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ヽ( ̄▽ ̄)ノ前頭葉と機能の話


(゜-゜)題名:前頭葉と機能の話

前頭葉の機能とは、行動・行為・運動を表出させることであり、それらの組織化やプログラミングを行ない、制御・調整することである。前頭葉が脳卒中やクモ膜下出血、外傷などで傷ついてしまうと、これらの機能が障害され、行動の抑制ができなくなったり、自発性が低下したりする症状が現れる。

 

解剖・機能解剖

前頭葉とは中心溝より前方をさす領域で、その皮質は大脳全体の約1/3にも達する。中心溝のすぐ前の中心前回は一次運動野で、その前に運動前野が、内側面には補足運動野があり、これらは随意運動開始前から血流が増加する治験などから運動の開始、プランニングに関与すると考えられている。


次は前頭葉を外側面、内側面、底面の3つの側面から眺めてみる。
そして、その前に前頭前野があり、この領域こそ人間の人間たる能力を生み出しているといわれ、前頭野における連合野を含んでいる。

前頭前野は側頭葉、頭頂葉、後頭葉の連合野との相互投射があり、運動前野・補足運動野に投射し、間接的に運動野に投射している。辺縁系の帯状回、および皮質下、視床下部との相互連絡もあり、眼窩部は扁桃体や海馬からの連絡がある。扁桃体は内側部への投射もある。
この前頭前野は背外側前頭前野と眼窩前頭前野に区別される。前者は意志発動性、実行機能(判断)、概念の転換、複雑な情報の統合、時間的認知などに関与し、後者は大脳辺縁系と強く結びついて、反応の制御・抑制、特に感情の調節に関与している。   

 

外側面では中心溝によって後方の頭頂葉と境され、外側溝(Sylvius裂)によって下方の側頭葉と接している。中心溝の前方でほぼこれと平行に上下に走る溝が中心前溝で、この両者の間が中心前回である。

 

中心前溝の前方に広がる領域は上、中、下に区分され、それぞれ上前頭回、中前頭回、下前頭回と呼ばれる。その間の溝が上前頭溝、下前頭溝である。下前頭回はさらに、外側溝の分枝である前方の前肢と、後方の上行枝によって、前、中、後の3つに分けられ、それぞれ眼窩部、三角部、弁蓋部と呼ばれる。

 

内側面は、下方は帯状溝によって辺縁葉の一部である帯状回と境されている。後方の頭頂葉との境界は分明ではない。外側面を上行してきた中心溝が大脳外套稜に達する部位である中心溝切痕から、帯状溝に沿って下す仮想線をもって境界とする。中心溝切痕周囲は中心傍小葉と呼ばれる。

 

底面は眼窩面とも呼ばれる。この面にある嗅溝より外側方向にある回転は眼窩回と呼ばれる。嗅索の収まる嗅溝より内側は直回と呼ばれる。

前頭葉を機能の内容によって分類するのは困難であり、これは我々の「行い」全てに関わっていると考えられるからである。前頭葉の機能とは、感覚連合野である頭頂連合野・側頭連合野から情報を受け取り、これらに基づいて行動・行為・運動を表出させることであり、それらの組織化やプログラミングを行ない、制御・調整することである。

 

原因疾患による障害像の特性
前頭葉障害を引き起こす原因疾患により損傷部位は異なり、障害像の特性には差違が認められる。
①脳血管障害の場合には、前大脳動脈の支配領域(前頭葉内側面)が損傷を受け、随意運動の発現に関わる補足運動野などが含まれるため、発動性障害(自発性の低下)、imitation behavior(模倣行動)/utilization behavior(使用行動)、本態性把握反応などの病的現象が出現する。

②前交通動脈動脈瘤破裂クモ膜下出血の場合には、穿通枝動脈である視床下部動脈などの損傷による記憶障害が顕著となることが知られている。また、水頭症を合併する場合には、全般的な覚醒障害により注意障害や発動性低下などが出現する。

③頭部外傷の場合には受傷のメカニズムとして前頭葉眼窩面の脳挫傷が引き起こされやすく、それにより記憶障害、注意障害、さらに様々な行動異常(転導性の亢進、感情的爆発、衝動性、攻撃性)などが特徴的に認められる。

 

臨床症状と部位の対応
○言語
口頭言語(Broca失語、超皮質性運動失語、発語失行、発話韻律不全、緘黙、反響言語)

①Broca失語:左側の下前頭回後部の三角部および弁蓋部の皮質・皮質下白質の病変によって生ずる。発語の障害を主徴とし、聴覚的理解はおおむね保たれる。発語の特徴は、とぎれとぎれ、単調、非流暢と形容され、助詞の省略が多い点から電文体と呼ばれる。音韻性・語性錯誤がみられることがある。読み書き障害を合併し、特に書字障害は重症であることが多い。

②超皮質性運動失語:左側の外側(円蓋部)で、Broca野の直前か直上、または補足運動野付近の運動前野の上中部病変により生ずる。聴覚的理解は保たれるが、自発話は減少し、急性期には緘黙であることもある。復唱は良好である。自発書字の障害も認められる。

③発語失行:左中心前回下部病変で生ずる。発話の異常に限定され、その特徴はほぼBroca失語と同様であるが、聴覚的理解や書字の異常が見られない点でBroca失語とは異なる。構音障害との相違点は、誤りの態度に一貫性がない点で、ときには誤り、ときには正確に発音できたりする。音のひずみも比較的少ない。急性期には緘黙であることが多い。発語失行という名称以外に、純粋語唖、aphemiaとされることがあるが、類似の病態を示していると考えられる。

④発話韻律不全 :右側の下前頭回後部(脚部)(左側のBroca野に担当する部位)で生ずるとされる。発話において抑揚を与える、速度・高低・強勢からなる韻律(プロソディー)の選択的な障害である。

⑤緘黙:内側部病変で生ずる。言語表出のない状態を指す。発話器官そのものの異常ではなく、発話意志の駆動の障害と考えられる。無動や運動緩慢と関連していると考えられる。

⑥緘黙反響言語:聞いたことばをそのまま繰り返す症状を指す。両側前頭葉病変で生ずる。外的刺激に対する反射的応答と考えられる。自己の発した言葉が刺激となって繰り返す場合は「反復言語」と呼ぶ。

 

書字言語(純粋失書、第三失読、書字過多)

①純粋失書:Exnerが書字中枢と推定した左側の中前頭回後部病変で生ずる。純粋失書とは、発話や聴覚的理解などの口頭言語の異常や読みの障害にくらべて、書字障害が顕著に認められる症状である。報告例は少ない。

②第三失読:非流暢性失語に伴って生ずる。名詞や動詞などを読むことは可能であるが、前置詞や関係詞などは読めない。また、単語そのものは読むことが可能であっても、そのなかの個々の文字を読むことができないという。前頭葉内の病変局在は明らかではない。

③書字過多:両側前頭前野病変で生ずるとの報告がある。眼前に置かれた筆記用具を命令なしに使用し、書字行為を呈する。

 

行動・行為・運動行動 (発動性低下、抑制障害・過剰反応、環境依存症候群)

①発動性低下:前頭葉病変によって発動性が低下する場合がある。局在性を明確に述べることはできないが、脳幹から両側前頭葉を中心とした大脳半球に投射する網様体賦活系(いわゆる意識の中枢)の障害の延長上にあると考えられる。

②抑制障害・過剰反応:不適切な反応を抑制することができない。眼窩部の病変で生ずるとされる。

③環境依存症候群:Lhermitteによって提唱された概念で、使用行為、模倣行為を呈する患者が、ある環境下でその環境に応じた行動をしてしまう状態を指す。眼窩部が重視されている。

 

行為(観念運動性失行、肢節運動失行、口舌顔面失行、系列動作障害、構成障害、道具の強迫的使用、使用行為、模倣行為、鏡像行為、他人の手徴候)

①観念運動性失行:左側補足運動野病変によって生じたとする報告がある、頭頂葉病変による観念運動性失行では動作の認知も障害されるが、前頭葉病変による観念運動性失行では動作の理解は良好である。

②肢節運動失行:左右いずれかの中心前回前部中央の病変で、病変とは反対側の上肢に生ずる。比較的単純な行為や、手指パターンの模倣がぎこちなく、不完全で不器用になる。中心前回病変例と中心後回病変例との比較では、前者では行為の開始困難、両手の同時運動障害、腱反射の異常などの運動系症状を伴い、後者では視覚による代償があり、感覚系症状を随伴する。

③口舌顔面失行:左側の下前頭回後部病変で生ずる。口唇、顔面、舌、咽頭、喉頭、呼吸筋の習熟行為が障害される。De Renziらは、Broca失語の90%に口舌顔面失行があるとしている。

④系列動作障害:運動前野病変で、fist-ring test、zigzag line、rhythmic tappingなどの課題の困難が生ずるとされている。

⑤構成障害:課題が複雑である場合には、前頭葉病変でも(通常は頭頂葉病変で起こると考えられている)構成障害が生ずることがある。Luriaらは、前頭葉病変による構成障害は、プランニングが不十分であるために生ずるとしている。前頭葉内の局在は明らかではない。

⑥道具の強迫的使用:森らにより提唱された。左側内側部と脳梁膝病変で生ずるとされる。物品を見るか、触れることにより、本人の意思とは関係なく、あるいは意思に反して、それを使用してしまう。右手に使用現象が生じ、典型的には左手はそれを制止しようとする。例えば、目前にブラシがあると意思に反して右手はブラシをとって髪をとかすが、左手は意志どおりに右手を押さえるといった行動である。

⑦使用行為:一側あるいは両側の前頭前野眼窩部と尾状核頭部病変で生ずるとされる。眼前の物品を見ると自分の意志とは無関係に両手でそれを使用してしまう。、「道具の強迫的使用」との相違点は、強制的でなく、また両手に症状が出現する点である。

⑧模倣行為:命令されないのに検者の身振りなどを模倣する。

⑨鏡像行為:補足運動野病変により生じたとする症例報告がある。いずれの報告も右側病変である。一方の手の動作を起こすとともに、他側の手が無意識的にそれと鏡像的な動作をする。

⑩他人の手徴候:右側の内側部病変と脳梁の損傷で生ずる。道具の強迫的使用との相違点は、通常は左手に生ずる点と、行為の完成度が低く、物品をもてあそぶように扱い、右手には穏やかな反対行為を伴う点である。しかし、ある程度まとまりのある一連の行為である。

 

運動(運動麻痺、肢節運動失行、前頭葉性失調、歩行失行、運動減少・運動過多、強制把握・強制模索、抵抗症、運動保続)

①運動麻痺:前頭葉の最後方に錐体路線維の細胞体が集積するarea4がある。運動麻痺は、中心前回の病変で生ずる。障害が広範で特に皮質下に及べば片麻痺を生ずる。中心前回円蓋中央部の病変で上肢の単麻痺、上部内側面病変で下肢の単麻痺、円蓋下部の病変で顔面、口蓋、咽頭、咀嚼筋、舌筋の麻痺が生ずる。また、前頭眼野の病変で注視麻痺、眼球共同偏倚が生ずる。

②肢節運動失行:前頭前野の障害で生じ、運動の一連の内容、組み立ては理解しているのに四肢が思うように動かず、模倣もうまくいかなくなる。

③前頭葉性失調:体幹失調を伴う大股の歩行を呈する。

④歩行失行:前頭葉内側面の障害が原因とされる。歩行開始困難、小刻み、すくみ足などのパーキンソン病の歩行に類似する。

⑤運動減少・運動過多:Laplaneらは、補足運動野を含む前頭葉内側面の切除例で、反対側に運動減少がみられ、比較的長期にわたり残存することを報告している。逆に触覚刺激や視覚刺激に対する運動の亢進も同部位の病変により生ずることも知られている。これらのことから、補足運動野は行為・運動の促進・抑制を制御する役割を担っていると考えることができる。

⑥強制把握・強制模索:上前頭回後部、内側面(補足運動野、帯状回前部)などの病変で生ずる。一般に病変の反対側の上肢に出現する。強制把握は、手掌に物品をのせると指がそれをきつく握って、長時間そのままにしている現象である。手を広げようとしても多くは無効で、広げようとすればするほど把握が強まる。強制模索は視覚刺激によって引き起こされる。患者に物品を握らないよう教示したあとに、物体を患者に近づけると、患者の手・腕はそれに向かってすばやく動き始め、検者が物体を移動させるとそれを追跡することもある。

⑦抵抗症:前頭前野背外側部の運動前野近傍部位の病変によって生ずる。受動運動に際して無意識に力の入る現象である

⑧運動保続:比較的単純な運動を繰り返し、それを止めることができない症状を指す。病変の対側に見られる。内側面が重視されている。常同行為もこの現象の一つと考えられる。Motor impersistenceとは、逆に一定の行為を撮り続けることができない症候を指す。閉眼続行不能(正常では15秒以内可能)、舌出し続行不能(正常では20秒以上可能)などで判断する。右前頭葉を含む病巣で障害されやすい。

 

記憶:前脳基底部およびその周辺の帯状回前部、直回、眼窩部などの病変で健忘が生ずる。Damasioらによると、この健忘の特徴は、前向性・逆向性にみられ、再生過程の異常が重視される。前向性健忘では、担当の医師や心理学者の特徴を覚えることはでき、個々の事実を覚えることも可能であるが、それをまとめたり順序立てることができない。逆向性健忘でもこのようなことがみられ、何かヒントになるような手がかりを与えると思い出しやすい。作話を重視する立場もある。

 

ワーキングメモリー(複雑な情報を処理するうえでの一次的記憶貯蔵システム)は、両側前頭前野が重要とされる。

(^<^)参考文献

医療学習レポート.前頭葉と機能


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