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(゜ロ゜)変形性関節症と福祉機器の話


(#^^#)題名:変形性関節症と福祉機器の話

Ⅰ.変形性股・膝関節症の福祉機器・推奨される行動様式

1.起居動作関連

1)ベッドの利用

(長所)

①床からの立ち上がりよりも、ベッドでの端坐位からの立ち上がりの方が楽で、行いやすい。

②布団の上げ下ろしの必要がない。

③日中、腰掛ける場所としても代用できる。

(短所)

①スペースをとる。

②ベッドでの就寝に抵抗感がある。

(注意点)

①ベッドの高さは、立ち上がりやすいように、患者の膝窩から床面までの高さ(40㎝程度)とするのがよい。高すぎても、低すぎても立ち上がりにくくなる。

②基本的にベッドの上に敷き布団を敷かない。ただし敷く場合は、立ち上がる側のベッドの端をきれいに揃え、端坐位の姿勢の際にずり落ちないようにする。

2)和式の生活から洋式の生活へ

・和式の生活では、正座やあぐら座りを余儀なくされるが、洋式の生活では、椅子に座るため、楽にくつろげる。

・椅子を利用した時の方が、立ち上がり時の疼痛、困難さが小さい。

・デメリットは、ベッドと同じで、机や椅子はスペースをとること。抵抗感があること。

・椅子の座面の高さと机の高さを考慮する必要がある。

①食卓の椅子等では、座面の奥まできちんと座った姿勢で、足底全てがきちんと床に着くような高さが望ましい。肘掛けもあった方がよい。

②ソファは、沈みこんだ時に(特に座面の奥が)座面が低くなるため、立ち上がりにくくなる。そのため、座面を全体的に上げる必要がある。(特に座面の奥)

③頻繁に立ったり座ったりする椅子では、少々座面を高めにして、立ち上がりやすさを重視する。

④机の高さは、座面に合わせて調節することが望ましい。(食卓では、座面の高さに20㎝プラスする)

 

2.移動・歩行関連

1)初期膝OAから、階段昇降、長距離歩行、重い荷物を持った歩行を避ける。

2階建ての自宅の場合、1階だけでの生活にかえる。

2階へ昇り降りする場合は、階段に手すりをつけるのがよい。

遠い所へ行く場合は、車、バイク、自転車を利用する。

長距離歩行や重い荷物を持った歩行を余儀なくされる場合は、杖・歩行器を利用する。

2)杖・歩行器の利用

初期膝OAでは、膝への負担を軽くするため、T字杖を利用する。

杖使用に抵抗がある人は、折りたたみ杖を携帯し、疲れたときや長距離歩行のときに利用するのもよい。

杖のかわりに、傘を利用するのも一つの手であると思われる。

中期膝OA以降では、歩行において側方動揺が大きくなるため、小型4輪歩行器やローラーステッキを利用するとよい。

(1)小型4輪歩行器

上肢支持は、縦把持で、4脚の間で肩幅より広い方が、体重を効率よく支え、歩行の左右バランスもよい。

荷物を運べるだけでなく、座面があるので、腰掛けることができる。

なお横把持のシルバーカーは、前後バランスはよいが、左右バランスが悪いため、変形性関節症には向かない。

(2)ローラーステッキ

身体の横で支持するため、左右バランスがよい。

本体が軽く、荷物をフックに掛け片手で押せる。

3)外出

一人で歩けても、屋外では、坂、段差、凸凹道、横断歩道、車、人など様々な障害物があり、自分のペースで歩けない。

バスなどの交通機関の利用は、歩くこと以上に不安感や緊張感を伴う。

積極的に外出するためには、これらの状況に慣れる以外になく、自信が持てるまで家族が同行し、援助することが大切。

ヒールが低く、クッション性のよい靴を履く。

屋外移動時の工夫

(1)慣れていない場所に行く場合は、杖を持参する(折りたたみ杖)。

(2)杖にはループをつける(手すりを持つとき、お金を取り出すときに便利)。

(3)急な坂を下るときは健側をやや下側にして半身になる。

(4)信号は前列で待ち、青の途中から渡らない。

(5)エスカレーターは健側から乗降する。

(6)段差が大きい階段は、健側から一段ずつ上がる(バスステップなど)。

(7)バスを降りるときは後ろ向きで患側から降りる方が降りやすい。

(8)バスで立つときは、健側を進行方向にして立つ。

 

3.セルフケア関連

1)トイレ

和式便器の場合、しゃがみ込みの困難さ、疼痛のため、洋式便器にかえ、また手すりをつける。

 

通常の洋式便器の座面高さは、37~39㎝である。この高さで立ち上がりにくい場合は、便座を高くした方がよいが、座面の高さは、排泄のしやすさに影響するため慎重に検討する。

温水洗浄温風乾燥便器は、使い心地がよく血行をよくするだけでなく、後始末の動作を簡略化できる。

高血圧等を合併している場合は、心臓発作等の危険防止のため、室暖房の併用を検討する。

パネルヒーターや遠赤外線ヒーターのような輻射暖房は、足元付近設置する。暖房機の設置は、壁埋め込み式が望ましい。

2)洗面・更衣

膝の屈曲が困難な場合、靴下やストッキングを履くときは、ソックスエイドを利用すると楽に行える。

ソックスエイド

あらかじめソックスエイドに靴下を履かせて、それを足先にはめる。

あとは、ソックスエイドについている紐を引っ張り上げる。紐を竹にかえて、しっかりと操作できるものもある。靴下の固定に洗濯ばさみを使うのもよい。

服の脱着は、中期膝OA以降で脚立位バランスが悪い場合、安全に服の脱衣が行えるよう、椅子に座って行った方がよい。

同様に洗面動作も、前かがみ姿勢になり不安定となるため、椅子に座って行った方がよい。

3)浴室

転倒防止のため、出入り口の段差をなくし、手すりを設置する。

浴槽は、和洋折衷式浴槽を、浴槽縁の高さを40㎝程度になるように埋め込むのがよい。

浴室用の低い椅子からの立ち上がりが困難な場合は、シャワーいすやベンチを利用するのがよい。

 

4.APDL関連

1)調理

長時間の立位姿勢を行わなくてすむようにする.

(1)椅子やサポートバーの利用

(2)キッチンを,調理機器類を一直線上に配置するI型配置ではなく,直角状に配列するL型配

置やU型配置,並列型にして,移動距離を少なくする.

(3)キッチンとダイニングとをハッチやカウンターで仕切り,座っての調理下準備や配膳作業を

行う.

 

2)掃除・整理・整頓                                 (文献3)

床に落ちたものを拾うときに,マジックハンドやリーチャーを利用すると,しゃがみ込まなくてすむ.

よく動かす家具はキャスター付きにして,重い物を持たないようにする.台車の利用もよい.

掃除用具は扱いやすいものにし,持ち上げる必要がなく,使うためにかがむ必要のないものにす

る.…モップや掃除機を利用し,雑巾がけは行わない.

 

3)洗濯

洗濯物を干す場合,2階に干さずに1階に干すようにする.乾燥機の利用も考える.

 

5.装具

膝OAの北大分類,X線所見,主な症状と装具の適応との関係             (文献9)

 

1)膝装具                                     (文献1,9)

目的 :内側型膝OAに対して,膝関節の安定性を向上させ,荷重に伴う外側動揺の矯正と膝関節内反位の外反位への矯正により,膝関節内側面の負荷を軽減して除痛を得る.

適応 :ほぼ全症例.

進行期以降の症例で,手術適応がありながら全身的な合併症,社会的要因などにより手術が困難な症例も含める.

膝関節最大伸展位において外反強制時痛を有する症例には,適応しない.

問題点:①装具の効果判定が,使用感や装着感,効果期待感とのギャップなど患者の主観によりなされ,その評価に客観性が乏しいこと.

②同様の病期であっても有効例と無効例とがあること.

③装具の装着が容易ではなく,適切な装着に習熟を要すること.

④装具が重い.

⑤両側装着時に,内側継手がぶつかるため,歩行しにくい.

⑥夏期使用時に皮膚炎症状を起こすことがある.

⑦長期使用により,筋力の低下はあまりないが,内側広筋に萎縮がみられること.

⑧長期使用により,下肢反応時間の遷延,関節固有感覚の誤認角度の増大がみられること.

※患者自身が装具を装着するため,装具の目的や効果発現のメカニズム,装具療法の限界などを作製前に十分説明し,理解をえることが重要.

 

(1)サポーター型膝装具

特徴 :軽量で着脱も簡単で,かつ安価なため,初期から進行期の膝OA患者に用いられることが多い.

機能 :①患者自身が感じる安定感 ②保温作用 ③関節の安定性をごくわずかに高める

④膝関節周囲の軟部組織を圧迫することにより固有感覚を向上させる.

⑤これらの要因により,疼痛を軽減させる

膝継手付き支柱入りのサポーターは,側方不安定性のある例に用いる.

 

(2)機能的膝装具

特徴 :継手や支柱の位置,装具の材質などにより種々のものがある.

機能 :①膝関節の安定性向上

②アライメント矯正:大腿脛骨角(FTA角)の改善

③脛骨顆部の骨密度比(外顆/内顆)の増加

…外側に荷重が偏位したためと考えられる

④これらの要因により,膝関節の荷重軸を外側へ移動させる

⑤歩行時痛の軽減(VASが平均61点から平均31点へ)

⑥歩行速度(平均46m/minから平均53m/minへ)と,持続歩行距離

(平均556mから平均682mへ)の改善

G-ⅡOA brace(右図)は,内側に多軸継手があり,内側膝OAの屈曲に対して外反力が働き,狭小化した関節裂隙を開大する.

片側支柱付きの旭川医大式膝装具は,荷重時に内側の関節狭小部にかかる力を外側に移す仕組みがある

横浜市大式膝装具は,ロック付き膝継手をもつ両側支柱付き装具である.

 

②足底板

外側楔状足底板(LW,Lateral Wedged insole,写真上)

アーチサポート型足底板(AS,Arch Supported insole,写真中)

アーチサポート型外側楔状足底板

・歩行における足底板の作用

①立脚初期では,荷重中心線が内側偏位から外側へ偏位する.特にLWが大きい.

②立脚中期では,変化はみられない.

③立脚後期では,ASにおいて,内側偏位から外側へ偏位する.LWでは有意な偏位は起こらない.

④疼痛・歩行能では,3種類とも改善がみられる.特にALWが改善度,改善率ともに高い.

ただし,病期の進行に伴い改善度,改善率は低下する.

⑤疼痛・階段昇降能では,3種類とも改善度は低い.特にLWでは改善がみられない.

 

・外側楔状足底板                                (文献1)

シリコン製のものが既製品で作られており,内側型関節症に対して処方される.

厚さ7㎜程度のものが使いやすい.

軽症から中等症の患者に効果がある.

足底板装着によってFTAは変化しないものの,機能的下肢軸が直立化方向へ変化することにより,内足関節面への負荷を減少して症状の改善をみる.

ただし,立脚中期,後期では荷重状態は改善されない可能性が高い.         (文献10)

外側楔状足底板を挿入すると,床にきちんと接地するためには,下肢は外転する必要がある.

(a):このままでは重心位置から足がずれてしまうために立つことができない.

(b):上半身を同側に傾けるなどして,重心を外側化することが必要.

(文献8)

4.人工膝関節置換術後のADL                           (文献13)

①屈曲が100~120°に制限されるため,日常生活の制限がある.

②ハイキング,ゴルフなど強い活動を行わない.

③長期使用時に,関節に弛みがありえるため,無理な姿勢や動作は避ける.また,3年に1度の検査が必要.

 

⇒したがって,置換術前のADL及び福祉機器を継続することが望ましいと思われる.


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