケール:NRS

0~10までの数値を等間隔に並べ、「0:痛くない」「10:これ以上の痛みは耐えられない」と設定し、数値を選択させる方法である。

 

・     Faces pain rating scale

「痛みがまったくなく、とても幸せである」表情から「これ以上考えられないほどの強い痛み」の表現まで6種類の顔面の表情を選択させる方法。VASによる痛みの評価に比べ、子供に質問するときに便利であり、短時間で評価できる利点がある。


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