●身体的特徴
(1)形態的特徴
・体重:
2000年(平成12年)乳幼児身体発育調査によれば、出生体重中央値は男児3.00kg、女児2.95kgであるのに対し、生後3~4ヶ月ではその約2倍、1年では約3倍になる。とくに、月齢が小さい子供ほど1日の体重増加量は大きい。
小児の体重増加量と体重計の選択(乳児)
年齢 | 体重増加量 | 体重計の選択基準 |
1~3ヶ月 | 25~30g/日 | 感量10g以下 |
3~6ヶ月 | 20~25g/日 | |
6~9ヶ月 | 15~20g/日 | 感量10~50g以下 |
9~12ヶ月 | 7~10g/日 |
・身長:
出生時の身長の中央値である男児49.0cm、女児48.5cmに比較し、出生後1年では、男児75.4g、女児73.8cmと出生時の約1.5倍になる。
・頭囲と大泉門:
頭囲の出生時中央値は男児33.5cm、女児33.0cmであるのに対して、1年で男児46.2cm、女児45.0cmとなる。頭囲は脳の重量とともに乳児期に著しく増加する。また、大泉門ははじめの数ヶ月は増大するが、その後は縮小して1歳半までに閉鎖する。
大泉門の膨隆は髄膜炎や脳炎、脳腫瘍などによる脳圧亢進の症状として、大泉門の陥没は脱水症の重要な徴候として、それぞれ注意が必要である。
・胸囲:
出生時の胸囲の中央値は男児が32.0cm、女児が31.8cmで、頭囲よりやや小さいが、その後、胸内臓器の発育と胸部の皮下脂肪の増加に伴って増加し、頭囲より大きくなる。
(2)身体生理の特徴
・呼吸機能
脈拍数が少なく、肺胞表面積が小さいが、体重当たりの酸素消費量は多いため、1分間の呼吸数は成人より多い。呼吸中枢の未熟性、上気道が狭いことなどにより呼吸困難になりやすい。肋骨は水平位であり、呼吸の型は腹式呼吸となる。
・脈拍・心拍
1分間の心拍数は、1回の拍出量が少ないために成人より多く、体温や活動などの影響を受けやすい。
・血圧
年少児ほど心拍出量は少なく、血管の弾力性があるため、血圧は低い。
・体温
乳児は新陳代謝が盛んなために、成人に比較して体温は高い。体温調節中枢の未熟性、体表面積が大きいこと、皮下脂肪組織が少ないこと、発汗機能の未熟性により、環境温の影響を受けやすく、日内変動も認められる。
・血液
出生時の多血傾向は、その後、赤血球や血色素の減少が認められ、生後3ヶ月ごろに最も減少する。出生直後の血小板はやや多いが、生後3ヶ月ごろに成人とほぼ同じになる。
・咀嚼・消化機能
吸啜反射の消失に伴い、捕食・咀嚼・嚥下による食べる機能を獲得していく。乳歯は生後6~8ヶ月頃から生え始める。乳児期の胃の噴門や幽門は未発達なため、乳汁を戻しやすい(溢乳)。胃容量は小さく、消化液の分泌は不十分なため、消化吸収能力も未熟である。