スポンサード・リンク

('0ノ'*)糖尿病と解剖生理からリハビリの話


(~o~)題名:糖尿病と解剖生理からリハビリの話

(1)Ⅰ型糖尿病(IDDM)

Ⅰ型糖尿病の半数以上は、遺伝(HLA遺伝子など)、環境の両因子の関与のもと、主として膵β細胞に対する自己免疫機序により膵島へのリンパ球浸潤(膵島炎)をきたし、膵β細胞の大部分が消失して発症すると考えられる(免疫性)。しかし、自己免疫の関与しないタイプのものも存在する。

◎発生機序

Ⅰ型糖尿病(IDDM)は、遺伝、環境の両因子の関与のもと、主として自己免疫機序に基づく膵島へのリンパ球浸潤(膵島炎)をきたし、膵β細胞の大部分が消失して発症すると考えられている。

A:遺伝因子

従来、血清学的アプローチから、特定のHLA(ヒト白血球抗原)型とⅠ型と糖尿病の関連が示されてきた。Ⅰ型糖尿病との関連が最も強いのがHLA遺伝子である。

B:環境因子

環境因子としてはウイルス感染が最も重視されている。ヒトではコクサッキーB4ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、Epstein-Barrウイルスなどが関与しているといわれるが、実際の証明は困難である。

・ウイルスがⅠ型糖尿病の発症に関与するメカニズム

①ウイルスが直接膵β細胞を破壊する。

②ウイルス抗原とβ細胞抗原の間に類似性があり、ウイルスに対する免疫反応がβ細胞に向けられる。

③ウイルスがβ細胞抗原の発現を誘導する。

 

(2)Ⅱ型糖尿病

膵ランゲルハンス島からのインスリン分泌の相対的低下による疾患である。成人に多く発症し、家族性が多い。発症は緩徐で肥満を伴うことが多い。

 

●障害像

脳卒中や心筋梗塞、狭心症で入院治療してい患者の多くは、動脈硬化が原因で発症していることが多く、患者背景には喫煙、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧、アルコール飲酒などのリスクファクターが存在する。

(1)主訴、症状の分類

糖尿病に起因する主訴、症状は、大きく急激な高血糖に起因する症候と、慢性的な高血糖に関連する症候に分類される。後者は糖尿病発症後5~10年以上を経て出現することが多く、糖尿病合併症に起因するものがほとんどである。また、糖尿病の治療(経口血糖降下剤、インスリン)により低血糖、意識障害が出現することがあるので、高血糖に起因する昏睡との鑑別注意する必要がある。

①急激な高血糖に起因する症候

・体重減少

・肥満、多食

・多尿、多飲、口渇

・全身倦怠

・嘔気、嘔吐

・昏睡、傾眠

②慢性的な高血糖に関連する症候

・視力障害

・しびれ感、神経痛

・起立性低血圧

・インポテンツ

・排尿困難

・発汗異常

・筋萎縮

・タンパク尿、浮腫

・皮膚化膿症

・かゆみ

・歯周症

③低血糖による意識障害

 

(2)糖尿病患者の診察、評価時の注意点

・肥満、やせの有無

・皮膚の化膿巣(特に足部)の有無

・アキレス腱反射の有無

・音叉による振動覚の低下

・手足の冷感など

 

●糖尿病の診断

糖尿病の診断とは、被験者が糖尿病という疾患をもっているかどうかを認知する行為で、糖尿病としての身体的特質を備えているか否かを問診、診察、検査などから総合的に判断することである。

(1)問診および身体所見異常

a、家族歴に糖尿病がないか

b、一般的既往歴として肥満、体重減少がないか

c、産科的既往歴として、巨大児、奇形児、死産、流産などの出産異常がないか

d、糖尿病に伴う現症として口渇、多飲、多尿、疲労感などがないか

e、合併症に伴う現症として視力障害、しびれ感、疼痛、立ちくらみ、むくみなどがないか

f、身体所見として肥満、るいそう、腱反射消失、浮腫などがないか

 

(2)糖尿病診断基準

75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によって判定する。

糖尿病診断基準

a、糖尿病の症状がある場合、任意時刻に測定した静脈血漿ブドウ糖濃度が200mg/dl以上であれば、糖尿病と判断してよい。

b、糖尿病の症状があり、かつaの条件を満たさない場合でも、75gOGTTで「糖尿病型」の判定基準を満たす場合は、糖尿病と判断してよい。

C、糖尿病性細小血管合併症の存在(通常網膜症)を確認した場合、糖尿病と判断してよい

d、75gOGTTで「糖尿病型」の基準を満たさない場合でも、糖尿病の症状、過去に糖尿病の症状や検査所見があるもの、糖尿病の身体的特徴を備えるものには、慎重に対応する。

 

●糖尿病の治療

(1)   食事療法

食事療法の基本は①摂取カロリーを適量にすること②栄養のバランスが取れるように食品の構成を考えることである。

(2)運動療法

運動療法の適応とメディカルチェック

 

A.メディカルチェック

運動療法開始にあたっては、血糖(空腹時、食後)HbA1c(グリコヘモグロビン

A1c)尿中ケトン体、血圧、心電図、眼底などの諸検査を行い、患者の糖尿病のコン

トロール状態が良好であり、身体運動の実施により増悪する進行性の重症合併症のない

ことを確認する。必要に応じて運動負荷試験も行う。

 

B.運動療法の禁忌

ケトーシス、(前)増殖性網膜症、腎症(血漿クレアチニン2mg/dl以上)、自律神経

障害および重篤な心血管合併症を有する症例では、いわゆる運動療法は禁忌とし、病状

に応じて日常生活の中で軽い運動を行わせる。

 

運動処方の実際

A.運動の種類

中等度以下の運動では、筋のエネルギー源として糖質とFFAが利用される。しかし運動強度が高まるにつれ糖質利用の比率が次第に増大する。乳酸性閾値(LT)を超え、無酵素的な運動になれば血中FFA濃度は低下する(現症論的には脂肪分解の抑制)したがって、筋肉のトレーニングに加えて、血中と脂肪組織に貯蔵されている脂質の利用を高めることを目的とした糖尿病の運動療法では運動強度は中等度以下とする。具体的にはVO2max50%前後(LTレベル、一般に脈拍120/分、60~70歳代100/分)の中等度運動を1回10~30分(できれば1日2回)、週3~5日行わせる。運動の種類としては、散歩、ジョギング、ラジオ体操、水泳、自転車(エルゴメーター)など全身の筋肉を用いる有酸素運動が勧められる。重量挙げのような等尺性運動では無酵素的に筋グリコーゲンが利用されるのみで糖尿病患者の運動種目として好ましくない。ことに高血圧・虚血性心筋障害合併例では禁忌である。ただし、アームカール、スクワットなど多くのレジスタンス運動を組み合わせるサーキットトレーニングにもインスリン感受性を改善させるという報告があり軽い負荷量で実施させて良い。日常生活が多忙で特別の運動をする時間がない症例では、バスを1駅手前で降りて歩くなど患者のライフスタイルに応じて日常生活の中に身体運動を取り入れるよう指導する。歩数計、カロリーカウンター、ライフレコーダーは運動量の把握に有用であり、1日一万歩(最低でも7500歩)を目標とさせ、外来時に記録をチェックする。

 

B.運動の処方

①有酸素運動

糖尿病運動療法の中核。歩行、ジョギング、サイクリング、自転車エルゴメーター、水泳など個々の患者が継続しやすいものを選ぶ。趣味のスポーツなどの組み合わせも可能である。

1.運動強度

1日の消費エネルギーは160cal~320cal

合併症のないⅡ型糖尿病・・・40~70%VO2max

肥満を伴うⅡ型糖尿病・・・30~60%VO2max

合併症を有する場合・・・30~40%VO2max

*前述の禁忌に注意

ボルグ指数11~13(楽~ややきつい)を目標とする。

2.運動継続時間

翌日に疲労を残さない程度とする。

合併症のない症例・・・1回15~20分

肥満を伴うもの・・・1回20分~30分

Ⅰ型糖尿病・・・インスリン量、捕食を考慮して20分継続する。

3.運動実施時間

食後1~2時間が理想であるが、多忙な症例では通勤時の工夫を進める。

4.運動頻度

1日2回、週3回以上とし、なか2日以上空けない。

 

②体操

約40㎉のエネルギー消費に相当するメニューを組む。4MET’sを目標とする。定期的な体操は全身の持久力、柔軟性を維持・改善し、有酸素運動のウォーミングアップ(5分)、クーリングダウン(3~5分)にも利用できる。

 

C.糖尿病の病型と運動

1.1型糖尿病

1型糖尿病(IDDM:インスリン依存糖尿病)の血糖コントロール改善に対する運動療法の有効性は必ずしも確立されていないが、体力の保持、増進、ストレス解消に有用である。血糖自己測定(SMBG)を行いインスリン量と補食の調整を行えば、どんなスポーツ競技にも参加可能である。

注射部位は原則として腹壁(臍の下)とする。運動・インスリン療法研究会における著者らの検討成績でも、食後の運動は血糖コントロールを良好にするが食前に運動を行わせれば、安静非運動時より血糖はなおいっそう高値となった。低血糖防止のためにも、運動は食事1~3時間後に行わせる。運動量が大きい場合、運動前のインスリンを減量し、運動前・中・後に補食をさせる。補食量は表3を参考にする。

ケトーシスをきたしやすい症例ではインスリンは減量せず補食で調整する。補食は糖質を主体とし、運動中の低血糖には砂糖水やコーラなどを飲ませる。運動前に予防的に与える際や運動後に低血糖を防止するためには、クッキー、牛乳など効果が持続する食品とする。

2.2型糖尿病

食事制限に加えて、身体トレーニングを実施することにより2型糖尿病で低下している個体のインスリン感受性改善を図ることは、治療・予防法の第一選択である。

運動は原則として食後に実施させるが、経口血糖降下薬およびインスリン治療を受けている患者以外では食前に行わせてもよい。インスリン治療例では運動前のインスリン量を2/3から3/4まで減量する

身体トレーニングは加齢に伴うインスリン作用低下を回復させる可能性があり、高齢者2型糖尿病の発症予防や病態改善に有用である。

 

D.運動療法実施上の注意点

1食事療法の併用

運動による消費エネルギーはそれほど多くなく、運動により食欲が刺激され、摂取エネルギーの増加から血糖のコントロール状態が乱れる場合があり、食事療法は必ず守らせる。

2.準備運動、整理運動の実施

糖尿病、ことに1型では運動中止後に血中ケトン体が上昇する可能性があり、整理運動(クーリングダウン)は必ず行わせる。また、アキレス腱断裂など整形外科的損傷を防止するために準備運動(ウォーミングアップ)も必ず実施させる。

3.教育入院、集団指導の導入

教育入院、集団指導(糖尿病教室)の形式で指導を行う。運動処方は画一的ではなく、患者各自の病態を考慮に入れ、日常のライフスタイルに歩行やジョギングなどの運動を取り入れた「オーダーメイド」なものとする。スポーツシューズの着用など一般的注意事項も徹底させる。

4.運動の実施状況、トレーニング効果の評価

運動の実施状況は歩数計などを用いてチェックする。ライフレコーダーは運動の強度や実施状況が6週間記録され有用である。

(▼▽▼)参考文献

医療学習レポート.糖尿病と解剖生理からリハビリ


スポンサード・リンク