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ヾ´・ω・`高血圧症の話

(*゚∀゚*)題名:高血圧症の話

1高血圧症の定義

 

2高血圧症の成立

多くの高血圧症の原因はこのように不明であるが、よく知られているものにレニンがある。ゴールドブラッドは腎動脈を狭乍すると、腎組織から血圧を上昇させる物質が放出されることを動物で実験的示した。この物質がレニンであり、これは蛋白分解酵素の一種で、血漿のα-グロブリン分画にある。腎への血流量が減少し、乏血が起きると、腎の旁糸球体装置(JGA)といわれる部分にある旁糸球体細胞からレニンが分泌される。このJGAは腎の血流減少を敏感に感知して、血圧を上昇させることで腎血流量を増加させようとする機構であり、旁糸球体細胞は腎の輸出入動脈の平滑筋が特殊に分化したものと考えられている。

 

3レニンの作用機序

血中に放出されたレニンは、その酵素作用で、肝で作られ、血中に出たα-グロブリン分画に含まれるアンジオテンシノーゲンを分解して、アンジオテンシンⅠをつくる。このアンジオテンシンⅠは血漿中の転換酵素の作用でアンジオテンシンⅡというアミノ酸8箇よりなるポリペプタイドになり、これが全身の細動脈の血管壁に収縮をおこし、末梢血管抵抗を増大し、血圧を上昇する。一方、レニンおよびアンジオテンシンは副腎皮質にも働いている。このように血圧を上昇させる機序として、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が大きな役割を果たしていることがよく知られてはいるが、これで高血圧症、とくに本態高血圧症の成因が全部説明されるわけではなく、おおくの因子が存在すると考えられている。

 

4本態性高血圧症の経過

高血圧が長く続くと細動脈の収縮が繰り返され、ここに全身性の細動脈硬化症といわれる状態が起こってくる。高血圧症は動脈硬化症から起こってくるものではなく、動脈硬化症はその結果である。このような血管変化は腎、脳、心臓にもっとも影響をあたえる。本態性高血圧には臨床的に良性高血圧症と悪性高血圧症の2つがあり、前者は経過が数年以上と長く、後者は経過が非常に短く、放置すれば通常1年以内で死亡する。悪性高血圧症では拡張期血圧が異常に高いのが特徴で100を超える。長期の高血圧は心臓の肥大を生じ、心臓重量は500gを超えるようになる。高血圧症の終局には3つの型がある。第1は強い細動脈硬化が腎臓に生じ、乏血をますます助長し、糸球体を障害し腎硬化症という状態に至らせ、この結果、腎不全となり、尿毒症で死亡する。腎硬化症には2つの型がある。良性硬化症は経過が長いものがあり、良性高血圧の腎にみる所見である。悪性腎硬化症は全身の細動脈、特に腎の細動脈にフィブリノイド壊死という点状出血を伴う激しい病変を起こす。悪性高血圧症時の腎の所見である。悪性腎硬化症は良性腎硬化症より移行することもあり、また他の腎疾患から生じることもある。第2は高血圧による脳血管破綻で、これが脳出血である、第3は心の肥大で、肥大した心臓を栄養する血液量が不十分になると心筋が障害される。

 

5二次性高血圧症

これは、原因が明らかな高血圧症であるが、全体の高血圧症に占める割合は10%以下である。

腎性高血圧症、内分泌性高血圧症、神経性高血圧症、血管性高血圧症に分類する。

腎性高血圧症は最も頻度が高く、糸球体腎炎、腎孟腎炎、全身性紅斑性狼瘡、腎動脈硬化症および血栓症などでおこり、腎実質障害が先行し、腎血流量が減少し、レニンの分泌が亢進するためである。

内分泌性高血圧症は副腎の褐色細胞腫、クッシング症候群、アルドステロン症あるいはコン症候群といわれる3つのものに代表される。

褐色細胞は副腎髄質に生じるクロム親和性細胞といわれる細胞の腫瘍化したもので、この細胞がカテコールアミンを分泌し、その作用で高血圧が生じる。腫瘍細胞が一時に大量のカテコールアミンを放出するので、一過性に急激に高血圧性が生じるのが特徴的で、これを発作性高血圧症の名前で呼ぶ。副腎腫瘍の摘出で100%治癒する。

クッシング症候群は副腎の過形成や線腫による糖質コルチコイド分泌過剰によるものであるが、同時に、アルドステロンも関係し、この両者によって高血圧がもたらされると考えている。全例に高血圧症が起きるわけではない。

アルドステロン症は副腎皮質の腫瘍、過形成によるもので、アルドステロンの過剰分泌がその原因で、コン症候群としてよく知られている。このような内分泌性の高血圧症に対しては腫瘍の外科的摘出が有効であり、それによって完全に正常血圧に回復させることができる。

神経性高血圧症は脳腫瘍、脳の炎症、脳の外傷、脳血管性障害などでみるもので、機序はよくわからないが、神経反射に異常が存在することが原因である。精神的感動によっても高血圧は生じる。

血管性高血圧症は、大血管の狭乍などが存在するときに生じるものである。動脈硬化症が高血圧の原因となることも考えられるが、すでに述べたごとくそのとされている。

 

6高血圧症の概要

[臨床症状]

本態性高血圧症には特有な自覚症状はない。軽症高血圧症では、かなり長期間無症状が続く。高血圧による心・血管変化による臓器障害の合併症を生じるとそれに応じた症状が出現する。

・脳神経症状:頭痛、めまい、しびれ、耳鳴り、不眠、いらつき等。

・心症状:動悸、息切れ、胸部圧迫症状等

・腎症状:浮腫、頻尿、夜間尿等

・その他の症状:肩こり、鼻出血等

[検査症状]

高血圧の診断には、本態性高血圧と二次性高血圧の鑑別診断のための検査と、高血圧による臓器障害の程度を判定するための検査とに分けられる。

いずれにしても以下の検査が必要となる。

①尿検査:尿量、尿比重、蛋白、糖、沈渣

②血算:白血球数、赤血球数、ヘモグロビン

③心電図:左室肥大、左房負荷、ST-T変化など

④胸部X線:心陰影拡大、心不全の場合には肺うっ血、胸水貯留など

⑤眼底検査:高血圧性変化の程度

⑥血液生化学検査:血清電解質(Na、K、Cl)CPK、クレアチニン、尿酸、総コレステロール、HDLコレステロール、尿素窒素など

⑦腎機能検査:クレアチニンクリアランス、PSP

⑧内分泌検査:血漿レニン活性、アルドステロン、カテコールアミン、尿中17-KS、17――OHCSなど①~⑥の検査は高血圧症による臓器障害の程度の診断に、また⑥~⑧は二次性高血圧の鑑別診断の検査法として有用である

[治療および予後]

本態性高血圧治療の真の目的は、単に血圧を下げることではなく、高血圧の合併症を抑制し、死亡率を低下させることにある。緊急を要さない中等度以下の高血圧では、非薬物療法を一定期間(3ヶ月程度)継続した後に薬物療法を行うことが原則である。高血圧症による合(合併症について)

・脂質代謝障害

・肥満

・糖尿病

・脳血管障害

・心疾患

・腎機能障害

がある。これらについての詳細は、他の班のレポートに期待する。

 

高血圧症の治療

1、治療の目的

高血圧の治療の目的は心血管系合併症の発症ないし発展を防止することである。心血管系疾患は危険因子とされる要因が多いほど発症率が高く、生命予後も悪い。高血圧と他の危険因子との合併はさらに危険性を増すことになる。したがって、高血圧の治療は血圧を下げるとともに他の危険因子をトータルに減らすことである。そのためには、個々の患者の病態(危険因子を含む)を把握し、病態に即した降圧薬の選択が必要となる。また、降圧薬による副作用のために生活の質を落としてはならず、むしろ高めるように配慮すべきである。

 

2、治療開始までの留意点

実際に治療を開始する前に以下のことがらを確認しておく必要がある。

  • 持続性の高血圧であること→一度の血圧測定で降圧薬をはじめてはならい。血圧は変動しやすいものであり、日を変えて何度か測定する必要がある。
  • 臓器障害、合併症の把握→高血圧が持続したことによる臓器障害の程度(脳、眼底、抹消動脈など)、合併症の有無を確認。
  • 他の危険因子、生活様式の把握→二次性高血圧に特徴的な症状。
  • 二次性高血圧の可能性の検討→二次性高血圧に特徴的な症状、年齢、家族歴、体形、理学所見、血清カリウム値などから治癒可能な二次性高血圧の可能性を考えておく必要がある。

 

3、高血圧の治療内容

悪性高血圧や高血圧緊急性は最初より降圧薬を用いて治療する。また、軽中等度の高血圧に対してはまず、一般療法を行い、効果が不十分な時は、降圧薬を投与する。

 

*一般療法の種類

①食事療法

・食塩5~10g/日程度の指導

・飲酒は一日1合半

②減量療法

・肥満と血圧には正相関傾向があり、肥満度軽減のためには、カロリー制限の食事療法の他に、運動療法も重要となる。

③運動療法

・高血圧のWHOの分類を下記に記す。この内運動療法の適応となるのは、境界型高血圧、WHO分類Ⅰ期、およびⅡ期の一部と考えられ、病期の進んだものは、運動療法の効果が期待できないばかりか、逆に脳卒中や虚血性心疾患などの合併症の危険性もあり、禁忌と考えた方がよい。

④薬物療法

初回に投与する場合には、適当な薬理作用を有する降圧薬を第一選択として、原則として単独投与を行なう。

 

<WHOによる高血圧の病期>

第一期 高血圧に基づく臓器障害を認めない
第二期 高血圧に基づいて、少なく以下の臓器の障害が1つ認められる。①左室肥大(胸部X線写真、心電図、心エコー図などから判定)②網膜動脈の狭細③蛋白尿あるいは血清クレアチニン軽度上昇
第Ⅲ期 高血圧に基づく種々の臓器障害が認められ、次のような症状を示す。①心臓:左心不全②脳:脳出血、高血圧脳症③眼底:乳頭浮腫を伴う(あるいは伴わなくとも)網膜出血や浸出の存在

*その他、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、解離性動脈瘤、動脈閉塞症、腎不全の存在

 

食事療法

食事療法について

☆塩分・化学調味料の取り扱いを控えめにする

(1日10g~7gぐらいの塩分におさえる。味噌汁・漬物の取り方に特に注意する)

☆食べ過ぎ、飲みすぎに注意して肥満を予防する

(酒は1日一合半以下にする)

☆バランスの取れた食事をし便通を整える

 

制限したい食品

味噌・塩・醤油・漬物・肉、魚の加工食品・佃煮類・生クリーム・脂肪の多い肉類・ラード・菓子類・炭酸飲料・卵は1日1個

献立のひとくふう

☆1日に使える塩、醤油を計っておき、その中から使う。

(塩一g:小匙1/5=醤油6g:小匙1杯=味噌10g:梅干し大1個と同じ塩分量)

☆味噌汁は、薄味で実を多くし汁を少なくして、1日一杯とする。

☆香味の、椎茸、三つ葉、しそ、胡麻、酢、レモン、出し汁、少々のこげめ、新鮮な食品など持ち味を利用し塩味が少なくても食べられるようにする。

☆植物性油を上手に利用した料理で、塩の使い方を少なくする。(ソテー、ドレッシング)

☆一日の食糧構成はエネルギ―1800cal

 

運動療法

<病期毎の運動療法>

境界型高血圧症とWHO-Ⅰ型 最大酸素摂取量VOmaxの50%程度の強度の運動、例えば軽い体操、歩行、水泳、など1日約30~60分、週2~3回程度で3ヶ月以上長期的に行う。
WHO-Ⅱ型 この型は高血圧からくる臓器障害をもっているので、その障害の程度を考慮に入れて運動強度や頻度を決めなければいけない。心肥大、尿蛋白や腎機能が中等度低下している場合は運動は行なわないほうがよい。
WHO-Ⅲ型 この型は、高血圧からくる心不全、眼底出血、脳における出血など諸臓器に重大な障害を伴っているの。したがって運動処方は行なってはならない。

 

●事故をおこさないために

運動をはじめる前には毎回必ず血圧を測定し、体調をチェックして調子の悪いときは運動を中止する。

するとなったら、はじめる前に必ず準備運動を十分に行ない、脳と体を活性化させる。

終わった後にも整理運動を行なうとよい。なぜなら運動の開始時と終了後に事故が多いからである。

運動中には次のことを確認する。

①息切れしていないか。

②動悸がつよくなっていないか。

③異常に汗をかいていないか。

これらがあるときは体調がよくない証拠なためすぐに運動を中止するべきである。

 

●運動強度の設定のしかた

運動中、収縮期血圧が180mmHg、または拡張期血圧が110mmHgをこえたら危険である。

そのため、「運動強度40%」くらいの軽い負荷、「楽しく気持ちよいが物足りない」くらいの運動を5分間(3分間で体が運動に適応してくるので、あと2分延長する)して、血圧をはかる。

そして

①血圧が180/110をこえるようなら、患者様が行なう運動の強度は「40%以下」に設定する。

②その血圧をこえないようならば「運動強度60%」つまり「いつまでも続く、汗が出る」くらいの運動を5分間やって、血圧をはかる。

ここで180/110をこえたら、「50%以下」の強度の運動が適当ということになる。

このようにして、5分間やったときの血圧が180/110をこえない範囲で、ちょうどよい運動強度を決めていく。

 

●1回20分、週2~3回

通常の血圧が180/110以上の人は、運動療法はまず不可能である。

日常生活でなるべく体を動かす程度にし、血圧を下げてから取り組むべきである。

運動強度が決まったら、その強度で、1回に20分程度行なう。初心者は週に2~3回で十分である。

慣れてきたら時間や回数を徐々に増やしていくが、疲れが翌日に残るようなら「やりすぎ」である。

むりは絶対にしないことである。

 

●血圧が運動により低下する理由

運動をすると心拍数がふえ、収縮期血圧は上がり、拡張期血圧は下がり脈拍の拍動が大きくなる。

このように、心臓からの拍出量を増加させ、運動に必要な酸素や栄養を供給する。

ところが高血圧症の人の場合、心拍数のふえかたが少なかったり、拡張期血圧の低下が少なかったり、なかには上昇するケースもみられる。

このような人は心臓からの拍出量を増加させるため、収縮期血圧の上がり方が、より大きくなることがある。

それだけリスクも大きくなる。

しかし、適切な運動を一定期間つづけていると、運動中の心拍数や血圧の反応が徐々に正常な人に近づいてくる。

その理由としては①末梢血管にたまっていたコレステロールなどが洗い流されたり、②血液の粘性が少なくなってスムーズに流れるようになったり、③血管が弾力性を回復したり、④毛細血管が発達したり、⑤毛細血管の副血行路ができるなどして、血管にかかる圧力が少なくなるためと考えられる。

さらに運動中の自律神経に働き、ホルモンの分泌が調整され血圧に穏やかに作用することもあるだろう。

高血圧症の人の運動がうまくいくと、収縮期血圧ばかりでなく拡張期血圧も下がる。

拡張期血圧が高いと動脈硬化がすすみ予後がよくないといわれる。

そのため食塩を減らしたり、タバコをやめたりいろいろ努力するのですが、なかなか下がらないのが拡張期血圧である。

ところがこれに運動がうまく加わると、下げることができるのである。

 

●運動種目の選択

運動種目のえらび方は慎重にしなくてはならない。

もちろん高血圧症の程度やその人の体力によって異なる。

全般的には①全身的な運動、②リズミカルな運動、③リラックスできる運動が妥当な運動となる。

具体的には「歩行」「ジョギング」「自転車」などがよいとされている。

高血圧症ではしばしば不眠症や精神的なストレスをともなうので、これらを解消してくれる運動もすすめられる。

「温水プールでの水泳」「ダンス」「卓球」「バドミントン」「テニス」などがよい。

強度40%で 「卓球」を行なうなら「非常に楽である」「楽しく気持ちよいがものたりない」程度に行なえばよい。

得点や勝負にこだわると無理をしてしまって運動が過度になりかねない。

水泳は、水に入ると水圧がかかるうえに水温が低すぎると冷たい刺激で血管が収縮し血圧が急上昇することもあり、高血圧症にはすすめられない。

やや血圧が高めで高血圧症の予防のために運動をするというのならば適応される。

その場合も水温に十分気をつけて、夏は32度、冬場は30度程度でそれよりも高すぎたり低すぎたりしないように注意する。

 

●好ましくない運動

高血圧症の人に好ましくない運動は、重いものを押したり引っ張ったり、持ち上げたりなどの「力み」をともなうもの、たとえば重量あげや過度の筋力トレーニングなどである。

過度の集中力が必要で緊張をしいられる運動、精神的にイライラする運動も避けるべきである。

たとえばゴルフのパッティングなどはこれにあたる。

 

●夏場と冬場の運動の注意

高血圧の人では、脳卒中の発作が一般的に早朝や夕刻におこりやすいので、その時間帯はさけて、日中の時間帯を選ぶべきである。

ただ夏場は日中をさけ、朝夕の涼しいときをえらんで運動をするのがよい。

夏に多い運動中の事故は熱中症である。

汗による体温の放出がうまくいかなくなると、脳の温度が上昇し体温調節中枢が狂って死に至ることもあり、湿度の高い六月は八月より死亡事故が多い。

高温多湿のときの運動は十分に注意するべきである。

冬場の寒いときには末梢血管が収縮する。

そこに運動による血圧上昇が加わると、さらに高くなる可能性がある。

寒さのきびしい1~2月には朝夕をさけ体温が下がらないように注意すべきである。

 

薬物療法

【高血圧の薬物療法】

上記のような一般療法だけで、良好な血圧のコントロールが得られない場合は、薬物療法を行なうことになる。

高血圧の治療に主に使用される薬としては、降圧利尿薬、β-遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、カルシウム拮抗薬の4種類が、第一次選択薬とされていますが、他にもα-遮断薬などの分類の薬もある。

以下に、それぞれの分類の代表的な薬を「商品名」で挙げてみた。

  1. 降圧利尿薬 - フルイトラン、エンデュロン、アルダクトンA、トリテレン、ラシックス、オイテンシン
  2. β遮断薬 - インデラル、ミケラン、テノーミン、カルビスケン、メインテート、セロケン、セレクトール、(ローガン、アルマール、トランデート)
  3. ACE阻害剤 -カプトリル、セタプリル、アデカット、チバセン、ロンゲス、タナトリル、コナン、レニベース、インヒベース、エースコール
  4. Ca拮抗薬 - アダラート、ペルジピン、ニバジール、カルスロット、ヒポカ、バイミカード、コニール、アムロジン、ノルバスク、セパミット、ヘルベッサー
  5. α遮断薬 - ミニプレス、バソメット、デタントール、エブランチル、カルデナリン
    これらの薬は、それぞれに作用機序や副作用の面で特徴があるため、患者さんの状態にあわせて薬が選択されることになる。

 

1.降圧利尿薬

降圧利尿剤は、その名のとおり体内の水分を尿として排泄するのを促進して、体液量を減らすことにより血圧を下げる働きを持っている。

利尿作用を有する薬には、いくつかの種類があり、コーヒーなどに含まれるカフェインでも利尿作用があることは有名である。

高血圧に用いられる利尿剤、いわゆる「降圧利尿剤」として用いられている薬は、大きく分けて以下の3つに分類される。それぞれの利尿薬によって、作用する部位が異なり、また副作用も相反するものがあるので、自分が服用している薬は、どの分類に含まれるのかを知っておくことは、大切なことだと言える。

①チアジド系利尿薬(フルイトラン、エンデュロンなど)

比較的古くから使われている利尿剤で、副作用なども幾つか報告されているものの、今でも多くの方に使われる代表的な利尿剤の一つである。

腎ネフロンの遠位尿細管前半部に作用して、ナトリウムイオン、クロル(塩素)イオンの再吸収を抑制し、結果として水分やカリウムイオン、マグネシウムイオンの排泄も促進して、利尿作用を発揮する。このうちカリウムイオンの排泄促進は、副作用として「低カリウム血症」を起こす要因になる。低カリウム血症は血液検査で勿論判別できますが、症状としては筋力低下、無欲、衰弱、低血圧、不整脈などが起こり、特にジギタリス剤(ジゴキシンやジギトキシン)を併用している場合は、ジギタリス剤の毒性を増大させるので注意が必要である。

このため本系統の利尿剤では、カリウム剤(アスパラKやグルコン酸カリウム、スローKなど)と組み合わせて処方されたり、後述の「カリウム保持性利尿薬」と併用して処方されることが多いものである。従ってこのような場合には、勝手に他方の薬を中止したりすると、カリウム値に影響を及ぼしてしまうので注意するべきである。

他にチアジド系利尿剤は、糖代謝や尿酸値に影響を及ぼすことが知られている。長期投与により血糖値上昇、耐糖能低下をきたすことがあが、これは低カリウム血症の持続によるインスリン分泌低下と、各組織でのインスリン作用の抑制に基づくと考えられているため、適切なカリウムイオン濃度をコントロールしていく事が大切になるわけである。

また高尿酸血症(これが高値だと痛風発作の原因になります)や、高脂血症(動脈硬化の原因になります)を起こしやすいことも知られている。

これらの理由から、糖尿病や痛風、高尿酸血症の患者さんには使いにくい薬剤であるといえる。

②ループ利尿薬(ラシックス、オイテンシン、ルネトロンなど)

利尿薬の中では最も強い作用を持っている。おそらく現在、使われる頻度の最も多い利尿剤といえるであろう。作用部位は尿細管の主にヘンレ係蹄(この部分をループと呼ぶので「ループ利尿薬」といいます)上行脚というところで、ナトリウムイオンやクロル(塩素)イオンの再吸収を抑制し、結果として水分の排泄を促進して利尿作用をあらわしている。作用が強力なことから浮腫性の疾患に適しており、例えば心不全に対して心臓への負荷を軽減させたり、肝硬変における腹水の軽減、ネフローゼ症候群や、さらには尿路結石の排出促進などに、それぞれ応用されて使われている薬でもある。また逆に電解質に与える影響も大きいため、チアジド系利尿剤と同様、あるいはそれ以上に低カリウム血症などの電解質バランスには注意が必要となる。さらに心不全にも用いられることから、ジギタリス剤との併用投与がなされる場合には特に注意が必要である。チアジド系利尿薬と同じく、カリウム剤(アスパラKやグルコン酸カリウム、スローKなど)と組み合わせて処方されたり、「カリウム保持性利尿薬」と併用して処方されることが多く、どちらか一方を勝手に中止することは危険である。

高血圧症に対しては、徐放性製剤(オイテンシンなど)を用いることで、急激な利尿を緩和することができるため、よく使われている。

またチアジド系利尿剤と同じように、糖代謝や尿酸値に影響を与えることが知られており、血糖値上昇については「低カリウム血症」の持続によるインスリン分泌低下が、尿酸値上昇については尿酸の排泄抑制作用が、それぞれ糖尿病や痛風の誘因となってしまうので注意が必要である。

他の副作用として、聴覚障害が知られており(急激な利尿をかけた場合に起きる)、難聴などの症状を感じたら主治医に申し出るようにするべきである。

さらに光線過敏症が起こることがある。これは光にあたった部位に皮膚炎を起こすもので、一見薬とは関係ないように思いますが、注意するべきである。

③カリウム保持性利尿薬(アルダクトンA、トリテレンなど)

上記のチアジド系利尿薬やループ利尿薬とは逆に、カリウムを体内に保持する作用を持った利尿薬である。このためチアジド系利尿薬やループ利尿薬と組み合わせて、カリウムイオンのバランスを調節したり、もともと低カリウム血症の患者さんに適している薬剤となるわけである。

作用機序はアルダクトンAでは、アルドステロンと呼ばれる副腎皮質から分泌されるホルモンの働きを阻害する。このアルドステロンというホルモンは、腎臓の遠位尿細管や集合管においてナトリウムイオンの再吸収を促進し、カリウムイオンを排泄させる働きを持っているため、このホルモンの作用を阻害することによって、逆にナトリウムイオン排泄、カリウムイオンを保持させ、利尿作用ももたらすことがある。ただし利尿作用はそれほど強いものではなく、高血圧症に対する降圧作用も弱いので、カリウムを保持させるという作用が、もっぱら有用性の高さの理由になっている。

副作用として、単独では高カリウム血症をもたらしてしまうため、ジギタリス剤併用では効果を弱める。他にはホルモンのバランスに影響を与えてしまい、男性では女性化乳房や性欲減退、女性では多毛、月経不順が起こることがある。

トリテレンについては、アルドステロンの働きを阻害する作用がない事が知られていますが、やはりカリウムを保持する利尿作用がある。利尿作用は、やはりそれほど強くなく、カリウムを保持させることが大きな有用性として用いられる薬となる。アルドステロンと関係ないので、アルダクトンAでみられるホルモン系副作用がみられないことも、一つの特徴といえる。

これら一連の利尿薬については、高血圧に対して古くから用いられてきた薬ですが、基本的にナトリウムイオンやクロル(塩素)イオンを排出させる働きがあるため、塩分摂取の多い日本人には比較的適した薬剤であるともいえる。ただ一方では高脂血症や糖尿病、痛風など、最近の食生活の変遷に伴う代謝系の疾患も増えてきていることから、これらを悪化させてしまうことに対する注意が、ますます必要になってきていることも事実である。

 

2.β-遮断薬

交感神経が刺激されると血圧が上昇しますが、交感神経には大きく分けて「α」と「β」の2種類の「受容体」と呼ばれる経路を持っていて、この受容体がアドレナリン(エピネフリン)やノルアドレナリン(ノルエピネフリン)などの神経伝達物質を、文字どおり受容して興奮を伝達する働きを持っている。

β-遮断薬というのは、この交感神経のβ受容体を遮断することによって興奮を抑制し、血圧を下降させる働きがある。

ところで交感神経β受容体には、さらにβ1とβ2の2つのサブタイプがあり、それぞれ局在部位やあらわれる作用が異なってくる。具体的にはβ1受容体刺激では心臓において心収縮力や心拍数を増やす作用があり、脂肪組織では脂肪を分解する働きを持っている。もう一方のβ2受容体刺激では、気管支平滑筋を弛緩して気管支を拡張したり、子宮平滑筋を弛緩する働きがある。このためβ受容体(特にβ1)を遮断する薬は高血圧症の他にも不整脈や狭心症の治療に応用され、逆にβ受容体を刺激(特にβ2)する薬は気管支喘息や切迫流産の防止に応用されている。

非常に重要なことですが、これらのことは逆に副作用とも密接な関係にあり、例えば、いくら不整脈や狭心症の治療であっても、その患者さんが気管支喘息の患者さんであればβ遮断薬の投与は不適切となりますし、逆に気管支喘息の治療においても、患者さんの背景に不整脈や高血圧を有している場合にはβ刺激薬の投与は要注意ということになってくる。

現在使われているβ遮断薬には、いくつかの種類がありますが、それぞれに特徴を持っています。その特徴について具体的に取り上げてみましょう。

①β1とβ2受容体の遮断作用に選択性があるかどうか?

ここで言う選択性というのは「いかにβ1受容体を選択的に遮断するか?」という事で、選択性が必ずしも高ければ良いというものでもありませんが、患者さんの病態によって、不必要な作用(結果として副作用となってしまう)を減らすことができる可能性がある。

β1とβ2受容体に対する選択性を持たない薬としては、インデラル、カルビスケン、ミケラン、アルマール、トランデートなどがあり、逆にβ1受容体に選択性を有する薬はセロケン、メインテート、セレクトール、テノーミンなどがある。

②内因性交感神経刺激作用(ISA)を持っているかどうか?

内因性交感神経刺激作用(ISA)というのは、β遮断薬であるにもかかわらず心臓のβ受容体を刺激したり、末梢血管のβ受容体を刺激して平滑筋を弛緩させる働きを持っているという作用で、これを持っている場合は心拍数の減少や血管収縮作用が弱められるため、徐脈や皮膚の冷感などの副作用が少なくなるという特徴がある。その反面β遮断薬として不整脈を抑える効果は弱くなることになるわけである。

ISAを有する薬剤としては、カルビスケン、ミケラン、セレクトールがあり、ISAを持たない薬剤がインデラル、セロケン、メインテート、テノーミンなどがある。

③α受容体遮断作用を併せ持つ薬

交感神経のα受容体にも、α1とα2のサブタイプ受容体が存在することが知られている。このうちα1受容体を遮断する薬(後述)でも、血圧を下げる効果がある。最近では、β受容体遮断作用に加えてα1受容体遮断作用を併せ持つ薬が登場してきている。また、この中でもαとβ受容体の遮断作用にそれぞれ異なる選択比を持っている。

α受容体遮断作用を併せ持つ薬剤としては、トランデート、アルマール、ローガンなどがある。

β遮断薬は、上記のような各薬剤の特徴を生かして、患者さんそれぞれの症状に合わせて選択・処方されることになる。このため、ある患者さんにとって主作用となる作用も、別の患者さんにとっては副作用となってしまうこともあるわけである。

一般的な副作用としては、気管支喘息の悪化・誘発、心不全(心収縮力抑制作用による)、四肢冷却(末梢血管拡張を抑制する作用による)などがあり、また糖尿病で血糖降下剤を使用している場合は低血糖を誘発することがあるので注意が必要である。

 

3.アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤

アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、高血圧治療薬としては比較的新しい分類の薬剤で、ACE(エース)阻害剤と略して呼ばれることが多いものである。

名前のとおり、アンジオテンシン変換酵素を阻害することにより血圧を下げる働きがありますが、薬について触れる前に、アンジオテンシンという物質が、血圧に対していかなる働きを有しているかについて説明する。

血圧は生体の各組織に血液を送る上で、非常に重要であることは改めて申し上げるまでもありませんが、この血圧を維持させるにはいろいろな機構が関与している。

その中で非常に重要な機構の一つに「レニン-アンジオテンシン系」の機構がある。

動脈血圧が急に下がるなどして腎臓の血流量が減ると、この「レニン-アンジオテンシン系」が活性化されるのですが、この反応は腎臓で「レニン」というホルモンが分泌されることによって始まる。腎動脈を通って流入する血液は、輸入細動脈という細い血管を通り、その後ネフロンに入って糸球体で濾過されていきますが、この輸入細動脈の壁のところに「旁糸球体細胞」と呼ばれる組織があり、血流量が低下すると、この旁糸球体細胞からレニンが分泌される。レニンはアンジオテンシノーゲンと呼ばれる肝臓で作られる血漿タンパクに作用して、小分子の10個のアミノ酸からなるアンジオテンシンⅠという物質へと分解させる働きを持っている。

アンジオテンシンⅠは「アンジオテンシン変換酵素(ACE)」によりさらにアンジオテンシンⅡ(8個のアミノ酸よりなる)という物質へと分解され、最終的にはアンジオテンシンⅢにまで分解されるのですが、これらのアンジオテンシンⅡ及びⅢが強力な血圧上昇作用を持っている。両方とも血管収縮作用を持っている上に、アルドステロンの分泌を促進して口渇をも刺激する。アルドステロンは、上記の「利尿剤」の項でも触れましたが、循環血にのって腎に到達して、遠位尿細管からナトリウムイオンの再吸収を促進させる働きがある。

少し「ややこし」かったかもしれませんが、この血圧を上昇させる機構の中のアンジオテンシンⅠからⅡへの変換を触媒する酵素「アンジオテンシン変換酵素」を阻害して血圧を下降させるというのが、この分類の薬の作用機序である。

この薬理作用から、血中レニン濃度の高い人の高血圧症に対して有用性が期待できますが、実際には血中レニン濃度が低いような人の場合でも降圧効果が発揮されると報告されている。さらにこの系列の薬で、腎臓でのナトリウム利尿作用や、末梢血管を拡張して心臓の負担を軽くする作用、心筋の肥大を抑え、障害された心筋の修復を助ける作用などを有していて、軽症の心不全の治療に応用される薬(レニベース)もある。また糖質・脂質代謝系への影響がほとんどないので、高度の腎障害がなければ糖尿病や高脂血症の患者さんにも使いやすい薬といえるであろう。

この系列の薬を服用するにあたって、まず注意しなければならない事は、初回投与時に過度の血圧低下を招いてしまう恐れがあるということで、特に塩分制限がしっかりできていた患者さんや、利尿剤を投与されていた患者さんで注意が必要である。その他の副作用としては味覚異常、空咳、血管浮腫などがありますが、味覚異常については亜鉛の欠乏によるものと推定されている。空咳は文字どおり乾性で痰のからまない咳が特徴である。これらの症状については、最近では改善された薬剤が登場してきた。血管浮腫については、呼吸困難を伴う顔面、舌、声門の腫脹などの症状であらわれるので、これらの症状があらわれた場合には服薬を中止して速やかに受診する必要がある。

 

4.カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬についても、高血圧治療薬としては比較的新しい分類の薬剤ですが、おそらく我が国で最も高血圧症に対して使用されている薬剤でもある。
「カルシウムチャンネル遮断薬」とも呼ばれることがあるように、主な作用は心筋や血管平滑筋のカルシウムチャンネルを遮断することにより、血圧を下降させる。薬について触れる前に、心筋や血管平滑筋においてカルシウムイオンが、いかなる働きを有しているかについて説明する。

心筋や血管平滑筋などの細胞において、細胞内のカルシウムイオン濃度は、細胞外と比較すると約10000倍低い濃度に保たれている。この濃度の差は細胞膜に存在するポンプによって作り出されるものですが、細胞内のカルシウムイオンの濃度が増加すると、心筋や血管平滑筋の収縮は増加する。これは細胞内のアクチンやミオシンと呼ばれるタンパク質が、互いに滑り込むようにして収縮する機構がありますが、これを制御しているのがトロポニンやトロポミオシンというタンパク質なのである。ここにカルシウムイオンが流入することによって、この制御が解かれ、心筋や血管平滑筋が収縮するというしくみになっている。このためカルシウムイオンの流入が少なくなると、心筋や血管平滑筋が弛緩されて血管抵抗が下がり、血圧も低下することになる。

この機構の中で、「細胞内外のカルシウムイオンの濃度勾配を調節しているチャネル」を阻害する働きがある薬が、カルシウム拮抗薬である。
一口にカルシウム拮抗薬といっても、いくつかの分類に分けられ、それぞれの分類によって性質が異なってくるのですが、今回述べている高血圧症の他に、狭心症や不整脈、脳循環改善に対しても、各々の特質を生かして応用されている。高血圧症に対してはジヒドロピリジン系の一連の薬剤と、ベンゾチアゼピン系の薬剤が用いる。

①ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬 (アダラート、セパミット、ペルジピン、ニバジール、カルスロット、コニール、アムロジン、ノルバスク、ヒポカ、バイミカードなど)

カルシウム拮抗薬の中でも最もよく使われ、なおかつ種類の多い分類の薬である。代表的な薬は成分名ニフェジピン(商品名アダラート)になりますが、最近は徐放性で1日1回服用の新しい薬が増えてきています。この系統の薬は顕著な血管拡張作用を持ち、降圧作用も強く発揮しますが、反面、初回投与時には血管拡張作用により顔面紅潮やほてり、頭痛などの症状があらわれることがある。これらの症状は服用を継続していくにしたがって消失していくことが多いものなので、最初はびっくりされる方もみえるようである。また初回投与時に血圧下降作用を発揮したとき、反射的に心拍数の増加をもたらしますが、これは交感神経が降圧に伴って刺激されるためで、狭心症の患者さんではマイナスの作用になってしまう。他には、やはり血管拡張作用の結果として末梢の浮腫(足部の浮腫など)や肺浮腫、咳があらわれることもあるほか、特徴的な副作用として歯肉肥厚や(男性の)女性化乳房が知られている。歯肉肥厚を予防するために、プラークコントロールに注意するように心がけたいものである。

また、相互作用としてグレープフルーツジュースと併用すると、ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬(ニフェジピン)の血中濃度が上昇して、作用が強く出過ぎてしまうことが報告されている。これはグレープフルーツ中に含まれるフラボノイド(フラノクマリン?という報告もある)が、カルシウム拮抗薬の代謝を阻害することによるもので、オレンジジュースなどでは、この作用はない。このためカルシウム拮抗薬服用中は、グレープフルーツは摂取しないように注意するべきである。


②ベンゾチアゼピン系カルシウム拮抗薬 (ヘルベッサー)

血圧を下げる作用はジヒドロピリジン系の薬と比較すると、それほど強いものではありませんが、心臓の収縮力や心臓の刺激伝導系に対する抑制があるため、心拍数が減少するという特徴がある。このため頻脈傾向の患者さんには適した薬剤となりますが、反面、徐脈の副作用となってしまう方もみえる。特に上記のβ遮断薬と併用すると、心抑制や徐脈が助長されるので、併用には注意が必要である。

他に心筋の酸素消費量を抑制する働きがあるため、狭心症の治療にも応用され、高血圧があって狭心症もあるというような患者さんには適した薬であるといえるだろう。

 

5.α遮断薬

交感神経には「α」と「β」の2つの受容体が存在することは、β遮断薬の項でもあったように、このうちα受容体については、β受容体と同じようにα1とα2の2つのタイプが存在する。これらの受容体は、それぞれに異なる働きを持っているが、基本的に大きな違いとして、α1受容体はノルアドレナリン(ノルエピネフリン)による刺激伝達を受容するのに対し、α2受容体はノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の交感神経シナプス前膜という部位に働いてノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の遊離を抑制する作用がある。つまり、同じノルアドレナリン(ノルエピネフリン)という伝達物質に対しα1は促進、α2は抑制的に働くという、いわば相反する作用を持っているわけである。生体が調節し合う機構を持っているということで、非常に重要なメカニズムでもある。

具体的にノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の作用、つまりα1受容体を刺激した場合にいかなる作用があるかというと、血管に対しては収縮して血圧を上昇させる効果があるほか、眼には瞳孔散大(瞳孔を開く)、膀胱括約筋を収縮(排尿を止める)する作用などがある。したがってα2受容体刺激では全く逆の作用を持っていることになるわけである。

では、α遮断薬についてはいかなる作用なのかという事ですが、このように相反する働きを持つα1とα2の受容体を両方とも遮断してしまうと、互いに作用が相殺されてしまいます。少しややこしいかもしれませんが、α1とα2受容体の両方を遮断する薬剤(フェントラミンなど)を投与した場合に、どのような現象が起こるかを述べてみる。

α1受容体を遮断することによって、上記のα1受容体刺激によって起こる効果が抑制されるため、血管は拡張(血圧低下)、瞳孔は収縮、膀胱括約筋弛緩などの作用が期待できます。ところがα2受容体も遮断されれば、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の遊離を抑制している働きが抑制(ややこしい!!)されるため、結果としてノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の遊離が促進されることになる。これでは、何のためにα1受容体を遮断しているのかわからなくなってしまいそうですが、もっと大きな問題点は、遊離が促進されているノルアドレナリン(ノルエピネフリン)がβ受容体も刺激してしまうという点である。β受容体は全く遮断されてない状態においては、より強いβ受容体刺激作用があらわれ(これをオーバーフローと呼んでいます)、著しい心促進作用(動悸など)があらわれている。

これではα1とα2の両方の受容体を遮断する薬は使えない。

ここで述べるα遮断薬というのは、実際には「α1受容体に選択的に遮断する薬剤」の事を指している。ですから厳密に言えば「α1受容体選択的遮断薬」というのが、正しい言い方になる。α1受容体を選択的に遮断することによって、初めて血圧下降などの作用が得られるわけである。また他にも膀胱括約筋を弛緩する作用があらわれるため、ミニプレスなどは実際に「前立腺肥大時の排尿困難」を改善する薬剤としても用いられている。

α1遮断薬を血圧降下剤として用いる場合に、大切な特徴が2つある。一つは寝ている時よりも立っている時の方が作用を受け易いという点で、起立性低血圧はα遮断薬で特に有名な副作用でもある。もう一つは循環血液量が少ない場合に作用が一層強くあらわれるという点で、減塩(塩分制限)のしっかりできていた患者さんなど、α遮断薬初回投与時(特に服用後30~90分の間)は急激な血圧低下に注意が必要となる。他にも空腹時やβ遮断剤の併用で急激な血圧低下が起こりやすいので注意するべきである。また同時に反射性の頻脈があらわれることもある。

このような初回投与時の危険性には、初回は低用量から開始し、就眠時に限定して服用して、徐々に服用量を増やしていくといった対策がとられることもある。

薬物の処方例として

・急性の状態時の服用:急激または著しい血圧上昇により脳血流の自動調節機能が破綻し、脳浮腫を生じる状態の場合は頭痛、意識障害、痙攣などを伴う。この時は、カルシウム拮抗役のヘルベッサー5~15μg/㎏/分や筋遮断薬であるアルフォナ-ド1~4㎎/分を点滴静注する。体液増加例や耐性が生じた場合には降圧利尿薬のラシックスを併用する。

・安定期に入っての服用:急を要する合併症がない限り、経口薬で降圧を図る。即効性のACE阻害薬(カプリトル)やカルシウム拮抗薬(アダラート)を用い、追加しながら併用療法へ移行する。体液貯留があれば降圧利尿薬のラシックスを併用する。

・加速性~悪性高血圧:拡張期血圧130mmHg以上、眼底Keith-WagenerII~IV度などを伴う。急を要する合併症がない限り、経口薬で降圧を図る。速効牲のACE阻害薬(カプトリル)やCa拮抗薬(アダラート)を用い、追加投与を重ねながら、併用療法に移行する。体液の貯留があればラシックスを併用する。R-A系の著明な尤進が考えられる場合にはACE阻害薬は少量(カプトリル6.25-12.5mg)から用いる.

 

6.フォローアップ

降圧療法は原則として生涯にわたるものである。降圧治療を継続するためには、降圧の必要性、他の危険因子を軽減することの意義、一般療法ないし生活様式の改善の重要性などを十分に理解させ、実践してもらうように努め。さらに、降圧薬中断の危険性、あるいは降圧薬治療は原因療法ではないことも理解してもらう必要がある。血圧を目標値まで下げ、降圧薬も定まったら、一般検査は年に1~2回でよい。むしろ、他系統の疾患の発症を見落とさないことが重要である。

重症例でも年余にわたって良好にコントロールされた場合には、降圧薬の減量が可能である。はじめ用量を減らし、それでもよくコントロールされていれば3剤は2剤に,2剤は1剤に減らすことを試みる。軽症で臓器障害がない例で、1午以上正常血圧が続いている場合には、降圧薬を中止しても正常血圧に留まることがある、多くは一般療法を実践している症例である。症例を選び降圧薬の減量・休薬を試みるべきであるが、規則的な通院ならびに血圧測定、一般療法の継続は前提条件である。

以上、代表的な高血圧症に用いられる薬について解説してみましたが、上記の他にまだ幾つかの高血圧症に使われる薬剤もある。

このように高血圧症の薬には色々な種類の薬があるので、薬物治療に際して単に「血圧を下げる」ということにとどまらず、副次的な反応を考慮して薬剤が選択されるようになってきている。例えば高血圧で前立腺肥大もある患者さんには「α遮断薬」とか、高血圧で頻脈傾向の患者さんにはベンゾチアゼピン系カルシウム拮抗薬の「ヘルベッサー」といったような選択、それに加えて各々の薬剤が持っている副作用の可能性が患者さんに及ぼす影響も選択基準になるわけである。

特に高血圧症は慢性疾患として、薬を長期間服用しなければならないケースが多いため、上記の事を少しでも参考にされて安全に薬を使われるようになればと思う。

( ̄ー ̄)参考文献

医療学習レポート.高血圧症

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