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(^◇^)パーキンソン病と変性疾患の話


「パーキンソン病と変性疾患」の画像検索結果

(´・ω・`)題名:パーキンソン病と変性疾患の話

○疾患像

1診断

1817年にJ.Parkinsonは振戦、筋固縮、姿勢反射障害を特徴とする1つの疾患群を記載した。パーキンソニズムは1つの症候群であり、単独または他の症状と合併しながら、いくつかの疾患の経過中に認められる。パーキンソン病は近年わが国でも患者数が増加し、10万人あたり100人前後の患者数が推定されており、リハ医療でも日常最も多く扱う疾患の1つである。パーキンソン病の病変は中脳の黒質の変性であるが、進行性核上性麻痺では黒質に加え上丘、小脳歯状核や脳幹の変性が、線条体黒質変性症では線条体のなかでもとくに被殻の変性を伴う。

 

2パーキンソン病の主な症候

筋固縮、振戦、無動そして姿勢反射障害が4大徴候である。初発症状は振戦が最も多く(60~70%)、これに歩行障害(12%)、筋固縮(10%)、動作緩慢(10%)などが続く。

 

1)振戦

安静時の4~6Hzの規則的な不随意運動である。箸づかいやボタンかけなどの指先の細かい動きがしにくく、日常生活の阻害因子となる。

2)固縮

患者の筋を他動的に伸展するさいに検者に感じる抵抗であり、持続的な抵抗である鉛管様固縮と、断続的な歯車様固縮がある。

3)無動

動作が緩慢で、自発運動の減少として観察される。すくみ現象もこの1つであり、平地歩行が困難にも関わらず、障害物があるとスムーズに歩行可能になるという現象が観察され、これをkinesie paradoxale(矛盾歩行)と呼ぶ。この現象を利用して、スムーズな歩行が出来るように指導することもある。

4)姿勢反射障害

前傾前屈姿勢、すくみ足、小刻み歩行などとして観察されるが、これらの症候は薬剤が効果を示しにくく、日常生活上の問題点となる。

5)歩行障害

症状が進行するにつれて、小刻み歩行や歩行開始の1歩目が出にくいすくみ足が見られることが多い、また、歩行途中より加速歩行となり突進現象が見られることもしばしばである。歩行時の腕の振りは小さく、前傾姿勢での歩行がよく観察される。歩行障害は、転倒の危険性を増大させ、薬物治療およびリハ訓練による治療が大切である。

6)精神症状・認知障害

精神症状としてうつ状態を合併することが比較的多い。ADL上QOLの低下をもたらすといわれており、中には、病状に対する十分な説明を受けていないために陥る場合がある。医療者は、疾患に対する教育・生活指導を行い、病状の改善が認められない場合は、積極的に抗うつ薬の検討を行う方が良い。ただし、抗パーキンソン病薬のMAO-B阻害薬は、SSRI等との併用が禁忌であり、注意が必要である。また、幻覚症状をきたし、せん妄状態を引き起こすことがある。抗パーキンソン病薬の副作用で生じることがあるが、高齢者では、全身状態の低下、脱水状態、電解質異常、感染症などを契機に陥ることがあり、患者・家族への生活指導を行う。症状が進行するにつれて、認知障害が合併する。これは、問題処理能力の低下や感情の表出の低下などにより気付かれる。皮質下性認知症と位置づけされている。規則正しい生活を心がけ、介護に関する制度を利用し、社会からの隔離を防止する。また注意、覚醒の持続的低下が見られ、いわゆるmental akinesiaと呼ばれる精神活動の緩慢さが合併することがある。

7)易疲労性

パーキンソン病では、脳内ドパミン低下の影響のため易疲労性が強いといわれている。そのため、運動時は症状がオフよりオンの時に行った方が効率よく、疲労が見られるときは休憩するように指導することが重要である。日々の自主訓練をきちんと行わなくてはと患者は考えてしまいがちであるが、客観的に自分の身体状況を把握することが大切であることを説明する必要がある。

8)自律神経症状

交感神経系の機能障害に伴う起立性低血圧、末梢循環障害、脱脂分泌過多による脂顔など多彩な症状を呈する。排便では消化管の運動性低下と便秘症がみられる。排尿については、排尿開始時間の遅れなどの閉塞症状や頻尿、尿意切迫などの膀胱刺激症状が見られる。尿流動態検査では無抑制膀胱が約50%に見られ、それによる蓄尿障害が見られた。摂食については、ⓐ振戦、筋固縮により箸が使いにくい、ⓑ嚥下筋の筋固縮や無動による嚥下障害、ⓒ嚥下反射の障害による障害が見られる。

 

○治療のあらまし

1)薬物治療

パーキンソン病がドパミンニューロンの変性であるため、ドパミン補充およびその補助療法が主体となる。具体的には、L-ドパ製剤、ドパミン神経の前節に効果を示し、ドパミンの放出を促進する塩酸アマンタジン、ドパミン神経系の節後に効果を示し、ドパミン受容体の刺激剤であるブロモクリプチンやメチル酸ペルゴリド、ドパミン神経系と拮抗する神経であるアセチルコリン神経系を抑制し、相対的にドパミン神経系の機能を促進するトリヘキシフェニジルなどが使用される。また、進行したパーキンソン病は橋の青斑核の変性をきたし、この神経系の伝達物質であるノルアドレナリンの前駆物質であるL-スレオドプスも加えられることがある。パーキンソン病以外の錐体外路系の変性疾患も抗パーキンソン病薬を使用するが、その効果は乏しいため、各種脳循環・代謝改善薬や抗うつ薬などの併用が試みられる。

2)手術療法

振戦の強い症例に視床破壊術、無動の強い症例には淡蒼球破壊術や深部脳刺激法(DBS)が行われ、効果を示す症例がある。

 

○パーキンソン症状の評価

Hohen-Yahrの重症度分類(※図あり)および生活機能障害度が用いられる。これらの分類は簡便でADLともよく相関する。

 

○重症度によるリハビリテーション

進行する障害なので、ステージに応じたリハプログラムとともに、障害の予防を考慮したリハが必要である。

1)Hohen-Yahr StageⅠ、Ⅱ

一般的に、職業や趣味を持っている患者のほうが機能が保たれる傾向がある。それまでの生活習慣を変更せずに、継続したほうが良好な結果が得られることが多い。パーキンソン病患者の病前性格は、生真面目な人が多く、無趣味で引きこもりがちな患者の場合、市町村などのリハ教室やデイケアへの参加や趣味を見つけることを促すこともある。また、家庭で簡便に行えるパーキンソン体操の指導も併せて行う。ADLは比較的よいが、とくに身体をねじるような動作(歩行時の方向転換や蛇口をひねるなど)が障害されやすいので、これらの動きを取り入れた訓練が重要である。また、パーキンソン病に限らず、中枢神経系の変性疾患患者では、心肺機能を強化することが、運動機能の改善または維持に重要である。

2)Hohen-Yahr StageⅢ

歩行障害が顕著になり、ADLの障害が目立つようになる。姿勢異常や廃用に伴う関節運動制限に対する関節可動域訓練、姿勢反射障害に対する姿勢保持訓練、歩容の改善を目的とする訓練が必要となる。具体的には、メトロノームを使用して歩行のリズムを再学習させることや、1歩足を引いたり、一定の間隔で床に目印の線を引いたりすることが、すくみ足に対して有効なことがある。廃用のため股関節屈曲筋の筋力低下を呈することは、高齢パーキンソン病で多く、評価し、低下している場合は集中的に筋力増強訓練をすると3週間位で改善し、転倒などが少なくなる。

3)Hohen-Yahr StageⅣ

ADLの障害は著名となり、日常生活での介護量が増加する。この時期には姿勢異常

廃用に伴う関節拘縮、筋力低下に対する関節可動域訓練や筋力増強訓練や、心肺機能低下をできるだけ軽度ですむようにする理学療法が中心となる。

4)Hohen-Yahr StageⅤ

この時期は寝たきりの状態であり、褥瘡や尿路感染症予防のための体位変換訓練、気道感染症予防のための嚥下訓練や体位変換訓練などの合併症予防対策が主体となる。

 

○予後と合併症

振戦、筋固縮は薬物治療により改善することが多く、比較的長期にわたって日常生活自立が保たれる。しかしL-ドーパの長期使用により、振戦とは異なる不随意運動の出現、wearing-off現象やon-off現象の出現が見られることもあり治療の新たな問題となっている。合併症としては、嚥下障害に伴う呼吸器感染症、排尿障害に伴う尿路感染症、L-ドーパの急激な減量や中止による悪性症候群およびL-ドーパ、抗コリン剤、ドーパミン・アゴニストによる精神症状、不随意運動などがある。

 

○機能障害、能力低下

パーキンソン病の日常生活活動についてみると、所期は体幹の運動や姿勢反射を必要とする起居動作、寝返りなどが困難となる。その後、しだいに巧緻性を要する手の操作の障害が加わる。これには食事、着脱、ボタンかけはずしなどが含まれる。

 

○パーキンソン病の姿勢異常に対する理学療法の考え方

パーキンソン病の姿勢異常の原因としては、筋や関節周囲組織の伸張性の低下(関節拘縮)、姿勢に関与する伸展筋出力の相対的・絶対的低下、姿勢に関する感覚入力の異常などが考えられる。これらを改善するための理学療法として、

1)筋の伸張性や関節の可動性の改善

2)抗重力伸展筋を主体とする筋力の維持・増強

3)感覚入力に留意した姿勢矯正運動やバランス運動

4)寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行運動などを通した動的姿勢の維持・改善

5)基本的動作の自立度の維持・向上

などが行われる。また、パーキンソン病患者は活動性が低下し、廃用性の筋力低下、全身持久性の低下、柔軟性の低下などを生じやすいため、日常生活全般の活動性を高めるアプローチも重要である。

発症初期の軽症の時期は、抗パーキンソン病薬に対する反応性も高く日常生活上の動作障害はあまり目立たない。しかし詳細な測定を行うと、筋力、体軸の回旋、関節可動域などが初期の段階から低下傾向を示している。そのため、初期の軽症の段階から理学療法を実施することが望まれる。

 

※生活障害度およびHohen-Yahr重症度分類

生活障害度 Hohen-Yahr重症度
 

 

Ⅰ型

日常生活、通院にはほとんど介助を要しない Stage1 一側性障害のみ、通常、機能障害は軽微またはなし
 

Stage2

両側または身体中心部の障害、ただし、体のバランス障害は伴わない
 

 

 

 

 

Ⅱ度

 

 

 

 

 

日常生活、通院に部分介助を要する

 

 

 

 

Stage3

姿勢反射障害の初期兆候が見られるもの、これは患者が歩行時に向きを変えるときの不安定や、目を閉じ足をそろえて立っている患者を押してみることで明瞭となる

身体機能は、やや障害されているものの職業の種類によっては、ある程度の仕事も可能である。

身体的には独立した生活を遂行することができ、その機能障害はまだ軽度ないし中等度にとどまる

 

Stage4

病期が完全に進行し、機能障害高度

患者はかろうじて介助なしで起立および歩行することは出来るが、日常生活は高度に障害される

 

Ⅲ度

日常生活に全面的な介助を要し、独力では歩行起立不能  

 

Stage5

 

 

介助がない限り寝たきり、または車椅子の生活を余儀なくされる

 

※パーキンソン病におけるセルフケア上の問題点と対応

セルフケア項目 問題点 対応
 

 

食事

○     おかずを取る時に茶碗を落とす

○     長時間食物が口腔内にある

○     摂食嚥下困難

○     体幹が側方へ倒れる

○     魚類、麺類が食べづらい

○     2動作障害の評価と1動作ずつ分けて行う方法を指導

○     座位姿勢・摂食嚥下機能の評価・訓練実施:嚥下体操、舌・顎関節・頚部の可動域運動など

○     座位姿勢の評価と適切なシーティング(※食後性低血圧)

○     福祉用具の検討、嚥下・呼吸機能評価、exerciseの実施

 

 

 

排泄

○     トイレ出入り口付近でのすくみ足

○     トイレドア開閉時のバランス不良

○     トイレ内での方向転換困難

 

○     ズボンの上げ下げ困難

○     便秘

○     すくみ足に対する対処法指導、床に目印などトイレ出入り口の改造

○     ドア開閉時のポジション指導、ドアタイプの変更、手すり設置など

○     方法転換の指導、便器設置位置の変更、フラッシュ位置の変更

○     衣服のタイプ調整

○     体操指導、便秘のツボへのSSP療法

 

 

入浴

○     浴槽出入り困難

 

○     浴室内事故:転倒・溺死

○     浴室手すりの設置、動作指導(介助量が少ないケースでは浴槽をまたぐパターンを指導)

○     手すり、スベリ止め、緊急ボタンなどの設置、日内変動の評価に基づく入浴時間の設定

 

 

更衣

○     ボタンのかけはずし困難

 

○     ズボンの上げ下ろし困難

○     下着の着脱困難

○     大き目のボタンに変更、ベルクロ取り付け(ベルクロの幅調整注意)

○     裾が狭くないものに変更、腰ゴムや裾ゴムの調整

○     ゆったりした下着に変更(入浴後からだが湿っている時が特に困難)

 

整容

○     歯磨き困難

○     爪きり困難

○     洗面困難

○     電動歯ブラシの利用

○     自助具の検討(レバーアームの工夫)

○     タオルでのふき取りなどで対応

 

パーキンソン病の評価一覧表

障害 評価方法 評価の目的・項目
機能障害 錐体外路徴候 神経学的検査 パーキンソニズムの評価
バランス障害 重心動揺検査 身体バランスの評価
筋力低下 徒手筋力テスト

等運動性筋力測定器

四肢、体幹の筋力の評価

症状の把握、訓練効果の判定

構音障害 構音に関する筋の評価 パーキンソニズムに伴う構音障害の評価
嚥下障害 VF、水のみテスト 誤嚥のリスク評価

口腔相、咽頭相の評価

排尿障害 尿流動態検査、残尿測定、検尿 膀胱内圧測定と括約筋筋電図、感染症状の診断、評価
起立性低血圧 起立負荷試験、心拍変動 起立性低血圧の診断・評価
心理的異常 MMPI、MAS、投影法、作業検査法 認知機能、情緒の評価
知的異常 WAIS、HDS-R、MMS、KOHS立方体 知的機能の評価
能力低下 上肢運動機能の障害 運動年齢テスト(MAT)上肢用

上肢機能テスト(MFT)

上肢運動機能の評価

治療、訓練計画の策定、評価

体幹、下肢運動機能の障害 運動年齢テスト(MAT)体幹・下肢用 体幹・下肢運動機能(特に動的バランス)の評価
歩行障害 10m歩行による最大歩行速度

足圧分布測定システムによる歩行分析

歩行能力の評価

重心移動、歩行の安定性の評価

ADL障害 Barthel Index、FIM ADL自立度の評価

治療計画の策定、評価

社会活動性の低下 IADLスケール 役割行動、家庭内活動性の低下
身体活動性の低下 PCI、AT測定 エネルギー消費を考慮した運動能力の評価

呼吸循環器系機能の評価

「パーキンソン病と変性疾患」の画像検索結果

(^◇^)参考文献

医療学習レポート.パーキンソン病と変性疾患


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