(〝⌒∇⌒〝)腱板障害の話

(+_+)題名:腱板障害の話

<機能解剖>

 

 

腱板損傷の臨床的分類(信原のによる)

(1)軟部損傷捻挫および挫傷,外傷性滑液包炎,腱板炎(2)不全断裂incOmplete(部分断裂partial thickness)辺縁断裂rim(小断裂Sma11)

表層断裂Superficial(滑液包面断裂bursal side)

被覆断裂COncealed

―腱内断裂intratendinous

→深層断裂deep surface

(関節面断裂articular side)

後方断裂posterior

(縦断裂10ngitudinal tear by Daubenspeck,

腱間断裂intertendinous)

(3)完全断裂COmplete(全層断裂fun thickness)

前方断裂anterior

横断裂transverse

前方縦断裂10ngitudinal rent

三角断裂triangular,oval or half moon

大断裂masslve

広範囲断裂global

 

~肩関節周囲炎の発生機序~

(1)第2肩関節における上腕骨大結節の通過障害肩挙上時に鳥口肩峰アーチに疼痛が生じる場合、大結節がrotational glideに入りきれない、又は抜けきれない上体にある。この要因として肩峰下滑液包の肥厚、癒着や腱板損傷などが考えられる。

(2)上腕二頭筋長頭腱の滑動障害

上腕二頭筋長頭腱は肩内転位から外転位までの運動の間に、結節間溝を少なくとも約2.5~3.8cmの距離を移動する。長頭腱が滑動不全を起こした場合、骨頭に対するdepressorの働きが減弱し、骨頭が上方移動することによって肩甲上腕リズムに乱れを生じる。

(3)腱板の機能障害

腱板は肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の4つの筋から構成される。中でも棘上筋の大結節付着部近傍は血管の吻合部であるため血行が少なくcritical areaと呼ばれており、肩峰と大結節のインピンジメントが起こりやすい部分である。

 

腱板の機能

①肩関節挙上時に上腕骨頭を関節窩に引き寄せ、三角筋の効率を高めるstabilizer②関節窩に対して骨頭を下方へ滑らせ、骨頭の肩峰へのインピンジメントを防ぐdepressor③内外旋筋としてのrotator④関節包を補強し、補助的な靭帯としてのaccessory ligament

この機能が障害されると肩甲上腕リズムの破綻や肩関節の挙上困難を生じる。

 

(4)腱板疎部の障害

腱板疎部とは、鳥口突起より外側の棘上筋腱と肩甲下筋腱との間隙をさす。この部位は関節内圧の調整と運動時生じる軋轢を和らげるなどの緩衝作用がある。また内旋位にて拡大し外旋位にて縮小するため、外旋位から急激に内旋することによって損傷を起こしやすい。この部位が癒着や瘢痕化を招くと外転・外旋を制限し、逆に離解した場合には関節は弛緩し肩関節内旋位で下方不安定性が著明となる。

(5)肩甲上腕関節における障害

鳥口上腕靭帯には、鳥口突起から大結節に付く線維と、鳥口突起から小結節に付く線維がある。この靭帯が癒着した場合、外転や外旋の制限因子となる。

鳥口突起から大結節に付く線維

鳥口突起から小結節に付く線維

上腕体側位 外旋

++

++

内旋

上腕外転位 外旋

++

++

内旋

++

上腕伸展位

++

※     強く緊張(++)・緊張(+)・弛緩(-)

  関節上腕靭帯は関節包の表層に上方から前下方にかけて存在し、上・中・下の3つの線維から構成されており強度も強い。この靭帯が癒着すると、外旋の制限因子となる。また臼蓋上腕リズムが存在する。

 

<臼蓋上腕リズム>

①ship roll(下垂位での骨頭の上下動揺)

②ball roll(骨頭のころがり運動)

③gliding(骨頭の滑り運動)

④rotation(軸回旋)

 

(6)肩甲上腕リズムの障害

肩甲上腕リズムの異常には、①肩甲上腕関節の拘縮により上腕骨の動きよりも肩甲骨の回旋が大きく肩すくめの状態、②挙上に際し腱板機能低下により肩甲骨の動きが主体となり上腕骨頭が上方へ移動する状態、③有痛弧がり上腕骨の動きが悪い状態、④肩甲骨周囲筋の筋力低下により肩甲骨の動きが悪い状態が報告されている。

 

『腱板断裂』

  腱板(rotator cuff)は肩甲骨から上腕骨頭につく肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の4つの筋腱からなり、これらの筋腱に何らかの原因で損傷が生じたものを腱板断裂、損傷、障害という。

① 受傷機転

肩関節に対する直接外力、肘や手をついて転倒するなどの介達外力、肩に対する牽引力、および回旋力によるものが80%を占める。残りの20%は明らかな外傷歴はない(加齢によるもの)。

※腱板の中でも、棘上筋腱の断裂が最も多い!(critical zone)

※発症年齢は40~50歳代(腱板の変性が始まる)に最も多く、男性に多いのが特徴である。

② 断裂の種類

③ 臨床症状

疼痛(肩の運動痛、夜間痛、圧痛)、運動障害(挙上困難) など

*時期が経つと、視診で棘上筋・棘下筋の萎縮が見られることもある!

④ 診断

・キシロカインテスト

・drop arm sign、painful arc sign (+)

・単純X線検査 : 骨頭の上方移動

・関節造影 : 造影剤の肩峰下滑液包への漏出

・MRI、CT、エコーなど

 

(1)ROM)測定

① 肩甲胸郭関節の可動域

角度による計測

静的な評価として一般的な方法は角度計測によるものであるが、肩甲骨の動きは性別、体型の違いにより異なるため、角度による運動範囲の計測は、左右差で確認されることが多い!

方法①:任意の垂直線に対する肩甲棘の角度を計測する。

方法②:上腕骨長軸と肩甲棘の角度を計測する (spino-humeral angle)。

 

距離による計測 方法:(DiVetaら)

安静立位にて

① 第3胸椎棘突起 ~ 肩峰の後角までの距離の測定

② 肩甲棘内側縁  ~ 肩峰の後角までの距離の測定

 

これを、肩甲骨最大外転位と内転位とで計測する!

その後、①÷②にて個体間の差、体型の差の違いによる偏位をなくし算出する

 

② 肩甲上腕関節の可動域

肩甲上腕関節の評価ではなく、肩関節複合体の評価である!

 

立花ら、上腕骨長軸と肩甲棘の角度を計測する (spino-humeral angle).

 

scapular plane の見つけ方

体表から厳密にscapular planeを確認することは困難である

→ 通常、肩甲棘の方向で、肩甲骨体部の傾きの面を基準としている!

また、内・外旋中間位は肘関節の内-外側上顆を結ぶ線により大まかではあるが決定できる!

 

③ 肢位を変えての関節可動域測定

外旋の制限因子 → 第1肢位(1st) 烏口上腕靭帯 ・ 肩甲下筋 全線維

第2肢位(2nd) 肩甲下筋最下部線維 ・ 関節上腕靭帯

(例) ① scapular plane上 0度にて測定

②    〃       45度挙上位にて測定

③    〃       90度挙上位にて測定

 

(2)筋力・筋活動

肩甲上腕関節の動きの安定した動きは、内側の筋(innner muscles)である腱板が上腕骨頭を関節窩に適合させ、関節の安定化を図るとともに動作時の支点を得るという重要な役割を担っている。この機能が十分に機能して初めて外側を取り巻く筋(outer muscle)が働き、動作に必要な筋収縮を行うことができる!

 

通常のMMTは、可動範囲を運動させての評価が基準である。しかし、肩関節に障害がある場合は肩峰と大結節間で衝突などを誘発してしまうこともあるので、状況に応じて、break testも有効である!

 

① scapular plane上で挙上角度を変えての筋力評価

→ 本来、下垂位からscapular plane上で挙上90度までのいかなる角度でも、徒手的な評価による外旋・内旋筋力に差は認めない!

(内旋筋) 肩甲下筋       → 複数の腱が扇状に広がった様な形状(上・中・下) → 前方を支持

棘上筋   → 1本の腱

(外旋筋) 棘下筋・小円筋   → 棘下筋(2本)、小円筋(1本)の腱を持つ → 後方を支持

 

それぞれの挙上角度で主に働く線維が異なる!下垂位 → 上部の線維が主として活動

挙上角度が進むにつれ、中部・下部へと移行する!

 

② ①に更に関節包の影響を考える評価方法

○    〃         外旋位 → 前方の関節包の緊張が増す!○ 内・外旋中間位よりも内旋位 → 後方の関節包の緊張が増す!

○    〃         外旋位 → 前方の関節包の緊張が増す!

 

【方法】

① scapular plane上の各角度での筋力を調べる!

(例 : 下垂位 ・ 挙上45度位 ・ 挙上90度位)

② 各挙上位で内旋・外旋位での筋力を調べる!

③ 肩甲骨の固定・非固定による筋力の評価

通常は、肩甲骨を非固定の場合が、固定時に比べ若干大きい筋力を発揮する!

④ その他

・どのような肢位で痛いのか?

・どの運動方向で痛いのか?

・痛くなる時期(時間帯)はあるのか?

・痛いのは運動前か?初期か?

・途中か?終了後か?

・その他

疼痛の評価

  • 圧痛(Tenderness)
  • 安静時痛(Static pain)
  • 運動時痛(Motion pain)
  • 夜間時痛(Night pain) → 特に肩関節周囲炎

 

運動痛の見方

  • 伸張痛 : 筋線維が走行する方向に自動および他動的に引き伸ばしたときに生じる痛み
  • 収縮痛 : 主動作筋の収縮を行った時(自動的)に、その筋自体に発生する痛み
  • 短縮痛 : 他動的に筋の起始と停止を近づけたときに最終可動域に感じる痛み

 

圧痛 (Tenderness)のポイント

圧痛部位の変化(信原による)

肩関節拘縮例にて

・拘縮初期 → 烏口突起・結節間溝

・可動域改善後 → 後方四角腔

 

姿勢(posture)

① 姿勢評価

② 肢位の観察

・自然下垂位における上肢の肢位 → 肘・前腕の肢位

・立位、仰臥位における下肢の肢位 → 股関節・膝関節の状態 など

③ リーチ動作

・通常 → リーチ方向への十分な肩甲骨の外転運動と逆側肩甲骨の内転運動、体幹の回旋運動

 

診断

【整形外科テスト】

(1)インピジメント徴候

Neerのサイン

患者の後方に立ち、片方の手を肩峰の上に置き、他方の手で前腕を持って他動的に外転させると、水平からやや上方で痛みを生じる場合である。そのまま外転を続けると轢音とともに痛みが消失することもある。

(2)Drop armテスト

他動的に患肢を90°外転させ、手を離すと患肢が急に落下する現象である。落下しなくともその位置で外転力が低下するものをいう。

 

【診断】

(1)自覚症状

①夜間痛

肩の自発痛は二次的な肩峰下滑液包によると思われるが、特に夜間痛が増強する。

②運動痛

肩の自動外転60°~120°の範囲で挙上・下降時に痛みを生じる。ADLでは肩より上に物を持ち上げたときや更衣動作で痛みを生じる。

③挙上障害

痛み、筋力低下、ひっかかり感などにより自動挙上が制限される。

 

(2)他覚症状

①断裂部位の触知と軋音

患者を座位としてリラックスさせる。検者の一方の手を患者の肩にあて、のう一方の手で患者の前腕を握り、肩を内外旋させる。肩峰下に軋礫音を生じ、慣れると断裂部が触知できる。

②筋萎縮

筋萎縮が最も早く現れる。

 

<評価表>

問診

年齢    歳
性別 M ・ F
主訴
ニーズ
利き手
職業

 

ROM-T   単位:° P:pain

関節

運動

Rt

Lt

肩関節

屈曲
伸展
外転
内転
①scapular plane上 0度にて測定
外旋(1st)
内旋(1st)
外旋(2nd)
内旋(2nd)
②scapular plane上 45度挙上位にて測定
外旋(1st)
内旋(1st)
外旋(2nd)
内旋(2nd)
③ scapular plane90度挙上位にて測定
外旋(1st)
内旋(1st)
外旋(2nd)
内旋(2nd)
Spino Humaral angle

肩甲胸郭関節

角度による方法

①任意の垂直線に対する肩甲棘の角度

②:上腕骨長軸と肩甲棘の角度

体幹屈曲  伸展

 

MMT-T    P:pain

関節 運動 Rt Lt
肩関節 屈曲
伸展
外転
内転
外旋
内旋
肩甲帯 外転と上方回旋
内転
挙上
下制と内転
内転と下方回旋

 

疼痛の評価

①疼痛発生機転

・外傷の有無・疼痛発生の状況から現在まで

・夜間痛の有無

②痛みの再現

・患者自身の指で発痛部位・範囲を指定

・痛みが出現する姿勢、肢位、動作にて発痛部位を指定してもらい安静との違いを確認

③解剖学を基にした発痛部位の特定

・指定された部位で、発痛に起因する解剖学組織を圧迫、収縮、伸張して疼痛を誘発し見極める

④痛みの程度を把握

 

<主な評価項目>

 

5.保存療法と手術療法の病気別理学療法プログラム

 

(1)基本的な理学療法の方針

第1目標

・物理療法や徒手療法による疼痛軽減

・異常な筋緊張(筋スパズム)緩和

 

第2目標

・疼痛軽減に伴うROM改善

肩甲上腕関節の可動性を改善してから肩甲胸郭関節の可動性改善へと改善していく。

・筋機能改善

 

①保存的療法

<保存的療法の場合>

腱板機能の強化から始め肩関節から肩甲骨の周囲筋強化へと進める。

肩関節周囲炎は、発症後1年以内に自然に軽快してくる。これについてTilmanらは、「病態が腱意板・関節包・靭帯などのいわゆる緻密結合繊の慢性炎症であると仮定した場合、炎症の成熟期に線維芽細胞が減少し、コラーゲン線維の再配列が進歩する期間が60~180日間ある。次に水分と細胞数の減少によって腱が瘢痕化する期間が180~360日間程度ある」と述べ、また、「拘縮に陥った靭帯・腱・関節包などの結合組織に対して、徒手療法を用いて至適条件下で刺激を与えることによって、コラーゲン線維やプロテオグリカンの結合を促進し、強靭で弾力性に富んだ結合組織が再生される」とも述べている。

 

②手術療法

<観血的療法の場合>

肩関節や肩甲骨周囲筋を個々に強化しながら、修復腱の治癒過程を考慮して腱板の強化を開始する。

 

McLaughlin 法:よく用いられている方法

〔適  応〕軽度から中程度の腱板断裂に最も適応。

*広範囲の断裂の場合、末梢に腱を引っ張り出すことができないような場合でも、烏口肩峰靭帯や剥離すると予想以上に末梢へ引っ張りだすことができ縫合可能な場合もある。

〔手術法〕断裂腱を末梢に引っ張り出して骨溝に逢着する方法

・腱板を逢着する骨溝は深さ5㎜、幅10㎜とし、腱の付着部に応じたカーブに軟骨を削り、大結節の硬いところを残す。

 

アプローチ

① 関節可動域運動

肩甲上腕関節の可動域・肩甲胸郭関節の可動域・胸郭の可動性 3つに大別してアプローチする。

② 物理療法

③ 運動機能改善

〇 腱板機能改善

〇 肩甲帯機能訓練

④日常生活動作の指導

 

注意点

・再断裂に注意する!

無理な他動運動による断裂を注意する。速い速度の可動域運動などに注意して、ゆっくり痛みのない範囲で実することが重要となる。

・拘縮をつくらない!

肩関節は3週間以上の固定で容易に拘縮を生じるので、術後より早期の理学療法が重要となる。

・術後評価についはできる範囲で、プロトコルにのって時期を考えながら実施する!

固定期間があるため、動かせない時期もあり、時期により必要な評価を実施する。

 

関節可動域制限に対する理学療法

Zero positionについて

・この肢位は肩関節周囲筋群の走行がほぼ一直線となり、また上腕骨の回旋運動が最も少なく、非常に安定した状態である・肩甲骨面内にあって、上腕骨軸と肩甲棘が一致する肢位をさしている。この肢位は1957年Sahaによって提唱され、現在その有用性のため、臨床上幅広く応用されている。

・術後の固定肢位、脱臼整復後の肢位 などにこの肢位をとることがある

・脊柱の代償を除いた場合 : 挙上 約130°

・代償を加えた場合  : 挙上 約150°

 

理学療法施工上のリスク管理

保存的療法

①不適切なポジショニング

②強制的なROM練習によるRSDへの移行

③肩関節内旋位にて挙上時の第二肩関節におけるimpingement

④その他観血的療法①     ゼロポジション固定位による影響

②固定位下降期における修復腱へのストレス

③肩関節挙上時にて他動的な内旋運動によって肘関節内側の疼痛

④その他

(^o^)参考文献

医療学習レポート.腱板障害