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(〃 ̄ー ̄〃)下腿骨骨折とリハビリテーションの話


(^J^)題名:下腿骨骨折とリハビリテーションの話

1.下腿骨骨折の治癒期間

Gurlt表              Caveの表

部位

平均日数

脛骨両下腿骨 7週8週

部位

腓骨骨折の有無

成長時期

平均日数

脛骨

腓骨骨折を伴わない場合 幼少期 6週
より年上の子供と成人 8~16週
腓骨骨折を伴った場合 幼少期 6~8週
より年上の子供と成人 12~20週

 

※ 下腿(脛骨)骨幹下1/3の骨折 ⇒ 骨癒合がよくない

 

2.治療法

・ 非観血的整復…ギプス包帯を用いた外固定による保存的治療法(成長期の子供に多い)

・ 観血的整復

 

1)下腿骨骨折に対する骨折合術

(1)髄内釘(Kuntscher法,Ender法、横止め螺子付髄内釘固定法)

(方法) 骨髄腔内に釘を打ち込み、骨を固定する方法

(利点) 手術侵襲や骨膜損傷が少ない。

長軸方向への固定性が強い。

脛骨中央部の横骨折では、早期荷重が可能.

(欠点) 回旋方向への固定性は弱い

骨幹端部になるほど骨髄腔が広く、固定に乏しい。

長い斜骨折や粉砕骨折では早期荷重による短縮をきたす危険性がある。

以上の欠点を補うために横止め螺子付髄内釘固定法(インターロッキング釘)を行うことで回旋固定力が強固になり、髄腔拡大部や第3骨片を伴う骨折にも適応が拡大している。

※抜釘はKuntscher釘で1年~1年半後、Ender釘で6ヶ月~1年後。

 

(2)AOプレート固定

(方法) 骨端、骨幹端部の骨折や骨幹部の開放骨折に用いられる。

(利点) 回旋を含め,強い固定力が得られる。

斜骨折や第3骨片を伴う骨折に対して確実な整復が可能

(欠点) 皮膚を切開するため、骨膜の血流を損傷し、術後感染が問題となる。

髄内釘固定法より荷重時期を大幅に遅らせる

※抜釘は術後12~24ヶ月。通常の骨折では髄内釘が第一適応である。

 

(3)創外固定法①:llizarov法

(方法) 皮膚を貫いて骨に通したピンを創外固定器に固定する

種々の骨折の固定から関節固定、変形矯正、骨延長などに適応。

(利点) 骨折固定法としては内固定に比べ侵襲が少なく、異物とならない。

強固で隣接関節の固定を要さず、創の処置などが行いやすい。

骨延長、変形矯正では他の方法にない矯正、組織新生ができる。

(欠点) ピン刺入部からの感染の危険性、消毒を定期的に施行する必要がある。

組織新生では長期を要し、入浴など制限がある。

ピン刺入に際し、血管、神経損傷の危険がある。

固定中の疼痛や、創外固定器がかさばり、隣接関節運動が制限される。

※足関節が底屈位をとらないように足挿底板をあてて、紐を創外固定器と結び、尖足を予防する。術後2~3ヶ月で抜去可能である。

 

(4)創外固定法②:De Bastiani法(オルフフィックス)

De Bastiani(デバスチアーニ)法(オルフフィックス)も固定器自体がプラスチックなため、弾性固定可能で従来の創外固定法により骨癒合が良好である。Llizarov法と同じく早期荷重が可能である

 

2)下腿骨上端部骨折に対する骨接合術(AOプレート、AO螺子、Ender法)

※ 抜釘は12~18ヶ月後。

 

●リスク管理の話

合併症として足関節尖足位拘縮、変形治癒、遷延治癒、偽関節、骨髄炎、下腿筋の癒着による足指変形など。変形治癒は保存療法に生じやすい。反張変形は二次的に尖足、膝反張を来す。遷延治癒、偽関節、骨髄炎は開放骨折、手術例に多い。偽関節は中央 1/3 と遠位 1/3 境界部の横、斜骨折に多い。膝の可動域制限を来すことはまれである。

1.腓骨神経麻痺の予防

術後にブラウン架台を使うと、金属部分による圧迫のため腓骨神経麻痺を生じる可能性があるので、ブラウン架台は用いてはならない。スポンジ・マットをくり抜いた架台(ソフト・ブラウン架台)を使用する。足部は膝部より高くする。

 

2.区画症候群:Tibialis anterior syndrome (compartment syndrome)の注意症状としては、いわゆる5P、すなわちpaleness(趾尖部の蒼白)、pain(他動運動時の灼熱感)、parasthesia(知覚過敏)、palysis(運動麻痺)、pulselessness(足背動脈の触知不能)、に気を付けなければいけない。以上の徴候があればTibialis anteriorsyndromeとして筋膜切開術を緊急に行う必要がある。

 

●評価項目

1.一般的情報

項目

主な内容・注意点

① カルテ・他部門からの情報収集 基本的情報(年齢,性,診断名,既往歴,合併症,家族構成など)外傷後・整復後のX線像所見(スケッチ要)受傷機転,部位,治療方法(保存・術式),程度,全身状態,局所症状,Drの指示による禁忌となる運動・動作などDrから整復状態の程度(→偽関節再骨折のリスク管理)Dr program&goal setting
② 問診・面接 主訴・要望現病歴・現症・既往歴の問診受傷前の身体・ADL状況生活上の問題・家族構成(同居に関する情報)・家屋状況・周辺状況職業・趣味など

意識状態,理解力,コミュニケーション能力などの確認

③ 視診・触診 骨折周辺部の軟部組織の病変(発赤,浮腫・腫脹,疼痛など)術創のチェック(スケッチ)

2.理学療法的評価

項目

主な内容・注意点

④ 身体・形態測定 身長・体重下肢長・周径(筋萎縮・浮腫状態)健側の測定も行い比較する
⑤ 感覚検査 末梢神経支配域の表在覚・深部覚(骨折に伴う末梢神経損傷)
⑥ 疼痛評価 痛みの種類(運動時痛・安静時痛・夜間痛・圧痛・荷重痛・関連痛など)どのような姿位・動作時に痛みが出現するのか痛みの部位痛みの質(鈍痛・鋭痛・深部痛・表在性)

痛みの程度(VAS)

⑦ 循環障害の評価 腫脹・浮腫の有無,状態など
⑧ ROM‐T Active & passive可動域制限因子の原因鑑別(end feelより)急性期では骨折部に力学的負荷がかからないように骨折部の癒合程度を勘案して検査する

健側の検査も行い比較する

⑨ MMT 骨癒合に影響を起こさないように十分に配慮し,痛みへの配慮もする.健側の検査も行い比較する
⑩ ADL‐T ・      Barthel Index・FIM・      動作に伴う痛みやpain回避による代償運動のチェック
⑪ 姿勢・動作分析 姿勢アライメントの評価基本動作能力・身の回りの分析・自立度の評価動作に伴う疼痛にも注意
⑫ 歩行分析 歩行スピード・耐久性・安定性・実用性など異常歩容の評価,跛行
⑬ 平衡機能検査 骨折発生機転の確認のため立位バランス(開眼・閉眼)・片足立ち・つぎ足歩行など
⑭ バイタルチェック 起立性低血圧の有無の確認などその他PT施行上のリスク管理に
⑮ 呼吸機能検査 呼吸困難・肺活量測定(スパイロメーター)運動負荷量決定因子にもなる
⑯       心理・精神面 臥床による精神機能への影響,仮性痴呆恐怖心,不安などPTに際しての問題点把握
⑰ その他症例に必要と思われる評価

 

●問題点

<impairmentレベル>

予想される項目

具体例

#1 足関節と骨折部位の腫脹と疼痛(部位・原因・程度) 術側足関節と骨折部位の腫脹と運動時痛+
#2 足関節の可動域制限(運動方向・原因) 術側足関節の可動域は(背屈/底屈)-5°/15°
#3 膝関節の疼痛と可動域制限(部位・原因・運動方向・程度) 術側膝関節の運動時痛+,術側膝関節の可動域は(屈曲/伸展)100°/0°
#4 下腿部の筋力低下(部位・運動方向・原因) 術側下肢の筋力MMTは,前脛骨筋・腓骨筋群2,下腿三頭筋2
#5 大腿部の筋力低下(部位・運動方向・原因) 術側下肢の筋力MMTは,大腿四頭筋3+,ハムストリングス3,大殿筋3
#6 下肢荷重制限 (荷重の程度・期間) 完全免荷による固有受容器の機能低下
#7 足底の感覚障害(部位・程度) 足底感覚鈍麻
#8 足趾の運動制限(部位・運動方向・原因) 一定の運動時に起こる足趾への中等度の疼痛筋力低下,知覚鈍麻

 

<disabilityレベル>

予想される項目

具体例

#9  歩行能力低下(安定性・耐久性) 患側下肢支持性低下(不安感,筋力低下)患側筋持久力低下
#10 床からの立ち上がり動作能力低下(安全性・安定性) 患側下肢支持性低下(不安感,筋力低下)バランスの低下
#11 階段昇降動作困難(部分・全荷重時期)(耐久性・安全性・遂行時間) 患側下肢筋力低下患側筋持久力低下
#12 更衣動作困難(安定性) ギプス固定による膝関節の可動域制限免荷時期でのバランスの低下

 

<handicapレベル>

症例・環境に応じて適宜評価

 

●ゴール設定

Short term goal 膝関節の正常可動域獲得
Long term  goal (機能的) 左足関節の正常可動域と独歩の獲得
Long term  goal (社会的)

 

【Goalの決定因子】

①     受傷前のADL状況 ⇒ 基本的に受傷前機能をゴールに

②     骨折の程度 ⇒ 骨折部位と程度によりゴールは左右される

③     合併症の有無 ⇒ 合併症の治療によりゴールは左右される

④     痴呆の有無 ⇒ ゴールの設定困難

⑤     年齢 ⇒ 加齢による機能レベルの低下

 

 

●治療プログラム

1.安定した脛骨プラトーの局所圧迫骨折

陥没は6mm未満で内外反の安定性が保たれたもの早期ROM訓練(CPM,自動介助運動)を開始する.8週間免荷状態を維持して,その後12週までに全荷重へ進める.
陥没は6mm以上で内外反不安定性が10°以上あるもの早期ROM訓練を開始,CPMを利用する.8週間,つま先接地~免荷状態を続ける.徐々に荷重を進めて,12週の時点で全荷重とする.開放運動系訓練を開始する.

荷重が許可された後,閉鎖運動系訓練を開始する.

内固定により安定性が得られた場合リカバリールーム(recovery room)にてCPMを開始する.手術の翌日,患者に大腿四頭筋,ハムストリングス,殿筋群それぞれのセッティングと,背臥位,立位での全方向へのSLRを指導する.X線写真上で治療が明らかとなるまで,通常8~12週間,荷重開始を遅らせる.

荷重が許可されれば,閉鎖運動系(close-kinetic-chain)訓練を患者の適切な荷重状態に応じて開始する.

靭帯損傷を伴った脛骨骨折初期はROMを制限して,損傷した靭帯が治癒されるようにする.患者の受け入れが悪くなれば,典型的な長下肢ギプス固定よりも可動範囲調整装具のほうが好ましい.大腿四頭筋,ハムストリングス,殿筋群それぞれのセッティング,VMO筋力増強訓練,およびSLR訓練を下肢関節のストレッチプログラムとともに開始する.股関節屈筋群が硬いと患側下肢の短縮をもたらし,患者に股関節伸展可動域制限がすでに存在していた場合,特に問題となる.

膝蓋骨のモビイライゼ―ションを(上方,下方,内側,外側へ)開始する.

8~12週間,全荷重を遅らせる.

治癒が良好であることを示す臨床的な所見が明らかであれば,8週の時点で水泳と固定自転車を開始してもよい.

8週の時点でも,筋力増強訓練とROM訓練は継続して行う.閉鎖運動系訓練を開始し,しだいに進めていく.PWBでのみにスクワットを開始し,段階的に階段昇降へと進める.

 

2.安定脛骨プラトー骨折 ~手術により固定された骨折~

第1期0~6週 0~90°の可動域を獲得するまで,入院期間中CPMを使用するSLR訓練,大腿四頭筋とハムストリングスのセッティングを開始する.膝蓋骨のモビライゼ―ションを(内外側,上下方へ)はじめる.自動および自動介助での膝関節ROM訓練を開始する(免荷にて)

愛護的な他動ROM訓練を開始する.腹臥位で下腿部を下垂させて重力による他動的伸展を行う(prone hangs),踵下にロールをおき他動的伸展を行う,また背臥位にて足部を壁面上で滑らせる(wall slides)などの運動を実施する.

第2期6~12週 骨折部の固定が安定しており,骨折の修復がX線写真上で認められたならば,荷重を進めていく.最小限~無負荷にて固定自転車訓練を許可する.閉鎖運動系訓練を開始する.初期は患側下肢への負荷を制限して行う(8~12週)
第3期3~6ヶ月 全荷重に進め,段階的に歩行補助具への依存度を減少させる(例えば,両松葉杖から片松葉杖,そして杖へ).大腿部と下腿部の周径が反対側とほぼ等しくなるまで,開放・閉鎖運動系訓練を継続する.補助具なしで階段昇降が可能となるようにする.デスクワークあるいは軽作業の仕事へ復帰する.
第4期6ヶ月以降 耐えられる程度に仕事の活動量を上げていく.中等度から重度の作業に耐えられるかどうか,機能的許容力の評価が必要となる場合もある.軽度のレクレーションを再開する.1年間は,他者と接触するスポーツを避けるようにする.

 

3.非観血的整復術・ギプス固定後の安定した低エネルギー性の脛骨骨幹部骨折

0~3週 大腿四頭筋,ハムストリングス,殿筋群それぞれのセッティングと,全方向へのSLR訓練を退院前に開始する.両松葉杖で耐えられるまでの早期荷重を強力に促す.伸展位で長下肢ギプス固定をしている場合には,反対側下肢を補高することにより患側下肢の振り出しを助けることができる.整復後7~10日にX線写真を撮影して骨折部のアライメントを確認する.
3~5週 腫脹を十分に減退させて,PTBギプスあるいは短下肢ギプス固定(図9)をフィッティングに注意して行う.耐えられる程度に荷重を増加させる.膝関節の自動ROM訓練を0~140°まで開始する.SLR訓練と大腿四頭筋セティングを1日数回行い,加えて他の開放性運動系訓練(open-kinetic-chain)を実施する.抵抗を加えるために,セラバンドの利用や足関節部に重りをつけることもできる.荷重状態に応じた閉鎖運動系訓練を開始する.
6~8週 患者はPTBギプスや短下肢ギプスを固定したまま,耐えられる程度の荷重で歩行を行うようにする.股関節と膝関節の開放・閉鎖運動系訓練を継続する.股関節と膝関節のROM訓練を継続する.
2~4ヶ月 臨床的に骨折が完治したと認められたならば,PTBギプスや短下肢ギプス固定を終了する(平均治癒期間は4ヶ月である).X線写真と触診時の圧痛の消失,歩行により治癒したかどうか判断する.足関節のストレッチ,ROM訓練および筋力増強訓練を開始する.下腿部および大腿部周径が健側下肢と等しくなるまで,筋力増強訓練を進めていく.レッグプレス(leg presses),階段昇降訓練機,スタート訓練,つま先立ち訓練(toe raises),自転車およびトレッドミルなどを行う.

注)骨折の整復が不十分で,荷重時のアライメントが容認しがたいほど不良になった場合,骨折の固定には髄内釘がおそらく最初に用いられる。整復に失敗した場合の治療には,再度の整復と髄内釘または創外固定による固定が行われる.

 

4.リーミングしない静的連結性髄内釘固定術後の脛骨骨幹部開放骨折

第1期0~6週 PTBギプスまたは短下肢ギプス固定を行う.8mmまたは9mmの釘で固定術を受けた患者の場合つま先接地荷重を両松葉杖か歩行器で開始する.10mm以上の釘で固定された場合は,両松葉杖にて部分荷重を許可する.膝関節の自動および他動ROM訓練を開始する.

大腿四頭筋セッティング,VMOセッティング,狭い可動域範囲での大腿四頭筋筋力増強訓練(開放性運動系訓練)を開始する.

荷重状態に応じた閉鎖運動系訓練を開始する.

第2期6週~3ヵ月 安定性のある骨折早期仮骨が存在するならば,ギプス固定を終了する.足関節および距骨下関節のROM訓練を開始し,膝関節の治療を(自動ROM訓練にタオルストレッチを加えて)継続する.両松葉杖にて耐えられる程度に荷重を進めていく.

閉鎖運動系訓練を進める.Ⅲ型の軟部組織損傷を伴う開放骨折

6週の時点で“経過による骨移植術”を考慮するか.または8~12週で髄内釘の入れ替えを考える(8mmや9mmの釘を使用して,仮骨がまったく認められないか,または骨欠損状態が続いている場合には必要となることが多い)

第3期3~6ヶ月 両松葉杖にて耐えられる程度に荷重を進める.骨癒合がわずかしか認められず,骨折部にギャップが存在する場合,ダイナマイゼーション(遠位あるいは近位のネジを抜去すること)を実施する.注)抜去するネジは骨折部から最も離れているものからすること!開放骨折において,骨折部にギャップはないとしても骨癒合遅延の徴候が認められたならば,骨移植を考慮する.骨折が癒合したならば杖歩行へ,それから自立歩行へと進めていく.

機能的活動(functional activities)を再開し,敏捷性トレーニングを開始する.耐えられる程度のスポーツへ復帰する.

第4期6ヶ月以降 骨癒合が認められない場合,骨癒合遅延/骨癒合不全として髄内釘固定の入れ替え,骨移植術,電気刺激または腓骨切除術などにより治療を行う.感染や血管機能不全などの生物学的問題(biologic problem)を除外する.

 

5.Hexfix創外固定器による固定術後の脛骨骨幹部骨折

安定した開放骨折 不安定な脛骨骨折(閉鎖骨折および開放骨折Ⅰ型,Ⅱ型) 不安定な脛骨骨折(開放骨折Ⅲ型)
第1期0~6週 両松葉杖にて部分荷重30ポンド(≒13.6kg)を開始する.膝関節と股関節のROM訓練(開放運動系訓練)を始める.5~7日の時点で軟部組織を覆う(一次性創閉鎖)荷重状態に応じて閉鎖運動系訓練を開始する. 両松葉杖にてつま先接地荷重を開始する.膝関節と股関節のROM訓練(開放運動系訓練)を始める.開放骨折では足台に足を固定して軟部組織の動きを制限する(特に遠位1/3の骨折の場合) 両松葉杖にてつま先接地荷重を開始する.軟部組織を安定させるために,足部をフレームに取り付けた足台に固定する.股関節と膝関節のROM訓練を開始する.注)用いられた軟部組織被覆のタイプを知っておく。過度の運動が生じると創部の安定性は失われ,例えば遊離皮弁(free flap)は定着しなくなるからである.
第2期6週~3ヵ月 軟部組織が安定していれば,創外固定をはずした後,PTBギプスあるいは長下肢ギプス固定を行う.軟部組織が不安定ならば,創外固定での固定を継続し,ダイナマイゼーションを実施する.軟部組織が安定したら,足台を取り去るようにする.開放性運動系訓練を継続し,閉鎖運動系訓練を進めていく. 足台をはずし,固定フレームのダイナマイゼーションを行う.足関節と膝関節の積極的な自動・他動ROM訓練を開始する.SLR訓練,大腿四頭筋セッティング,VMO筋力訓練,狭い可動域範囲での大腿四頭筋セッティング.両松葉杖にて荷重を進めていく.開放性運動訓練を継続し,閉鎖性運動訓練を開始する. 6週の時点で,経過により骨移植術を行う.後外側部―血流が良好で移植骨の結合がよいために,この部位の骨移植が選択される.皮膚状態も通常良好である.後内側部―しばしば脛骨近位1/4の部位で適応となる(この高位では腓骨神経が後外側部を走行しているため,後外側からのアプローチは困難である)前外側部―皮膚が良好な状態に保たれている必要がある.数週間かけて徐々に荷重を進めていく.骨折部にギャップが存在すれば,診察室で,あるいは手術時に徒手的に圧迫を加える.足台を取り外す.

足関節と膝関節の積極的なROM訓練を実施する.

開放性運動訓練を続け,閉鎖性運動訓練を開始する.

第3期3~6ヶ月 仮骨があまりみとめられなかった場合,骨移植術を考慮する. 両松葉杖にて,耐えられるまで荷重をはじめる.治癒の遅れが明らかとなったら,骨移植術を実施する.固定フレームのダイナマイゼーションを正しく確実に行う.閉鎖性運動訓練を進めていく. 両松葉杖にて耐えられるまでの荷重を開始する.固定器のダイナマイゼーションを実施する.閉鎖性運動系訓練を進める.
第4期6ヶ月以降 治癒が進まない場合,骨癒合遅延として治療を行う(骨癒合のガイドライン)髄内釘による固定は行ってはならない.創外固定後に髄内釘固定を行うと感染の発生率が高くなるからである 治癒を示す所見が何も認められない場合,骨癒合遅延として治療を行う. 治癒を示す所見が何も認められない場合,骨癒合遅延あるいは骨癒合不全として治療を行う.

 

6.llizarov式創外固定法で治療された脛骨骨幹部骨折

第1期0~6週 耐えられる程度に部分荷重を開始する.一般に,関節内骨折を伴う患者では,4~6週間,部分荷重を30~50ポンド(≒13.6~22.7kg)の範囲に維持するようにする.関節内骨折を伴わない患者では,荷重は耐えられるまで許可してよい.足関節と膝関節のROM改善のために積極的な訓練を開始する.足関節運動,足部内がえし・外がえし訓練,SLR訓練,大腿四頭筋セッティング,VMO訓練(開放運動系訓練)を行う.

退院前に固定フレームのボルトを締め直す.

足台が使用されていない場合,尖足拘縮を予防するために,靴とセラバンドを利用して足関節を他動的に背屈させストレッチを行う(タオルストレッチ)

荷重状態に応じて閉鎖運動系訓練を開始する.

第2期6週~3ヵ月 耐えられるまでの荷重を開始する.固定器の鋼線の緊張を維持し,鋼線刺入部に生じる感染(pintract infection)の治療を積極的に行う.拘縮の評価を行い,必要に応じ他動・自動ROM訓練を実施する.閉鎖運動系訓練を進めていく.
第3期3~6ヶ月 治癒の遅れが明白である場合,20日間,固定器のネジを1/4回転させて骨折部に圧迫を加える.
第4期6ヶ月以降 固定フレームの安定性を確保し,必要に応じ鋼線を修正し.刺入し直す.鋼線刺入部に生じる問題に注意する.生物学的な治療―骨移植術,または圧迫/牽引を行う.尖足拘縮の予防のために,必要ならばスプリントを適用する.

【下肢骨折後の訓練および活動内容】

開放運動系(open-kinetic-chain)訓練 閉鎖運動系(close-kinetic-chain)訓練
特性 遠位部は自由であり固定されていない免荷運動が生じるのは運動軸に対し遠位部のみである筋収縮は主に求心性運動は通常,分離されている負荷は人工的なものである速度はあらかじめ決められている固定はしばしば人口のものである(ストラップ,ベルト)通常,1つの基本的な運動面内で行われる機能的活動に対する固有受容器の繰り越し効果(carry over)は疑わしい運動は装着によりしばしば制限される 遠位部は自由ではなく固定されている部分荷重運動はその軸に対し遠位および近位の両方で起こる筋収縮には等尺性,等張性(求心性,遠心性)筋収縮が含まれる運動は機能的なものであり,1つの筋群を強調した訓練は可能であるが,運動系は全体としてともに働く負荷は生理的であり,運動系全体にかかる速度はさまざまである固定は正常姿勢機構によって行なわれる運動は関節のあらゆる運動面で起こる機能的活動に対する著明な固有受容器の繰り越し効果がある想像力しだいで訓練を発展させることができる
訓練 等尺性筋力増強訓練SLR訓練(straight leg raising)膝関節訓練最終域膝伸展訓練固定自転車固有受容性神経筋促通法(PNF)等運動性訓練機器重り負荷機器(座位にて) 免荷での閉鎖運動系訓練健側下肢に対する股関節訓練機(hip machine)膝屈曲位でのタオルスライド(towel slides)部分荷重(partial-weight-bearing:PWB)での閉鎖運動系訓練PWBでのミニスクワット(minisquat)PWBでのウォールシット(wall sits)PWBでスタート訓練(lunges)BAPSボードを用いた固有受容覚訓練50%荷重時にPWBでの歩行許可全荷重での閉鎖運動系訓練ウォールシット抵抗負荷あるいは無負荷でのミニスクワットスタート訓練BAPSボードやフィッター(Fitter)トレッドミル(後方および前方への歩行)での固有受容覚訓練プール訓練階段昇降訓練機(stair machines)(前向き,後ろ向き)NordicTrackスキー訓練機器

敏捷性訓練

ステップアップ(step-ups)

足を滑らせてのスタート訓練

( ̄∀ ̄)参考文献

医療学習レポート.下腿骨骨折とリハビリテーション


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