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(^〇^)脳血管障害と運動療法の話


( *´艸`)題名:脳血管障害と運動療法の話

1.中枢性麻痺の本態と特徴

・中枢性麻痺の回復は質的変化を中心とするものである

(末梢性麻痺は量的変化を主とするもの)

・片麻痺を始めとする中枢性麻痺においては、回復の途上において、質的に異なった異常な現象が多数出現する

・質的に異常な現象

〈陽性徴候〉

⇒ 上位中枢より抑制されている原始的現象の顕在化した場合の徴候

共同運動パターン、連合反応、筋緊張亢進 等

〈陰性徴候〉

⇒ 直接的な神経機構の障害による脱落症状

随意運動の消失、立ち直り反応・平衡反応の消失 等

・共同運動は、本来脊髄には屈筋系のニューロン同士、伸筋系のニューロン同士の間に機能的な連関があり、それが中枢からのコントロールが弱まった状態で前景に出てくる(陽性徴候)ものと考えられる

・共同運動と並んで重要なものに連合反応があり、共同運動が脊髄ニューロンの異なった髄節間での上下の連絡であるとすれば、連合反応は左右の連絡である

・姿勢反射も中枢性麻痺の特徴の1つであり、陽性徴候として片麻痺患者の患側に出現する

・上位運動ニューロンの障害により、下位運動ニューロンは上位の抑制より解放されて原始的なパターンで働くようになり、痙縮、深部腱反射亢進、手指・足趾屈曲反射、クローヌスおよび病的反射などの錐体路徴候が出現

 

錐体路徴候

①深部腱反射の亢進

②新たな反射の出現(手指屈曲反射、足底筋反射など)

③病的反射(バビンスキー反射、オッペンハイム反射など)

④クローヌス(膝蓋クローヌス:膝蓋間代など)

⑤筋トーヌス亢進(痙縮):折りたたみナイフ現象、速い程抵抗が強い(速度依存性)

⑥原始的な運動パターン

・共同運動・・・1つの筋を収縮させると、いくつかの筋が同時に収縮する

・連合反応・・・健肢の筋収縮をすると麻痺肢にも類似の収縮がみられる

脊髄反射

1.緊張性頸反射(TNR):上部頸髄-脳幹レベル

1)非対称性緊張性頸反射(ATNR)

・頸部の捻転 ⇒ 顔の向いた側の上下肢の伸筋優位、反対側の屈筋優位

2)対称性緊張性頸反射(STNR)

①頸の屈曲 ⇒ 上肢屈筋優位、下肢屈筋優位

②頸の伸展 ⇒ 上肢伸筋優位、下肢屈伸優位

2.緊張性迷路反射(TLR):脳幹レベル

①背臥位 ⇒ 上下肢伸筋優位

②腹臥位 ⇒ 上下肢屈筋優位

3.緊張性腰反射(tonic lumbar reflex)

・上半身を右に捻転した時・・・①右 ⇒ 上肢屈筋優位、下肢伸筋優位

・・・②左 ⇒ 上肢伸筋優位、下肢屈筋優位

*連合反応、共同運動パターンはBrunnstrom Stage参照

【脳血管障害の評価一覧表】

障害 評価方法 評価項目・目的
機能障害 意識障害

 

注意障害

前頭葉障害

 

半側空間無視

 

 

失語症

 

 

 

構昔障害

知能障害

 

運動麻痺

痙縮

嚥下障害

 

排尿障害

JCS

GCS

TMT

PASAT

WCST

線分2等分テスト

Albertの抹消試験

描画

SLTA

WAB

明瞭度テスト

長谷川式簡易痴呆スケール

MMSE

Kohs立方体

WAIS

Brunnstrom

MAS

水のみテスト

VF(Videofluorography)

EGG(electro glott graphy)

尿(定量、定性)残尿測定

尿流動態検査

 

 

 

 

 

文字図形の抹消

 

模写、自発描画

「聞く」「話す」「読む」「書く」の診断と治療効果

失語指数・大脳皮質指数(失語症の分類に役立)

5段階

スクリーニング30点満点

30点満点、国際的

右半球機能、失語症患者に使用可

PIQとVIQに分かれる職業復帰など精細な評価

6段階評価(上・下肢、手指)

スクリーニング

嚥下動態とリ八ビリテーション効果

電気抵抗測定

尿路感染

合併症

膀胱内圧

尿流量

括約筋筋電図

能力低下 ADL

 

言語的ADL

Barthel Index

FIM

CADL

14項目100点

15項目7段階評価

生活場面での失語症の能力

社会的不利

・他

 

 

 

 

記憶障害

うつ

IADL

老研式活動

能力指標

SIP

三宅式記名検査

 

ウェックスラー記憶尺度

 

 

Benton視覚記名検査

 

Rey-Osterrich

Complex Figure Test

Tower of Toronto

 

Hamilton Depression Scale

Self-Rating Depression Scale(SDS)

DSM一Ⅳ

8項目

老人の社会生活能力の指標

 

 

言語性記憶

単語の即時再生

言語性記憶

7つの下位テスト

記憶指数(Memory Quotient:MQ)

視覚性記憶

図形の記憶

視覚性記憶

複雑な図形の再生

長期記憶

手続き記憶

他者評価

自己評価

器質的、内因性精神病

 

≪急性期の目的≫

救命

合併症の予防、不慮の事故の防止

二次的障害(廃用症候群)の予防

・運動器系(拘縮や筋力低下)           早期離床!!

・呼吸循環器系(起立性低血圧や呼吸器感染など)   早期退院、積極的な社会生活への展開が期待

褥創予防

精神機能面への配慮

 

 

 

but! 個々の病態に応じたリスク管理

急性期では患者自ら自覚症状や異変を訴えることはほとんどないので・・・

ⅰ.顔色や表情、欠伸などの注意深い観察

ⅱ.バイタルサインのチェック              的確で速やかな判断と対応

ⅲ.頻回の呼びかけとそれに対する反応のチェック

 

1)意識障害

脳出血

意識障害 高度  3ヵ月以内 100%

中等度  〃     34%  死亡

軽度   〃     7%

*意識清明なものではこの間の死亡はない.

脳梗塞

意識障害 高度 3ヵ月以内 83%

中等度 〃    61%    死亡

軽度  〃    22%

 

⇒ 意識障害が強く、半昏睡以上になっているものは重症である.

発作当初より高度な意識障害が持続するも、数日の経過で昏睡に陥るものも予後は悪い.

 

3-3-9度方式;JCS(Japan Coma Scale)

Ⅰ.覚醒している(confusion、senselessness、delirium)

1.清明とはいえない

2.見当識障害あり

3.名前、生年月日が言えない

Ⅱ.刺激すると覚醒する(stupor、lethargy、hypersomnia、somnolence、drowsiness)

10.呼びかけで容易に開眼する

20.痛み刺激で開眼する

30.かろうじて開眼する

Ⅲ.刺激しても覚醒しない(deep coma、coma、semicoma)

100.はらいのける動作をする

200.手足を少し動かしたり顔をしかめる(除脳硬直を含む)

300.まったく動かない

付.“R”:不隠 “I”:糞尿失禁 “A”:自発性喪失

例 30-R 3-I 3-A

 

Glasgow Coma Scale(GCS)

大分類

小分類

スコア

A. 開眼

(eye opening)

自発的に

言葉により

痛み刺激により

開眼しない

E4

B. 言葉による応答

(verbal response)

見当識あり

錯乱状態

不適当な言葉

理解できない言葉

発現が見られない

V5

C. 運動による最良の応答

(best motor response)

命令に従う

痛み刺激部位に手足を持ってくる

四肢を屈曲する

逃避

異常屈曲

四肢伸展

全く動かない

M6

*GCS合計点数(最高15)が7以下は重症例、予後が悪い

 

2)Vital Signsの変化

【呼吸異常】

①チェーン・ストークス呼吸:チェーン・ストークス呼吸のみは必ずしも重症な指標とはいえない

②中枢神経性過呼吸(1分問25~30以上の呼吸数となり、力強く呼吸する)

③失調性呼吸(不規則な呼吸が連続し、その後無呼吸期になる群発呼吸、頻数で微弱不整な呼吸、リズムが全く不規則なもの)

※群発呼吸・失調性呼吸はいずれも死期が近いことを意味している

※注意すべき点:過呼吸で、気道閉塞もないのに、発作3日以内に異常呼吸を呈し、動脈血CO2分圧が30mmHg以下になるのは予後が悪い

【呼吸管理】

早期起座、早期離床 ⇒ 呼吸機能の維持、感染症の予防に効果的

意識障害(+)、人工呼吸器に依存患者場合

⇒ 意識障害(+)=広範囲の脳の障害 or視床下部、脳幹の障害(自律神経や呼吸の中枢)

呼吸機能が低下したり、呼吸器系の感染症につながることが多くなる

頻回の体位交換と、人工呼吸器のリズムに合わせて呼気介助などを行う

【脈拍の減少】

頭蓋内圧の上昇を意味している

脳圧がさらに亢進し続けると、脈拍は頻数不整となり重症となる

【血圧】

一般に上昇しており、必ずしも予後と関係しない

しかし、血圧が下降すれば脳圧亢進による脳幹障害で重症と判定してよい

【体温】

24時間以内に死亡する超重症例では体温上昇はみられない

中枢性高熱:予後不良

39℃以上の高熱で、問題になるのは3~14日くらいの生存例

⇒ 発熱例では3ヶ月以内に死亡

3)体位変換・良肢位

【原則】

安楽に休めること

【目的】

①褥瘡予防

②関節拘縮の予防

③変形の予防

④浮腫の予防

⑤排痰の促進と沈下性肺炎の予防

(体位変換は2~3時問毎に行う)

⑥痙性の軽減

⑦姿勢の正しい感覚を与える

⑧ある目的の動きを出させ易くする

⑨環境の正しい知覚・認知に役立てる

⑩運動開始の基準とする

【方法】

下肢は股関節伸展、膝関節軽度屈曲位、足関節直角、上肢は肩関節外転位、肘関節伸展位、手関節背屈位を基本に、いくつかを組み合わせて筋トーヌスの偏りを防ぐ。

 

【対策】

*たたんだタオルを挿入して体幹の対称性を保つ

⇒ 麻痺側の筋緊張低下のために骨盤や肩甲帯が麻痺側に崩れている

*クッションや枕等を利用して麻痺側手は体幹よりも高めに保持する。

*側臥位や半側臥位で上肢が後方に置き忘れ

⇒ 肩の痛みに関与する。麻痺側上肢の無視を助長する

*麻痺側下肢の放置

 

◆仰臥位 → できるだけ左右対称な姿勢を取らせたり、健側の上下肢や視線の動きが身体の正中線を越えるようにすることで麻痺側の認知を促す。

◆背臥位 → 緊張性頸反射や迷路反射の影響を受けやすいので、筋緊張の変化に注意する。

頸部の健側方向への回旋は、非対称性緊張性頸反射による麻痺側の上下肢の屈曲を引き起こす。

枕の高さは低くする。

◆側臥位(麻痺側下) → 麻痺側肩の疼痛の原因になりやすく、感覚障害のある場合には肩の二次的損傷を増悪させることもあり、急性期では避けた方がよい。

◆腹臥位 → 股・膝関節が伸展位に保持されることが利点とされ、呼吸器系、心疾患、骨関節疾患が認められない場合に適応となる。高齢者では困難

 

【体位変換による褥瘡の予防】

褥瘡発生因子のうち、持続的に加わる圧迫で血液循環が阻止された場合、筋肉・皮下組織では約2時間程度で非可逆的な変化が生ずるといわれている

そこで…

予防のためには2時間毎の体位変換

※片麻痺患者の褥瘡好発部位としては、仙骨部・踵骨部・外果部に多い

 

褥瘡形成までの4段階

StageⅠ

(充血:hyperemia)

その部に加わる重力を除去することで、この発赤は1時間以内に消失する

StageⅡ

(乏血:ischemia)

持続的に2~6時間重力が加わるとこの状態となり、免荷してから最低36時間を経過しないと消失しない

StageⅢ

(壊死:necrosis)

6時間以内に重力が免荷されないとこの状態に陥る

StageⅣ

(潰瘍形成:ulceration)

StageⅢの状態から2週間以内にその部位は潰瘍を形成して感染へと進む

 

4)関節可動域の維持

【目的】

①正常な筋緊張の維持               ②軟部組織の癒着防止

③関節拘縮の防止                 ④局所の循環改善

⑤覚醒水準の改善(脳幹網様体賦活系への刺激)   ⑥機能的動作実施のための準備

⑦関節痛の軽減(不動性関節炎の防止)       ⑧固有受容器の刺激による筋再教育

 

【開始時期】呼吸や心臓が安定・落ち着きしだい

脳出血 → 発症後数日以内

脳梗塞 → 発作直後

 

【注意事項】

①健側から行って安心させてから、患側の運動を行う。必ず左右とも行う。

②体幹に近い方の関節を固定し、痛みが起こらない範囲内でゆっくり行う。

③関節の全可動域にわたり行うのが原則であるが、発症直後意識の低下しているときは、その約2/3程度の範囲にとどめるのがよい。

④各運動動作は1関節5~6回行い、1日に2~3回実施する。

⑤ある程度指示が分かるようになったら、できるだけ早く健側の四肢の助けを借りて自己他動運動をすすめる。

 

急性期では…

筋緊張が低いことが多く、筋緊張の問題で関節可動域が制限を受けることは少ない。

過度なあるいは不適切、不用意な運動で二次的障害を生む可能性が高い。

特に肩関節では、疼痛や可動域制限を伴うことが多いので慎重に対応する。

股関節や膝関節では異所性骨化を惹起する可能性もある。

 

四肢に浮腫を伴う場合…

関節構成体の線維化が拘縮につながる可能性をもっている(特に麻痺側の末梢)

⇒ ポジショニングやマッサージなどによる浮腫の除去と他動運動を行う

5)座位練習(臥位から座位への移行動作)

・座位を開始する時期については、意識障害・全身状態により判断される

・脳循環の自動調節能の障害、血圧の安定は発作後2週間以降であることなどから、早期での頭部挙上や離床によるリハビリテーションは、血圧の急激な下降による脳梗塞巣の拡大をきたす危険性が高いことに留意する

・重症例を除き、意識障害は軽度にみられても全身状態が安定した段階で、頻回に血圧や耐久力をチェックしながら早期に座位を開始することが望ましい

 

【目的】

座位保持能力(安定性、耐久性)の強化

 

【開始時期】

ベッドアップ基準(下表)、座位耐性運動の基準(下表)

脳梗塞

通常発症後2、3日から座位を開始(軽症であれば1、2日からの開始)

主幹動脈の閉塞、血行力学的脳梗塞が考えられる場合などでは安静期間が少し長くなる

脳出血

脳梗塞よりも1、2日遅く座位を開始することが一般的(血腫の増大がないことが前提)

 

表 ベッドアップ基準

1.ベッドアップ開始の基準

1)症候の進行・動揺がないこと

2)全身状態が安定していること

 

2.ベッドアップ負荷

1)開始直前、直後、5分、15分、30分に自覚症状と血圧をチェック

2)ベッドアップ30°、60°、90°または自力坐位、車椅子、と段階的に負荷をかける

3)各段階が30分以上可能となったら次の段階へ進む

 

3.ベッドアップ負荷中止の基準

1)血圧低下

①血圧低下が10mmHg以上20mmHg未満では自覚症状や5分後の回復の有無で判断.血圧の回復が悪いときには主治医の指示を受ける

②20mmHg以上30mmHg未満の血圧低下では主治医の指示を受ける

③30mmHg以上の血圧低下時には即ベッドアップを中止

2)神経症候や自覚症状の悪化時は即中止し、主治医の指示を受ける

 

表 座位耐性訓練の基準

座位耐性訓練の開始基準

  1. 障害(意識障害、運動障害、ADLの障害)の進行が止まっていること
  2. 意識レベルが1桁であること
  3. 全身状態が安定していること

座位耐性訓練の施行基準

  1. 開始前、直後、5分後、15分後、30分後に血圧と脈拍を測定する
  2. 30°、45°、60°、最高位(80°)の4段階とし、いずれも30分以上可能となったら次の段階に進む
  3. まず1日2回、朝食・昼食時に施行し、安定したら食事ごととする
  4. 最高位で30分以上可能となったら車椅子座位訓練を開始する

座位耐性訓練中止の基準

  1. 血圧の低下が10mmHg以上のときは5分後の回復や自覚症状で判断、30mmHg以上なら中止
  2. 脈拍の増加が開始前の30%以上、あるいは120/分以上
  3. 起立性低血圧症状(気分不良など)がみられた場合

 

表 重症度別坐位訓練開始時期と進め方(麻痺程度はB.S.S)

第1病日意識障害+麻痺程度

坐位訓練開始時期

訓練の進め方

なし

1桁+麻痺Ⅴ以上

入院初日から可能 初めから90°坐位
1桁+麻痺Ⅳ以下 坐位耐性訓練基準に準じる 起坐・坐位保持可なら90°坐位から
2桁

3桁

起坐・坐位保持不可なら、坐位耐性訓練に準じる

 

坐位訓練の順序と方法

【運動順序】

【運動方法】

(1)バックレストやギャッジベッドを用いた他動的座位

(2)自力座位

(3)静的バランス(座位保持)

(4)動的バランス(左右前後)の獲得

(5)上肢の動作の組み合わせ

(1)他動的座位保持運動

バックレストまたはギャッジベッドを使用

※膝関節は屈曲位とし、腰が谷間に安定するようにする

起立性低血圧の症状が出現したら、すぐに頭低位へ戻す

1週問~10日で座位保持30分、約90°を目標とする

(2)能動的座位保持運動

ベッドの柵やロープを使用、またはセラピストによる介助

→ 坐面に手を置くのみで座位保持が可能となる

 

≪臥位基本動作≫

1)立ち膝骨盤ひねりと骨盤挙上(ブリッジ)

①立膝骨盤ひねり

・立膝をして両膝を合わせたまま左右に倒し、骨盤を回転させる運動で、最初は下腿下部を握り介助して行い、立膝が可能となれば自力で行わせる

・骨盤は麻痺側後方へ崩れやすいため、体幹・股関節周囲筋の活性化と、骨盤を中心としたアライメントの適正化を図り、歩行時の滑らかな動きの準備となる

②骨盤挙上(ブリッジ)

・安静臥位による体力・筋力・気力低下の防止のために行う.最初は膝を深く屈曲して健脚のみで行わせ次いで膝を組んで行い、さらに膝を浅く屈曲して次第に負荷をかけていく

・骨盤周囲筋の活性化を図り、体重の移動に伴う適切な筋収縮を起こさせる

 

〈1)他動的坐位

バックレストによる他動的起座(全介助)

・静的座位では、麻痺側体幹が崩れることが多いので、クッションや理学療法士の支持で対称性を保つようにする

・ベッド上で座位がとれるようになった後、姿勢保持が効率的であるシートが硬い椅子などで座位訓練を行う.この時、リハ室にて行うことにより、周囲の訓練風景が患者の回復意欲を沸き立たせて、精神的に有益になる

・もたれ座位が約15分出来れば、座位バランスが完成していなくても車椅子に載せて病院内を回り、座位での耐久力をつけるようにする.また、バックレストの使用を止めて、独力座位・座位バランス訓練へと移ってもよい

 

(2)自動的起座

・半介助が可能となれば、器具を使用せずに床に上肢をついて起きる訓練に移る

・多くの場合、健手で布団あるいはベッドの縁を掴んで、上体を起こして座位になろうとするが、上肢屈曲位、肩甲帯後退、下肢伸展位となって動作が困難になる

・肩甲帯、骨盤帯の回旋により立ち直り反応を利用することで、痙性パターンのある程度の出現を予防することが出来る

 

【座位・四つ這い・膝立ち保持基本動作】

1)座位バランス

・最初は長座位で行い、習熟したら片麻痺ではベッドの縁に腰掛けて行う

・片麻痺では座位バランスの可否が、歩行が出来るか否かの目安となり、バランスが獲得出来なければ車椅子駆動能力もない

・独力で座位を保ちながら、健側上肢を上・横に挙げる、頭を前後左右に動かす、体幹の回旋動作、術者が体を前後左右に軽く押す、などを行っても座位保持が可能となれば、座位バランスを獲得したと判断する

・体幹の左右側屈・回旋運動からなるバランス体操をベッドサイドで自主訓練させる

・バックレストなしで10分程度の座位保持が可能となれば、立位訓練へと移る.しかし、座位バランス不良に対する改善訓練としても、立ち上がり訓練が有効であるとされている(頸部・背筋群強化)

指導の要領

①出来れば姿勢鏡の前で、傾いているのを見せて直させる

②少しでも傾いたら、掛け声による刺激を与える

③傾いた時は支えず、むしろ傾く方向に軽く押して、姿勢反射による立ち直りを誘発する

④次第に頭を垂れて前屈する時は、両肩または頭部を下方に押し、それに対抗して体幹を伸展させる

⑤側方または後方にどうしても傾く時は、麻痺側殿部の下に小枕を敷かせる

⑥長座位で後方に倒れやすいのは、股関節屈曲制限かハムストリングス短縮が多いので伸長運動を行う

 

2)座り方

・座位バランスが完成し、自動的起座も出来るようになればベッド上で最も安定した座り方をとらせるが、大半は患者自身が最も楽で安定したものを選ぶ

・座り方が決まったら横・縦移動動作を指導する

 

3)座位体幹前屈運動

・座位バランスが出来たら、病室ではベッドで端座位をとらせ、正面または斜めに体幹前屈運動をベッドサイド自主訓練として行う

 

4)四つ這いバランス

・片麻痺ではバランスが著しく不良のものに行うが、普通は不要である

・対麻痺では主として、上肢・肩の強化と松葉杖歩行の前準備として行う

・対麻痺では臥位から腹臥位となり、肘を伸ばして上半身を起こし、全体重を両手に掛け殿部を持ち上げて膝を曲げて四つ這いになる.次に片手を交互に前に上げてバランスをとる

 

5)膝立ちバランス

・目的、適応は四つ這いバランスと同じで、片麻痺では患肢の支持力とバランスの訓練となる

・片麻痺では膝を曲げた横座りとなり、次に健手をついて四つ這い位となり、健側大腿を健手で掴まえながら体幹を起こして膝立ちとなる

・体重の前後・左右への移動、体幹回旋などを行う.指導内容は座位バランスに順ずる

 

4.座位移動基本動作(いざり動作)

・教え始める時期は、

①1本杖歩行が確実に出来ず、監視または支持を要する程度で止まった時

②平行棒内歩行をしているが、将来1本杖監視歩行以上に進歩する見込みがない場合

 

≪回復期の理学療法≫

目的:

1)随意運動の促通(種々のfacilitation)

2)関節可動域の維持・改善(疼痛緩和)

3)筋力の維持・強化(特に健側上下肢、体幹)

4)基本動作の獲得(バランス、耐久性を含む)

 

≪立位運動≫

起立基本動作

・座位保持が出来ないと、起立動作の訓練は出来ない

(座位バランスがとれなければ、立位バランスはとれない)

・平行棒内で行い、股関節周囲筋の支持力、股内転傾向はみられないか、膝折れあるいは過伸展傾向にはならないか、足関節の支持性、内反足あるいは伸筋優位となった強い底屈位をとっていないか、などを観察する

 

(1)他動的立位(介助立位)

【起立台(tilt table)の使用】

※直立位(80°)で30分保持可能を目標とする

同時に圧迫包帯などは少しずつ外していく

麻痺部分に流入する血液を最小限にとどめ低血圧の発生を防ぐ

(2)能動的立位

【開始時期】

①椅子座位が十分に安定していること

②健側下肢に十分な力があること

③健側上肢に十分な力があること

※初めての立位では支持物を用いる

(支持物:平行棒、歩行器、手すり、椅子の背、テーブル、ベッドなど)

 

【注意】

①膝折れ

②骨盤の後退

③患側への骨盤の回旋

【運動方法】

①できるだけ左右対称に保持する→支持基底面をやや大きくとる

姿勢矯正用鏡の使用

②股(腰部)・膝の曲がりすぎ、反りすぎに注意する

③5分以上の静止保持は苦痛なことが多いので避ける

④指導は必ず患側の下肢(膝)を中心に、脚をコントロールする

 

≪立ち上がり運動≫

【運動方法】

高い坐面から開始し、徐々に低い高さで可能になるように進める

足の位置  非麻痺側をひく…..非麻痺側支持の立ち上がりとなる

理学療法開始初期に行う

麻痺側をひく………麻痺側支持の立ち上がりとなる

麻痺側の支持性改善の運動として行う

両足をひく………….両足支持により体重を均等にかけて立ち上がることが可能

※患者は重心を正中位に保持することが困難 → 姿勢矯正用鏡の使用

セラピストの誘導により正中位を意識させる

介助側  前方…………膝折れの防止

(前方から患者の膝を介助者の膝で固定)

側方…………正常人の立ち上がるタイミングの体得

(患者の麻痺側に体を密着させ、一緒に立ち上がる)

【起立方法】

①椅子に浅く腰掛ける

②足をひく(足の位置は上述した通り)

③上半身を十分に前傾させ、重心を下肢にのせる

④殿部を持ち上げる

⑤腰と膝を伸展させ、体幹を起こす

 

1)介助起立

a.斜面(傾斜)テーブルによる他動的起立(全介助)

・バックレストにより他動的起座(もたれ座り)が出来ない時、座位バランス(ひとり座り)がいつまでも出来ない時、平行棒内で上手く立てないときに用いるが、維持的の意味合いが強い

 

b.平行棒内起立(半介助)

・最初は介助により、辛うじて椅子座位より起立する.これは、筋力低下、その他の障害によることが大半であるが、要領が分からないという点もある

・大腿四頭筋、大殿筋、体幹筋群の筋力が著しく弱く、立位の時に膝・股関節固定が効かず、膝折れ・腰折れが起こる場合がある

・患者は健脚を患脚より後ろに位置するほうが立位をとりやすいが、これは患脚の伸筋パターンを促通し、また、患脚への体重負荷が困難となる

・足関節背屈、膝関節屈曲、股関節屈曲位で、体幹前傾位となり患脚にも十分体重を負荷するよう介助し、患側骨盤の後退をみないようにしてゆっくり立位となる

・立位時に患脚への体重負荷困難、股関節周囲筋による支持力低下、強度の股関節内転筋群の緊張、体幹伸群の支持力低下がみられるときは、四つ這い・膝立ちによる患脚への体重負荷・バランス保持などを並行して実施する

 

c.平行棒・手すり・テーブルを前にした対面起立

・患者は後方へ傾いて、バランスを失うものが多いが、それは前方に倒れるという恐怖心からであり、この方法ではそれが取り除かれるとされている

・開始時期は座位バランスが完成した時であり、訓練の利点を以下に挙げる

 

①下肢に対する漸増抵抗運動法(PRE)である   ②バランスの訓練も兼ねる

③全身的な体力回復訓練(re-conditioning)    ④次の段階の歩行・階段歩行や移乗動作に直結

⑤失敗がなく、失敗感を味わわせない       ⑥介助しないか、介助を最小限にする

⑦前方に倒れる恐怖感がない

2)ベッドサイド半起立

・片麻痺で平行棒内において、立つ・腰掛ける動作がある程度出来たら行う.また、自主訓練としてベッドサイド復習させても良い

・体幹前傾位で行い、正面半起立と斜め半起立とあり、下肢筋力増強のために膝を完全に伸展するまで立たず少し屈曲位で止める

 

3)自動的起立

・腰を半分浮かせてはまた腰掛ける動作を何度か繰り返し、やっと立てるのはバランスが良くないか、下肢・体幹の協調運動が悪いからである

・いつまでも一度で立てないものは独立独歩になる可能性が少ない

 

≪立位保持基本動作(立位バランス)≫

1)平行棒内立位バランス

・健手を平行棒より離し、頭をかかせたり、万歳をさせたりする

・下肢を左右に開き、患脚に体重を掛けて患側へ身体を傾ける(健脚でも行う)

・下肢を前後に開き、体重を前後に交互に掛ける

・患脚を前後に交互に踏み出し、体重を掛ける(健脚でも行う)

・患脚への体重負荷を増すと、支持性を得るために膝を過伸展し、足関節底屈位、股関節屈曲位で骨盤後退を伴った姿勢となることがあり、骨盤を正しい位置に誘導すると膝折れがみられる

 

2)ベッドサイドステップ踏み越し

・立位バランスが出来るようになった時点で、自主訓練として行う

・ベッドサイドでベッド枠か、廊下で手すりを掴んで、ステップ踏み越しを行う

・バランス訓練、患脚筋力増強、歩行準備動作も兼ねる

 

3)階段ステップ踏み越し

・車椅子で施設内の階段まで移動し、自主訓練として行う

 

4)階段昇降訓練

・片麻痺の早期プログラムに、起立・階段昇降訓練は実行しやすく効果的である

・歩行準備訓練として行い、平地歩行より心理的な安心感があること、体幹・下肢の筋力・協調性・可動域の改善に役立ち、循環・呼吸器系障害の漸増運動訓練(graded exercise)にもなる

 

≪歩行基本動作≫

・平行棒や杖を使って、実際に訓練室を歩く基本的動作の練習で、これまでの基本動作の大半は、この歩行基本動作の準備段階に過ぎない

・歩行訓練の準備段階は、歩行基本動作として訓練室内である程度保護されて行われ、その後ADL訓練の移動動作訓練として、実際の場で保護されずにむしろ慣れるということを主眼においてなされる.両者は並列的に同時に行われ、次第に比重を移していく

 

1)平行棒歩行

・常時2点支持歩行(3動作歩行)の歩行パターンで訓練を行う

・患脚が前に出にくい原因の大半は、股関節屈筋の筋力低下、下肢の痙性、尖足・内反足にあるが、その他に筋力があっても要領が分からないことや、振り出しの際にバランスが崩れる恐怖感などが絡み合う

 

2)杖歩行

片麻痺では平行棒内で立位バランスが取れ、歩けるようになったら杖歩行に移る

①常時2点支持歩行(3点歩行)

・健脚が前に出ている時は、残りの患脚と杖の2点で支持しているように、常に2点で支持している

・安定性があり、軽症の一部を除き片麻痺患者の3/4は常にこのパターンで歩き始める

・健脚(または患脚)が接地する時、健脚の足先が患脚の足先を越えるか(前型)、並んで揃うか(揃い型)後ろへ接地するか(後型)で3つに分けられる

・この3型は、歩行が安定するにしたがい、後型 ⇒ 揃い型 ⇒ 前型の順に変化していく傾向がある

 

②2点1点交互支持歩行(2点歩行)

・歩行時、2点(杖と患脚)と1点(健脚)で交互に体重を支持する方法で、バランスを保つことが上達した時点で行い、歩行速度は速い

・いきなり2点歩行から始まることもあれば、常時2点歩行をしていたものが訓練により3点歩行に移行していくこともある

・後型 ⇒ 揃い型 ⇒ 前型の順に変化していく傾向は少ない

 

③不規則支持歩行

・下肢の運びと無関係に杖を突くもので、体重支持というよりバランスの確実を期するために、知覚代わり杖を利用している

 

3)杖なし歩行

・杖歩行をしているうちに不規則歩行となりバランスが確実になったら、ときおり杖を浮かせて歩かせる

・この時期は3点歩行をしていても確実であれば、杖なし歩行を行わせる.これは、実生活では屋内でも屋外でも短距離を杖なしで歩かなければならないことが多いからである

 

4)応用歩行

・杖でどんな歩行パターンを示していても、確実性が多少でもあれば平地歩行訓練と並行して、スラローム歩行、蛇行、階段を使った応用歩行を練習する

 

≪個別的な問題に対する理学療法≫

1)痙縮

・痙縮は速さ依存性伸張反射の亢進状態であるため、他動的にゆっくり動かすか、持続的伸張運動が効果的である

・連合反応や陽性支持反応のような緊張性反射活動が痙縮の要因であり、緊張性反射活動を起こさないような対応が必要である

・アライメントを整えて、荷重すべき部位には十分荷重をすることで、必ず動きを取り入れていくことが大切である.体重を受け止めるべき足部が過敏であれば、丁寧な伸張などで抑制して感覚系の環境を整える

 

2)変形・拘縮

・拘縮の原因として痙縮、姿勢、不動性、防御的収縮などが挙げられ、単に他動的な伸張運動を行うだけではなくそれぞれの原因に適切に対応していく必要がある

 

①反張膝

・股関節周囲の筋緊張が低く、体幹を前傾して歩く症例では、下腿三頭筋の緊張も高い

・立脚前期から中期で、遠心性収縮をするはずの下腿三頭筋が求心性収縮を起こし、下腿を後方に引き戻してしまう

・体幹前傾に伴うハムストリングスの収縮も要因となる

・体幹前傾による荷重線の前方移動と足部の問題は、膝を反張傾向に陥れ、繰り返すことにより不可逆的な反張膝になっていく

・反張膝に対してはモンキーウォークを行ったり、スウェーデン式装具を装着することがある

 

②内反尖足

・麻痺側骨盤の後傾により、末梢である足部底屈に関与する筋群は過緊張状態になり、姿勢保持が可能となる

・内反を伴った尖足であれば、下腿三頭筋以外に後脛骨筋も相当の影響因子になっている

・十分な荷重により内反尖足の抑制を行うことが大切である.徒手による伸張では不十分である

・しっかりとした荷重と骨盤を中心としたアライメントの修正を同時に行い、外側Tストラップ付装具の使用も考える

 

【拘縮を生じやすい肢位】

上肢 肩関節…内転、内旋

肘関節…屈曲

手関節…屈曲

指関節…屈曲

下肢 股関節…屈曲、内転、外旋

膝関節…屈曲

足関節…底屈

 

2)異所性骨化

【定義】

解剖学的に骨が存在してはならない部分に新生骨形成を見る場合をいう。完成した骨化部分は、ハバース管や骨髄腔を備えた正常な骨組織であり、筋肉への石灰沈着とは区別される。

 

【誘因】関節部の乱暴な取り扱いによる外傷

(内出血 → 慢性炎症)

 

【好発部位】

股関節>膝関節>肩関節>肘関節

 

【予防法】

早期より麻痺側の愛護的関節可動域運動やマッサージを行い、関節や筋の拘縮を防ぎ、局所の循環をよく保つ。

 

3)肩手症候群(別紙の肩手症候群を参照)

4)肩関節亜脱臼(問題69の資料参考)

 

5)起立性低血圧

【症状】

臥位から座位あるいは立位に体位を変換する際、脳血流を一定に保てず循環器症状を起こし、高度の場合は失神をきたす。

循環器症状→顔面蒼白、頭痛、めまい、立ちくらみ、冷汗、生欠伸など

 

【対処方法】

早期より体位変換、ギャッジベッド、バックレストなどを用いた座位練習を実施する

傾斜起立台を用いた漸進的起立運動の実施

 

※傾斜起立台での立位訓練は下肢の筋収縮を伴わないため、筋パンピングによる下肢循環の促進は起こらず下半身への血液貯留が起こりやすいため好ましくない。しかし、立位への順応を獲得する点では適応となると考えられる

 

6)半側空間無視

①背臥位でのアプローチ

半側無視の患者の多くは、頸部の右回旋や体幹の右側屈を伴うことが多い、この状態では、注意は主に右方向からの刺激に過剰に反応、あるいは引きつけられている。また、常時右方向を向いているために頸部の拘縮が生じることがある。解放された左脳は言語機能を活性化して多弁さを作り、障害された右脳は周囲への注意を促さなくなる

 

【半側無視患者の背臥位】

頸部の右回旋と体幹の右側屈、右下肢の外転などの姿勢の異常が観察される。このため頭部の右側と右下肢の外側に砂嚢を置き、頸部の右回旋、体幹の右側屈、右下肢の外転を抑制する。正常な背臥位の姿勢感覚の習得、頸部・体幹の固有受容器による身体各部の認知を目的とする。患者は、この抑制された姿勢は窮屈な状態であると訴えることが多い。

※治療上の留意点

頸部の関節可動域訓練では、患者が痛みを訴える場合が多い。頸部筋をリラックスさせるために物理療法等(ホットパックなど)も考慮し、十分な可動域を獲得させる必要がある。

②ポジショニング

【ポジショニングを行う前に】

寝返り、起きあがりの動作を行い、動作時に見られる頸部体幹の立ち直り反応や健側上下肢の位置関係、タイミングなどを観察しておく。また可能であれば、立位での状態(頸部・体幹の立ち直り、回旋の状態、Pusherの状態などを観察したほうが効果を確認しやすい。

【ポジショニング】

2つあり、患者の症状により使い分ける。通常使うポジショニングは半腹臥位である。体幹の側屈が強いとき、または、急性期の患者の場合は、台にもたれ掛ける横座りを使用している。

 

③基本動作訓練

基本動作訓練は、ポジショニングの効果が現れている時間内に行っている。主な動作は、寝返り、起き上がりを中心とし、膝立ち位の保持や膝歩きなども他動的に行っている。

 

④座位訓練(端座位)

患側方向へ倒れようとする症例や、健側上肢で患側方向へ押すようなPusher現象がみられる場合、輸投げなどを使用して健側方向への大きなリーチ動作を行わせている。これにより患側骨盤帯への過剰な体重負荷や、健側上肢の過剰な反応の抑制が可能な場合がある。

 

⑤立位訓練

立位訓練を行う際、麻痺の程度が軽症でも患側方向や後方へ重心が変位し立位を保てない症例は、患側下肢に対してKAFOを利用している。その理由は、

ⅰ.装具なしの状態で患者の肢位を保つのはかなりの労力を必要とすること

ⅱ.装具を使用した場合ダイナミツクな動作や刺激を入力しやすいこと

ⅲ.また患側下肢補高用の足底板を使用すれば健側下肢への体重負荷が可能で、pusher現象を抑制することが可能であること、などである

 

⑥歩行訓練

左脳の抑制と右脳の促通を目的に、歩行練習では次のようなことを心掛ける

(1)治療としての訓練では右上肢で杖を使用しない

(2)左側腋窩から理学療法士が支え、左側に荷重するように誘導する

(3)左側の肩甲帯や骨盤が後退しているのを真っ直ぐにする

(4)歩行中に話をすることを抑える

※ ここで重要なのは、右手で杖を操作しないことと、右下肢で過度に荷重しないことである


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