スポンサード・リンク

( ・∇・)関節リウマチと評価の話


(^O^)p題名:関節リウマチと評価の話

(1)評価

1.活動性

RAの活動性の評価は、治療方針の決定、治療効果の判定に必要なばかりでなく、病態、病因の追求にも重要である。

 

日本ではLansburyの活動性指数(表1)がよく用いられている。その項目としては朝のこわばりの時間、疲労の時間、アスピリンの一日の必要量、握力、痛みや腫れのある関節の数、赤沈などが評価される。アスピリン必要量を除いた5項目について、それぞれの程度を数値で表わし、これを%に換算しその合計を活動指数とする。ここに用いられている各指標はそれぞれ活動性とかなり密接に関連し、アメリカリウマチ協会の定めた寛解基準(表2)にもほぼ同様の項目がとられている。

 

表2  RAの臨床的寛解基準案(アメリカリウマチ協会)

  以下の必要条件の5つまたはそれ以上が、少なくとも2ヶ月間連続して満たされなければならない

1.朝のこわばりが15分以上持続しないこと

2.疲労感がないこと

3.関節痛がないこと

4.関節の圧痛、または運動痛がないこと

5.関節、または腱鞘に軟組織の腫脹がないこと

6.赤沈値が、女性で1時間30mmまた、男性で20mm以下であること

 

リウマチ日記(表3)には、患者の現在の状態を把握する重要な項目があり、毎日記入することで、自分自身の体の状態をチェックすることもできる。

2.疼痛の評価

疼痛はRAにおけるもっとも主要な症状であり、これを的確に把握することは、運動療法を進めていく上で不可欠であり、また疼痛が機能障害の誘因になることが多く、除痛の方法を検討することは重要である。

 

現在ではアナログスケール、すなわち10cmの線の上に自覚的に痛みの程度をチェックして長さで表わす方法が一般的となっている。患者が印をつけた位置の長さを記録し、これを‘疼痛の心的大きさ’とみなす。

日本リウマチ財団薬効検定委員会では疼痛の程度を分類(表4)し、疼痛点数としている

表4  RA関節痛の程度の分類(日本リウマチ財団薬効検定委員会)

日常の動作(歩行、階段昇降、衣服着脱、ものを持つ)などをして

痛くない            0点

少し痛いが普通にできる     1点

痛いので困難          2点

何もせず安静にしていてもうずく 3点

・就寝前に1日を振り返って上記のいずれかとして記録させ、一般に診察評価日前1週間の平均点数を痛みの程度(疼痛点)とする

 

痛みは日内変動、日間変動、自発痛であるか、運動痛であるのかについても評価する必要がある。リハビリテーションの評価や治療を行う上でとくに重要なことは薬の影響であり、鎮痛剤服用五度の時点での検査なのかに注意をしなければならない。

 

Ritchie(表5) では各関節ごとに圧痛の程度を数値で現し、その合計点数で痛みの程度を表現する方法である。頸椎、股関節、距踵と中足足根関節の痛みは他動運動により誘発される痛み、それ以外の関節では関節縁を強くおさえたときの圧痛で評価する。評価は0から+3というスコアで表現しており、Lansbury評価のようにおのおの関節ごとに関節の大きさによる重み付けはしていない。

 

CallahanのADLによる疼痛評価(表6)はVASと同じように、痛みを量的に表現する方法で、8種類の基本的日常動作で、どの程度痛みが起こるかを患者自身で記録させる方法ある。この記録は、痛みの強さではなく、その頻度について行うもので、大部分のRA患者は正しく記録できるという利点があり、VASとの相性は非常に高いとされている。

表6    CallahanのADLによる疼痛評価

 

3.肢長・周径、関節腫張測定

 

4 運動障害の評価

(1)関節可動域測定、関節変形の評価

獲得目標動作の一阻害因子として関節可動域制限がある。ROMテストは一般的に他動可動域の値を記載することが多いが、RAでとくに関節破壊の強い症例や痛みの強いときには他動値と自動値の間に大きな隔たりがあることが多い。必要におおじて自動可動域を記録することも必要である。ムチランス変化のある関節では、他動値が治療目標角度となりにくい。目的動作を獲得するために可動域訓練でROM改善が期待できるのか、あるいは自助具などの使用を考えるべきなのかといった検討も必要である。

 

(2)筋力の評価

RAでは①可動域の中での疼痛の存在、②痛みによる筋力の抑制、③発揮できる筋力の肢位による変動などが観察されることが多く、徒手筋力テストでは筋力の変化を表現しにくい。治療効果を説明する材料とするためには、より客観的な数量化が検討されなければならない。

RAにおける筋力評価は重要であるが、疼痛や拘縮などにより、正確な把握が困難なことも多いが、臨床的には次のような方法が用いられる

①マンシェット法:筋力低下の著しい場合は血圧計のマンシェットを握ることで握力を

測定する。この場合水銀柱の高さで評価する。RA後期に利用されることが多い

②握力計、ピンチメーター:手指機能の評価に利用され握力、つまみ動作の筋力を測定

③isokinetic machine(サイベックス)

RA初期で疼痛、関節機能障害が著名でないときはサイベックスなどのisokinetic machineを利用した筋力評価、訓練を行うことがある

④徒手筋力検査法

 

 

 

 

 

5.歩行機能評価

RAの歩行特性の要因をなすものは、主として関節の病変に起因する変形、拘縮、筋力の低下、疼痛である。これらの要因はいずれも歩幅の狭小化、歩調の減少をもたらすことにより、歩行スピードの低下をまねき、ひいては患者の歩行能力の実用性も損ねることになる。

 

RAの歩行機能評価にあたっては、次の次項を評価する必要がある。

(1)歩行分析

①下肢各関節の動き:RAに定型的な歩行パターンはみられないが、多くの患者を見ると、痛みのある下肢の体重負荷期をできるだけ短くしようとする疼痛性歩行が一般的にみられる。

②体幹(骨盤)の動き

 

(2)歩行スピ-ド

RAの歩行スピード評価する

場合、歩行時間を測定するため

の距離についての規定ない。一

般的には10m、あるいは15

mの歩行スピードと歩数につ

いて評価されることが多い。

 

(3)歩行距離

RAの歩行距離を評価することは、RA患者の耐久性をみ、日常生活における実用性をみるうえで大切である。

 

(4)車椅子、松葉杖、T杖、補装具などの使用状態

荷重痛のある患者には松葉杖、T杖などを使用させることによりある程度、杖に体重を負荷し、罹患関節への荷重を減らすことができる。杖、補装具の使用で歩行の改善がかなりみられるので、これらの使用状態をしっかりと把握しておくことが大切である。

 

6.機能障害評価

慢性関節リウマチにより、どの程度ADLの能力が障害されているかを具体的に示したものである。したがって機能障害は治療によって改善されるので、リウマチの活動性、関節・筋肉の機能によって左右される。

SteinbrockerのClass分類(表7)は、機能障害をあらわす方法として古くから使われているがこの分類ではClassⅡとⅢ、ClassⅢとⅣの間に機能程度の差が大きく、患者の分布が不均一となる。この点を改良し、1992年、アメリカリウマチ協会が機能障害の改定分類基準(表8)を発表した。

表7     SteinbrockerのClass分類

Ⅰ.身体機能は完全で不自由なしに普通の仕事は全部できる

Ⅱ.動作の際に、1個所あるいはそれ以上の関節痛に苦痛があったり、または運動制限はあっても、普通の運動なら何とかできる程度の機能(ADL自立)

Ⅲ.普通の仕事とか身の回りのことがごくわずかできるか、あるいはほとんどできない程度の機能(要介助)

Ⅳ.寝たきり、あるいは車椅子に坐ったきりで、身の回りのこともほとんど、または、まったくできない程度の機能 (ほぼ全介助)

 

表8    機能障害度のACR改定分類基準

Ⅰ.通常の日常生活活動(身の回り、職業的活動、および非職業的活動)は完全に可能である

Ⅱ.通常の身の回りと職業的活動は可能であるが、非職業的活動には制限がある

Ⅲ.通常の身の回りは可能であるが、職業的活動および非職業的活動には制限がある

Ⅳ.身の回り、職業的活動および非職業的活動には制限がある

 

7.ADL評価

RA患者のADL障害の特徴として以下のことがあげられ、そのことを踏まえたうえでADL評価を行うことが必要である。

①RA患者のADLは痛みによって影響を受ける。しかも、日内変動があることを考慮し

なければならない。

②RA患者は関節変形によるさまざまな機能障害を持っている。しかしながら、変形の重

症度と機能障害の重症度とは必ずしも平行しない。

③RAの病態は一様ではないので、一律に対処することは困難である。

④RAには女性患者が多いので、ADL項目の重要性に性差を考慮しなければならない。

日常診療には日本リウマチ財団薬効検定委員会によるADL評価法(表9)か、藤林らによるClass3、4を細分化した評価法(表10)が実用的であると思われる。

 

RAのリハビリテーションに焦点を合わせた評価法としてはLee-間変法によるADL評価(表11)がある。この法は専門技術者を必要とせず、評価に時間がかからない。0:困難なしにできる 1:可能であるが痛み、筋力低下、こわばりのため困難を伴う 2:まったく不可能、の3段階評価とし、その評価点総和をfunctional indexとする。この総和は最高0点、最低42点の細かな順序尺度であるが計測しやすく、再現性もよいのでリハビリテーションの効果判定に有用である。

表11                Leeの間変法

 

またADL能力に影響するその他の因子として、一般的なADL動作にはリーチが重要となる。リーチには各関節のROM測定が基本となるが、いくつかの関節を総合した応用動作として評価(表12)される。肩関節のROMにある程度の制限があっても、肘関節に制限がなければ指先は頭頂まで十分到達可能となるように、個々の関節のROM測定では推測できない動作を、リーチによって把握することができる。またRA患者のつまみは、手指の変形によって障害を受ける。しかし手指に高度の変形があっても針を持つことが可能であるのに対し、変形がほとんどなくても、痛みが強いとピンチ力低下をきたすこともある。

 

8.QOLの評価

QOLは、基本的にはADL、痛みを中心とする身体的評価のほかに、精神的、社会的面での評価を加えて評価される。

QOLは本来患者自身の価値観、人生観によって異なってくるものなので、画一的な評価は非常に難しく、とくにRAでは困難な点が多い。

その理由は、RAは発病後の余命が非常に長く、自然経過が複雑で症例ごとに非常に異なるからである。このように困難は多いが、従来の治療が主として医師の経験に基づく医師主導型治療であったという反省点から、今後は患者の立場を重視した、わが国独自のQOL評価法が考案されなければならない。

 

関節炎影響度測定法(AIIMS 表13)は上肢機能、下肢機能、精神状態、痛み、社会活動性をみる46の質問項目からなる標準的評価法である。

 

改訂スタンフォード健康度評価法(MHAQ 表14)はADL質問表により、どの程度できるかをみると同時に、患者が満足しているかどうかを評価する方法である。

 

表情評価(表15)では細かい質問形式ではなく、患者の健康度を顔の表情でトータルに表現する方法である。20の表情の中から、身体的、精神的、社会的健康度を総合して、現在の状態をもっともよく表わしている表情の番号を記入させる。

 

9.分析評価

ADLテスト、ROMテスト、筋力テストなどでチャートに記載される数値は、結果を示すものであり、その結果に対する原因までを教示するものではない。したがって問題点を明らかにするためには分析評価が必要になる。ADLの阻害因子として、関節可動域制限、筋力低下、骨・関節の構造的変化、痛み、RAの活動性による全身症状、意欲、家族、社会的背景等さまざまな因子があり、その中で鍵となる因子の解明に努めることは当然であるが、直接理学療法手技につながる個々の因子についても分析評価が必要である。たとえば、他動関節行き制限の場合、癒着、近短縮、関節包・人体計の肥厚・瘢痕化などがその原因となり、自動可動域制限の場合には、これに筋力低下、筋・靱帯系の動的固定能力の低下、痛みなどが加わる。これら原因となりうる要素の中で、何が原因なのかを探ることが分析評価であり、分析評価なくして問題点の把握はできない。また問題点はセラピストのたてた仮説であり、仮説に基づいて作成される治療プログラムについても日々の治療の中で検討されなければならない。

 

10.家屋と家族

同じ能力を持つものでも、どのような環境で生活するかによってADLの自立度は左右される。そこでまず家屋の状況を把握することが、治療法の選択やゴールの設定に際して極めて大きな意味を持つ。

またもし障害が比較的重くADLに何らかの介助が必要な場合には、家屋構造という物理的環境だけではなく家族の状況を含めた社会的背景を理解する必要がある。


スポンサード・リンク