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(〃^ー^〃)半月板損傷の話


「半月板損傷」の画像検索結果

(#^.^#)題名:半月板損傷の話

半月板の解剖・機能解剖

半月板は内側と外側で一対をなし、半月板が囲む腔は、前後方向で内側は外側のほぼ2倍である。内側半月板は前方から後方にむかうに従いその幅はしだいに増大するが、外側半月板は前方から後方までほぼ一定である。一方、厚さは内・外側半月板とも関節包側は厚く、遊離縁側は鎌の刃状に薄くなる。

内・外側半月板前角は前十字靱帯付着部を抱え込むように脛骨に付着し、その前縁部は横靱帯によって結ばれることが多い。

内側半月板の辺縁は関節包に密に付着し、前方部は関節包を通して半月膝蓋靱帯によって膝蓋靱帯と、中央部は内側側副靱帯、後方部は半膜様筋からの線維に結合している。

外側半月板の辺縁は、前方部は内側と同様に関節包を通して半月膝蓋靱帯により膝蓋靱帯と結合している。外側半月板後方1/3の部位には膝窩筋腱溝があり、この部分は外側半月板は関節包から遊離している。膝窩筋腱溝には膝窩筋腱が後下方より前上方に走行し外側半月板とは付着していない。

外側半月板後節から大腿骨顆間後面を走行する靭帯が2本あり、後十字靱帯前方を走行するものをHumphry靭帯、後方を走行するものをWrisberg靭帯という。Humphry靭帯は欠損することがまれではない。また外側半月板後角の脛骨付着部が欠損し、後角が直接大腿骨顆間後上部に付着する破格がきわめてまれにあり、Wrisberg型半月板とよばれる。外側半月板の後縁には関節包を通して膝窩筋の一部が結合している。

半月板は、関節包に付着している周辺部約1/3および前角、後角は血管と神経が進入し血行によって栄養され、血管のない遊離縁側は関節液のパンピング作用によって栄養がまかなわれている。このことは半月板損傷に対する修復術の適応を決める上で重要である。

半月板は、大腿骨脛骨関節の運動に伴って受動的に移動する。すなわち、膝関節が伸展位から屈曲するにつれて内側半月板は内旋、外側半月板は外旋しながら大腿骨顆部に従い後方に、伸展するに従って前方に移動し、その移動度は外側は内側よりはるかに大きい。

大腿骨―半月板―脛骨の負荷面(contact area)は最大伸展位で最大となり、屈曲につれて減少する。

半月板の機能は、

①大腿骨脛骨関節の適合を補う状態

②屈曲、伸展、回旋運動におけるボールベアリング的機能

③shock absorberとしての機能

④stabilizerとしての機能

⑤関節液の拡散と関節内圧の調節機能

などがあげられる。これらの機能はすべて荷重伝達機能(load transmission)に集約される。つまり半月板は荷重の60~80%を伝達している。したがって半月板損傷、切除などにより半月板の機能障害があると、荷重伝達機能が失われるので関節面に異常負荷が起こり二次性変形性関節症が必ず発症する。

 

半月板損傷

受傷機序

荷重時の膝関節に屈曲や回旋の過剰なストレスが加わって生じるとされ、スポーツ活動中の急激な方向転換や着地動作の際に受傷することが多い。また、靱帯損傷の合併も多く、合併損傷例では靱帯損傷に対する治療が優先される。

 

臨床症状

自覚症状

疼痛・異常音・跛行・弾発音(click)・膝折れ感(giving way)、可動域制限、引っかかり感(catching)嵌屯(locking)などが主な自覚症状である。(嵌屯とはある角度で膝関節がある角度で伸展も屈曲も不能になった状態)

他覚所見

大腿四頭筋萎縮、関節裂隙の限局性圧痛、各種徒手検査陽性が主要所見で、関節水腫、滑膜炎などをみることがある。徒手検査は基本的には膝関節屈伸に内、外旋、内、外反あるいは軸圧を加えて疼痛、弾発音を再現するものである。徒手検査の陽性率は半月板の損傷形態により大きく異なり、70~30%と報告されている。

 

半月板損傷のADL障害

障害の症状・・・痛み、引っかかり感、ROM制限(ロッキングを含む)など上記臨床症状を参照

障害の項目・・・しゃがみ込み動作時痛、正座障害、階段昇降時痛(特に下り)、動作開始時痛(Starting Pain)、歩行時痛

半月板損傷を起こしても、上記の障害が必ずしも出現するとは限らない。

伸展障害が起こると歩行障害などを引き起こし、屈曲障害が起こると特にしゃがみ込み、正座障害を起こす。

障害の程度は症例により異なり、また損傷があっても自覚症状がない症例もある。

同一症例でも、障害の程度は日によって異なる場合も多い。

論文ではADL障害について詳しく調査したのは皆無に等しい。

故に、その症例の状態を細かく評価しなくてはならない。

 

半月板損傷のスポーツ障害

痛み・・・スポーツ能力の低下

引っかかり感・・・スポーツ動作の不安感

ROM制限・・・とくにスピード、パワーの低下

スポーツ項目別では

急ストップ(カッティング)、方向転換、ジャンプ着地、全力疾走、サイドステップ、ランニングなどが挙げられるが、方向転換、着地時、急ストップのように荷重がかかった状態で下腿がロックされ、そこに回旋力が加わった動作において特に障害が出現する。このことは受傷機序の項でも触れたが、しっかり理解しておく必要がある。

 

評価・検査

病態評価  問診によっておおよその障害像を把握する。

1.生活様式、職業、スポーツ歴

生活様式、職種、競技種目などの違いにより、姿勢や動作に特有性があり、スポーツ歴を問診することにより、活動レベルが把握できる。競技種目によってどの動作を多く行うかが異なる。

2.受傷機序および現病歴

(1)現病歴

外傷であれば受傷機転をできるだけ詳細に把握する。受傷時の膝関節の肢位や全身の姿勢を聴取する。受傷が接触か非接触か(contact or non-contact)、一度の外力により損傷したものなのか、繰り返しにより損傷したものなのかを聴取する。また、外傷でなければいつから発症したのか、どのような状況で発症したのかを聴取する。

(2)既往歴

スポーツ障害あるいは変形性膝関節症では、既往歴と現病歴に因果関係があることが多い。隣接していない関節でも関連することがある。

3.疼痛

疼痛部位、時期(安静時、運動時、夜間)、種類(圧痛、伸張痛、自発痛、荷重痛)、誘発動作など。痛みは擬音でもかまわず具体的に表現してもらい、本人へのフィードバックや回復過程を知るためにVAS(visual analog scale)を用いる。

4.下肢アライメント

下腿の捻転:膝蓋骨を上面に向けた位置での脛骨の内外顆の位置関係を観察する。通常は外顆が後方に位置する(外捻)。下腿外捻増強か、内捻増強かを評価し、左右差を診る。

5.形態測定

(1)周径

大腿周径は膝蓋骨直上5~10cmで内側広筋や外側広筋の状態を把握する。関節裂隙の計測で浮腫の状態も評価する。下腿大腿周径では、下腿三頭筋の筋萎縮を把握する。

(2)棘果長・転子果長

(3)Q-angle

膝関節伸展位での正常範囲は20°以下である。膝関節90°でのQ-angleは大腿骨前捻や脛骨外捻の影響を受けやすい。20°以上はsquinting patellaや膝関節外反と関連がある。

6.徒手検査:膝関節裂隙間を中心に、圧痛点を確認する。関節の炎症所見である腫脹や熱感についても評価する。

(1)McMurray-test(最も代表的なテスト)

方法:患者を背臥位にし、膝の内、外側関節裂隙を手指で触知しながら踵部を把持する。足部を内旋または外旋させた状態で、膝関節を最大屈曲位から他動的に伸展し、疼痛やclickの有無を調べる。

(2)Bragard-test

方法:患者に背臥位をとらせ下肢筋を弛緩させる。検者は患者の膝を屈曲位にする。内側関節裂隙を指で圧迫し下腿を外旋させながら膝関節を伸展させると、内側半月板の圧痛が増強する。

(3)Apley-test

方法:腹臥位で膝関節を90°屈曲させ足部を把持して、膝関節に圧迫を加えながら回旋させる。半月板損傷があると疼痛を訴える。

7.合併症

外傷直後には関節腫脹や関節血腫などに対して早期に対処することにより、二次的機能障害の防止や早期治癒につながる。

(1)膝受傷時の関節周囲組織、靱帯の打僕または挫傷の有無

(2)関節血症

関節構成体の損傷を意味し、靱帯損傷や関節内骨折、非骨折性外傷、半月板損傷により症状を呈することがある。

ジャンプや着地動作時の受傷で関節血腫を伴う場合は、ACLと半月板損傷が合併している可能性があり、腫脹の発現時期が受傷直後なら関節血腫の疑いは高い。膝屈曲位で脛骨前方からの外力で受傷し、血腫の量が少ない場合はPCL損傷を疑う。

(3)関節水腫

外傷や炎症による滑膜の刺激により、水腫が形成される。原因は関節内の滑膜性炎症にある。半月板損傷や変形性膝関節症、RAでみられ、症状は膝蓋靱帯や膝蓋骨の両側が膨隆し、水腫が著しいときは膝蓋上包まで及ぶことがある。膝蓋跳動により確認する。

(4)腫脹

関節液の参出、血腫、化膿性腫脹の3つのタイプがある。重度の損傷で関節液が関節周囲の軟部組織へ参出するので、腫脹がみられないといっても、必ずしも損傷が軽度ではない。血腫は、受傷後1~2時間以内に急激に出現する。化膿性腫脹は熱感、発赤、全身の発熱、感染徴候がみられる。波動テスト(fluctuation-test)、撫でつけテスト(brush-test)により評価する。

8.X線診断

主な所見として膝蓋大腿関節、脛骨大腿関節の位置関係、関節裂隙のスペース、関節周囲の骨欠損、骨萎縮、骨棘形成、骨膿疱、骨硬化像などがあげられる。膝蓋骨では前後左右の偏位や傾斜、高さ、脱臼の有無が確認できる。撮影方法は臥位、坐位、立位(荷重位)で行われ、荷重位でのX線像は有用な情報が得られる。X線上の変化は必ずしも臨床所見と一致しないために、他の臨床的検査と照らし合わせるべきである。

 

機能評価

1.関節可動域検査

疼痛や引っかかり感、lockingの有無に注意しながら、膝関節の他動的関節可動域を測定する。下腿の回旋による疼痛や可動域を確認する。

伸展制限に関してはその角度が小さくなると角度計で測定することが難しいため、患者を腹臥位にし、足部を診察台から出すようにすると、その角度制限が両側の踵部の高さの差として現れる。

参考可動域 伸展0°、屈曲130°(股関節の肢位によって測定結果が異なる。また、健側との比較をするできである。)

また、近隣関節の評価では、股関節での内外旋、屈曲、伸展可動域、足底筋力などが重要である。そのほか、膝蓋骨の可動性も評価する。上下の可動性は屈曲、伸展可動域と関係し、左右の可動性は膝蓋骨脱臼などの膝蓋大腿関節障害との間径が深い。

2.筋力検査

受傷側の大腿四頭筋の萎縮が特異的に出現することがある。大腿部の周径を測定するとともに、膝関節伸展位で大腿四頭筋の等尺性収縮を行わせ、収縮時の内側広筋の膨隆と硬度を視診・触診で確認し、健側と比較する。

また、筋力の絶対量だけでなく、筋力バランスを考慮する(二関節筋と単関節筋力、拮抗筋の関係など)。筋力バランスは姿勢に大きく影響する。また、筋のリラクゼーションが可能かどうかも評価する。

筋力絶対量の客観的評価では等速性筋力評価を行い、PT施行後の回復や効果の指標とする。術後使用した装具の除去やスポーツ復帰の目安とする。

その他、徒手筋力検査法(MMT)を参照。

3.姿勢・歩行分析

(1)clock-test

足底接地時の膝の動きに対する半月板の移動を表す。患者自身が荷重位で固定した足の周りで膝を時計の針にみたて、あらゆる方向に動かし、そのときの不安定性、痛みなどを再現する。歩行立脚期での膝の位置と足部の回内外、骨盤偏移が観察できるとともに、触診により内外側ハムストリングや大腿四頭筋の筋収縮を触知する。

(2)歩行分析

骨盤、股関節、足関節の可動性に注意しながら、動作中の膝関節の回旋可動性を評価する。

 

治療

保存療法

半月板の荷重伝達機能の重要性が認識されてから、症候性半月板損傷であってもまず十分に保存療法を行うのが一般的。保存療法を行っても症状が改善されない場合、関節鏡下に低侵襲手術を行う。

・新鮮半月板損傷

損傷形態が関節包からの剥離や、半月板の関節包付着縁に近い血行が存在する部位にある場合には、一次修復の可能性が十分にある。

ギプスなどによる外固定を2~3週行い、さらに内外反を防止する装具を装着のうえ2~3週間免荷を継続する。スポーツへの復帰は3~4ヶ月は禁止する。損傷部位に不安定がある場合には、癒合を確実にするために関節鏡下に縫合術を行うことが多い。

・陳旧性半月板障害

ADL動作指導、大腿四頭筋訓練などを中心とした保存療法。関節水腫、滑膜炎を伴うものは、5~7日免荷を行い局所の安静を保つ。ときには関節穿刺後ステロイドを1~2回注入することもある。

 

手術療法

・半月板縫合術

荷重の分散、関節安定性への関与などの半月板の重要な機能を温存するために、観血的治療として半月板縫合術が選択される。

・半月板切除術

損傷の部位や大きさにより縫合が不可能な場合には切除(全切除、亜全切除、部分切除)の適応となる。

術後成績

一般に半月板切除後の変形性変化の出現は避けられないが、臨床的予後は良好。半月板の1/2~2/3が残存すると、その荷重伝達機能は50%維持されるので、半月板部分切除および縫合術は全切除に比較して変形性変化の出現は少ないとされている。しかし、青年期の内側半月板損傷にたいする全切除術は経年的に内側型変形性膝関節症に発展し、加齢的変化が加わる年齢になると症候性になることがきわめて多い。

 

高齢者の半月板障害

高齢者の半月板障害は、典型的な半月板損傷を除いては、多くの場合は変形性膝関節症の一部分症である。内反変形の強い変形性膝関節症では、内側半月板には多くの例で変性、変性断裂が認められるが、安易な手術適応には慎重でなければならない。ときには内側半月板切除後に急速に変形性変化が進行し、さらに疼痛が増強することがある。一方、半月板損傷が縦断裂、弁状断裂などで、患者の訴える症状が半月板損傷に由来する場合には、関節鏡視下半月板部分切除が適応になる。

 

変性半月板

変形性関節症が進行すると、骨の変形性変化、関節軟骨の変性とともに半月板も変性する。光沢を失い、粗雑化し弾力性が低下する。これらの変性が進行すると、その主要機能である荷重伝達機能が低下するので、変形性膝関節症はますます進行する。しかし、人工膝関節が適応されるような高度に進行した関節でも、手術時に一見損傷がないような内側半月板をみることが少なくない。これは変性し弾力性が低下した内側半月板が、荷重時に大腿骨、脛骨関節面から関節外に逸脱するために高度の損傷を生じないためで、実際には半月板として機能していないと考えてよい。荷重位関節造影で半月板が関節面から逸脱されている様子が観察できる。

 

術後プログラム

切除術が比較的早期に進められるのに対して、縫合術は可動域運動や荷重運動などに慎重を要する。

 

基本方針

1)早期に関節可動域の回復を図る。

2)膝関節伸筋と屈筋の再教育・強化を疼痛やlockingのない運動範囲から開始し、徐々に拡大する。

3)段階的に荷重運動へ進める。

4)荷重下での膝関節回旋ストレスの回避を考慮した運動に習熟させる。

5)疼痛・熱感・catching・lockingの有無について注意する。それらの所見が継続する場合は、医師に報告し、指示を受ける。

6)患部外のトレーニングを積極的に取り入れることで基礎体力の低下を防止し、スポーツ競技へのスムーズな復帰をめざす。

 

膝部手術の後療法の留意点

1.術後合併症

股関節の場合と同様の合併症に注意が必要だが、膝の手術では駆血ができるので術中出血の問題は少ない。しかし、術後出血の管理に注意が必要である。

膝関節は他の関節に比して、膝蓋上包を含め大きな関節腔を有している。術後の腫脹が続き膝蓋跳躍動が高度のときや、感染が疑われるときはただちに関節穿刺と細菌学的検査を行う。

膝部での深部静脈血栓症は肺塞栓になる可能性があり、しかもギプス固定をしていると気付かないことがある。不明の発熱、心肺機能不全に十分注意する。

 

2.術後の後療法

半月板切除術後は、腫脹など手術侵襲が鎮静するまで(通常3~5日)は松葉杖を用いて免荷をする。手術翌日から全荷重歩行を許可する報告があるが、滑膜炎を起し慢性化すると関節水症も合併し治療に難渋することがある。

手術翌日から関節可動域訓練、大腿四頭筋強化訓練を開始する。術前に屈曲拘縮が続いた例では、後部関節包、ハムストリングスなどの拘縮があるのでしばらく完全伸展障害が継続することがある。

半月板縫合術後の後療法については半月板の癒合期間、力学的強度によって開始時期は異なる。通常、関節可動域訓練、大腿四頭筋訓練は術後早期に開始し、3週間免荷後に日常生活動作に復帰させる。一方、ACL損傷に合併した半月板縦断裂を縫合した場合は、ACL再建術の後療法に準じるので、術後の腫脹がとれると荷重を開始することも少なくなく、これは半月板損傷がred zone(血管分布領域)における縦断裂の場合は、放置してもほとんどの場合には癒合するという臨床経験によるもの。

膝関節は人体最大の関節であり、その可動域は伸展0°から屈曲150°と大きく、わずかな伸展障害でも跛行となり、またわずかな屈曲障害でも正座不能になる。その一方、関節の安定性は靱帯・半月板・筋肉等軟部組織に依存しており、手術結果をX-pでは確認しにくい。不用意な固定をしたり、後療法の開始時期を逸すれば手術の成果を無にしてしまうことがあり、後療法の成否が手術の予後を決定するといっても過言ではない。

 

a.四頭筋の等尺性運動

目的:術後関節を動かすことなく、四頭筋の筋力を維持、強化できるので下肢の後療法には不可欠なものであるが、膝関節の手術後には特別の意味がある。術後関節内血腫を生じた場合は、伸展位で放置すれば、膝蓋上嚢での強い癒着を残し、膝関節の屈曲障害となる。術後の血腫を吸引ドレーンで除くことも大切だが、常時、四頭筋の等尺性運動をすると、関節内の貯留物を膝蓋上嚢の上部まで行き来させるポンプ効果を起こし、膝蓋上嚢の癒着を防ぐことができる。

方法:仰臥位で膝蓋骨の自動挙上(パテラセッティング)の指導を行う。膝蓋骨の可動性を確保する練習と同時に、自動的な膝蓋骨の運動を学習させる。その際、膝蓋骨が大腿四頭筋によって引きつけられていることを、視診と同時に、膝蓋上縁への抵抗によって確認・指導する必要がある。

ついで膝伸展下肢挙上(SLR)をさせる。できないときは、足関節と第一趾を同時に背屈させて下肢を挙上させる。また外側広筋、内側広筋は足を外反位、内反位にすることで選択的に等尺性運動をすることができる。

 

b.拘縮防止

膝関節の屈曲防止のため、術後伸展位を必要とするときは、(半月板切除術など)下肢を伸展位で挙上する。

膝を軽度屈曲させるときは(靱帯損傷、膝蓋骨骨折など)、ソフトブラウン架台上におく。

膝周辺骨折では、膝関節を90°に屈曲した位置で架台に4~5日間挙上する。損傷が強度であったり、他の部位の損傷などで長期臥床が必要のときはsuspension therapy(バネ式四頭筋訓練)で、膝の自動介助運動を早期に開始する。

関節軟骨の栄養には膝関節屈伸運動によるパンピング作用が貢献しており、術後早期より膝を動かすことが、関節軟骨の治癒と拘縮予防に有効である。したがって術後早期に動かしてよい症例にはCPM(continuous passive motion)を通常病棟で施行される。理学療法士は必ずCPM施行の際に、関節の運動軸と機械の運動軸に大きなずれが生じていないかチェックする必要がある。軸がずれたまま設定角度を上げていくと、痛みに伴う膝周囲の筋緊張を亢進させ、可動性の改善が得られない場合がある。また、術後早期から膝蓋骨の可動性をチェックして上下左右に動かすよう指導する(膝の可動制限の多くは膝蓋骨の可動制限に由来すると考えられているからである)。CPMを施行していない時もベッド上で自動運動を行い、可動域を確保することが重要である。また、可動域制限が重度な場合、温熱療法を併用して軟部組織の持続伸張を行う。

c.自動介助運動

d.自動屈伸運動

e.四頭筋筋力訓練

外側広筋、中間広筋、大腿直筋は重力に抗した運動で強化される。したがって抵抗運動により強化する。一方、内側広筋は回転運動で強化される。したがって自転車などの訓練も必要である。

抵抗運動:砂嚢を下腿につけて下肢伸展挙上運動を行う。これはベッド端の端坐位での用手的な抵抗運動やチューブを使った運動でも行える。

伸展ラグ(extension lag)の除去:術前と術中・後の可動域に大きな差がある場合、特に伸展可動域でラグの起こる可能性が高くなるので注意が必要である。膝の他動的な可動性を確保すると同時に、その可動範囲での膝の自動運動を可能にする必要がある。可動域はあくまで獲得した範囲で自動的に運動できなければ大きなlagを残し、術後に膝の動的不安定性を発生させてしまう危険性がある。具体的には術後早期からパテラセッティングの指導を行う(方法は上述した通りである)。伸展ラグがある場合には、膝の伸展力増強のためにスプリングを使用して抵抗運動を行う。

 

3.その他

関節内に留置した吸引ドレーンチューブは24時間で抜去する。その他の場合は48時間で抜去する。抜糸はナイロン糸の場合は10日から2週間で行う。関節内血腫、水腫に対してはまず冷庵法を行う。ついで穿刺吸引をする。

 

後療法プログラム

①鏡視下半月板切除術

術前よりリハビリテーション科で四頭筋の等尺性収縮運動を修得しておく。

術後肢位:弾力包帯で圧迫、膝関節は伸展位、または伸展位挙上

1日:四頭筋の等尺性運動を開始。SLR開始、CPM 0~60°より開始。

弾力包帯固定にて両松葉杖使用し部分荷重歩行開始。

4日:荷重量増加(1/2荷重)。

7日:弾力包帯除去。全荷重歩行。

 

②関節切開による半月板切除術

*現在は鏡視下手術がなされており、手術侵襲が大きく、膝の回旋不安定性も出現する可能性がある関節切開術はほとんどされていない。

1日:四頭筋の等尺性運動開始。

膝伸展位装具で免荷杖歩行。

2日:SLR開始。膝蓋跳動がある場合は、冷庵法か関節穿刺。

CPM 0~45°より開始。

5日:部分荷重歩行開始。歩行時の装具除去。

10日:荷重量増加(1/2荷重)。

14日:全荷重歩行。

 

注意

1.歩行後関節水腫が著明なときは、ベッド上の安静をとり、免荷での運動(四頭筋の等尺性運動など)で経過をみて、再び荷重歩行を開始する。過剰な可動域訓練や荷重歩行はかえって後療法を遅らせる。

2.円板状半月の場合は荷重開始を遅めにし、支柱付きサポーターを装着する。

円板状半月板は発生学上の特性により外側に発現し、内側に発現することはまれである(外側半月板の破格でDiscoidと呼ばれる)。

小児半月板障害はほとんどが円板型を呈する先天性形態異常が原因となり、損傷、変性が加わっていることが多い。小児例は成人例と多少異なり、①膝関節伸展制限extension block②大腿四頭筋萎縮、③弾撥現象、クリック、④疼痛が主要臨床症状である。10歳以下の小児で膝関節伸展制限を訴えたら、まず外側半月板の円板型形態異常を考える。疼痛を訴えることは成人ほど多くはない。むしろ母親、幼稚園・小学校の先生が膝関節伸展障害による跛行、周囲に聞こえるようなクリックに気付き受診させることが多い。12歳以上になると成人例と類似した病態を呈するようになる。治療はまず対称的に保存療法を試みるが、膝関節伸展障害、頻繁に出現する弾撥現象、クリックが継続すると二次性に関節軟骨に不可逆性変性、損傷をもたらすので、無計画に保存を繰り返すことは慎むべきである。

手術は関節鏡視下で行われることが多い。Complete typeは亜完全切除を適応することが多い。Incomplete typeは、正常型半月板の形態に形成する形成的部分切除術が適応となる機会がある。形成的部分切除術は、亜全切除に比較して術後の変形性変化の出現が軽微であるという報告が多い。

 

③鏡視下半月板縫合術

術前より四頭筋の等尺性運動行う。

術後肢位:膝関節屈曲30°ギプス固定。

1日:四頭筋の等尺性運動、SLR開始。

2週:ギプス除去、自動介助運動開始、CPM開始、部分荷重開始。

3週:荷重量増加(1/2荷重)。

4週:全荷重歩行。

 

注意:縫合部が長い場合や、縫合部が半月板体部の場合は、外固定期間を長くする。

半月板辺縁部損傷の場合でも、変性断裂や、円板状半月板の症例の時は縫合術ではなく切除術を施行することになる。

また、縫合術の場合、スポーツ復帰に最低3ヶ月かかるため、早期復帰を目指すスポーツ選手には慎重に適応を検討しなければならない。

新鮮例で滑膜部に交通する断裂で半月板の安定性のよい場合、辺縁部損傷でも縫合せずそのまま放置し、ギプス固定にて保存的に治療することがある。

新鮮例の場合、半月板損傷部に穿刺し、出血を起こさせることによりその後の固定により保存的に治癒した症例も報告されていて、今後の研究の余地がある。

 

関節鏡視下手術の問題点

熟練した術者が行うと特に問題はないが、技術が未熟であると手術時間が長くなる。それにより患部のダメージが大きくなり、同部の筋緊張も強くなり、膝の腫脹も強く認められるようになる。そうなると術後運動療法の阻害因子になり不良例を作るきっかけになる。例として、関節可動域障害、筋萎縮、荷重困難(歩行障害)などがあるR.S.Dなどの重篤な後遺症を残すきっかけにもなり兼ねない。

これではなんのための最小侵襲での関節鏡を用いたのか分からなくなる。

以上の点を踏まえて手術を行うことは大切で、PTとしてもリスクファクターとして知っておくことは重要である。

 

基本手技

1.可動域運動

疼痛のない範囲でのゆっくりとした自動可動域運動から開始し、最終伸展・屈曲域の獲得は慎重に行う。疼痛が生じる場合は、下腿の内外旋を調節し、最も疼痛の少ない肢位で可動域を拡大する。

2.筋力強化トレーニング

(1)SLR運動

足部に重錘を負荷おし、軽度屈曲位から膝を伸展・挙上させる。疼痛がなければ運動範囲を拡大する。

(2)ゴムチューブでの筋力強化トレーニング

下腿近位部に抵抗を加えることにより、下腿の回旋を抑制することができる。疼痛が生じる場合は、疼痛のない運動範囲から開始し、下腿の回旋方向を疼痛の減少する方向に調節する。

(3)荷重トレーニング

患側への荷重が許可されれば、体重を支持した状態でのトレーニングを加える。

a.固定自転車

ペダリング動作はサドルの高さにより膝関節の運動範囲の調整が可能であり、可動域拡大にも用いる。運動強度の高いスポーツに復帰する場合には、抵抗値と時間の設定により心肺機能を含めた全身持久力の維持、増強を図る。

b.スクワット

両脚の接地から片脚、さらにダンベルなどの負荷を加えたスクワットを段階に従って実施する。体幹を前傾させたハーフスクワットは膝屈筋の筋活動が増大する。

c.膝屈曲位歩行

患肢の全荷重が許可された段階から、膝を屈曲した状態での歩行、さらに速歩のトレーニングを行う。膝を屈曲した状態を維持しているので安全なトレーニングであり、かつ体重を負荷した状態での膝周囲筋群などの筋力強化、下肢のバランス向上に有効である。

(4)スポーツトレーニング

a.ツイスティング

踵を床から挙上し、母趾球に重心を乗せた状態で、足尖と膝の方向を一致させて方向転換を行わせる。膝関節に過剰な回旋ストレスが加わらないように注意する。ゆっくりした動作から開始し、習熟に従い速度を上げていく。

b.ステップ動作

ステップにはクロスオーバーステップとオープンサイドステップの2種類がある。クロスオーバーステップは、軸足に対側の下肢を交差させて方向転換をさせるステップで、オープンサイドステップは、転換していく方向と反対側の下肢に荷重をかけて軸足とし、対側の下肢を踏み出すステップである。前述のツイスティングの発展型としてクロスオーバーステップへとつなげていく。オープンサイドステップは、軸足の足底が前面接地していると膝関節に過剰な外反や回旋のストレスを生じるので、踵を挙げ、足尖を進行方向と一致させる。

c.ランニング

ゆっくりとしたジョギングから徐々にスピードを上げていく。はじめは走路面の整った場所での直線走から開始する。疼痛などの症状の悪化がなければ、坂道や8の字走などを取り入れていく。

(5)患部外トレーニング

手術侵襲の加わった膝以外の部位の筋力強化は、積極的に行う。

(6)テーピング

非荷重・荷重状態で屈曲・伸展や回旋運動について疼痛の発生しない方向へ、テーピングによる制動を行う。伸展を制動する場合には、膝軽度屈曲位で膝蓋腱下方から膝軸の後方を通り大腿後面へと走行するテープを巻く。また、しゃがみ動作で膝窩部に疼痛を訴える場合は、大腿遠位と下腿近位にパッドを挿入することにより、最大屈曲を制限する。回旋については、疼痛の少ない方向へ足尖を向け、膝軽度屈曲位で下腿全面から後面を通り大腿前面に達する回旋テープを巻く。

「半月板損傷」の画像検索結果

(・_・;)参考文献

医療学習レポート.半月板損傷


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