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ヽ( ̄▽ ̄)ノセメントタイプとセメントレスタイプの話


(--〆)題名:セメントタイプとセメントレスタイプの話

1.はじめに

股関節整形疾患の人工骨頭置換術及び人工股関節全置換術において、セメントタイプとセメントレスタイプがあることに着目した。それぞれの違いを把握し、術後にどのように影響してくるのか、メリットとデメリットについて考え、また、術式による術後への影響も考えてみた。

 

2.セメントタイプとセメントレスタイプの比較

セメントタイプ

セメントレスタイプ

歴史

1960年、CharnleyがMooreの人工骨頭(1951年)を骨セメントで固定し非常に有用であると報告。Mckee,Farrarもセメント固定法を取り入れ、ソケットのデザインを変更し、短期ではあるが良い成績を報告。Charnleyは更に1961、1962年に材質、骨頭径を変更しLow Friction Arthroplastyの理論を発表。最も優れた成績を残し、現在も広く行われている。 Porous型はヨーロッパで1971年Judetら、1975年Loadらが最初に行った。日本では1964年に前沢式、1970年に慈恵医大式が行われた。北米ではHarris,Hungerfordらがステムの近位部にチタンのfiber meshやコバルトクロームbeadsをコーティングしたporous構造を開発し、骨と直接接触させる生物学的固定(bone ingrowth)を得る方法を一般化した。以後様々なタイプのセメントレス人工股関節が開発・市販されている。

分類

構成

【種類】現在使用されているのはCharnley型。

(McKee型・Muller型などは材質・デザインの欠点からほとんど使用されなくなった)

 

【種類】1)       一体型

<構造>

臼蓋側 金属シェルとポリエチレン

大腿骨側 ステムと骨頭ボール

<現在一般的に使用されているもの>

Anatomic, AML, PCA, Lubeckなど

<問題点>

ポリエチレン摩耗粉、金属微細小片によるosteolysis(骨融解※)

※-骨皮質が浸食されたような像を呈する。原因はマクロファージや巨細胞などによる貪食作用の影響と考えられており、進行するとlooseningの原因となる。

2)       Modular型

<特徴>

ステム側のfit&fillを向上させるために、よりmodularity(交換可能の意)を増加させている。

<現在一般的に使用されているもの>

Omniflex, S-ROM, Infinity,RMHSなど

 

<問題点>

ポリエチレン摩耗粉、金属微細小片によるosteolysis。Modularityを高めたゆえに金属微細小片の産生が増加。

材料

チタン合金、コバルトクロム合金、超高分子量ポリエチレン、セラミック素材等を組み合わせてできている。
【材料】<Charnley型>

臼蓋側 超高密度ポリエチレン

大腿骨頭 金属、骨頭径22mm。

【材料】<金属材料>

コバルトクロム合金/チタン合金が主流。これにビーズコーティングあるいはファイバーメッシュをコーティングしたものが主に使用されている。近年ではハイドロキシアパタイトをプラズマスプレーコーティングしたものもある。

<摺動面>

ポリエチレン、コバルトクロム合金あるいはアルミナセラミック

適応

年齢

60歳~セメントレスタイプよりも高齢者が多い(早期荷重が可能なため、安静による廃用症候群・痴呆等を予防する目的) 50~70歳人工材料を使用していないため、セメントタイプと比較すると再置換術が容易。安静臥床による廃用症候群等の可能性を考えると高齢者は望ましくない。

固定

特徴

人工骨頭と大腿骨との接合が極めて強固 骨成長による生物学的固定

術中の

こと

硬化直後より安定な固定力が得られる。疲労強度も優れている。重合時の発熱で骨組織に熱損傷が加わる(組織が回復するのは6週間と言われている)。重合時のセメント温度は70~82℃であるがアメリカでは62℃程度に抑えた低温セメントも発売されている。 ステムを大腿骨に打ち込む。その際骨折が生じることがあるため、愛護的操作が求められる。固定は生物学的固定(インプラント多孔表面内への骨成長)。線維性組織の介在を防ぎ、骨侵入を阻害しないために、免荷が重要である。

荷重

一般的に早期荷重が可能。ドレーン抜去したら歩行器を使用して疼痛許容範囲での荷重歩行が可能。 骨成長を妨げないためにセメントタイプより遅らせる。確実な生物学的固定を得るためには線維性組織の介在を防ぎ、骨侵入を阻害しないこと。そのため6~8週の免荷が必要とされる。一般的には4週後から部分荷重開始~8週後に全荷重。(担当医師の見解により差がある)

耐久性

Looseningはセメント使用の有無に関わらず発生するが、セメントレス(生物学的固定)よりセメント固定の方が発生しやすい。また活動性の高さが大きく影響するため仕事内容や年齢も関係する。他にセメント・セメントレス両方に共通するlooseningの原因としては、ステム・ソケットの位置が適切でない、ステムの形状やサイズが合わない、セメントや金属アレルギーによる免疫反応、力学的問題(力学的ストレスの不均等)、原疾患によるもの、他関節の障害、肥満、骨・筋の脆弱化、全身の重篤合併症。
荷重が加わると骨と人工関節あるいはセメントの中で若干のずれを生じ、長年積み重なるとゆるみとなる。つまり活動性が高いほど人工挿入物のlooseningの危険度が高く、再置換術を行う必要がでてくる。最近の報告ではLooseninng率-ソケット、ステム側ともに術後約10年で約5%前後。 摩擦による骨融解、大腿骨の髄腔形状が挿入したステムの形状と適合しない、などによりlooseningが起こることがある。
looseningが生じた場合、比較的早期に再置換術をしないと骨皮質が菲弱化し、再置換術が困難となる。また、初回人工股関節置換術後より再置換術後の方がlooseningを生じる率が高い。

杖の永続的使用股関節内圧を減らすことから、全荷重可能となっても使用すべきである。杖を使用することで人工関節の摩耗を少なくし、耐久性が向上。転倒による再骨折の予防にもなる。

まとめ

長所

早期固定・早期荷重、安定した固定が得られる。術後1~2週で荷重歩行ができ後療法を短期間で施行することができたの術式と比較し入院期間を著しく短縮することができる。

簡単な手術操作

人工臼蓋やステムを意図したとおりの位置に短時間に設置できることである。

再置換が容易looseningが少ない

早期荷重が可能で不定愁訴が少ない。

 

短所

重合熱や脆弱化によるloosening手術の際にモノマーとポリマーを混合すると高い重合熱が生じ時にこれが人工関節周囲の骨の壊死を招きlooseningの因子となる。さらに骨セメントはプラスチックの一種であるから長年月の間に脆弱化し、人工関節を骨に接着する能力を失いlooseningの原因となる。

再置換が困難

人工関節を再置換する際には多くの場合大腿骨骨髄腔内残存した骨セメントを完全に外すことは極めて困難で時間を要する。

易感染性

セメントの使用例では感染の発生する頻度が高いと言われている。

リハビリに時間がかかる安静期が長いことによる廃用性、体力低下など。

いったん緩みが生じると、加速度的に進むことと病的な骨破壊、骨吸収が見られること。

 

 

3.セメントレスとセメントの人工関節術後療法のプログラム

セメントレス人工関節では初期固定が確実に得られるかがその後の成績を左右する。したがってセメントレス人工股関節の場合には一般に、後療法、とくに荷重訓練を遅らせ気味にせざるを得ない。

 

愛媛大学整形外科での後療法プログラム例(慈大式人工関節使用)

術後3週まで

ベッド上安静、内転防止枕使用

3週

Floating exercise開始

8週

起座開始、車椅子使用許可

12週

両松葉杖完全免荷歩行開始

14週

両松葉枝部分荷重歩行開始

16週

ロフストランドクラッチにて全荷重歩行可、退院。

※ただし両側例などでは歩行開始をさらに2週間遅らせ免荷歩行の期間を省略して両下肢を同時について歩行させる。

 

昭和大学藤が丘病院での後療法プログラム例(Bipolar型人工股関節使用)

術前

術前評価、筋力強化

術後

足関節自動運動、大腿四頭筋setting、他動運動、自動介助運動

3週

ハバード内、自動運動→伸張運動

5週

プール内歩行訓練、マット上筋力強化、可動域拡大

6週

松葉杖歩行(1/3荷重)

10週

松葉枝歩行(1/2荷重)

12週

T字杖歩行、退院

6ヶ月

検診(以後1年、2年・・・・・)

 

80歳女性・セメントレスの治療

術前

直達牽引

手術~一週間

ベッド上臥位(外転マット)

1週

車椅子坐位・Toe Touch 立位

2週

1 / 4 荷重 → 1 / 3 荷重

3週

1 / 2 荷重 → 全荷重・ピックアップ歩行

4週

4点杖歩行 → T-Cane

5週

退院
外転マット 日中 術後2週で除去夜間 術後3週で除去

外転装具  全荷重許可とともに除去

(@_@;)参考文献

医療学習レポート.セメントタイプとセメントレスタイプ


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