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(ノ_<。)関節可動域制限因子の話


(^O^)題名:関節可動域制限因子の話

自動可動域

自動可動域とは、被験者が介助されることなく関節の自動運動を行ったときのROMである。自動ROMを行わせることによって,検者は被験者の運動しようとする意志,協調性,筋力,  ROMについての情報を得ることができる。自動ROM中に痛みが生じた場合,それは筋や腱もしくはそれらの骨への付着部などの収縮,もしくは「収縮した」組織の伸長によるものであろう。痛みは靭帯や関節包,関節嚢などの非収縮組織の伸長もしくは挟み込みによることがある。自動ROMの検査は,身体的検査のどれに重点を置くかを決めるスクリーニングとして適している。被験者が自動ROMを容易にかつ痛みなく行うことができれば,その運動に対してそれ以上の検査を行う必要はないだろう。しかし,自動ROMが制限され,痛みがあったりぎこちない場合,その問題を明確にする検査を含めた身体的検査を行うべきである。

 

他動可動域

他動可動域は被験者の力によらず,検者が関節を動かしたときのROMである.被験者は力を抜いたままで,運動のためには何ら能動的な役割を果たすことはない。正常には,他動ROMは自動ROMよりもわずかに大きい。それは,各関節には随意運動のコントロール下にない小範囲の可動域があるからである。正常な自動ROMの最終位での付加的な他動ROMは,外力を和らげ,関節構造を守ることに役立っている。

他動ROMの測定によって関節面の健全さ,関節包そして靭帯や筋の伸展性(extensibility)についての情報を得ることができる。これらの組織を重点的に検査するには,自動ROMよりも他動ROMを測定すべきである。他動ROMは自動ROMとは異なり,被験者の筋力や協調性に影響されることはない。他動ROMおよび自動ROMの比較によって,被験者が関節運動を生起できる能力(自動ROM)に対して,関節構造によって規定される運動の量(他動ROM)についての情報を得ることができる。筋力低下などの障害がある場合,自動ROMおよび他動ROMはかなり異なることになる。

検者は徒手筋力検査を行う前に他動ROMを測定すべきである。その理由は,徒手筋力検査の段階づけがROMを基盤としているからである。検者は徒手筋力検査を行う前に他動ROMの範囲を知っておかなければならない。

他動ROMの際に痛みが生じたとすれば,それは非収縮性構造が動かされたり,伸長あるいは挟み込まれることによるものであることが多い。他動ROMの最終位で痛みがある場合,非収縮性構造ばかりでなく収縮性構造の伸長に起因する場合がある。他動ROM中の痛みは収縮組織の能動的な短縮(収縮)によるものではない。どの動き(他動か自動か)が痛みの原因になっているかを比較し,痛みの部位に注目することで,検者はどの組織が傷害されているかを決定する端緒に立つことができる。被験者に抵抗をかけた等尺性筋収縮を行わせれば収縮性組織を分離できる。他動的な関節のあそび(joint play)の検査および靭帯ストレステストは非収縮性組織のどれが傷害されているかを決定する一助となる。他動ROM中の最終域感を考慮することで,  ROMを制限している組織についてさらに情報が得られる。

 

最終域感

生理的(正常)最終域感

n         軟部組織性

軟部組織の近接:膝関節屈曲(大腿と下腿の後面の軟部組織間の接触)

n         結合組織性

筋の伸張:膝関節を伸展しての股関節屈曲(ハムストリング筋の他動的な弾性のある緊張)

関節包の伸張:手指の中手指節間節伸展(関節包前部における緊張)

靭帯の伸張:前腕回外(下僥尺関節の掌側僥尺靭帯,骨間膜,斜索の緊張)

n         骨性

骨と骨の接触:肘関節伸展(尺骨の肘頭と上腕骨の肘頭窩との接触)

 

病的(異常)最終域感

n         軟部組織性

通常のROMにおけるよりも早くまたは遅く起こる。または,最終域感が正常では結合組織性もしくは骨性である関節において起こる。何かが介在している感じがする。

軟部組織の浮腫 滑膜炎

n         結合組織性

通常のROMにおけるよりも早くまたは遅く起こる。または,最終域感が正常では軟部組織性もしくは骨性である関節において起こる。

筋緊張の増加 関節包,筋,靭帯の短縮

n         骨性

通常のROMにおけるよりも早くまたは遅く起こる。または,最終域感が正常では軟部組織性もしくは結合組織性である関節において起こる。骨性の軋蝶または骨性の制動を感じる。

軟骨軟化症 骨関節炎 関節内遊離体 化骨性筋炎 骨折

n         虚性(empty)

疼痛によりROMの最終位に至ることがないので真の最終域感ではない。防御性筋収縮または筋スパズムを除いては抵抗を感じることはない。

急性関節炎 滑液包炎 膿瘍 骨折 心理的原因:防御反応

 

四肢関節の生理的(正常)最終域感

肩関節

n         屈曲

肩甲上腕関節の動き

最終域感は烏口上腕靭帯の後部束,関節包の後部,小円筋,大円筋,隷下筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

肩関節複合体の動き

最終域感は広背筋と大胸筋胸肋部線維の緊張ために結合組織性のものとなる。

n         伸展

肩甲上腕関節の動き

最終域感は烏口上腕靭帯の前部束,関節包前部の緊張のために結合組織性のものとなる。

肩関節複合体の動き

最終域感は大胸筋鎖骨部線維,前鋸筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         外転

肩甲上腕関節の動き

通常,最終域感は関節上腕靭帯の中部束と下部束,関節包の下部,広背筋,大胸筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

肩関節複合体の動き

最終域感は大・小菱形筋,僧帽筋の中部・下部線維の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         内転

体幹との接触。

n         内旋

肩甲上腕関節の動き

最終域感は関節包の後部,棘下筋,小円筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

肩関節複合体の動き

最終域感は大・小菱形筋,僧帽筋の中部・下部線維の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         外旋

肩甲上腕関節の動き

最終域感は関節上腕靭帯の3つの束,烏口上腕靭帯,関節包の前部,肩甲下筋,大胸筋,広背筋,大円筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

肩関節複合体の動き

最終域感は前鋸筋と小円筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

 

肘関節・前腕

n         屈曲

通常,最終域感は前腕の前面の筋腹と上腕の筋腹間の接触により軟部組織性のものとなる。筋腹が萎縮している場合,尺骨鈎状突起と上腕骨鈎突窩の間の接触および橈骨頭と上腕骨橈骨窩との間の接触のために,骨性の最終域感となるかもしれない。また,関節包後部と上腕三頭筋の緊張のために結合組織性のものとなるかもしれない。

n         伸展

通常,最終域感は尺骨の肘頭と上腕骨の肘頭窩との接触のために骨性のものとなる。また,関節包の前部,側副靭帯,上腕二頭筋,上腕筋の緊張のために結合組織性のものとなるときがある。

n         回内

最終域感は橈骨と尺骨の接触のために骨性のものとなるかもしれない。または,下橈尺関節の背側橈尺靭帯,骨間膜,回外筋,上腕二頭筋の緊張のために結合組織性のものとなるかもしれない。

n         回外

最終域感は下橈尺関節の掌側橈尺靭帯,斜策,骨間膜,円回内筋,方形回内筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

 

手関節

n         屈曲

最終域感は背側橈骨手根靭帯と背側の関節包の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         伸展

通常,最終域感は掌側橈骨手根靭帯と掌側の関節包の緊張のために結合組織性のものとなる。しかし,橈骨と手根骨の接触により骨性のものとなるかもしれない。

n         橈屈

通常,最終域感は橈骨茎状突起と舟状骨の接触のために骨性のものとなるが,尺側側副靭帯,尺骨手根靭帯および関節包尺側部の緊張のために結合組織性のものとなるかもしれない。

n         尺屈

最終域感は橈側側副靭帯と関節包橈側部の緊張のために結合組織性のものとなる。

 

中手指節関節(手指)

n         屈曲

最終域感は基節骨と中手骨掌側面の接触のために骨性のものになるか,あるいは関節包背側と側副靭帯の緊張のために結合組織性のものになるだろう。

n         伸展

最終域感は関節包の掌側と掌側線維軟骨板(掌側板)の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         外転

最終域感はMCP関節の側副靭帯,各手指間の指間腔(Web space)の筋膜,および掌側骨間筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         内転

他指との接触。

 

近位指節間関節手(手指)

n         屈曲

通常,最終域感は中節骨と基節骨掌側面の接触のために骨性のものとなる。人によっては,中節骨と基節骨掌側の軟部組織の接触によって軟部組織性のものとなるかもしれない。あるいは,関節包背側と側副靭帯の緊張によって結合組織性のものになることもある。

n         伸展

最終域感は関節包の掌側と掌側線維軟骨板(掌側板)の緊張のために結合組織性のものとなる。

 

遠位指節間関節(手指)

n         屈曲

最終域感は関節包背側と側副靭帯,斜支帯靭帯の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         伸展

最終域感は関節包の掌側と掌側線維軟骨板(掌側板)の緊張のために結合組織性のものとなる。

 

手根中手関節(母指)

n         屈曲

最終域感は母指球の筋腹と手掌の接触のために軟部組織性のものとなるだろう。あるいは,関節包の背側,短母指伸筋,短母指外転筋の緊張によって結合組織性のものとなるかもしれない。

n         伸展

最終域感は関節包の前部,短母指屈筋,母指内転筋,母指対立筋,第1背側骨間筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         外転

最終域感は母指と示指の間にある指間腔の筋膜と皮膚の緊張のために結合組織性のものとなる。母指内転筋,第1背側骨間筋の緊張も結合組織性の最終域感に関与する。

n         内転

最終域感は母指球の筋腹と手掌の接触のために軟部組織性のものとなるだろう。あるいは,関節包,短母指伸筋,横中手靭帯(小指に影響を与える)の緊張によって結合組織性のものとなるかもしれない。

 

中手指節関節(母指)

n         屈曲

最終域感は基節骨と第1中手骨掌側面の接触のために骨性のものになるであろう。あるいは,関節包の背側,側副靭帯,短母指伸筋の緊張によって結合組織性のものとなるかもしれない。

n         伸展

最終域感は関節包の掌側と掌側線維軟骨板(掌側板),種子骨間靭帯,短母指屈筋の緊張による結合組織性のものとなる。

 

指節間関節(母指)

n         屈曲

一般に,最終域感は側副靭帯と関節包背側の緊張のために結合組織性のものとなる。人によっては,末節骨と掌側線維軟骨板(掌側板)および基節骨掌側面の接触によって骨性のものとなるかもしれない。

n         伸展

最終域感は関節包の掌側と掌側線維軟骨板(掌側板)の緊張のために結合組織性のものとなる。

 

股関節

n         屈曲

通常,最終域感は大腿前面の筋と下腹部との間の接触のために軟部組織性のものとなる。

n         伸展

最終域感は関節包前部,腸骨大腿靭帯,そしてわずかではあるが坐骨大腿靭帯,恥骨大腿靭帯の緊張のために結合組織性のものとなる。腸腰筋,縫工筋,大腿筋膜張筋,薄筋,長内転筋などの種々の股関節屈筋の緊張が最終域感を結合組織性のものにする場合がある。

n         外転

最終域感は関節包下部(内側),恥骨大腿靭帯,坐骨大腿靭帯および腸骨大腿靭帯の下部束の緊張のために結合組織性のものとなる。大内転筋,長内転筋,短内転筋,恥骨筋,薄筋の緊張も最終域感を結合組織性のものにするだろう。

n         内転

最終域感は関節包上部(外側)と腸骨大腿靭帯の上部束の緊張のために結合組織性のものとなる。また中殿筋,小殿筋および大腿筋膜張筋の緊張も最終域感を結合組織性のものにする要因となるだろう。

n         内旋

最終域感は関節包後部と坐骨大腿靭帯の緊張のために結合組織性のものである。また以下の筋の緊張も最終域感を結合組織性のものにする要因となるだろう。

内閉鎖筋,外閉鎖筋,上双子筋,下双子筋,大腿方形筋,中殿筋後部線維,大殿筋。

n         外旋

最終域感は関節包前部,腸骨大腿靭帯,恥骨大腿靭帯の緊張のために結合組織性のものとなる。また中殿筋前部,小殿筋,大内転筋,長内転筋,恥骨筋の緊張も最終域感を結合組織性のものにする要因になるだろう。

 

膝関節

n         屈曲

通常,最終域感は下腿と大腿の後面の筋腹間,あるいは踵部と背部の接触のために軟部組織性のものとなる。内側広筋,外側広筋および中間広筋の緊張のために結合組織性のものとなることもある。

n         伸展

最終域感は関節包後部,斜膝窩靭帯,弓膝窩靭帯,側副靭帯および前・後十字靭帯の緊張のために結合組織性のものとなる。

 

足関節と足部

距腿関節

n         背屈

最終域感は関節包後部,アキレス腱,三角靭帯後部,後距腓靭帯の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         底屈

通常,最終域感は関節包前部,三角靭帯前部,前距腓靭帯,前脛骨筋,長母指伸筋,長指伸筋の緊張のために結合組織性のものとなる。または距骨後端結節と脛骨後縁との接触のために骨性のものとなるかもしれない。

 

足根関節

n         内反

最終域感は関節包,前後距腓靭帯,腫腓靭帯,前・後外側骨間距踵靭帯,背側踵靭帯,背側踵立方靭帯,背側距舟靭帯,二分靭帯の外側部束,横中足靭帯,および立方舟状,楔舟,模問,楔立方,足根中足,中足間の各関節の背側・底側・骨間の種々の靭帯,さらに長・短勝骨筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         外反

最終域感は踵骨と足根洞底部が接触するために骨性のものとなるかもしれない。あるいは関節包,三角靭帯,内側距踵靭帯,底側腫舟靭帯,踵立方靭帯,背側踵舟靭帯,二分靭帯内側部束,横中足靭帯,および立方舟状,楔舟,樹間,楔立方,足根中足,中足間の各関節の背側,底側および骨間の種々の靭帯,さらに後脛骨筋の緊張のために結合組織性のものとなる場合もある。

 

距骨下関節

n         内反

最終域感は関節包外側部,前後距腓靭帯,踵腓靭帯,および外側・後・前骨間距舟靭帯の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         外反

最終域感は踵骨と足根洞底面が接触するために骨性のものとなるかもしれない。あるいは三角靭帯,内側距踵靭帯,および後脛骨筋の緊張のために結合組織性のものとなるかもしれない。

 

横足根関節

n         内反

最終域感は関節包,背側踵立方靭帯,背側距舟靭帯,二分靭帯の外側部束,横中足靭帯,および立方舟状,楔舟,楔間,楔立方,足根中足,中足間の各関節の背側・底側・骨間にある種々の靭帯,さらに長腓骨筋,短腓骨筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         外反

最終域感は関節包,三角靭帯,底側踵舟靭帯,二分靭帯内側部束,横中足靭帯,および立方舟状,楔舟,楔間,楔立方,足根中足,中足間の各関節の背側,底側,骨間の種々の靭帯,さらに後脛骨筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

 

中足指節関節

n         屈曲

最終域感は関節包背部と側副靭帯の緊張のために結合組織性のものとなる。また,短指伸筋の緊張も最終域感を結合組織性のものとする要因となるだろう。

n         伸展

最終域感は関節包底面,掌側板(掌側線維軟骨板),短母指屈筋,短指屈筋,短小指屈筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         外転

最終域感は関節包,側副靭帯,足指間の指間腔筋膜,母指内転筋,底側骨間筋の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         内転

他指との接触。

 

足指の近位指節間関節

n         屈曲

母指IP関節と他足指PIP関節の屈曲の最終ROMは,指節底面間の軟部組織の圧迫のために軟部組織性のものとなるかもしれない。関節包背部と側副靭帯の緊張のために結合組織性のものとなる場合もある。

n         伸展

最終域感は関節包底部と掌側板(掌側線維軟骨板)の緊張のために結合組織性のものとなる。

 

足指の遠位指節間関節

n         屈曲

最終域感は関節包背側,側副靭帯および斜支帯靭帯の緊張のために結合組織性のものとなる。

n         伸展

最終域感は関節包底部と掌側板(掌側線維骨板)の緊張のために結合組織性のものとなる。


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