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(^◇^)骨折とADLの話


( `ー´)ノ題名:骨折とADLの話

骨折動作やADLの実際の方法や特徴(介助方法を含む)

Ⅰ 鎖骨骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

①更衣

肩関節が固定されているため,上着の着用には介助が必要となる.シャツやブラウスは健側のみ袖を通し,患肢の上からゆったりと掛けるとよい.

②入浴とトイレ

身辺動作は健肢のみで行う.

③ベッド上の移動

ベッドに腰を掛けるためには,患側のほうから上るように指導する.最初のうちはリクライニン

グ椅子を使って眠るほうがかもしれない.

2)2週まで

①入浴・トイレ

身辺動作は健肢を用いる.

②更衣

介助が必要で,患肢はなお包んでおくべきである.

3)4~6週まで

①更衣

上着の着衣は患肢から,脱衣は健肢から行う.

4)6週~8週まで

患肢を軽作業ならびに身辺動作や,入浴・トイレに用いてよい.

5)8~12週まで

患者は入浴・トイレ,食事,整容,更衣など,すべての身辺動作において患肢を使用する.

 

Ⅱ 上腕骨近位端部の骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

①身辺動作,入浴・トイレ,食事,整容,更衣

健肢のみを用い,最初は介助が必要となる.

②移動

歩行器を必要とするときには,患肢に体重をかけることができないので多点杖か片手用歩行器を使えるように指導する.

③更衣

着衣は患肢から,脱衣は健肢から始める.当初は,健肢の方にシャツかブラウスの袖をまず通して,スリングで吊るした患肢からゆったりと掛ける.

2)2~4週まで

患者は片腕での生活を続け,更衣,整容,食事の準備には,まだ介助を受ける必要がある.

3)4~6週まで

スリングで治療した患者は,身辺動作と更衣に患肢を使い始めてよい.手術を受けた患者はまだ介助を必要とする.

歩行は,腕の振りが制限される.

4)6~8週まで

外転と内旋可動域が低下しているために,ブラジャーをはずしたり背中を洗うといった行為は制限を受けるが,身辺動作のすべてに患肢を用いるように指導する.

歩行は,腕の振りは改善されつつあるが,まだ減少している.

5)8~12週まで

12週の終わりまでに,患者はすべての日常生活動作・活動において不自由なく患肢が使えるようになる.

歩行は,正常に腕を振るように心がける.

 

Ⅲ 上腕骨骨幹部の骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

患者は身辺動作,入浴・トイレで健肢を使うように指導される.

歩行・移動では通常この時期において,疼痛のため腕を振ることはできない.

2)2週まで

身辺動作と入浴・トイレには健肢を使用させるべきである.

歩行時の腕の振りは,痛みと不快感で最小限に抑えられる.

3)4~6週まで

基本的な身辺動作と入浴・トイレに患肢を使用してもよい.重量物は持ち上げてはいけない.

4)8~12週まで

身辺動作と入浴・トイレに患肢を使用してもよい.軽量物の持ち上げは許可する.

歩行・移動ではこの時点で腕の振りは,歩行と十分に同調していなければならない.

 

Ⅳ 上腕骨遠位端部の骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

患者はすべての日常生活活動で健肢を使うように指導される.

①更衣

着衣は患肢から,脱衣は健肢から始める.

②歩行

高齢者は両手で歩行器を扱うことができないので,通常の歩行器の代わりに片手用歩行器か多点杖を用いるように指導する.

歩行は,上肢が固定されていて,通常痛いので上肢の振りはない.

2)2週まで

健肢をすべての身辺動作に用い,片手での動作を継続する.

歩行は,上肢の振りはまだ少ない.

3)4~6週まで

身辺動作と入浴・トイレに際し,まだ健肢を利き手として用いる.食事や軽作業に患肢を使ってもよい.

4)8~12週まで

患肢は入浴・トイレを含むどんな日常機能にも用いる.

 

Ⅴ 肘頭骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

身辺動作,入浴・トイレ,食事,整容,更衣といったことは健肢にて行うべきである.

①更衣

着衣は患肢から,脱衣は健肢から行う.ギプスの場合,患肢はブラウスやシャツを緩やかに羽織ってもよい.

2)2週まで

身辺動作や入浴・トイレは健肢にて行う.

歩行器を使用する高齢者は,健肢で多点杖や片手用歩行器を使用するように指導する.

3)4~6週まで

健肢での活動を続けるべきであるが,副子がはずれたら,整容には患側上肢を使い始める.

4)6~8週まで

入浴・トイレ,身辺動作に患肢を用いる.

5)8~12週まで

入浴・トイレ,食事,整容,更衣など,すべての身辺動作に患肢を用いる.

 

Ⅵ 橈骨頭骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

日常生活には健肢を使用する.

2)2週まで

健肢を身辺動作や日常生活動作・活動に用いる.

3)4~6週まで

健肢を身辺動作や日常生活動作・活動に用いる.

4)8~12週まで

健肢を身辺動作や軽作業に用いる.患肢で重量物を持ち上げたり,押すのは避ける.高齢者では杖

を持つのに可能な限り患肢を使用する.

 

Ⅶ 前腕骨骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

健側上肢にて食事,更衣,入浴・トイレを行う.

①更衣

患肢から着衣し,健肢から脱衣する.上腕ギプス使用時は,シャツやブラウスで患肢を覆うようにする.

②歩行

歩行器を使用している高齢者は両手で歩行器を保持できないので,多点杖,片手用歩行器を使用させる.骨折のため,一般に腕振りは行えない.

2)2週まで

健側上肢にて身辺動作や入浴・トイレを行う.

①歩行

歩行器を使用している高齢者は,両手で歩行器を保持できないので,多点杖,片手用歩行器を使用させる.

ギプス固定している場合は腕振りはできない.観血的整復内固定術を行った場合は腕振りは制限される.

3)4~6週まで

健側上肢にて身辺動作や入浴・トイレを行う.

4)8~12週まで

患側上肢にて回内外運動ができれば,更衣,食事,入浴・トイレなどの身辺動作に患肢を使う.重

量物の挙上やスポーツは完全な骨癒合が得られるまで控える.電話張より軽い物を持ち上げる訓練を

行う.

 

Ⅷ colles骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

患者は身辺動作,入浴・トイレ,食事,整容,更衣には健肢を用いる.

①更衣

着衣は患肢から,脱衣は健肢から始めるように指導する.

②移動

患側の手関節で体重を支えられないので,移動に際し歩行器を用いる高齢者には,底辺の広い多点杖か片手用歩行器の使用法を教えなければならない.

2)2週まで

患者は,身辺動作,入浴・トイレ,食事,整容,更衣には健肢を用いる.両手動作では,患者は安定化を図る目的で,患肢も使用し始める.

3)4~6週まで

以前の機能を取り戻すために,患側の手の訓練を始めることが重要であり,患者は活動能力向上のために患肢を使うことを指導される.両手動作を勧めるばかりでなく強調する.

4)6~8週まで

患者は患肢をいかなる動作に使ってもよい.文字を書く,ドアを開けるためにドアノブを回転する,入浴・トイレで身体を拭うといった動作は,すべて患肢で行う.

5)8~12週まで

患者に手関節での荷重を許可する.激しい動作は,十分な仮骨形成により疼痛を感じなくなる約16週までは行わない.

①移動

高齢者では歩行器を使って身体を支えたり,椅子やベッドから起き上がる際に患側の手関節を使っていよい.

 

Ⅸ 舟状骨骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

患者は,健肢を用いて,整容,食事,身辺動作を行う.これらの動作に関して,介助が必要となる可能性がある.

①更衣

シャツやブラウスの着衣は患肢から,脱衣は健肢から行うことを指導する.

②歩行

歩行器を用いる高齢患者では,片手用歩行器あるいは多点杖を使用するように指導する.また,手関節に体重をかけないようにするために,肘台付き歩行器を使用するのもよい.

2)2週まで

患者は,片手での動作を続ける.身辺動作,整容,更衣に関して介助が必要かもしれない.

3)4~6週まで

患者は,前腕と手関節が依然としてギプス内であるので,片手での生活を続ける.

4)8~12週まで

患者は12週の終わりには,慣れさせる目的で患肢を使用するように指導する.整容や身辺動作に使用することを開始する.

この時点では,持ち上げたり,押したり,叩いたりすることはしない.

5)12~16週まで

患者に,握力や把持力を改善していくよう,身辺動作,整容,食事,書字,ドアを開ける,鍵穴に鍵を入れてひねるなどのすべての動作に,患肢を使用するよう働きかける.

 

Ⅹ 中手骨骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

患者は健肢を用いて,身辺動作,入浴・トイレ,食事,整容,更衣を行う.

①更衣

患肢から着衣し,健肢から脱衣することを指導する.

2)2週まで

患者は依然として,健肢を用いた身辺動作,入浴・トイレ,食事,整容,更衣を行う.両手を使用する際は,患者は患肢の副子固定をしていない手指を,安定化させる目的で使用することを開始する.

歩行は,ギプスをしているなら,腕の振りは通常なくなっている.

3)4~6週まで

患者に,患肢を用いての身辺動作,入浴・トイレ,食事,整容,更衣など,両手での活動を再開するように勧める.持ち上げたり,押したりすることは避ける.

歩行は,ギプスをすでに除去していたとしても,拘縮のために腕の振りが通常減少している.

4)6~8週まで

患者は,患肢を用いてすべての活動を行う.高齢者は通常の杖を用いて,歩行時に患肢で荷重する.

歩行は,腕の振りが徐々に増加してくる.

5)8~12週まで

患肢を用いてすべての活動を行う.

歩行は,腕の振りは正常となる.

 

Ⅺ 指節骨骨折

1)直後から初期(受傷日から1週まで)

健肢を用いて身辺動作,入浴・トイレ,食事,整容,更衣を行う.

①更衣

患肢から着衣し,健肢から脱衣する.

2)2週まで

健肢を用いて身辺動作を行う.

3)4~6週まで

患肢を用いての身辺動作,入浴・トイレ,食事,整容,更衣など,両手での生活を再開するように勧める.

4)6~8週まで

患肢をすべての活動を行う.

5)8~12週まで

患肢をすべての活動を行う.

 

下肢

Ⅰ大腿骨頸部骨折

1)受傷日から1週間

①活動能力

・健側に体位交換して,ベッドから起き上がるように患者に指導する.もしそれが不可能ならば,両上肢を用いてプッシュアップし,徐々にベッドから起き上がるように指導する.

・人工骨頭が脱臼したり,骨折部がストレスがかかるのを予防するために,股関節を内転・内旋しないように,両膝間に枕をおかなければならない.

・ズボンを履くときは患肢から,脱ぐときは健肢から行う.初期にはこういった更衣には介助が必要となることがある.または,更衣が難しいために浴衣(robe)のみを着用させておいた方がよい場合もある.

・股関節が屈曲しないようにするために,座面を高くした便座や椅子を用いる.

・患者は下肢の身辺動作に介助が必要となる.

②歩行,移乗

・歩行は患者の荷重状況による.

・松葉杖または歩行器といった補助具が移乗や歩行の際に必要になる場合もある.

・免荷の場合は,片脚での立位・支点移乗動作や2点歩行を教える.(2点歩行では患肢と両松葉杖で1点,健肢で1点となる.両松葉杖に荷重がかかる.)

・階段の上りでは,健肢を最初に上げ,患肢と松葉杖が続く.階段の下りでは,患肢と松葉杖が最初に下り,健肢が続く.

2)2週まで

①活動能力

・健側に体位交換して,ベッドから起き上がるように患者に指導する.もしそれが不可能ならば,両上肢を用いてプッシュアップし,徐々にベッドから起き上がるように指導する.

・人工骨頭が脱臼したり,骨折部がストレスがかかるのを予防するために,股関節を内転・内旋しないように,両膝間に枕をおかなければならない.

・ズボンを履くときは患肢から,脱ぐときは健肢から行う.初期にはこういった更衣には介助が必要となることがある.または,更衣が難しいために浴衣(robe)のみを着用させておいた方がよい場合もある.

・股関節が屈曲しないようにするために,座面を高くした便座や椅子を用いる.

・患者は下肢の身辺動作に介助が必要となる.

②歩行,移乗

・歩行は患者の荷重状況による.

・松葉杖または歩行器といった補助具が移乗や歩行の際に必要になる場合もある.

・免荷の場合は,片脚での立位・支点移乗動作や2点歩行を教える.(2点歩行では患肢と両松葉杖で1点,健肢で1点となる.両松葉杖に荷重がかかる.)

・階段の上りでは,健肢を最初に上げ,患肢と松葉杖が続く.階段の下りでは,患肢と松葉杖が最初に下り,健肢が続く.

3)4~6週まで

①活動能力

・この時期までにはベッド上の活動は自立していなければならない.

・更衣に関しても自立していなければならない.

②歩行,移乗

・歩行は患者の荷重状況による.

・松葉杖または歩行器といった補助具が移乗や歩行の際に必要になる場合もある.

・免荷の場合は,片脚での立位・支点移乗動作や2点歩行を教える.(2点歩行では患肢と両松葉杖で1点,健肢で1点となる.両松葉杖に荷重がかかる.)

・階段の上りでは,健肢を最初に上げ,患肢と松葉杖が続く.階段の下りでは,患肢と松葉杖が最初に下り,健肢が続く.

4)8~12週まで

①活動能力

・患者はさらに荷重をかけられるよう,患肢を移乗や歩行の際に用いなければならない.

・この時期までに,後方粉砕骨折でも荷重ができるようになる.

・松葉杖や歩行器を使ってもよい.

・座面を高くした便座や椅子を殆ど使用せず,一般トイレを使用することが出来るくらいに股関節の屈曲が十分に出来ていなければならない.

②歩行

・患肢でさらに荷重がかけられるので,患者に松葉杖を用いての4点歩行を教える.

Ⅱ 大腿骨骨折

大腿骨骨幹部骨折

1) 第1病日~1週間

① 活動能力

離床に備えてベッドの端に身体を移動し,上肢を使って患肢を持ち上げ,座位をとるように指示する.

荷重を許可する場合は,ベッドと椅子間の補助移動に際し,患肢を最小限支持するだけで荷重移動ができる.免荷の場合は,松葉杖を用いて健側を支持脚として椅子に座るように指示する.

座面を高くした便座は,股関節屈曲を減少し,骨折部への応力を低下させるために使用する.

骨折部への応力を減少させるために,患肢からズボンを履き,健側から脱ぐように指導する.

② 歩行

歩行には松葉杖か歩行器を用いる.免荷の場合は,まず両方の松葉杖を同時に前について,後か

ら健肢を前に進める2点歩行を指導する(片足跳び).

できる限りの荷重を許可されている場合は,3点歩行を指導する.この歩行は両松葉杖を先に前に出し,次に患肢を出し(第2段階),そして健肢を出す(第3段階).術後数日を経過するまで階段を上る訓練は控える.

2) 2~4週間まで

① 活動能力

補助具を用いた健肢荷重で立ち上がり,移動する.患肢よりズボンを履いて,健側より脱ぐ.

② 歩行

荷重状況に応じた歩行訓練を継続する.

階段を上る際には,最初に健肢で上ってから,患肢は両松葉杖とともに上げる.階段を下りる際は,最初に両松葉杖と患肢を下ろしてから,健肢を下ろす.

3) 4~6週間まで

① 活動能力

患者の荷重状態に応じた移乗を継続する.

② 歩行

患者の荷重状態に応じた2点または3点歩行を継続する.

4) 8~12週間まで

① 活動能力

全荷重歩行ができるようになったら,徐々に移乗や歩行時の補助具を除去していく.

② 歩行

全荷重の状態で歩行パターンが正常化するように集中的に訓練する.特に踵接地,足底接地,踏切り,趾離地に注意する.骨折部で大腿骨が延長した場合は,二次的に股と膝関節の屈曲で減少する.この大腿骨延長に伴い遊脚地で床から足を持ち上げる際には患側の股関節を分回ししたり,引き上げたりする.踏切り時(遊脚前)に膝の屈曲が制限されていると趾離地が遅れて,足を引きずって歩く格好になる.

体重移動とバランスを観察する.免荷か部分荷重の場合は,健肢でバランスをとる.全荷重ができるようになったら体重移動とバランス訓練を開始する.

5) 12~16週間まで

① 活動能力

可能な範囲の荷重をする.移動や歩行時に患肢で荷重するように指導する.補助具はなお必要である.補助具の除去を試みる.

② 歩行

全荷重歩行.体重移動と歩行パターンの正常化に努める.歩行補助具を除去する.

 

大腿骨顆上・顆部骨折

1) 第1病日~1週間

① 活動能力

両松葉杖または歩行器を用い,健肢で立ち上がって健肢を軸としながら患肢を免荷で移乗(立位・支点移乗)するよう指導する.骨折部への応力を減少するために,患肢からズボンを履き,健側から脱ぐように指導する.

② 歩行

両松葉杖または歩行器を用いた患肢免荷の2点歩行を指導する(最初に両松葉をついて,健肢を松葉杖をついた位置まで進める).階段を上るときは,健肢から上り,患肢と両松葉杖を上げる.下げるときは,両松葉杖を先に下ろし,患肢を下ろして,最後に健肢を下ろす.

2) 2週まで

① 活動能力

健肢での立位・支点移乗および歩行において,患肢免荷を継続する.この場合,両松葉杖または歩行器を使用する.

② 歩行

両松葉杖を用いて患肢免荷の2点歩行を継続する.

3) 4~6週まで

① 活動能力

健肢での立位・支点移乗を患肢免荷のまま継続する.

② 歩行

両松葉杖を用いた2点歩行を患肢免荷で継続する.

4) 8~12週まで

① 活動能力

患肢は免荷なので,健肢での立位・支点移乗を両松葉杖または歩行器を用いて行う.

② 歩行

両松葉杖または歩行器を用いての2点歩行を継続する.

5) 12~16週まで

① 活動能力

両松葉杖を用いた患肢荷重での移乗を指導する.

② 歩行

歩行に際し,爪先歩行から始めて,徐々に全荷重歩行へと進めていく.患肢への荷重量に応じて3点または4点歩行を行う.両松葉杖から始めて,杖を用いた歩行,さらには全荷重自立歩行まで進める.

 

Ⅲ 膝蓋骨骨折

1) 第1病日~1週間

① 活動能力

患者に臥位から座位に移動するために,一側へ寝返りをして,上肢でプッシュアップしながら行うよう指導する.

全荷重が許可されたら,患肢を荷重して移乗を行う.最初は,痛みや苦痛があるので松葉杖や歩行器など補助具を使って移乗する.

ズボンを履くのは患肢から,脱ぐのは健肢から行うようにする.こうした方法により,骨折部に負担をかけずに衣服の着脱が簡単にできる.

排泄動作では,膝関節を曲げられないのでトイレの便座を高くしたほうが良い.

② 歩行

患肢の膝関節が伸展位で保持されているので,患者は患肢を進めるため,分回し運動を行うか,骨盤に引き上げを行う.初期は,松葉杖や歩行器を補助に用いる.

階段の上りでは,健肢を最初に上げ,患肢と松葉杖が続く.階段の下りでは,松葉杖が最初に下り,患肢,健肢の順に続く.

2) 2週まで

① 活動能力

ギプスや膝固定装具をつけたままで,患肢を荷重して移乗や全荷重を続けて行う.

② 歩行

患肢を荷重する場合は,補助に松葉杖や歩行器が依然必要である.階段の上りでは,健肢を最初

に上げ,患肢と松葉杖が続く.階段の下りでは,松葉杖が最初に下り,患肢,健肢の順に続く.

3) 4~6週まで

① 活動能力

安定したら,階段でも松葉杖をはずして昇降可能である.

② 歩行

階段昇降時は膝固定装具を装着する.骨折部が安定したら,平地歩行では膝固定装具を用いる必要はない.

4) 8~12週まで

① 歩行

普通に歩行するように強調する.立脚期の踵接地から足底接地までの間,大腿四頭筋の収縮を延長して行うように指導する.

 

Ⅳ 脛骨近位端骨折

1) 第1病日~1週間

① 活動能力

患者に患側に荷重せず,移動には松葉杖を使うよう指導する.ズボンを履くのは患肢から,脱ぐのは健肢からと教える.

② 歩行

患者に2本の松葉杖で患肢と杖を一緒に出し,健肢を次に出して荷重をかけずに歩行するように教える.階段を上るときは健側が先に,下りるときは患側と杖を先に,と教える.高齢者では歩行器を使用する.歩行器を使用した免荷の状態(飛び跳ねて動く)では動き回ることが困難であるため,患肢の爪先を軽くつくことを許可する.

2) 2週まで

① 活動能力

移動時は患肢免荷.

② 歩行

免荷での両松葉杖を用いた2点歩行を続ける.高齢者では歩行器を使用し,患肢の爪先を軽くつくことを許可する.

3) 4~6週まで

① 活動能力

免荷での移乗を続ける.

② 歩行

免荷での両松葉杖を用いた2点歩行を続ける.

4) 8~12週まで

① 活動能力

仮骨が十分であれば,荷重活動を12週過ぎから開始する.杖ないし歩行器が依然として必要かもしれない.

② 歩行

荷重を再開すれば,通常の歩行を行う.動きと荷重が増加し,痛みが軽減すれば,補助具を除去する.

5) 12~16週まで

① 活動能力

補助具を除去する.

② 歩行

歩行パターン,特に立脚期の正常化が重要である.

 

Ⅴ 脛骨骨幹部骨折

1) 第1病日~1週間

① 活動能力

松葉杖,歩行器を用いてベッドから車椅子への移乗の練習を始める.免荷患者は立位・支点移乗を練習する.ズボンは患肢から履き,健肢から脱ぐよう指導する.

② 歩行

荷重可能な程度によるが,松葉杖,歩行器を使用した2点および3点歩行を練習する.免荷患者は立位・支点移乗を指導し,患肢と患側の松葉杖を1ユニットとし,健側の下肢を1ユニットとした2点歩行を指導する.荷重を松葉杖にかけるようにする歩行である.

階段を上るときは健肢をまず前に出し,下りるときは患肢から出す.

患者の歩行時の安定および安全には細心の注意を払う.階段昇降は患者の疼痛が軽減するまで行わない.

 

2) 2週まで

① 活動能力

松葉杖,歩行器での立位・支点移乗を続ける.

② 歩行

坂道,階段昇降の練習を2点または3点歩行で練習し,歩行パターンは荷重の程度に合わせる.

階段を上るときは健肢から上り,下るときは患肢から下りる.

3) 4~6週まで

① 活動能力

全荷重してない患者には,移乗・歩行の際に補助具が依然として必要である.

② 歩行

2点または3点歩行を続ける.下肢長差に気をつけ,認められれば補高する.静的バランス,荷重移動訓練を行う.歩行訓練に重点をおく.筋力増強訓練を行い,姿勢異常を生じることを避け,転倒を予防する.荷重状態によっては,患者は歩行時に補助具が依然として必要である.

4) 8~12週まで

① 活動能力

荷重の程度にもよるが,移乗および歩行に補助具が必要な場合もある.

② 歩行

変更なし.

 

Ⅵ 足関節・足部の骨折(果部骨折)

1) 第1病日~1週間

① 活動能力

患者には杖などの補助具を使い,患肢に荷重をしないで,立位・支点移乗を行うように指導する.患者がズボンを履くには患肢から,脱ぐのは健肢から始める.

② 歩行

患者は,両松葉杖を一組とし,健肢をもう一組とする免荷2点歩行を指導される.階段を上るには,患者はまず健肢を先に上げ,次いで杖と患肢を持ち上げてそろえる一側一段とする.階段を下りるには,まず杖を下ろし,次いで健肢を下ろす一側一段とする.

2) 2週まで

① 活動能力

杖か歩行器を使った立位・支点移乗を継続する.

② 歩行

杖を用いた免荷歩行を続ける.転位のない腓骨骨折のように荷重が許されれば,患者は2点ないし3点歩行によって可能な限り荷重してもよい.

3) 4~6週まで

① 活動能力

爪先荷重を許された患者は,バランスと支持のために杖を用いる移乗動作に際し,患肢を使ってよい.

もし荷重がまだ許されなければ,杖を使った免荷移乗動作を続けなければならない.

② 歩行

免荷の患者は杖による歩行を続ける.

荷重開始を許された患者は,両側の杖を一度に動かし,次いで患肢,健肢と動かす3点歩行を行う.階段を上る際に患者は健肢を先にして,杖,患肢と動かし,下りる際には杖を先にして,患肢,健肢と動かす.

4) 6~8週まで

① 活動能力

移乗動作は患肢への部分荷重から全荷重で行う.免荷を要する骨折患者では,松葉杖を使って立位・支点移乗を行う必要がある.患者は患肢から先にズボンを履く.

② 歩行

患者は徐々に松葉杖や歩行器から杖に移行して,正常の歩行パターンを再獲得しなければならない.踵接地,足底接地,立脚中期,踵離地,そして踏切りの時期を強調して,再学習に努める.患者は長期にわたってギプス固定をしていたので,足底接地歩行を行う傾向がある.足関節底背屈が回復するにつれて,歩行パターンも改善する.ジョギング,ジャンプ,ランニング,ひねり動作といった衝撃的な活動は,少なくとも12~16週までは避けるべきである.

5) 8~12週まで

① 活動能力

移乗動作は患肢への部分荷重から全荷重で行う.患者はこの段階でも患肢から先にズボンを履く.

② 歩行

患者は可能な限り松葉杖や歩行器から杖に移行して,正常の歩行パターンを再獲得しなければならない.踵接地,足底接地,立脚中期,そして踏切りの時期を再学習する.長期にわたってギプス固定をしていた患者は,足底接地歩行を行う傾向がある.足関節底背屈筋が回復すると,歩行パターンは改善することになる.ジョギング,ジャンプ,ランニング,ひねり動作といった衝撃的な活動は,少なくとも12~16週までは避けるべきである.

 

Ⅶ 脛骨天蓋骨折

1) 第1病日~1週間

① 活動能力

患者は,松葉杖もしくは歩行器を使った免荷での立位・支点移乗を指導される.ズボンを履くのは患肢から,脱ぐのは健肢から始める.ギプスの上から履きやすいように縫い目を裂く.

② 歩行

患者は免荷の2点歩行を用いる.階段を上るときは健肢から,階段を下りるときは患肢から出す.

2) 2週まで

① 活動能力

松葉杖もしくは歩行器を使った免荷での立位・支点移乗を続ける.

② 歩行

松葉杖を用いた免荷での2点歩行を続ける.

3) 4~6週まで

① 活動能力

患者は補助具下で,免荷での立位・支点移乗と歩行を続ける.

② 歩行

患者は松葉杖を用い,免荷歩行を続ける.

4) 6~8週まで

① 活動能力

仮骨形成があり,圧痛がほとんどなく,転位もほとんどない患者は患肢を部分荷重にて移乗を行う.

骨折部が触れるとまだ圧痛があり,仮骨形成が不十分で,粉砕骨折の場合には免荷とし,松葉杖による立位・支点移乗を継続する.

部分荷重を許可されている患者は,患肢から着衣する必要がある.

② 歩行

患者は部分荷重にて,2本の松葉杖を1点目,患肢を2点目,健肢を3点目とする3点歩行を行う.

患者は,はじめに健肢から階段を上り,次に松葉杖と患肢が続き,下るときは,はじめに松葉杖をつき,次に患肢,健肢と続く.

5) 8~12週まで

① 活動能力

骨折部が強固になれば,爪先をついて患肢を全荷重にて歩行可能である.

ズボンを履くときは,患肢から始める.

② 歩行

骨折部が強固になれば,患者を松葉杖もしくは歩行器から離して,可能な限り杖を用いるようにする.患者は正常歩行の回復を目的とする.ギプス固定が長期になった患者は,足関節が拘縮するため,扁平足歩行になりやすい.踵接地,足底接地,そして立脚中期,踏切りを再教育するべきである.足関節可動域が底背屈で改善すれば,歩行パターンは正常化に向かう.ジョギング,ジャンプ,ランニング,ツイスティングのような重力で連打する活動は,この時期全荷重になった患者でも,損傷後少なくとも12~16週は避けられるべきである.

 

Ⅷ 距骨骨折

1) 第1病日~1週間

① 活動能力

ズボンは患肢から履き,健肢から脱ぐように教育する.

ベッドから椅子あるいはその逆の立位・支点移乗では,免荷とする.移乗と歩行の際には,松葉杖や歩行器などの補助具を必要とする.

② 歩行

患肢は免荷で,松葉杖あるいは歩行器を使った2点歩行とする.階段を上る場合は,健側を最初に上の段に上げて,患肢と松葉杖を同じ段に上げる.下る場合は,松葉杖を最初に下ろして,健側を下ろす.

2) 2週まで

① 活動能力

松葉杖や歩行器を使って爪先荷重で移乗してよい.

② 歩行

距骨骨折の患者は,両松葉杖で免荷歩行を続ける.

強固に固定されている場合は,補助具を使いながら爪先荷重を始める.

3) 4~6週まで

① 活動能力

強固に固定されている場合は,部分荷重で移乗および歩行して良い.移乗の際には松葉杖あるいは歩行器が必要である.

保存的治療の場合は,移乗・歩行時には免荷を保つべきである.

② 歩行

免荷の場合は,松葉杖か歩行器を引き続き使う.荷重を開始している場合は,松葉杖で1点,患肢・健肢が他の2点の,3点歩行を行ってよい.階段を上る場合は健肢から先に上がり,次に松葉杖,そして患肢を合わせる.階段を下る場合は最初に松葉杖を下ろし,患肢を下ろし,次に健肢を下ろす.

この時点ではどの荷重も,ギプスや副子,歩行用支持装具をつけて行う.歩行周期を正常化する試みはまだ開始しない.

4) 6~8週まで

① 活動能力

内固定されている場合は,松葉杖と3点歩行で部分荷重を始めてよい.保存的治療の場合は免荷を保つべきで,移乗・歩行時には補助具が必要である.

② 歩行

保存的治療の場合は,免荷で2点歩行すべきである.部分荷重を開始している場合は,松葉杖で3点歩行であり,松葉杖を先に出して,次に健肢,その次に患肢を出す.階段を上る場合は,健肢から先に上がり,次に松葉杖,そして患肢を合わせる.階段を下がる場合は,最初に松葉杖を下ろし,患肢を下ろし,次に健肢を下ろす.爪先荷重のみ許可されている患者は,骨折が十分治癒していないので有痛性(疼痛回避)歩行となる.しかし,爪先のみの部分荷重なので,歩行周期を正常化しようとするのはまだ尚早である.

5) 8~12週まで

① 活動能力

内固定されている場合は,可能であれば全荷重を始めてよい.たとえX線写真で十分な治癒が認められていても,移乗・歩行時には松葉杖あるいは杖が必要である.

保存治療の場合は,まだ松葉杖を使う必要があるが,移乗・歩行時に3点歩行で部分荷重を始めてもよい.

② 歩行

距骨骨折の場合は,踵接地から片脚立位,踏切り早期にいたるまで痛みを感じる.なぜなら立脚期のこれらの時期のすべてにわたって,距骨の関節面が体重移動に関わるからである.

特に距骨頭部に阻血性壊死がある場合,患者は踏切りの角度が深くならないようにしようとする.なぜなら踏切りの角度が深くなると,距骨頭部が舟状骨の関節表面に押し当てられるからである.

距骨体部骨折の治癒が不十分な場合,立脚中期により大きな不快感を感じるため,荷重を踵あるいは爪先にかけようとする.どちらであるかは体部のどの部分が骨折したかによる.頚部骨折の場合は踵により長い時間体重をかける.より後部の体部骨折の場合は爪先に体重をかけようとする.

 

Ⅸ 踵骨骨折

1) 第1病日~1週間

① 活動能力

ズボンは患肢から履き,健肢から脱ぐように教育する.

ベッドから椅子あるいはその逆の立位・支点移乗では,免荷とする.移乗と歩行の際には,松葉杖や歩行器などの補助具を必要とする.

② 歩行

患肢は免荷で,松葉杖あるいは歩行器を使った2点歩行とする.階段を上る場合は,健肢を最初に上の段に上げて,患肢と松葉杖を同じ段に上げる.下る場合は,松葉杖を最初に下ろして,健肢を下ろす.

2) 2週まで

① 活動能力

踵骨骨折の場合,免荷のまま立位・支点移乗を続ける.

② 歩行

踵骨骨折の患者は,両松葉杖で免荷歩行を続ける.

3) 4~6週まで

① 活動能力

強固に固定されている場合は,部分荷重で移乗および歩行してよい.移乗の際には松葉杖あるいは歩行器が必要である.

保存的治療の場合は,移乗・歩行時には免荷を保つべきである.

② 歩行

免荷の場合は,松葉杖か歩行器を引き続き使う.荷重を開始している場合は,松葉杖で1点,患肢・健肢が他の2点の3点歩行を行ってよい.階段を上る場合は,健肢から上がり,次に松葉杖,そして患肢を合わせる.階段を下る場合は,最初に松葉杖を下ろし,患肢を下ろし,次に健肢を下ろす.

どの荷重も,ギプスや副子,歩行用支持装具(cam walker)をつけて行う.歩行周期を正常化する試みはまだ開始しない.

4) 6~8週まで

① 活動能力

内固定されている場合は,松葉杖と3点歩行で部分荷重を始めてよい.保存的治療の場合は免荷を保つべきで,移乗・歩行時には補助具が必要である.

② 歩行

保存的治療の場合は,免荷で2点歩行すべきである.部分荷重を開始している場合は,松葉杖で3点歩行であり,松葉杖を先に出して,次に健肢,その次に患肢を出す.階段を上る場合は健肢から上がり,次に松葉杖,そして患肢を合わせる.階段を下る場合は最初に松葉杖を下ろし,患肢を下ろし,次に健肢を下ろす.爪先荷重のみ許可されている患者は,骨折が十分治癒していないので痛みによる異常な歩行となる.しかし,爪先のみの部分荷重なので,歩行周期を正常化しようとするのはまだ尚早である.

5) 8~12週まで

① 活動能力

内固定されている場合はすべて,可能であれば全荷重を始めてよい.たとえX線写真で十分な治癒が認められていても,移乗・歩行時には松葉杖あるいは杖が必要である.

保存的治療の場合は,まだ松葉杖を使う必要があるが,移乗・歩行時に3点歩行で部分荷重を始めてもよい.

② 歩行

踵骨骨折の場合,踵接地の際には引き続き圧痛を感じることが多い.後足部から中足部および前足部へと荷重が移るので,患者は不快感を感じなくなる.踵を完全に接地してその上に体重をかけるのではなく,爪先に体重をかけようとする.

 

Ⅹ 中足骨骨折

1) 第1病日~1週間

① 活動能力

患者に患側に荷重せず,立位・支点移乗には松葉杖のような補助具を使うよう指導する.ズボンを履くのは患肢から,脱ぐのは健肢からと指導する.

② 歩行

患者に2本の松葉杖で,まず患肢と松葉杖一緒に出し,次に健肢を出す2点歩行で,荷重をかけずに歩行するように指導する.階段を上るときは,健肢を先に上げ,杖と同時に骨折した患肢を運ぶか,両下肢が上の段に上がるまで松葉杖を下の段に残しておく.下りるときは,患肢と松葉杖を先に下ろし,続いて健肢を下ろす.舟状骨と立方骨の骨折で部分荷重が可能な患者は,患肢も移乗や歩行の際に使用するように指導する.

2) 2週まで

① 活動能力

骨折型によっては患肢に荷重せず,立位・支点移乗や歩行には,杖ないし歩行器の使用を続ける.部分荷重が許可された骨折では,移乗時にいくらかの荷重を患肢にかけてもよい.

② 歩行

松葉杖を用いた免荷歩行を続ける.

荷重が許可されたならば部分荷重ないし可能な範囲での荷重で3点歩行を行う.もしギプスがよくフィットしていれば,どの歩行周期においても不快感はない.

3) 4~6週まで

① 活動能力

荷重が依然として許可されていなければ,立位・支点移乗には杖を使用し続ける.バランスや補助のため杖がまだ必要かもしれないが,荷重が許可された骨折では移乗時に患肢を使う.

② 歩行

免荷のお場合,松葉杖を用いた歩行を続ける.荷重を開始し始めた場合,患者に,まず2本の松葉杖を1点として出し,次に患肢と健肢を2点として出す,いわゆる3点歩行を行う.階段を上るときは健肢を先に上げ,杖と同時に骨折した患肢を運ぶようにする.下りるときは,先に患肢を下ろし,続いて健肢を下ろす.

Lisfranc関節の骨折・脱臼をギプスで治療している場合,まだ踵接地から立脚中期の動きや,足部が外がえしから内がえしに動くとき,著明な痛みがあるかもしれない.その場合,歩行周期の踵接地を長くし,Lisfranc関節複合体に圧力がかからないように,荷重を足部外側面で移動するかもしれない.踏切りは,荷重が移動する際,中足部を横切る動きを最小限にするために,短く不完全になる.

舟状骨の皮質骨剥離骨折,結節骨折,良好に治癒した疲労骨折は,この時期痛みがなく歩行も異常がないはずである.

良好に治癒していれば,立方骨の転位のない剥離骨折も,歩行時に痛みはないはずである.

通常,楔状骨骨折は靭帯の破綻を伴い,踵接地から立脚中期にかけて中足部を横切って痛みが生じる.患者は第5中足骨を越え,さらに荷重を足部外側面に移動することもある.また楔状骨のねじりと荷重の時間を短くしようとして,立脚と踏切りを最小限にすることもある.

 

4) 6~8週まで

① 活動能力

観血的整復内固定術を要したLisfranc関節骨折・脱臼,舟状骨の体部骨折,癒合していない疲労骨折,立方骨のナットクラッカー骨折は免荷を続ける.その他すべての中足部骨折は部分荷重から全荷重とする.患者は,骨折部にまだ痛みがあり安定していなければ,荷重を支えるために松葉杖を必要とする.

② 歩行

免荷や部分荷重の患者の場合,依然として杖を必要とする.このような場合,保護靴(protective shoe)を使用する.松葉杖を使用していれば,2点ないし3点歩行を行う.ギプスを除去し,もはや松葉杖を使用していない患者でも,立脚期の全荷重時にはまだ痛みを感じ,踵接地時間が長くなることもある.踵接地から立脚中期にかけ,足部の外がえしから内がえしへのねじりの動きを避けようとする傾向がある.このため立脚中期から踏切りにかけ,荷重を足部外側面に移動させることになる.中足部から前足部への体重移動の際の不快感を避けようと,全荷重をかけることなく踏切りの時間が短縮することもある.

5) 8~12週まで

① 活動能力

患者は部分ないし全荷重の状態である.移乗時には安定とバランスをとるため,依然として松葉杖か杖を必要とするかもしれない.

② 歩行

長期間の固定のため足関節とMTP関節には,まだ拘縮が残っていることもある.これは歩行時の踏切りと踵接地に影響する.中足部に残った圧痛は,立脚期に中足部への荷重移動を遅らせ,踵接地の時間を増やす.Lisfranc関節複合体を横切る圧力を避けるため,荷重を足部外側面に移動しようとする.骨折・脱臼が足根骨を含んでいれば,痛みのため立脚期も避けようとするかもしれない.中足骨頭への力はLisfranc関節複合体への応力を加えるため,離床は痛みを伴う.Lisfranc関節複合体へのねじりを避けるには,歩行周期の踵接地部分をとばして,足全体に均等に荷重を分散させるために,立脚中期に短時間足をついてもよい.このような場合,ほとんどの時間,健肢に荷重することになり,患肢は,前に進むための踏切りにのみわずかに荷重される.

舟状骨の皮質骨剥離骨折,結節骨折,疲労骨折や,同様に立方骨の転位のない剥離骨折は,この時点で歩行周期は正常パターンとなる.舟状骨の偽関節や疲労骨折ではまだ痛みがあり,観血的整復内固定術が必要である.

舟状骨体部骨折は当然関節内骨折である.典型的には距骨頭から距舟関節に力がかかるため,踵接地から立脚初期・中期にかけて不快感を経験する.立脚期に距舟関節に荷重しないように,荷重を足部外側面に移動する.この足部外側面への荷重移動は,距舟関節に荷重しないように趾離地まで続く.粉砕やナットクラッカータイプの立方骨骨折では,踵接地から立脚初期・中期に荷重を移動する際に痛みを伴う.このような場合,踵立方関節へ荷重しないように足部内側面に荷重を移動する.立脚期をとおして踏切り直前まで,足部の第1列に荷重をかけることになる.この2つの骨折では外傷後関節症変化のため,患者は歩行を十分に正常化することができないかもしれない.激しい痛みは最終的に関節固定術を考慮することが必要かもしれない.


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