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( 〃▽〃)胆石癌の話


(‘◇’)ゞ題名:胆石癌の話

■解剖生理

<肝臓および胆嚢の構造>

(1)肝臓

肝臓は腹腔の右上部で横隔膜の直下にあり、赤褐色、重さ約1.2kgの実質臓器である。左方の小部分が正中線より左方にある。上面(横隔面)は一般に凸隆し、横隔膜の円蓋に適合する。厚くて大きい右葉と薄くて小さい左葉に分けられ、その境界部に肝鎌状間膜が付着している。さらに下面では方形葉、尾状葉を区別する。

下面は他の腹腔臓器と接触するために臓側面といい、凹凸に加えて、2つの縦溝とこれをつなぐ横溝があり、これらの溝はH字形を呈する。横溝は肝門といい、門脈、固有肝動脈、左・右肝管、神経などが出入りするが、肝静脈(2~3本)はここから出ないで、後面から出て直接下大静脈に注ぐ。左縦溝は静脈管索裂と肝円索裂で、それぞれ静脈管索、肝円索がはまる。右縦溝は大静脈溝と胆嚢窩で、それぞれ下大静脈、胆嚢がはまる。

肝臓の表面は横隔膜に付着している部位(無漿膜野)を除いて、腹膜に包まれる。腹膜下には結合組織性の被膜(線維膜)があり、これは肝臓の全表面を包む。線維膜から実質内に入る小葉間結合組織により肝臓実質は無数の六角柱形の肝小葉に分けられる。ただし、ヒトの肝臓では小葉間結合組織の発達は悪く、六角形の角付近に存在するのみである。この小葉間結合組織をグリソン鞘といい、それに包まれて固有肝動脈の枝の小葉間動脈、門脈の枝の小葉間静脈、小葉間胆管(単層立方上皮)、リンパ管などがある。

肝小葉は中央の中心静脈を中心にして肝細胞索が放射状に並び、その間に細網線維および毛細血管(類洞)の網がある。小葉間動静脈の血液は類洞に注ぎ、類洞を流れた後中心静脈に集まり、肝静脈を経て下大静脈に注ぐ。類洞内には貪食能をもった星状のクッパー(クッペル)の星細胞があり、血液中の細菌、異物などを摂取する。肝細胞索をつくる肝細胞間には細い隙間である毛細胆管があり、これが小葉間胆管につながっている。肝臓は機能的には胆汁を分泌する外分泌腺でもあり、肝細胞で産生された胆汁は毛細胆管、小葉間胆管を経て左右の肝管に集まる。左右の肝管は合流して総肝管となり、胆嚢からの胆嚢管と合して総胆管となり、大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)に膵管とともに開口する。

(2)胆嚢

肝臓下面の胆嚢窩にはまっているナス形の嚢で、胆汁を一時蓄えておく器官である。太い端の胆嚢底・体・頸を区別し、頸に続く胆嚢管が総肝管に合流している。総肝管を流れてきた胆汁は、一時的に胆嚢管を通って胆嚢に貯蔵され、必要に応じて今度は胆嚢から胆嚢管を逆向きに流れてきて総胆管に流れ込み、大十二指腸乳頭から十二指腸内に分泌される。

(3)門脈

胃や腸、脾臓、膵臓を経た静脈血は、合流して門脈に入り、肝臓に流入する。(※3)肝臓では、吸収された様々な物質の処理(解毒・分解・合成)が行われる。肝臓には肝動脈も流入するため、肝臓には2系統の血管から血液がはいることになる。

門脈は一種の静脈であるため、門脈圧は約8mmHgと低い。しかし、肝臓の循環抵抗がきわめて低いため、毎分1.2~1.5ℓという大量の血液が流れ込むことができる。ただし、肝硬変などにより、肝循環抵抗が増大したり、下大静脈にうっ血が生じたりすると、逆行性に門脈のうっ血をきたし、門脈圧が上昇する。これが門脈圧亢進症である。門脈圧亢進症では、腹腔内諸臓器からの血流が、門脈・肝臓の迂回(バイパス)して下大静脈に注ごうとするため、食堂静脈瘤や痔核など各種の症状が出現する。

 

<肝臓および胆嚢の機能>

(1)代謝機能

肝臓は門脈を介して腸管で吸収された栄養素を受け取り、これを分解・合成して別の成分に変える。

①グリコーゲンの合成と分解:血液中のグルコース濃度(血糖値)が高いときには、膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンの刺激に応じて肝細胞がグルコースを取り込み、グルコースをつなげてグリコーゲンに変えて肝臓内に貯蔵する。血糖値が低下すると、同じく膵臓から分泌されるグルカゴンに反応してグリコーゲンを分解してグルコースにかえ、血液中に放出して血糖値を正常範囲に維持する。

②血漿タンパク質の生成:吸収されたアミノ酸から、アルブミン、グロブリン、フィブリノゲンなどの血漿タンパク質や、種々の凝固因子を合成する。

③脂質代謝:中性脂肪、コレステロール、リン脂質などを合成する。

④ホルモン代謝:エストロゲン(女性ホルモン)やバソプレシン(抗利尿ホルモン、ADH)など、多くのホルモンを不活化する。

(2)解毒・排泄機能

肝臓は、主として脂溶性の有毒物質を、毒性の低い物質にかえて尿中に排泄したり、胆汁として腸管内に排泄したりする。たとえば、たんぱく質の分解によって生じたアンモニアは、肝細胞によって毒性の少ない尿素にかえられ、また摂取したアルコールも肝細胞によって分解される。

(3)胆汁の産生

脂肪の消化に重要な役割を果たす胆汁は、肝細胞によって産生される。胆汁のおもな成分は、胆汁酸・リン脂質・コレステロール・胆汁色素(赤血球の破壊によって生じるビリルビンが主)であり、総肝管を経て胆嚢にはいり、ここで濃縮され胆汁として十二指腸内に分泌される。

腸に送り出される胆汁の最大の役割は、身体に不要な物質を排出することである。肝細胞がおかされたり、胆道がつまって胆汁が消化管に排泄されず血液中に入ると、黄疸が起こり、全身状態が悪化する。

(4)貯蔵機能

肝臓には、赤血球産生のために必須の鉄や、ビタミンA、B12、Dなどのビタミン類が貯蔵されている。また、血液の貯蔵部位としても、脾臓とともに重要であり、運動時や出血によって循環血液量が不足したときには、肝臓や脾臓に貯蔵されていた血液が動員される。

(5)胆嚢の機能

胆嚢は、胆汁を一時的に貯蔵し、水分を吸収して濃縮する。食事をとると、コレシストキニンが小腸粘膜から分泌され、胆嚢を収縮させ、オッディ括約筋を弛緩させて胆汁が十二指腸に排出される。胆汁は様々な固形成分を含んでおり、胆嚢で胆汁が濃縮されると、これらの成分からしばしば石が作られる。(胆石)胆石を排出しようとして胆道に蠕動が起こると、激しい痛みが起こる。(胆石仙痛)

 

■病態生理

胆汁の通る肝内胆管・総胆管・胆嚢にできた石を、すべて胆石とよんでいる。胆石症とは、胆石に起因するいろいろな疾患である。胆石の生成促進因子としては、胆汁うっ滞・細菌感染・肝代謝異常・胆汁組成の変化が重要と考えられているが、結論には達していない。

わが国の胆石症患者は約1000万人といわれ、人口の約10%に達するとみられている。厚生労働省の患者統計によると男女比は1:1.6と女性に多く、年齢は60~70歳代にピークがみられる。一方、比較的若年層の胆石保有率も増加しており、食生活の変化も要因の1つと考えられている。わが国の胆石は従来、ビリルビンカルシウム石が多いとされていたが、現在では70%以上がコレステロール胆石である。

胆石は、①コレステロール胆石(純コレステロール石・混成石・混合石)、②色素胆石(黒色石・ビリルビンカルシウム石)、③まれな胆石(炭酸カルシウム石・脂肪酸カルシウム石)の3つに大別される。

 

■症状

胆石症の症状は多彩で、まったく症状のない無症状胆石から疼痛発作・発熱・黄疸など、病態と存在部位によってさまざまな症状を呈する。

右季肋部痛・発熱・黄疸は胆石の3主徴である。このほか心窩部痛・背部痛・吐き気・嘔吐などをおこす場合もある。その疼痛は激烈で、脂肪に富んだ食事摂取2~3時間後、過労時、精神的緊張の強いとき、就寝後におこりやすい。通常、比較的短時間で痛みはおさまる。

胆嚢炎や胆管炎を合併すると発熱をみとめる。とくに急性閉塞性化膿性胆管炎(AOSC)では、意識障害・ショックを併発し致命的になることもある。黄疸はミリッチー症候群、胆管結石の嵌頓、急性胆管炎などでみられるが、多くは間欠的である。

ミリッチー症候群とは、胆嚢頸部あるいは胆嚢管に嵌頓した胆石によって炎症が肝外胆管に及び、胆管の狭窄をきたし、上部胆管の拡張と黄疸がみられる状態をいう。広義には胆管の拡張や黄疸がなくても、胆管の狭窄、胆管壁の変化がみられるものも含めることが多い。腫瘍による狭窄との鑑別が必要である。

 

■診断

疼痛に関してよく話を聞けば胆石症を疑うことは容易であるが、確定診断には画像診断が必要である。

①超音波検査:超音波検査は最も有用で、胆石が疑われる場合の第一選択である。胆嚢結石の検出率は90%以上である。胆石は音響陰影を伴う強エコーとして描出される。

最近では、存在診断だけではなくエコーパターンによる質的診断も行われている。しかし腹壁が厚い場合、体位変換や呼吸がうまくできない場合、上腹部手術の既往がある場合などは、描出困難という問題がある。

②胆道造影:胆石は、その部分が抜けて影となってあらわされる。通常は、胆汁中に造影剤を排泄させて写真にうつし出す方法(排泄性胆道造影)を用いる。肝臓の機能低下がある場合や、胆汁の通過がわるくなり黄疸をおこしている場合には、肝臓のなかの胆管に針を刺して造影剤を入れてX線写真を撮影する経皮的胆道造影(PTC)、あるいは内視鏡を使ってファーター乳頭から造影剤を逆行性に注入し、X線写真をとる内視鏡的逆行性胆道造影(ERC)を行う。

③その他の検査:体部CTはカルシウムを含む胆石を描出するのに利用することができ、磁気共鳴胆管膵管像(MRCP)は、PTCやERCと比較し侵襲が少なく、胆汁の通り道全体を診断するのにすぐれている。

最近では、胆道内視鏡、胆道内超音波も利用されるようになり、胆道内の小さな石も診断できるようになった。

 

■治療

今日では、いろいろな治療法が開発され、治療法の選択肢も多くなっている。胆嚢結石は症状が出ないものも多く、すべてが治療の対象とはならない。肝内結石や総胆管結石は放置しておくと黄疸や胆管炎をおこしやすいので手術をしなければならない。

□手術的治療

胆道は人によって解剖学的に差がある割合が高い。胆道を傷つけると胆汁がもれてきわめて治りにくい状態となったり、胆汁性腹膜炎を併発して生命が危うくなる場合もある。したがって、手術時には細心の注意が必要である。

①胆嚢結石症:胆嚢を摘除することが根治的な治療法である。従来は腹壁を大きく切開して胆嚢を摘出していたが、最近では胆嚢炎が重度でない場合は、腹壁に3~4ヶ所の小さな小切開を加え、腹腔鏡を用いて胆嚢を摘出する方法(腹腔鏡下胆嚢摘出術)が広く行われている。

②総胆管結石症:総胆管に結石があることが診断されたら、総胆管を切開して胆石を摘出し、そのあとにTチューブを入れて、胆汁を一部腹腔外へ導き出すようにする。Tチューブは手術後2~3週間後に抜去する。

③肝内結石症:肝内結石症は複雑なものが多く、これらをよく診断せずに不十分な手術を行うと結石が再発するので、術式の選択はよく考えなければならない。治療の基本は、胆石の可及的除去と胆汁うっ滞の解除である。術式は、結石の除去、付加手術として胆管空腸吻合術などのドレナージ手術、肝切除などが組み合わされて選択される。

□非手術的治療

内科的治療として結石溶解剤(ウルソデオキシコール酸など)を使用すると、結石が消失することがある。しかし、結石が大きかったり、石灰化している場合は効果がみられない。

近年、内視鏡的治療の進歩によりファーター乳頭部から胆石を腸管内に取り出す方法がさかんに行われるようになってきている。その方法には、内視鏡的乳頭切開術(EST)と内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)がある。そのほか、体外から体内の胆石に衝撃波をあてて石をくだく体外衝撃波結石破砕術(ESWL)があるが、再発も多い。

 

■看護

1)胆石発作時の看護

胆石症では、胆嚢・総胆管・肝管などに結石が生じて腹痛・黄疸・発熱・仙痛発作がおこり、患者は反復する激しい痛みによって苦痛と不安におそわれる。したがって、疼痛の緩和をはかることを目的として必要な援助を行う。また、胆石症の特徴や治療内容を十分に理解して看護にあたる必要がある。

□アセスメント

(1)胆石:発生部位・大きさ

(2)疼痛:程度・部位・性状、放散部位の有無

(3)疾患に伴う症状

①黄疸:出現磁気・程度、皮膚の状態

②発熱:熱型、悪寒

③消化器症状:腹痛・吐き気・嘔吐・食欲不振

(4)誘因:食事との関係(食事の摂取状況)、体動との関係、排便との関係

(5)排便状態:回数・性状・色調・混入物

(6)水分出納バランス

(7)検査データ:血液検査(白血球数・血小板数・血液ガス分析)、C反応性タンパク、肝機能検査、膵機能検査、腎機能検査(血液尿素窒素・クレアチニン)、水・電解質のバランス、栄養状態、画像検査(超音波検査・CT・胆道造影・経皮経肝胆管造影・腹部単純X線撮影)

(8)現在行われている治療内容:経皮経肝胆道ドレナージ、薬物療法

(9)仙痛発作に対する患者と家族の不安状態

□看護目標

(1)仙痛発作時の苦痛が最小限に抑えられ、安楽を保つことが出来る。

(2)患者と家族の不安が軽減される。

(3)異常を早期に発見することによって、合併症を予防する。

□看護活動

●仙痛発作時の観察:

食事との関係、と通痛の程度・部位、放散部位の有無を十分に確認する。閉塞性黄疸の場合は、便は灰白色または淡黄色となるので、性状を観察する。

●疼痛の緩和:

体位のくふうによって安楽な姿勢をとらせ、疼痛の緩和につとめる。

●食事指導:

発作時は禁飲食とし、発作がおさまっても脂肪性食品・卵黄・刺激物など、発作を誘発しやすいものは避けるように指導する。

●二次感染の予防:

熱型や黄疸の発現の有無などにも注意し、二次感染の予防につとめる。胆嚢炎などの合併症をおこすと症状は重篤になるので、その徴候に注意して早期発見につとめる。

2)胆道の手術を受ける患者の看護

胆嚢摘出術は、胆石症・胆嚢炎などで合併症を伴うもの、仙痛発作が頻発するもの、胆石発作の大きいものなどに適用される。総胆管や、肝内胆管に結石がある場合には、総胆管切開が行われる。結石を除去したあとは、Tチューブを胆汁ドレナージの目的で挿入する。手術後は胆嚢機能が消失し、ショック・胆嚢摘除後症候群などをおこしやすいので注意する。

 

<手術前の看護>

患者が良好な状態で手術が受けられ、また術後合併症の予防がはかられるように援助する。

□アセスメント

(1)手術に関する内容

①術式

②ドレーンの種類

③麻酔の種類

(2)全身状態:バイタルサイン・水分の出納バランス、感染症・薬物アレルギーの有無

(3)疾患に伴う症状

①黄疸:皮膚の状態、黄疸に随伴する症状

②腹痛・仙痛発作:部位、放散部位の有無、発作時の状態

③発熱:熱型、悪寒

④消化器症状:吐き気・嘔吐・食欲不振

(4)検査データ:呼吸機能検査、心電図、胸部X線検査、肝機能検査(血清ビリルビン・プロトロンビン時間・TTT・ZTT・AST・ALT・LDH・ChE)、膵機能検査(アミラーゼ)、腎機能検査(血液尿素窒素・クレアチニン)、栄養状態(皮下脂肪・筋肉の厚さ、総タンパク・アルブミン)、血液一般検査(貧血の有無)、血液生化学検査(出血傾向の有無)、水・電解質のバランス、血液型

(5)食事の摂取状況:内容・量・回数、摂取時の状態

(6)合併症の有無と程度(胆管炎など):検査データ(血液培養)、末梢循環不全

(7)手術に対する家族の不安、手術の受け入れ体制

□看護目標

(1)手術を受けることを理解し、心身ともによい状態でのぞむことができる。

(2)胆管炎などの合併症を早期に発見し予防する。

(3)手術に対する家族の不安が緩和される。

□看護活動

胆道手術の場合、閉塞性黄疸と胆管炎の有無・程度が手術後の回復過程に大きな影響を与えるので、黄疸や肝機能障害の有無を十分に観察することがたいせつである。

●検査時の援助:

患者にとって検査は身体的・精神的苦痛を伴うものである。したがって検査の必要性を説明して理解を促すとともに、検査前後の処置や状態、検査方法について十分な説明を行い、少しでも苦痛や不安が緩和されるように援助する。また患者の手術前の全身状態、検査データを正しく把握する。とくに肝機能の状態は、手術後の回復に大きな影響を及ぼすためしっかりと把握しておき、手術後の状態を予測しておくことがたいせつである。

●栄養状態の改善:

患者の栄養状態は、手術後の回復に影響を与えるので正しく把握し、手術前に改善することが重要である。食事は医師の指示がないかぎり高タンパク・高ビタミン・高エネルギーの食事とする。経口的に十分な栄養を摂取することができない場合には中心静脈栄養が行われる。

●黄疸の改善:

黄疸がある場合は、手術前に黄疸を軽減する目的で経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)が行われる。ドレナージチューブの挿入時には、患者の不安の軽減につとめる。また黄疸は瘙痒感などの不快な皮膚感覚を伴うので、皮膚の状態の管理にも留意する。

●術後合併症の予防:

手術後の肺合併症を予防するために、創があることを想定した呼吸練習や、インセンティブスパイロメトリー(トリフロー・インスピレックスなど)を利用した呼吸理学療法を行う。喫煙者には禁煙の必要を説明し、実施してもらう。

●不安の緩和:

患者とその家族が手術や麻酔について、どのような不安をかかえているか把握する。そして手術を受けることに納得できるよう、術前オリエンテーションを行って手術前の準備や手術後の状態について説明を行い、手術を受けるにあたりどのようなことがあるのか、患者が具体的にイメージできるようにする。

 

<手術後の看護>

手術後は胆嚢の機能が喪失し、さまざまな合併症をおこしやすいので全身状態を把握し合併症の予防につとめる。また、PTCDチューブの管理を行い、排液の量・性状に留意して異常の早期発見につとめる。

□アセスメント

(1)手術に関する内容

①所要時間・麻酔時間・出血量

②ドレーン挿入の有無

③覚醒時の状態

(2)全身状態:バイタルサイン・意識状態・水分出納バランス(排液量・補液量)・尿量(性状・混濁)

(3)手術創部の状態

①創面ガーゼの出血量、臭気・色調

②疼痛

(4)疾患に伴う症状

①黄疸:皮膚の状態

②消化器症状:吐き気・嘔吐

(5)PTCDチューブの管理

①胆汁排出の状態:量・性状、流出状態

②固定状態:圧迫・屈曲・捻転

③チューブ挿入部の状態:胆汁漏出、皮膚の状態

(6)検査データ:肝機能検査、膵機能検査、腎機能検査、水・電解質のバランス、呼吸機能(血液ガス分析)、栄養状態(総タンパク・コレステロール)、出血凝固検査

(7)合併症の有無と程度:呼吸器疾患(たんの喀出量・性状、咳嗽)、糖代謝異常(血糖)、感染症

□看護目標

(1)異常を早期に発見することによって、合併症を予防する。

(2)手術後の苦痛が最小限に抑えられる。

□看護活動

手術後はPTCDチューブなど数本のドレーンが挿入されることが多いので、ドレーンの取り扱いに注意する。

手術後の食事は肝庇護食・脂肪制限食が与えられる。食事の摂取状況や摂取後の状態にも注意する。

黄疸のある場合は、出血傾向があるので、手術後の出血の有無、皮膚粘膜の状態を観察する。

3)外胆汁瘻造設患者の看護

次のような目的で外胆汁瘻造設を行い、総胆管にTチューブを挿入するので、これらの目的を十分に理解して看護にあたらなければならない。

(1)閉塞性黄疸の患者や胆道結石、胆道腫瘍による胆道の閉塞や狭窄により、胆汁の流出が妨げられている場合は、体外に胆汁を排出して一時的に黄疸の軽減をはかる。

(2)総胆管切開術を行った場合に、胆汁が腹腔内に漏出するのを防ぐ。

(3)胆嚢摘出術の際に胆砂・胆汁・胆内結石がみとめられた場合は、外瘻によって、それらの異物を体外に排出させる。

□アセスメント

(1)全身状態:バイタルサイン、水・電解質のバランス、異常症状の有無(代謝性アシドーシスによる頭痛や吐き気・不安・嗜眠・けいれんなど)

(2)胆汁の流出状況

①胆汁の1日の流出量と性状(胆砂・胆汁の流出)・色調

②閉塞の有無、黄疸の程度、便の色調

(3)胆汁漏出の有無:挿入部の皮膚の状態、腹膜刺激症状の有無

(4)Tチューブの管理

①固定状態:圧迫・屈曲・捻転

②挿入部位の疼痛

□看護目標

(1)胆汁の体外排泄による電解質異常に対応し、異常の早期発見ができる。

(2)Tチューブの挿入の目的が十分に理解される。

(3)Tチューブの挿入による苦痛が最小限に抑えられる。

□看護活動

Tチューブの挿入時の看護が、次の事項に留意して行う。

(1)Tチューブが抜けないよう、腹壁上にしっかりと固定する。また、挿入部位が滲出液などで汚れていたら消毒する。

(2)Tチューブの圧迫・屈曲・捻転に注意し、発熱や疼痛のあるときは洗浄を行う。

(3)胆汁の流出状態を観察する。排出胆汁は清潔な貯留びんまたは閉鎖式胆汁バックにためる。1日の排泄量、色調・性状(胆砂・胆汁の流出)などを観察・記録する。急激な胆汁の流出は内圧にも関係するので十分に注意し、黄疸の程度、便の色調も観察する。

(4)胆汁の体外排泄によっておこる電解質の異常に注意する。代謝性アシドーシスになることもあるので、頭痛・吐き気・不安・嗜眠・けいれんなどにも注意する。

(5)Tチューブの挿入部位の皮膚は清潔に取り扱い、胆汁漏出などによる皮膚のびらんを予防する。

(6)手術後約1週間が経過して特別に異常がなければ、チューブをときどき閉鎖して胆汁の十二指腸への流出量を多くする。発熱・腹痛・黄疸・便の色などを観察し、異常がなければ閉鎖時間を延長する。胆道造影を行って胆管の通過状態を確かめ、2~3週間で抜去する。

(7)Tチューブの抜去後の瘻孔は2~3日で自然に閉塞するが、まれに腹腔内に胆汁が漏出し、一過性の腹膜炎症状をおこすことがある。皮膚へも2~3日間胆汁の流出が続くこともあるので、抜去後も創部の状態を観察し、腹痛・発熱などに注意する。

(8)Tチューブの挿入中に患者が歩行する場合は、貯留びんは軽くてこわれないものにする。手にさげて歩けるように、袋に入れるのも1つの方法である。

(9)Tチューブを挿入したまま退院する患者に対しては、胆汁の処理のしかたや食事指導を行う。黄疸や発熱あるいはチューブの閉塞などがみられるときには、受診するように説明する。

(10)胆道腫瘍のため根治手術が行えず、黄疸の軽減をはかる目的で胆汁外瘻を造設した患者の場合は、外瘻閉鎖は不可能である。そのため長期にTチューブを挿入することになり、胆汁の体外流出によって脂肪の消化・吸収障害のほか、水・電解質の不足がおこる。そのため、輸液や胆汁の再注入を行うこともある。

(11)再注入する胆汁は清潔な容器にとり、夏期には変質しないように保存に注意する。

胆汁を体外に排出している間は、水・電解質(ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム)、胆汁酸などの喪失が考えられるので、輸液の管理は重要である。また、胆汁外瘻造設時には十二指腸への胆汁の流れが少なくなるので、脂肪の吸収が障害される。そのため、脂肪を制限した高タンパク食とすることが望ましい。

(*´з`)参考文献

医療学習レポート.胆石癌


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