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(゜ロ゜)切断部位と決定の話


(#^.^#)題名:切断部位と決定の話

切断の部位は機能傷害をほぼ決定するものである。

残される機能が多ければ多いほど機能的予後はよいわけであるが、断端の長さが長ければ長いほどよいというわけではない。

切断部位はまずその切断に至る原因疾患により、ある程度決定されてしまうが、それを踏まえたうえでどこで切断するのが患者のその後の生活にとって最も適切であるかを考えなければならない。

ここではまず、原因疾患による切断部位の決定の原則とその他の因子について述べる。

 

1)切断原因による切断部位決定の原則

【外傷による切断】

外傷で切断となるものには、①受傷時に切断されている場合、②患肢を温存することが不可能な場合、③患肢温存ができてもその後に合併症などが生じ切断せざるをえない場合がある。

①の代表は鉄道事故で発生しやすい轢断である。このような場合、最近は微小血管外科の進歩により再接着術が積極的に行われ、成功する例が多くなってきた。しかし再接着が不可能な場合もある。このときは断端形成術が行われ、軟部組織や皮膚で骨の断端が覆える長さで骨は切断される。

②軟部組織の挫滅が高度なときにも切断の適応となる。この場合も骨の断端が正常な筋,皮膚で覆える部位で骨を切断することになる。挫滅や汚染された組織を残すと感染の原因となり、さらに短く再切断しなければならなくなることがある。

③患肢温存の処置をした後に生じ、切断に至る合併症には感染と血行障害がある。これらについては後に述べる。

【感染による切断】

抗生剤や手術手技の進歩により感染による切断の症例は少なくなっている。しかし感染が抑えられず生命に危険を及ぼすような場合には切断を余儀なくされる。代表的なものにガス瘢痕がある。筋により産生される毒素により組織が壊死に陥る。また同時にガスが産生されるのでX線検査によりガスの広がりを調べ、それを参考にして死んだ組織を残さないように切断しなければならない。

【悪性腫瘍による切断】

骨肉腫や軟骨肉腫などの四肢の骨軟部悪性腫瘍には、これまで切断術が行われるのが普通であったが、近年の化学療法や放射線療法の著しい進歩と整形外科的手術法の進歩によって、今日では切断は患肢温存手術が不可能な場合に限られつつある。四肢の骨軟部悪性腫瘍に対する現在の一般的な治療方針は、術前に化学療法や放射線療法を十分に行い、腫瘍の悪性度、病巣の広がり、術前の化学療法や放射線療法の効果などに基づいて、患肢を温存する広範囲切除術が可能かどうかが検討される。患肢温存手術が不可能と判断されたときにのみ、切断術が行われる。

骨腫瘍の場合は、特に局所再発を防ぐため健康な骨を最低5cm以上切断部に付けて切断しなければならない。

【血管原性切断】

主な原因疾患には①閉塞性動脈硬化症(ASO)、②閉塞性血栓性血管炎(バージャー病:TAO)、③糖尿病(DM)④急性動脈閉塞症などである。それぞれについて述べる。

①閉塞性動脈硬化症:動脈硬化により血管の内腔が狭くなったり、血栓が形成されて血流が悪くなると末梢の組織が壊死となる。慢性に経過する場合と他の部位より血栓が流れてきてつまった結果、急激に起こる塞栓の場合とがある。前者では壊死になる前から間欠性跛行などの末梢循環障害による症状が出現し、側副血行路の形成促進や薬物、運動療法による治療が行われる。後者の場合は突然症状が出現し、急激に壊死となる。

いずれの原因にしろ壊死がはっきりすれば切断の必要がある。ここで問題は切断の部位の決定である。高齢者が多いことからできるだけ長く下肢を残したいわけであり、特に膝関節を残せるかどうかは今後の義肢装着にとって大変重要なポイントとなる。しかし無理をして長めに切断すると、断端部が再び壊死を起こし再切断が必要となり、再度手術をしなければならず、高齢者に何回も手術侵襲を加えることは好ましくない。逆に手術創の治癒の安全を考えて、より高位で切断すると義足装着が難しくなることも考えられる。したがって安全でかつ出来るだけ長く、可能なら膝関節の機能を残せるように切断する工夫をしなければならない。

切断部位の決定のための補助的検査法には動脈に造影剤を注入し、X線撮影をすることにより血管や側副血行路の状態を観察する(アンギオグラフィ-)、皮膚の温度を測ることにより血液循環の状態を調べるサーモグラフィー,経皮的に組織の酸素分圧を調べる方法。レーザードップラーを利用して血流を測る方法など数々の方法があるが、まだ決定的なものがない。そのため手術時の組織の状態や出血の状態と手術術式が重要になる。

手術手技では組織をできるだけ愛護的に取り扱うこと、術式では循環をでき

るだけ保てるようなものを選択することなどが必要である。このような術式には長後方皮弁法や、矢状皮弁法,斜皮弁法などがある。

②閉塞性血管炎:細動脈の血管炎により動脈閉塞をきたして壊死を生じるもので、ASOより発症年齢が若く、下肢切断が成功するものが多いので義足装着が可能となる者が多い。

切断部位と手術法はASOに準ずる。

③糖尿病:糖尿病による壊痕には、①神経障害性潰瘍、②虚血性壊痕、③両者の混合と三つのタイプがある。

①は糖尿病性神経障害を基盤として生じるもので、知覚障害のため傷ができやすいこと、自律神経障害による組織の微小循環障害があることなどが潰瘍発生に関与していると考えられている。一般的に糖尿病の羅漢期間が長く、そのコントロールが不良な症例に合併しやすい。好発部位は圧力がかかりやすい足趾や足底、足の外側縁、踵などで、外傷,白癬,熱傷,靴ずれ,鶏眼などが誘因となることが多い。

②は動脈の閉塞性動脈硬化により生ずるもので糖尿病に特異的なものではないが、糖尿病患者に発生しやすい。また血管閉塞部位は非糖尿病患者では腸骨動脈や大腿動脈のような太い血管に生じやすいが、糖尿病患者では膝より下の細い血管に生じやすいという特徴がある。

治療はまず保存的療法が行われるが、同時に重要なことは糖尿病のコントロールすなわち血糖のコントロールである。これにより切断を免れる者、また切断に至っても足趾や足の一部の切断ですむものも多く、大腿切断となるものはない。

④急性動脈閉塞症:四肢の急性動脈閉塞症をきたす主な疾患は塞栓症と血栓症である。塞栓症は僧帽弁狭窄症、心房細動、心筋梗塞などの心疾患に伴う左心の血栓の流出によるもので動脈の分岐部に後発する。血栓症は下肢の閉塞性動脈硬化症やバージャー病の経過中に、急速に血栓が発生した状態である。両者とも臨床的には突発性の激痛、患肢の蒼白、運動、知覚麻痺などの四肢の急性阻血の状態を呈する。外科的治療としては早急に塞栓除去術が行われるが、閉塞部位が高位で広範な筋壊死を生じたときは、救命のため切断が必要になることがある。

【先天性奇形】

先天性に四肢が変形しているか、欠損しているものである。これまで、米国ではO’Rahilly、Frantz、Aitkenの分類が一般的に用いられていたが、ヨーロッパでは十分に受け入れられず、1993年に国際的に統一した用語として国際標準規格(ISO)表記が定められた。ISO表記では欠損は横断性と超軸性に分類され、命名は欠損した部位の骨の名前(完全か部分的か)でよばれる。

【その他】

二分脊椎などの神経疾患による四肢の高度の変形、脚長差が著しい場合、上腕神経叢損傷のような高度な麻痺、あるとかえって邪魔になるような場合などが切断術の適応になることがある。

 

2)切断部位決定に関するその他の因子

その他の因子には、年齢、性別、全身状態(心肺機能、筋力、拘縮などの身体機能、意欲)、社会的・職業的環境(生活様式、通勤、通学、外出、職業、趣味、スポーツ)、義肢(製作技術、パーツの入手、経済負担)、義肢装着訓練(訓練士の能力、レベル、設備)などがある。これらの因子をまとめると、

①切断後どの程度の活動性が期待できるのか、また必要なのか、活動の場が屋外なのか家のなかなのか、職業に復帰できるのか、復帰できるとしたらどのような動作の活動が必要なのか、などである。

活動力があり外に出て行くような人にはそのような目的に合った義足を考慮しなければならないし、家からあまり外に出て行かない人には断端末荷重が可能な切断を選択したほうがよいであろう。

②外観の問題も大切である。特に女性や若年者ではできるだけ外観がよいものがよい。サイム切断など果部切断に対する義足は足首が太くなり外観が悪いので女性には禁忌であるとしている者もいる。

③義足製作者の技術の問題や製作に必要な部品が入手可能なのかということも重要である。いくら最新の優れた義足を作りたくても製作が不可能では問題にならない。

以上のような観点から、予定手術の場合には医学的所見より予測される切断部位とその他種々の患者に関する情報から考えて望ましい切断部位とつき合わせ、術前に十分な検討を行うことが重要である。この場合、後者の問題についてはリハビリテーション医がその専門の立場から検討に加わり意見を述べることが望ましい。一方外傷など緊急手術で切断をしなければならないときは、このような検討を加えることは難しいので、切断術を主に行う整形外科医は義肢や切断者のリハビリテーションに関する十分な知識をもっていなければならない。

 

3)小児,高齢者の切断の特徴と処方上の留意点

【小児切断の特徴と処方上の留意点】

小児切断には体力があり、全身状態には問題が少なく、断端神経腫,幻肢痛などによる痛みも少ない。しかし成長に伴って、長管骨の長軸成長の抑制や過成長を生じやすいので切断よりも関節離断が望ましい。先天性切断はもちろん、悪性腫瘍の比率が高いことも小児切断の特徴である。また成長による義肢の不適合を生じるので、定期的な適合検査と、義肢の作り直しが必要であるだけでなく、成長に合わせて処方する義肢の機能を高めていくことの必要である。

【高齢者切断の特徴と処方上の留意点】

高齢者切断には高齢による体力低下だけではなく、健側下肢の循環障害、虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病、腎症などの合併症を伴っていることが多く、若くて健康な外傷による切断者と比べて義足装着の対象としては悪条件が多い。そのために高齢者には若い人以上に高機能の義足が必要と考えられるかもしれないが、実際にはその逆であり、一般の高齢者には簡単で、軽くて、安全な義足が適している。また実用的な歩行の獲得がなかなか困難で、生命予後も短いことが多いから、義足歩行にこだわらないで、むしろQOLを重視し、家の中では義足なしでの移動、屋外では車いすによる移動も選択肢の一つであることを知っておくべきである。

高齢者切断では寝たきりにしないことがたいへん重要で、そのためには早期離床が必要である。術直後からベッド上で自分で座る、上肢の運動訓練を指導し、抜糸前から起立で出で立位訓練、抜糸がすすめばエアバッグ義足などを装着して起立、歩行訓練を開始したい。高齢者は杖や平行棒が合っても片脚起立は困難なことが多いので、起立、歩行訓練にはエアバッグ義足や仮義足を使用する。

(@_@;)参考文献

医療学習レポート.切断部位と決定


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