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( 〃▽〃)胆石癌の話


■解剖生理

<肝臓および胆嚢の構造>

(1)肝臓

肝臓は腹腔の右上部で横隔膜の直下にあり、赤褐色、重さ約1.2kgの実質臓器である。左方の小部分が正中線より左方にある。上面(横隔面)は一般に凸隆し、横隔膜の円蓋に適合する。厚くて大きい右葉と薄くて小さい左葉に分けられ、その境界部に肝鎌状間膜が付着している。さらに下面では方形葉、尾状葉を区別する。

下面は他の腹腔臓器と接触するために臓側面といい、凹凸に加えて、2つの縦溝とこれをつなぐ横溝があり、これらの溝はH字形を呈する。横溝は肝門といい、門脈、固有肝動脈、左・右肝管、神経などが出入りするが、肝静脈(2~3本)はここから出ないで、後面から出て直接下大静脈に注ぐ。左縦溝は静脈管索裂と肝円索裂で、それぞれ静脈管索、肝円索がはまる。右縦溝は大静脈溝と胆嚢窩で、それぞれ下大静脈、胆嚢がはまる。

肝臓の表面は横隔膜に付着している部位(無漿膜野)を除いて、腹膜に包まれる。腹膜下には結合組織性の被膜(線維膜)があり、これは肝臓の全表面を包む。線維膜から実質内に入る小葉間結合組織により肝臓実質は無数の六角柱形の肝小葉に分けられる。ただし、ヒトの肝臓では小葉間結合組織の発達は悪く、六角形の角付近に存在するのみである。この小葉間結合組織をグリソン鞘といい、それに包まれて固有肝動脈の枝の小葉間動脈、門脈の枝の小葉間静脈、小葉間胆管(単層立方上皮)、リンパ管などがある。

肝小葉は中央の中心静脈を中心にして肝細胞索が放射状に並び、その間に細網線維および毛細血管(類洞)の網がある。小葉間動静脈の血液は類洞に注ぎ、類洞を流れた後中心静脈に集まり、肝静脈を経て下大静脈に注ぐ。類洞内には貪食能をもった星状のクッパー(クッペル)の星細胞があり、血液中の細菌、異物などを摂取する。肝細胞索をつくる肝細胞間には細い隙間である毛細胆管があり、これが小葉間胆管につながっている。肝臓は機能的には胆汁を分泌する外分泌腺でもあり、肝細胞で産生された胆汁は毛細胆管、小葉間胆管を経て左右の肝管に集まる。左右の肝管は合流して総肝管となり、胆嚢からの胆嚢管と合して総胆管となり、大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)に膵管とともに開口する。

(2)胆嚢

肝臓下面の胆嚢窩にはまっているナス形の嚢で、胆汁を一時蓄えておく器官である。太い端の胆嚢底・体・頸を区別し、頸に続く胆嚢管が総肝管に合流している。総肝管を流れてきた胆汁は、一時的に胆嚢管を通って胆嚢に貯蔵され、必要に応じて今度は胆嚢から胆嚢管を逆向きに流れてきて総胆管に流れ込み、大十二指腸乳頭から十二指腸内に分泌される。

(3)門脈

胃や腸、脾臓、膵臓を経た静脈血は、合流して門脈に入り、肝臓に流入する。(※3)肝臓では、吸収された様々な物質の処理(解毒・分解・合成)が行われる。肝臓には肝動脈も流入するため、肝臓には2系統の血管から血液がはいることになる。

門脈は一種の静脈であるため、門脈圧は約8mmHgと低い。しかし、肝臓の循環抵抗がきわめて低いため、毎分1.2~1.5ℓという大量の血液が流れ込むことができる。ただし、肝硬変などにより、肝循環抵抗が増大したり、下大静脈にうっ血が生じたりすると、逆行性に門脈のうっ血をきたし、門脈圧が上昇する。これが門脈圧亢進症である。門脈圧亢進症では、腹腔内諸臓器からの血流が、門脈・肝臓の迂回(バイパス)して下大静脈に注ごうとするため、食堂静脈瘤や痔核など各種の症状が出現する。

 

<肝臓および胆嚢の機能>

(1)代謝機能

肝臓は門脈を介して腸管で吸収された栄養素を受け取り、これを分解・合成して別の成分に変える。

①グリコーゲンの合成と分解:血液中のグルコース濃度(血糖値)が高いときには、膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンの刺激に応じて肝細胞がグルコースを取り込み、グルコースをつなげてグリコーゲンに変えて肝臓内に貯蔵する。血糖値が低下すると、同じく膵臓から分泌されるグルカゴンに反応してグリコーゲンを分解してグルコースにかえ、血液中に放出して血糖値を正常範囲に維持する。

②血漿タンパク質の生成:吸収されたアミノ酸から、アルブミン、グロブリン、フィブリノゲンなどの血漿タンパク質や、種々の凝固因子を合成する。

③脂質代謝:中性脂肪、コレステロール、リン脂質などを合成する。

④ホルモン代謝:エストロゲン(女性ホルモン)やバソプレシン(抗利尿ホルモン、ADH)など、多くのホルモンを不活化する。

(2)解毒・排泄機能

肝臓は、主として脂溶性の有毒物質を、毒性の低い物質にかえて尿中に排泄したり、胆汁として腸管内に排泄したりする。たとえば、たんぱく質の分解によって生じたアンモニアは、肝細胞によって毒性の少ない尿素にかえられ、また摂取したアルコールも肝細胞によって分解される。

(3)胆汁の産生

脂肪の消化に重要な役割を果たす胆汁は、肝細胞によって産生される。胆汁のおもな成分は、胆汁酸・リン脂質・コレステロール・胆汁色素(赤血球の破壊によって生じるビリルビンが主)であり、総肝管を経て胆嚢にはいり、ここで濃縮され胆汁として十二指腸内に分泌される。

腸に送り出される胆汁の最大の役割は、身体に不要な物質を排出することである。肝細胞がおかされたり、胆道がつまって胆汁が消化管に排泄されず血液中に入ると、黄疸が起こり、全身状態が悪化する。

(4)貯蔵機能

肝臓には、赤血球産生のために必須の鉄や、ビタミンA、B12、Dなどのビタミン類が貯蔵されている。また、血液の貯蔵部位としても、脾臓とともに重要であり、運動時や出血によって循環血液量が不足したときには、肝臓や脾臓に貯蔵されていた血液が動員される。

(5)胆嚢の機能

胆嚢は、胆汁を一時的に貯蔵し、水分を吸収して濃縮する。食事をとると、コレシストキニンが小腸粘膜から分泌され、胆嚢を収縮させ、オッディ括約筋を弛緩させて胆汁が十二指腸に排出される。胆汁は様々な固形成分を含んでおり、胆嚢で胆汁が濃縮されると、これらの成分からしばしば石が作られる。(胆石)胆石を排出しようとして胆道に蠕動が起こると、激しい痛みが起こる。(胆石仙痛)

 

■病態生理

胆汁の通る肝内胆管・総胆管・胆嚢にできた石を、すべて胆石とよんでいる。胆石症とは、胆石に起因するいろいろな疾患である。胆石の生成促進因子としては、胆汁うっ滞・細菌感染・肝代謝異常・胆汁組成の変化が重要と考えられているが、結論には達していない。

わが国の胆石症患者は約1000万人といわれ、人口の約10%に達するとみられている。厚生労働省の患者統計によると男女比は1:1.6と女性に多く、年齢は60~70歳代にピークがみられる。一方、比較的若年層の胆石保有率も増加しており、食生活の変化も要因の1つと考えられている。わが国の胆石は従来、ビリルビンカルシウム石が多いとされていたが、現在では70%以上がコレステロール胆石である。

胆石は、①コレステロール胆石(純コレステロール石・混成石・混合石)、②色素胆石(黒色石・ビリルビンカルシウム石)、③まれな胆石(炭酸カルシウム石・脂肪酸カルシウム石)の3つに大別される。

 

■症状

胆石症の症状は多彩で、まったく症状のない無症状胆石から疼痛発作・発熱・黄疸など、病態と存在部位によってさまざまな症状を呈する。

右季肋部痛・発熱・黄疸は胆石の3主徴である。このほか心窩部痛・背部痛・吐き気・嘔吐などをおこす場合もある。その疼痛は激烈で、脂肪に富んだ食事摂取2~3時間後、過労時、精神的緊張の強いとき、就寝後におこりやすい。通常、比較的短時間で痛みはおさまる。

胆嚢炎や胆管炎を合併すると発熱をみとめる。とくに急性閉塞性化膿性胆管炎(AOSC)では、意識障害・ショックを併発し致命的になることもある。黄疸はミリッチー症候群、胆管結石の嵌頓、急性胆管炎などでみられるが、多くは間欠的である。

ミリッチー症候群とは、胆嚢頸部あるいは胆嚢管に嵌頓した胆石によって炎症が肝外胆管に及び、胆管の狭窄をきたし、上部胆管の拡張と黄疸がみられる状態をいう。広義には胆管の拡張や黄疸がなくても、胆管の狭窄、胆管壁の変化がみられるものも含めることが多い。腫瘍による狭窄との鑑別が必要である。

 

■診断

疼痛に関してよく話を聞けば胆石症を疑うことは容易であるが、確定診断には画像診断が必要である。

①超音波検査:超音波検査は最も有用で、胆石が疑われる場合の第一選択である。胆嚢結石の検出率は90%以上である。胆石は音響陰影を伴う強エコーとして描出される。

最近では、存在診断だけではなくエコーパターンによる質的診断も行われている。しかし腹壁が厚い場合、体位変換や呼吸がうまくできない場合、上腹部手術の既往がある場合などは、描出困難という問題がある。

②胆道造影:胆石は、その部分が抜けて影となってあらわされる。通常は、胆汁中に造影剤を排泄させて写真にうつし出す方法(排泄性胆道造影)を用いる。肝臓の機能低下がある場合や、胆汁の通過がわるくなり黄疸をおこしている場合には、肝臓のなかの胆管に針を刺して造影剤を入れてX線写真を撮影する経皮的胆道造影(PTC)、あるいは内視鏡を使ってファーター乳頭から造影剤を逆行性に注入し、X線写真をとる内視鏡的逆行性胆道造影(ERC)を行う。

③その他の検査:体部CTはカルシウムを含む胆石を描出するのに利用することができ、磁気共鳴胆管膵管像(MRCP)は、PTCやERCと比較し侵襲が少なく、胆汁の通り道全体を診断するのにすぐれている。

最近では、胆道内視鏡、胆道内超音波も利用されるようになり、胆道内の小さな石も診断できるようになった。

 

■治療

今日では、いろいろな治療法が開発され、治療法の選択肢も多くなっている。胆嚢結石は症状が出ないものも多く、すべてが治療の対象とはならない。肝内結石や総胆管結石は放置しておくと黄疸や胆管炎をおこしやすいので手術をしなければならない。

□手術的治療

胆道は人によって解剖学的に差がある割合が高い。胆道を傷つけると胆汁がもれてきわめて治りにくい状態となったり、胆汁性腹膜炎を併発して生命が危うくなる場合もある。したがって、手術時には細心の注意が必要である。

①胆嚢結石症:胆嚢を摘除することが根治的な治療法である。従来は腹壁を大きく切開して胆嚢を摘出していたが、最近では胆嚢炎が重度でない場合は、腹壁に3~4ヶ所の小さな小切開を加え、腹腔鏡を用いて胆嚢を摘出する方法(腹腔鏡下胆嚢摘出術)が広く行われている。

②総胆管結石症:総胆管に結石があることが診断されたら、総胆管を切開して胆石を摘出し、そのあとにTチューブを入れて、胆汁を一部腹腔外へ導き出すようにする。Tチューブは手術後2~3週間後に抜去する。

③肝内結石症:肝内結石症は複雑なものが多く、これらをよく診断せずに不十分な手術を行うと結石が再発するので、術式の選択はよく考えなければならない。治療の基本は、胆石の可及的除去と胆汁うっ滞の解除である。術式は、結石の除去、付加手術として胆管空腸吻合術などのドレナージ手術、肝切除などが組み合わされて選択される。

□非手術的治療

内科的治療として結石溶解剤(ウルソデオキシコール酸など)を使用すると、結石が消失することがある。しかし、結石が大きかったり、石灰化している場合は効果がみられない。

近年、内視鏡的治療の進歩によりファーター乳頭部から胆石を腸管内に取り出す方法がさかんに行われるようになってきている。その方法には、内視鏡的乳頭切開術(EST)と内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)がある。そのほか、体外から体内の胆石に衝撃波をあてて石をくだく体外衝撃波結石破砕術(ESWL)があるが、再発も多い。

 

 

(*´з`)参考文献

医療学習レポート.胆石癌


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