スポンサード・リンク

《*≧∀≦》呼吸器疾患の話


(^o^)題名:呼吸器疾患の話

1.肺気腫

呼吸細気管支から肺胞に至る肺小葉領域において,肺胞壁の不可逆性・びまん性破壊を受け肺全体が過膨張する疾患である.他のCOPDの疾患とは異なり気動自体の閉塞はないが,肺機能的には閉塞性換気障害がみられる.高齢者・男性に多く,喫煙歴が大きく関わってくる.

 

1)症状

(1)進行速度には個体差が大きいが,一般に十年単位での緩徐な進行であるため,体が低

酸素状態に慣れ自覚症状が現れにくい.

 

(2)自覚症状は坂・階段での息切れに始まり,進行に伴って呼吸困難,呼気時間に延長が認

められる努力性呼吸をするようになる.

 

(3)無意識の口すぼめ呼吸により呼気時に気道内圧が急に低下するのを抑え,気管支のつぶれを防止.

 

(4)喀痰は少なめ

 

(5)胸郭の前後径が拡大し,ビア樽型になる.

 

2)所見

(1)画像所見

①胸部X線所見

肺が前後に膨張するため,横隔膜の位置が下がり平坦化する.(横隔膜低位)肺野はX線透過性が亢進し,黒っぽくなる.

②胸部CT所見

肺胞壁がいたるところで破壊されるため,虫が食った様な黒っぽい低濃度領域(LAA)

がびまん性にみられる.

 

(2)呼吸機能検査

①スパイロメトリー

1秒率の低下,残気率の増大,肺活量の増大がみられる.肺拡散能の低下(肺胞破壊により血管へガスが拡散しきれない)と肺コンプライアンスの増大(肺がやわらかくなる)

 

②動脈血ガス分析

安静時には異常が認められない.病気の進行に伴ってPaOの低下,続いてPaCo2の上昇が現れる.そのため血液pHは低下し,最終的には呼吸性アシドーシスの状態を呈する.

 

3)治療

(1)外科的治療

進行は緩徐だが肺胞壁の破壊は非可逆的であるため,根本的な治療法はない.呼吸困難が著しい重症例では,気腫性変化が強く,むしろ呼吸を傷害するようになった部位を切除する肺縮小術が最近行われている.

 

(2)内科的治療

①日常生活指導

禁煙は、肺気腫自体の悪化を防ぐとともに,気道傷害によっておこる排痰障害や気道

感染を防ぐ.

適度な水分摂取を行う.過剰だと心不全,過少だと排痰困難を誘発する.

感染防止(手洗い・うがいの励行)

 

②肺理学療法

無意識に行っている胸鎖乳突筋などの補助呼吸を減らすために,頚部から肩,体幹にかけてのリラクゼーションをし,腹式呼吸の訓練を行う.排痰療法も随時行う.理学療法については後に詳しく述べる.

 

③薬物療法

気管支拡張薬,特に抗コリン薬の定期的吸入.他,気管支喘息の合併による息切れや喘鳴に効果のあるβ刺激薬も使用.感染防止のためには抗菌薬,去痰薬を使用.

 

④酸素吸入療法

PaCOが60Torr以下の状態が続くときに適応.酸素は鼻カテーテルで低流量にて慎重に投与する.病状が落ち着いている場合は在宅酸素療法が良い適応となる.

 

⑤その他

足背の浮腫をチェックし右心不全を発見することができる.意識障害やPaCOの著しい上昇を認めた場合は人工呼吸器を用いる.

 

 

2.慢性気管支炎

気道末梢の内径2mm以下で慢性的に起こる.気道粘膜の炎症性浮腫,気管支分泌腺肥大,繊毛細胞の荒廃がおこり,膿性喀痰の停滞と蓄積による末梢気道が閉塞する疾患.咳・痰だけを主症状とする単純気管支炎から,肺気腫を合併し多量の咳と息切れが進行し,呼吸不全に至るものまで様々である.40歳以上の男性に多い.持続性または反復性の痰を伴う咳が2年以上,毎年3ヶ月以上続き,しかも上気道・気管支・肺の限局性病巣や心疾患によらないものを「慢性気管支炎」という.

 

1)症状

(1)痰を伴う咳嗽が主症状

(2)「ブーブー」という低い音の乾性ラ音が吸気時・呼気時ともに聴取される.

(3)症状は冬季に増悪.増悪時には発熱,赤沈亢進,膿性痰が認められる.

 

2)所見

(1)画像所見

胸部X線所見で気管支壁の肥厚のため肺斑理がやや増強

 

(2)呼吸機能検査

①スパイロメトリー

1秒率低下,残気率増大,肺活量低下(気道抵抗の増大)

②動脈血ガス分析

単純気管支炎ではほとんどが正常.増悪期にはPaO2が低下,PaCO2は上昇,高血圧を誘発する.

 

(3)心電図

右心肥大の傾向がある.

 

3)治療

基本的には肺気腫と同様.慢性気管支炎の場合は去痰と感染予防に留意する.

(1)去痰対策

十分な水分補給,去痰薬が基本.それに排痰療法を組み合わせると効果的.

(2)感染予防

去痰自体が感染予防の第一であるが,加えて抗菌薬を投与することもある.長期にわたって使用する場合は「菌交代現象」に注意する.

 

 

3.びまん性汎細気管支炎

病理学的には慢性気管支炎と類似する,原因不明の炎症性疾患.ただし非喫煙者にもみられ,慢性副鼻腔炎を高率に合併する予後不良例が多い.

 

1)症状

(1)多量の喀痰と咳嗽

(2)気管支喘息に似た喘鳴.湿性ラ音と乾性ラ音を聴取できる.

(3)肺の過膨張によるビア樽型の胸郭

(4)進行すると息切れ,チアノーゼ,ばち状指を伴い,難治性気道感染症を高率に合併する.

 

2)所見

(1)画像所見

胸部X線写真では肺の過膨張,粒状影が認められる

 

(2)呼吸機能検査

肺気腫と同様に1秒率の低下を示すが,肺活量は低下する.肺拡散能は正常.

 

(3)血液検査

慢性炎症性疾患の様に,白血球の増加や赤沈亢進がみられる.

 

3)治療

(1)薬物療法

エリスロマイシンの少量長期投与.合併症の原因菌が見つかった場合のみ,一時的に殺傷力の高い抗生剤を投与.気管支拡張薬も投与される.

 

(2)呼吸理学療法

加湿療法も考慮して,排痰と腹式呼吸を訓練する.

 

4.気管支喘息

末梢気道において,気管支平滑筋のアレルギー性攣縮と炎症による気管粘膜の炎症と腫脹がみられる疾患.分泌亢進による一過性の気道閉塞によって,発作的に喘鳴を伴う呼気性の呼吸困難を示すのが特徴.外因型と内因型に分けられる.

★外因型(季節型・アレルギー型)

10歳以下の小児期に発症するもの.アレルゲン(抗原)の吸入・摂取により発作を誘発し,季節の変わり目に発作が起こりやすい.アトピー性皮膚炎の既往歴や家族歴など様々な因子が関与している.元来とらえられてきた,アレルギー性疾患としての気管支喘息.

★内因型(通年型・感染型)

成人以降に発症.感冒罹患後の咳が長引き,喘鳴を伴うようになり発症することが多い.発作は季節にはあまり左右されず,運動や喫煙に誘発される.アレルゲンがはっきりしないことが多い.

 

1)定義

気管支喘息はアメリカ胸部疾患学会により次のように定義づけされている.

①種々の刺激に対する気管,気管支の反応性の亢進により特徴づけられ,広範な気道狭

窄により症状を示し,気道狭窄の程度は自然あるいは治療により変化する.

②ただし,急性,慢性気管支炎のような広範な気道の炎症や,肺気腫のような肺の破壊性疾患,心血管疾患などによる気管支閉塞は除く.

 

2)症状

(1)発作的な呼吸困難が主症状.発作は明け方,春秋に起こりやすい.

(2)発作時には「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という喘鳴,咳と痰を伴い,発汗も著しい.

(3)発作時は呼気時間が延長した努力性呼吸がみられる.

(4)重積状態(喘息発作が数時間~数日寛解なしに続く状態)では疲労,脱水,頻脈はもちろん,チアノーゼや意識障害,窒息状態すら起こり,笛様ラ音が消失する.(生命に危険な状態)

(5)ビア樽型の胸郭

 

3)所見

気管支喘息の検査は,重症度の判定とアレルゲン検索が目的の核となる.診断基準は問診と聴診.

(1)呼吸機能検査

①スパイロメトリー

発作中は1秒率低下,肺活量低下.気管支拡張薬吸入後は改善.非発作時アセチルコリン吸入試験で気道過敏性が亢進する.

②動脈血ガス分析

中等度までの発作においてはPaO2,PaCO2ともに低下,重積状態ではPaO2は低下,PaCO2は上昇する.(COナルコーシス)重積で高濃度酸素吸入だけではナルコーシスはかえって悪化する点に注意.アンビューバックなどによる強制換気を加える必要がある.

 

(2)血液検査

好酸球値上昇,血清IgEは高値を示すことが多い.特に外因型で傾向は顕著.

 

(3)アレルゲン検索

アレルゲンのエキスを少量皮内注射して発赤・水泡などをみる皮内反応検査と,疑わしいアレルゲンを微量吸入させて1秒率などの変化を測定して原因物質を突き止める吸入誘発試験がある.吸入試験は直接発作を誘発するので特異性は高いが,重症発作を招く危険があるため注意が必要.

 

(4)重症度診断

基本的には問診と聴診にて診断する.問診では呼吸困難の有無と程度,日常生活などを聞きながら会話状態,意識状態,チアノーゼをチェックする.他にも姿勢や補助呼吸の有無,発汗をみておく.

 

4)治療

(1)薬物療法

①気管支拡張薬

β交感神経刺激薬の吸入は速効性が期待でき,発作時の基本薬とされる.テオフェリン系,抗コリン薬も利用される.心不全の患者にはβ刺激薬は禁忌.気管支拡張薬により一過性に換気・血流比の不均等分布が起こり,低酸素血症を誘発することがあるが,気道抵抗を上げるメリットの方が大きい.

 

②抗炎症薬

ステロイド薬,抗アレルギー薬は長期投与により,肥満・糖尿病・骨粗鬆症など多数の副作用を併発するので重症例に利用されてきた.最近は全身性の副作用を避けながら高濃度のステロイドを気道内投与できる吸入ステロイド薬が開発され,発作予防の第一選択薬となっている.

 

※アスピリン喘息とはアスピリンの投与で喘息発作を起こす場合がある.併用薬剤に関係

なく起きるので,解熱・鎮痛のためでも投与は控えるのが懸命.(特に鼻ポリープ合併例)

 

(2)日常生活指導

①誘発因子の回避

外因型ではアレルゲンから回避することで基本的に発作を防ぐことが可能.アレルゲンで最も多い家ダニやカビの回避方法を本人,家族に指導する.ただしアレルゲンは患者によって違い,複数の場合もあることを考慮する.

 

②治療方針確認

患者の薬の使用状況,生活環境の改善指導,家族のサポート状況を随時聴取しておく.その中で喘息とはどのような疾患か,というオリエンテーションも十分行い,本人や家族の精神的負担の軽減を図る.また,運動による呼吸困難を誘発しやすい患者は,過度に運動に対して消極的になりがちであるため,運動前のβ刺激薬吸入による発作の防止や,水泳などの有用なスポーツの紹介も重要である.

 

③減感作療法

アレルゲンの回避が困難で適切な治療がうまく行かない場合に行うことがある.アレルゲンのエキスを微量から徐々に増量しながら,激しい反応が出ない程度に注射する.身体の慣れにより感作状態を脱することが目標.まれに過敏反応が出現するため対処できる私設でのみ行われるべきである.


スポンサード・リンク