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(*^-^*)頚髄損傷と主症状の話


(~_~;)題名:頚髄損傷と主症状の話

1)脊髄ショック

重度の脊髄損傷では、脊髄は伝導機能を失って知覚、運動が完全に麻痺し随意筋は絶対的に弛緩状態となる。損傷部以下に反射中枢をもつ脊髄反射はすべて消失する。

延髄と脊髄運動中枢を結ぶ交感神経路が遮断され、脊髄から出る血管運動神経が麻痺し、麻痺域の血管は収縮機能を失って、血管が拡張し、血圧が低下する。脊髄ショックでは血圧が低くとも頻脈がなく、脈は充実し、皮膚は温かく乾燥しており、意識は鮮明である。

脊髄ショック期は、およそ24時間から3週間くらい続くが、損傷された脊髄の部位から下位の、脊髄固有の反射から復活しはじめ、脊髄ショック期は終わる。

2)呼吸麻痺

C1・2障害では横隔膜の機能不全のため自発呼吸できず、終生にわたり人工呼吸器または横隔神経ペーシングが必要である。C3では、ある程度自力呼吸は可能であるが呼吸器などは常備する必要性がある。C4損傷では横隔膜呼吸は残存しているが、呼吸補助筋は麻痺し、肺活量、最大換気量は著減し、拘束性換気機能障害が認められる。高位損傷者は一般に予備呼吸量の減少、肺残気量が増加し、効率の悪い呼吸状態を呈する。そのため、沈下性肺炎などの肺合併症を起こしやすい。

3)知覚麻痺

完全麻痺では損傷部以下のすべての知覚が対称的に完全に脱出する。知覚脱失の上界と健常部の境界には1~2髄節の知覚鈍麻または過敏帯が存在する。第4頚神経は鎖骨上神経となって前胸上部に分布し、第3肋骨の高さまで達している。C5では上腕橈側、C6では前腕橈側から手部橈側と母指、C7では示中環指、C8では前腕尺側から小指に相当し、完全麻痺ではその高さ以下の知覚が脱失する。

 

4)運動麻痺

完全麻痺では大脳の運動中枢と脊髄前角細胞の間の伝導が中絶し、損傷部以下の髄節に所属する骨格筋は完全に意思から切り離されて、随意運動が不能となり、筋肉は緊張を失って弛緩する。これを弛緩性麻痺(flaccid paralysis)といい受傷直後はすべてこの状態となる。

*麻痺の経過

①受傷直後にある程度脊髄機能の残っている例はよく回復する。

②受傷直後脊髄ショックに陥らず、深部反射が存在し筋緊張が亢進し、測定刺激で逃避反射(股、膝、足関節の屈曲と前脛骨筋の収縮)がみられるものは不全麻痺である。

③振動覚は最も損傷されやすい。受傷直後振動覚が残っているものは予後がよい。

④知覚のうち触覚は痛覚や温度覚よりも下位髄節まで温存される。痛覚と温度覚は脱失しているのに触覚と位置覚が残っている例が多い。

⑤不全麻痺の運動の回復は受傷後1年間ぐらいの間みられるが、その回復は知覚の温存されている髄節に現れる。

⑥痛覚と温度覚がはっきり残っていることは順を追って、その髄節支配筋の麻痺が回復することを強く示唆する。

⑦受傷後完全麻痺域に新しい変化が出現するまでの経過時間と麻痺回復の程度との間には比例関係がある。換言すれば、回復が始まるまでの時間が早ければ早いほど回復がよく、遅ければ遅いほどその回復は不十分である。

⑧完全麻痺域に反射が出現することは損傷部以下の脊髄が脊髄ショックから回復し、脊髄の固有機能が現れたことを意味する。したがって、知覚運動が完全に麻痺している部位に反射が出現することは、その髄節が上位中枢(脳)との連絡をたたれた孤立化していることの証拠となり、永久に回復不能の完全麻痺と診断できる。

⑨表面知覚も深部知覚も脱失しているのに運動のみが回復してくることはまずない。

⑩完全麻痺域に数年後診察してみると、わずかに回復のみられる例がある。

5)自律神経機能障害

延髄-脊髄血管運動路の遮断や脊髄血管運動中枢の破壊の結果、麻痺域の血管は緊張を失って拡張し、体表は温かく触れ、皮下静脈は怒張し、陰茎は勃起する。また発汗の異常や胸腹部臓器にも自律神経障害による種々の症状が現れる。C8の損傷ではHorner症候群すなわち瞳孔縮小、眼球の軽度陥凹、眼裂狭小が出現する。

①体温調節障害

脊髄損傷は体温調節上、放熱面での重要な因子である発汗が障害レベルに応じて障害される。高位損傷者においては、しばしば、夏季ではうつ熱と考えられる高体温を呈することがある。産熱面では基礎代謝は低値を示す。高位損傷者は下位損傷者に比して低値であり、食物の摂取量も少ない。これは夏季のうつ熱に対しては有利ともいえるが、耐寒性は低下し、冬季の感冒羅患率は高い。

 

②起立性低血圧

頚髄損傷では麻痺の範囲が広いため、受傷前の血圧がどうあれ、収縮期血圧が100~80mmHgくらいまで低下するのが普通である。血管神経反射が回復していない場合は、急に起坐位あるいは起立位にするとめまい、眼前暗黒、失神などの症状を起こすことがある。これは重力の関係で血液の多くが腹部内臓や下肢の拡張した静脈系に沈下して血圧が下がり、脳虚血が起こるためである。頚髄損傷では四肢や体幹に痙攣が認められる場合にも起こり得ることから、本病態の発生には内臓の血管系の果たす役割が大きいと考えられる。脊髄ショックの回復する期間は体性神経系と自律神経系では全く異なり、自律神経系の回復が必ず遅れるので起立性低血圧が患者の機能回復の妨げになることが多い。

③自律神経過緊張反射

膀胱の機能障害で起こり、排尿反射が出現しないうちはこの病態を認めることはない。排尿括約筋不協調や留置カテーテル閉塞による膀胱壁の過伸展のほか、炎症や結石による膀胱粘膜の刺激も誘因となる。このほかの原因として、便秘、坐薬浣腸による排便時、分娩時、褥瘡、虫垂炎などがあげられる。脊髄交感神経反射で血管が収縮し血圧が上昇すると、頚動脈洞、大動脈洞の血圧受容器を介して脳幹部の血管運動中枢に伝えられた刺激が、迷走神経の興奮を促して副交感神経優位状態を強制する。このため、顔面の紅潮、発汗、鳥肌、鼻詰まり、頭痛、徐脈が起こる。程度が酷ければ日常生活を著しく制約し、高血圧性脳障害などの重篤な合併症を招く危険がある。


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