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(#^.^#)外側側副靱帯(LCL)損傷の話


(^○^)題名:外側側副靱帯(LCL)損傷の話

Ⅰ.概要

膝外側支持機構は、内反ストレスに対する制御を行う外側側副靱帯(LCL)のみならず他の多くの靱帯で構成されている。激しいコンタクトプレーや交通外傷での受傷が多いのでLCLの単独損傷は少ない。後外側構成体の損傷は後外側回旋不安定性(postero lateral rotatory instability)を生じ、varus thrust(膝くずれ)やACL損傷でのgivig wayとは異なる不安定性をもたらす。さらに十字靱帯損傷を合併することにより、その不安定性は増強するとして近年注目されている。しかし、MCL損傷に比べ症例は少なく、解剖学的に外側支持機構は複雑なこともあり、病態は未だ不明な点も多いので治療法は十分に確立しているとは言えない。

 

1.機能・解剖

外側支持機構は、静的支持機構としてLCL、弓状靱帯、外側関節包などがあり、動的支持機構として膝窩筋腱、大腿二頭筋、腸脛靱帯などがある。LCLは円形の線維束よりなる靱帯で長さは5~6cmあり、大腿骨外側上顆より起始し腓骨頭に停止する。関節包、大腿二頭筋腱と協調し、ほぼ全可動域で膝関節の内反ストレスの制御をしている。内側と比べ外側では、LCLのみならずそれ以外の支持機構が膝安定性の重要な要素となっている。後外側部は複雑な構造を呈し弓状靱帯はpostero lateral cornerと呼ばれ重要視されてきたが、膝関節後外側の安定性に関しては膝窩筋腱とその腓骨頭分枝であるpopliteofibular ligamentが主要な支持機構として近年注目されている。

 

膝関節外側構成体                            popliteofibular ligament

LCLのみならず膝窩筋腱、弓状靱帯、大腿二頭筋、     膝窩筋の腓骨頭に起始する線維

腸脛靱帯などにより構成されており複雑な構造を呈

する。

 

2.発生機序

膝関節における靱帯の中では、単独損傷はまれである。膝関節の前内側からの外力による過伸展、または過伸展・外旋強制などがあげられる。その多くが交通外傷、労働災害やコンタクトプレーでの受傷であり、ACL損傷やPCL損傷と合併する。

 

Ⅱ.診断

診断のポイントは、MCL損傷と同様に単独損傷か他の合併損傷があるのかの判別が重要となる。まず受傷メカニズムを詳細に問診することが大切である。過度の内反ストレスが加わり損傷されるが、新鮮例では、膝外側の皮下出血、ROM制限、自発痛と膝外側に圧痛などに加え、総腓骨神経麻痺を認める場合がある。圧痛部位及び靱帯の連続性の有無により靱帯損傷部位を確認できる。重度の傷害が多く、新鮮例では歩行も困難なことが多い。また陳旧例では、立脚期での「膝のくずれ(varus thrust)」や不安定感、内外側の関節裂隙の圧痛などを訴える。

徒手検査(図3)による不安定性の評価は、急性期にはMCL同様に疼痛のためROM制限がみられ、膝が伸展できない症例が多く、30°屈曲位で診断することになる。30°屈曲位では、正常膝でも生理的動揺性があるので、必ず健側と比較することが重要である。特に生理的内反動揺性は外反動揺性より大きいので、損傷の判定はMCL 損傷より困難である。重症例ではLCL以外に他の後外側構成体(膝窩筋腱、popliteofibular ligament、外側関節包など)も同時に損傷される場合が多いので見過ごさないように注意すべきである。しかし構成されている多くの靱帯のうち、どの靱帯が損傷されているのか正確に診断することは難しい。またⅡ度及びⅢ度損傷では十字靱帯損傷との合併損傷が多いので注意を要する。ときに腓骨神経麻痺を合併していることもあるので見落とさないようにする。

通常の単純X線像では異常は認めないが、新鮮例では靱帯付着部の裂離による骨片を認めることもある。MRIはMCL同様、その損傷部位のみならず合併損傷の状態も把握できるので不可欠な検査となっている。

 

内反ストレステスト

膝関節軽度屈曲位で行い、必ず健患差で評価する。関節裂隙の開大程度、end pointの有無により損傷程度を分類する。

 

Ⅲ.治療

1.保存療法

保存療法はMCL損傷とほぼ同様である。新鮮例のⅡ度単独損傷では、少なからず不安定性は残存することが多いが、自覚的にもdisabilityが少ないので保存療法を行う。

Ⅲ度損傷は非常にまれであり、側副靱帯だけでなく他の後外側構成体も含めて損傷している。しかも十字靱帯損傷などを合併している場合が多いので、保存療法では不安定性が残存してしまう。さらに現状では満足できる再腱法がないので十字靱帯再腱術+一次修復を行うことが多い。しかしMCL損傷と同様に十字靱帯を再建すれば、外側支持機構に対しては保存療法でも良い可能性も残されている。

腓骨神経麻痺を合併している場合は、その損傷のほとんどが牽引損傷なので、自然に回復することは少なく腱移行術を要する。

陳旧例に対しては、単独損傷では新鮮例同様に運動療法を主体にした理学療法が適応になる。支障のある例では合併損傷が多く、合併損傷の治療が優先される。しかし重度の陳旧例では、今のところ有効な保存療法がなく、再腱法にも課題が多いので、陳旧例を生じさせないように新鮮損傷時の正確な診断と適切な初期治療が重要となる。

○新鮮例

1.単独損傷(Ⅰ~Ⅲ度損傷)

1)Ⅰ度及びⅡ度損傷;保存療法でよい。

2)Ⅲ度損傷;手術療法(一次修復術)を行う。ただし保存療法でもよい場合がある。

2.十字靱帯との合併損傷

1)Ⅰ度及びⅡ度損傷;LCLの損傷自体に対しては保存療法でよい。

2)Ⅲ度損傷

十字靱帯損傷に対し保存療法を行う場合;LCL損傷も保存療法を行う。

十字靱帯損傷に対し手術療法を行う場合;LCL損傷も手術療法(一次修復術)を行う。ただし、保存療法でもよい可能性がある。

 

○陳旧例

1.単独損傷(Ⅱ度及びⅢ度損傷)

1)まず保存療法を十分に行う。

2)保存療法でよくならない例には手術療法(再腱術)を行う。

2.十字靱帯との合併損傷

1)Ⅱ度損傷;LCLの損傷自体に対しては保存療法でよい。

2)Ⅲ度損傷

十字靱帯損傷に対し保存療法を行う場合;LCL損傷も保存療法を行う。

十字靱帯損傷に対し手術療法を行う場合;LCL損傷も手術療法(再建術)を行う。ただし、保存療法でもよい可能性がある。

 

2.手術療法

外側支持機構損傷の保存的治療の成績は不明であり、また手術成績の報告も少ない。MCL損傷と同様に、単独損傷であっても複合損傷であってもⅢ度の損傷が修復術の適応と考える。

手技としては、膝関節90°屈曲位で大腿骨外上顆を中心に大腿中央よりGerdy結節に至る弓状の皮切をおく(図4)。腸脛靱帯と大腿二頭筋の間で筋膜を切開し腸脛靱帯を前方に、大腿二頭筋を後方によけLCLを展開する。LCLが大腿骨付近で断裂していればステープルで緊張をかけて固定する(図5)。脛骨付近で断裂している場合は、腓骨神経に注意しながら腓骨頚部を露出して、頚部にドリルで骨孔を作成し、ここに縫合糸を通し靱帯を縫合する(図6)。また外側関節包やpopliteo fibular ligamentが断裂していればこれらも修復する。

後療法はMCL損傷に準じる。

 

LCL損傷のための           LCL大腿骨付着部       LCL脛骨付着部

皮切                 の修復           の修復

 

Ⅳ.理学療法

1,理学療法評価

・膝関節内反テスト

・ROMテスト

・MMT

・下肢周径(大腿部)

・下肢長(SMD・TMD)

・疼痛テスト

・姿勢分析

・動作分析(立ち上がり・歩行)

・ADLテスト(Barthel Index)

 

2.問題点

Impairment level

#1 疼痛(出現部位を確認)

#2 ROM制限

#3 膝関節の不安定

#4 筋力低下

#5 バランス能力の低下

 

Disability level

#6 基本動作能力低下(立ち上がり)

#7 ADL能力低下

#8 歩行障害

 

Handicap level

#9 家庭生活困難

#10 スポーツ活動困難

 

3.ゴール設定

・短期ゴール;疼痛緩和、ROM拡大、下肢筋力の回復、下肢不安定性の改善

・長期ゴール;基本動作・歩行能力の正常化、スポーツ活動復帰

 

4.治療プログラム

MCLと同様に行う。


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