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(・_・?)片麻痺とADLの話


(・ω・o)題名:片麻痺とADLの話

片麻痺のADLの特徴

①上肢の残存能力とADLは関係はあるが比例はしない

②患側上肢が利き手か否かによってADLは影響を受ける

③健側上下肢の機能は必ずしも正常でない

④失語症や麻痺性構音障害はコミュニケーションに障害をきたし、ADLに支障をきたす

⑤失認、失行、痴呆、意欲の低下などの高次機能障害はADLに大きな支障をきたす)

⑥高齢になると片麻痺以外の因子により病前のADLが制限されている場合が少なくない

⑦60歳以上の患者の多くは社会活動に対するニーズは少なくなる

 

●ADL指導の留意事項

①動作の手順をセラピストが身をもって示す

②健側は必ずしも健常でないことを考慮する

③可能になったADLもその後のフォローアップとチェックが必要

④強制してはならない。どうしてもできないときにはセラピストが手伝うことが必要

⑤急がせてはならない。十分な時間を与える

⑥片麻痺には気分にむらがあり、身体的にも精神的にもその機能に日内変動がみられやすい。指導法、時間などにも流動性をもたせる

⑦自助具などADLに介助的役割を果たすものを患者の状況に応じて取り入れるべき

⑧家族へのADLについての教育も行うことが望ましい

⑨患者の状況に応じた家の改造についても考慮する

⑩失語症患者の場合、わかったようにしていても理解していないことが多いため注意する

 

●移乗

注意点

患者の膝折れと足の滑り出しの防止、立ち上がり時に患者を前傾させ重心を足部に移動させることが重要である

原則として、患側回りで行う。(しかし、臨床では健側回りとならざるを得ない場合が多い)

ベッド-車椅子

1:車椅子は患者の健側に置く。フットレストは上げておき、ブレーキがかかっていることを確認する

2:ベッド端に端座位となり少し前方に移動し、足底を床にしっかりとつける

3:車椅子のアームレストを健側で持ち、床に立つ

4:健側下肢を軸足として体を90°回転させて車椅子に座る

 

車椅子-ベッド

1:健側からベッドに近づける

2:ブレーキをかけ、フットレストを上げる

3:車椅子のアームレストを健側で押さえ、立ちあがる

4:ベッドに手をつき、一歩健側を出し、体を回転してベッドの端に腰を下ろす

 

●排泄

ベッド-ポータブルトイレ間の移乗

1:ポータブルトイレは患者の患側に置く

2:ベッドに端座位になり、ポータブルトイレのふたを開ける(健側上肢で行なわれ、麻痺側に体重移動するため、座位安定性が悪く転倒しやすいので注意する)

3:手すりを持って立ち上がり、体の向きを変え、ズボンを下ろす(健側回りとなる)

4:静かに便座に座る(最後まで健側上肢は手すりにつかまっておく)

5:局所の清拭は便座に腰掛けたまま行う

終了後はこの逆を行う

 

車椅子-トイレ間の移乗

車椅子から椅子への移乗と同様である。

原則として洋式便器の使用とする。自宅のトイレが和式の場合は、洋式に改造することが望ましいが、無理な場合はポータブル洋便器、ポータブル洋風便座などの利用を指導するとよい。

・便器の高さ:通常床から40㎝のものが用いられているが、片麻痺患者にとってはやや低く、立ち上がりに困難を感じることが多いため、さらに10㎝ほど高いものを用いるか、補高便座を取り付けると容易になる。その際、車椅子のシートの高さに合わせると使いやすい。

・手すり:移乗の際の立ち座りはなるべく両側下肢により行い、手すりは体幹のバランスを保持するために使用する。手すりの位置は便器に座った姿勢で、健側にあるとよい。L字型のものが使いやすい。

・出口の構造:扉ではなく、アコーディオンカーテンを用いると便利である。

・広さ:少なくとも2.0m×1.5m程度の広さは必要である。

 

●食事動作

もっとも早く習得すべきADLである。バックレストかギャッチアップで座位をとれる段階になれば、健側上肢で食事をとる練習を始めるべきである。

・利き手が麻痺側の場合:軽症・回復が良好な場合を除いて利き手交換が必要であるが、その場合、フォークやスプーン、自助具を使うとよい

※麻痺した利き手が、利き手として残るための必要条件:Brunnstrom stageが上肢・手指ともに6あるいは正常であること、深部感覚障害がないこと、小脳性失調や不随意運動がないこと など

・非利き手が麻痺側の場合:茶碗などを無理に持たせる練習を行うよりも、自助具の利用や容器に工夫をこらすなどして、机上に安定して固定保持する方法を教える方が実用性の高い場合もある

・半盲や半側空間無視のある場合:麻痺側の食品は食べ残す傾向があるので常に注意を喚起し、麻痺側にも視線を向けるように根気よく指導することが必要である

・自助具:食器や鍋などをテーブル上に安定させるには吸着盤、ゴム板などを用いると片手で食事するのに好都合である。濡れた布や紙を皿の下に置くだけでも効果的である。

●更衣動作

更衣動作の練習を行うための必要条件は、座位バランスが良好なことである。

衣服着脱の留意点

・伸縮性のある生地を選ぶ

・かぶりや前開きのシャツなど簡単な構造の衣服にする

・片手動作が可能な、後ろに留め具などのない衣服にする

・ボタンやファスナーなどの操作が困難な場合、自助具を工夫するのもよい

 

かぶりシャツ

1:座位で膝の上に背中の部分が上、頚の部分が前方にくるように、シャツを広げる

2:健側手でシャツの背中の部分をひとまとめに握り、患側上肢が通るべき孔をつくり、この中に患側手を通す

3:ついで、健側手を他方の袖に通し、さらに患側も肘の上まで引き上げる

4:シャツの後部をひとまとめに健側手でつかんで持ち上げ、この中に頚を前屈して頭を入れる

5:シャツの前後を健側手で下に引っ張り、さらに袖のねじれなどを直して完了

脱ぐ場合はこの逆を行う

 

上衣の着脱

1:シャツと同様に膝上に置き、ついで患側から手を通し、上衣を健側手でつかんで、頭を越えて後方へまわし、健側上肢を後方へ伸展するようにして袖の中に手を通す

2:健側上肢を側方へ挙上していくと、両上肢ともに十分に肩まで入るから、後は肩や腕の部分のねじれなどを直し、前部のボタンを健側手でかけて終了

3:脱ぐときは着る時とは逆に健側から先に脱いで行くが、その前にあらかじめ患側の肩の部分をはずしておく

 

ズボンの着脱

1:ベッドや椅子に腰掛けた位置で行う

患側下肢を組み、健側大腿部の上に交差してズボンの片方を通し、患側大腿部を自動的に、あるいは、健側下肢の介助で他動的に少し持ち上げながら、ズボンを股関節部まで引き上げる

2:患側下肢を床へ下ろし、健側下肢を他方のズボンの脚に入れ、大腿部まで引き上げる

3:立位バランスが安定している場合→続いて立位をとり、ズボンを十分上まで引き上げる

立位バランスが悪い場合→ベッドに背臥位になり、腰を片方ずつ持ち上げながらズボンを引き上げる(腰を上げることができない場合は、寝返り様のロール動作を行いながら少しずつ引き上げていく)

4:最後に再びベッド、椅子に腰掛け、健側手で前部のボタン、ジッパー操作を行う

脱ぐ場合はこの逆を行う

靴下、靴、ブレースの着脱

ベッドや椅子に腰掛けて行う。

ズボンの時と同様に患側を上にして膝を組んで行う方法がよいが、これが困難な場合、高さ20㎝ほどの足台の上に患側側部を乗せて行うとよい。

靴下は、健側手ではき口を広げて足尖部にかぶせて、後は漸次引っ張りあげ、最後に位置やしわの修正を行えばよい

 

●洗面、整容動作

・発症後、意識が明瞭となり症状が安定してくれば、健側手によりタオルで顔を拭く動作を行うとよい。座位が安定すると、ベッド端や車椅子に腰掛けて、洗面を片手動作で行う練習をするとよい。

・洗面台に吸盤付きのブラシを用意しておけば健側の手や爪を洗うのに便利である。

・歯磨き粉を歯ブラシにつける操作では、歯ブラシを机上や洗面台に置き、健側手で歯磨き粉をつける方法が一般的である。

 

●入浴

浴室は滑りやすく、裸であり支えにくいため、注意が必要である。また、内反、尖足などで素足では不安定になる場合は、入浴用プラスチックブレースを利用することもよい。

浴室内の手すりの設置や、滑りにくいタイルの利用、滑り止めテープの貼布などを考慮する。身体能力からみて、シャワー浴とすることもある。

 

浴槽への出入り

1:健側から浴槽に入れるように手すりを設置する

2:浴槽への出入りは座位で行うと安全である

3:浴槽にシャワーボードを渡し、腰を下ろして、足を浴槽の中に入れる(健側→患側)

4:浴槽の中で立ち、静かにしゃがみこむ

 

洗体動作

・背中が洗いにくい:タオルの一端にループをつけ、患側手にひっかけてタオルを背部にまわし、健側手で他端を握って健側上方へ引っ張ることで行う。

・健側上肢が洗いにくい:吸盤付きのブラシを浴室壁に取り付けることにより行う。

・洗髪:主に健側上肢で行えば問題はない。しかし、閉眼時に頭を下げる動作で、座位姿勢の安定保持ができるかどうか注意する。

 

●生活関連動作(assosiated activities of daily living)

調理

・まな板上で切る動作:まな板にステンレス釘を2~3本立てたものに、切るものをつき刺せば片手できることが可能である。

・ボウル・鍋中のものの攪拌:底がはまり込む程度の孔を気の箱にあけ、これにはめ込んで攪拌すると安定して可能になる。吸盤が上下についたゴム板を下に敷くのもよいが、紙や布の濡らしたものを敷くのもよい。

・食器洗い:柄のついたスポンジを流し台に固定しこれに洗剤をつけ、皿をこするようにして洗えば片手動作で可能。皿を拭くには二枚のタオルを重ねた袋状の前掛けを作り、袋の一部に広い口をあけてそこから皿を入れて拭く方法がある。

 

掃除

電気掃除機により片手動作が可能である

 

洗濯

全自動洗濯機、乾燥機、さらにバリアフリー式洗濯機の普及が進み、洗濯自体は難しい作業ではないと思われる。しかし、かがみ動作の練習を行うことも必要である。洗濯物をたたむ動作、アイロンがけなどは片手動作では困難であるため、回復の状況に応じて練習していく。

 

階段昇降

2足1段、1足1段

病院内では可能でも家庭に戻ると環境が変わり、困難であることが多い。階段のみならず段差の有無など家屋の状況をよく聴取し、それを想定した練習を行う。

 

エスカレーター

エスカレーターを利用するには歩行が安定し、一定のスピードがあることが前提となる。

1:健側手でベルトを押さえ、健側下肢を始めのステップに乗せる

2:ついで患側下肢を同じステップに乗せる

3:降りるときは杖をすぐに使えるように準備しながら、健側下肢から降りる

 

電車の乗降

エスカレーター、エレベーターの設置が義務付けられてきているため、段差や障害物のまたぎ動作、エスカレーターの乗り降りの練習などを行う必要がある。

電車への乗り降りでは、ホームと電車の間に足を落とさないように想定した練習を行うとよい。

 

バスの乗降

バスを利用する場合、段差が大きく難しい。2足1段で行うのが安全である。訓練用模型階段などを利用し、バスを想定した練習をする必要がある。

1:手すりを持ち、健側をステップに乗せる

2:ついで患側をステップに乗せる

3:降りる時は、手すりを持ち患側を下のステップに下ろし、ついで健側を下ろす

 

乗用車の乗降

日本では左側通行であるため、右片麻痺・左片麻痺にかかわらず左側から乗り降りしなければならないことが多い。

右片麻痺→シートに腰を下ろすのに180°分余分に体幹を回旋させなければならない。

シートに腰かけてから下肢を片方ずつ(右→左)車内に入れ、ついで腰を中央部にずらす。

左片麻痺→患側がドア開閉側になるため身体の一部や衣服をドアに挟み込まないように注意が必要である。

( ̄ ̄*)参考文献

医療学習レポート.片麻痺とADL


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