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(^〇^)輸液ポンプの話


近年、輸液ポンプや輸注ポンプなどの医療機器が輸液管理に広く用いられている。機器を用いることでより微量の輸液管理が行えるようになったが、機器を用いる際には、それぞれの特徴や使い方を熟知しておく必要がある。また、それらのポンプ機器を過信せず、オーバーフローや輸液のもれなどを見逃さないよう、必ず看護師の目の前で確認することがたいせつである。

 

■輸液ポンプの小児への適応

小児では、以下のような場合に輸液ポンプの適応となる。

①中心静脈栄養施行時

②治療薬投与(ステロイド、血液製剤、抗がん剤など)

③脱水、手術時などの補液

④輸血

⑤生後1ヶ月以上で維持液を微量(5mℓ/時以上)で流す場合

⑥末梢静脈ラインは基本的に輸液ポンプを使用しないが、抱っこが多い児にたいして、正確に滴下されない場合

 

■輸液ポンプの原理

拡張性があり弾力性の高い輸液チューブを使用し、これを機械にはめ込んでローラーなどでしごいて、設定された量の薬液を注入する。薬液ボトルの高さや薬液の粘稠度、チューブや血管の抵抗などの影響を受けずに安定した輸液ができる。また、輸液速度と輸液予定量を設定することができる。

 

■輸液ポンプの構造

輸液ポンプは、ポンプ方式により回転するローラーでチューブをしごいて押しつぶし送液するローラー方式、フィンガー(凹凸)の連続的な前後運動によりチューブをしごいて送液するペリスタルティック・フィンガー方式などがいる。

ペリスタルティック・フィンガー方式の原理

比較的低流量で、安定した送液を行い、小児用の輸液セットが使用できる。

 

■輸液流量の制御方式

輸液の流量を制御する方法として、点滴制御方式と流量制御方式がある。

1)点滴制御方式

点滴制御方式とは、回路の点滴筒の点滴数をセンサーで測り、滴数から流量を計算し制御する方式である。点滴制御方式の輸液ポンプは、薬剤の濃度による滴の大きさまで判断できないため、一滴の大きさが変化すると流量の誤差が生じやすい。

ブドウ糖注射液など比較的大きい薬液やビタミン剤など界面活性剤などの添加剤が多い薬液は、一滴が小さくなり流量が減る。そのため、薬剤の比重・粘稠度・添付剤により流量を補正する必要がある。

滴下制御方式(滴下センサーの取り付け方)

点滴プローブ(滴下センサー)は、光を使って滴下の有無を監視している。

点滴プローブは、ミス検知をさけるため

滴下ノズルと液面の間に装着する

 

2)流量制御方式

流量制御方式は、投与したい流量を入力し、専用チューブの径が一定でしごいた回数から流量を計算し、制御する方式である。チューブの径が一定であることが計算の前提であるため専用チューブが必要であるが、専用チューブ以外のものを使用すると、チューブの径がかわり計算値と実際の流量が異なり、正確な輸液ができないことになる。

また、チューブをセットする際、ゆるませたり引っ張ったりすると流量に誤差が生じるため、軽く引く程度でセットするとよい。しかし、薬剤の比重・粘稠度・添付剤に関わらず補正の必要がない。

 

■輸液ポンプの基本的な操作

輸液ポンプの基本的な操作

①設置する

②電源を入れる

③輸液セットを準備する

④チューブを装着する

⑤流量/予定量を設定する

⑥滴下センサーを点滴筒に取り付ける

⑦開始する

(輸液中)

⑧停止する

⑨電源を切る

 

 

④のチューブの取り付けについては、空気(気泡)が入らないように注意してチューブ全体に薬液を満たし、クレンメを閉じ、その後、ドアロックレバーを上げてドアを開放し、チューブがゆるまないように少し引っ張りながらガイドに取り付ける。ドアを押しながらドアロックレバーを押し込み、クレンメを全開にし、点滴筒に滴下がないかを確認する (滴下がある場合は、クレンメを閉じて取り付けなおす)。また、クレンメは輸液ポンプより下流にセットする。ラインが長い場合などは、誤って逆向にセットしてしまい、血液が逆流するという医療事故につながるため、ライン走行の指差し確認を行う。

⑤の流量設定については、小数点があるため、見間違えないように、桁数に注意を払いながら正しく入力する。また、流量と予定量とを入力し間違えないように注意する。一番多い医療事故であるため、細心の注意をはらう。

 

■輸液ポンプの主な警報機能

【気泡警報】

チューブ内に(空気)気泡が流れてきたことを検出する。気泡センサーの送信機から出る超音波は、液体の場合は受信機に伝わるが、空気が流れた場合は受信機に伝わらず、異常として感知される。

超音波は、液体の場合は伝わるが気体は伝わらない。

【閉塞警報】

針先の詰まりや、チューブの折れ曲がり、または輸液セットのクレンメのあけ忘れなどによるチューブ内の圧力が上がったことを検出する。

【警報】

ドアが開いたことを検出する。

【完了警報】

予定していた輸液が完了したときに鳴る。

【バッテリー警報】

バッテリーで作動中にバッテリー容量が残り少なくなったことを検出する。

 

■輸液ポンプ使用中の留意点

①自然落下(重力式輸液)の輸液とポンプを使用した輸液の併用はしない

注意が必要な事例

重力式輸液とポンプとを併用した場合、正常な輸液が行われない場合がある

対策

ポンプを使用した点滴台には自然滴下の輸液剤をつるさない

 

②輸液ポンプの取り付け位置に注意する

点滴スタンドの高い位置に取り付けると、重心が高くなり転倒する可能性があるため、取り付け位置には十分注意する。下から1mくらいの位置(子供の身長によってはそれ以下の位置)で、スタンドのいずれかの足の上に位置するように付けると安定する。

③末梢静脈ラインの場合、刺入部からの液漏れに注意する

輸液ポンプは、刺入部からの液漏れがあっても、強制的に薬液が注入されてしまううえ、乳幼児は、自分の言葉で痛みや異常を訴えることができないため、早期発見が遅れることがある。必ず輸液開始後、定期的に刺入部の観察を行う。

④常に充電しておき、いつでも使用可能な状態にしておく

充電されていない状態で使用を開始した場合、コンセントを抜くと低電力でアラームが鳴る。また、緊急時に使用不可能とならないよう、常にコンセントを電源にさし、充電しておく。

⑤臨床工学士による点検を行う

転倒したり落下させたり、また何らかの働きがポンプに加わった場合は、外見上に異常がみられない場合でも内部で破損している可能性があるため、継続使用せずに点検を依頼する。異常がなくても、定期的な点検を行う。

⑥輸液ポンプの駆動部のチューブの位置は長時間同じ位置にせず移動する

長時間同じ位置で押され続けていると、チューブがつぶれ変形し復元力が落ちるため、流量の減少につながる。そのため、チューブは24時間に15cmずつずらす。

⑦フリーフローに注意する

フリーフローとは、輸液セットのクレンメや三方活栓を閉じずに、輸液ポンプからラインをはずすことにより、落差で残っている薬液が多量に注入されることをいう。必ずクレンメをクランプした後にラインをはずすことを徹底する。

⑧輸液ポンプに滴下した薬液はすぐに拭き取る

高カロリー輸液やブトウ糖が、フィンガー駆動部につき、固まると動かなくなり故障の原因となるため、すぐに拭き取る。

⑨放射線機器、MRIの管理区域内および高圧酸素療法室では使用しない

⑩極端な陰圧や陽圧が発生する可能性のある体外循環回路などには使用しない

⑪活性ガス(消毒用ガスを含む)や多湿環境などでは放置・使用しない

 

■輸液ポンプ使用中の看護

(1)子供の理解度に合わせた説明を行う

理解できる年齢の子供には、点滴が挿入されていること、点滴ラインを引っ張らないようにすること、点滴スタンドをつけて動くときには看護師に声をかけること、点滴スタンドを押して走らないことなどを説明する。また、子供だけへの説明では危険なこともあるため、家族にも説明し協力を得る。

②遊び・生活の工夫

点滴静脈注射による刺入部位が固定され、点滴スタンドに加え輸液ポンプがつくと活動が制限される。その制限を最小限にし、苦痛を軽減するために、移動が可能な場合は、バギーに乗せて気分転換をしたり、親とのスキンシップがとれるような配慮をするとともに、保育士の協力を得て遊びの環境をつくる。

③点滴中の観察

観察は最低でも1時間ごとに行う。自然滴下が不良な場合や刺入部位の状況によっては、頻回の観察を行う。

観察ポイント

・氏名の確認、リストバンド

・注射指示票、輸液薬剤名、指示量の確認

・予定量と流量の確認

・残量

・点滴ラインの確認:はずれ、からまり、屈曲、血液の逆流、空気の混入

・クレンメはポンプより下方にセットされているか

・ロールクランプは開放されているか

・三方活栓が閉塞になってないか

・電源コードはコンセントに差し込んであるか

・刺入部の観察:腫脹、発赤、痛み、薬液の漏れ

・固定はきちんとされているか


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