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(*^.^*)運動制御と運動学習の話


(*^_^*)題名:運動制御と運動学習の話

我々の日常生活を姿勢制御という観点から振り返ってみると、単にバランスが崩れたときに姿勢を立て直すという姿勢制御ではなく、不安定性を回避するように姿勢制御がなされている。

 

Ⅰ.運動制御を考えるうえでの前提

従来姿勢制御を説明する際反射階層理論にその拠り所を求め、画一化された姿勢反射の出現や消失に注目してきた。しかし、最近では中枢神経系は環境に適応するための自己調整システムとして考えられており、姿勢活動は、個人と課題と環境の相互作用により自己組織化され発現することを前提としている。したがって機能的な視点から運動制御が捉えられているといえる。

その自己組織化に関与する個人に内在する要素として①筋骨格系要素、神経筋応答パターン、③個々の感覚系、④感覚ストラテジー、⑤予測メカニズム、⑥適応メカニズム、⑦内的表象などが概念化されている。

①(筋骨格系)とは関節可動域や柔軟性、筋特性、四肢間のバイオメカニカルな関係

②(神経筋応答パターン)は階層的に組織化されている筋活動の組み合わせ(シナジー)や姿勢反射など。ここでは、従来の反射階層理論では姿勢制御の本体として考えられてきた反射反応が、1つの要素あるいはバックアップ機構として役割を果たす。

③(個々の感覚系)としては、視覚・前庭・体性感覚系があげられる。

④(感覚ストラテジー)は個々の多様な感覚系情報を統合する過程

⑤(予測メカニズム)は過去の経験や学習に基づいて運動過程を前もって調整する

⑥(適応メカニズム)は課題や環境の変化に対応して感覚運動過程を修正する高次の認知機能を想定している。

⑦(内的表象)は活動のイメージ化の役割を果たしている。

 

Ⅱ.姿勢制御の機能的視点からの定義付け

姿勢制御の目的は、①重力に対して姿勢を適応させることと、②肢節間の位置関係を空間的に整えることである。

したがって姿勢制御の機能的定義は、姿勢の定位と安定性を環境や課題に合わせて調整、維持することと言われる。

 

Ⅲ.姿勢制御のメカニズム

1.静止姿勢の制御

静止姿勢においては、常時重心が動揺しており姿勢筋により微調整が行われているが、姿勢を維持するための要素として、①姿勢のアライメントと②筋緊張、③抗重力活動に伴う姿勢緊張、④伸張反射に代表される自己調節機構が挙げられる。

 

2.外乱刺激に対する姿勢制御

立位姿勢にて、一過性に外乱が加えられた場合の姿勢応答は、その外乱の大きさや方向、置かれた状況によりその姿勢応答形式(ストラテジー)は変化する。Shumway‐Cookらは一過性の床前後移動の外乱刺激に対する筋応答(シナジー)の形式から3つのストラテジーを分類した。①足底部安定時はアンクルストラテジー、②床不安定時にはヒップストラテジーとなり、一歩踏み出す場合をステップストラテジーと分類した。

また、Brooksはこれらに加えて、重心位置を低くする場合をバーティカルストラテジーと区分した。通常我々は状況に応じてこれらを使い分けているが、運動麻痺等で機能障害を生じている場合はアンクルストラテジーを使用できないことがある。

 

3.予測的姿勢制御

目的動作に伴う姿勢制御は、自らが行う体動によりバランスを崩さないように目的動作に先行する準備的姿勢調整が行われる。これは予測的姿勢制御と呼ばれ、バランス障害の関連性について、老齢者や中枢神経疾患患者を対象に先行筋活動の消失や活動量の低下、脊髄での興奮性の遅延などが報告されているが、疾病特性なのか障害特性なのかは十分明らかにされていない。

しかしながら、自発運動や自己ペース運動における予測的姿勢制御あるいは準備的姿勢制御は動作の獲得には必須のものとされ、運動療法による改善の目的となっている。

 

4.姿勢制御と感覚系

姿勢制御には視覚・前庭・体性感覚からの情報の統合が重要な役割をしている。我々は暗闇で歩くときに足趾に力を入れることがあるが、これは視覚情報の欠如を体性感覚で補おうとする適応過程を意味する。

立位において、足底感覚や視覚からの情報が欠如したり歪められると重心動揺は増すが、これらは感覚情報を統合する感覚ストラテジーや感覚運動系を調整する適応メカニズムの低下を意味する。

物体の物理的安定性の限界は支持基底面の広さと空間的重心位置(平面・高さ)によって決定される。立位姿勢において足底の位置,杖使用などにより支持基底面が変化し、構え(姿勢)の違いにより重心位置が変化するため安定性の限界も変化する。

通常我々は、姿勢変化を体制感覚や視覚,前庭覚などからの情報により知覚し、その姿勢における安定性の限界を内的表象やボディースキーマとして認知し動作や作業範囲を保証している。このとき内的表象が不正確であった場合に、有効な安定性の限界と本来の安定性の限界との不一致が認識できない場合はバランス障害の要因となる。

 

Ⅴ.運動学習

人間発達は遺伝と環境あるいは成熟と学習の相互作用という視点から理解されている。運動学習理論の考え方では、中枢神経疾患における機能回復も同様の理解がなされ、運動制御の発展は運動学習の結果と考えられている。運動学習理論には、一般的にShmidtのスキーマ理論とFittsの3相説がある。

スキーマ理論は、学習された動作は、個々の具体的な運動プログラムによって記憶されているのではなく、抽象化されたスキーマ(図式)によって記憶されているというものである。

スキーマは、①過去の経験や応答,遂行結果により構成され運動プログラムの選択を行う「再生スキーマ」と、②動作遂行中あるいは遂行結果の修正や調整の参照としての機能をもつ「再認スキーマ」からなっている。

動作の出現は、ⅰ)呈示された課題と,ⅱ)置かれた状況,さらにはⅲ)動機などの初期条件と,ⅳ)望ましい結果によって想起される「再生スキーマ」によって具体的運動プログラムが選択されて生じる。

動作の発現は身体運動と環境との相互作用によって一つの結果をもたらすが、その結果は感覚器を通して「再認スキーマ」と照合され「再生スキーマ」の修正が行われる。また動作の結果の是非や程度(KR)の情報も再生スキーマの修正に関与する。

これらの過程を繰り返すことにより運動学習が進行し、新たなスキーマが編成され長期記憶へ貯蔵される。

{Fittsの3相説}これらの繰り返される学習過程を運動技能が向上していく様から①初期相,②中間相,③最終相に階段化したものがFittsの3相説である。

①初期相は認知相とも言われ、運動課題や目標達成のための方法の言語的理解から学習が始まり、いわゆる宣言的知識の獲得段階である。②次に動作は協調性のある滑らかな運動となる中間相の段階となる。中間相は連合相とも言われ感覚フィードバックや結果の知識により自ら運動の誤りを修正できるようになり、運動の言語的説明が困難となる。③さらに動作は時間空間的により高度に統合され、無駄なく速く滑らかとなる最終相に到達する。最終相は自動相とも言われ、手続きは自動化され運動に対する注意は減少し言語は運動遂行に不必要になる。この段階になり動作は無意識に遂行可能となり別なことをしながらでも課題を遂行できるようになる。

しかしながら、このような理論に基づきいくら正しい感覚フィードバックや正しい指導を行っても、本人がやる気が出なかったり問題点に気づかなかったり認めなかったりしては学習は伸展せず学習効果を得ることができない。

(゚∀゚)参考文献

医療学習レポート.運動制御と運動学習


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