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(´・ω・`)肩関節と機能解剖の話


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(=_=)題名:肩関節と機能解剖の話

●はじめに

肩の痛みを考えるうえでまず基本となるのは、肩関節の機能解剖の基本的な知識である。これなくして、痛みの発生部位や機能障害の原因を突き止めることはできない。

肩関節には、解剖学的関節である肩甲上腕関節、肩鎖関節、胸鎖関節と、機能的関節である肩峰下関節、肩甲胸郭関節、烏口鎖骨間関節の6つの関節があり、複合関節とも呼ばれている。

 

●肩甲上腕関節

肩甲上腕関節は、肩甲骨の関節窩と上腕骨の骨頭が関節包、靭帯、筋腱により連結される真の解剖学的な関節である。骨頭関節面は半球状であり、これに対して受け皿としての関節窩は上方が狭く下方が広い洋梨のような形で、中心に向け若干くぼんでいる。関節窩の表面積は骨頭の30%にすぎず、骨性の安定性はほとんどない。これを安定化させているのが関節唇、靭帯を含む関節包、上腕二頭筋長頭腱、腱板である。

 

1).関節唇

関節唇は関節窩の全周を取り巻く線維軟骨性の組織であり、骨性関節窩の浅い凹面を深くし、表面積を大きくすることにより骨頭との適合性を良くする。上後方の関節唇は上腕二頭筋長頭腱の起始部と線維を交え、連続している。

2).関節包

関節包の前方および下方は厚く、後方は薄い。前方および下方の関節包は線維の走行により3つの靭帯に分けられ、それぞれ上、中、下関節上腕靭帯と呼ばれる。

上関節上腕靭帯は上腕二頭筋長頭腱のすぐ前方から起始する細い靭帯で、前方の安定性に関してほとんど役立っていない。中関節上腕靭帯は、前方制動にある程度役立っている。下関節上腕靭帯は前方から下後方まで幅広く帯状に厚く存在し、前方の安定性、特に外転位での前方制動に重要な役割を持つ。上腕下垂位では下関節上腕靭帯は弛緩しているが挙上とともに緊張し、外転時の肩関節の外旋運動にも関与している。

3).烏口上腕靭帯

烏口上腕靭帯は烏口突起外側縁および基部から起始し、関節包の上部を覆い、これと癒合し大結節と小結節につく。肩甲下筋腱と棘上筋腱の間、すなわち腱板疎部を通る。内旋位では弛緩し、外旋位では緊張するので本靭帯の拘縮によって外旋制限が起こる。

4).上腕二頭筋長頭腱

上腕二頭筋長頭腱は関節窩上縁より起始し、後上方の関節唇の線維と連続する。(図1)肩関節下垂位から最大挙上までの間、上腕二頭筋長頭腱は結節間溝内を約4cm滑動する。肩関節挙上時、上腕二頭筋長頭腱は三角筋によって上方に引かれる骨頭を押し下げ、関節窩に対し骨頭を求心位に位置させる作用があり、腱板機能をある程度代償する。また、肩関節外転外旋位での骨頭の前方転位を抑える作用もある。

5).腱板

腱板は肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋からなる。肩甲下筋は肩甲骨前面より広く起始し、烏口突起の下、関節の前面を通り腱性となって小結節に付着する。棘上筋は肩甲棘の棘上窩より起始し、烏口肩峰アーチの下を通り、腱性となって大結節の上面に付着する。棘上筋腱は肩関節挙上時、烏口肩峰アーチと上腕骨頭・大結節との間で挟まれることにより断裂を生じやすい。棘下筋は肩甲棘の下にある棘下窩から起始し、肩峰の下方を通り大結節上後面に付着する。小円筋は肩甲骨の外縁から起始し、棘下筋の下を平走して大結節下後面に付着する。

腱板には静的作用と動的作用がある。静的作用としては、腱板の厚い腱性組織が関節包と密着し、これを補強することにより関節を安定化させる働きである。動的作用としては、挙上運動や内外旋運動の動作筋としての働きである。挙上運動時には構成筋全てが関与するが、特に棘上筋が主動作筋として働く。内旋運動には肩甲下筋、外旋運動には棘下筋と小円筋が主動作筋として働く。

 

●肩峰下関節

肩峰下関節は、肩峰、烏口肩峰靭帯、烏口突起で構成された烏口肩峰アーチと、そのすぐ下に位置する大小結節および腱板との間でつくられた機能的関節である。烏口肩峰アーチと腱板および大小結節との間には肩峰下滑液包があり、運動を円滑にする潤滑油の働きをする。肩挙上時、大結節および腱板が烏口肩峰アーチの下を外旋しながらくぐりぬけ、最大挙上位に達する。よって肩峰下関節には、肩関節挙上時に大小結節および腱板が自由に回旋できるだけのスペースが必要となる。

 

●肩甲胸郭関節

1).肩甲骨の位置

上肢を自然下垂位にした状態で体幹に対する肩甲骨の位置を後方からみると、肩甲骨上角は第二胸椎棘突起レベル、下角は第七胸椎棘突起レベルに位置している。上からみると体幹の横軸に対し肩甲骨は30°傾斜している。自然下垂位の状態で肩関節は約30°内旋しており、上腕骨頭は肘関節に対し30°後捻していることから上腕骨頭は60°後方を向き、骨頭の中央付近が関節窩の後縁に位置する。

2).機能的関節面

肩甲胸郭関節は、胸郭上を肩甲骨が滑るように動く機能的な関節である。胸郭は凸面をなし、対する肩甲骨の前面は凹面をなすが、直接接することはなく、両者の間には肩甲下筋と前鋸筋が介在する。肩甲下筋は肩甲骨前面のほぼ全域から起始し小結節に向かい、前鋸筋は胸郭前外側から起始し肩甲骨内縁の全長にわたり付着する。

3).肩甲骨の懸垂

肩甲胸郭関節には、肩甲骨の運動という動的機能以外に上肢帯を保持するという静的な働きがある。立位や座位では常に上肢の重さが肩甲骨と鎖骨にかかり、これらを引き下げようとする。この力に対抗し、肩甲骨と鎖骨を上から吊り下げるものとして僧帽筋上部線維と肩甲挙筋がある。立位や座位ではこの二つの筋に常に緊張がかかる。

 

●肩関節の可動性

肩甲胸郭関節と肩甲上腕関節の大きな可動性により、肩関節はヒトの関節の中で最大の可動域を有し、三次元的な位置移動と回旋運動を行なう。

1).挙上運動

挙上運動は挙上面の設定により前方挙上(矢状面)、側方挙上(前額面)、肩甲骨面での挙上などがある。健常肩ではどのような面で挙上しても最大挙上位は一定の肢位となり、体幹をそらしての代償を除外すると最大挙上角度は160°前後である。肩甲胸郭関節で約60°、肩甲上腕関節で焼く120°挙上する。

2).回旋運動

健常肩での回旋可動域は下垂位での外旋で60~90°、内旋は母指が第五~八胸椎棘突起に届く程度である。筋肉の発達した人では、そのボリュームのため可動域は減少する。肩甲上腕関節の回旋可動域が最大となる肢位は、屍体肩甲上腕関節の計測では肩甲骨面で30°挙上したあたりで、回旋可動域は130°ぐらいである。健常肩関節では肩甲骨の運動が回旋に影響するため、回旋可動域が最大となる肢位は軽度後方挙上位(結帯動作)で、回旋可動域は200°ぐらいである。挙上するに従い回旋可動域は減少し、最大挙上位で約40°となる。

3).挙上と回旋の関係

健常肩関節では自然下垂位から最大挙上位に達するまで、外転では約90°の外旋運動が生じ、前方挙上では約20°の内旋運動が生じる。最大内旋しながら外転運動を行なうと、90°以上の外転は困難である。これは、最大内旋位により関節包がねじれてしまい下方関節包に余裕がなくなることと、烏口肩峰アーチにぶつかってしまうことによる。このとき外旋運動を行なうと関節包のねじれがとれ、さらに大結節が後方に回り込むためインピンジを起こさず、最大挙上位までの外転運動が可能となる。

 

●肩関節の挙上メカニズム

肩関節の挙上運動では、肩甲胸郭関節での挙上と肩甲上腕関節での挙上が連動して起こる。

1).肩甲胸郭関節での挙上運動

肩関節挙上時に前鋸筋下部線維は肩甲骨下角を前方に引き寄せ、肩甲骨を上方回旋させる。肩甲骨は最大で約60°の上方回旋をする。

2).肩甲上腕関節での挙上運動(外転)

肩甲上腕関節は、三角筋と棘上筋の協同作用によって挙上(外転)する。三角筋だけが作用すると軽度の挙上(外転)は可能であるが、骨頭は上方に引かれ関節窩に対し骨頭の求心位を保てず、それ以上の挙上(外転)は困難である。このときに棘上筋が働き、骨頭を関節窩に引きつけると骨頭と関節窩の間に適切な支点ができ、三角筋の外転力が有効に作用し、最大挙上可能(外転)となる。棘上筋以外の腱板筋群も骨頭を関節窩に引きつけ、安定化させる作用があるが、下垂位やそれに近い肢位では内転作用が強く、外転力と相反するが外転するに従って内転力は減少し、骨頭の安定化と外転作用が主になる。

3).肩甲上腕リズム

肩甲胸郭関節と肩甲上腕関節が連動して、肩関節の挙上運動が起こる。この両者の連動を肩甲上腕リズムという。Inmanによると屈曲60°、外転30°までをSetting phaseといい、肩甲骨の動きは一律ではないとされている。最終的に肩甲胸郭関節と肩甲上腕関節での挙上角度の比はおおむね1:2となる。

 

●胸鎖関節

胸鎖関節は鎖骨側の関節面が大きく、胸骨の関節面にまたがるような鞍関節であり、上下方向が前後方向より長い。鎖骨の軸からみて約20°後方を向いている。体幹を基準にすると、肩鎖関節と胸鎖関節はさまざまな角度の形態をしている。しかも鎖骨の近位端の半分以上が胸骨の関節面をはみ出した状態であり、骨性には非常に不安定な関節である。関節内に関節円板が存在し、第一肋骨と胸骨柄部から上方ならびに後方に走行して鎖骨上後方に付着しており、鎖骨の内方移動を防止する機構も併せ持っている。この胸鎖関節の安定性は、靭帯が受け持っているといっても過言ではない。靭帯は関節を包み込むように前・上・後胸鎖靭帯、鎖骨間靭帯、肋鎖靭帯がある。

 

●鎖骨

鎖骨は外側では肩鎖関節を介して肩甲骨と接続し、内側では胸鎖関節を介して胸骨と接続している。このようにして、鎖骨はクレーンのアームのように働いている。また、鎖骨は上方よりみるとS字状をしていて、上肢挙上の際には、このS字上の鎖骨が回旋することで関節の小さな動きで最大挙上が得られる。肩周囲筋のうち、鎖骨に起始・停止する主な筋を挙げると、内側1/3には上方に胸鎖乳突筋、外側1/3に僧帽筋上方に停止しており、下方には三角筋前部線維が起始している。中央部には下方に大胸筋(鎖骨枝)だけが起始している。

 

●肩鎖関節

肩鎖関節は鎖骨の遠位端と肩峰との間に互いに平行に関節面が向き合ってできている楕円形の関節である。関節腔には関節円板が存在する。この関節円板は肩鎖関節の運動を円滑にするものと考えられているが、年齢とともに変性し、高齢者では消失している場合が多い。また、肩鎖関節の関節包は薄く、ゆるくできており関節を動きやすくしている。一方、肩鎖関節の下面を除く部分には肩鎖靭帯があり、肩峰と鎖骨を接続している。肩鎖靭帯は肩鎖関節の上方の部分が厚くなった形をしており、三角筋、僧帽筋からも線維が混じっている。関節の安定性は関節周囲の靭帯構造だけで得られているのではなく、関節面から離れたところで烏口鎖骨靭帯によって支えられている。

 

●運動

肩関節複合体の運動は人体の関節の中で最も大きく、かつきわめて複雑である。挙上においては0~180°、回旋に関しても150°以上が可能であり、水平面での屈曲伸展は170°を超える。この中で肩鎖関節、胸鎖関節、鎖骨の運動をみると、最初の30°挙上まではさまざまで、鎖骨は動かない場合もある。Inmanによれば挙上が130°に達するまでに鎖骨は30°挙上する。これは130°までは運動が主に胸鎖関節で行なわれるためと考えられる。これ以後の挙上は、肩鎖関節の運動と鎖骨長軸に対する回旋運動の合成で行なわれている。すなわち、鎖骨からみた回旋運動は、最大に上肢が挙上されたときに約40°生じていることになる。Rockwoodによれば、胸鎖関節からみた運動は挙上の際に胸鎖関節は30~35°上方へ、40~45°鎖骨軸に沿って回旋し、水平屈曲伸展の際に、35°前・後方向に運動するとされている。

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(^^♪参考文献

医療学習レポート.肩関節と機能解剖


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